山崎賢人 (2)


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8月23日公開 映画『二ノ国』レビュー 「アニメと言えど配慮するべきところに手を抜き、障害者差別を感じた今年一番残念な作品」

これを観終わった後に僕は、「日本人の障害者意識はここまで低いものか」と色々考えさせられ、これがゲーム原作の映画として最も酷いものではないかと心のなかで形容しがたい気持ち悪さを覚えた。

去年の6月にジャンクハンター吉田が右足を切断してから、一緒に行動する時は著しく移動能力が衰えた彼に歩調を合わせ、『ロボコップ』のトークショーで広島を訪れた際は、極力体に負担が出ないよう親の車を駆り出し、車椅子もレンタルできるところを探したりと色々手段を講じた。
余談だけど、広島の路面電車、広島電鉄に乗る際に足をあげることが中々出来ず、ヘルプマークをつけている吉田さんに対して広電の職員から「早く乗ってください!」と大声を出して急かすというとんでも場面に遭遇して、とっさに僕が「この人右足がないんですよ?」と説明したら職員が黙り込み、なんとも言えない空気が流れたのは一生忘れられないだろう。

元より子供の頃から周りには原爆で体の一部が欠損した人を始め何かしらの障害を抱えた人たちと接していたため、別け隔てなく意識してその障害に合わせて行動するのは割と当たり前な意識として根付いているせいか、この車椅子の歩行困難者のユウのストーリー上での扱いから作品の至る箇所で障害者配慮が欠けている(というより意識すら無い)と感じた。

まず絵から見てほしいのだけど、ユウはX-MENのプロフェッサーX のように電動車椅子に乗って生活している。





・・・まるで「車椅子にレバーつければ電動車椅子でしょ」と言わんばかりの形状だ。
電動車いすを作品上で使うことに全く問題は無いと思うが、やるにしてももう少し実在の物を参考にするとか思わなかったのだろうか?
プロフェッサーXのようなSF感満載の作品ならともかく、これは一応現代日本に近い世界を舞台にした作品で、細かいディールをすべて再現しろとまでは言わないが、ノーマルの手押し車椅子にレバーつけただけの手抜きをみせられたら制作陣の潜在意識を疑わざるを得ない。

更に序盤10分くらいのシーンでは、コトナとハルが「美味しい店に行こう」と誘いをかけ一緒に向かうがその先に、物凄く急で長い階段を目の当たりにして絶句するところがある。
これはまだ予想だにしなかった道のりに少しがっかりする程度で済んだにもかかわらず、ここでユウにわざわざ「邪魔者はここで帰りますね」と言わせてしまうのだ。
確かにこのシーンの前ではハルとコトナは男女のカップルとして付き合っていることが説明されていて、このシーンでは仲良しカップルに付き合うユウという3人の組み合わせで進んでいたのけれど、いくらカップルが出来上がっていることを前提にしても、障害者にとって困難な状況が出てくる場面で「邪魔」というセリフを言わせるのかと思うと心持ちが悪い。

更にこのシーンの後には、危機に陥ったコトナを救うためにユウが電動車椅子で救出に向かう「電動車椅子チェイス」という、アニメでもやっちゃいけないようなチェイスシーンを見せられる(途中車で輸送するシーンはある)。
電動車椅子に少しでも触れたことがある人なら分かると思うが、意外にも馬力やパワーはなく、少しの段差でも乗り越えられなかったり、最悪蹴躓いたりする可能性もある。ところがこのアニメではまるで「すべての道はバリアフリー!」と言わんばかりにユウに危険な電動車椅子でのチェイスをやらせるのだ。

X-MENに例えると、全力で逃げようとするするマグニートー相手にプロフェッサーXが電動車椅子に乗ったまま追いかけるところを想像して欲しい。それに近いことをこの映画ではやっているのだ。ある意味突拍子もないレアなシーンなので一見の価値はあると思うが、もはや失笑モノだ。

電動車椅子の作画からありえないセリフまでを踏まえると、この作品の制作陣、特に製作総指揮で脚本も務めた日野氏の車椅子使用者に対する考え方がよく分かる。少し荒い言い方になってしまうが「ありえないでしょう」。これが物語序盤15分で展開されるのだから見ている側としては失笑だ。

物語の終盤ではこれに追い打ちをかけるかのような展開が待っていた。
「二ノ国」で健常者になったユウは、コトナにそっくり(命のリンクがあるからほぼ同一人物)のアーシャ姫と恋仲に落ちるのだ。
アーシャ姫はハルとも面識があるのだが、二ノ国ではハルには殆ど目もくれず、自分の事を慕ってくれるユウに意識が向いたからだが、これではまるで「障害者は恋の対象にならないよ」と言われているようなものに見えてしょうがない。
本来ならば「世界が違うから」「ハルはすでに彼女がいるから」という理由付けもできるが、ここまでに障害者に対する意識の無いシーンをみせられると、もう徹底的に障害者差別を推し進めているようにしか見えなくなってくる(もちろんそうでは無いと“信じたい”)。

しかも最後のシーンでは「二ノ国」にユウが残り、「一ノ国」に戻るハルと別れを告げるのだが、「一ノ国」ではコトナを始めユウに関わっていた人物が皆ユウの事を忘れてしまう。
確かにその世界にいない人の事を覚えていたらただの失踪事件になってしまうので、それはそれで問題になることは間違いないけど、映画全体のツッコミどころや問題点の流れから「障害者はこの世界にはいらない。障害もなにもない不思議な世界に旅立ってくれ」というふうに見えてしまう(何度も言うがもちろんそうでは無いと“信じたい”)。

障害者に対する意識の無さが露呈するばかりの映画だったが、その他のシーンでは一応原作のRPGっぽい戦闘シーンも用意されている。出来の方はまぁ、よくも悪くも平々凡々で、特に新鮮さも古臭さも感じられずアニメでは良く頑張ったほうだと感じられた。

もしかしたら障害者との関わりが薄い人にとってはファンタジー映画として楽しめるかもしれないが、僕は残念ながら終始頭を抱えるほど心にしこりの残る作品だった。
日野さんは今一度、障害者の現状をちゃんと勉強してDVDやBlu-ray版では修正をするくらいの心で作品を作り直してほしいと切に感じた。
評価もボロボロ・・
二ノ国 - 作品 - Yahoo!映画 - 190825-185918
二ノ国 -
二ノ国


 

反応

・気がついたら寝てました
・思った以上のつまらなさ。ドラクエより酷い。
なんで映画にしようとしたのかが謎。
退屈映画ナンバーワン
・映像がホントにひどかった
・映画なのに作画が酷いってなんなんだよ
・監督らの技量をしても、説明セリフオンパレードとご都合主義展開の、雑な原案脚本をどうにもできなかった感じ。
・お金を払って見にいくレベルではないかな。レベル5だけに...
・画質も内容も子供向けでガッカリしました。
途中で眠くなる程度の内容


映画効果で二ノ国が売れたりして(´・ω・`)


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