土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

タグ:ギンヤンマの連結接水静止産卵

守り抜く決意
香南市の灌漑用溜池における制空権を、ほぼ手中に収めたギンヤンマ
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よく見ると、溜池に入れない雄が池の周りにあふれています。そんな中、成熟した雌が池面へ辿りつこうものなら・・・それはもう大騒動!
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雄同士が「そこまでやるか」というくらい争ってます。でも敗者がいれば勝者が生まれるわけで、
ギンヤンマ交尾













無法者が追ってこられないような、林縁の高枝で番いになるのです。めでたしめでたし・・・では終わりません。自然界はそんなに生易しくはないのです。

ですから、気の弱い人は今日はここまでで終わりにしてください。

この後ですが、ギンヤンマの産卵は常に雄がずっと身体を密着して立ち会います。
ギンヤンマ産卵ギンヤンマ産卵 (3)







ちなみにクロスジギンヤンマの産卵は、
クロスジギンヤンマ 産卵









雌単独で行います。ギンヤンマの場合、先ほど見たように産卵場所には無法者がどっさりいます。まさに傍若無人、他を無視して、 勝手で無遠慮な言動をする様子さながらです。
ギンヤンマ産卵 (2)










先ほど敗れた?かどうかは確認できませんが、今度は助っ人を連れてさっき痛い目にあわされた雄の頭をギュウギュウ水面に沈めています。一生懸命産卵していた雌も思わずつんのめっています。
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それでも無法者たちを追い払い、なんとかパートナーを守りぬいた勇者。雌雄共にかなり、お疲れモードです。
でもこの後、更なる受難がギンヤンマの番いに降りかかるのです。
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自然は時に残酷。私が巨大なウシガエルを追い払うのは簡単なことですが、それは自然界では全く無意味な行為でもあるのです。

この結末。成り行き上、私がウシガエルを追い払いました。本来、人間がいなければウシガエルもここにいないのです。とってつけたような理由によって弁解する、 ただの自己満足。でもこうした方が絶対寝つきが良いのです。
ギンヤンマ 産卵









さて、成虫化後の昆虫にとって最も危険な時が、摂餌・交尾・産卵です。ギンヤンマのこのライフスタイル、長く貫いてきた生活史の中で、種を継続させる確率を高めるために極め抜いたギンヤンマの生態なのです。 ギンヤンマの連結接水静止産卵は、雌の単独産卵より捕食者にとって巨大に見え、雄が前にいることで捕食者からの攻撃から、雌が逃れる確率は高まるのです。雄雌が連結産卵するトンボも、不測の事態では単独産卵する能力があるのです。
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同種の産卵を攻撃する行為も、自らの遺伝子だけを残したい種の本能が、結果としてこのように産卵時の雌を守る生態にもつながっているのです。

固有の生態、それぞれ全てに意味のある行為なのです。

止水域トンボの産卵
今日は止水域のトンボ産卵をレポートします。
止水域のトンボは、私たちの生活基盤となる地域に生息する蜻蛉ですから、目にする機会も多い蜻蛉たちです。同時に開発による自然環境破壊により、昨今見なくなった種も多いんです。

以前、赤蜻蛉と呼ばない赤トンボとして記事にしたベニトンボ
学名Trithemis aurora
こちらは高知県において、近年特に見る機会が増えた蜻蛉のひとつ。
先ずはその理由を推察してみましょう。勿論昨日の記述通り地球温暖化の影響は大です。
ベニトンボ雌












ベニトンボ雄:6月9日香南市香宗川にて
ベニトンボ雌












ベニトンボ未成熟:6月12日安芸市赤野、溜池にて
元来、南方系の種で今では高知でも湖沼や湿地などで普通に見られる、どちらかと言うと小型の蜻蛉(体長は約4cm)。
拓けた水辺へ行けば4月下旬から10月末まで見られます。
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ベニトンボ雄
脱皮直後から胸部には黒い縞模様があり、尾部先端は黒化。羽の基部は茶褐色。

成熟とともに雄の体色は鮮やかな赤紫色になり、雌の体色はあまり変化せず黄色からオレンジ色。高知では、6月になれば交尾、産卵に入ります。
ベニトンボ雌ベニトンボ雌 (2)








ベニトンボ雌
DSC02094ベニトンボ交尾







ベニトンボ交尾
ベニトンボは短い空中交尾を繰り返しながら、交尾を解いて雌単独で打水産卵します。
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ベニトンボは産卵に際し、多くのトンボ種が必要とする抽水植物・浮葉植物・沈水植物といった水生植物の存在を必要としないんですね。
コシアキトンボ








コシアキトンボ:縄張りを主張する雄
ちなみに、コシアキトンボも同じ条件下で産卵します。
コシアキトンボ産卵コシアキトンボ産卵 (2)







