土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

カテゴリ: 高知のチョウ

初冬に輝きを増す小灰蝶たち
IMG_0144









冬の始まりといっても、香美市の奥山とは違い未だふたつの季節が混在しているかの様な香南市。今日は妻の里山で見た初冬の美しい蝶を紹介します。
IMG_9812











そろそろ朝の気温が10℃を下回りだす高知県香南市の初冬。この季節見る蝶は殆どタテハチョウ科シジミチョウ科に絞られてきます。といってもそれらは、この季節を待って活動する蝶たちではなく、この季節になっても成虫活動ができる蝶たちなのです。

両科の蝶は著しく大きさも異なり、より煌びやかな蝶はタテハチョウの仲間と思われがちですが・・・
キリシマミドリシジミ






香南市産キリシマミドリシジミ標本
それは大きな間違いなのかも。特に冬に限っては。画像のシジミチョウは香南市の蝶研究科の方に頂戴したキリシマミドリシジミ飼育個体の標本です。本種は夏の一時期にしか成虫出現しないシジミチョウですが、ほぼ一年中見られるシジミチョウも数多くいます。
185b47b2[1]768fa4c4[1]






中でもこれらムラサキツバメムラサキシジミは春までずっと蝶のまま活動しています。
うらなみしじみ










アサギマダラの傍らでヤマアザミの花を吸蜜しているのはウラナミシジミ。尾状突起を有するシジミチョウでありながらツバメの名を冠することのないシジミなのです。
ウラナミシジミ










夏以降、個体数が急激に増えるシジミチョウで♂表翅は良く輝きます。

沖縄の宮古島へ行った時、ルリウラナミシジミを森の中で見ました。
9f6a6bef[1]









ルリウラナミシジミ
このシジミチョウの♂表翅は南米のモルフォチョウの様に眩しく煌びやかに輝くのですが、見たのが6月の事で高温でしたから最後まで翅を開いてはくれませんでした。そう、シジミチョウは気温の低い時に見る事でより輝きを実感できる蝶なのです。寒ければ太陽から熱を得ようと翅を広げるのですから。

残念な事にルリウラナミシジミの表翅は見損なったままですが、
IMG_0310










ルリシジミは早春から初秋まで高知で見られるシジミチョウです。

このシジミチョウ、ルリシジミと思って撮影したのですが、撮影した後でよく見るとよく似たヤクシマルリシジミでした。
IMG_0322






同じ個体でも、見る角度によって輝きが変化するのがまた魅力的なのです。
91f2b444[1]








室戸のヤクシマルリジシミ

ヤクシマルリシジミは♀もよく輝きます。
f0d0e50f[1]









これらは、慣れるまで中々識別し難いのですが、私などは一度理解できたろ思っていてもすぐまた混同してしまいます。
efeed009[1]










まあ、難しい事は抜きにしても、小さいながらシジミチョウの表翅には、初冬の晴れた空同様の無限の広がりがあるのです。

秋の怪談話し皿屋敷はどこにあった
IMG_7657










白壁の塀を登る虫。なんか❝
いちま~い、にま~い・・・❞なんて聞こえてきそうな。多分、長女の影響です。彼女はご飯になると、キメツのなんとかいうアニメを再生して私の前で見だすのです。

この白壁を登る虫、一見タテハの幼虫に見えて実はアゲハの幼虫。幼虫終齢期までこの色と多くの突起を持って貫き通すアゲハの幼虫は他におらず、極めて特殊な存在なのです。食草はアルカロイド系の毒性物質を有し古は生薬として珍重されたウマノスズクサ。そうです、今日は怪談昔話なのです。
IMG_7662









因みに本種はジャコウアゲハの幼虫で、この武家屋敷の様な白壁を登る目的はここで蛹化するのです。
IMG_8488












前蛹
蛹化した姿がこちら。この蛹は江戸時代、播州赤穂で『お菊虫』と呼ばれていたことで知られているのです。
IMG_9563













蛹化
それはよく見ると、身体の最後部を糸で固定し皿にではなく更に肩も糸で縛って固定している。これはアゲハの蛹に見られる帯蛹といわれる蛹化の際にとる身体固定形式でこの蛹に限ったことでもありません。
IMG_7649










それより蛹の容姿が特殊で、まるでちょっと怪しげな着物柄の武家屋敷の奥女中が縄で後ろ手に縛られ身体を拘束されている様⁈
IMG_9660













寛政年間に播州で大発生したとされるこのジャコウアゲハの蛹を見て、晩秋ではなく播州の武士はお菊を想像したそうです。
IMG_9665












ところでこの皿屋敷の所在地、この播州だとか江戸の番町だでけでなく日本各地にある様で、わが土佐の国の幡多地方にもそんな話が残されているんだとか。
IMG_9656











でもわが家は全然大丈夫です。片手が不自由な私は食器を洗う際に落として割り回るので、妻が一生懸命パンを買って、割れ難い皿を収集してくれましたから
ジャコウアゲハ











ジャコウアゲハ

🦋アサギマダラのマーキング🦋
毎年の様に10月中旬を過ぎた頃、香南市の里山や人里をつなぐ林道は蝶であふれます。
IMG_6202










蝶の名はアサギマダラ。タテハチョウ科マダラチョウ亜科の、止まった時に見る色彩も飛翔する姿もゴージャスな蝶です。
2a8bbec9[1]








