山本敏晴のブログ

1965年生、仙台出身。医師・写真家・NPO法人宇宙船地球号理事長。元国境なき医師団日本理事。 峭餾欟力師」という概念を提唱。企業の社会的責任(CSR)を推進。世界中で大切なものの「お絵描きイベント」を実施。著書に『世界で一番いのちの短い国』『アフガニスタンに住む彼女からあなたへ』 『国際協力師になるために』、『あなたのたいせつなものはなんですか?』『世界と恋するおしごと』『地球温暖化 しずみゆく楽園ツバル』『「国際協力」をやってみませんか?』など

2006年12月

しあわせの かたち 2,137字

.
先日、高校生から、質問がきた。

「高校の文化祭で、
 幸せとは何か、を発表するので、
 山本さんの意見を聞かせて下さい。」

たまたま時間があったので、考えた。


1.比較することで生じる、幸せ

 いじめられている同級生よりは
 それを見ているわたしのほうが幸せだ。
 テレビの中にいる、不幸な人よりは
 私のほうが、まだましだ。
 自分の周りにいる人よりは
 私は、ちょっとお金持ちだ。
 自分がつらかった頃の過去と比べると
 今の自分は、幸せだ。
 などなどのように、他人などと比較することで
 得ることができる、幸せ、
 または、不幸せ、があります。

2.宗教的幸せ

 人生について、迷ったときなどに
 その解決を宗教にゆだねる
 方法もあります。

 キリスト教・イスラム教・ユダヤ教的な幸せは、
 唯一神、と呼ばれる、たった一つの神様を信じ、
 その教えを、絶対的に信じることです。
 そのため迷いがなくなります。
 聖書などに書いてあることを行なえば、
 やがて、最後の審判の日に、
 メシア(救世主)があらわれ
 私を、天国にみちびいてくれる、だから、大丈夫。
 老いても、死んでも、その日に私は、復活し、
 天国にいける。
 そう信じる、幸せもあります。

 仏教的な幸せは、もともとは、ほとんど哲学の世界で
 自分が、世界の一部だと考え、
 自分が死んでも、自然に還り、
 輪廻転生を繰り返すことで、生き続ける。
 だから、個体(自分)の死など、たいしたことでは、ない。
 そう考えると得られる、穏やかな「悟り」の状態を
 幸せ、といいます。

3.強い、感情による幸せ

 恋愛感情がある異性と、良好な関係で身近にいるとき、
 お笑いのテレビ番組をみて、爆笑しているとき、
 一人娘が、結婚し、嬉し泣きしているとき、
 こうした、一時的な、強い喜びの感情による幸せもあります。

4.物質的幸せ

 お金、家、車、パソコン、宝石、ニンテンドーDSなど。
 欲しいものがあれば、幸せ。

5.自己満足による幸せ

 自分で自分の描いた絵が、うまいと思ったとき、
 カラオケで、上手に歌えたと、思ったとき、
 まわりの人が、自分をほめてくれるとき、
 鏡をみながら、お化粧をしている女性、女子、
 スポーツやケンカで、相手に勝った男性、男子、
 その他、無数。

6.他人の笑顔を見る幸せ

 人に良いことをすると、
 その人が、微笑みを返してくれる
 ことがあります。
 これが嬉しくて、そうした行為を繰り返す。
 そんな幸せ。

7.繰り返し、安定した作業をする幸せ

 家庭用ゲーム機で、繰り返し、同じ作業をしていると
 自分の世界の中で、安定した感情・思考が続きます。
 こうした状態の時、
 人間の脳からは、ドーパミンや、エンドルフィンなどの
 「幸せ」を感じる化学物質が分泌されることが
 医学的にわかっています。
 このため、テレビゲームや、携帯ゲーム機を子どもに与えると
 永久にやり続けます。
 これも、一つの幸せです。
 また、この現象は、家庭用ゲーム機だけではなく、
 他のさまざまなゲーム、趣味、習慣にも、みられます。

8.母性愛

 母親の愛が、すべての愛の中で、最も尊い、
 とする人もいます。
 よって、母親が、子どもに母親らしい愛情をそそいでいるとき、
 逆に、子どもが母親から、そうした愛情を受け取っているとき
 幸せを感じる、という人もいます。

9.本能に基づく、幸せ

 人間には、個体維持、と、種族維持、の、二つの本能があります。
 個体維持は、食べて、排泄をして、寝る、を繰り返すこと。
 種族維持は、異性をみつけ、性行為をし、子どもを作り、育てること。
 以上の、どの段階でも、幸せを感じることが、あります。