コシアキトンボ:産卵
ベニトンボやコシアキトンボは、止水域において比較的場所を選ばす産卵できる種なんですね。
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香南市では、小規模な防火水槽や簡易溜池でも産卵が見られます。このように、環境変化に順応でき個体数維持が容易に思える両種ですが、東南アジアから東アジアに広く分布するコシアキトンボは、地球規模での生息状況の評価となると、軽度懸念に分類されています。
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そこで今日のメインテーマ、止水域におけるトンボの産卵場所について。

水辺にたくさんいる蜻蛉も、産卵となると・・・
水生生物のない止水域では産卵しない種や、できない種が数多くあります。下画像の赤い蜻蛉は、ベニトンボに良く似ていますがネキトンボ(アカネ属のトンボの一種)。本来は赤野の溜池のような開けた林縁の止水域を好む蜻蛉です。
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そして、その産卵シーンです。
ベニトンボ連結産卵 (2)ベニトンボ連結産卵







香南市山北の人口池
ベニトンボ









多くのトンボは、狭くても水草の繁茂する場所を選択します。
オオカナガモ








オオカナダモは、被子植物門トチカガミ科の沈水植物

この人工池は、四畳半くらいの面積しかありませんがオオカナダモ学名:Egeria densaブラジル南東部、ウルグアイ、アルゼンチン原産)が繁殖しています。
ベニトンボ 産卵














今日、私が見たネキトンボの産卵は連結打水産卵
この後、この番いは池畔で縄張りを持つジョウジョウトンボ雄に 攻撃を受け、雌単独で打水産卵を行い、そのまわりを雄が警護するように見張っているという、ベニトンボと同じ産卵形態をとっていました。
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6月に入ると香宗川で見られるギンヤンマの連結接水静止産卵

ギンヤンマの場合は交尾後にオスとメスが連結したまま(稀に雌単独で)水面に浮いた水草や枯れ草に止まり、雌は腹部先端にある産卵管を植物の茎に突き刺し、1粒ずつ産卵します。

つまりギンヤンマは、抽水植物・浮葉植物といった水生植物が無い環境水域では繁殖できないんです。

先日レポートしたアオヤンマ
アオヤンマアオヤンマ (2)







アオヤンマの繁殖には、抽水植物が必要です。

さて、こちらの赤いトンボ。6月7日日高村メダカ池に沢山いました。
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メダカ池:下池のショウジョウトンボ
こちらも一見ベニトンボの様ですが・・・ベニトンボより一回り大きい(5、5㎝程)ショウジョウトンボです。右は打水産卵の雌。左は近くで見守る雄。他の雄が侵入してくると、飛び立って激しく攻撃します。
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ショウジョウトンボも高知では4月下旬から10月末まで観察され、ベニトンボと発生時期は同じ。生息場所も混棲の可能性があります。でも順序を正せば、高知ではショウジョウトンボの方が既存種なんです。
ショウジョウトンボ未成熟










ショウジョウトンボ雌
こちらも産卵は、ヒシの葉(浮葉植物)が繁茂している池を選んでいます。水草は、多くの蜻蛉の産卵のためにも、幼虫の生育の為にも必要なんです。
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産卵に来たショウジョウトンボ雄と見守る雄
水草がなければ・・・多くの種の蜻蛉がその池から姿を消して行きます。
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物部川を水源とし、香美市から高知の浦戸湾を河口とする人工河川、舟入川上流
昭和後期の各河川の改修工事により、河川から多くの蜻蛉が消えてゆきました。川底まで改修すると、河川の生態系は大きく変化してしまいます。

改修前の舟入川は岸や中須に多くの水生植物が繁茂し、今は殆ど見なくなったコシボソヤンマ(高知県のRDB指定状況:絶滅危惧Ⅱ類が飛び交い、鮎の友釣りもできたんですよ。

確かに水生植物を繁殖させると、管理もまた大変なのです。ですから、一時の護岸工事を主とした河川や池畔改修、護岸強化による蛇行河川の修復により、近年それらから既存生態系を維持する理想的水生植物の整った環境は消滅しつつあります。
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しかし、多種多様な水生生物の繁殖できない環境下では、すこしの生態環境変化や 気象変化で水域の水質は激変し、水生生物の生息環境だけでなく人間の生活にも様々な悪影響を及ぼすのも又事実です。閉鎖海域に近年多発する、毒性の強い浮遊微生物(赤潮)と似たような問題は、淡水域にも発生し本来清らかな水域が、悪臭を放ち人が近づくのも嫌な地域に成り得ないのです。
香宗川









そうなると、もはや本来の目的を達成できる水の価値は無いのです。生産者と分解者の理想的なバランスが常に新しい循環を生む、つまり多くの人が今注目している経済問題と自然環境問題は同じといっても過言ではありません。
べニトンボ雌










ベニトンボ雌
人間だけでなく多様な生物が、協力や牽制をしあって長年継続されてきた地域の環境の集合体が地球環境となるのです。上手くいっていることが激変化すると大概、悪い事になるのと同じです。ひとり勝ちの構図が延々継続するなんてことは、どの歴史にも語られていないことですよね。

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