toshi_tomieのブログ

一般科学に関する独り言

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    カテゴリ: 経済

    円高が進み、昨日19時半に、1ドル100円台前半まで進みました。

    100円前半


    先月23日に行われた、英国のEU離脱の是非を問う国民投票で、得票率約52%で離脱支持派が勝利し、英国の経済衰退を予想し、ポンドが暴落しています。

    24日0時の1.4882ドル/ポンドから10時には、1.3681ドルに8%急落しました。7月6日には1.29ドルで、13%の下落です。対ユーロでも、24日0時の0.765ユーロ/ポンドから、7月6日の0.858ユーロまで、12%の下落です。


    ドル対ポンド


    不思議なのは、対円です。24日0時の157.68/ポンドから、7月6日には130.63円になっていて、17%も下落しています。

    世界の経済に不透明感が発生した時、より安全な通貨に逃避するのは、自然な行動です。しかし、ドルに対して円が高くなる経済的理由はありません。米ドルから日本円に逃げる、合理性がありません。米国より日本の経済が安泰、であるとは決して言えません。日本政府になんらかの行為をさせてひと儲けしようと投機筋が行動している、としか考えられません。

    年明けからの円高は、異常です。為替は、貿易に大きく影響する重要な相場です。投機の対象にすべきではありません。利益のみを追求する投機筋に、大損害というお仕置きが下る様、祈ります。

    1ドルが110円台に回復しました(文献1)。

     

    105円割れを予想するアナリストも多くいる(文献2)様ですが、私は120円が歴史的相場と指摘しており(文献3)、近いうちに120円に回復すると思います。

     

    4/11108円を割ったので、4/14に“しばらくすれば、120円に戻るに違いない、と考えます”と書きました(文献4)。その後順調に回復し111円台になりました。ところが4/28に急落し、4/29には106円台前半にまで円高が進んだ、と言う経緯があります。今後4/28の様なことが絶対にない、とは言えませんし、紆余曲折はあると思いますが、以下のことから、おそらく順調に120円に向かっていくことでしょう。

     

    年明け以降は円高ですが、

     

    ドルと円の関係だけを見ると、ドルが安くなっているのか、円が高くなっているのか、分かりません。つまり、円高が、アメリカが原因なのか、日本が原因なのか、分かりません。

     

    そこで、ドルの対ユーロ、対元、対ポンドの為替レートの推移を図示します(図5)。

     

    円ユーロードル推移
    元ポンドードル推移

    ドルは、対ユーロでは、この一年、変化がありません。対元では昨年の今頃と比べると5%のドル高です。対ポンドでは、昨年の夏に比べると10%のドル高です。

    つまり、主要通貨と比べるとドル高です。そのドルに対して円高(ドル安)ですから、円高、は異常です。日本が好景気、と言う実感はないので、正常な経済状態を反映した正常な相場ではない、と言って良いでしょう。近いうちに120円に戻るに違いありません。

     

    今、中国に住んでいるので、元の為替レートの変動も気になります。

    ドル/元の長期の推移も示します。

    ドル元 長期
     

    昨年8月に5%程度の対米ドルの切り下げが行われましたが、これは、人民元のSDR入りを可能にするために行われた、との解説(文献6)があります。今後、大きな変動はないように思われます。

     

    ―――――

    (文献)

     

    1)

    NY円、反落 1ドル=1101020銭、米利上げ観測 一時110円台半ば

    日本経済新聞       2016/5/21 6:31

    http://www.nikkei.com/article/DGXLASM7IAA05_R20C16A5000000/

     

    2)

    円予測精度首位のジュリアス、ドル105円割れ想定-介入効果に疑問符

    ブルームバーグ       201648 15:27 JST

    https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-08/O5AW3L6JIJUU01

     

    3)

    20141206日 「円安加速、7年4か月ぶりに1ドル=121円台後半。食品値上げ、家計圧迫 輸入牛肉3割高ーーー歴史的に適正な相場。今後大きな変動はないだろう」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52181527.html

     

    4)

    4/11日に一時1ドル107円台にーー歴史的相場は120

    toshi_tomieのブログ 20160414

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52252202.html

     

    5)

    Investing.com 各国通貨レート

    http://jp.investing.com/currencies/usd-jpy

     

    6)

    露口洋介 【16-04】人民元実効為替レートの安定

    Sciecne Potal China 2016 413

    http://www.spc.jst.go.jp/experiences/tsuyuguchi/tsuyuguchi_1604.html

    数日前4/1115時に1ドルが107円台になりました(文献1)。

    私は、1ドル80円の時、リーマンショック後の円高が異常であり、1ドル120円が、歴史的な相場であると主張し(文献2)、今後は、+/-10円の変動しかないだろう、と予測しました(文献3)。120円から10円以上下がってしまったのは、予測を越えてしまいました。しかし、しばらくすれば、120円に戻るに違いない、と考えます。

    下図に見るように、今年2月に入ってから急激に円高になっています(文献4)。その次の図に見るように、4年前の70円台からの推移だけ見ると、この2-3年間が異常な円安であり、100円以下に向かって進む、と考える人が多いことでしょう。

    直近のドル円相場


    過去7年ドル円相場


       

      しかし、文献2で示したように、より長期的に見ると、1985年のプラザ合意で円が急騰しましたが、その後は2007年まで20年にも亘って1ドル=120円程度でした。


    調長期ドル円相場


    このような長期間に亘ってほぼ一定というのはかなりの重みです。歴史的な適正レートは120円、と考えます。
     

    今回の円高から、変動幅を10円より一寸広げる必要がありますが、120円を中心に変動する、と言う状況は変わらないと考えます。  


    ーーーーーーー

    (参考文献)


    1)

    東京市場でも107円台=15カ月ぶり、株201円安

    時事通信 2016411()929分配信

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160411-00000019-jij-bus_all

    2)

    20120906日 「ぐんぐん価格上昇する天然ガスーーー異常円高が是正された時に電気代の大幅上昇必至。製造業の衰退必至」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52078829.html

    3)

    20141206日 「円安加速、7年4か月ぶりに1ドル=121円台後半。食品値上げ、家計圧迫 輸入牛肉3割高ーーー歴史的に適正な相場。今後大きな変動はないだろう」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52181527.html

    4)

    YAHOO ファイナンス 米ドル/

    http://info.finance.yahoo.co.jp/fx/detail/?code=USDJPY=FX

    円安が加速し、1ドル=121円台後半にまで下落しました。これは、7年4か月ぶりです。(文献1)

    輸入品が大半の食品は値上げが予想され、家計の圧迫が予想されます。総務省の小売物価統計によると、11月中旬の輸入牛肉価格(東京都区部)は100グラム253円。2年前の2012年11月から約3割上昇した。サケやレモンも3割程度値上がりし、秋以降は輸入品が店頭に並ぶカボチャは4割超上昇した。そうです。(文献2)

    どこまで円安が進むかについて、専門家は125円まで進むだろう、と予想しています。(文献3)

    ただし、一ドル50円時代が絶対に来ると断言した女史がもてはやされた(文献4)ように、いわゆる専門家は、尤もらしい理由を見つけて、しかし当たり障りのない、現状の前後の値を言うだけ、と言う偏見を私は持っています。

    本ブログでは、1ドル90円時代から、下図を示して、120円程度が、歴史的な相場、と指摘しています(文献5、6)。

    円ドル・為替レート推移


    当時とは、製造業がかなり衰退しているなど、日本の産業構造が変わってはいますが、上図を見ると、今後10-20年は、120円を中心に、人々の一喜一憂で+/_10円の範囲の変動幅で、推移するのではないでしょうか。

    アベノミクスのおかげで円安になった、との誤解がありますが、リーマンショック後の自民党政府の無策により(民主党政府はその影響を受けただけ)、異常な円高になったいたのが、単に適正水準に戻っただけ、と考えるべきでしょう。安倍政権が、製造業の復活に対して、国民の安心の基盤である年金制度に対して、適切な政策をとっているとは思えません。

    消費税を10%にあげる、と言う政策を決めたのは、民主党政権であり、安倍政権は、選挙で勝つために、法律で書かれた、8%から10%への増税を見送りました。無能政府、と言えるでしょう。

    20年以上の長期の為替相場は、日本政府の政策で決まると考えます。


    ーーーーー
    (参考文献)

    1)

    円安加速:NYは1ドル=121円台後半まで下落

    毎日新聞 20141205日 2324分(最終更新 1206日 0043分)

    http://mainichi.jp/select/news/20141206k0000m020139000c.html

    2)

    <円安120円台>食品値上げ、家計圧迫 輸入牛肉3割高

    毎日新聞 125()2135分配信

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141205-00000117-mai-brf

    3)

    円安:市場は125円予想 アベノミクス継続見通しで

    毎日新聞 20141205日 2154分(最終更新 1206日 0217分)

    http://mainichi.jp/select/news/20141206k0000m020128000c.html

    4)

    「どうしても来る1ドル50円時代」朝日新聞のwebronza の記事 2011.08.19: 浜矩子

    http://astand.asahi.com/magazine/wrbusiness/2011081900007.html?iref=webronza

    5)

    2013020607:00「円ドルレートの適正レベルは100~120円だろうーー「どうしても1ドル50円時代が来る」の浜矩子氏の主張通りになる日が来るか?購買力平価説は正しいか?」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52100125.html

    6)
    2014
    091908:00 6年ぶりの円安1ドル109円弱。歴史的には120円前後が適正ーーー円高にも円安にも平和にも文句を言うおかしな国民。燃料費高騰、製造業疲弊の前で、原発やめろの声がいつまで続く?」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52170415.html

    1ドルが10887銭の6年ぶりの円安になったそうです。

    円安で景気が悪くなるのではないか?とマスコミは心配している(文献1)様ですが、製造業が衰退したのは異常な円高だから、円安にしろ、と経済界は政府に迫りました。安倍政権になって、あれほど強く望んだ円安が実現されているのに、なぜ、文句を言うのでしょう。

    とても素晴らしいことでしかない平和であることに、平和ボケ、と文句を言ったり、日本人は、どんなに良いことにでも文句を言う、おかしな国民です。


    一ドル50円時代が絶対に来ると断言した女史(文献2)は未だに活躍されている様です。1ドル100円などあり得ない、経済の教科書を勉強しろ、とのたまった読者氏もおられました。生意気にも経済学は学問ではないと思っていて経済学の勉強をしない私の言うことですから、当てにならないですが、文献3の図を再掲するように、歴史的データから(文献4)は、1ドル120円程度が、適正レベルだろう、と考えます。

    円ドル・為替レート推移


    ですから、あと10円、円安が進めば、円安は止まるでしょう。歴史的には。ただし、製造業が大きく衰退しているので、円安はもっと進むかも知れません。


    ーーーー

    反原発だった私は、3/11の巨大地震での福島第一原発の事故の被害の小ささに驚き、こんなにも安全なものだったかと感動し、反原発を止めました。ただし、決して右翼になったわけではありません。真理を見出し人々に伝道する科学者でありたい自分、の、大いなる勉強不足を恥じたのです。


    一方、原発推進が圧倒的多数派だった世の中は、派遣職員を増やし、郵政を壊し、社会のあるべき姿など持たない持つ気はさらさらない、機を見るに敏、の能力しかない、原発推進の中核にいた小泉純一郎氏が原発ゼロを訴えるなど、反原発派が多数派になっています。私と、世の中は、正反対の、転向です。面白いものです。


    今多数派である反原発派ですが、燃料費の高騰に抗って、いつまで、主張を続けられるでしょうか?


    ーーーー

    (参考文献)

    1)

    急激な円安で物価上昇、景気に影響か…警戒感も

    読売新聞 918()2136分配信

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140918-00050176-yom-bus_all

     この1か月で円は1ドル当たり約6円も安くなった。急激な円安が輸入品の値上がりを通じて国内の物価をさらに上昇させ、景気に悪影響を与えるのではないかとの警戒感も出ている。

     円安になると、自動車や電機など輸出企業は輸出先での販売価格が下がり、モノが売れやすくなる利点がある。輸出企業の業績が改善するとの期待から18日の日経平均株価(225種)の終値は、前日比178円90銭高の1万6067円57銭と、約8か月ぶりに1万6000円台を回復した。

     ただ、円安が進むと、原油や天然ガス、食料品など輸入品の値段が上昇し、家計の負担が増す恐れがある。


    2)

    「どうしても来る1ドル50円時代」朝日新聞のwebronza の記事  2011.08.19: 浜矩子

    http://astand.asahi.com/magazine/wrbusiness/2011081900007.html?iref=webronza


    3)

    2013020607:00「円ドルレートの適正レベルは100~120円だろうーー「どうしても1ドル50円時代が来る」の浜矩子氏の主張通りになる日が来るか?購買力平価説は正しいか?」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52100125.html


    4)

    20120906日 「ぐんぐん価格上昇する天然ガスーーー異常円高が是正された時に電気代の大幅上昇必至。製造業の衰退必至」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52078829.html

    20096月にトヨタの社長に就任した豊田章男氏が、20143月期の決算会見で、「一番うれしいのは納税できること」「社長になってから国内では税金を払っていなかった。企業は税金を払って社会貢献するのが存続の一番の使命」と語り、「納税できる会社として、スタートラインに立てたことが素直にうれしい」と話した。そうです(文献1)。

    如何にして税金を払わないようにしようとしか考えない経営者が多い中で、「税金を払うことが、企業の一番の使命」と考える経営者がいることは、救い、です。


    トヨタ自動車グループの世界販売台数が世界で初めて年間1000万台を突破し、売上高は前期比16.4%増の256919億円、営業利益は6年ぶりに過去最高を更新して、73.5%増の22921億円。税引き前当期純利益は73.9%増の24410億円の好決算だった。そうです。


    ーーーー

    税金を払わない赤字法人が7割超であることはブログで報告しています(文献2の図を再掲)が、トヨタが5年間も法人税を払っていなかったとは、知りませんでした。

    欠損法人の割合


    誤解のない様に補足しておきます。

    企業は、法人税とともに法人3税と呼ばれる、法人住民税、法人事業税、とさらに、特別法人税も支払います。この4つを合計した税率が「実効税率」と呼ばれます。

    そして、地方税である法人事業税は、平成16年度から、資本金1億円以上の企業は、外形標準課税になっています(文献3)。付加価値(=収益配分額 + 単年度損益)への課税が0.48%、資本(上限が1兆円の資本金の金額 + (連結個別)資本積立金)への課税が0.2%、所得に対する課税が2.9%です。

    赤字でも、資本金が大きい、そして、従業員への給与総額が大きいトヨタは、大きな額の法人事業税を払っていた筈です。税金がゼロであったわけではありません。

    ーーーー
    ただ、7割超もの企業が国税(法人税)を払っていないのは、良い状態ではありません。存在することで、国から、いろいろな恩恵を受けているので、何らかの負担をするのは当然でしょう。


    今、法人税減税が議論されていますが、その財源として、法人税(国税)にも、赤字企業も一定の税金を払う、外形標準課税を導入することが、自民党の税制調査会で議論されている様です(文献4)。


    ーーーー

    (参考文献)

    1)

    世界一トヨタ、5年間法人税を払っていなかった! どんなカラクリがあるのか、と怒りの声 

    J-CASTニュース 527()1358分配信

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140527-00000002-jct-soci&p=1

    2)

    2012092507:00 「法人税がH元年から長期減収。法人税率引き下げは、企業の国内引き留めに効果がなかったーーそもそも、税金を払わない赤字法人が7割超に」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52081709.html

    3)

    事業税

    Wikipedia

    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E7%A8%8E

    4)

    自民税調、外形標準課税を検討 法人減税の代替財源

    2014/5/27 2:00 情報元 日本経済新聞

    http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2602H_W4A520C1EE8000/

    NHKの時論公論で解説(文献1)されている様に、ウクライナの政変は、第二次世界大戦中にソビエトに武力で併合されて極めて強い反ロシア感情を持っている、西部ウクライナのウクライナ民族主義者が主体となり、多数の流血の犠牲の上に政権を打倒した、「革命」です。暫定政府の名簿は、民族主義者たちの同意を得て作成され、すでに自らの手に武器を持ち、治安機関の枢要なポストも押さえているとのことです。


    歴史的に、西部の民族主義には否定的な感情を強く持っているクリミアや東部のロシア系住民は、暫定政権がロシア語を準公用語化した言語法を廃止したので、東部やクリミアでも革命の継続を唱えるのではないか、自分たちは二流市民として扱われるのではないかと恐れ、反発を強めている、とのことです。そこで、クリミア自治共和国政府が、ロシアに保護を求め、東部でも、中心都市のハリコフ、ドネツクなどで、ロシア系住民が大規模なデモを行い、行政府を占拠してロシア国旗を掲げました。


    3/15~/16に行われた全ロシア世論調査で、プーチン大統領の支持率は76%だったそうです(文献2)。ソチオリンピックで高まった支持率が2月中旬で62%だった(文献3)ことから、クリミアのロシアへの併合が大きく寄与しています。今、ロシア国民は、大きく高揚している様です。


    日本、韓国、中国においても同一の現象が起きていますが、ナショナリズムを煽ることが政治家にとっていかに有用であるかが分かります。


    しかし、ロシアにとって本当に得策なのか、大いに疑問があるようです。クリミアのロシア系住民にとっては、おそらく確実に、良い選択だったろうと思いますが、ロシア国民の真の幸福を考えると、大失政かもしれません。


    ウクライナの暫定政権によれば対外債務は1400億ドル、14兆円にのぼり、それに対して外貨準備高は1/10しかなく、経済破たんすれば、ウクライナ経済に深く入り込んでいるロシアもヨーロッパも大きな影響を受けるので、国際協力しかないでしょう(文献1)。ロシアは、軍事的にウクライナ全土を支配下に置くことは可能でしょうが、経済的には不可能でしょう。

    ソ連は、1960年代から米国に対抗した高い経済成長を維持するため、無理な原油増産を続け、さすがの豊かな油田も1980年に至って枯渇を始め、原油でしか支えられなかった経済が崩れ、その経済によってのみ維持してきた政治体制が崩壊した、と言うのが、ベルリンの壁崩壊、ソ連崩壊、の真相と考えています(文献4)。

    万が一に、ロシアがウクライナの併合にまで進めば、ソ連崩壊の二の舞を演じるでしょう。ナショナリズムは、ほぼ例外なく、国民の真の幸福(経済的な安定性)を無視して、高揚します。そして、国の破たんにまで行き着きます。


    ーーーー

    (クリミア併合の経済的負担)

    クリミアへの支援金は、20万人の公務員の平均給与は12500ルーブル(340ドル=約34000円)で、ロシア並み(3万ルーブル(800ドル=約8万円))に引き上げるには、月に35億ルーブル、年に420億ルーブル(14億ドル=約1400億円)が必要になるなど、社会保障費、クリミアの予算赤字の補償費、ケルチ海峡横断橋の建設を含むインフラ整備の費用などで、年間3050億ドル(約30005000億円)が必要(文献5)の様です。


