土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

タグ:室戸

圧倒的自然環境
家族で行った「世界ジオパーク」に認定された高知県室戸市
遊歩道










整備された遊歩道から足を踏み出し、さらに海岸線に近づくと、とっても大規模なタイドプール潮だまり)が点在しています。
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私の住む香南市塩谷の浜のタイドプールとは、規模と造形物構造体が異なり、少し覗いてみたくなりました。
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かなり沖まで続く、荒々しい岩石が形成する磯場は水面下でも同様の底質。地域一体に豊かな海産資源を育む反面、容易にそれらを人に与えない自然の猛威が感じ取れる海岸線となっています。

巨岩の間を侵食して勢い良く流れ込む海水は、一般的な海岸とは比べ物にならない大きな石を波によって運び、独特な石浜を形成。その石浜の高低差と巨岩が荒波を遮ってできるタイドプールには、どんな磯の生き物たちがいるんでしょう。
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フグ科キタマクラ皮、肝臓、腸など有毒、食用とはしない)や、スズメダイ科のオヤビッチャは、タイドプールで観察される一般種。オヤビッチャは親美姫と書き、日本では千葉県以南に生息する在来魚。可食ではありますが、亜熱帯域にも広く分布し小型魚では少ないシガテラ毒の中毒例があります。
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こちらは、有用海産資源のシッタカ貝。二種類あるうち太平洋生息の本種、一般和名はバテイラ馬蹄螺)で、塩茹でにしたり、煮貝にして食べるんです。特に醤油との相性がよいので煮貝がオススメ。キラメッセ横の直売店等、手ごろな価格で販売もされています。

低潮時でも頻繁に、溶存酸素量豊富な外洋海水流入が見られるタイドプールでは、
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日中にも関わらずウツボが行き来しています。ウツボ・・・名前はご存じだと思いますが、もし閉鎖されたタイドプールで見かけても絶対触ってはいけません無毒ですが、必ず強靭な犬歯で噛みついてきます。でもウツボはとっても美味しい有用(高知では重要)海産資源。コラーゲンたっぷり、癖のない独特な食感は全国区の高評価を博し女性にも大人気です。料理は高知らしくタタキが最高!
延縄仕掛け (1)延縄仕掛け








え~と・・・何の話でしたっけ。そうそう、夜行性の強いウツボが日中から観察できるということはウツボ生息量は頗る豊か、肉食のウツボの資源量を維持できる豊かな魚介類が育まれる海洋環境が維持されているという事なんですよ。

多分夜間にこのあたりのタイドプールを訪れると、中小型のウツボはうじゃうじゃいます。でも起伏に富む海岸線ですから、夜間は慣れない方は絶対来てはいけません波の高い日中も危険な場所です

先日の取材でご報告しましたが、全ての生物にとって決して好条件とは言えないタイドプールに、一時的とは云え小動物が定留する主理由は、捕食者からの退避でしたよね。

ところが、外洋からタイドプールへの潮の流れを観察していた長男が、タイドプールへ侵入して来る大型魚を発見。
ヒブダイ















60㎝を越える威風堂々の面構え池のコイではありません。アオブダイです。ちなみにコイは青色色素を持っていないので、ブルーカラー発色はしません。

当然、私達の存在に気付いているのですが、魚のくせに臆することなく更に接近してくるので、逆にこちらが後ずさり・・・絶句です。
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ブダイ科アオブダイ属 アオブダイ青舞鯛・青武鯛)、和名の由来、蝶の如くヒラヒラと舞うように泳ぐ優雅な魚舞鯛。でも雄成魚は前頭部が瘤(コブ)のように突き出る特長が顕著で雄々しい様はまるで武鯛。このアオブダイも立派な成魚ですから前頭部が瘤がかなり突出していますね。

余談ですが、鯛に比べて不格好ということで不鯛、もっと酷いのは鯛に比べて醜いということで醜鯛。何故、鯛と比べるんですか・・・基準がおかしいデス。


ブダイは食用にもされ、冬が旬の磯魚。やや水っぽい食味のブダイの中で最も美味といわれるのは同属近似種ヒブダイ。ヒブダイは沖の鯛釣りでも、外道として時々釣れます。

アオブダイは、最大90cmほどに成長する巨大魚。名のとおり体色は全身青みが強い反面、地域による個体差も激しく、なかには体表各所に赤褐色、白、黒などの斑点が出現する個体もいます。ですから、多くの人はアオブダイとヒブダイを混同しています。