10.集団的幸せ

 日本人に特徴的なものとして、
 conformity というものがあります。
 周りの人と、同じ行動をすれば、安全だ、安心だ、という考え。
 この、周りの人と、同じ行動をしている状態が、
 幸せそのものだ(安心・安定だ)、とするものです。

11.一人でいる幸せ

 普段、社会生活を送っていると
 人間関係のわずらわしさから
 逃げ出したくなることがある。
 そんな時、一人でいる。
 それに勝る幸せは、ない
 とするもの。

12.誰かから必要とされる幸せ

 「あなたがいるだけでいい。」
 「あなたがいると、仕事がはかどる。」
 そういったことを、言ってもらえるだけで嬉しい。
 恋人同士、親と子の関係、などのケース以外にも
 職場の同僚、友人関係、スポーツ仲間などでも生じうる。

13.人間がいない幸せ

 環境問題系の活動をしている人と話すと
 「地球にとって、最も有害なのは
  人間という生物ではないか?」
 という話になることがある。
 海を汚し、空を汚し、大地を汚し、
 森を消滅させ、砂漠を広げ、温暖化が進む。
 この生物がいなくなること。
 それは、少なくとも、「地球」にとっては、幸せ。

14.家族と過ごすこと

 家に帰って、家族といっしょにご飯を食べること。
 誕生日を家族に祝ってもらうこと。
 お盆には、田舎に帰ること。
 年末年始を家族と過ごすこと。
 家族だけは、どんな時も、味方でいれくれる。

15.これから良いことがやってくる瞬間

 大好きなお祭りがやってくる!
 もうすぐクリスマス!
 来週は、ディズニーランド!
 今夜は、紅白歌合戦を見て、年越しそば!

・・・

その他、
人間の数と同じくらい
無数にあるのが、「幸せの形」、です。



さあ、今日は、大晦日(おおみそか)。

明日から、新しい一年の始まりです。


Happy New Year



今だけは、みんな いっしょに

同じ幸せの形に、酔いましょう

雨 241字

.
雨が降った。


町に降った雨は

路面を濡らし
樹木を濡らし
人々を濡らし

地面を流れ
道の端(はし)にある
排水口に吸い込まれていく。


道路に落ちた木の葉は
流れる水に翻弄(ほんろう)され

とぐろを描きながら
排水口へと
吸い寄せられていく。


雨に濡れそぼった「木の葉」は
その色が一瞬、鮮やかに見えることもある。

流されて、汚い虫の死骸と
くっつくこともある。


時に、色鮮やかに
時に、汚れにまみれ

流され続けていく。




ふと見上げれば、大きな木が見える。

「人類」という名の育ちすぎた木が。




私は 木の葉 なのか


それとも 雨 なのか

プロジェクト・マネージメント、その問題 8,054字

.
「国際協力とは、自己満足であってはならない」

私は一貫して、そう提唱してきた。

自分のお金で好きな活動をするのならともかく、
国民の税金や募金されたお金で活動をする場合、
当然、その結果を示さねばならない。

このためには
「綺麗ごと」
だけを言うのではなく
「数字で結果」
を出さなければならない。

数字というのは、
その活動を行った時に、改善されるべき「指標」である。

例えば
医療系であれば、乳児死亡率(1歳未満死亡率)、など
教育系であれば、初等教育の普及率、など
経済系であれば、GDP(国内総生産)、など
である。

注:
ただし、こうした指標には
それぞれの特性があり
一つで完璧な指標はない。

このため、複数の指標を用い、
それぞれの欠点を補うことが必要である。
これについては、別のブログで、詳しく述べる。

・・・

最終的に、数字で結果を出す、ためには
実は、
最初の段階から、それを意識したプロジェクトが
必要である。

意味のあるプロジェクトを作るために
考え出された方法論たちがある。


歴史的には

1960年に アメリカ国際開発庁(USAID)が
「ロジカル・フレーム・ワーク」
通称、ログ・フレーム、というのを作った。

これが、全ての国際協力の方法論の
もととなっている。

1983年に ドイツ技術協力公社(GTZ)が
ログ・フレームを改良して
「目的指向型プロジェクト立案手法」
ドイツ語での略称、ZOPP、というのを作った。

この方法論を
現在でもかなりの数の援助機関が使っている。

1990年に 日本で
国際開発高等教育機構(FASID)が創設された。
日本における国際開発分野の人材育成と
研究を目的とした施設だった。

2001年に、このFASIDが
「プロジェクト・サイクル・マネージメント」
(Project Cycle Management : PCM)
というものを作った。