    水道の70%、電力の90%をウクライナ本土に依存しているため、生活を維持するにはウクライナの協力が必要になります(文献6)。それを面倒に思うようであれば、ウクライナ東部をロシア支配下に置くことも考えているかも知れません。


    ーーーー

    (ウクライナの歴史)

    wikipediaの説明を見ると、ウクライナはとても複雑な歴史を持っています。

    紀元前には様々な遊牧民族が到来し、紀元前4世紀ころに騎馬民族のスキタイ人が繁栄し、紀元2世紀ころには東ゴート族が支配し、6世紀にはアヴァール族が支配し、8世紀ころにはルーシという国が誕生し、首都キエフはヴァイキング系が支配してキエフ大公国が作られ、支配地域を拡大して、11世紀ころには欧州最大の国になりましたが、12世紀に諸侯の争いで分裂し、1240年代にモンゴル帝国により滅ぼされています。

    その後は他国の支配をうけ、17世紀半ばにコサック国家が誕生しましたが、多くの戦争を経て自治が認められたり自治が廃止されたりの繰り返しで、18世紀19世紀のロシア帝国、オーストリア帝国の抑圧政策などで、ウクライナの民族主義が始まったようです。ロシア帝国は常にウクライナのロシア化政策を行ったが、1917年のロシア革命で1918年にウクライナ人民共和国の独立を宣言したが、ソビエト軍がキエフを占領しウクライナ社会主義ソビエト共和国が作られ、西ウクライナはポーランドが支配しています。その後も複雑な経緯を経ています。


    クリミアのロシア併合で迫害を恐れているタタール人は、モンゴル部族に従属してモンゴル帝国の一員となり、ヨーロッパ遠征に従軍した人たちのことを指すようで、最も長くモンゴルの支配を受けたロシアに最も多く550万人いるそうです。ロシア人にとっては、苦い歴史として認識されているとのことですから憎悪感も強いのでしょう。


    東ウクライナがロシア系が多くなっているのは、ロシア帝国のロシア化政策の結果でしょう。


    とても複雑な民族の入り乱れのある地域のため、西の民族主義者、東のロシア系、少数民族タタール人のどれにも、簡単に肩入れできません。仲良くしてください、としか言えません。米欧が、暴力で政権を転覆させ民族主義を強める暫定政権を非難しないで、ロシアのみを非難するのは、説得力を欠きます。


    ーーーーー

    Wikipediaの説明から、ごくごく簡単に、この10年の政変の歴史をまとめます。


    オレンジ革命と呼ばれた政変が起きたときの2004年の大統領選挙での、地域別の得票率で、ウクライナが東西に真っ二つに分かれていることが分かります。先にクーデターで追放された親ロシア派のヤヌコビッチ大統領は当時の大統領候補でしたが、東部地域で、圧倒的な得票率を得ています。

    ウクライナの地域別大統領選得票率


    対抗する親欧州派のユシチェンコ候補の顔が、毒を盛られたからだと主張する、大きく変形した写真は強烈な印象に残っています。盟友だったチモシェンコ氏を首相にしましたが、次第に対立し、2005年には解任し、2006年にヤヌコビッチ首相が誕生しました。


    ヤヌコビッチ氏率いる地域党は2007年の選挙で第一党になったものの連合がうまくいかず野党に転じましたが、2010年の選挙で大統領になりました。


    「革命」で追放されたヤヌコビッチ大統領の邸宅には、私設動物園やゴルフコースが存在するなど贅沢三昧な暮らしをしていたことが報道されました。一方、チモシェンコ氏も、ウクライナで最大の資産家とされ、蓄財には多くの違法行為の疑いが持たれ、ガス資源に関する汚職行為で逮捕され、201110月に、職権乱用を認定、禁錮7年と賠償を命ずる判決が出ました。尚、先のクーデター前に、EU接近を図ったヤヌコビッチ大統領が、EUの求めに応じて、チモシェンコ氏を釈放することを決めていました。


    時論公論で石川氏が解説するように、ウクライナの政治指導者は、政権につけば近親者に利権を与え、私腹を肥やす、清貧とは、縁遠い人たちの様です。


    ーーーーー

    (参考文献)

    1)

    「ウクライナ危機の行方・ロシア軍クリミア掌握」

    NHK時論公論 石川一洋 解説委員 20140304 () 午前0時~

    http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/182261.html


    2)

    プーチン大統領支持率、政府系機関の調査で最高に

    MSN 産経ニュース     2014.3.20 19:11 [ロシア]

    http://sankei.jp.msn.com/world/news/140320/erp14032019120011-n1.htm

     

    3)

    プーチン露大統領の支持率上昇 ソチ五輪とクリミア寄与

    MSN産経ニュース 2014.3.6 18:45 [ロシア]

    http://sankei.jp.msn.com/world/news/140306/erp14030618460017-n1.htm


    4)

    20130115日「ソ連政治体制の崩壊の真相は、原油減産がもたらした経済破綻、か?」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52097628.html


    5)

    クリミア編入にかかるコスト

    ロシアNOW アンナ・クチュマ 2014319,

    http://jp.rbth.com/business/2014/03/19/47595.html


    専門家や政府筋のさまざまな評価によれば、クリミアへの支出の総額は、年間3050億ドル(約30005000億円)。これには、社会保障費、クリミアの予算赤字の補償費、ケルチ海峡横断橋の建設を含むインフラ整備の費用が含まれている。


    クリミア最高会議のレオニード・ピルンスキー議員によれば、同共和国の財政面の自給率は、34%にすぎない。 


     2014年、予算収入の半分以上は、ウクライナ政府からの補助金で賄われることになっており(予算収入の総額58000万ドル=約580億円のうちの32500万ドル=約325億円)、最初の二月でその21%が収められたが、クリミアがロシア連邦構成主体となれば、ウクライナからの収入はなくなる。


     また、ウクライナにおける年金その他の社会保障費の水準は、ロシアの二分の一から五分の二くらい。


     ウクライナの専門家エカテリーナ・オブホフスカヤ氏によれば、クリミアには約20万人の公務員がおり、ウクライナ統計局の今年二月時点の資料によれば、公務員の平均給与は12500ルーブル(340ドル=約34000円)だが、ロシアのそれはほぼ三倍の3万ルーブル(800ドル=約8万円)であり、現在の水準をロシア並みに引き上げるには、月に35億ルーブル、年に420億ルーブル(14億ドル=約1400億円)が必要になる。


     ロシアのアレクセイ・ウリュカエフ経済発展相は、クリミアとウクライナの関係が絶たれた場合にはロシアが年金その他の社会保障費をロシア並みに引き上げる問題に直面することを認めた。


     必要な投資の額は、50億ドル(約5000億円)と評価された。最も高額なのは、インフラプロジェクト、とりわけ、14億ドル(約1400億円)規模のヘルソン~ジャンコイ~フェオドシア~ケルチ間の自動車道路の改修、ならびに、約18億ドル(約1800億円)規模のエヴパトリア、フェオドシア、ケルチ、ヤルタにおける海洋橋関連のプロジェクトである。このほか、観光リクリエーション施設、農業分野の施設、ケルチおよびセヴァストポリの空港関連施設の建設に関する投資プロジェクトが含まれている。ケルチ海峡横断輸送路の建設には、12億ドル(約1200億円)の投資が必要とみられている。


     ルカショフ氏は、「これだけの資金があれば、たくさんのホテルおよび速やかに回収できるその他の観光インフラを建設できる」と話している。「AForex」のアナリストであるナレク・アヴァキャン氏によればクリミアの経済規模は現在たった100億ドル(約1兆円)であることを考慮するならば、50億ドル(約5000億円)以上の投資は、経済成長にとっての大きな弾みとなろう。


    6)

    クリミア、ロシア編入でもウクライナ依存―電気・水道の大半供給

    The wall street Journal     . 2014 3 17 14:20 JST

    http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304471904579444352956015242.html

    乾燥して風の強いクリミア半島には、名高いリゾート地と港湾を支えるための自前の資源がほとんどない。ロシアとは陸地でつながっておらず、天然ガスの約25%、水道の70%、電力の90%をウクライナ本土に依存している。

    .

     ロシアが先週末にウクライナ本土に侵入しガス輸送施設を一時占拠したことで示されたように、クリミアのウクライナ依存度の高さが紛争の発火点になる恐れがある。


     ウクライナ政府にとって、クリミアを失うことは政治的な打撃となる一方で、年間10億ドル(約1010億円)のクリミア向け予算の削減となる。


     ウクライナは理屈の上では、クリミアが分離すれば電力供給を遮断できるが、クリミアに大混乱を引き起こすため、供給停止命令を出す可能性は極めて小さいとみられている。


     クリミアは電力需要の約10%を独自の小型発電所で満たせているが、残りについてはウクライナ本土からの2系統の送電網で電力供給を受けている。


     家庭向けの水道供給は十分にあるが、かんがいや工場向けは本土に頼っている。天然ガスに関しては、沖合ガス田の生産がブームとなっているおかげで、需要の約4分の3は自前で賄える状況だ。


     昨年クリミアを訪れた観光客の70%はウクライナ本土から来ていた。また、クリミアのインフラやホテルは投資不足のため老朽化が進んでいる。


     ウステンコ氏によれば、インフラ問題や犯罪率の高さ、「影の経済」活動のせいで、多くの投資家はクリミアを敬遠していた。今やウクライナやロシアだけでなく国際投資家にとっても、クリミアに新規投資を行うのは問題外になるという。


     今後はロシア政府がクリミアに対する主要な投資者にならざるをえない。ロシア政府当局者によると、クリミア併合に伴う費用は1年目だけで40億ドルに及ぶという。


     しかし、ロシア国内ではクリミア併合への支持は強い。この当局者は「まとないチャンスが到来した。併合のコストについて言い争う者などいない」と語る。


    7)

    クリミア軍事介入、併合を画策 露の財政負担、年30億ドル試算も

    MSN 産経ニュース     2014.3.15 07:46

    http://sankei.jp.msn.com/world/news/140315/erp14031507570005-n1.htm


     「前政権は権威主義に傾斜し経済情勢も悪化させた。腐敗した官僚機構によるビジネスの圧迫が深刻化し、政権に近い『ファミリー』と呼ばれる一団が経済を牛耳っていた」


     ヤヌコビッチ前政権の崩壊につながった大規模デモの背景について、ウクライナの有力政治学者、フェセンコ氏はこのように解説する。


     デモの直接の契機は、昨年11月に自由貿易協定(FTA)を柱とした欧州連合(EU)との連合協定締結を前政権が突如見送り、プーチン露政権からの経済支援を得る方針を示したことだった。フェセンコ氏は「欧州統合路線への期待が大きかっただけに、これで大衆の怒りが沸点に達した」と話す。


      ウクライナはかねて財政と貿易の二重赤字に悩み、今や外貨準備高は150億ドル(約1兆5500億円)と、輸入の2カ月分を切る水準だ。国家債務は国内総生産(GDP)の約40%で、2014年には80億ドルを返済しなければならないとされている。放漫財政や鉄鋼輸出の頭打ちなどに加え、ロシアから高い価格で天然ガスを輸入しながら国内燃料価格は政府補助金で低く抑えてきたといった構造問題が根底にはある。


    8)

    深刻なウクライナ経済危機 頼みの綱はロシアからEUへ

    朝日新聞デジタル 20142250102

    http://digital.asahi.com/articles/ASG2S61MPG2SUHBI03C.html?_requesturl=articles/ASG2S61MPG2SUHBI03C.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG2S61MPG2SUHBI03C

     

     欧州か、ロシア接近か――。国の将来をめぐる論議が政権崩壊に発展したウクライナが今後直面するのは、危機に陥った経済の再建という課題だ。トゥルチノフ大統領代行は23日、「ウクライナは債務不履行の寸前」と発言。ロシアに頼れなくなった同国経済をどう支えるかは、欧州連合(EU)にとっても深刻な問題となる。


     「2014~15年で350億ドル(約3兆5千億円)の支援が必要だ」。ウクライナのコロボフ臨時財務相は24日、こう訴えた。親ロシアのヤヌコビッチ政権が崩壊したことで、ロシアからの総額150億ドル(約1兆5千億円)の支援が見込めなくなったためだ。


     ウクライナの政府債務(借金)は総額700億ドル(約7兆円)超で、今年中に100億ドル(約1兆円)超の返済が必要とされる。


     しかし、政府の台所は火の車だ。国営ガス会社への補助金などが重荷で、毎年の政府の赤字は増える一方。赤字を埋め合わせなければいけないが、国内政局の大混乱で国の信用が落ち、投資家から新たにお金が借りにくくなっている。


     さらに、主力の鉄鋼産業が新興国との競争にさらされて伸び悩み、景気も悪化。12、13年の経済成長はほぼゼロで、失業率は8%台に上る見通しだ。


     ウクライナ経済が行き詰まれば、欧州経済にも悪影響を与えかねない。EUや国際通貨基金(IMF)は早速、動き出した。


     EUのアシュトン外交安全保障上級代表は24日、韓国や豪州などアジア歴訪の予定を変更して、キエフに飛んだ。権力を掌握した議会幹部らと会って、支援に向けた地ならしをする意味がある。欧州委員会のレーン副委員長(経済・通貨担当)やIMFのラガルド専務理事は23日、「経済改革が条件」としながらも、相次いで経済支援に前向きな姿勢をみせた。


     IMFはこれまで、国営ガス会社への補助金の削減などの経済改革を要求。EUは昨年末、条件を満たせば、国際機関と連携して7年間で200億ユーロ(約2兆8千億円)の支援の用意があると伝えたとされる。だが、ヤヌコビッチ政権がロシアにすがったため、立ち消えになった。瀬戸際の状況で、EUとIMFが頼みの綱になった。(ブリュッセル=野島淳)


     ■プーチン氏に見通しの甘さ

     プーチン大統領が威信をかけて開いたソチ五輪の閉会式。懸念されたテロは起きず、ロシアはメダル数でトップに立った。しかし、得意の絶頂のはずのプーチン氏は、貴賓席で終始暗い表情。胸中にウクライナ情勢が去来していた可能性が高い。


     ヤヌコビッチ政権が瞬く間に崩壊し、政権を支え続けてきたロシアは状況に対応できていない。


     23日夜、ラブロフ外相は米国のケリー国務長官と電話で協議。政権崩壊前にヤヌコビッチ氏が野党勢力代表と署名した合意の実施が重要だという考えを伝えた。メドベージェフ首相は24日、インタファクス通信に対して、キエフで権力を掌握している勢力について「正統性に大きな疑念がある」と述べた。だが、ヤヌコビッチ氏をキエフに戻すことはすでに不可能だ。


     ロシアもこうした状況は理解しており、「ヤヌコビッチ氏は選挙で選ばれた正統性を持つ大統領」といった主張は、外務省が発表したラブロフ氏の発言には含まれていない。駐ウクライナ大使をモスクワに呼んで情勢を分析する方針だ。


     ロシアが打つ手を決めかねている最大の理由は、ヤヌコビッチ政権を支える方針を、プーチン氏自身が決めたからだ。


     昨年12月、反政権デモが荒れるウクライナに対して150億ドル(約1兆5千億円)の金融支援を表明し、天然ガスを当面の間、市場価格の約3分の2で輸出するという破格の支援策を打ち出したのも、政府内の異論を押し切ったプーチン氏の決断だった。


     金融支援が焦げ付く懸念に対し、プーチン氏は「ウクライナの格付けは低いが、ファンダメンタルな競争面の強みを信じている」と説明していた。しかし、ウクライナのトゥルチノフ大統領代行による「債務不履行寸前」発言で、見通しの甘さが露呈してしまった。


     約束した150億ドルのうち、30億ドルはすでに融資されている。これが返済不能となれば、プーチン氏への国民の不満が高まることは避けられない。ロシアのシルアノフ財務相は23日、第2弾となるはずだった20億ドルは当面凍結して事態の推移を見守る考えを示した。


     ロシアは、旧ソ連の国々に広げようとしている「関税同盟」でも、ウクライナに強く加盟を働きかけてきた。しかし、当面こうした路線は断念せざるを得なくなった。


     ヤヌコビッチ政権の崩壊は、シリアの化学兵器問題などで存在感を増してきたロシア外交にとって大きな失点。プーチン氏はソチ五輪閉会後、直ちに態勢の立て直しを迫られている。(ソチ=駒木明義)

    一昨日6/20日の朝日新聞朝刊5面に、「厳しい家計 潤う企業」「法人減税、賃金に回らず」という記事が載りました。


    原発事故を受けて原発が止まって電気代が13%上がっており、来年4月には消費税率が現在の5%から8%に上がる。増税と物価上昇に対応するには、賃金が年に3%以上上がらなければならない。


    しかし、小泉政権(2001-2006年)が誕生した2001年以降、企業は収益を増やしているが、儲けを従業員にわけず溜め込むだけ。第一次安倍政権でも、企業の負担減にだけ熱心だった。


    と言う記事です。


    この解説は良いのですが、そこで止まっているのが、朝日新聞の限界です。政府にできることをして民間を引っ張って賃金を上げよ。政府にできる先ず第一のことは、憲法違反でカットして公務員賃金カットを、すぐに撤回すべき(文献1、2)。と主張すれば、拍手喝采しましょう。


    ーーーー

    政府統計ポータル(文献3)からダウンロードできる企業データの長期的推移を図にしました。

    利益剰余金の推移




    1990年のバブル崩壊までは、企業は、利益を従業員に配分していました。ところが、2006年のリーマンショックの前だったのに、2001年以降は、利益をひたすら社内に囲い込み始めました。法人税減税に熱心だった小泉政権のもと、企業は大手を振って、埋蔵金の積み立てに励んだのです。今又、経団連は、さらなる法人税減税を要望し、政府はその方向に走り始めています。


    従業員の給与への配分は、2000年以降減っています。企業に余裕がないから回せない、と言う論理は通りません。配当金は急増させているからです。株主様は、より大事にしているのです。社員を大事にしてきた良き伝統を捨てる企業に未来があるとは思えません。


    給与は、以下の様に推移しています(文献4)。

    給与の推移


    これまで異常円高だったので、年収が落ちてもなんとか暮らしを維持できていましたが(若年層の貧困化問題はあります)、円相場が適正レベルになって、輸入品価格が2割ー3割上がるので、賃金も1-2割、増やす必要があります。


    ーーーーー

    (参考文献)

    1)

    20130601日「成長戦略に「原発の活用」 、再稼働の推進を明記ーー次にやるべきは、憲法違反の公務員賃金カットを撤廃して民間賃金上昇を誘導すること」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52113138.html


    2)

    20130511日「ついに1ドル100円突破。適正水準に突入!!トヨタの利益1兆円越えの見通しーーー安倍政権がやるべきは、憲法違反の公務員の賃金カット暫定措置の撤廃」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52110775.html


    3)

    e-stat 政府統計ポータルサイト

    法人企業統計調査>時系列データ>年度次>2011年度

    http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001100351&disp=Other&requestSender=dsearch

    1.金融業以外の業種 DB

    4)