歯は上下とも融合して、堅い木の実をついばむ鳥(オオム)のくちばしのような形状をしているので英名は、Parrotfishes
これは他のアオブダイ亜科の魚にも共通する特徴で(フグも同じ)、誤って吻部に指が入ると人間の指を噛み切るくらいの顎力もあるので要注意(ウツボのように魚から噛みついてくることはありません)。


温帯東京湾以南、熱帯フィリピンまでのに浅海の岩礁やサンゴ礁に生息し他のブダイ種と比較して広い範囲に分布する種です。

食性は雑食性で、藻類、甲殻類、貝類などいろいろなものを食べる貪欲さ。前述の強靭な歯と顎力で浅海珊瑚のポリプを齧り、大量に排泄される糞で、白い砂浜が形成されると言われていました。しかし近年の研究ではカンムリブダイだけがこの習性を持つと改められています。

さらに特殊な生態を持ち、口から粘液を出して自身の体全体を覆う薄い透明の「寝袋」を作り眠るんです。
ソフトコーラル










〖スナギンチャク〗
熱帯・亜熱帯の海産魚が巨大化すると、シガテラ中毒が懸念されるべましたが、アオブダイの場合はスナギンチャクを捕食するためパリトキシンというシガテラ毒以上の強毒成分を蓄えており、内臓各部は非可食とされています。またフグ毒で知られるテトロドトキシンが内臓から検出された事例もあるそうですよ。
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このアオブダイ警戒色も発せず平常心のまま、直径10mほどのタイドプールをいつまでも回遊していました。

どうです、「世界ジオパーク高知県室戸市。いきもの好きなご家族は、とても行ってみたくなったでしょう。でも、荒々しい地形は時に危険を孕み、黒潮の接岸する海洋は近年まれに熱帯の危険生物が漂流して来ます。

海洋生物に触る場合、特にコバルトブルー発色した生き物たちには注意してくださいね。それらは、触れなければ絶対安全、ですからタイドプールに入る場合も裸足は厳禁ですよ

春の逸品鮮魚アコウダイ
強風の中、好天に誘われ室戸へ岬の春鮮魚を見に行ってきました。
室戸展望台









春の旬魚といっても、先日ご紹介した香南市と室戸では全く違うんですよ。
本来は、岬まわりの漁港を2・3見てからいつもの魚屋さんで、これはという旬鮮魚を選ぶんですが、生憎の時化模様、どの漁港も魚が揚っていません。
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でも、魚屋さんは営業していました。時化で漁が少なくても、この品揃えです。
この中から室戸らしい旬鮮魚を選んで、料理してみましょう。

室戸の地形は世界遺産に認定されるほと、激しい地震性地殻変動を繰り返し、傾動隆起していくんです。陸上の景色同様、海面下の地形もなだらかに水深が増すのではなく、急に落ち込み一気に200メートル以深となり更なる深海へと続くんです。
スルメ










【室戸名物、空飛ぶスルメイカ
ですから、深海からの栄養豊富な湧昇流が動植物プランクトンを育み、小魚が群れそれを餌とする大型魚が周年回遊する、室戸の海ならではの生態系が確立されています。結果として室戸の鮮魚は、香南市のそれと比べて同じ種類でも総じて大型。更に岬周りでしか手に入らない、深海性の美味しい魚が店頭に並びます。
コタイ・ネイリ









【5キロ程度の中型カンパチは、周年回遊】
最も美味しいサイズのカンパチの上は3キロ位の極近海根付き魚コロダイです。
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【大判
だって室戸では大判、春から5キロは軽くこえています。香南市のそれとは全然違います。
そして足摺岬同様に潮通しが良い分、魚の熟度が早く旬を迎える時期が早く、旬のはしりの先取りができるのです。
サクラダイ











【2~3キロ位の桜鯛
旬の逸品、桜鯛は既に婚姻色を呈し
雌(下)は体型に丸みを帯び抱卵しています。雄(上)の婚姻色、判り易いでしょう、吻部はオレンジ色、それを囲んで黒色変化、さらに老成魚の雄になると、頭部がニュージンランドマダイのようにやや突出し体型が角ばり、眼球周囲の皮膚が白色化します。

