(放射線の健康への影響を正しく理解するためのシリーズ)

 

放射線は大きなエネルギーを持っているので、特殊な障害を起こすのではないかと言う誤解があるかも知れません。中性子線、α線は別ですが、γ線、ベータ線(電子線)は、体内の活性酸素を増やす効果のみ、と言って良いです。

 

その理由は、直前のブログ記事「放射線にヒットされた細胞が損傷を受ける、という誤解」に書いた様に、原子の中の内殻電子が抜けた正孔は、周りにある電子で速やかに埋められるということと、分子の切断は、低エネルギーの電子や活性酸素によって起きるからです。

 

我々は、呼吸で肺から取り込んだ酸素で糖質を分解してエネルギー源にしていますが、この過程で活性酸素ができます。余った活性酸素は、毒性が高く、細胞を傷つけ、DNAも傷つけます。これが、発癌の第一段階です。一方、放射線で作られた大量の二次電子は、生体中の水をイオン化し、活性酸素を作りますが、細胞にとって、肺呼吸で作られる活性酸素と、放射線で作られる活性酸素の区別はありません。

 

実際に、放射線による遺伝子の変異と、通常起きている遺伝子の変異の形は同じであることが確認されています。

放医研に依ると、活性酸素によるDNA損傷の頻度は細胞一つあたり一日1E+6で、細胞の10個に1つは、二重鎖切断が生じると考えられている一方で、自然放射線では、1日に、細胞1万個に1つに放射線に由来した二重鎖切断が生じていると考えられているそうです。

これから、自然放射線が作る活性酸素の1,000倍もの余分の活性酸素が呼吸で作られている、ことが分かります。この文面から、多くの専門家も、放射線の効果は単に活性酸素を増やすだけと言うことを理解していないように思われます。