美しい婚姻色
本山町の渓流。透明度の高い流水域でオイカワが産卵期を迎えています。
オイカワ 雌雄








オイカワの繁殖期は夏。雄は顔が紺色、体側が青と橙色の斑模様、尾びれを除く各ひれの前縁部が赤という、鮮やかな日本淡水魚らしい
婚姻色発現し、顔には小突起(追星)が現れ、雄は縄張を持って雌を引き入れ、他魚を力強く排除します。
オイカワ 婚姻色









緑藻を食べるオイカワ
川の流れが速い浅瀬の底が砂礫といった水域に群がり、産卵が始まりました。卵は3日ほどで孵化し、成熟までは2・3年。オイカワの食性は草食性の強い雑食性、珪藻綱藻類のほか鮎の食べない付着する緑藻綱も食み取り、水生昆虫や水面に落ちた小昆虫、小型甲殻類、環形動物門貧毛綱などなんでもよく食べます。
カワムツ








同じく繁殖期を迎えたカワムツ
オイカワの生息域は、カワムツと重複する場合が多く、両種は早瀬をオイカワ・淀みをカワムツといった傾向で、棲み分ける努力をしています。
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両種とも、アユ・アマゴ・ウグイなどと比較すると、水質や環境変化に強く標高の高いこの地域での生息も、かつてアユやアマゴの有用魚種に紛れて放流されたものが繁殖していると思われます。
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オイカワの産卵に割って入るカワムツやウグイ
元来、オイカワとカワムツの両種で生息域が重複する場合、オイカワのほうが優先的にその水域に君臨する傾向が強かったものが、相次ぐ各地の河川改修により、早瀬や淵・浅場と深場といった川相のアクセントが減少し、両種の生態系に大きな歪みが生じています。

近年両種の交雑個体が発生している、論文も発表されているんですよ。
オイカワ 婚姻色オイカワ







さて、このオイカワ。子供の頃、あんまり釣れるんで持って帰って食べてみました。率直に言って煮ても焼いても二度と食べたくない味
ところが活性の低い冬期に苦労して釣った、いわゆる寒バヤ雌を開きにして天日で干すと、脂が表面に滲み出てそれは美味。相当な食通をもうならせる味に変身するんですよ。