    国税庁>活動報告・発表・統計>統計情報>長期時系列データ>民間給与実態統計調査結果

    http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/jikeiretsu/01_02.htm


    6/7に閣議決定された知財戦略案に、社員の発明の帰属先を会社に変更する方針が盛り込まれた。これは、経団連の強い要求を反映したものです、と紹介しました(文献1)。


    経団連が変更を強く求めている特許法35条の規定は、大正10年からずっと続いて来たとのことですが、平成16年に改正されています。経団連はそれでは不十分だと考え、今回更なる変更を求めています。


    今回の閣議決定の内容を評価する前に、平成16年の改正の内容と背景を振り返ります。

    以下は、文献2の内容の概略です。


    ーーーーー

    (職務発明制度の趣旨)

    職務発明制度の趣旨は、”法人等が組織として行う研究開発活動が我が国の知的創造において大きな役割を果たしていることにかんがみ、ーーー、職務発明の直接的な担い手である個々の従業者が使用者などによって適切に評価され報いられることを保障することによって、発明のインセンティブを喚起しようとするものである。それは、全体として我が国の研究活動の奨励、研究開発投資の増大を目指す産業政策的な側面を持つ制度であり、その手段として、従業者等と使用者等との間の利益調節を図ること”(産業構造審議会知的財産政策部会報告書「職務発明規定のあり方について」(文献3))である。


    (改正内容)

    35条の3項までは変更がなく、新たに第4項が追加され、旧第4項の内容が、新第5項になった。


    特許法35条(文献4)


    3.(変更無し)従業者等は、ーー、職務発明について使用者等にーーー特許権を承継させ、又は使用者等のため専用実施権を設定したときは、相当の対価の支払を受ける権利を有する。


    4.(追加された新第4項)契約、勤務規則その他の定めにおいて前項の対価について定める場合には、対価を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況、策定された当該基準の開示の状況、対価の額の算定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況等を考慮して、その定めたところにより対価を支払うこと不合理と認められるものであってはならない。

    改正の目的は、第3項に述べた、発明者が受けるべき対価が、裁判によってではなく、使用者と従業者との協議で決められるようにすることだった。


    (背景)

    年間特許出願数は約40万件で、査定率が50%強で、特許権は年に約20万件成立しています。職務発明は全出願の96%であり、10年で約190万件の職務発明特許が成立していることになります。そのうち訴訟に至ったのは、(H16年の)10年前のH3以降で、僅かに8件で、対価の争いになる割合は、0.0005%以下でしかない。


    過去の特許訴訟は、以下の通り。



    特許訴訟


    (議論)

    以下の議論がある。

    1.長期に亘って対価が確定しないので(いつ、どれだけの対価が要求されるか分からない)、企業側は不安。

    2.利益は、営業部など多くの社員の努力で生み出された

    <=>特許による排他性があるから有利に営業ができた。特許化により秘蔵化せず公開したことで産業の発達が図られる。

    3.研究者は成功報酬を求めるが、失敗の責任を取らない

    4.退職後でなければ、訴訟できない。対価に不満があっても在職中は言い出せない。

    ーーーーーー

    (参考文献)

    1)

    20130608日「6/7に閣議決定された知財戦略案に、社員の発明の帰属先を会社に変更する方針が盛り込まれるーー経団連の強い要求を反映」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52113905.html


    2)

    改正特許法等の解説・2005~職務発明・実用新案制度を中心に~(1)

    鈴木正次特許事務所         2005/2/23

    http://www.suzuki-po.net/other/pa2005/pa2005_1.htm


    3)

    職務発明制度の在り方について

    -産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会-

    http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/toushintou/patent_houkoku.htm


    4)

    特許法

    http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S34/S34HO121.html

    アベノミクスの3本目の矢、と言われる成長戦略の最も重要と言える知財戦略が閣議決定されました(文献1、2)が、その中で、現在、第一義的に社員に属する特許権を、第一義的に会社に帰属させるよう変更する方針が盛り込まれました。経団連が強く求めていた変更でした。


    知的財産政策に関する基本方針(文献3)の

    1.産業競争力強化のためのグローバル知財システムの構築の(3)に

    現在発明者帰属になっている職務発明制度について抜本的な見直しを図り、例えば、法人帰属、又は、使用者と従業者との契約に委ねるなど、産業競争力強化に資する措置を講ずることとする。

    と書かれています。


    後者であろうと、使用者と労働組合ではなく、従業者との契約ですから、対等な契約になることはあり得ません。法人帰属と全く同じ、と言えます。


    これが盛り込まれた経緯を調べました。

    「知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会」の議事録を読んでみると、経団連の知財委員長の安達委員が強く求めていました。

    経団連は、この論調の提言を、今年2月に発表し(文献5)、今回閣議決定された知財戦略案に盛り込むよう、5月にも、念押しの要望を行っています(文献6)。


    ーーーーーー

    (参考文献)

    1)

    社員の発明、会社に特許権 知財戦略案に帰属先変更方針

    朝日新聞 201367

    http://www.asahi.com/business/update/0607/TKY201306060511.html


    2)

    首相官邸 知的財産戦略本部

    http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/


    3)

    知的財産政策に関する基本方針

    http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/pdf/kihonhousin_130607.pdf

     

    4)

    知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会

    1回会合 平成241221日 議事次第・資料 議事録

    http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kyousouryoku/2013dai1/gijiroku.html


    5)

    「知的財産政策ビジョン」策定に向けた提言

    ~グローバル・イノベーション時代を勝ち抜く戦略的知財政策を目指して~

    経団連 2013年2月19日

    http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/015.html


    6)

    職務発明の法人帰属をあらためて求める

    ~わが国企業の産業競争力強化に向けて~

    経団連 2013年5月14日

    http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/046.html

    「アベノミクス」で、異常円高(文献1)が是正され(文献2)、株価も急伸し、世の中がとても明るくなっています(文献3)。原発事故の適切な処理ができなかっただけでなく、原発ゼロと言う馬鹿な政策を打ち出し、日本を潰そうとした民主党(文献4)から、昨年暮れに政権交代が起き、本当に良かったです。

    是非とも、憲法違反の公務員賃金のカットを撤回して民間企業の賃金上昇も政府が誘導し(文献2)、大金株主だけでなく一般国民も豊になり、消費が活発になり、国内需要が進み、真の景気回復に繋げるよう、安倍政権には頑張って貰いたいものです。


    1ドル80円を切るという異常な円高の中、火力発電に全面依存すればよいと言う主張がマスコミにはびこっていましたが、ドルの適正水準は100125円であり、円高が是正されれば燃料代が3割以上5割も上がるのが必至(文献5)のなか、国内産業のために、若者の失業率を減らすため、正規雇用を増やし生活を安定させ少子化を抑えるため、国民の豊かな生活のため、原発を利用しない手はありません。


    アベノミクスの三本目の矢とされる「成長戦略」に原発の再稼働の推進が明記される(文献6)とのこと。安倍総裁実現時に期待した(文献7)原発の活用がいよいよ実現されそうで、喜ばしい限りです。


    どうか安倍さん。経済と外交に専念下さい。タカ派を封じている間は、強く支持します。異常な発言を繰り返す橋下氏の維新の会が消えそうなのをご覧になっていればご理解できることでしょう。


    ーーーーー

    (参考文献)


    1)

    20130206日「円ドルレートの適正レベルは100120円だろうーー「どうしても1ドル50円時代が来る」の浜矩子氏の主張通りになる日が来るか?購買力平価説は正しいか?」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52100125.html


    2)

    20130511日「ついに1ドル100円突破。適正水準に突入!!トヨタの利益1兆円越えの見通しーーー安倍政権がやるべきは、憲法違反の公務員の賃金カット暫定措置の撤廃」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52110775.html


    3)

    20130202日「急伸、アベ相場 12週連続の株価上昇 企業業績も急回復の兆しーー経営者は、是非、賃上げを」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52099712.html


    4)

    2013031708:33 春闘、ボーナス増額次々。アベノミクス追い風ーー何のための労働党(民主党)政権だったのか?

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52104582.html


    5)

    20120906日 「ぐんぐん価格上昇する天然ガスーーー異常円高が是正された時に電気代の大幅上昇必至。製造業の衰退必至」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52078829.html


    6)

    成長戦略に「原発の活用」 政権素案、再稼働の推進明記

    朝日新聞デジタル 531()530分配信

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130531-00000005-asahi-pol

    安倍政権が6月にまとめる成長戦略の素案に「原発の活用」を盛り込み、原発再稼働に向けて「政府一丸となって最大限取り組む」と約束することがわかった。東京電力福島第一原発事故を受けて脱原発を求める声は根強いが、安倍政権の経済政策「アベノミクス」で目指す経済成長には原発が欠かせないという姿勢を鮮明にする。


    7)

    20121001日「安倍自民党新総裁「原発推進は間違っていなかった」ーータカ派にしか任せられないのか?」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52082496.html


    安倍元首相が自民党の新総裁に選出されたことを報じる一面の記事に、東京新聞は「民も自も「タカ派」」という見出しをつけました。そして3面の半分の紙面を割いて、危うい国民とのズレ、暮らし語らず、原発ゼロ否定、と言う見出しの解説を書いています。


    原発に対して安倍氏が、「原発推進そのもは間違っていなかった。原発への依存度を減らしていくが、今ゼロと言えば原子力の技術を失う。手放すべきではない。今ゼロだというのは極めて無責任だ」と発言しているのに対し、


    東京新聞は、突き放した発言、国民感情とのずれを浮き彫りにした、と「批判」しています。現在の国民感情とずれている、という指摘は正しいです。


    しかし、一時の国民の感情に流されず、現実を踏まえた冷静な判断をするのが政治家の見識です。小沢氏の様に、票欲しさに節をまげ、媚びを売っては、政治家の資格がありません。


    尖閣の国有化宣言に対して中国で盛り上がっている反日運動に、民主党が全く無力であることも、この数日の動きで明確になりました。


    中国共産党序列第4位の「か慶林」中国人民政治協商会議主席と会談したのは、日本国際貿易促進協会会長の河野洋平前衆議院議長であり、同席したのは、日中友好協会会長の加藤紘一自民党元幹事長や、日中友好議員連盟会長の高村正彦元外相でした。そのほかに4つある日中友好7団体の会長は、日中協会が野田毅元自治相、日中経済教会会長が張富士夫トヨタ自動車会長、日中文化交流協会会長は、西武流通グループ代表、セゾングループ代表などを歴任した辻井喬で、民主党議員が会長になっているのは唯一、元参院議長の江田五月(日中友好会館会長)です。対話の窓口がない民主党に外交は任せられません。


    政権交代の目玉の国家戦略局構想に期待に胸膨らませ、公開の事業仕分け作業に政権交代を実感しました。しかし、2位ではなぜダメかという、本質をついた発言を活かすことができず、事業仕分けは大山鳴動に終わってしまいました。何の新しい国家戦略も聞けません。厚生労働大臣になってからも、野党の感覚そのままで重箱の隅をつつく追及するしか能がなく行政の邪魔しかしなかった人もいました。昨年の管首相の妄動など、多方面で無能さが露呈した民主党には、本当に幻滅です。


    安倍晋三氏は、私が最も嫌う思想の持ち主ですが、そういう人しか、当たり前のことが言えない、まともなことができそうにない現状は、とても悲しいことです。

    4月9日に99.6/ドルになってから(文献1)、100円を目前に足踏みしていた円/ドル為替レートですが、丁度1ヶ月経った5月9日に、ついに100円を突破しました(文献2)。私が適正水準と判断した100-125/ドルのゾーン(文献3,4)への突入です。異常円高の解消で、製造業の貿易は韓国ドイツなどと公正な競争ができる環境に戻りました。


    ーーーーー

    トヨタ自動車は、2014年3月期は、北米など海外での販売拡大を見込むほか、円安も追い風となり、営業利益は36%増の1兆8000億円を見込む、と発表しました(文献5)。

    想定為替レートを1ドル=90円と前期より7円円安に設定したらしいですが、今後、100円以下になることはないでしょうから、利益は軽く2兆円を越えるでしょう。


    13
    年3月期も、連結決算の純利益が前の期の3.4倍の9621億円だったので、年間配当を前の期より40円増やして90円にするとのこと。


    ですが、日本という国だからこそ成功したトヨタです。超々巨大企業として、日本の産業全体を活性化する義務があります。円安で得た利益を、株主だけに分配してはいけません。従業員の給料を上げる、下請けの利益を増やすなど、国内の景気を上向かせることに使うべきです。


    経済を支える個人消費の刺激のため、賃上げが必要。国が模範を示し、公務員給与1割カットの暫定措置を直ちに廃止すべき)


    円安で輸入品(石油、食品など)が高くなって(80/ドル=>110/ドル、で4割も)、しかし給料が増えなければ、生活は苦しくなります。輸出企業を助けるために、国民の暮らしが苦しくなるなら、円安政策は、飛んでもない悪政です。GDPが増えなければ、税収も増えず、国の財政も潤いません。


    GDPの6割を、個人消費が占めています(文献6)。個人消費が増えなければ景気は良くなりません。個人消費を増やすには、賃金を上げなければなりません。

    GDPと家計消費

    安倍総理は、経済界に、賃金を上げるようお願いしました(文献7)が、他人に頼む前に、自らできることを行うべきです。それは、愚かな民主党が実施した、公務員給与の1割カットです(文献8)。民間は、国に右を倣え、です。国が賃金カットするので、大手を振って、社員の給料をカットします。


    人事院勧告を無視した、憲法違反の措置(文献9)です。昨年4月から実施されている2年間の暫定措置、これを直ちに撤廃すべきです。


    ーーーーーーー

    (参考文献)

    1)

    20130410日「1ドル99.6円にーーー78円だった昨年9月に富江が指摘した、適正水準(100-125円)に突入間近」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52107263.html


    2)

    1ドル100円突破、さらに下落 4年1カ月ぶり

    産経ニュース 2013.5.10 08:16

    http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130510/fnc13051008160002-n1.htm


    3)

    20120906日 「ぐんぐん価格上昇する天然ガスーーー異常円高が是正された時に電気代の大幅上昇必至。製造業の衰退必至」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52078829.html


    4)

    20130206日「円ドルレートの適正レベルは100~120円だろうーー「どうしても1ドル50円時代が来る」の浜矩子氏の主張通りになる日が来るか?購買力平価説は正しいか?」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52100125.html


    5)

    トヨタ純利益、42%増1兆3700億円 14年3月期販売台数910万台

    日本経済新聞 2013/5/8 15:17

    http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXNASFL080HR_08052013000000


    6)

    内閣府、国民経済計算(GDP統計)

    http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2012/qe124_2/gdemenuja.html


    7)

    20130317日「春闘、ボーナス増額次々。アベノミクス追い風ーー何のための労働党(民主党)政権だったのか?」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52104582.html


    8)

    国家公務員の給与減額支給措置

    http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyokaku/02jinji02_03000079.html


    9)

    勧告の見送りは憲法違反であるとの国会答弁

    江利川毅 人事院総裁 ウィキペディア

    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E5%88%A9%E5%B7%9D%E6%AF%85

    昨日4月9日朝8時半に1ドルが99.6円を越えました(文献1)。その後はじりじり下がり、終値は99円を切りましたが、1ドルが78円だった昨年9月に私が指摘した、「適正ゾーン」(100-125円)(文献2、3)に、突入間近です。

     

    昨年11月の衆院解散をきっかけに、1ドル80円からどんどん円安が進み、12月に政権交代になって更に円安が進み(文献4)、2月末には94円になりました。3月始めに92円になりましたが、黒田氏が日銀新総裁候補になって期待がふくらみ(文献5)、3月中旬に96円になりました。その後黒田新総裁が就任してからも徐々に円高になり4/4には93円になっていましたが、4日午後1時半すぎ、黒田新総裁初の日銀の金融政策決定会合で、金融緩和策の内容が伝わると、円安が急激に進みました。

    の円ドルレート黒田効果


    明らかに、安倍効果、黒田効果です。マーケットは、日銀の新政策を高く評価しています(文献6、7)。


    中国の李若谷、輸出入銀行総裁は、「日銀の(円安)政策は、他国も傷つける可能性がある」と話したそうです(文献8)


    しかし、決して、行きすぎた円安ではありません。今までが異常な円高だっただけです。


    1ドルが78円だった昨年9月、2007年後半から一直線に円高が進行していました。この短期の推移だけを見れば、「1ドル50円になる」と主張する浜矩子氏が寵児になった(文献3)のも仕方がないでしょう。

    リーマンショック後の円ドルレート


    しかし、私は、それより遙か前の1985年プラザ合意からあとの円・ドル為替の推移を調べ、20年近く安定して推移した100125円、が適正水準と判断しました(文献2)。現在は、その適正ゾーンに、突入間近なだけです。2008年9月のリーマンショック以降これまで、が異常だったのです。


    ーーーーーーー

    (参考文献)

    1)

    Yahoo ファイナンス 為替情報 ドル/

    http://fx.yahoo.co.jp/chart/usd_jpy.html


    2)

    20120906日 「ぐんぐん価格上昇する天然ガスーーー異常円高が是正された時に電気代の大幅上昇必至。製造業の衰退必至」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52078829.html


    3)

    20130206日「円ドルレートの適正レベルは100~120円だろうーー「どうしても1ドル50円時代が来る」の浜矩子氏の主張通りになる日が来るか?購買力平価説は正しいか?」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52100125.html


    4)

    20130202日「急伸、アベ相場 12週連続の株価上昇 企業業績も急回復の兆しーー経営者は、是非、賃上げを」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52099712.html


    5)

    FNN ニュース 03/21 21:24

    http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00242614.html

    黒田新副総裁は21日午後6時半ごろ就任の記者会見で、、「量的、質的両面で、大胆な金融緩和を進めていく必要がある。総裁として、そういった観点から金融緩和を進めていきたい」と語った

    5)

    JP Morgan 「期待に応えた黒田新総裁」

    https://www.jpmorganasset.co.jp/jpec/ja/market/pdf/2013/MarketInsights20130405.pdf


    6)

    英フィナンシャル・タイムズ紙 201345

    By Jonathan Soble

    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37531

    黒田氏が初の金融政策決定会合に臨む前から富士山並みに大きな期待が膨らんでおり、市場は失望を覚悟していた。

     日銀の門から現金でいっぱいのトラックを送り出すことを除けば、積極的な追加金融緩和を予想して円を売り、株を買っていたトレーダーたちを満足させるために黒田総裁にできることはほとんどないように思えた。

     蓋を開けてみると、黒田総裁は大方の人が予想していた以上のことを行った。トラックの荷台からカネをばらまいたわけではないが、黒田氏は中央銀行総裁があえて挑むだろう限界ギリギリのことをやった。

    国債の買い入れと日本のマネタリーベースを2倍にするという日銀の公約を「異次元の金融緩和」と呼んだ。量的緩和はもはや、日銀のバランスシートのうち、分離されて一時的に見える部分に追いやられることはない。これからは量的緩和が日銀の行動の中核を成すと黒田氏は言っているようだ。