接触しても人にとっては全く無害ながら、蝶を捕食しようとする鳥類にとっては毒蝶。この蝶を口にすることで、死に至らないまでも大変な思いをすることで、二度とこの蝶を襲ってはいけないと強く認識するのです。

そしてこも蝶も自身を誇張するように美しい斑模様で飾り、ゆっくりグライダーの様に風に乗って空中を舞うのです。自らの天敵、野鳥にしっかりと見てもらえる様に。

そんなアサギマダラに多くの人が見せられる訳は、この蝶が大きく美しい訳だけではありません。むしろ人々は特徴的な行動生態を記録に残し、限られた場所だけでなく多くの地域、複数の国が連携してこの蝶の移動をずっと見守り続けているのです。
0d8cf21a[1]












アサギマダラは、日本列島に生息するチョウ種の中で、唯一規則正しく広域を移動するチョウ。その季節移動は季節の気温変化によって支配されています。ですからアサギマダラの広域移動は、水平方向だけではなく、垂直方向にも見られ高知県は地形的に最も長い季節、もしかすると一年中アサギマダラが見られる数少ない地域なのかも。

私は自宅近くの香南市三宝山で、この蝶にとって最も過酷な季節、8月初旬に成虫を一頭だけ目撃したことがあります。高地の山岳から風によって飛ばされてきた個体かも。

ですから、アサギマダラの地域ごとの研究者の皆様は、この蝶を誘地するために環境整備を継続して行い、吸蜜花や幼虫食草を地主さんのご理解の下で管理しているのです。
IMG_6236











この日(10月16日)は、アサギマダラの里IN秋葉山の山崎先生がお二人でマーキング等の調査活動中。予報では明日の土曜日は雨で日曜日まで天気は回復しない様なのです。

そして、こんなところにもコロナ禍の影響が見え隠れして、集団活動が自粛傾向にある様です。
IMG_6224IMG_6239







香南市から香美市の県道脇ではヒヨドリバナやフジマカマが数多くあり、アサギマダラも多数それらの花で吸蜜しているのですが、さすがに10月中旬になると、多くの飛来個体をそれだけではまかなえないようで、道端の他の花での吸蜜が見られます。
IMG_6257dfadd53a[1]






この様な姿がみられるのは、この道筋では11月下旬ごろまで。
14cc15a4[1]e9eb5b0d[1]







年によっては三ヶ月近い秋の滞在期間、様々な花で吸蜜しています。

室戸では12月に入ってもそれが続き、正月にも見られた年があったと室戸で活動される長崎先生に伺ったことがあります。この後、高知でアサギマダラが飛ばなくなる季節が来ると、新年はもうすぐそこまで迫って来ているのです。

季節の花と季節の昆虫
IMG_4240










香南市低山の山野に薄の穂が伸びる秋。
2718f38d[1]









薄と浅葱斑

薄の穂が出揃う頃に東から西へと列島伝いに、ここへ飛んでくる蝶がいます。

季節によって、世代交代を行いながら広域を移動するタテハチョウ科の中で季節毎に渡りを行う特別なアサギマダラ属の蝶、浅葱斑 アサギマダラです。

実は和名に浅葱斑の名を冠する蝶が日本には他にもいて、
8a534a24[1]









琉球浅葱斑
それがこの琉球浅葱斑 リュウキュウアサギマダラ。アサギマダラがこの後、移動して行く南西諸島に生息しアサギマダラの様な広域に渡る季節移動を行わない、タテハチョウ科リュウキュウアサギマダラ属の蝶です。

季節移動をしないリュウキュウアサギマダラもアサギマダラ同様に、幼虫がガガイモ科の植物を食草とすることでアルカロイドを生物濃縮して毒蝶化し、鳥類などの天敵に対し似た模様と飛び方でミューラー型擬態効果によって、生存成長政略を試みているのです。
IMG_4301









秋の七草 尾花と藤袴
薄と同じ頃に咲く花のひとつが藤袴 フジバカマ。それもそのはずで、尾花とも呼ばれる薄と藤袴は共に秋の七草なのです。
IMG_4378








藤袴は前述のアルカロイド系有毒物質を含有し、また蕾の時から豊かな芳香も漂わせます。ですから人も漢方薬や香料として生活に活用して来た植物です。

アサギマダラが季節移動を余儀なくされるのは、生息適地とする温度に非常にうるさい蝶である事から。更に飛び渡る地域で、アルカロイド含有植物を求め飛行ルートを定めて渡り続けていくのです。ですから同じ高知でも、この花を数多く植えた場所に秋になるとアサギマダラは必ず飛んでくるのです。
IMG_4369










