土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

タグ:鶚

覚賀鳥
真冬の香南市吉川漁港。電柱に陣取り回りを見下ろす大型野鳥、皇帝を思わす風貌です。
ミサゴ (2)ミサゴ








鋭い眼光を放つ迫力ある顔つき、純白の衣にマントを纏い温かそうな襟巻。
遠くからでは種の同定が紛らわしいタカ目のなかで、飛翔状態でもかなり遠くから識別できるのがこの鳥。
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体長に比して翼が長く悠然と飛んでいるんです。ですから飛翔姿は、遠くからでは鷺のようにも見えます。

強い冬の季節風が吹き抜けてもこの通り。足場の良くない電柱の上でも、強靭で特殊な趾(あしゆび)でしっかりと留まることができます。ミサゴはフクロウ目と共に第4趾を前方にも後方にもできる可変対趾足なんです。
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私が近寄っても微動だにしません。視線の先は只一点、海面の小魚(ボラ)のみ。
ミサゴ












摂餌態勢に入っているんです。でもそのまま海中へ飛び込むのではなく一度浮上し、上空でフォバリング。狙いを定めた後に飛び込むのです。
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これだけ狙っても、私が見ている限り成功率は30%程度。
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上手く狩りに成功すると、一度上空まで舞い上がり狩った獲物に止めを刺す習性を持っています。

もし狩りに一度失敗しても、やがてボラは同じ場所に集まってくるので、その間じっと電柱の上で待っているんです。
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同じ場所では同じ方法でカワセミも狩りの真っ最中。
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高所で餌の検索、天敵の死角となる角度でフォバリング、狙いを定め着水というバターンです。

さて、この特徴ある猛禽類、和名を(ミサゴ)学名:  Pandion haliaetus  いにしえには覚賀鳥と呼ばれていました。
食性は肉食性で主に魚類を食べることから魚鷹うおたか)とも呼ばれます。日本では留鳥として広く分布する中、北日本では冬季に少なく、亜熱帯地域では夏に少ない傾向にあり、西日本では特に個体数が多く冬になると大河川の河口付近では普通に見られるタカ目。でも近年やや生息数が減少していようで準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)の指定を受けています。
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そのミサゴが今冬、高知県東部の海岸線では沢山いるんです。住宅近くの香宗川でも上空を飛んでいるのを見ない日が無いくらい、明らかに昨年より頻繁に目撃します。
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といってもだけ特別多い訳ではなく、カワセミも越冬燕(ツバメ)も今年はたくさんいます。魚類の他、貝類、爬虫類や鳥類といった小動物を狩ると言われているですが、私はが小鳥を狩っている姿を見た事がありません。ですから吉川漁港にたくさんいる小鳥たちも、を全く恐れてないのです。

ここでは、が他の小動物を狩る必要のないくらい餌資源(小魚)が豊富なんでしょうね。
は海辺の地域では一般的な野鳥ですが、逢う度心ときめくとっても素敵な野鳥です。よね時間を作っては会いにいっています。いつでも会えますから、そしていつも新しい発見をさせてくれるんです。

伝承鳥
鶚(ミサゴ)学名: Pandionは、奈良時代から覚賀鳥(かくかのとり)と呼ばれ、人々に親しまれてきたそうです。
ミサゴ 高知














はミサゴ科ミサゴ属、魚を狩り主食とします。風の強いある冬の日、香南市吉川漁港の上空を飛翔していました。
ミサゴミサゴ






吉川漁港のミサゴ。冬を代表する伝統和鳥で文学の季語にもなっています。
ミサゴミサゴ (2)






は全長約60cm。翼開張180cmに達します。
ミサゴ







雄雌ほぼ同じ色彩で、背中と翼の上面は黒褐色、腹部と翼の下面は白色で、顔も白く、眼から首にかけ太い黒褐色の帯があります。
ミサゴ (2)ミサゴ






後頭部に小さな冠羽、嘴は黒く、脚は青灰色と書いていますが、そこまではとても見えません、飛んでいますから。
ですから、ご紹介画像の殆どがミサゴの形態を分かりやすいように撮り直したものです。
冬になると、吉川漁港や隣の物部川河口ではミサゴが見られない日は殆どありません。
ミサゴ (3)













でも、飛んでいるといってもミサゴは、とてもゆったりと浮いているように飛び、時に素早く翼を羽ばたかせて空中に静止するフォバリング飛行を行うので、遠くから見ると洋凧が揚ってているみたいです。
ミサゴ (3)












このあたりに沢山いるタカ目タカ科のトビ)学名: Milvus migransは、全長は60cmを越えますが、翼開長は160cmまで。
トビトビ (2)
【トビ】

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【ノスリ】
ノスリは全長50–60cm翼開長100–140cmと鳶よりも小型です。
ですから飛んでいる時は、ミサゴが大きく見えます。
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ミサゴは日本では留鳥として全国に分布し、北日本では冬季に少なく、昔は西日本では冬普通に見られる鳥でしたが、近年数が減少し、絶滅危惧の一歩手前まできているんです。
ミサゴ (2)











物部川河口のミサゴ
このミサゴ、人間と深い関わりがあるそうですよ。
前述の通りミサゴは魚を捕るタカとして古来より知られ、『日本書紀』では覚賀鳥と記されているほか、他にも様々な古文書に登場します。
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南国市石土池のミサゴ 2013年11日撮影
ミサゴホバリングミサゴフォバリング








空中で制止(ホバリング)するミサゴ
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吉川漁港で魚(ボラ)を捕るミサゴ
それら複数の古書にミサゴは捕らえた魚を貯蔵し、悪天候が続き摂餌ができない際にそれを食すという習性が掲載され、貯蔵された魚が自然発酵することによりミサゴ鮨となると伝えられていると記されています。
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ミサゴが貯蔵し、発酵してうまみを増した魚を人間が食したのが寿司(熟れ鮨)の起源であると伝承されてるそうですよ。『広辞苑』にも「みさごすし」の項目がありますから、あながち冗談ではないみたいです。
ミサゴ












餌を貯蔵するなんて、百舌鳥(モズ)みたいですね。こちらは、魚ではなく両生類や爬虫類、しかも枝に突き刺して干していますから、モズ干物なんて・・・
(※そんなモズに関する伝承はありません。)
モズ (2)
香南市山北のモズ
(雄)

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