     決定会合が行われる前の大きな疑問は、新総裁が急進的な対策にどれだけ多くの支持を集められるか、ということだった。政策委員会の大半の委員は、黒田氏よりタカ派の白川方明前総裁の下で働いており、少なくとも何人かは全面的なレジームチェンジ(体制転換)に二の足を踏むのではないかと懸念されていた。

     元財務官僚で直近はアジア開発銀行総裁を務めていた黒田氏が直面したデリケートな課題は、亀裂を生むことなく自分の意見を通すことだった。例えば、より積極的な金融緩和を進める黒田氏の計画がぎりぎりの過半数で支持されていたら、黒田氏が最初から、できることの限界に達したという合図を送っていたかもしれない。

     そうなっていたら、黒田氏が懸命に築こうとしてきたインフレ期待は、彼の計画が完全に否決された場合と同様に消え去っていた可能性があった。多くの人は、黒田氏がコンセンサスを得るために、提案内容を縮小するか、将来の会合のために一部を温存すると思っていた。

     「タイミングはサプライズだったし、その規模は予想を超えていた」とクレディ・スイス証券のアナリスト、白川浩道氏は言う。


    8)

    ・朝日新聞 4/9 朝刊8面


    ・中国が円安のリスクを警告-黒田新総裁の日銀政策に懸念表明

    4/3 ブルームバーグ

    http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKO7JQ6JTSFG01.html

    昨年秋に、安倍氏が自民党の新総裁に選出された時、私は、タカ派にしか任せられないのか、と嘆きました(文献1)。


    その2ヶ月後の総選挙で政権が交代しましたが、それをきっかけに異常円高がどんどん改善され、適正レベルの100/ドル以上(文献2)に突入も時間の問題です。


    異常円高の是正で、企業業績は急回復の兆しで、株価は急上昇していますが、私は、「経営者は、是非、賃上げを」と望みました(文献3)。その後、何と安倍総理が、直々に経団連に賃上げを要求し、それに応じる形で、春闘では、経営者側から続々と、ボーナス増額の回答が出ています。こういうことは、民主党政権下で起きねばなりませんでした。


    民主党が、エネルギー政策、外交、に能力がなくても(文献1)仕方がありません。しかし企業べったりの自民党にすらできる労働者の待遇改善が、連合の支援を受けた民主党の3年間の政権下で、何一つできず、中小企業の賃金調査に基づく人事院勧告を無視して公務員の給料を10%カットするという法律違反の待遇劣化しかせず、仕方なく国に右を習えをした地方で、地方公務員の賃金カット、また、退職金を突如削減したため退職直前に教師や消防士が退職して大混乱になる、などしかしなかった民主党。このような政党に、存在意義はありません。さっさと消滅すべきです。


    ーーーーーー

    (参考文献)


    1)

    20121001日「安倍自民党新総裁「原発推進は間違っていなかった」ーータカ派にしか任せられないのか?」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52082496.html


    安倍元首相が自民党の新総裁に選出されたことを報じる一面の記事に、東京新聞は「民も自も「タカ派」」という見出しをつけました。そして3面の半分の紙面を割いて、危うい国民とのズレ、暮らし語らず、原発ゼロ否定、と言う見出しの解説を書いています。


    原発に対して安倍氏が、「原発推進そのもは間違っていなかった。原発への依存度を減らしていくが、今ゼロと言えば原子力の技術を失う。手放すべきではない。今ゼロだというのは極めて無責任だ」と発言しているのに対し、


    東京新聞は、突き放した発言、国民感情とのずれを浮き彫りにした、と「批判」しています。現在の国民感情とずれている、という指摘は正しいです。


    しかし、一時の国民の感情に流されず、現実を踏まえた冷静な判断をするのが政治家の見識です。小沢氏の様に、票欲しさに節をまげ、媚びを売っては、政治家の資格がありません。


    尖閣の国有化宣言に対して中国で盛り上がっている反日運動に、民主党が全く無力であることも、この数日の動きで明確になりました。


    中国共産党序列第4位の「か慶林」中国人民政治協商会議主席と会談したのは、日本国際貿易促進協会会長の河野洋平前衆議院議長であり、同席したのは、日中友好協会会長の加藤紘一自民党元幹事長や、日中友好議員連盟会長の高村正彦元外相でした。そのほかに4つある日中友好7団体の会長は、日中協会が野田毅元自治相、日中経済教会会長が張富士夫トヨタ自動車会長、日中文化交流協会会長は、西武流通グループ代表、セゾングループ代表などを歴任した辻井喬で、民主党議員が会長になっているのは唯一、元参院議長の江田五月(日中友好会館会長)です。対話の窓口がない民主党に外交は任せられません。


    政権交代の目玉の国家戦略局構想に期待に胸膨らませ、公開の事業仕分け作業に政権交代を実感しました。しかし、2位ではなぜダメかという、本質をついた発言を活かすことができず、事業仕分けは大山鳴動に終わってしまいました。何の新しい国家戦略も聞けません。厚生労働大臣になってからも、野党の感覚そのままで重箱の隅をつつく追及するしか能がなく行政の邪魔しかしなかった人もいました。昨年の管首相の妄動など、多方面で無能さが露呈した民主党には、本当に幻滅です。


    安倍晋三氏は、私が最も嫌う思想の持ち主ですが、そういう人しか、当たり前のことが言えない、まともなことができそうにない現状は、とても悲しいことです。


    2)

    20130206日「円ドルレートの適正レベルは100~120円だろうーー「どうしても1ドル50円時代が来る」の浜矩子氏の主張通りになる日が来るか?購買力平価説は正しいか?」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52100125.html


    3)

    20130202日「急伸、アベ相場 12週連続の株価上昇 企業業績も急回復の兆しーー経営者は、是非、賃上げを」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52099712.html


    4)

    春闘、ボーナス増額次々…アベノミクス追い風

    読売新聞 313()1215分配信

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130313-00000602-yom-bus_all


    今春闘で連合は、デフレ脱却をねらい、定昇を確保した上で、給与総額の1%引き上げを要求。これに対し、経営側は1月時点で、定昇の延期や凍結の可能性もあるとの厳しい姿勢を示していた。しかし安倍首相の「アベノミクス」による円安や株高に加え、政府からの賃上げ要請を受けて潮目が変わり、定昇を維持する方向でほとんどの大企業が一致。一時金の積み上げが焦点となっていた。

    .

    5)

    春闘、際立つ「政治介入」=企業、政権要請で給与増も-労組に歓迎と警戒〔深層探訪〕

    時事通信 316()828分配信

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130316-00000025-jij-bus_all

    首相の声に応じ、一時金増額にまず動いたのがローソン。これにライバルの流通大手も続き、セブン&アイ・ホールディングスやイオンリテールは基本給引き上げ(ベースアップ)、ファミリーマートは一時金増額にそれぞれ踏み切った。

     ローソンなどは給与増額の発表文に「政権の要請に賛同した」とあえて明記。組合員平均205万円となる一時金要求に満額回答したトヨタ自動車も「安倍政権の要請は重要な判断要素の一つだった」(宮崎直樹常務役員)と明かした。

     安倍首相は「政権の方針に賛同し、報酬引き上げを宣言する企業も次々と現れている」と成果を誇り、麻生太郎副総理は「賃上げ(を求めるの)は本来、連合の仕事だ」と労働側を皮肉った。

     給与増額を訴えた安倍政権には共産党もエールを送る。8日の衆院予算委員会では麻生副総理が「共産党と自民党が一緒になって『賃上げを』というのは歴史上初めてだ」と述べたのに対し、笠井亮議員(共産)が「一致するところが多い」と珍しく政府を持ち上げた。

    とはいえ、春闘の当事者である労働側には給与引き上げを安倍政権の「手柄」とされることへの警戒感も強い。自動車総連の相原康伸会長は「政府の要請や行動が決定打になったとは全く考えていない」と断言し、労使交渉に口を出す政府への不快感を隠さなかった。

     給与は増えても労働側が手放しで喜べる状況ではない。安倍政権が設置した産業競争力会議では雇用規制の緩和に向けた議論が始まり、正社員を解雇しやすくする「柔軟な雇用」の仕組みなどが検討課題に上る。給与増額要請に真っ先に応じたローソンの新浪剛史社長は、その旗振り役の一人でもある。

     連合の古賀会長は雇用の規制緩和に「断固反対の姿勢を貫く」と強調するが、給与増額の動きが安倍政権の手柄とされて参院選で自民党が勝利すれば、経営側の期待に沿った規制緩和が現実味を帯びる。給与増という一点で「政」「労」の思惑が重なった13年春闘だが、労働側には逆風が吹き始めている。

    昨年9月6日の文献1で(当時、1ドル80円を切っていました)、適正レートは100120円だろうと書きました。


    今年1月8日の文献2に対して、tamaking69さんから、浜矩子氏の「1ドル50円時代」(文献3、4)は遠退いたと思って良いのでしょうか、と質問がありました。


    浜矩子氏は、1995年頃から執念深く「1ドル50円時代が来る」と言って来たらしい(文献5)ですが、201110月の77円弱をピークに円高は終わり、自民党政権になってから異常円高はどんどん是正され、2/5現在は、93円にまでなっています。浜矩子氏の主張する50円は、訪れることがないように思われます。


    ーーーーー

    為替レートは、購買力平価で決まる、という説(文献6)がありますが、必ずしも正しい、とは言えないように思われます。


    過去40年間の、円・ドル為替と購買力平価(消費者、企業、輸出)の推移を見ると、ドル・円相場が購買力平価に近づくと言うよりは、購買力平価がドル・円相場に近づくように見えます。

    円ドル・為替レートと購買力平価の推移


    円・ドルレートは、日米の金利差で決まる、と言う説明もあります(文献7)が、後付けに過ぎない様に、思えます。


    1985年のプラザ合意で円が急騰しましたが、その後は2007年まで20年弱にも亘って1ドル=120円程度でした。このような長期間に亘ってほぼ一定というのはかなりの重み、と考えます。

    円ドル・為替レート推移


    ーーーーーーー

    (参考文献)

    1)

    20120906日 「ぐんぐん価格上昇する天然ガスーーー異常円高が是正された時に電気代の大幅上昇必至。製造業の衰退必至」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52078829.html


    2)

    20130108日「米国LNG関連ニュース5本ーーー天然ガスのニューヨーク市場は4ドル/MMBtu程度。シェールガスLNGの輸出を待ちわびる日本。最短2017年から」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52096649.html


    3)

    「どうしても来る1ドル50円時代」朝日新聞のwebronza の記事  2011.08.19: 浜矩子http://astand.asahi.com/magazine/wrbusiness/2011081900007.html?iref=webronza


    4)2012年は1ドル=50円時代が到来する」

    NEWSポストセブン201201041600

    http://news.livedoor.com/article/detail/6166297/


    2011年、EU(欧州連合)崩壊の危機、アメリカのデフォルト危機などで通貨問題は大きく揺れた。2012年、ドルの行方はどうなるのか。今、最も注目されているエコノミスト浜矩子氏が予測する。


    筆者はドル高修正の流れはいよいよ最終局面を迎えると予測する。財政恐慌の危機はギリシャという周辺から始まり、次第にEUの中心へと向かっているが、最終的には本丸アメリカへと向かう。


    振り返れば、ドルと金の交換停止を宣言した19718月の「ニクソン・ショック」により、事実上ドルは基軸通貨の地位から退位を余儀なくされ、19859月のプラザ合意によってドル安が世界の合意となった。こうしたドルの落日にとどめを刺したのが20089月のリーマン・ショックだった。


    加えて近年、アメリカ自身が、ドルが基軸通貨たることを放棄し、ドル安を露骨に望んでいる。それを物語るのが、オバマ大統領が10年初めの一般教書演説の中で「向こう5年間で輸出を倍増させる」と宣言したことだ。


    さらに2011年の一般教書演説では「今後、世界で誕生する雇用機会は全てアメリカで生まれ、新たに起こるイノベーションは全てアメリカで起こるものでなければならない」と発言した。あからさまに?アメリカ良ければ全て良し?と宣言したのである。


    筆者はこれまで、ドル高修正の象徴として、いずれ「1ドル=50円時代」が到来すると予告してきたが、2012年にはその数字がいよいよ現実のものとなっていくだろう。1ドル70円を割れば一気に加速がつき、60円を割って50円へと向かう。その時、名実ともに、完全に、ドルは基軸通貨でなくなる。


    EUもアメリカも破綻は避けられない。リーマン・ショックは金融恐慌を引き起こし、それを食い止めようとして財政が出動した。そのことで財政恐慌が起こり、それがまた金融恐慌をもたらすこうした金融恐慌と財政恐慌の無限ループが垣間見えたのが11年で、それが本格化するのが12年である。


    ちなみに、日本が世界最大の債権国、アメリカが最大の債務国であるのに対し、ユーロ圏全体で見ると債務、債権はほぼバランスが取れている。とすれば、ユーロが今後も存続していると仮定して、円とドルの間にユーロが位置するのが適当であり、1ドル=50円時代における円の対ユーロレートは70円台ぐらいになっていくと思われる。


    5)
    浜矩子語録(168) 1ドル50円が怖くないワケ
    20120823 | 浜矩子語録
    http://blog.goo.ne.jp/n-mayuzumi/e/6d730b101419df9bef71f9d3c65af9c8
     

    浜矩子が「ユーロ消滅」「1ドル50円」と言う語気を激しくするに及んで、日本のグローバル企業の多くが、ユーロ危機と円高の行く末に対して神頼みするかのごとき昨今である。

     

    本日のテーマは2つございます。第一のテーマは『1ドル50円時代の到来!』、第二のテーマは『一国多通貨時代の到来?』ですけれども、1ドル50円時代は必ず参りますので語尾にエクスクラメーションマ-ク「!」を付けていただきます。 また、一国多通貨時代の到来は、それがあるかも知れないということで、クエッションマーク「?」を付けていただきます。

     

    私は、1995年頃から執念深く「1ドル50円時代が来る」と言って参りました。この頃、私はロンドンに滞在しておりました。円相場は100円近くに落ち着いておりましたけれども、円が150円に戻るか50円に進むか議論する機会がありまして、私は50円に進むと予測したわけでございます。50円になるということには理由がございます。

     

    第一はバランス要因ということでございます。 ドルの足が長いことを良いことに、どんどん米国にカネが流れて行ってしまう。 そこで金融が暴走したことがリーマンショックの原因にもなったわけでございますけれども、そのドルに対する過大評価の修正をしなければならないというバランス要因でございます。

     

    第二は歴史要因でございます。実をいえば1971年8月15日に1ドル50円になっても不思議ではありませんでした。この日は(第二の)ニクソン・ショックの日でございます。リチャード・ニクソン米大統領(当時)が「固定比率でのドル紙幣と金の交換を停止する」と発表した日、ドルと金の交換が止まった日でございます。

     

    この日すでに、ドルは通貨の王様ではなくなったわけでございまして、以後、段階的に少しずつ、しかもペースを速めて力を落としていったのでございます。


    「他の条件は何も変わらずに50円になる」「明日の朝50円になっている」と考えている人もいらっしゃいますけれども、そういう可能性は極めて低いわけでございまして、日本やアメリカの経済体質が変わらないでそういうことが一気に起こるわけではないのです。 前兆として日本の貿易決済がドル建てでなく円建てになっていく。50円という段階では圧倒的に円建てになって参りますから、そのとき日本では円は使われていない状況になるわけです。

    6)
    古典派理論(4)購買力平価説http://www.findai.com/yogo/0201.htm

    7)投資コラム 経済状況 野田聖二氏 第8回 為替相場の見通し

    http://www.my-adviser.jp/new_contents/column2010/s_noda_c201008.html

    このところの円ドルレートは米国の長期金利とほぼ同じ方向に動く傾向がみられます。4月初めに一時4をつけた米10年国債利回りは低下に転じ、6月末には3%割れの水準まで低下しました。この間に為替は4月初めの1ドル=94円台から足元の86台まで円高が進んでいます。

    自民党政権になってからの、異常円高の是正と株価の回復で、輸出企業を中心に、企業業績が急回復しつつあるとのこと(文献1)で、政権交代は、大正解でした。


    政権交代によって景気回復が行われたかを確かめるために、株価と円ドルレートの、直近3ヶ月の推移をご紹介します。

    ドル直近3ヶ月
    日経平均直近3ヶ月


    総選挙が行われてから、異常な円高が徐々に是正されています。日経平均株価は、衆院解散の期待が高まってから上がり始め、解散されてから上昇が続き、政権交代してから、更に1割上がっています。


    政権交代と株価回復の相関性をより確実なものであることを見るために、過去一年の推移も見てみましょう。昨年春に、1万円になりましたが、5月以降ずっと9,000円前後で推移していました。12月からの株価上昇は、「突然」の、「急伸」と言って良いでしょう。

    日経平均過去1年


    ニューヨークダウのこの一年は、日本より変動が大きいです。当然とは言え、日本の「衆院解散」「総選挙」と明確な相関はありません。ニューヨークダウも12月から伸びているので、日経平均株価の上昇の重要な要因と考えられます。

    ニューヨークダウ過去1年


    更に、日経平均株価とニューヨークダウの、5年間の推移を見ると(縦軸が上図と違います)、2008年9月15日の、米国リーマンブラザーズの破綻に端を発したリーマンショックで、世界中が大不況に陥りましたが、米国では翌年春から回復が始まりました。

    ニューヨークダウ過去5年


    日本でも、株価は8,000円弱を底に、2009年春から回復を始め、秋には、1万円を越えるようになりましたが、そこからピタッと回復が止まりました。海外では回復が続いたのに日本だけが止まりました。

    日経平均過去5年



    明らかに、民主党が経済の回復を止めました。2009年の政権交代時に掲げた、国民の生活が第一、は、何とも、皮肉なスローガンでした。民主党政権下で、どれだけの労働者が職を失ったのでしょう。経済的問題でどれだけ多くの人が自殺したでしょう。選挙に勝つためだけに人に媚びた原発ゼロ政策を掲げ、経済をますます疲弊させようとしていた民主党が大敗したのは、日本の幸運でした。


    但し、いざなぎ景気を越える長期の好景気と言われた直近の好景気は、利益を溜め込みんだ企業のみが好景気を享受し、労働者には利益が配分されず、国民としては好景気を感じられない、いびつな「好景気」でした。


    経団連は、日本の賃金の根幹制度である定期昇給すら凍結するというトンでもないことを言い出しています(文献2)。是非とも、経済とは、企業活動とは、国民を豊かにするため以外のものでは決してない、ことを理解して、まともな利益配分を行うよう、期待します。



    ーーーーーーー

    (参考文献)

    1)

    急伸、アベ相場 岩戸景気に次ぐ12週連続の株価上昇 企業業績も回復 4~12月期

    朝日新聞 2012/2/2 朝刊

    http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201302010728.html


    円安・株高を促す「アベノミクス」で、企業の業績に急回復の兆しが出てきた。2012年4~12月期の上場企業の決算は、発表済みの純利益合計が前年同期より4割近く増えた。輸出が主体の製造業が復調し、銀行や証券でも好決算が相次ぐ。景気の底打ちが鮮明になりつつある。


