ネキトンボ群生
昨日発見した、蜻蛉幼虫の群生する香南市山中の小池。小学生の遠足みたいに、早鐘みたいな胸の鼓動を抑え、日の出前から行ってみました。すると、
脱皮直後の蜻蛉。昨日午後、あれだけ羽化個体がいましたから、必ず見られるのは分っていました。
朝5:00の状態です。でも、天気予報では本日午後から雨ですから、見える範囲では10頭ほどしか羽化していません。
想像した程ではありませんでした。もっと早く来れば、羽化の一部始終を見られるのですが、暗い内からビニールハウスの周りをうろうろしていると、何かに間違われそうで集合をこの時間にしました。(集合といっても、私と蜻蛉デス)
香南市のハウスでは、それはそれは甘いブランド温室蜜柑の出荷間近です。
で、このあと蜻蛉たちはどうするかと言えば、余分な体内水分を排泄しつつ、翅を伸ばしきった後、美しく広げるのです。
中には、翅が正常に伸び切らなかった個体もいます。
この程度なら飛び立つことは可能ですが、自然界ではこの後、少なからずハンディキャップを持って生きることとなります。さらにもっと酷い場合、
可哀そうですが、飛びたつ事すらできない羽化不全です。翅だけでなく、複眼、尾部にもダメージを受けています。蜻蛉に限らず昆虫をはじめとする節足動物は、羽化や脱皮の際、前ステージの栄養不足、水質悪化、天敵の襲撃等でダメージを残していると、生き残っても正常な生活を送れない場合が多いんです。
私の家でも、昨年オオクワガタが多くの卵を産んだ為、内数頭を培地で混棲させていたら、一頭が蛹化不全になりました。頭部が蛹化してないんです。
〖オオクワガタ蛹化不全と正常個体〗
この池の場合、蜻蛉にとって優れた環境であると同時に過密であるのも事実。脱皮や羽化は頗るデリケートで、他個体が少し触れただけで大きなダメージが後遺症として残ります。
しかし、卵全部が親となる道理はなく、これらは種自らが競走に勝ち抜き、生命力の強い子孫を残すための自然淘汰なのです。
さて、もうお気付きかも分りませんが、今日羽化を確認したトンボは全てネキトンボです。ネキトンボ.の成虫出現期は、5月中旬から11月下旬とされています。
羽化直後のネキトンボ、未熟なうちは雌雄とも黄褐色を基調とした体色ですが、成熟した雄はアカネ属赤蜻蛉らしく、見違えるように赤く発色します。
〖ネキトンボ成熟雄〗
香南市の溜池で今、ピークを迎えたネキトンボの羽化。早朝には、たくさんのネキトンボが羽化し、日中になると既に成熟したネキトンボの産卵が始まっているのです。
〖ネキトンボの連結打水産卵〗
圧倒的なトンボの生息環境を備えた香南市の溜池。ネキトンボと同じ水域で混棲するヤゴは、一般に発生の早いギンヤンマ、シオカラトンボと遅れてコノシメトンボ、アキアカネ等もいるそうです。
この池にも間違いなくギンヤンマのヤゴはいました。さらにヤゴは先に羽化した蜻蛉の抜け殻を足場に自らも羽化するのが好きなようです。ですから脱皮痕をみると親になった順番がよく判ります。
こちらは、ギンヤンマ→ギンヤンマ→ネキトンボ→ネキトンボの四連ですね。初めて見ました。一番最後なんかあんなにそっくり返って上手く羽化できたのでしょうか。
さあ、こんな圧倒的蜻蛉を主とした?生態系を持つ、この小池。でも今シーズン、私はここでヤンマの羽化に立ち会えるのでしょうか。
ちなみに、ギンヤンマの成虫発生時期もネキトンボと同じ時期ですから、可能性ありです。
早起きの楽しみが増えましたね。
それともう一つ疑問。この池に現在ある浮遊植物は、ただ一株のホテイアオイのみ。ギンヤンマは如何にして産卵するんでしょうね。