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5G時代の“新ゲーム”、「メタルギア」の小島氏が大予言

5G

5Gの登場で、業界構造を真っ先に大きく変えそうなのがゲームなどのエンターテインメントの世界だ。米グーグルが、サーバー上でゲームの操作や映像表現を処理する「クラウドゲーム」のサービスを発表するなど競争は激化しそうだ。5Gはゲーム業界に何をもたらすのか。コナミ時代に「メタルギアソリッド」で大ヒットを飛ばし、独立後もゲーム業界の最前線で活躍する、コジマプロダクションの小島秀夫代表に聞いた。


米韓でスマートフォン向けの商用サービスが始まった次世代通信規格「5G」は、ゲームなどエンタメ業界を大きく変えるといわれています。小島さん自身は、5Gの登場をどのように見ていますか。

来るべくして来る未来がいよいよ始まります。私自身は10年以上前から言い続けてましたが、当時は誰も理解してくれませんでした。「5G」そして次は「6G」と、テクノロジーの進化は止まらないでしょう。ようやく待ちわびた世界が始まろうとしています。


5Gの商用サービスが始まる今のタイミングで、米グーグルはクラウドゲームのサービスを発表しましたし、アップルもゲーム配信を強化します。クラウド化はゲーム操作による画面の1フレームをサーバーで画像処理して個人に届けます。専用のゲーム機はなくなり、受け皿はスマホでもタブレットでもパソコンでも何でもよくなります。

クラウドゲームは5~6年前にブームの兆しがありましたが、爆発的なヒットに至りませんでしたね。失敗という声もありますが、私はそうは思いません。水面下でテクノロジーは進んでいたわけです。4Gでは実現は難しいですが、5Gが始まって5年以内には、エンタメ自体がガラリと変わると思います。これまでよりもっと自由な世界がやってくるでしょう。

グーグルのクラウドゲーム参入で専用ゲーム機がなくなるという意見がありますが、そのインパクトはコンテンツにまで波及すると?

これまでにないようなゲームが確実に出てきます。それはエンタメ業界の歴史からも明らかです。例えば映画の約2時間という平均的な上映時間は、映画館だからこそ必要でした。ポップコーンも売る必要があるし、3時間以上だと疲れてトイレにも行きたくなる。長時間の映画だと、1日の上映回数が少なくなり収益的に厳しくなるからです。

 テレビの時代になると映画の手法は通用しなくなりました。テレビはチャンネルを変えられるので、冒頭に「つかみ」が求められます。もしくはCM前に「クリフハンガー」のようなインパクトのある映像を埋め込まないと、チャンネルを変えられてしまいます。

これまでもテクノロジーの進化と共にコンテンツの姿は変わってきたということですね。

 クリエーターは気付かぬうちに作り方を変えているんですよ。コンテンツは、クリエーターのやりたいことと、テクノロジーでできることの両輪で進化していきますので、進化を止めることはまずできないですね。

いよいよ本題になりますが、小島さんが身を置くゲーム業界では、5Gでどんな変化があるのでしょうか。

 グーグルのクラウドゲームの発表だと、手元に専用ゲーム機がなくなり、ディスプレーさえあればストリーミングで本格的なゲームができるようになります。「YouTube」で人のプレーを見ている視聴者が、そのゲームにそのまま参加できるようになります。ですが、これは序章にすぎません。


ストリーミングがさらに進化すれば、ゲームと映画やドキュメンタリーなどの映像コンテンツが、同じ土俵に乗るようになります。これが一番僕が望んでいる未来なんですね。そうなれば何が起こるか。ネットフリックスなどで、映画とゲームを同じ画面上で選べるようになります。「インタラクティブなゲーム」と「非インタラクティブな映画」、これまではコンテンツの質が180度違いましたが垣根がなくなってくるでしょう。


既にこうした動きは出ています。ネットフリックスで昨年配信された動画コンテンツ「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」がそうです。視聴者が主人公の行動を要所要所で選択することで物語が進んでいきます。インタラクティブなゲームに近づいたわけです。映像作品としての評価はさておき、ネットを中心にざわつきが起こりました。