    2)

    経団連「定昇凍結も」 春季労使交渉が実質スタート

    2013/1/22 1:41 情報元 日本経済新聞 電子版

    http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC2100A_R20C13A1PP8000/


     2013年の春季労使交渉が21日、事実上スタートした。経団連は同日発表した13年の労使交渉指針で、年齢や勤続年数に応じて給与を上げる定期昇給(定昇)について、危機的な経営状況にある企業では「延期・凍結」があり得るとの見方を示した。安倍晋三政権は物価の上昇を促す政策を打ち出しているが、賃金デフレの反転は微妙な情勢だ。


     経団連は同日、13年の春季労使交渉で経営側の指針となる「経営労働政策委員会報告」を発表した。円高やデフレを背景にベースアップ(ベア)について「実施の余地はない」と強調。定昇は「実施の取り扱いが論点」とした。延期や凍結は「極めて限定的な企業になる」(経団連幹部)見通しだが、定昇維持を前提とし、給与総額の1%上げを目指す連合など労働側と主張の開きは大きい。


     経営側の態度が厳しいのは、安倍政権の政策が企業収益の改善にどこまで結びつくか不透明なためだ。経団連の宮原耕治・経営労働政策委員会委員長(日本郵船会長)は、同日の記者会見で「光が差し始めたがこれからだ」と指摘。環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加やエネルギー制約の解消など構造改革の遅れを指摘した。


     安倍首相はデフレ脱却に向け「賃金や雇用を増やす好循環を生み出す」と訴える。政府・与党は来年度税制改正に、従業員の平均給与を増やした企業の法人税を減税する制度を盛り込む方向だ。


     だが、経済界では減税が時限措置となる見通しになっていることから「経営者にとって減税があるから賃上げしようというまでには至らない」(長谷川閑史経済同友会代表幹事)との声が強い。 労働側では、連合が昨年に引き続き、労使交渉の目標として諸手当などを含めた給与総額の1%引き上げを掲げる。だが自動車各社の労働組合が加盟する自動車総連、電機各社の労組が加盟する電機連合は賃金改善の統一要求を4年連続で見送る方針。産業界の足並みはそろっていない。


     最近の円高是正も「今春の要求に直接は影響しない」(全トヨタ労働組合連合会幹部)と慎重な見方が大勢。辛うじて「一時金交渉のプラス材料になる」(電機連合幹部)と期待する声が出ている程度だ。

    tamaking69>「寿命を支えるのは経済成長;松井彰彦東大教授」 朝日新聞1月17日(木)「オピニオン 先端医療と低成長」の記事が大変参考になりました。


    その通りです。本ブログでも、以前から、命のためには経済がとても重要であることを述べています。(文献1-3)

    そして、最近は、どうしたら日本経済が上向くかを考察しています。


    大鵬の横綱時代に、日本のGDPが大きく伸びたことを紹介しましたが、そのときに、平均寿命も大きく伸びました。

    日本のGDPと平均寿命の推移


    GDPが増え、人々が豊になることによって、栄養状態、衛生環境、医療環境が良くなり、また、高度治療も利用できるようになり、寿命が伸びました。

    日本のGDP対平均寿命


    とても興味深いことに、一人当たりのGDPが日本人の1/4であるロシア人女性の平均寿命は、日本のGDPが今の1/4であった、1960年代後半の日本人女性の平均寿命に近いです。

    ロシア人の男性の寿命が日本人男性よりかなり短いのは、アルコール中毒の影響に依るものと思われます。これについては、後ほど議論します。



    ーーーーーーー
    (参考文献)


    1)

    20120909日「おしゃれな文化人の坂本龍一が「たかが電気のために」と(産経ニュース7/21)。ーー電化こそ、明治の文明開化だった」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52079288.html


    2)

    20120319日「石油1バレルは12人の一年分の労働力相当。それが1ドルで採掘できる、ただ同然の燃料。世界の石炭生産は2030年をピークに減少を始める。」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52048582.html )


    3)

    20111009日「1人当りのエネルギー消費量が多い程、平均寿命が長くなる?」http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52006898.html

    48代横綱大鵬が1/19に亡くなりました。優勝32回は未だに史上最多(2位が千代の富士の31回、3~6位が、朝青龍25回、北の湖24回、白鳳23回、貴乃花22回)で、押しも押されぬ大横綱ですが、「巨人、大鵬、卵焼き」と言われ、いわば、時代の代名詞になった相撲取りで、二度と現れない大横綱と言えるでしょう。


    実は、私は、天の邪鬼な性格で、当時は、巨人も大鵬も嫌いでした。千代の山の69連勝に次ぐ連勝を続けていた記録が45(現在は史上4位)で途絶えた、戸田戦、見ていた大相撲中継で手を叩いて喜びました(昔すぎるので記憶が一寸怪しいが)。その後、精神的に大人になってからは、尊敬するようになりましたが。


    「小学x年生」と言う学習雑誌で、大鵬物語という記事があり、納谷幸喜少年が、納豆売りで、家計を助けた、と言う説明がありました。当時大阪に住んでいていて、納豆を見たこともなかったのですが、感心な子供、と思ったものです。関西人が大嫌いな納豆ですが、私に取っては、あこがれの食品になっていました。いつか食べたいものだと思っていました。今、水戸納豆の名産地の側に住んでいるのは幸せなことです。


    大鵬が横綱であった196111月~19715月は、1964年の東京オリンピックそのための東海道新幹線開通、を中心とする、1954年から1973年までの19年に亘ってGDPが大きく増大した(文献1)、高度経済成長のまっただ中でした。

    日本の国内総生産1955-


    この時代を、エネルギーの観点で見てみましょう。


    1950年から始まった石油の輸入が1960年代に急増しました(文献2)。高度経済成長は、石油で支えられました。


    日本のエネルギー消費量1950-


    大鵬が活躍した高度経済成長時代に、消費エネルギー(文献3)は年率11.4%で増加しました。

    時代背景


    「巨人、大鵬、卵焼き」の時代に我が国は、年率9.5%と極めて急激な経済成長を果たしたのですが、エネルギー消費の増大率はより大きかったので、下図に示す様に、1960年から1975年にかけてエネルギー利用効率は下がりました。ソ連と同様(文献4)、急激な経済成長は、エネルギー利用の非効率化を伴ったのです。

    日本のエネルギー効率1955-


    1974年と1980年の石油危機を経て、日本の産業は高効率化が進みました(文献4)。我が国は、世界で最も効率よくエネルギーを利用しており(文献4)、現在、原油1リットルを消費して1,500円程度の価値を生み出しています。


    ーーーーーーー

    (参考文献)


    1)

    原子力百科事典 日本の一次エネルギー供給構成と推移 (01-02-02-05)

    http://www.rist.or.jp/atomica/data/fig_pict.php?Pict_No=01-02-02-05-01


    2)

    資源エネルギー庁 パンフレット、日本のエネルギー事情、日本のエネルギー消費

    http://www.enecho.meti.go.jp/topics/energy-in-japan/energy2009html/japan/index.htm


    3)

    内閣府 1998年度国民経済計算 フロー編 1.統合勘定、1.国内総生産と総支出勘定

    http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h10/12annual_report_j.html


    4)2013
    0116日「ソ連崩壊の真相(2) 非効率な経済が原油をがぶのみして油田が枯渇したためーーゴルバチョフ改革が間に合わず」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52097752.html

    文献1で、1991年のソビエト連邦の体制崩壊は、1960年代から米国に対抗した高い経済成長を維持するため、石油を効率的に利用することはせずに、ただひたすら原油生産を増やしたので、さすがの豊かな油田も1980年に至って枯渇を始めためだろう、と論じました。

    根本原因は、ロシア(ソ連)のエネルギー利用効率が極めて低いからですが、より詳しくみると、西側陣営がオイルショックを経験した1980年代に拡大しました。以下のデータは文献2と3から取ったものです。


    米国より一桁も小さなGDPしかなかったソ連は、懸命に経済成長を続け、

    GDPの長期推移

    そのために、多くのエネルギーを消費しました。国内油田が豊富だったのでそれが可能でした。


    エネルギー消費量の長期推移


    ところがその効率(1トンの原油相当のエネルギーで生み出されるGDP)は、1970年に米国の1/5程度でしかありませんでした。

    エネルギー効率の長期推移


    西側陣営では、1974年の第一次石油危機、1980年の第二次石油危機を経験して、経済の効率が高くなりました。一方、ソ連では米国と無理をして張り合っていた1970年代にエネルギー効率が低下し、1990年には、米国経済との効率の差は11倍にまで広がりました。日本とは20倍の差でした。


    尚、文献4に依れば、歴史的にずっとロシアは低効率経済の国であったのではなく、1930年までは、世界平均より効率が高かった様です。そして、米国はずっと、低効率経済社会で、1950年頃にソ連と逆転し、1980年代にやっと世界平均になったようです。そして中国は、中国共産党が支配するようになって、極めて非効率な経済になった様です。

    エネルギー効率の超長期の推移



    (参考文献)

    ーーーーーーーー

    1)

    20130116日「ソ連崩壊の真相(2) 非効率な経済が原油をがぶのみして油田が枯渇したためーーゴルバチョフ改革が間に合わず」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52097752.html   


    2)

    Real Historical GDP - Understanding the World Today - ICAAP

    http://gsociology.icaap.org/data/ersallcombine.xls


    3)

    BP Statistical Review of World Energy 2012

    http://www.bp.com/sectionbodycopy.do?categoryId=7500&contentId=7068481


    4)

    Jan 19th 2011, by The Economist online

    Energy intensity is converging across the world

    http://www.economist.com/blogs/dailychart/2011/01/energy_use

    1991年のソビエト連邦の体制崩壊は、1960年代から米国に対抗した高い経済成長を維持するため、無理な原油増産を続け、さすがの豊かな油田も1980年に至って枯渇を始め、原油でしか支えられなかった経済が崩れたため、と言うことが分かりました(文献1)が、では何故、ソ連は、無理な原油生産をしなければならなかったのでしょう?


    文献1で紹介した原油生産量の推移に、GDPの推移(文献2)を重ねると、1970年代後半から1988年まで、原油生産量に見合わないGDPにしかなっておらず非効率な経済だったことが分かります。石油を効率的に利用することはせずに、むやみに原油生産を増やしたのです。1966年から始まるブレジネフ長期政権により政治・行政の腐敗が進み、原油も出たので、効率化の努力がなされなかったのでしょう。

    ソ連の原油生産量&GDP


    アフガニスタン侵攻が、体制崩壊の最後の決定打になったようです。

    ノーベル賞を受賞したゴルバチョフの登場で、原油利用効率が高まったつまり経済効率が高まりましたが、時既に遅し、で、油田は枯渇しており、原油生産量は急減し、経済は破綻したのでした。


    と言うことが図から分かります。


    ソ連時代の原油の利用効率が如何に低かったかを、他国と比較して見ましょう。データは文献3です。


    ロシアでは2000年に於いてすら、日独英の10倍も原油利用効率が低いですが、ソ連時代は、さらに一桁も効率が低かったのです。

    各国の原油生産量&GDP


    エネルギー源は、石油の他に石炭などもありますので、全エネルギーとの比を取るべきですが、そのデータが文献4に載っています。


    同じ国内総生産(GDP)を産出するのに、ロシアは日本の20倍も多くの一次エネルギーを使っています。依然、中国、印度よりも非効率な経済です。

    各国のエネルギー効率


    序でに、日本は、世界で最もエネルギー効率の高い経済システムの国です。

    日独英仏のエネルギー効率

    (参考文献)

    ーーーーーーーー

    1)

    20130115日「ソ連政治体制の崩壊の真相は、原油減産がもたらした経済破綻、か?」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52097628.html   


    2)

    Real Historical GDP - Understanding the World Today - ICAAP

    http://gsociology.icaap.org/data/ersallcombine.xls


    3)

    BP Statistical Review of World Energy 2012

    http://www.bp.com/sectionbodycopy.do?categoryId=7500&contentId=7068481


    4)

    エネルギー白書2011 第二部、第一章、第一節エネルギー需給の概要

    http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2011energyhtml/2-1-1.html

    ロシアはプーチンが大統領になった2000年から高度経済成長しているが、財政収入の半分を原油・天然ガスが占めており(文献1)、工業化はそれほど進んでおらず、原油価格次第の経済であることを、ご紹介しました。

    2000年にReynolds(文献3)は、1991年のソビエト連邦の崩壊は、石油危機の産物だった、と主張しました。ソ連という政治体制が崩壊したのは、「経済が破綻し、社会が崩壊したからである、制度疲労の限界に至ったから」という定説に対し、経済危機により原油生産が減ったのではなく、原油の生産が落ちたから経済危機になった、と主張します。

    彼の主張を検証するため、原油関連のデータ(文献4)から、ソ連を崩壊させた経済崩壊の原因を考えて見ます。

    ソ連の原油生産量は、1965年から1975年まで年率数%で急増し、1980年からほぼ一定で、1990年から急減しました。これに埋蔵量(文献5)のグラフを重ねました。

    ソ連の原油生産量&埋蔵量


    原油埋蔵量は1996年から急増し、それを反映して2000年から生産量が急増しました。現在の半分ほどしか埋蔵量がなかったにも関わらず、現在とほぼ同じ生産量であった1980年代は、生産過剰だったのではないかと考えられます。

    埋蔵量と生産量がかなり良い比例関係になることは、世界全体、米国、英国でのそれらの関係からも確認できます。

    世界の原油生産量&埋蔵量
    UK生産量&埋蔵量
    US生産量&埋蔵量


    1980年代のソ連の原油生産量は、余りにも多すぎた、と言えます。


    ソ連は、1960年代から米国に対抗した高い経済成長を維持するため、無理な原油増産を続け、さすがの豊かな油田も1980年に至って枯渇を始め、原油でしか支えられなかった経済が崩れ、その経済によってのみ維持してきた政治体制が崩壊した。

    と言うのが、ベルリンの壁崩壊、ソ連崩壊、の真相のように思われます。



    (参考文献)
    ーーーーーーーー

    1)

    20130111日「プーチンの第二代ロシア大統領時代(2000-2008)の高度経済成長を支えた石油・天然ガス輸出ーー財政収入の半分を占める」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52097195.html


    2)

    20130112日「ロシアの産業構造ーー工業化が進まず、原油価格次第の経済」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52097349.html


    3)

    Reynolds, Douglas B. (2000a) “Soviet Economic Decline: Did an oil Crisis Cause the Transition in the Soviet Union,” Journal of Energy and Development, Volume 24, Number 1, pp.65-82.

    http://www.oilcrisis.com/reynolds/sovietdecline.htm


    4)

    BP Statistical Review of World Energy 2012

    http://www.bp.com/sectionbodycopy.do?categoryId=7500&contentId=7068481

    2000年から始まったプーチン政権時に、ロシアが大きく経済成長したが、それは原油の輸出に依るものであった、ということを紹介しました(文献1)が、この間、工業化は大きくは進んでおらず、原油価格次第の経済に止まっているようです。


    BRICs諸国の製造業の業種別比率(文献2)を見ると、中国とロシアの違いが歴然としています。世界の工場と呼ばれる中国では電気機械の比率が16%ですが、ロシアでは1.3%でしかありません。

    BRICsの製造業


    韓国、メキシコ、ブラジルと比べても(文献3)、ハイテク製造業が殆ど育っていないことが分かります。

    新興経済国のハイテク製造業


    年金、国防などの歳出(文献4)

    ロシアの歳出


    を賄う歳入は、30%程度の原油、20%程度のガスを含む資源の輸出に殆どを頼っています。

    ロシアの歳入


    このため、ロシアの株価はほぼ正確に原油価格に追随しています。

    ロシアの株価と原油価格
    原油価格次第の経済であり、リーマンショックで世界の経済が後退した2009年に、需要が大幅に減って原油価格は大きく低下し、ロシア連邦政府は大きな赤字になりました。原油価格の上昇で財政状況は改善していますが、シェール革命で原油価格が下がれば、また苦しい台所事情になるのでしょうか。
    ロシアの財政収支の推移


    (参考文献)
    ーーーーーーーー

    1)

    20130111日「プーチンの第二代ロシア大統領時代(2000-2008)の高度経済成長を支えた石油・天然ガス輸出ーー財政収入の半分を占める」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52097195.html

    2)

    ロシア経済の現状と課題 20098月 石井昌司

    http://www.kyoai.ac.jp/college/ronshuu/dp/ishii-dp6.pdf


    3)

    三菱UFJリサーチ&コンサルティング 堀江正人

    ロシア経済の現状と今後の展望~ ロシアは「低成長国」になってしまうのか? ~

    http://www.murc.jp/thinktank/economy/analysis/research/report_121030


    4)

    防衛省 防衛研究所

    東アジア戦略外観 2012 5 章 ロシア 中国を意識した東アジア外交の模索

    http://www.nids.go.jp/publication/east-asian/pdf/eastasian2012/j06.pdf

    米国のシェール革命で世界が大きく変わりつつあることをご紹介しています(文献1)が、天然ガス生産量で、カナダ以下を大きく引き離し、米国と1位2位を争っているロシアの経済状況についてデータご紹介します(文献2)。


    昨年5月に2回目のロシア第4代大統領に就任したウラジーミル・プーチンは、2000年から2008年まで、初代大統領エリツインの次の第二代大統領でした。1998年のロシア金融危機で打撃を受けた経済は、プーチン時代に大きく成長しましたが、原油・天然ガスの輸出が支えた様です。


    プーチンが首相になった1999年からロシア経済は年に7%程度の経済成長を続け、

    ロシアの経済成長率


    一人当たりGDPは、2000年の1,762ドルから2007年には5倍の9,050ドルにもなっています。

    ロシア一人当たりGDPの推移


    月収15,000ルーブル(600ドル程度)以上の人の人数が、2004年の1千万人から2008年に5倍の4千9百万人になり、6,000ルーブル以下が8千9百万人から1/3の3千百万人に減っています。


    ロシア所得階層別人口構成の推移



    プーチンが絶大な人気なのも宜なるかなです。


    これを支えたのは、天然ガスと生産量世界2位の石油の輸出でした。

    政府の財政収入の半分近くが石油・天然ガス輸出収入だったのです。

    ロシア連邦政府の財政支出に占める石油収入


    第1図にあるように、2004年からの原油価格の急騰も高成長率を後押ししたようです。


    ーーーーーーーーーーー
    (参考文献)

    1)

    20130106日「世界最大の天然ガス消費国である米国が、シェール革命で、2010年代後半には、天然ガス輸入国から輸出国に転じる予想」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52096586.html


    2)

    ロシア経済の現状と課題 20098月 石井昌司

    http://www.kyoai.ac.jp/college/ronshuu/dp/ishii-dp6.pdf

    原油やLNGの輸入先分散 アフリカ・ロシア産急増ーー価格引き下げ狙う(日経2012/12/6


    日本の天然ガスの価格が米国の数倍であるのは、ガス田から遠いためコストのかかる液化ガスで輸送していること、資源の安定供給のため原油価格に連動した長期契約であるため、と言う事情をご紹介しました(文献1)。原発の再稼働がままならない中、LNGの輸入を増やさざるを得ず、歴史的な多額の貿易赤字になっています(文献2)が、価格を引き下げようとする試みは幾つも行われています。


