
▶授業は2部構成⇒①イ草と畳についての授業 ②igusa craft(イ草と水引を使用)を製作
対象は日本クラブの生徒たち。
※日本クラブとは…日本の伝統産業や文化などに親しみ日本について理解を深め学ぶクラブです。
全員が外国人。そのほとんどは中国からの留学生だそうです。みんな日本語OK♪
今、日本の畳の90%は中国産。水引の起源は中国。
ということで、今回の話も身近に感じて感じてもらえればと思っています。
生徒が多いのでigusa craft製作の際は先生のサポートが必須。
事前に5名の先生方にレクチャーさせていただきました。サポート体制万全


▶授業の様子



水引選びは大人も子供も男子も女子も「迷う~」「悩む~」

ちなみに中国のお正月は旧暦(春節)で盛大に行われ、組紐やランタンのようなものを飾るのが一般的だとか。
鶴や亀といった日本ではおめでたいとされる象徴も、彼らにはピンときていませんでした。
確かに。
水引の起源は中国だけれど、その後水引を様々な形に結び、色にも意味を持たせてきたのは日本独特の思考と情緒であることを強く実感。



各テーブルに先生が入ってくださりレクチャー。





生徒同士で教え合う姿も。

女子はそれぞれ可愛らしく美しいビジュアルの仕上がりに。




先生方がサポートしてくださったお陰で全員無事にigusa craftを完成。
終業式後は国に帰省されるので、持ち帰り飾ってくれるといいな。
今回このような機会を設けてくださった嵜本先生、そして当日サポートしてくださいました先生方に心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
さて、今回は「伝統」にフューチャーしてお話しさせていただきました。
じゃぱかるが「伝統」を通した事業になぜ取り組むのか。
彼らに伝えたかったことを以下書き留めます。
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*冒頭挨拶*略
じゃぱかるは日本の伝統産業や伝統文化を通して本質的に幸せな暮らしに心を向ける活動をしています。
【じゃぱかるとは】*下記資料
私達日本人はどんな未来を夢見ているのだろう。
私達日本人はどこに向かっているのだろう。
じゃぱかるはそこを深く考えずに今を歩み続けることの危険性を感じています。
人は誰もが幸せな人生を送りたいと願います。
けれど、今の社会で
すべての人々のその願いが叶うときが来るでしょうか。
具体的な未来を描くには
過去を検証しそこから学び
今をどう生きるのか自ら選択し決定せねばなりません。
過去の日本人は
暮らしと幸せに寄り添い
知恵と工夫を凝らし
優れた技術でそれを表現してきました。
伝統文化・伝統産業と言われるものがそうです。
その時を経て
現在の日本はそれらを捨て去ろうとしています。
じゃぱかるは
人の幸せは「考え」に基づいて育まれるものだと思っています。
じゃぱかるは
伝統産業や伝統文化を通し
「考えの種を撒く」事業に取り組みます。
《活動コンセプト》
-過去から学び 未来を創造し 今を生きる-
本当に幸せな暮らし、人生を、一人一人が真剣に考えて行動することができれば、今、世界が抱えているたくさんの問題、例えば戦争や貧困、差別、環境汚染などのほとんどは解決できると思っています。
けれどそうなっていないのは、そうではない考えと行動が多いからです。
そうでないと言うのは、自分さえ、自分の家族さえ、自分の町さえ、自分の国さえ良ければいいという自分本位で身勝手な考えと行動です。
もし一人一人が自分にとっての本当の幸せについて真剣に考えたなら、周りが不幸なのに自分だけの幸せなどありえないことに気づくでしょう。
必要以上にお金をたくさん持つこと、権力や地位を手にすることが本当の幸せではないことに気づくでしょう。
私は、今日のようにお話をする場をいただいた時には、聴いて下さる人が世の中の価値や基準に流されず、立ち止まって自分の幸せについて真剣に考えるきっかけになって欲しいなぁと思いながら話していますし、皆さんのように若い人たちが自分の幸せについて「考え抜く」ことは特に大切だと思っています。
日本の伝統と言われるものは、使う人のことや使う人の暮らしを考え、長い長い時間をかけ知恵と創意工夫が積み重ねられ表現されたものです。
