土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

タグ:ヤナギの樹液

ヤナギに魅了された蝶種
山林の雑木林で吸蜜する、大型の美しいタテハチョウ『オオムラサキ』。
日比原川 オオムラサキ












高知県香美市のオオムラサキ

画像は高知県香美市の物部川支流、日比原川の沿岸にあるクヌギ林で樹液に来たオオムラサキ♂です。
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この様に、オオムラサキか吸蜜する樹液はクヌギ

一方、高知では平地の河川に生え、中下流域の河畔林を形成する樹木のひとつ、ヤナギに群れるタテハチョウ科で同亜科別属の蝶が『コムラサキ』。

両種とも雌雄二形が顕著で、オスの特徴的な紫色と両種の大きさ比較が名前由来となっています。

成虫を見て両種を間違うことは無いのでしょうが、幼虫同士なら間違う可能性も高まるのです。でも絶対に間違わない簡単に見分けられる相違点は少なくてもふたつ。
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ヤナギとコムラサキ幼虫

この両種の場合、幼虫食樹がオオムラサキの場合エノキ、コムラサキはヤナギなのです。
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ヤナギの樹液を吸うゴマダラチョウ
この両種はこうして見分けられるのですが、これらと同科同亜科で別属のゴマダラチョウは、エノキの樹葉を食べるので、幼虫背中の突起形状で識別するんですね。
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ヤナギは樹皮が弱く、6月に入ると樹液が数多くの場所であふれ出してきます。
コムラサキ吸蜜













本来、コムラサキは果汁も動物由来の液も吸蜜するんですが、ヤナギの豊かな樹液は魅力的。

ですから、コムラサキたちは生まれた場所から殆ど移動せずに、生活でき世代交代完了が可能。そんな生活環で長年生きて来たタテハチョウ科のコムラサキは、移動性にするれる蝶でありながら局所的な環境変化で個体数を減らしてきた種だとも説かれています。
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また、そんなに離れていなくても地域変異傾向の見られるタテハチョウでもあるんですね。ヤナギに自信の一生と種の未来までをも託す、一途なコムラサキなのです。

川ヤナギに群れえるタテハチョウたち
5月8日、夏のような陽気の物部川河畔に昼前になると、複数のコムラサキが舞いだしました。
コムラサキ飛翔コムラサキ 飛翔





ヤナギ属が構成する河畔林を、ざっと見5頭のコムラサキが飛び回っています。
そして今日は思いのほかゆっくりと。

目で追っていくと、
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最初は思い思いの高枝の葉にとまるんですが、時間とともにその距離は詰まり、しかも私の目の前の葉に止まるんです。
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ですので本日はコムラサキの鮮明な画像がいくらでも撮れるんですね。
このコムラサキ、全てがメスの様。紫色に美しく輝く個体は見られません。
コムラサキ 飛翔









ところが・・・縄張りに侵入してきたアシナガバチをしつこく追尾する気の荒い個体が現れました。
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縄張りを強調していたコムラサキはオス。メスよりも小さい傾向にあるオスなんですが、気難しいところを見せています。
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そうしていると、こんどはコムラサキより大きなタテハチョウ。しかもこれまた複数います。
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朝早いうちには、幼虫食草のとなるエノキの回りを飛び回っていたゴマダラチョウまでもが、ヤナギの木に集まって来たのです。

そして両種とも挙って茂ったヤナギの枝葉の間をぬって、奥へ入り大きな枝に止まるんですね。
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何をしているのかと分け入って覗いてみると、両種はヤナギの樹液を吸蜜しているんですね。

ヤナギの若木や枝は結構傷つき易く、樹液も豊かなんですよ。
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古木はカミキリムシ幼虫に幹を食害され、その傷口からも樹液が流れ出ています。

コムラサキは幼虫・成虫ともにヤナギ一筋で成長出来て、生命をつなぎ、世代交代に至れるのですね。
コムラサキ メス









地域に生息している目当ての蝶を探すには、その蝶の幼虫が食草とする植物の周りを探れと言われるほど、蝶はその幼虫食草の近くで暮らしています。高知の河原ではヤナギ属とエノキ属は、下流部河畔林を構成する一般的な落葉樹。更に成虫の吸蜜源があれば、そこは特定の蝶種の楽園なのです。
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蝶探しは即ち幼虫食草探しなんですね。

そうそう、今日はちょっと変わったコムラサキみを見つけましたよ。
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形は全く摩耗していないのに、色素だけが抜け落ちています。
色素変異個体でしょうか

この一例のように、多様な変異が知られているコムラサキ。それは一年多化でありながら、そこから現れる季節変異よりも、遥かに地域変異の方が顕著に現れるのです。

このことから、俊敏に飛び回る飛翔能力に優れたコムラサキなんですが、案外その移動は局所的であると考えられているんですよ。

最後に、今までの記事とは全く異なったコムラサキをご紹介しましょう。
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これも紛れもないコムラサキなんですよ。但し、こちらの小紫(コムラサキ)は蝶ではなく植物。シソ目クマツヅラ科ムラサキシキブ属の落葉低木にコムラサキという被子植物が存在するんですね。

コムラサキの同属にはムラサキシキブという似ている植物があるんですが、幾つかの相違点のうちでムラサキシキブは葉の鋸歯が全葉にあり、コムラサキには上半分にしか無いんでコムラサキです。 庭先にあり枝垂れの特徴もコムラサキなんです。

ところで、この蝶は高知では様々な環境条件から冬を越せない迷蝶リュウキュウムラサキという熱帯・亜熱帯域の蝶です。台風などの強い南風に乗って飛来してくるんですね。リュウキュウムラサキはコムラサキとは違う、移動性の高い蝶なんです。

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