現在、日本の国際協力機構(JICA)などが
このPCMという方法論を使用している。

これは、簡単にいうと
プロジェクトの
計画・立案・実施・評価
などという一連の流れを監視する方法だ。

(この詳細は、また別のブログで書く)



それ以外の国際協力組織も
上記のいずれかを参考にして
自分なりの、様々にアレンジした方法論を持ち
なんらかの形で
プロジェクトの管理を行っているのだ。

・・・

全体としては、大筋で、以下のような流れとなる。

1.プロジェクトの発掘と計画立案
2.プロジェクトの実施
3.モニタリング(監視)とフィードバック
4.プロジェクトの終了と結果判定

という流れとなる。

順番に、説明していこう。

・・・

1.プロジェクトの発掘と計画立案

ある国の、医療の状態が、ひどい、とする。
子供がいっぱい死んでいる、という
大雑把な情報が入ってきた。

しかし、どんな活動をすれば
最も効果があがるかわからないので、
まず、「先発隊」を送り込む。

先発隊は、現地で、情報を集める。
例えば、医療の指標としては
いろいろあるが、例をあげると


平均寿命(0歳での平均余命)
粗死亡率

乳児死亡率(1歳未満死亡率)
5歳未満死亡率
妊産婦死亡率(出産前後での女性の死亡率)

感染症全般での死亡の割合

マラリア罹患時の死亡率
肺炎罹患時の死亡率

病気になった時、病院に行ける人の割合
難産になった時、病院にいける人の割合

麻疹(はしか)のワクチンの摂取率
ポリオのワクチンの摂取率

HIV/AIDSの罹病率
結核の罹病率


などなど、がある。

こうした、数字で見ることができるものが
医療統計指標として、100以上あり
これらを、できるだけ、集める。

集める方法は、
1.国際機関からもらう(WHO,ユニセフなど)
2.現地の政府(保健省・厚生省)からもらう
3.現地で活動するNGOなどからもらう
など。

上記では情報が不十分な場合、
自力で、調査をする。

通常、統計学もしくは疫学の専門家を
先発隊の中に、最低一人は連れて行くのが
常識である。

この人が中心となり
なんらかの調査をする。

これには、大規模な場合も、小規模な場合も、
定量的なものも、定性的なものも、ある。

これについても、別のブログで、述べる。


以上の結果、十分な情報を集めたら
通常、
まず、小型のプロジェクトを作成する。

大規模に行うよりも
まずは、
そのプロジェクトが、本当に効果があるかどうかを
試すために、小規模で行う。

これを
「パイロット・プロジェクト」
と呼ぶ。

その国の中で、
比較的「典型的」と思われる地域を選び
そこで、まず小規模でやってみる計画を組む。


ある村に、入ったとする。
集めた情報の結果、
ここでは、仮に「妊産婦死亡率」が、高い、としよう。
そのため、それを改善するプロジェクトを
やりたい、とする。

そこで、その村で
またまた情報を集める。
村長さんや、国の担当官から
現地での「有力者」たちを紹介してもらう。

具体的には、
村長、各部族の長、宗教施設の長、
各学校の長、病院等の長、保健所等の長、
などから、意見をきく。

一方で、有力者とは逆の
「社会的弱者」からの意見を聞く。
それは
少数民族、少数宗教、貧困層、女性、子供、
肉体的障害者、精神的障害者、同性愛者、
などである。

以上を踏まえた上で、
「妊産婦死亡率」の原因になっている
問題点(プロブレム)を列記する。

例えば、

病院がない。診療所がない。
医者がいない。看護師がいない。
医学部や看護学校がない。
看護師を育てる前に、小学校がない。
病院に、薬がない。
病院に電気がなく、手術(帝王切開)ができない。
村に金がない。
妊婦は自宅で出産し、病院にこない。
難産になった時、自宅で死亡する。
病院までくる道路が、ひどい。
車など交通機関がない。
戦争を一部でやっている。
治安が悪く、女性が強姦される。

などなど。

そして、それぞれの問題の重要度、
関連する問題のグループ化、階層化、
などを行っていく。

(これを、プロブレム・アナリシス、
 または、プロブレム、ツリーの作成、と言う。)


