土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

タグ:春編

春は先ず別れの季節
約5ケ月間、香南市やその近辺で暮らしていた冬鳥たちともそろそろお別れの時が。
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近年は冬鳥たちの暮らしぶりを見るのが、寒い季節の楽しみのひとつになって来ました。
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この日も、久しぶりに物部川の河口へ行くと『ハジロカイツブリ』を発見。遠目ではカイツブリに似ていても、ギョロっと赤いまなざしが見えれば簡単に識別できます。
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内陸部の穏やかな水面に営巣して繁殖するカイツブリと違い、ハジロカイツブリは越冬の為に期間限定で飛来する冬鳥とされています。

実はハジロカイツブリ、体形の似るカイツブリとは別属のカンムリカイツブリ属なんだとか。晩秋以降には漁港の中や淡水の人工池でよく見る冬鳥のカンムリカイツブリを今冬は見ずに終わりそうです。
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3月に入ると、香南市では更に多くの田んぼに水が張られ田植えの準備が始まります。
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すると真っ先にイワツバメたちの巣の補強が始まり、住宅地では春の繁殖に向けムクドリたちが騒ぎ出します。
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田んぼに水が張られると、先ずは留鳥のシギやチドリたちが来て、それにつられるようにやがて春の渡り鳥たちが飛来し、田植えの前後にはそのピークを迎えます。そのころになると、
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冬鳥猛禽類は一羽ずつ里山から姿を消し、桜の咲く季節に空を見上げれば
複数のサシバが弧を描いて飛んでいるのです。


サシバの渡る季節になれば、数多くの昆虫たちが活動を開始する。その中には見逃したくない、Spring ephemeral(スプリング・エフェメラル)季節限定・地域限定の生き物たちとの出会いが待っているのです。
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毛虫注意報
昨年10月28日のブログで、アカタテハの越冬成虫の旅立ちを記事にしまた。
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その越冬成虫たちは、高知では3月になると活動を再開することも、3月22日のブログでご報告しましたが、今日はそのアカタテハたちが、厳しい冬を乗り越え、全てを託した新しい生命の姿をお伝えします。勇気をもって これから先には、一部恐ろしい画面が含まれています。
ですから、もしご覧いただける方々も勇気と覚悟をもって見てくださいませ


高知では今の季節、アカタテハはイラクサ等イラクサ科の多年生植物の草叢を掻き分けてみると簡単にみつかります。(本気で挑戦なさる場合、イラクサ科の葉っぱの中には剛毛を備える種が含まれており、結構痛いので、注意してください。)
それがこちら。

と思っていたら、記事アップ当日 EVISさんからコメントで種の確信に迫るコメントを頂戴しました。
実はこの蛹、エノキから落下した終齢幼虫がイラクサ科多年草の茎で蛹化した個体だったようです。
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ですからアカタテハの蛹だと思っていたのは、タテハチョウ科タテハチョウ属の成虫越冬種『ヒオドシチョウNymphalis xanthomelasが越冬後繁殖したの蛹でした。蛹形状を文献で確認すると『ヒオドシチョウ』間違いないようです。
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ヒオドシチョウ早春の越冬個体
タテハチョウ科アカタテハ属のアカタテハは年に数回発生するのに対し、ヒオドシチョウは年1化、初夏に羽化し成虫発生したものが越冬します。

生活史において異なる両種が、同じ時期・同じ場所において一種は樹木、もう一方はその下に茂る草本で、世代交代を行い次世代は既に蛹化しているんですね。

ヒオドシチョウの成虫は今の季節見られなくなり、アカタテハの成虫は、春先よりずっと少なくなっています。
アカタテハ繁栄の理由は、各ステージを通じ摂餌順応性が幅広いこと、間違いなくそれが要因のひとつなのです。
ですから、幼虫食草はイラクサ科だけでは無く、大型タテハチョウ科が好むケヤキも食べます。そのタテハチョウ科のゴマダラチョウ幼虫が、以前エノキの葉を食草としていましたが、アカタテハ幼虫もエノキの葉を食べると思っていたんですが、樹上にいたタテハはヒオドシチョウだったんです。
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ところで、蛹の周りにどっさり付いている黒い物体の正体、これを知っている方は、凄いです。その方は多分、蝶の専門家さんなんでしょうね。
これは、無数のヒオドシチョウ幼虫の脱皮殻です。 EVISさんに教えていただいたヒオドシチョウ幼虫の特徴的生態のひとつが、このように群れを成すことだそうです。3齢幼虫までは吐出した糸で枝を覆い集団で営巣をします。

彼らは黒色毛虫様幼虫なんです。ですから、毛虫を絶対見たくない方はここでストップしてください。次の画像はヒオドシチョウの終齢幼虫の群れ私も以前は気持ち悪かったんですが、家内に徹底的に調教されて少し慣れて来ましたではヒオドシチョウ終齢幼虫群の画像です
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一応、遠慮して写しています。あんまりどっさりいるんで、さすがにゾイゾイしますから。よ~く観るとタテハチョウ族の幼虫の特徴は現しているんですが、実際に実物に遭遇すると引いてしまいます、家内には内緒ですが。家内は、触って良い幼虫とダメな幼虫の区別が出来き、タテハの幼虫は問題なく触ります(触っても毛が刺さることは無いんですが、頑丈な顎で噛まれる場合はあるみたい)。何れにしても私は気持ち的に整理がつかないので絶対触りません。

でもこれら終齢幼虫はじきに蛹化します。その前にはタテハチョウ科の特徴である垂蛹化するため、枝にぶら下がって前蛹になるんですね。それがこちら。
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こうやってくれると、やっと私もこの幼虫たちがチョウであることが実感できます。
一方アカタテハの幼虫なんですが、アカタテハは食草であるイラクサを丸めて中に隠れるんですよ。これが『アカタテハの巣』とも呼ばれる営巣法。
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この丸まった葉っぱ、白い葉裏が表側向いているので、よく目立ちます。これが 『アカタテハの巣』の巣なんですよ。食草となるイラクサ科の葉を丸め、合わせ目を吐出した糸で綴じ合わせているんです。
ここまで来ると中を覗いてみたいですよね、絶対
 それがこちら
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アカタテハの若齢幼虫
巣の中には、アカタテハの幼虫が一頭で暮らしています。
幼虫はこの食草で作った巣の中で、葉先から巣を食べながら成長していきます。
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アカタテハの終齢幼虫
そして半分ぐらい食べてしまうと巣を脱出していくんですが、その頃には天敵に襲われにくい体型に成長しているんですね。
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このように周りには天敵がいっぱいなんです。
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越冬成虫から世代交代した、これら次世代アカタテハは初夏前に羽化、人目に付く場所を一時離れ雑木林に入ってクヌギ等の樹液を吸います。再び人里に現れ、花や果実に止まるのは夏の終わりになってからなんですね。それらから世代交代した個体が晩秋羽化して、成虫で越冬に入るんです。

ヒオドシチョウも脱皮後は雑木林へ入り樹液を吸います。秋に人里で柿などの果実が過熟するまではずっと雑木林の中なんですね。

今日は営巣を行うタテハ幼虫の生態特徴を EVISさんに教えていただきました。有難うございました。明日からはもっと広い見識で、季節の移ろいが見て取れるようになった気がします。

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