大騒動になっているSTAP細胞の発見者小保方晴子さんが、精神的にかなり参っている様です(文献1,2)。

理研幹部の発言を読むと、理研はいま、彼女を切り捨てて組織を防衛することに必死です。

最も重要な共著者と言える、若山照彦山梨大教授が、ぶ、がないと見るや、いち早く撤回を表明して、自らに降りかかる火の粉を払いのけたのは、世渡り上手の、卑怯千万です。

今、小保方さんの味方は、米国留学先の指導教官だったCharles A. Vacanti教授だけの様です。

自分を守って呉れると信じて来た人たちが次々に敵にまわって自分を攻撃する状況に絶望して、自らの命を落とさないことを祈ります。

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「(STAP細胞作製の)根幹は揺るがない」としていたが、この日は「調査前の楽観的な見方だった」(川合理事)と、川合真紀さんが発言されたらしいですが、こんなことで言い訳になっていると思うのが、研究者、と、笑ってしまいます。

「似たようなことが起こっているのであれば、時代のなせる業、カルチャーが変わったなと非常に心配している」と、野依理事長は険しい表情で述べた、とのことですが、日本の科学政策に影響を持たれている方が、任期付き研究者を大幅に増やしていることの深刻さをご理解いただいていないらしいこと、そちらの方こそが、心配です。

「現在、マスコミに流れている博士論文は審査に合格したものではなく下書き段階のものが製本され残ってしまっている」と小保方さんがメールで回答した件に関して、会見で小保方氏の独断を知った川合真紀理事(研究担当)は「発言の自由を妨げることはできないが、調査中ということもあり、今はお答えしないでいただきたい」と不快感を表明。ということから、小保方さんはかん口令を敷かれている様です。これでは、束縛を死ぬほどに嫌う性格の人がなる研究者は、気が狂うでしょう。

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並みの研究者は、研究する能力しかありません。ノーベル賞受賞者で学長になったのは朝永信一郎さんの東京教育大学長、福井謙一さんの京都工繊大学長、江崎玲於奈さんの筑波大学長、3人くらいでしょうか。いずれも、旧7帝大や早慶などの巨大私立大ではありません。常勤職員3000人もの巨大研究所の理事長になったのは野依さんだけ。政治力がなければ、権力者にはなれません。理事になった川合さんなど権力闘争を勝ち抜いた研究所上層部と違い、普通の研究者は、精神的には極めて弱いです。


研究所幹部による無神経な高圧的「調査」で、同僚研究者2名を自殺で失った経験から、小保方さんには、是非とも、自殺することがないように願います。


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研究とは、誰もが想像しないことを、誰もが否定することを、きっとあるに違いない、起きるに違いない、と信じて始めるものです。その信念、信仰は、日の目を見ないままに、一生涯続くこともあります。


ですから、僅かな兆候が見えても、やった!と大喜びします。


Stap細胞のような世紀の大発見でなくても、研究者は常に、ある現象を説明する、自分独自の仮説を立て、それを検証する実験を行い、仮説が立証されると大きな喜びを感じます。


以前のブログ記事(文献4)に書きましたが、私は、ある実験結果から、それを説明する仮説を立て、しかし仮説で導かれる現象が再現できず、という生活を送っています。研究者ならだれも似たりよったり、でしょう。


混沌の中に、法則(真実)を見出すのが科学者の仕事で、その能力は、経験で見に付けられるものもありますが、最も大事なものは先天的なものだろう、と考えています。

発見能力は先天的な要素が大きいと思いますが、検証能力は、後天的なものでしょう。長年の経験を積まないと、やった!でとどまってしまい、自分を疑うことは難しいと思います。

小保方さんの場合、2011年に博士課程を卒業してわずか2年半。自分の発見を検証する能力が劣っていたとしても仕方がありません。


wikipediaによれば、博士課程で2008年に米国に留学し、20098月にはstapの論文をNatureに投稿したということですから、研究の最も重要な部分は留学先で完成されていたもので、彼女は単に実験をしただけ、とも言えるかも知れません。また、3/11震災のために米国の就労ビザがいつ得られるか分からない不安で、理研に就職したとのことですから、Stapへの思い入れは強く、やった!の気持ちは、物凄く大きかったでしょう。発見の重要さからは、イントロの文章や画像やなどは、どうでもよいことだったでしょう。


経験のない彼女を支えるべきは、周りでなければなりません。組織でなければなりません。


彼女を理研の発生・再生科学総合研究センターに呼んだ若山照彦(46)現山梨大教授、外部の資金も含め約40億円を超える予算を使って、多数の研究チームを抱える同センターの笹井芳樹副センター長(51)や、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った世界初の臨床研究を進める高橋政代(52)プロジェクトリーダーらが、僅か30歳の研究者を支えねばなりません。


問題になっている論文は

Nature (Article) 505, 641647, 2014

Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency

Haruko Obokata, TeruhikoWakayama, Yoshiki Sasai, Koji Kojima, Martin P. Vacanti, Hitoshi Niwa, Masayuki Yamato & Charles A. Vacanti