    その一つを報じた、昨年12月6日の日経新聞の記事を紹介します。


    調達先を分散することで、資源国との交渉力を高めようとする試みです。お得意さんだった南欧諸国が景気後退で需要が減少した、アフリカ産の輸入が2倍以上に増えているそうです。価格はトン当たり6万7千円で、現在の主力であるインドネシア、マレーシア産より1割安いとのことで、主力資源国を牽制しようとのことのようです。


    ーーーーーーー

    原油やLNGの輸入先分散 アフリカ・ロシア産急増ーー価格引き下げ狙う(日経2012/12/6


    エネルギーの調達先を分散する動きが加速している。今年に入り液化天然ガス(LNG)はアフリカ産が倍増し、原油はアフリカやロシア産が増えた。原子力発電所の停止で火力発電向け需要が急増し、日本の燃料価格は軒並み上昇。輸入先を広げ、資源国との交渉力を高めて価格を引き下げる狙いがある。


     JX日鉱日石エネルギーは今年4月からナイジェリア産LNGの輸入を始めた。丸紅など大手商社もアフリカ産LNGの輸入を増やしている。


     貿易統計によると、アフリカ産のLNG輸入量は1~10月に760万トンと前年同期の2.4倍。全輸入量に占める割合も同2倍の1割となった。ナイジェリアや赤道ギニアなどからの輸入が急増している。


     アフリカ産は有力な販売先だった南欧諸国の景気減速で需要が減少。日本向け輸出が増えた。スポット(随時契約)取引が多いナイジェリア産の輸入平均価格は1トン6万7千円で主力のインドネシアやマレーシア産より約1割安い。


     1~10月の日本のLNG輸入額は約5兆円と前年同期比3割増えた。電力やガス会社は調達先を従来の東南アジアや中東から、アフリカや米国などに広げて「長期契約交渉で主力資源国をけん制する」(東京ガス)。


     原油では硫黄分が少なく、発電に適したガボン産が急増。ロシア産は極東のコズミノ港からの輸出が2013年に日量60万バレルと今年10月に比べ倍増する。日本は原油輸入量の5%にあたる同20万バレル以上を輸入する見通しだ。原油の中東依存度は09年の90%から現在は83%に下がっているが、今後は一段と低下しそうだ。



     液化石油ガス(LPG)も家庭用燃料のプロパンが昨年はゼロだった米国産の輸入量が1~10月に22万トンとなった。米国での「シェールガス」の増産で一緒に生産されるプロパンの需給が緩和。サウジアラビア産のプロパン価格よりも約5割安い。


     LPG元売りのアストモスエネルギー(東京・千代田)やENEOSグローブ(同)は14年以降に米国産の長期契約を増やす。両社の輸入分だけで15年には日本の輸入量の8%に達する


    ーーーーーーーー

    (参考文献)

    1)

    「日本の天然ガスの価格は、何故、米国の9倍も?ーー理由:世界のLNG30%を輸入する日本の価格は原油に連動し、長期契約。LNGはコストがかかる、等々」


    2)

    20121025日「2012年上半期。貿易赤字、過去最大の3兆2189億円ーーLNGなど燃料の輸入増が続いていることが要因」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52086032.html

    日本の天然ガスの価格が米国の価格の「9倍も」するのは、日本の価格が異常に高いと言うよりむしろ、米国の天然ガス価格が異常に低いからであり、それは、シェールガスの開発が進んだからであることを、文献1で説明しました。その状況をより詳しく紹介します。


    天然ガスの生産量は、米、露がダントツの1位、2位です(図1。以下、前田高行氏のデータ(文献2))が、

    主要国の天然ガス生産量の推移


    米、露は、消費量も1位、2位で、米と露の差は大きいです。

    天然ガス多消費国



    生産量が世界最大の米国では、消費量が生産量を大きく上回り、毎年1億立方メートルもの輸入をしていました。そして、2007年の予測では、天然ガス輸入量は2015年まで増える見込みでした(図3。この図だけは文献3)。

    米国の天然ガス輸入量予測


    このように、北米でも大きな需要があったため、2008年までは天然ガスの価格は日本と殆ど同じでした。(文献1)

    天然ガス日米の変遷


    状況が変わったのは、2006年から、です。米国の採掘技術の進歩によりシェールガスが開発され(文献4)、2008年から、輸入量が減るくらいの生産規模になっています(図4)。

    天然ガス生産量と消費量の差


    シェールガスの生産量は更に増える見通しで、2011年にまだ世界第4位の天然ガス輸入国ですが、

    天然ガス輸入国シェア



    2010年代後半には、米国が輸出国になると予想されています(文献5)。


    天然ガスは移送が容易ではなく地域価格性が高いので、カナダは輸出国、米国も輸入がどんどん減っていて近く輸出国になる見込みの北米で、天然ガスがだぶついて価格が大きく低下するのは、市場原理から、当然です。


    この様な、北米の異常な事情を調べもせずに、北米と比べて日本の天然ガスの価格が高いのは、電力会社が利益を貪っているから、と、公党が(文献6)、ネットの無知な素人と変わらない紋切り型の短絡的見方をするのは、悲しいことです。電力会社の子会社である一輸入業者が利益を貪るような価格操作をする力があると考えるとは、市場を操る力があると考えるとは、何と幼稚なことでしょう。


    ーーーーーーー


    (参考文献)

    1)

    20130105日「日本の天然ガスの価格は、何故、米国の9倍も?ーー理由:世界のLNG30%を輸入する日本の価格は原油に連動し、長期契約。LNGはコストがかかる、等々」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52096100.html


    2)

    前田高行:BPエネルギー統計レポート2012年版解説シリーズ:天然ガス篇

    http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0233BpGas2012.pdf


    3)

    石賀敬 世界と日本の天然ガス需給の現状

    http://www-cres.senda.hiroshima-u.ac.jp/publications/reports/pdfreport/vol20/ken20-03.pdf


    4)

    20120324日「シェール(頁岩)ガスの登場で、天然ガスの供給量が増大」http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52049706.html


    5)

    ロイター  2012/11/14

    米政府、天然ガス順輸出国となる予想時期を前倒しへ EIA高官

    http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE8AD02S20121114


    6)

    日本共産党 吉井英勝オフィシャルホームページ

    http://www.441-h.com/kokkai.html#0828

    日本の火力発電の燃料である液化天然ガス(LNG)の価格が高い、と言うことが話題になっています(文献1-3)。


    確かに、米国での天然ガスの価格は昨年4月には1mega BTU(MMBTU 註)当たり2ドルを切りましたが、日本の輸入価格は18ドルで、9倍でした。どうしてこんなに高値で買わされているか、調べて見ました。(下図は文献4から)

    LNG価格日米欧

     


    日本総研の藤山氏の解説(文献5)には、天然ガスは、原油に対する副次的な資源として位置づけられて来たことと、常温で気体であるため輸送面に制約があって、殆どが自国で消費されたため、石油と違って天然ガスは、市場が国際化しづらかった、と書かれています。


    近隣諸国に輸出するにもパイプラインが必要で、遠方に輸送するには、液化装置や、特殊な輸送船が必要で、どちらもコストがかかります。

     

    世界のLNGの輸入の約半分が日本と韓国です。(下図は文献6から)かつては、日本だけで世界のLNG貿易量の半分以上を占めていました。

    LNG区別輸入量


    原油は2/3が輸出されていますが、天然ガスは7割が自国消費です。(下の三つの図は文献7から)

    石油とLNGの貿易比率

     


    原油は、世界的に輸出されていますが、天然ガスは、北米内、欧州内、そして東アジアと市場が3つに分断されています。

    石油貿易
    LNG貿易

     

    北米内の市場はパイプラインでの輸送なので輸送コストが低く安価に取引されますが、アジアへの輸送にはLNGにするしかなく、液化及び輸送のために、1MMBtu当たり6-7ドル程度の輸送コストが上乗せされます。


    更に、日本の場合は、1969年が最初のLNG輸入でしたが、昨年3月のブログ記事(文献8)で紹介したように、1973年の第一次石油ショック、1979年のイラン革命でのイランの石油生産ストップで起きた第二次石油ショックで重要性が認識された電源分散化として、石油代替燃料の位置づけで石炭火力が復活&急増するとともに、LNG輸入が急増しています。

    電源別発電量変遷

     


    そういう経緯でのLNG火力なので、資源の安定確保のための30年程度の長期契約が主で、且つ、文献8で紹介した下に再掲する図で確認できるように、価格は原油の輸入価格に連動しています。

    石油、原油、LNG価格の変遷

     


    実は、米国の天然ガスの価格は、2008年までは日本のLNG価格と同じでした。2000-2001年は記録的な寒波等で、2005年後半にはハリケーン「カトリーナ」と「リタ」が米国メキシコ湾に来襲し、石油や天然ガスの生産関連施設や製油所に被害を及ぼし、需給が逼迫して価格が高騰しました。下図は文献5から。

    2009
    年から急激に価格が低下したのは、シェールガスが登場(文献9)したからです。

    天然ガス日米の変遷

     


    2012年4月に2ドル/MMBtuを割った米国天然ガスの価格も11月には3.6ドルになっています。ガス価格の低下により石炭火力からガス火力への移行が起き、需要が増えたから、の様です。


    日本では、燃料費の変動が電気料金に反映される燃料調整制度があるために、電力会社の燃料調達コスト抑制のインセンティブが弱まる、と言う因子はありますが、日米での価格差を、電力会社が暴利をむさぼっている、と言う(文献10)、凝り固まった偏見で見るのは、残念なことです。かつて、原子力の平和的利用にむけた基礎的な研究は、継続、発展させるべき、と主張していた、科学の力を信じる共産党には、真実を見ようとする科学的姿勢を貫いて貰いたいものです。


    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    註)

    1ポンドの水の温度を華氏度で1度上げるのに必要な熱量。1BTU = 1055.05585 J

                          1 MMBtu 天然ガス25m3

                          1 ton LNG 50 MMBtu

     

    1)

    東電、米国の9倍で購入。吉井議員 LNG価格を指摘

    赤旗新聞2012年7月28

    http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-28/2012072804_03_1.html

     

    2)

    NHKクローズアップ現代(20121129日放送

    「『ジャパンプレミアム』を解消せよ~密着 LNG獲得交渉~」

    LNG価格に「ジャパンプレミアム」欧米の数倍で買わされ電気料金に転嫁

    http://www.j-cast.com/tv/2012/11/30156202.html?p=all


    3)

    PRESIDENT 7月16日号

    なぜ日本の天然ガスの価格は、アメリカの9倍も高いのか

    一橋大学大学院商学研究科教授橘川武郎

    http://president.jp/articles/-/6730


    4)

    (独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構 石油調査部坂本茂樹

    世界LNG:2011年の日本のLNG輸入および世界LNG需給の状況

    http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/4/4573/201201_023a.pdf#search='JOGMEC+%E5%9D%82%E6%9C%AC+LNG+2011%E5%B9%B4'


    5)

    日本総研 藤山光男氏のBusiness & Economic Review 2012. 9

    LNG火力の燃料調達コスト抑制に向けた課題

    http://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/ber/pdf/6275.pdf


    6)東京ガスのHP

    みんなのエネルギー広場/世界の国別天然ガス・LNG輸入国と輸入量

    http://www.tokyo-gas.co.jp/kids/data_11.html


    7)経産省エネルギー白書2011

    第2部エネルギー動向 第2章国際エネルギー動向 

    第2節一次エネルギーの動向

    1.化石エネルギーの動向

    http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2011energyhtml/2-2-2.html


    8)

    20120326日「石炭火力発電が、オイルショック後に復活し、2000年頃から増加を始める」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52050031.html


    9)

    20120324日「シェール(頁岩)ガスの登場で、天然ガスの供給量が増大」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52049706.html


    10)

    日本共産党 吉井英勝オフィシャルホームページ

    http://www.441-h.com/kokkai.html#0828

    ” 東電の100%子会社「TEPCOトレーディング」と、三菱商事が半分ずつ出資して2006年1月に設立した「セルト社」、2011年に、100万BTU(英国の熱量単位)あたり米国向けにLNGを扱う三菱商事には4ドルで販売する一方、東電に14.7ドルで販売、3.5倍の違いがありました。直近の2012年には三菱商事には2ドル、東電に18ドルと9倍もの格差に。高い燃料価格は電気料金に転嫁されて、結局、ツケは国民に回されます。東電の購入価格が高くなればなるほど、セルト社のもうけが増え、東電のもうけも増えるという構図です。

    貿易赤字が11月だけで9534億円で、これは過去最大であること、11月までに累計6兆円超になることが報じられました。(文献1&2)

    今年2012の年の上半期には、3兆2千億円の赤字になったことを報告していますので、一月を残して6兆円超は、同じペースです。貿易収支は、昨年の2011年に、31年ぶりに赤字に転落しましたが、赤字額は2兆5千億円で、今年の赤字額は倍以上です。(文献4)

    火力発電の燃料費は、2012年に3兆2千億円の増額になる見込みとのことですから、貿易赤字の半分が、燃料費の増額と言うことになります。

    日本エネルギー経済研究所の試算によれば、大飯3、4号含む9基が、2013年度下期に稼働すると、燃料費は12年度に比べ0.5兆円ほど圧縮され、26基が順次再稼働すれば、1.1兆円の燃料費が削減されるとのことです。(文献3)



    (参考文献)

    ーーーーーー

    1)

    貿易赤字、通年で過去最大へ 11月まで累計6兆円超

    201212191259分 朝日新聞デジタル

    http://www.asahi.com/business/update/1219/TKY201212190359.html

     財務省が19日発表した11月の貿易統計(速報)によると、貿易収支は、9534億円の赤字だった。今年の貿易赤字は計6兆円を超え、年間で過去最大だった1980年(2兆6128億円)を大幅に上回るのが確実な情勢になった。

     貿易赤字は5カ月連続で、月ごとの額では過去3番目の大きさだった。輸出の減少が響いている。欧州の景気低迷に加えて、中国の景気減速や日中関係の悪化もあって、輸出が上向かない。11月はさらに、スマートフォンなどの通信機器の輸入が急増し、貿易赤字の増加に拍車をかけた。12月もこの傾向が続くとみられるため、年間の貿易赤字額は、第2次石油危機後の1980年の水準を大きく超す見込みだ。

     11月の輸出は、前年同月比4.1%減の4兆9839億円で、6カ月連続で前年同月を下回った。地域別にみると、欧州連合(EU)向けが同19.9%減の5016億円、中国向けが同14.5%減の8587億円と目立った。中国向けでは、自動車が同68.6%減、自動車部品が同43.5%減と大きく落ち込んだ。領有権をめぐる日中関係の緊張が響いたとみられる。

     この結果、対EUの貿易赤字は1264億円となり、月ごとの額では過去最大だった。対中国は5475億円の赤字で、11月としては最大だった


    2)

    貿易赤字9534億円 11月で最大、5カ月連続

    2012.12.19 09:37  産経ニュース

    http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121219/fnc12121909380005-n1.htm

     財務省が19日発表した11月の貿易統計(速報、通関ベース)は、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が9534億円の赤字となった。5カ月連続の赤字で、11月としては比較可能な昭和54年以降で過去最大。9月の日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化をめぐり発生した反日デモや日本製品の不買運動の影響で、中国向けの輸出が落ち込んだことなどが影響した。

     輸出は前年同月比4・1%減の4兆9839億円で6カ月連続で減少。中国向けは、自動車が同68・6%減、自動車部品が43・5%減となり、全体としても14・5%の減少となった。この結果、中国との貿易収支は5475億円の赤字となり、9カ月連続の赤字を記録。11月としては過去最大の赤字となった。

     欧州債務危機の影響が続く欧州連合(EU)向けも同19・9%減と14カ月連続で減少。自動車や船舶の輸出が落ち込み、貿易収支も月別で過去最大の1264億円の赤字となった。

     自動車輸出などが好調な米国向けの貿易収支は4538億円の黒字だった。

     輸入は同0・8%増の5兆9373億円と2カ月ぶりに増加となった。火力発電用燃料の液化天然ガス(LNG)やスマートフォン(高機能携帯電話)の増加が影響した。

    3)

    原発9基再稼働でも貿易赤字 来年度6.3兆円 エネ研試算

    20121221日(金)08:21 Sankei Biz

    http://news.goo.ne.jp/article/businessi/business/fbi20121220004.html

     日本エネルギー経済研究所は20日、原子力規制委員会が来年7月に策定する新安全基準で再稼働が見込める原発が50基中9基にとどまった場合、2013年度の貿易収支はマイナス6.3兆円と3年連続の大幅赤字に陥るとの試算をまとめた。火力発電用燃料の輸入額が高止まりするためで「原発再稼働に関する先行きの不透明さが日本経済復調の重しとなる」と指摘している。

     旧原子力・安全保安院がストレステスト(耐性検査)の審査報告を規制委に引き継いだ9基(大飯3、4号含む)が、2013年度下期に稼働すると想定。電力各社が輸入する原油や液化天然ガス(LNG)などの燃料費は12年度の7.3兆円(推定)から6.8兆円に0.5兆円ほど圧縮されるという。

     ただ、火力燃料費は原発事故の影響が限定的だった10年度(3.7兆円)と比べ、引き続き貿易収支を圧迫。赤字幅は12年度が7.1兆円、13年度は6.3兆円と見込んだ。

     一方、大飯3、4号機以外の再稼働がゼロならば、13年度の火力燃料費は0.3兆円上昇。反対に、ストレステストを提出した原発のうち稼働年数が40年未満で敷地内活断層の指摘を受けていない26基が順次再稼働すれば、1.1兆円の燃料費が削減されるとのシナリオも示した。

    4)

    20121025日「2012年上半期。貿易赤字、過去最大の3兆2189億円ーーLNGなど燃料の輸入増が続いていることが要因」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52086032.html

    世帯主が60歳以上の消費支出が全個人消費の44%を占めており、今後も増大する、ということを報告しました(文検1)。より細かく、消費支出の品目の年齢階級依存を紹介します。今後、日本では、こういう消費が増える、ということを示すデータです。


    以下は、世帯主が60-69歳の世帯で、全年齢平均を1.4倍以上上回る品目リストです。


    園芸品・同用品(教養娯楽) 1.67

    修繕・維持工事費(住居) 1.59

    ゴルフプレー料金(教養娯楽) 1.57

    国内パック旅行費(教養娯楽) 1.52

    信仰・祭祀費(その他の消費支出) 1.52

    外国パック旅行費(教養娯楽) 1.51

    修繕材料(住居) 1.48

    設備器具(住居) 1.47

    宅配便運送料(交通・通信) 1.47

    祭具・墓石(その他の消費支出) 1.46

    切り花(教養娯楽) 1.45

    布団(家具・家事用品) 1.43

    贈与金(その他の消費支出) 1.42

    生鮮果物(食料) 1.41

    テレビ(教養娯楽) 1.40


    以下は、各品目の年齢階級別消費支出額一覧です。


    魚、豆腐、電気冷蔵庫、布団、タクシー代、郵便料、宅配便、テレビ、園芸品、国内パック旅行、の支出が高齢者世帯に依存する、と言うのは、言われて見れば、尤もです。

    高齢者世帯の消費支出-1
    高齢者世帯の消費支出-2
    高齢者世帯の消費支出-3
    高齢者世帯の消費支出-4
    高齢者世帯の消費支出-5
    高齢者世帯の消費支出-6
    高齢者世帯の消費支出-7



    (参考文献)

    20121213日「世帯主が60歳以上の消費支出が全個人消費の44%&GDP20%にーー高齢者が日本経済を牽引」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52093745.html

    経済産業省=>統計=>研究・分析リポート=>産業分析

    http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/index.html

    の平成241-3月期=>•高齢者世帯の消費について

    http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/pdf/h24/h4a1206j2.pdf

    のデータが面白いので、ご紹介します。


    世帯主が60歳以上の高齢者世帯の消費支出がH23年に100兆円を超えました。日本のGDP 500兆円の60%を占める個人消費の44%に達し、高齢者が日本の経済を引っ張っています。

    60歳以上世帯支出が44%


    高齢者世帯の消費支出の割合が増えているのは、60歳以上の人口が増えているからで、H22年に30.7%で、2050年には45%になると推計されています。

    60歳以上人口


    H22年の、年齢階級別の人口分布と世帯数分布を示します。

    年齢別人口と世帯数


    年齢階級別の世帯の毎月の費目別消費支出額を見ると、高齢者世帯では、交際費(贈与金が90%を占める)、保健医療、光熱・水道、家具・家事用品が、若い世帯と比べると、多くなっています。

    費目別支出額高齢世帯対若年世帯

    12/9の読売新聞に面白い記事があったので、全文を紹介します。

    図は、立正大学の蓮見 雄教授のビューグラフから借用しました。


    ーーーーーーーー

     バルト3国の一つリトアニアや、旧東欧のブルガリアが原子力発電所の建設を巡って揺れている。エネルギーの供給を通じて影響力を行使したいロシアの思惑もあり、動きが停滞している。エネルギーのロシア依存から脱したい欧州連合(EU)にとっても見過ごせない問題になりつつある。


    脱ロシア?

