次に、直ぐさま、巨大地震が起きるに違いない、とネットで、間違った心配が流布している南海トラフの地震に関して、「南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査部会」が、”確度高い予測は困難”という報告をまとめた、というニュースを、昨日、マスコミが一斉に報じました(文献1-3)。
地震に関しては、”地震研究者”によるおかしな”予測”ばかりがマスコミを賑わしてきました。初めて、当たり前過ぎる内容が、報じられました。当たり前過ぎることは、マスコミには大きな驚きだったようで、全てのマスコミが大きく取り上げました。
当たり前過ぎる内容が報告されたのは、普通の能力を持った研究者が集められたからなのでしょう。こういう人たちはまともです、と言うことを示すために、委員名簿を示します。
報告書(文献4)の結論は、当たり前過ぎますが、その結論に至る参考資料(文献5,6)は結構面白そうです。いつか、時間があれば、ご紹介することにします。
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(参考資料)
南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査部会
(委員名簿)
座長 山岡耕春 名古屋大学大学院環境学研究科・教授
副座長 橋本学 京都大学防災研究所・教授
井出哲 東京大学大学院理学系研究科・准教授
長尾年恭 東海大学海洋研究所地震予知研究センター長・教授
堀高峰
独立行政法人海洋研究開発機構地震津波・防災研究プロジェクトサブリーダー
松澤暢 東北大学大学院理学研究科・教授
(参考文献)
1)
南海トラフ「予知困難」 前兆否定 揺らぐ根幹
産経新聞 5月29日(水)7時55分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130529-00000090-san-soci
東海地震の直前予知を疑問視する見解が盛り込まれた。気象庁が検知を目指す前兆現象の科学的根拠を事実上否定する内容は、予知の根幹を揺るがすものだ。国は確実性を向上させるため新たな観測体制の検討に入るが、技術やコストなど課題は多い。法律施行から35年を迎える予知は、大きな曲がり角を迎えた。
2)
南海トラフ地震「確度高い予測困難」…調査部会
(2013年5月29日03時01分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130528-OYT1T01639.htm
南海トラフで起きる大地震について、作業部会の下に設置された調査部会(座長・山岡耕春名古屋大教授)は28日、「確度の高い予測は困難」とする報告書をまとめた。
同トラフで国が唯一、数日から数時間以内の発生の予測(予知)を前提として取り組んでいる東海地震の防災体制は、見直しを迫られる。
東海地震は想定震源域が陸寄りのため、地震の前に起きるとされる地殻変動を捉えやすいとして、気象庁が24時間態勢で観測している。その結果、東海地震発生の恐れがあると判断された場合、首相は「大規模地震対策特別措置法(大震法)」に基づき、警戒宣言を発令する。これを受け、住民の避難や交通規制などが行われる。
しかし、調査部会はその地殻変動について「確実な観測事例はない」と指摘。山岡教授は「地殻変動が観測される保証はないし、観測されても地震が起きるかどうか分からない」と話す。 また、同トラフで発生する地震には多様性があり、どの領域で発生するかについての予知も困難とし、「東海地震の発生が切迫している」という説にも疑問を投げかけた。
3)
南海トラフ地震「高確度の予測は困難」
NHK ニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130528/k10014904881000.html
地震学者の間では、巨大地震が発生する前に地盤がずれ動く前兆現象が起きることがあると考えられています。
国は、南海トラフで起きる地震のうち「東海地震」は前兆現象を捉えて唯一予知できる可能性があるとしていて、気象庁が地盤の変化を捉える観測機器で監視を続けています。
これについて政府の検討会は、南海トラフで起きる巨大地震で直前に地盤の変化が起きるという考え方で規模や発生時期を予測できるのか検討しました。
その結果、▽地盤の変化を捉えられないまま地震が発生することや、▽変化を捉えられたとしても地震が発生しないことがありうるとして、「現在の科学的知見から南海トラフで起きる地震の規模や発生時期を高い確度で予測することは一般的に困難である」という見解をまとめました。
4)
南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査部会(報告)http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/yosoku/pdf/20130528yosoku_houkoku1.pdf
5)
(報告 別冊)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/yosoku/pdf/20130528yosoku_houkoku2.pdf
6)
(報告 別冊 -参考資料-)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/yosoku/pdf/20130528yosoku_s00.pdf