映画などの動画コンテンツは、既にゲームに近づいていると。

「バンダースナッチ」は映画でありながらゲーム寄りの作品といえるでしょう。ストリーミングの進化で、互いにもっと近づいていきます。

 ゲームも劇的に変わるでしょう。これまでのハイエンドゲームは当然残りますよ。ただテクノロジーで、ドンドン新しいシカケができるようになる。僕自身、忙しいのですが、新たな領域で爪痕を残したいですね。

クラウドゲームの登場で、ゲームの競争軸が変わるのでしょうか。

 変わるというよりは、広がるイメージです。映画が見るだけのものから変わりつつあるように、ゲームも1人で遊ぶだけだったものが、ネットで遊べるようになった。次は自分が遊んでいるゲームをリアルタイムに誰かに見てもらえるようになり、その視聴者はそこからすぐに参加して遊べるようになっています。

 その先にもどんどん広がります。ストリーミングなので、サーバー側で1フレームごとの画像処理をします。そうなれば、いろんなことができます。

今までのゲームとは違うものが出てくるわけですね。

明らかに違いますね。5Gが普及する5年以内には出てくるでしょう。ストリーミングでも、やりたい大きなことが1個あります。あんまり話すとネタバレになるので言えないですが(笑)。

 さらに次の5年では、人工知能(AI)でエンタメが変わると思います。現在、インタラクティブでやっていることをAIが変えるでしょう。先ほどストリーミングで、自分の意思で選ぶインタラクティブなコンテンツの話をしましたが、5年先は自分自身を理解してくれるAIが勝手に選んでくれるかもしれない。そういう時代のコンテンツの作り方がどう変わるかはちょっと読めませんが、変わってくるでしょう。

一撃というか、「1匹目のドジョウ」を狙いたい。でもすごくしんどいです。試行錯誤しますので。僕は別にもうけたくて、ゲームを作っているわけではありませんから。


映画でもそうなのですが、1匹目のドジョウを狙った作品はそんなに売れないんですよ。IP(知的財産)を生かすために続編を3部作ぐらいやると定着するようになる。そうした奮闘を隣から見るとすごくわかりやすい。だから、2匹目、3匹目のドジョウを狙う人はすごくもうかる(笑)。

だけど、ストリーミングで新しい一撃は自分で決めたいんです。やっぱり最初に月面に行きたいじゃないですか。「6G」とか、もっと言えば違うテクノロジーで、電波じゃない高速な何かでつながれば新しいことができるようになる。だからゲーム業界はやめられないんですよね(笑)。作るのは死ぬまでやめたくないですね。


反応

・期待は分かるけど5Gは値段次第ですよね・・
・まず目の前の宿題を済ませろ
・物理法則変わらんと無理やろ
・遅延はどうなるんだよ
クラウドは何はなくともここを解決しない限り全く前に進まない
・光じゃ遅すぎるから早く別の媒体通信開発しろ 
・10年長いようで短いよね
ゲーム5本ぐらいは出せる期間だわ
・言ってること正しいと思うけどね
極端な話セコセコ組んだ20万のPCに処理させるよりスパコンに任せたほうがいいに決まってる
普通の企業でもCAEとかで自社のPCやサーバーじゃなくスパコン間借りしてたりするし
・作り手が語る5G後のゲーム業界の見立て。映画やゲームが溶け合うだろう、は新鮮。地デジ化が始まる前、デジタルコンテンツと放送がフラット化するだろうと言われていたのを思い出した。その世界、やっと今なのかも。
・高速通信技術とVR技術によってこれからはゲームや映画と現実の境界が更に薄くなってシームレスに体験できるようになるんだろうなぁ
・次の世代ではいきなりグローバル展開だろうから早い段階で試行錯誤する必要がある。小島監督はそのあたりは経験済みだから「見えてるもの」があるんだろうな。
・小島監督カッケェ… 「映画とゲームの境目はなくなる」 まさにメタルギア。


クラウドでゲームをまともに遊べるのはまだまだ時間かかりそうですけどね(´・ω・`)