今年も三宝山の藤袴の開花に合わせアサギマダラが群れになって季節を告げに来ました。

そんなアサギマダラの今日見た個体は全て♂。香南市では例年、先陣を切るのは♂であるように感じています。雌雄は概して♀が大型、そしてアサギマダラには♂翅に明瞭な性標が現れるので、花に止まれば一目瞭然です。
IMG_4279










さて、このアサギマダラは条件さえ整えば高知で少数が越冬します。その条件のひとつが、アルカロイド含有植物のガガイモ科の中で、低温に最も耐える鬼女蘭 キジョランの葉が真冬に枯れ落ちないこと。つまりキジョランの自生地がアサギマダラの越冬可能な北限地を決定させるのです。
IMG_4343










この日の里山朝散歩では、そんなキジョランの花を見つけました。

さらに・・・
IMG_4924











キジョランの葉に大きく開き残った食痕から覗くと、蔓に登って羽化したツクツクボウシの脱皮殻が見えます。

盛りを過ぎたツクツクボウシの鳴き声は、いつも以上にものかなしげで、地上の虫たちが日一日と消えていく里山に染み込んでいくかのよう。

今日は虫の奏でる季節感にこころが揺れました。

季節と同化する沢中の名虫たち
IMG_0725IMG_0722






棚田沿いに田園を縫う沢の中に数珠玉が実る季節。ジュズダマは稲とともに東南アジアから伝播した帰化植物です。そのジュズダマの葉を貪り食うバッタ科の昆虫はツチイナゴ亜科のツチイナゴ(成虫越冬種)とイナゴ亜科のハネナガイナゴ(卵越冬種)。

イネ科の植物を食害するこれらは、田圃の稲も食害する農業害虫です。同じ釜の飯を食らう飛蝗同士でも、残された時間は大きく異なっています。
IMG_0744









というかツチイナゴだけが特別で、他の飛蝗類との競合を軽減しようとライフスタイルを反転させているのです。

ですからツチイナゴには未だ未成虫の個体も沢山いて、幼虫たちは緑色で夏らしい背景に同化して見つけにくいのです。一方成虫は、少なからず行動が鈍化する冬の枯れ葉に色彩同化させ幼虫とは異なる色彩を身に纏います。
IMG_0808











ですから飛蝗類が総じてイネ科植物が好きなのに対し様々な季節に食性対応しなければならないツチイナゴ。イヌビワの葉も食べている様です。その確証にはなりませんが、直ぐ近くの葉に糞も落ちています。
IMG_0762









でも、この無残なイヌビワの姿はツチイナゴの仕業ではありません。

イヌビワをここまで無残に食害してしまったのは悪魔の様なイシガケチョウの幼虫なのです。
IMG_0781








これがそのイシガケチョウの幼虫。サタン様の頭部形状をしています。

因みに鱗翅目の糞は同じものを食べても、押並べて飛蝗類よりも大型で崩れやすい様に見えます。
61bf2941[1]






そのサタン型幼虫を正面から見るとこんな感じ。悪魔というよりはどことなく可愛い小悪魔でしょうか。

でもこの後、幼虫は更に不気味さを増してゆくのです。
IMG_0761








葉を食べ尽くしたイヌビワの枝に順番に地面向いて(ここの場合には沢の急流向いて)順番にぶら下がり始めるのです。
IMG_0797





そして暫し時間が経つと幼虫時代の最後の皮を脱ぎ捨て、枝の上で激しくよじれ苦しむようにもがきながら、見る見るうちに姿を変えていきます。

それがサナギの姿、ぶら下がった幼虫は前蛹といわれる成長ステージでタテハチョウ科の蝶の場合は、この様にぶら下がる垂蛹形態なのです。

イシガケチョウはこの沢にたくさんいますから、今日はここまで一気に見れました。そしてこの後は過去記事より抜粋すると・・・
22defa3b[1]








蛹のその後、彩と形態はどこまでも忠実に食草の枯れ葉に擬態しています。

イシガケチョウの蛹形状を知らなければこれが生き物とは皆思わないのです。
46fb124f-s[1]








そしてこれが羽化姿。イシガケチョウのライフサイクルは多化性で越冬態は成虫。季節感としては蛹の方が絶対適していると思うのですが、極暖かい冬の日以外は見ないので、多分越冬期間中は休眠に近い生活であるように感じています。

一方、高知では冬の寒い日でも林縁を飛び回っているのが、このクロコノマチョウ。
IMG_0765








じっとしていれば見つけられない程に、見事なまでに枯れ葉に擬態している成長越冬種です。

このクロコノマチョウの幼虫が、先の飛蝗たちと同じジュズダマの葉を食べるのです。
459a40a6[1]








これがクロコノマチョウの幼虫、殆ど黒い頭巾を被った頭部の部分しか分かりませんが、身体は青虫です。
a5a63501[1]










自然環境下での羽化画像がこちら。

まだ、この沢にも冬までの楽しみはたくさん隠れています。

このページのトップヘ