     リトアニアは10月の総選挙に合わせ、日立製作所が受注した原発の新設計画を国民投票にかけたところ、建設コスト高に伴う将来負担の増加などを懸念した反対票が6割を超えた。計画を推進してきたクビリウス前首相の陣営は総選挙に敗れ、退陣した。「我々が原発建設を中止して喜ぶのはロシアだけだ」と。

     リトアニアは以前、原発を保有していたが、1986年に重大事故を起こしたチェルノブイリ原発と同型だったため、2004年のEU加盟後、09年に閉鎖した。以来、エネルギー需要の8割をロシアからの天然ガスなどの輸入に頼っている。

     国内に有力なエネルギー資源はなく、天然ガスを「ロシアからの言い値で買うしかない」(大手化学メーカー、レタルの欧州責任者リナス・ブルズギス氏)のが現実だ。

     国民投票の結果を見て、隣国ラトビアの国防相は「ツイッター」で「ロシアの勝利だ」と、ロシアのエネルギー覇権への警戒感をあらわにした。

    欧州LNGのロシア依存度


    エネルギー安保

     ブルガリアは今年3月、当初ロシア企業が受注していた原発建設計画の中止を決めた。ロシアの地元メディアは「ロシアをブルガリアから追い払おうとする米国とEUの圧力があった」と解説した。ここにもロシアをめぐる様々な力関係が透けて見える。

     EU00年代半ば以降、旧東欧諸国を積極的に新規加盟で取り込むとともに、エネルギー政策の優先課題を、以前の地球温暖化対策から、エネルギー安全保障へと変えつつある。

     09年にロシアがウクライナ向けの天然ガス供給を停止した際、そのあおりを受けて、EU域内では幅広い地域でガスの供給不足に見舞われた苦い経験がある。

     危機感からEU10年に、域内でエネルギーを融通し合う体制を築く構想を打ち出し、20年までに広範な電力・ガス供給網を構築するという計画を掲げた。

     この供給網を築くためにかかる費用は計2000億ユーロ(21兆円)に上る見通しで、半分を民間企業の投資で賄おうと計画した。

     ところが、計画が始まったのとほぼ同時期に、欧州の財政・金融危機が深刻化した。各国政府、民間企業とも巨額の投資に耐える財務体力は乏しい。エネルギー融通を巡るロシア依存からの脱却がいつ実現するのか、不透明感は強い。

    参考文献1で、社会保障費の伸びは、消費税増税でしか賄えないだろうことを、データを示して、議論しました。

    社会保障費の増加



    上の図から分かるように、時間の問題でしたが、社会保障給費が、2010年度に、ついに、100兆円の大台を越えた様です。

    ーーーーーー

    社会保障給付100兆円突破、

    201211292309  読売新聞)

    http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121129-OYT1T01162.htm?from=ylist


    国立社会保障・人口問題研究所は29日、2010年度の年金、医療、介護などの社会保障給付費が103兆4879億円だったと発表した。


     統計を取り始めた1950年度以降、給付費は増え続けており、初めて100兆円を突破した。対前年度の増加額は3兆6272億円、伸び率は3・6%だった。


     分野別では、年金は52兆4184億円(前年度比1・3%増)で、全体の50・7%。医療は32兆3312億円(同4・8%増)、介護は7兆5051億円(同5・5%増)だった。


    (朝日新聞デジタル 201211291932分)

    http://www.asahi.com/business/update/1129/TKY201211290365.html


    前年度から3兆6272億円(3.6%)増えた。国民1人当たりでは80万8100円。最も大きいのは「高齢」分野で50兆8099億円(前年度比2.0%増)、次いで「保健医療」が30兆8985億円(同4.6%増)▽「遺族」6兆7866億円(同0.8%増)▽「家族」5兆4695億円(同42.5%増)――の順で多かった。「家族」が大幅に増えたのは、10年度に子ども手当(現・児童手当)が導入された影響という。



    (参考文献)
    ーーーーーーー

    1)

    20120715日「ポピュリストに成り下がった小沢一郎ーーー国民の生活が第一、に反する、脱原発、反増税」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52070298.html

    経産省の通商白書2012 第2章「我が国の貿易・投資の構造と変容」http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2012/2012honbun_p/2012_02-1.pdf

    の最後のページ(p.177)のコラム9が面白いので紹介します。

    ーーーーーー

    (ほぼ全文掲載。但し、下線を含め、toshi_tomie による表現の一部手入れ。)

    国際分業化により、各国で製造された中間財を集めて、最終財が製造されるようになった。


    例えば
    Apple 社のiPhone は、各国製の部品を中国の工場に集めて組み立てている。iPhone の裏側には、「Designed by Apple in California Assembled in China」と、書かれており、Made in」という表記が使われていない。


     企業がどの国に属しているのか、最終製品がどの国で製造されたのか、の重要性は低まっている。代わりに、
    iPhone のような国際的な最終製品の生産に対し、どれだけ部品を提供できるかの重要性が高まっている。


     かつては、例えば『産業構造ビジョン
    2010』では、iPod2005 年)に比べて、当時の新製品であったiPad2010 年)に我が国製の部品が使われる割合が低下したことを問題にした。新聞等でも引用された。

     一方近年は、貿易ベースでなく、付加価値ベースでの議論、が積極化している。どの国の貿易が黒字なのかではなく、貿易を通じた産業連関によってどこで付加価値が生じたかを示す、付加価値ベースの研究が国際産業連関表を用いて進められている。


     その先駆けがアジア経済研究所のアジア国際産業連関表を使った分析である。米中間の貿易収支は、貿易額で測った従来の方法では2180 億米ドルだが、「付加価値貿易アプローチで計算し、さらに輸出加工区に関する調整を行うと、
    1,010 億米ドルへと半分以下に減少する」。

    具体的に
    iPhone は、最終組立地である中国の輸出として勘定されるが、付加価値貿易アプローチでは、2009 年のiPhone による「米国の対中貿易赤字で、中国が占める割合は4%未満で、日本は35%以上を占める」。

     国際的な分業構造の確立が進む中、我が国も通商・経済の構造変化を余儀なくされ、海外への工場移転に伴う国内産業の「空洞化」が問題視されている。しかし。

     かつて我が国は、資源を輸入して加工度の高い最終財を輸出することで国内経済を牽引するという、「加工貿易構造」であったが、世界的に中間財貿易が増加した結果、最終財による国内経済への「波及効果」は少なくなっている。

     各国の製品を単純に競合相手とするのでなく、その製品に我が国の中間財を提供することで、我が国の経済にどれだけの「波及効果」をもたらすか、付加価値を生む牽引力となるか、を評価することが重要になっている。

     このような高度で複雑な、多国間の国際分業構造が作られる中、我が国にいかに生産を引き込み、付加価値を生ませ、分配していくかはますます単純でなくなっており、その把握のための分析の重要性も増してきている。

    1025日のブログ記事「2012年上半期。貿易赤字、過去最大の3兆2189億円ーー」(文献1)で、昨年2011年に、31年振りに貿易赤字になったことをご紹介しました。その説明の際、輸出入額が、1980年まで級数的に増大し、その後、増加率が緩やかになり、現在65兆円程度になっていることもご紹介しました。


    補足として、輸出入の対GDP比はほぼ一定であることと、所得収支を含めた経常収支では、まだ、黒字であることを、ご紹介しておきます。


    ーーーーーーー

    内閣府のHPに載っているGDP(国内総支出)の年次推移データ(文献2)を図示します。GDPは、1955年から1976年まで一定の増加率で増え、若干増加率は減りましたが更に1992年まで成長を続け、1992年からはほぼ横ばいになっています。

    GDPの推移-1955年から


    輸出入額をGDPで除した対GDP比は、下図に示すように、1955年から2000年までの長期間に亘ってほぼ一定で、10%前後でした。2000年から貿易額の割合が増え(2009年を除き)15%程度になっています。日本の産業構造が2,000年から大きく変化していることを示唆します。

    貿易額の対GDP比の推移


    昨年、31年振りに貿易赤字になりましたが、暫くはこの状態が続くと思われます。すると、外貨不足になり、石油などのエネルギー資源や食料品が輸入できる量が減る心配がでてきますが、まだ大丈夫です。と言うのは、所得収支を含めた経常収支ではまだ黒字だからです。


    経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支+経常移転収支

    「貿易収支」=輸出 ー 輸入

    「サ-ビス収支」=外国人旅行客が日本で消費する額 ー 日本人が海外旅行で使う額

    「所得収支」=日本企業が外国で得た収益 ー 外国企業が日本国内で得た収益

    「経常移転収支」= ー 開発途上国への経済援助や国際機関への拠出金の額


    経常、貿易+サービス、所得、経常移転の4つの収支の1985年以降の推移(文献3)を図示します。

    国際収支の推移


    貿易+サービスは、1985年に10兆円超の黒字で、ごく僅かづつ減少してきましたが、経常収支は、1985年の12兆円の黒字から、2005年には25兆円に増えています。これは、所得収支の着実な増加に依るものです。企業の海外投資、証券投資による利益である所得収支は、貿易赤字になった2011年にも、14兆円の黒字でしたので、経常収支では10兆円の黒字でした。


    但し、貿易黒字が大きく減った2008年と2009年から一年遅れて所得収支が減ったことから、貿易赤字になった2011年の翌年である2012年には、所得収支は大きく減ると推測されます。貿易収支の赤字が続けば、所得収支も赤字になるでしょう。


    ーーーーーーーー

    文献

    1)

    1025日「2012年上半期。貿易赤字、過去最大の3兆2189億円ーーLNGなど燃料の輸入増が続いていることが要因」

    http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52086032.html


    2)

    内閣府HP > 統計情報・調査結果 > 国民経済計算(GDP統計) > 統計データ > 統計表(四半期別GDP速報) > 2012年(平成24年) > 統計表一覧

    http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2012/qe122_2/gdemenuja.html

    「実額 名目暦年」


    3)

    財務省HP>国際政策 > 関連資料・データ > 国際収支状況 > 国際収支の推移

    http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/bpnet.htm

    1.国際収支総括表

    s-1-1  国際収支総括表【暦年】 昭和60年(1985年)以降

    原発停止による火力発電の稼働増によるLNG等の燃料費が、今年度3兆2000億円増になるようです。今年度上半期の貿易赤字が3兆2000億円でしたから、(1025日「2012年上半期。貿易赤字、過去最大の3兆2189億円ーーLNGなど燃料の輸入増が続いていることが要因」http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52086032.html

    貿易赤字の半分が、燃料費の増大ということです。

    昨年度の燃料費増大は2兆円だったとのことですが、昨年度の貿易赤字は
    2兆4927億円だったので、ほぼ全部が燃料費増だったことになります。


    燃料費増は当然、電気料金の値上げになるでしょう。そうでなければ、それまで不当利益を得ていたことになるので。


    ーーーーーー

    火力発電燃料費、3.2兆円増試算

    http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5164353.html

    TMSニュース2422:06))


     この冬の電力状況を話し合う政府の需給検証委員会で、原発の代わりとなる火力発電に使用する石油や、LNG=液化天然ガスなどの燃料費が、今年度は3兆2000億円増加するとの試算が発表されました。燃料費は昨年度、2兆円以上増えており、震災発生以降の増加分は5兆5000億円に達する可能性があります。


     燃料費の増加は電力各社の財務状況を急速に悪化させていて、沖縄を除く電力9社の来年3月期の赤字額は、あわせて1兆8000億円に上ると試算されています。中でも、関西、四国、九州の3社の純損失は純資産を超える見通しで、今後、厳しいコストカットや、電気料金の値上げに向けた動きが本格化しそうです。

    10/22に、貿易赤字が上半期で過去最大の3兆2189億円になった、と言うニュースが出ました。

    1月には、
    2011年は、31年振りに貿易赤字になった、と言うニュースがありました。2011年一年間の貿易赤字は、2兆4927億円でしたが、2012年は、上半期だけで、3兆2189億円の赤字になった様です。そして、火力発電用の燃料となるLNGは24・3%増、原油は8・3%増と輸入額が大幅に増えた。特にLNG価格の高止まりが大きく響いている。とのことです。


    日本の輸出入額は、1980年まで級数的に増大し、1980年以降も、緩やかな増加を続けました。現在、65兆円程度になっています。(財務省 貿易統計 http://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/nenbet.htm

    日本の輸出入額の推移


    1980年以降、10兆円程度の黒字でしたが、昨年、31年振りに赤字になりました。今年は更に赤字幅が広がったと言うことです。

    貿易黒字の推移


    「貿易赤字、過去最大の3兆2189億円」

    201210221355  読売新聞)

    http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20121022-OYT1T00278.htm?from=ylist


    財務省が22日発表した2012年度上期(4~9月)の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は3兆2189億円の赤字となった。


     半期ベースでの赤字額は、統計が比較可能な1979年度以降最大で、赤字額が3兆円に達するのも初めてとなる。欧州債務危機で世界経済が減速した影響で、欧州や中国向けの輸出が減ったうえ、液化天然ガス(LNG)など燃料の輸入増が続いていることが要因だ。


     対中国の貿易赤字は1兆5309億円と4期連続で拡大し、赤字額全体の半分近くに達している。対中輸出は9月単月でも前年同月比14・1%減と大幅に落ち込んだ。


     全体の輸出額は32兆1603億円と前年度上期に比べ2・0%減少した。輸出の減少は3期連続だ。米国向けの自動車輸出は好調だったものの、EU向けの自動車や半導体、中国向けの重機用エンジンや鉄鋼が大幅に減った。


     輸入額は35兆3793億円と同2・6%増加した。輸入額は5期連続で増えた。このうち原子力発電所の運転停止を受けて火力発電用の燃料となるLNGは24・3%増、原油は8・3%増と輸入額が大幅に増えた。特にLNG価格の高止まりが大きく響いている。



    2011年貿易収支は31年ぶり赤字転落」

    2012 01 25 11:17 JS


    財務省が25日に発表した2011年貿易統計速報によると、貿易収支は2兆4927億円の赤字となった。

    暦年での貿易赤字は、第2次石油危機で原油輸入額が膨らんだ1980年以来、31年ぶり。


    暦年の貿易赤字は、比較可能な統計となる1979年以降では、第2次石油危機の影響を受けた1979年と1980年の2回で、今回で3度目

    経団連が、自民党との会談を優先する、様です。


    当然です。民主党は、国民に媚びを売るだけで、経済を破壊し、国民生活を破壊することしかやってきていません。


    民主党は中国とのパイプもなく、尖閣諸島問題で吹き荒れる中国での反日運動の終息に向けて、中国と接触するのは、自民党議員ばかり。経済がダメなだけでなく、国際政治もダメ。こんな民主党に任せられません。


    タカ派大嫌い人間である私ですら、安倍しか頼れない、と思う事態に陥っています。


    政権与党だからしかたなく民主党とつきあってきた経団連も、自民党に頼らざるを得ないでしょう。


    ーーーーーーーー

    経団連、自民との会談を優先 重要法案成立や日中関係改善を要請へ

    (産経新聞 103()853分配信)

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121003-00000505-san-bus_all


    経団連と自民党が9日に政策対話をすることが3日までに明らかになった。自民側の申し入れに応じ、米倉弘昌会長ら幹部が安倍晋三総裁ら新執行部と日中関係やエネルギー政策など直面する課題をめぐり意見を交わす。民主党の新執行部や新閣僚との対話は10月下旬以降になる見通し。与野党が新体制となる中、野党幹部との会談を経団連が優先するのは異例。


     米倉会長は自民の安倍総裁を「政策に精通し、豊富な経験と実行力を持つリーダー」と評価しており、前国会で不成立に終わった特例公債発行法案など重要法案について、与野党が協力して早期に成立させるよう強く求める考えだ。


     米倉会長はまた、沖縄県・尖閣諸島の国有化を機に日中関係が緊迫し、経済活動に大きな影響が出ていることを懸念。あらゆるチャンネルを通じて日中の対話を強化し、関係改善に努めるよう要請する方針

    嬉しいニュースが飛び込んで来ました。
    記事の通りです。私のブログとしては、「異例」に、記事の全文転載&補足コメントなしです。是非、実行して貰いたいです。

    ーーーーーーーーー

    異例の官民買収で“最後の砦”死守 ルネサス支援、半導体技術流出を阻止

    産経新聞  923()755分配信

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120923-00000054-san-bus_all

     官民ファンドの産業革新機構と日本の大手メーカーが共同で、半導体大手ルネサスエレクトロニクスを買収する案が浮上した背景には、日本の製造業全体の競争力低下への危機感がある。家電業界は売り上げ規模で韓国勢に抜かれ、自動車も激しく追い上げられる。ルネサスが米投資ファンドに買収されれば、自動車や家電の基幹部品となる半導体の技術流出や調達不安につながり、危機はさらに深刻化することが予想される。官民を挙げた異例の支援で日本の製造業を死守する覚悟を示した格好だ。(大柳聡庸)

    日の丸半導体“凋落の真相” あれほど強かったのに…なぜ?

