糖尿病に絡むいろいろな論文を読んでいます。理解できた範囲でご紹介します。

今回は、脂肪細胞が作る、レプチンと言うペプチド(アミノ酸がつながった物質)ホルモンがインスリンの効き(抵抗性)を制御している、ことを明らかにした論文を紹介します。東京医科歯科大と京大医学研究科の小川氏と中尾氏の
2003年の論文です(文献1)

 

脂肪細胞は、エネルギー源としての脂肪を蓄えるだけでなく、生体における最大の内分泌臓器だそうです。

脂肪細胞から分泌されるホルモンの一つであるレプチン(Leptin)は、Leptin脳の視床下部に直接作用し、満腹感を作り出し摂食抑制作用があるそうです。また、交感神経を亢進し、エネルギー消費を亢進する様です。これにより、肥満を抑制する様です。

 

レプチンは視床下部に作用

小川&中尾氏らは、以上のレプチンの働きを、マウスを使った実験で確認しました。

一つが、脂肪萎縮して脂肪細胞のないマウス(A-ZIP/F-1)。もう一つが、肝臓でレプチンを作るマウスと脂肪萎縮マウスを交配させて作った、脂肪がないが肝臓でレプチンを作るマウス(LepTg/A-ZIPTg)。

 

レプチンがインスリン感受性を改善

脂肪萎縮マウスでは、インスリン感受性(効率)が低く糖尿病でしたが、レプチンが分泌されていませんでした。

LepTg/A-ZIPTgは脂肪組織はありませんでしたが、レプチンが肝臓から分泌されるので、インスリン感受性は正常でした。

このことから、レプチンがインスリン感受性に重要であることが明らかになりました。

肥満マウス(ab/ab)では、脂肪はたっぷりあるのに、レプチンは少なく、インスリン感受性は低かったです。脂肪が多くなりすぎると、レプチンの分泌が抑制されることが分かります。

脂肪萎縮マウスに、レプチンを少々投与してもインスリン感受性は不良でしたが、大量に投与すると改善しました。

脂肪萎縮マウスに、脂肪組織を移植すると、インスリン感受性が改善しました。


この論文から、レプチンなどの重要なホルモンを分泌するので、脂肪はとても重要であり、脂肪を減らし過ぎてはいけないこと。一方で、脂肪が増えすぎると、レプチンの分泌が抑えられるなど悪いことが起きる様であること、が分かります。

 

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(参考文献)

 

1)

小川佳宏, 中尾一和

特集 脂肪細胞とインスリン抵抗性 レプチン (Leptin)

糖尿病 46 (2003) 9 p. 730-732

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo1958/46/9/46_9_730/_pdf/-char/ja