この特徴を知っていれば、割と簡単に旬のマダイの雌雄判別ができます。
カンパチ・マダイ













ちなみに、このマダイは婚姻色の雄。3、5キロ前後ですね。タイの白子天婦羅、絶品ですよ。
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イサキ
梅雨頃が産卵期のイサキも、室戸ではすでに抱卵しています。

さて、室戸らしい魚介類といえば、
ナガレコ













トコブシ

トコブシ、高知では流れ子です。室戸名物で刺身ではなく、加熱調理すると更においしんです。
キンメダイ













キンメダイ
こちらも室戸名物キンメダイ700グラム位。価格の安定した高級魚、名に恥じない旨みがあります。でも去年からずっと不漁なんです。この日だって6匹しかありませんでしたから。
ウメイロ (2)












ウメイロ
鮮度の良いものは、背一部がコバルトブルー。鮮度が落ちるとこの色は消えますが黄金色(熟した梅の実に似ている)は光沢が消えても黄色く残ります。
このように鮮度が良いものは刺身、白身でやや旨味に欠けても、身色の美しさなど総合的に優れているんです。カルパッチョやムニエルといった洋食、シンプルに塩焼き等、クセが無くどんな料理にも使えるスグレもの鮮魚。
周年美味く味に季節差異の少ない魚ですが、強いて旬を上げれば夏。でも夏季は美味い沖魚が少なく、ウメイロは夏安定して漁獲できることなどの理由が繁栄していると思います。
マサバ (2)










マサバ
身質の良いマサバ。この辺でマサバが安定して獲れる時は沿岸海水温が低めなんです。普段はゴマサバの主回遊域で、マサバゴマサバより低水温を好みますから、地球温暖化の影響でマサバは少なくなったんです。
メジナ・グレ











マゴチ
メジナ(口太グレ)と一緒に入っていたのは、大型マゴチ。あっさりした白身で夏が旬の魚。活魚であればお値打ちは倍増します。マゴチは内湾、浅海を好む魚。深海魚から、こんな魚までいる室戸の魚種の豊富さ。豊な海の証です。
そして本日、私の選んだ魚は
アコウダイ











アコウダイ
キンメダイと同じ手釣り漁で、大陸棚縁部の400メートルからときには1000メートルもの深海から釣り上げます。

何本もの釣針を有する仕掛けが、上手くアコウダイのポイントに入れば、複数のアコウダイが食いついて、それを水圧の高い深海から釣り上げてくるとアコウダイの浮き袋、眼球がパンパンに膨れ上がり、途中から自身の浮力でどんどん浮き上がってくるんですね。そして、舟べりに近い海面から、沖に向かって一尾、2尾、3尾と次々に美しい魚体が浮き上がり、海面に漂うんですね。

至福の瞬間です。釣り人はこれをアコウダイの提灯行列と呼ぶんです。

アコウダイは、カサゴ目フサカサゴ科のとっても美味しい最高級魚
旬はで、旨みが濃く身質がしっかりしており、美しい色彩は忘年会シーズンの鍋具材としても最適。冬場は価格が高騰します。

ですので価格の落ち付く今頃も狙い目なんです。本日の価格は、1,600円/kgでした。一尾1kg前後のアコウダイとしては中サイズです。

では、いつものようにお気に入りを選び料理してみましょう
今日の逸品は室戸らしいアコウダイ。それと、試食程度にウメイロも一尾。
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アコウダイは、キンメダイ以上に歩留りが悪い魚ですから、頭を外すととても貧相です。
でも皮目が本当に美しい魚ですね。
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巨大な頭部、食材活用しないともったいないです。
深海魚ですから眼球突起がすごい
早速、おろして皮を挽いてみましょう。
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アコウダイ柵取り】
旬を少し外れたといってもこの状態。
身質の良さ、脂ののりとも申し分ない状態。何と美味しそうな魚でしょう。
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ウメイロ柵取り】
更に身質がしっかりしているのがウメイロ。とても扱い易い魚です。
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アラもしっかり食材活用します。
身がほろほろしてとても美味しそうですよ。
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【アコウダイの刺身】
皮もしっかり食材活用です。脂がのり身質もコリコリしていますから、これ位に削ぎ切ってポン酢でいただいてみましょう。
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どうです、
室戸のアコウダイ。とっても美味しい高級魚、そして今がお買い得です。ただし量販店にはまずありません。

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