Nature (Letter) 505, 676680, 2014

Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency

Haruko Obokata, Yoshiki Sasai, Hitoshi Niwa, Mitsutaka Kadota, Munazah Andrabi, Nozomu Takata, Mikiko Tokoro, Yukari Terashita, Shigenobu Yonemura, Charles A. Vacanti & Teruhiko Wakayama


で、articleは8人、Letter11人の共著です。名前を連ねるとは、すべてに関して、筆頭著者と同じ責任を負うということです。研究の本質に貢献できない共著らは、文章のチェックくらい、すべきです。発表後一月もせずに部外者ができるくらいの画像チェックくらいすべきだったでしょう。


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(参考文献)


1)

STAP論文:「切り張りダメとは…」小保方さん謝罪

毎日新聞 20140315日 0820分(最終更新 0315日 1245分)

http://mainichi.jp/select/news/20140315k0000m040154000c.html


 やってはいけないという認識がなかった−−。英科学誌ネイチャー誌に「STAP細胞」の作製成功を発表した小保方(おぼかた)晴子さん(30)らの論文で、改ざんとの認定にいたったDNA画像の切り張りについて、理化学研究所の調査委員会にそう答えていた。「学問の世界でやってはならない」という行為を疑問視していなかった姿勢に、理研幹部は「あるべきことでないことが起こった」と漏らした。


 DNA画像の切り張りについて、小保方さんは「やってはいけないという認識がなかった」と話したといい、調査委の石井俊輔委員長は「抵抗がなかったのか倫理観を学ぶ機会がなかったのか。コメントするのは適切ではない」と語った。


 理研によると、今月上旬に論文撤回を提案されると、うなずきながら小声で「はい」と答え、精神的10+件にも疲れ反省しているという。理研は調査終了時に小保方さんらに弁明の機会を設ける方針。


 「似たようなことが起こっているのであれば、時代のなせる業、カルチャーが変わったなと非常に心配している」。ノーベル賞受賞者として研究の厳しさを知る野依理事長は険しい表情で述べた。


2)

疑惑の小保方氏「24時間監視下」に
東スポ web 20140316 09

http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/245124/


理化学研究所の野依良治理事長(75)らが14日、都内で記者会見し、小保方晴子研究ユニットリーダー(30)については「未熟な研究者のデータの取り扱いが極めてずさんだった」と断罪。


小保方氏は精神的にかなり参っており、「万が一(自傷行為等)が起こらないように理研の関係者が常に小保方氏を見張っています」と、事情を知る関係者は話している。


 竹市雅俊同センター長が「本人が研究を続ける精神状態になく、研究室に来ないので停止状態になっている」と話す通り、厳しい状況にある。


 理研の事情を知る関係者は「理研の人間が小保方氏に常時、張り付いています。逃亡や証拠隠滅を防ぐためでもありますが、今、小保方氏は精神的にかなり不安定になっている。万が一がないように監視しているということです」と、理研が“見張り役”をつける特別対応を取っていることを本紙に明かした。


  これまで調査委は小保方氏に3回のヒアリング(聞き取り調査)を行っている。2月20日に調査委の石井俊輔委員長が直接会い、同28日、3月1日はテレビ会議で聞き取り。石井氏は「1回目は非常にクールな対応で的確だった。2回目も緊張しながらも冷静だった。そのときにたくさんの資料提供を求めたこともあり、3回目はお疲れというか、ヒアリングの内容が伝わりづらかった」と振り返る。


聞き取りに対する小保方氏の返答も驚くべきものだった。継続調査となった論文データを切り貼りしている疑惑について、小保方氏は「やってはいけないとの認識がなかった」と、研究者として倫理観が欠如していることを告白。他人の論文を盗用した疑惑については「自分で書いたが、どこから取ってきたか覚えてない」と記憶すらはっきりしないという。


 数々の疑惑が持ち上がったため、竹市氏から論文の撤回を提案されると、小保方氏は「相当、心身を消耗した状態で、うなずく感じだった」(竹市氏)とかなり参っていたともいう。


 精神状態の不安定さを示すように14日、米紙「ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)」に対し、小保方氏は理研に許可を取らずにメールを送っていたことも判明。WSJによると、小保方氏は早稲田大学に提出した博士論文の無断引用疑惑について「現在、マスコミに流れている博士論文は審査に合格したものではなく下書き段階のものが製本され残ってしまっている」とメールで回答したという。


 会見で小保方氏の独断を知った川合真紀理事(研究担当)は「発言の自由を妨げることはできないが、調査中ということもあり、今はお答えしないでいただきたい」と不快感を表明。理研が入手している博士論文は「早稲田から直接入手しているので正本です。調査委員会も正本でやっています」(同理事)と、下書きという主張に首をかしげた。

 これまで理研は「(STAP細胞作製の)根幹は揺るがない」としていたが、この日は「調査前の楽観的な見方だった」(川合理事)と打ち消した。



3)
小保方さん、理研入り転機は震災 STAP細胞作製

神戸新聞 NEXT 2014/1/31 07:40

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201401/0006674818.shtml


4)

2013070420:00 「仮説はいつも打ち砕かれる、研究の日々ーーー「フェルミ準位のピン止め」をEUPSで見る試みで泥沼に」

http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52117120.html