以上に基づいて、とりあえず
どの問題に対して、
どのくらいの規模(予算とスタッフ)で
行うかを考える。

必ずここで、厳格にしていくのが
5W1H、である。

なぜやるのか、
いつ、どこで、だれが、なにを、どのように
やるのか?
ということを、決める。

これにより、実は、
プロジェクトを実施する前から
大筋で、どのような結果になるのかを
予想することができるようになる。


例えば、
「妊産婦死亡率」を改善するために

WHY:  病院が地域にないことが原因の一つなので
WHEN: 2007年から2011年の5年で
WHERE:この村(地方自治体)の管轄エリアで
WHO:  外国人スタッフ5人、現地スタッフ50人が
WHAT: 建築、人材確保、薬剤確保、手術室作成を
HOW:  村と協力し、世界銀行からの資金提供で

行い、かつ、持続可能な段階までもっていく、

などとするのだ。
もちろん、実際は、もっとずっと詳しい内容を作成する。


一方で、
これが実現するためには
外部条件や、前提条件が必要となる。

例えば、

戦争が、この地域まで波及してきたら、できない
医師などの人材が、この国にいなければ、できない
資材を運ぶ、道路と交通手段が確保されないと、できない

など
上記のような「困難がないこと」が
計画が達成できる、必要条件となる。

すなわち、どのようなことが起こったら
(または、改善されなければ)
できない可能性がある
ということも、事前に予想しておく。

そして、かつ、その対策を用意する。
具体的には、
他の援助機関や国連・政府等へ協力を要請していく。

・・・

2.プロジェクトの実施

プロジェクトを実施する場合、
様々な人が、いろいろなところで、働く。

具体的にいこう。


「先進国側の事務所」
にいるスタッフたちが
さまざまなドナー(国や国際機関等)に資金援助を依頼する。
一般の人からの募金を募集する。

国際機関と政府機関には、
プロジェクトの計画を提出し、
予算がもらえた場合、その報告書を書きまくる。
一般の人たちにも、広く、募金を呼びかける。


「途上国側の首都にある事務所」
では
現地の政府との調整・交渉を行う。

車などの交通手段を確保、
ホテルや、事務所用住宅の確保、
会計全般、
外国から到着する薬品などの受け取りと
病院のある田舎への発送作業。
(ロジスティック(兵站)の確保)

首都にいる医師や看護師やその他スタッフを募集し
田舎へ行ってくれるか交渉。給料等の交渉。


「途上国の現場(田舎)の事務所」
では
田舎でのスタッフ募集、
現場でのお金の管理、
安全維持(危険回避)の管理、
各スタッフへのその日の仕事の割り当て、
各スタッフの評価、
建築会社との値段の交渉、その仕事の監視、
薬剤などの物品の搬入、在庫の管理、盗難防止、
医療廃棄物の処理・搬出、
発電機の確保と燃料の安定供給、
様々な人事トラブルへの対処、
村長、各部族の長、軍隊などへの挨拶まわり、
少数民族、貧困者、女性、などに意見をきく、
などを行う。

そして何よりも重要なのが、状況の定期報告だ。

最低でも、一ヶ月ごと
場合によっては、2週間程度ごとに
現状をレポートで本部に提出する。



NGOの場合、上記がプロジェクトとなるが
国際機関や、政府機関の場合、
上記は、パイロット・プロジェクトにすぎない。

実験に、すぎない。

これをもとにして、
様々な点を改善し、
国全体にわたる、大規模なプロジェクトを
「政策提言」する。

・・・

3.モニタリング(効果の監視)とフィードバック

プロジェクトは
最後に数字で結果を出す、だけではなく、
必ず、途中でも、定期的なチェックが必要だ。

団体にもよるが、一ヶ月ごとに状況を提出し、
3ヶ月ごと、などにフィードバックが行われる。

こうした概念を
PDCA,と呼ぶ。
これは

Plan :   計画の作成
Do :    計画の実施
Check :   問題点の抽出
Action :  問題点を、たたきなおす

というサイクルを、ぐるぐる回して
どんどん計画を改善していくのだ。


4.プロジェクトの終了と結果判定

プロジェクトの評価には
最初のターゲットされた「指標」が
当然もちいられる。

しかし、実際は、例えば
国全体の「妊産婦死亡率」が改善するには
そもそも国全体に及ぶ大規模なプロジェクトが必要だし
仮にそれを行ったとしても、その効果が現れるのは
数年後になるため、
よって、そのままの指標では、使えないことが多い。
(数ヶ月では、数字が改善しない。)