     ルネサスは自動車や家電の制御に使われる半導体「マイコン」で世界首位。顧客である自動車メーカーなどの「特注」のため代替が難しく、東日本大震災でルネサスの工場が被災した際には、多くの自動車工場がストップした。

     日本の自動車メーカーが技術的に先行するハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)は、ガソリン車に比べ「使われる半導体の数は格段に多い」(大手電機幹部)という。半導体の技術が日本のHVやEVの競争力を下支えしている。

     また、世界的に普及が加速するスマートフォン(高機能携帯電話)にも、日本メーカーの半導体が多く搭載される。国内から半導体メーカーが消え去れば、こうした経済成長の源泉となる最先端機器を生み出す日本の産業力が衰退しかねない。

    ルネサス ルネサスの買収に向け交渉中の米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は、事業選別などを進めて収益性を高めたうえで、ルネサス株を転売するのが目的だ。

    関係者らによると「買収する体力のある国内企業は見当たらない」ため、ルネサスが自動車メーカーなどと二人三脚で培ってきた中核技術が、外資に流れる恐れがある。

     とくに電機業界は、業績不振に伴うリストラで退職した社員が、韓国や中国など外資メーカーに転職して技術が流出。技術流出で競争力が低下した結果「さらなるリストラを迫られるジレンマ」(大手電機幹部)に陥った経験がある。ただ、ルネサスは大口取引先の要求に応え生産品目を増やしたため、高コスト体質になっていた。

     米投資ファンドからの支援を嫌い取引先を含む官民による買収を選んだ結果、こうした課題にメスを入れられないのであれば本末転倒だ。第一生命経済研究所の嶌峰義清首席エコノミストは「自動車や家電にとって半導体は“資源”みたいなもの。日本経済にとって国産を残すことは重要だ」と指摘する。

     官民の支援でいかに経営体質を強化できるのか。日本の半導体産業で“最後の砦(とりで)”となったルネサスの経営再建は、日本の製造業の将来をも占う。

    ーーーーーーーーー

    株式会社産業革新機構(さんぎょうかくしんきこう)


    代表取締役社長(CEO) 能見 紘一

    (農林中央金庫入庫専務理事、農林中金全共連アセットマネジメント㈱代表取締役社長、あおぞら銀行代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)


    設立 平成217


    根拠法 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法

    (平成11年法律第131号)(平成21年改正)


    出資金 1,5601,000万円(平成247月現在)

    産業革新機構


    --wikipedia

    産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(産業再生法)に基づき設立された官民出資の投資ファンド


    先端技術や特許の事業化を支援することなどを目的として、2009727日に設置された。投資対象となるのは、大学や研究機関に分散する特許や先端技術による新事業、ベンチャー企業の有望な技術、国際競争力の強化につながる大企業の事業再編などである。

    投資にあたっては機構内に設置する「産業革新委員会」が評価を行い、投資対象の決定をする。産業革新委員会の委員長は吉川弘之元東京大学総長。また経済産業大臣が業務を監督し、1年に1度、事業評価を行うこととなっている。なお、機構の設置期間は15年間である。


    機構には、官民が合わせて905億円を出資している。内訳は政府が820億円、民間企業16社が85億円であり民間企業の出資は今後も募る予定である。また機構が金融機関から資金調達をする場合は8,000億円の政府保証をつけられるため、最大9,000億円規模の投資能力を持つ。

    ディーゼル乗用車の普及率が欧州(平均50%)と日本(0.1%以下)と大きく違う要因について。

    経産省の「クリーンディーゼル乗用車の普及・将来見通しに関する検討会」の平成17年報告書
    http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g50418b01j.pdf では、独と日本の車環境の違いを、以下の様に整理し、その影響があるのではないか、と議論しています。

    日独比較


    ㈱三菱総合研究所のアンケート調査から、欧州と、日本で、ディーゼル車に対するイメージの違いがあることが分かります。

    アンケートー信頼性
    アンケートー燃費
    アンケートー耐久性


    ディーゼルエンジンでは、圧縮率を高くするため、高圧になるので、構造が複雑で頑丈にしなくてはならないので、ディーゼル車が高くなります。また、トランスミッションをオートマチックにするのもコストがかかります。燃費の良さを活かすには、廃車になるまでの総走行距離が長くなければなりません。

    そういう観点から考えると、年間走行距離が短く、車齢が若干短く、オートマチック車が多い(安全優先の観点から、オートマチックが良いと、私は、考えます)日本では、ディーゼル車の普及はあまり有利でなさそうです。

    日米欧走行距離比較
    日欧トランスミッション比較


    それでも普及率0.1%は少なすぎです。日本人のイメージを改善すれば、もっと普及するでしょう。

    ですが、ガソリン車に近いシェアにするには、一層のコストダウンを図るとか、燃費以外の魅力を打ちだす必要があるように、思いました。

    tamaking69>上位7か国のディーゼル車が多いのは、その国の規制とか国の助成とかの政策によるものなのでしょうか、それとも特定のブランド・会社のシェアが高いのでしょか、国民の環境意識なのでしょうか。


    0830日のブログ記事「ディーゼル乗用車の比率。欧州では50%70%超の国も。日本は0.1%以下」http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52077627.html でご紹介した、

    欧州でのディーゼル乗用車の高い普及率が国によって大きく異なっている理由は何か、との質問がありました。


    その答えとして、経産省の「クリーンディーゼル乗用車の普及・将来見通しに関する検討会」の平成17年報告書http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g50418b01j.pdf の、以下の記述を紹介します。


    私の感想です。北欧4国(ノルウエーが書かれていないですが)で低いのは、気温の関係でしょうか?ギリシャが極端に低いのは(日本よりは遙かに高いですが)、経済状態の関係でしょうか?ラテン国(仏、伊、葡、西)で高いのは、国民性が大きく影響している様にも感じます。東欧のデータも分かれば、要因がより理解できるかも知れません。

    ーーーーーーー
    欧州における国によるシェアが大きく異なることに関して、欧州政策当局者は、ディーゼルに対する国民のイメージ差によるところが大きく、スウェーデンやスイスではディーゼル乗用車の悪いイメージが払拭できておらず、それ故にディーゼル乗用車のシェアは他の欧州諸国と比較して低くなっている、と考えている様です。


    また、検討会では、以下のような欧州各国の自動車文化、モビリティ文化の相違がディーゼル乗用車の普及率に大きな影響を与えているとの指摘があった様です。


    英国

    ・第二次世界大戦において戦車を作ったときに、ドイツ発祥のディーゼルを好まず、ガソリンエンジンを載せた。

    ・自国に自動車メーカーを持たないため、技術革新等の意識が高くないのではないか。



    ・2ストロークのスクーターがパリ市内を多く走っており、スクーターの煙の方が臭くて自動車の排出ガスの意識を持っていなかったのではないか。

    ・過去の大きな戦争で石油の利権を巡るトラウマが残っており、エネルギーセキュリティの意識が強く反映されているのではないか。



    ・オイルショックの時に、ドイツの自動車メーカーが大型商用車や船舶等に使われていたディーゼルエンジンを、乗用車に転用していくという新しい価値を創造していったことにより、ディーゼルの技術革新が進んだ。


    EUでのディーゼル車シェア

        

    いすゞ自動車のHPに載っている欧米でのディーゼル乗用車普及状況データに依れば、http://www.isuzu.co.jp/technology/d_databook/status/status_02.html

    EU全体でほぼ50%で、ベルギー、フランス、スペインで70%程度で、ドイツ42%,イギリス37%だそうです。

    EUでのディーゼル車シェア


    米国では、2002年に0.4%程度の様です。


    経産省の「クリーンディーゼル乗用車の普及・将来見通しに関する検討会」は、ディーゼル乗用車の普及状況、技術動向、経済性などの検討をして、平成17年4月に報告書を出しています。

    http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g50418b01j.pdf



    それによれば、欧州でのディーゼル乗用車の比率は年々増大し、2002年に欧州全体では約44%で、

    EUでのディーゼル車シェアの推移

     

    一方日本では、1980年代後半からのRV車ブームで5%程度の販売シェアがあったが、1990年以降一貫して低下し、2002年には0.1%まで低下している、とのことです。

    ディーゼル車日本でのシェア

    消費税を全て社会保障費に充てるとすると、一般勤労世帯は、損でしょうか?考えて見ました。

     

    税率5%の消費税は104230億円です。

    0715日の記事「ポピュリストに成り下がった小沢一郎ーーー国民の生活が第一、に反する、脱原発、反増税」http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52070298.html の中の図を参照)

    もしも消費税を全て社会保障費に充てるとすると、日本の人口は1億2,800万人 ですから、一人当たり、8.1万円の便益を受けることになります。


    では、勤労世帯はどれだけの負担をしているのでしょう?


    財務省のホームページに、二人以上から構成される勤労世帯の収入階級別の消費税負担額の見積が載っています。

    http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/105.htm


    勤労世帯の消費税負担


     年間の実収入319万円で、消費税負担額は9万円、実収入539万円で13万円、1153万円で22万円の様です。世帯構成員は、それぞれ、2.5人、3人、3.5人程度ですから、一人当たりの消費税負担額は、3.6万円、4.3万円、6.3万円、と言う事になります。どの収入階級に於いても、受ける便益以下の支出しかしていません。差額の消費税を誰が負担しているか明確ではないですが、超大金持ちや、企業などと思われます。

     消費税が全て社会保障費に充てられるならば、勤労者にとって、収入の低い人ほど、受ける便益は大きいのです。税金は、金持ちから貧乏人に、冨を再配分するためにあります。消費税増税をせずに、もしも社会保障制度が崩壊すると、大きな被害を被るのは、低所得者です。

    研究の話です。


    半導体業界に激震が走りました。

    IntelASML41億ドルの資金投資、EUVリソグラフィ技術の開発加速を狙う」

    http://eetimes.jp/ee/articles/1207/13/news081.html

    http://www.nandemo-america.com/mobile/?p=26736 

    http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0320120711bjan.html

    https://www.semiconportal.com/archive/editorial/industry/120711-asmlintel.html


    Intel201279日、リソグラフィ装置ベンダーであるオランダのASML Holding41億米ドルの資金提供を行う契約を結び、同契約の一環として同社の株式の15%を取得することを明らかにした。EUV(極端紫外線)リソグラフィ技術と、450mmウエハーへの移行に向けた技術の開発促進を支援する。


     まずは、約21億米ドルを投資してASMLの株の10%を取得する。その後、約10億米ドルを投じて5%を追加取得する予定だ。


     上記に加え、EUVリソグラフィ技術と450mmウエハー技術の研究開発費として、ASML10億米ドル以上の資金提供を行う。Intelは、「今回の投資によって、これらの技術の開発を最大で2年は前倒ししたい」と述べている。”



    そのニュースのおかげで、ニコンの株価が大きく影響を受けている様です。

    「ニコン株が大幅下落、インテルが競合の蘭ASMLに出資で-東京市場」

    http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M6X82N1A1I4H01.html


    ”7月10日(ブルームバーグ):ニコン株価が大幅安で、1年4カ月ぶりの下落率を記録。半導体露光装置でニコンと競合するオランダの半導体製造装置メーカー、ASMLにインテルが出資を決めたことから、業績への懸念が高まり売りが先行している。”


    このニュースに、密接に絡む、私のreview論文が、偶然、今、掲載されます。


    ーーーーー

    私は、90年代半ばから、EUVLと言うリソグラフィー技術の研究に携わっていました。

    昨年の年明けに執筆依頼され、夏に脱稿したEUVLLPP光源のreview論文が

    私の表現の多くのとげを取る編集委員とのやりとりを経て

    やっと先日、JM3と言う雑誌に発行されましたが、

    その論文が、SPIE Reviewsというジャーナルに掲載されました。
    http://spiedigitallibrary.org/spiereviews/resource/1/spivj2?isAuthorized=no    2012 Volume 3 


    インテルのASMLへの41億ドルの投資と言うニュースに密接に絡んで、EUVLLPPの展望は、産業界で、今、最大の関心事です。万が一にご興味があれば、http://dx.doi.org/10.1117/1.JMM.11.2.021109 で論文が読めます。

    宣伝でした。


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    SPIE Reviews is pleased to publish your special section paper

    "Tin laser-produced plasma as the light source for extreme ultraviolet lithography high-volume manufacturing:

    history, ideal plasma, present status, and prospects"

    in SPIE Reviews, SPIE's open access journal of review and tutorial articles,

    as well as selected plenary papers from SPIE conferences.


    (http://dx.doi.org/10.1117/1.JMM.11.2.021109) is the easiest way to tell people where to find it.


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    03 February 2010

    SPIE Reviews, a new open-access journal published by SPIE, has launched on the SPIE Digital Library.

    SPIE Reviews is a peer-reviewed, open access journal that publishes

    invited review articles covering the state of the art of emerging and

    rapidly evolving optics and photonics technologies and their applications. 

    Articles for SPIE Reviews are invited by members of the editorial board and

    the editor.

    Proposals from prospective authors also will be considered by the editor.

    直前の記事「シェールガスの登場でーーー」で、最近は、電力の燃料として、石油が減り、液化天然ガス(LNG)発電が多くなっていること、LNGの中でもシェールガスがこれから増えることをご紹介しましたが、石炭が復活していることも言及しました。本記事では、炭鉱事業の衰退を振り返り、2000年頃からの石炭火力発電復活の状況と理由を調べましたので、少し詳しくご紹介します


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    日本の発電電力の変遷を、戦後にまでさかのぼって見ると、水力発電が主で、火力発電が従でした。

    筑豊炭田、常磐炭田、石狩炭田など、我が国の豊富な炭田が、明治維新から戦後の復興まで製鉄業を初めとする産業の成長を支えましたが、
    1950
    年代後半からエネルギー革命が起き、火力発電が主になり、エネルギー源の主役が石油に移行しました。石炭も火力も発電も、低質の国内炭から、良質で安価な輸入炭に変わって行きました。

    炭鉱事業が苦しくなりリストラが行われ、1950年半ばから激しい労働争議がおきました。その後も炭鉱事業は細々と続きましたが、1997年に福岡の三井三池炭鉱が閉山し、日本最後の炭鉱となった釧路市の太平洋炭鉱が2002年に商業炭鉱を終えています。

    発電の構成戦後から



    そのような歴史があるので、石炭の復活には、驚きです。

     

    第四次中東戦争で起きた1973年の第一次オイルショック、1979年のイラン革命でのイランでの石油生産ストップで起きた第二次石油ショックで、1973年に電力の70%も占めていた石油への依存度を減らし、電源分散化が必要であることが痛感されました。第一次オイルショックで、原油の価格が2ドル程度から10ドル以上に跳ね上がり、第二次オイルショック後には、30ドルを越えました。熱エネルギー当たりの価格が、原油が石炭の倍になり、石炭の利用が少しづつ増えています。

    オイルショックと原油価格


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    2,005年の発電コストは、石油火力が10.2/kWh、石炭火力が6.5/kWhで、その内訳である燃料費は、石油火力が6.5/kWh、石炭火力が2.6/kWhと言う事になっています。これは、燃料代x 熱効率の比になっています。

    石炭火力の高効率化の技術開発については、次回、説明します。


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    最初の図で、石炭火力発電は、1990
    年から2000年前後にかけての伸びが大きいですが、これは、1985年のブラザ合意で円高が進行し、電気料金の内外価格差を是正するため、1995年に電気事業法改正で電力の自由化を始めたことも大きく影響していそうです。その後、1999年、2004年、2005年に次々と行われた改正で規制が緩和され、電力事業への新規業者の参入は1999~2003年に集中しています。


    新規事業者は、石炭火力を選択したようです。その理由は、発電コストの安さと、石炭産地は世界的に広く分布し供給安定性が高いことと、燃料の価格が低い水準で安定的に推移したためと考えられます。また、石炭火力発電の高効率化が進んだのも大いに影響しているように思えます。

    人類の寿命が延びたのは、エネルギーがふんだんに使えるようになったためであることに議論の余地はありません。

    早稲田大学での公開講座で使った二つの図を紹介します。

    エネルギー全体では、石炭と石油で6割を占めますが、エネルギー消費の4割を占める電力では、主役が1990年までは石油でしたが、第一次世界大戦前後から石油に主役を譲った石炭が復活するとともに、天然ガス(LNG)が主役になっています。

    日本のエネルギー使用量 



    日本の発電電力量の変遷


    先日読者からコメントがあったメタンハイドレートの有望性を知るために、LNGの状況を調べたところ、勉強不足の私には驚きだった大きな変化が起きていたので、皆さんは既にご存じのことと思いますが、報告します。


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    天然ガスの中でも、種類が、2000年頃から、大きく変わって来ています。米国では、2010年には、非在来型と呼ばれる種類が過半数を占めるようになっており、”非在来型”の名称が適当ではなくなっています。2006年後半から本格的に始まり、2007年初めから商業生産が始まったシェールガスにより、天然ガスは、まだまだ増産されるようです。

    米国の天然ガス種類別生産量


    コールベッドメタンとは、石炭層に吸着したメタンガス。タイトガスは、浸透率が低くガスが取り出しにくい砂に吸着したガス。シェールガスは、頁岩(けつがん、shale)の中に閉じ込められたガス。(頁岩とは、1/16mm以下の粒子(=泥)が水中で水平に堆積したものが脱水・固結してできた岩石のうち、堆積面に沿って薄く層状に割れやすい性質(へき開性)があるもの。薄く割れる性質を持たないものは泥岩(シルト岩・粘土岩)と呼ばれる。)

    非在来型天然ガス


    どれも浸透率が低くて、パイプで吸い上げるだけの従来の採掘法では取り出せない地質です。2000年に入ってから、頁岩に含まれるガスを取り出す技術が開発されたようです。開発された、水平彫り水圧粉砕法では、掘削リングで2千数百mもの深さまで垂直に掘り進んだ後、水平に貯留槽に沿って横堀りし、そこから高圧の水で岩石層を破砕してガスを集めます。これにより、採掘が経済的になったとのことです。開発には大きな初期コストもかかるようです。


    米国で技術が開発され、米国でのシェールガスの生産が、2007年から年率9%で急増し、今や、ロシアを抜いて、米国が世界最大のLNG生産国になっています。

    現在は、米国とカナダだけで行われているシェールガス生産ですが、米国に860兆立方フィート、中国に1275兆、アルゼンチンに774兆、メキシコに681兆など、世界各国に大きな埋蔵量が確認されており、分析の対象になっていない、ロシア、中東、中央アジア、東南アジア、中央アフリカを除いても、世界の埋蔵量は6600兆立方フィートで、この量は、在来型天然ガスの確認埋蔵量と匹敵するとのことです。

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