ヤマドリと人間の友情
室戸スカイライン(高知県道203号室戸公園線)でアサギマダラを観察していた時のことです。
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草むらからいきなり現れた大型野鳥、ヤマドリです。しかも警戒心の強いヤマドリが私を見つけるなり、ニワトリのようにコツコツと低い声で鳴きながら、ゆっくりと歩み寄ってくるんです。
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ヤマドリは私に興味津々❢ まるで夢物語、私は桃太郎でしょうか
桃太郎のお伴は、猿・犬・雉。今、私の前にいるのは山鳥ですが雉とは同目、同科なんです。
ヤマドリ










山鳥ヤマドリSyrmaticus soemmerringiiは、キジ目キジ科ヤマドリ属に分類される野鳥。日本に5亜種生息しているそうで、高知県に分布している訳ですからシコクヤマドリでしょうか?

でも、5亜種それぞれの分布域も不明瞭、羽色は温度や湿度によって変異するそうで、こんなに懐いてくれても私には、亜種名までは到底わかりません。

しかも日本の固有種でありながら、野外で出会うのはかなり困難な鳥でもあるみたいで、私も今日で3回目。しかも今までたくさんの野鳥を観察しましたが、こんなに懐かれたことは勿論初めてです。
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顔面に、キジ同様の美しく発色した赤い皮膚の裸出部があり、体色は金属光沢のある美しい赤褐色を呈しています。特に頭部の色が濃く胴体から脚にかけて薄くなる傾向で、その程度も又亜種により様々。よく目立つ鱗状の斑もヤマドリの特徴です。尾は相対的にキジよりも長く、黒、白、褐色の鮮やかな模様があるはずなんですが、この個体は、何らかの理由で多くが欠損しています。

私が帰ろうとして離れていくと、興奮して鶏のように頭頂の羽毛を逆立て追わえてきました。さらに脚にある蹴爪と嘴でしきりに私にアタックしてくるんです。県道を車で通過する人々も横目で私とヤマドリのダンスを不思議そうに見ているんですよ。少し恥ずかしいです。でもだれも助けてくれないんですね・・・
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そうしていると、一人だけ車を止めて近寄ってきてくれました。よく見ると室戸在住の蝶研究家、長崎さんです。一年ぶりの再会。「何しているんですか」って尋ねられても、私自身???
ヤマドリも人間が2人になると、静かになりました。

そして、長崎先生に今年のアサギマダラをはじめとする蝶のお話をお伺いしていると、ヤマドリは寂しそうに草むらへ戻って行きました。本当に不思議な出来事!
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長崎先生が仰るには、二・三日前からこのあたりには変な鳥が出没している・・・って噂があったそうです。室戸ってそんな所?

でも冷静に考えてみると、これだけ人に慣れているんですから飼育個体だったんでしょうね。