土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

タグ:ネキトンボ羽化

ネキトンボ群生
昨日発見した、蜻蛉幼虫の群生する香南市山中の小池。小学生の遠足みたいに、早鐘みたいな胸の鼓動を抑え、日の出前から行ってみました。すると、
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脱皮直後の蜻蛉。昨日午後、あれだけ羽化個体がいましたから、必ず見られるのは分っていました。
DSC02821朝5:00の状態です。でも、天気予報では本日午後から雨ですから、見える範囲では10頭ほどしか羽化していません。

想像した程ではありませんでした。もっと早く来れば、羽化の一部始終を見られるのですが、暗い内からビニールハウスの周りをうろうろしていると、何かに間違われそうで集合をこの時間にしました。(集合といっても、私と蜻蛉デス)

香南市のハウスでは、それはそれは甘いブランド温室蜜柑の出荷間近です。
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で、このあと蜻蛉たちはどうするかと言えば、余分な体内水分を排泄しつつ、翅を伸ばしきった後、美しく広げるのです。
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中には、翅が正常に伸び切らなかった個体もいます。
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この程度なら飛び立つことは可能ですが、自然界ではこの後、少なからずハンディキャップを持って生きることとなります。さらにもっと酷い場合、
DSC02856可哀そうですが、飛びたつ事すらできない羽化不全です。翅だけでなく、複眼、尾部にもダメージを受けています。蜻蛉に限らず昆虫をはじめとする節足動物は、羽化や脱皮の際、前ステージの栄養不足、水質悪化、天敵の襲撃等でダメージを残していると、生き残っても正常な生活を送れない場合が多いんです。

私の家でも、昨年オオクワガタが多くの卵を産んだ為、内数頭を培地で混棲させていたら、一頭が蛹化不全になりました。頭部が蛹化してないんです。
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オオクワガタ蛹化不全と正常個体
この池の場合、蜻蛉にとって優れた環境であると同時に過密であるのも事実。脱皮や羽化は頗るデリケートで、他個体が少し触れただけで大きなダメージが後遺症として残ります。

しかし、卵全部が親となる道理はなく、これらは種自らが競走に勝ち抜き、生命力の強い子孫を残すための自然淘汰なのです。
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さて、もうお気付きかも分りませんが、今日羽化を確認したトンボは全てネキトンボです。ネキトンボ.の成虫出現期は、5月中旬から11月下旬とされています。
ネキトンボ成熟雄










羽化直後のネキトンボ、未熟なうちは雌雄とも黄褐色を基調とした体色ですが、成熟した雄はアカネ属赤蜻蛉らしく、見違えるように赤く発色します。
ネキトンボ雄ネキトンボ雄 (2)








ネキトンボ成熟雄
香南市の溜池で今、ピークを迎えたネキトンボの羽化。早朝には、たくさんのネキトンボが羽化し、日中になると既に成熟したネキトンボの産卵が始まっているのです。
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ネキトンボの連結打水産卵

圧倒的なトンボの生息環境を備えた香南市の溜池。ネキトンボと同じ水域で混棲するヤゴは、一般に発生の早いギンヤンマシオカラトンボと遅れてコノシメトンボ、アキアカネ等もいるそうです。
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この池にも間違いなくギンヤンマのヤゴはいました。さらにヤゴは先に羽化した蜻蛉の抜け殻を足場に自らも羽化するのが好きなようです。ですから脱皮痕をみると親になった順番がよく判ります。
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こちらは、ギンヤンマ→ギンヤンマ→ネキトンボ→ネキトンボの四連ですね。初めて見ました。一番最後なんかあんなにそっくり返って上手く羽化できたのでしょうか。

さあ、こんな圧倒的蜻蛉を主とした生態系を持つ、この小池。でも今シーズン、私はここでヤンマの羽化に立ち会えるのでしょうか。

ちなみに、ギンヤンマの成虫発生時期もネキトンボと同じ時期ですから、可能性ありです。

早起きの楽しみが増えましたね。
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それともう一つ疑問。この池に現在ある浮遊植物は、ただ一株のホテイアオイのみ。ギンヤンマは如何にして産卵するんでしょうね。

山中の小池
香南市山北の山中、ふと通りかかった小さな溜池に・・・
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凄まじい数と種類の蜻蛉の抜け殻這い上がれるところは全てこんな状態です。
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中には四段に重なった脱け殻まで。自然豊かな香南市の里山でも、ここまで蜻蛉幼虫の生息する池は初めて見ました。それぞれのトンボ、羽化の季節が訪れると毎晩ぞろぞろ這い上がって来るんでしょうね。

つい、その姿を想像してしまうと、『く~る♪きっとくるー♪』みたいに寒気がしてきました。
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ちなみに池相はこんな感じ。いちばん奥の一か所から、源泉掛け流しみたいに天然の清水が流れ落ちています。まさに秘湯の雰囲気
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20坪ほどで、水生植物オオカナダモの状態から判断して水深は1m足らずでしょうか。
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マツモの様に見える沈水性の浮遊植物。良く見るとオオカナダモです。
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池畔の半分が石垣造りで上面がコンクリート。残りは画像の通りです。
池周りの草木、枝も葉にも、びっしり蜻蛉の抜け殻。
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羽化した蜻蛉もいます。
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ネキトンボ、どとらもですね。赤蜻蛉ですが未成熟ですから橙色です。パッと見20~30頭はいます。

さらに近づくと、50頭からの羽化後しばらく休んでいた蜻蛉たちが一斉に空高く舞い上がるんです。1日一度だけの、自然が作り出すドラマ、驚きました。
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こちらはネキトンボ雌。さらに3mくらい離れたビニールハウスの壁面でも多くのネキトンボが羽化しています。
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まるでネキトンボの集団羽化です。
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池を通りかかったのは、15:00頃。他の蜻蛉を探してみましょう。(晴れた日の午前中と雨あがりの午後、6月末の2日間の観察です。)
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これだけのヤゴがいる訳ですから、このこぢんまりとした溜池に蜻蛉は大中小と多種います。
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ショウジョウトンボ
未成熟個体成熟個体雄です。
クロスジギンヤンマネキトンボ







クロスジギンヤンマ雄成熟したネキトンボ雄
ベニトンボハネビロトンボ (5)







ベニトンボ雄ハラビロトンボ未成熟雄
DSC02934アオモンイトトンボ







キイトトンボ
アオモンイトトンボ

そして、私のブログ初登場の早苗蜻蛉種がいました。
オナガサナエ













6㎝ほど、中型サナエトンボの雄です。
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胸斑と雄の尾部付属器の独特な形状は尾長早苗オナガサナエ)です。オナガサナエは完全な止水域は好みませんから、この池で羽化したのではないでしょう。

さて、これだけ抜け殻があるんですから、明日は早めに起きて羽化の瞬間を見に来ましょう。自宅から15分位ですから。

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羽化痕といえば6月29日、今年初めてクマゼミの抜け殻を見ました。この池の周辺では6月18日にはニイニイゼミが鳴き、梅雨が明ける頃にはクマゼミの激しい活動が本格化します。昆虫の世界も夏本番ですね。
ニイニイゼミ













最後にヤゴの一発芸 
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ヤゴのクライシス。ファイト一発! 状態です
ヤゴもこれだけいれば、オチャメなヤツもいます。
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観客もきちんといますから・・・

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