昨年9月6日の文献1で(当時、1ドル80円を切っていました)、適正レートは100120円だろうと書きました。


今年1月8日の文献2に対して、tamaking69さんから、浜矩子氏の「1ドル50円時代」(文献3、4)は遠退いたと思って良いのでしょうか、と質問がありました。


浜矩子氏は、1995年頃から執念深く「1ドル50円時代が来る」と言って来たらしい(文献5)ですが、201110月の77円弱をピークに円高は終わり、自民党政権になってから異常円高はどんどん是正され、2/5現在は、93円にまでなっています。浜矩子氏の主張する50円は、訪れることがないように思われます。


ーーーーー

為替レートは、購買力平価で決まる、という説(文献6)がありますが、必ずしも正しい、とは言えないように思われます。


過去40年間の、円・ドル為替と購買力平価(消費者、企業、輸出)の推移を見ると、ドル・円相場が購買力平価に近づくと言うよりは、購買力平価がドル・円相場に近づくように見えます。

円ドル・為替レートと購買力平価の推移


円・ドルレートは、日米の金利差で決まる、と言う説明もあります(文献7)が、後付けに過ぎない様に、思えます。


1985年のプラザ合意で円が急騰しましたが、その後は2007年まで20年弱にも亘って1ドル=120円程度でした。このような長期間に亘ってほぼ一定というのはかなりの重み、と考えます。

円ドル・為替レート推移


ーーーーーーー

(参考文献)

1)

20120906日 「ぐんぐん価格上昇する天然ガスーーー異常円高が是正された時に電気代の大幅上昇必至。製造業の衰退必至」

http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52078829.html


2)

20130108日「米国LNG関連ニュース5本ーーー天然ガスのニューヨーク市場は4ドル/MMBtu程度。シェールガスLNGの輸出を待ちわびる日本。最短2017年から」

http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52096649.html


3)

「どうしても来る1ドル50円時代」朝日新聞のwebronza の記事  2011.08.19: 浜矩子http://astand.asahi.com/magazine/wrbusiness/2011081900007.html?iref=webronza


4)2012年は1ドル=50円時代が到来する」

NEWSポストセブン201201041600

http://news.livedoor.com/article/detail/6166297/


2011年、EU(欧州連合)崩壊の危機、アメリカのデフォルト危機などで通貨問題は大きく揺れた。2012年、ドルの行方はどうなるのか。今、最も注目されているエコノミスト浜矩子氏が予測する。


筆者はドル高修正の流れはいよいよ最終局面を迎えると予測する。財政恐慌の危機はギリシャという周辺から始まり、次第にEUの中心へと向かっているが、最終的には本丸アメリカへと向かう。


振り返れば、ドルと金の交換停止を宣言した19718月の「ニクソン・ショック」により、事実上ドルは基軸通貨の地位から退位を余儀なくされ、19859月のプラザ合意によってドル安が世界の合意となった。こうしたドルの落日にとどめを刺したのが20089月のリーマン・ショックだった。


加えて近年、アメリカ自身が、ドルが基軸通貨たることを放棄し、ドル安を露骨に望んでいる。それを物語るのが、オバマ大統領が10年初めの一般教書演説の中で「向こう5年間で輸出を倍増させる」と宣言したことだ。


さらに2011年の一般教書演説では「今後、世界で誕生する雇用機会は全てアメリカで生まれ、新たに起こるイノベーションは全てアメリカで起こるものでなければならない」と発言した。あからさまに?アメリカ良ければ全て良し?と宣言したのである。


筆者はこれまで、ドル高修正の象徴として、いずれ「1ドル=50円時代」が到来すると予告してきたが、2012年にはその数字がいよいよ現実のものとなっていくだろう。1ドル70円を割れば一気に加速がつき、60円を割って50円へと向かう。その時、名実ともに、完全に、ドルは基軸通貨でなくなる。


EUもアメリカも破綻は避けられない。リーマン・ショックは金融恐慌を引き起こし、それを食い止めようとして財政が出動した。そのことで財政恐慌が起こり、それがまた金融恐慌をもたらすこうした金融恐慌と財政恐慌の無限ループが垣間見えたのが11年で、それが本格化するのが12年である。


ちなみに、日本が世界最大の債権国、アメリカが最大の債務国であるのに対し、ユーロ圏全体で見ると債務、債権はほぼバランスが取れている。とすれば、ユーロが今後も存続していると仮定して、円とドルの間にユーロが位置するのが適当であり、1ドル=50円時代における円の対ユーロレートは70円台ぐらいになっていくと思われる。


5)
浜矩子語録(168) 1ドル50円が怖くないワケ
20120823 | 浜矩子語録
http://blog.goo.ne.jp/n-mayuzumi/e/6d730b101419df9bef71f9d3c65af9c8
 

浜矩子が「ユーロ消滅」「1ドル50円」と言う語気を激しくするに及んで、日本のグローバル企業の多くが、ユーロ危機と円高の行く末に対して神頼みするかのごとき昨今である。

 

本日のテーマは2つございます。第一のテーマは『1ドル50円時代の到来!』、第二のテーマは『一国多通貨時代の到来?』ですけれども、1ドル50円時代は必ず参りますので語尾にエクスクラメーションマ-ク「!」を付けていただきます。 また、一国多通貨時代の到来は、それがあるかも知れないということで、クエッションマーク「?」を付けていただきます。

 

私は、1995年頃から執念深く「1ドル50円時代が来る」と言って参りました。この頃、私はロンドンに滞在しておりました。円相場は100円近くに落ち着いておりましたけれども、円が150円に戻るか50円に進むか議論する機会がありまして、私は50円に進むと予測したわけでございます。50円になるということには理由がございます。

 

第一はバランス要因ということでございます。 ドルの足が長いことを良いことに、どんどん米国にカネが流れて行ってしまう。 そこで金融が暴走したことがリーマンショックの原因にもなったわけでございますけれども、そのドルに対する過大評価の修正をしなければならないというバランス要因でございます。

 

第二は歴史要因でございます。実をいえば1971年8月15日に1ドル50円になっても不思議ではありませんでした。この日は(第二の)ニクソン・ショックの日でございます。リチャード・ニクソン米大統領(当時)が「固定比率でのドル紙幣と金の交換を停止する」と発表した日、ドルと金の交換が止まった日でございます。

 

この日すでに、ドルは通貨の王様ではなくなったわけでございまして、以後、段階的に少しずつ、しかもペースを速めて力を落としていったのでございます。


「他の条件は何も変わらずに50円になる」「明日の朝50円になっている」と考えている人もいらっしゃいますけれども、そういう可能性は極めて低いわけでございまして、日本やアメリカの経済体質が変わらないでそういうことが一気に起こるわけではないのです。 前兆として日本の貿易決済がドル建てでなく円建てになっていく。50円という段階では圧倒的に円建てになって参りますから、そのとき日本では円は使われていない状況になるわけです。

6)
古典派理論(4)購買力平価説http://www.findai.com/yogo/0201.htm

7)投資コラム 経済状況 野田聖二氏 第8回 為替相場の見通し

http://www.my-adviser.jp/new_contents/column2010/s_noda_c201008.html

このところの円ドルレートは米国の長期金利とほぼ同じ方向に動く傾向がみられます。4月初めに一時4をつけた米10年国債利回りは低下に転じ、6月末には3%割れの水準まで低下しました。この間に為替は4月初めの1ドル=94円台から足元の86台まで円高が進んでいます。