そこには細部にわたって丁寧で美しい心のこもった仕事が見られます。
作り手が使う人のことを思いものづくりをし、使う人は丁寧に作られたものを使うことで心地よい暮らしを体感し、日本人独特の感性を生み出しました。
代表的なものとして「わびさび」と言われる世界観がそうですし、それ以外にも温厚で繊細、礼儀正しい、独特の美意識など世界に誇れるアイデンティティーを育んできました。
このように豊かな情緒は人を癒し、人を豊かにし、社会を調和に導きます。
つまり、伝統だから残すのではなく、伝統の持つ背景や意味を深く理解することで『より良い社会に繋がるのでは』と考え伝統産業に関する事業をしています。
*イ草の栽培について説明*略
美しさを求め毎年のように品種改良されてきた九州のイ草に対し、高知は粘土質の土壌と蒸し暑さを生かした栽培と、労力や手間のかかる自然乾燥をすることで丈夫さが最大の特徴であると言えます。
ただ、残念なことに「丈夫さ」というのは美しさと違い、目に見えるものでも、すぐにわかるものでもありません。
何年も何年も使い込んだのちにわかることです。
冒頭お話しましたように土佐のイ草農家はわずか2軒です。
そのうちの1軒は90歳になる初代のお父様から在来種の品種での栽培を続け息子(野村和仁氏)、孫へと後継者を育てられています。
今の日本で主流となっているイ草は、熊本県で何度何度も品種改良を重ねた、農家が育てやすく、見た目が青々として美しいものです。
ところが在来種は見た目の青さが今ひとつな上に、育て方も難しく収量も少ないので農家にとっては大変リスクが多い。
育て方が難しいということはそれだけ栽培の知識や経験、技術も必要ということです。
でも、野村さんがリスクを抱えても在来種にこだわるのは、初代が「畳は長く使えるものでなければいけない。畳の暮らしを良いと思ってもらえなければイ草は生き残っていけない」という信念をお持ちだったからです。
じゃぱかるはこの考え方を「野村イズム」と呼んでいます。
「野村イズム」はじゃぱかるの活動とリンクしています。
じゃぱかるの願いは「畳」が売れればいいという事ではなく、日本人のアイデンティティーと深く関わってきた畳文化とそれを支えてきたイ草農家の背景を多くの方に知ってもらい、その上で消費者が日本のイ草に価値を感じ、選び、納得して使うことで畳文化とイ草産業が残っていくことです。
そして、価値を感じることができるものは野村和仁さんのイ草だと思っています。
しかし実際は労力と手間のかかる優れたものづくをする人ほど、割に合わないという点から全うな評価をされずモノづくりを続けていくことが困難な状況です。
初代野村さんが歩んだ道のりは当時の世の中の流れと逆だったので言葉に尽くせないくらいご苦労だったことが想像できますし、今もその状況はあまり変わっていません。
信念を持って良いもの作りをしている人や物が社会で正しく評価されることが、よい社会に繋がっていくことは最初にお話ししたとおりです。
私は、皆さんがご自分の本当の幸せについて深く考え歩もうとしたときには、その考えと行動が叶う世の中であってほしい、そういう世の中にしたいと願いながら仕事をしています。
今日、こうして授業をさせていただく機会に恵まれましたが、最後に。
自分の幸せのためには誰かが幸せになる権利を邪魔してはいけないことも併せてお伝えしておきます。
では講義はこれで終わりとなります。
最後まで聞いていただいて有難うございました。
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じゃぱかるの活動の成果は「社会が良くなった」ことでしか感じられないし、社会において自分たちの必要性がなくなった時が事業の終着地点と言えます。
「果たして辿り着けるのだろうか」というジレンマや「事業として成り立ちにくい」という葛藤を抱えながら「考えの種」を撒く活動を続けています。
それは即効性も華やかさもないけれど、長い長い先を視た時、やるべきことはそれ以外にないと思うからです。
社会に不必要とされる日を目指すというのも何だか変な話ですが そうなのです。
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