「ドラゴンクエスト-ユア・ストーリー」

「息子を返してください」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー Paul smith333さんの映画レビュー(感想・評価)

「息子を返してください」
ドラクエが大好きな息子と一緒に見に行きました。
アラジンやトイストーリー4の予告で、「この映画楽しみ」と言っていた彼は、ずっとこの映画を楽しみにしていました。

そして当日、朝早くから楽しみで元気に騒いでいた彼と、車の中でドラクエのCDを聞きながらミッドタウン日比谷の映画館に向かいました。
車の中で彼は「エスタークも出ちゃうかな?プチタークは?」などとドラクエ5の話に夢中になりながら瞳を輝かせていました。

映画館では、大好きなスライムナイトのぬいぐるみを抱きしめながら、スクリーンの迫力ある映像に引き込まれているようでした。
しかし、突如として館内が凍り付きました。まさに凍り付いたという表現しか思いつきません。そう、問題のあのシーンです。事前情報を全く知らなかった私たちは言葉を失いました。

スクリーンを出るとき、私たちのみならず、カップルなど他のお客も皆、無言でうつむきながらとぼとぼと出ていきました。

帰りの車にエンジンをかけオーディオからドラクエ5の音楽が流れ出すと、堰を切ったように息子が泣き出しました。

私は彼にかける言葉が見つかりませんでした。

家につくと彼はご飯も食べずお風呂だけ入り寝てしまいました。
妻は息子のそんな異変を見て、
「映画館で・・・ケンカ・・・した?」と聞いてきました。

私はコーヒーを飲み、一息ついてから、事の次第を伝えました。

妻は「好きな野球チームの観戦に行っても、そのチームが負けることもある。好きなJリーグのチームを応援に行っても負けることもある。」
「今回のことも、あの子の成長にとって大切なこと」そう言いました。

しかし、昨日の朝、妻が青ざめた顔で私を起こしに来ました。
「ドラクエのおもちゃが全部捨ててあるの・・・分別して・・・」

慌てて見に行くと、息子が大事にしていたドラクエ関連のグッズが全てごみ袋に入って置かれていました。ドラクエのゲームソフトは不燃ごみの袋に、ぬいぐるみやカード類は可燃ごみの袋に。

「とりあえず、これは全部取っておくから、しばらくそっとしてあげよう」私はそう言い、袋を自分の部屋に持っていきました。

それから、私たちはドラクエの話は触れず、息子も表面上は元気を取り戻したようで、友達と遊んでいました。

これは、言葉の言い回しは少し変えてますが、全て本当の話です。

息子は、この夏、8月23日に東京オペラシティコンサートホールで行われる交響組曲「ドラゴンクエストV」天空の花嫁のオーケストラコンサートをとても、とても楽しみにしていました。

ですが、きっと一緒に行くことはないでしょう。妻から聞いた話では、彼は2度とドラクエなんかやりたくない。大嫌い。そう言っていたそうです。

しかし、もし、このレビューを見た方でコンサートに行かれる方は、オペラシティで、スライムナイトのぬいぐるみを大事そうに抱えた小学生の子供と仕事帰りのサラリーマンが一緒に鑑賞していたら、温かい気持ちで見送ってあげてください。




反応

・父親は、息子を命を懸けて守るんだよ。パパスから何も学んでいないのか?
・同じ人の親として、いたたまれない出来事ですね...。
・今までのレビューで1番心に響きました。
ちょっと泣いてしまいました。映画にしたら余裕でドラクエぬけますよ。
これこそが、この映画の恐ろしさですね。
今後その子のようなお子様が出ないように祈ります。観る人が1人でも減るように祈ります。
・レビュー読んで泣けた・・・
・これはマジ
・息子さんのお気持ちお察しします。大人の私達でさえ、あのラストには納得ができません。子供の頃の楽しい思い出ごと否定されたような気分です。所詮はただのゲームだ、現実を見ろ、大人になれ、なんて言われなくても分かってます。その中でゲームや映画に夢を見て、ドキドキワクワクして…お子さんのその純粋な気持ちを踏みにじるようなラスト…
どうか息子さんが、ドラクエを嫌いにならずに、オーケストラを楽しんでいただけるように願っています。

かなしいね(´・ω・`)