このため、それ以外の評価が必要になる。

通常、用いられるのが
経済協力開発機構:OECD
(Organization for Economic
Cooperation and Development )

開発援助委員会:DAC
( Development Assistance Committee )

提唱した5項目評価である。

活動や、資金などの投入が
目標の達成に、どのようにつながっているか
を検証する。

「DACの5項目評価」とは

妥当性 relevance その国の政策やニーズに合うか?
有効性 effectiveness 目標に対する達成の度合いは?
効率性 efficiency 投入した資源と比較した成果は?
インパクト impact 長期的な(予想外も含む)効果は?
自立発展性 sustainability 自立的に継続可能か?

である。

この評価の時にも、前述した、5W1Hが重要である。
なぜ、いつ、どこで、だれが、なにを、どのように、
評価するのか? というだ。

例えば、


なぜ?
 実施中のプロジェクトの改善
 終了したプロジェクトの評価(報告書作成)
 終了後のフォローアップの際のチェックポイント作成
 資金提供者への説明責任
 新規プロジェクトのための参考(反省)

いつ?
 事前評価
 中間評価
 終了時評価
 事後評価(フォローアップ)

だれが?
 内部評価
 第三者機関による評価
 受益者による評価(国、地方自治体、社会的弱者)
 資金提供者による評価

どこで?
 プロジェクト実施地域の有力者側(村長、民族の長、等)
 プロジェクト実施地域の社会的弱者側(少数民族、女性、等)
 対象国の官公庁(その国の政府、地方自治体、等)
 協力してくれた他の機関(国連、JICA、NGO等)
 ドナー機関(資金提供国の代表者、募金した人の反応、等)

どのように?
 どのような統計学的調査をするか?
  センサス(全人口調査:対象地域の全員に調査)
  サンプリング(母集団から標本を抽出)cluster sampling
 定量的な調査か? 定性的な調査か?
  なんらかの数字(建設した病院の数、教育した看護師の数、等)
  口頭インタビュー、質問紙に記入
  small group discussion (受益者同士で討議させる様子を記録)
 書類審査
  誰かが作った報告書等から判断

・・・

上記の中で、最も重要なのは
第三者機関からの「評価」を受ける機会が
あるかどうか、ということだ。

「内部評価」だけしか行っていない組織は
基本的に、ダメ、である。


また、その第三者機関も、
定型的な、「いつもの大学の教授」ではなく
様々な立場の人々から
批判を受けなくては、ならない。

具体的には、
国際機関・政府機関・民間組織は
自分の所属しない、他の二つの分野からの
評価を受けることが、まず必要になる。

次に、
大学の教授や講師、研究機関、シンクタンク
などのアカデミック施設から、
毎回、違う人で、しかも、複数に依頼する。

三番目に、
資金を提供している立場の人からの評価、である。


また、こうした第三者機関が
そのプロジェクトを評価する際も、
既に作成された「報告書」を読んで
判断するのではなく
できれば、実際、現地にいって
受益者となる人々の意見を
直接きくことが望ましい。

そうでないと、
報告書が、偽造されたものでも、
綺麗ごとだけを書いたものでも、
わからないからだ。

が、
これを行うことは、
(時間的にも、予算がかかることからも)
事実上、難しいので
中庸案としては
報告書には、
これとこれとこれだけは
絶対に記入するように、というな項目を
義務付けることが、必要であろうと思う。

具体的には、
プロジェクトエリアにおける
「受益者」というよりは
「社会的弱者」の人たちにとって
本当に意味があったのかどうかを
定量的・定性的に、多彩な指標を用いて
評価していくシステムが
必要だと思う。

この
「総合的に判断するための多彩な指標たち」
に関しては、また別にブログで書く。

・・・

さて、以上が、

プロジェクト・マネージメントの
大雑把な概説である。

将来、
国際協力をやってみたい人も
逆に
国際協力に募金をしたい人も
ぜひ
上記のことを参考にして
ご判断いただきたい。

・・・
・・・

ここで、ちょうどいいので
国際機関、政府機関、民間組織の
それぞれの問題点を挙げておく。


国際機関と政府機関は、
通常、プロジェクトを実施する際に
その途上国の政府の担当官(政治家)と話をする。

そうすると
その担当官は、
自分にとって(政治的に)得になるような
プロジェクトの依頼をしてくる。

「利権」の獲得、というやつである。


通常、この担当官は、
その国の「権力者」側であるため、
その国の「社会的弱者」が望むこととは
まったく違う内容を望むことが多い。

例えば、
都会の大企業に、海外の資本を導入したほうが
彼の政治的な力が拡大していく可能性が高い。

金持ちである会社経営者を優遇する援助を行えば、
将来、その経営者が、大量の政治資金を
その担当官(政治家)にくれる可能性が高いからだ。

地方の貧困層に、初等教育を受けさせても
担当官にとっては、なんの得にもならない。

こうしたケースは、非常に多い。


よく、一般の人が誤解していることは、
「開発途上国」とは、
貧乏な人ばかりの国ではなく
「貧富の差」が
非常に大きい国のことである。

つまり、
アフリカの国でも、「権力者」側にいる人は
あなたの100倍以上、お金を持っている。
そして同時に
その国の「社会的弱者」の人たちは
あなたの1000倍以上、貧乏な生活を
おくっている、
ということだ。


なにをいいたいかというと

国際機関や政府機関のように
その国の、権力者側と、最初の交渉をし、
その国でプロジェクトをやらせてもらえるように
話を進めていく、というやり方では
その国の
権力者のいいなりのプロジェクトしか
できない可能性がある、
ということである。

さらにもっと言えば
国際機関や政府機関は、
プロジェクト後の評価をしてもらう時に
その「担当官からのレビュー」
と呼ばれる書類をもらう。
自分のことや、プロジェクトのことを評価してもらう。
それを、自分の所属する国連や政府に提出する。

つまり
その「担当官」に気に入ってもらえれば
良いプロジェクトを行ったことになり
自分の組織における自分の地位が上がるのである。


国連の場合、
国連職員の任期は数ヶ月から長くて2年のため、
その任期が終わるごとに
国連の中で、新しいポジションを手に入れなければならない。
よって
自分の「輝かしい実績」を履歴書に書き、
定期的な就職活動を一生くりかえさねばならない。
このため、自分の実績を上げるために
プロジェクト実施国の担当官が気に入るプロジェクトを
行いがちになる・・という側面がある。

(余談になるが
 このブログを書いている時に、2006/12/28
 国連のアナン事務総長が、
 国連職員の「天下り禁止」命令を出した、
 というニュースが流れた。
 国連職員は、上記の「出世主義」という傾向以外にも、
 「天下り」による莫大な利益を手にすることもできる。
 莫大な援助費用を途上国に流せるため
 これに関連する企業と、個人的に癒着することが多い。
 このため、後日、その関連企業に就職できる、という
 交換条件を得られることが多い。
 以前イラクで国連職員の汚職が明るみに出たのが有名だ。
 このため、今回の天下り禁止令が出た。)


日本政府の行うODA(政府開発援助)の場合
相手国からの「要請主義」をうたっているので
始めから途上国側にいる政治家などの
「権力者」の思惑に利用される傾向が強い。
利権の獲得に使われてしまう。
これは「要請主義」をうたう以上、やむをえない。
また
その国との良好な外交関係を築くことが
日本政府の援助の目的の一つなので
(例えば、国連の常任理事国に日本を推薦してくれ、など)
当然、その権力者側にいる担当官の
言うとおりの援助をしがちになる。
社会的弱者にあたる貧困層などに、いくら支援をしても
日本を、国連の常任理事国に推薦してはくれないので
ある意味で、当たり前かもしれない。
悲しいことに
これが、ODAの本質、である。

日本の外交政策のために行っているのであり、
途上国の困っている人のために行っているのではない、のだ。


このため、実は、本質的には

民間組織のNGOのほうが
社会的弱者の側にたった
良いプロジェクトを行える可能性が高い。

(私が、自分でNGOでNPOを
 運営している理由もここにある。)

ただし、ほとんどのNGOは
私がここに書いてあるような
方法論や学問を知らず、
自己満足型の、いい加減なプロジェクトを
行っているところが(数としては)多い。

優良な活動をしているのは、
全NGOの中でも、ごく一部である。


一方、
募金する人たちも
どのNGOが、ダメなNGOで
どのNGOが、優良な(評価を行っている)NGOなのかを
見つけることが、極めて難しい状況だ。

この件は、以前のブログに書いた。

「募金」が有効に使われるための、三つの方法

・・・


ともかく、
残念なことに
国際協力の世界は

国際協力をする人も
その援助を受ける人も
悪い人たちが、たくさんいる。


そして、

人道主義、という名前のもとに
日本だけでも、

国際機関への分担金が、400億円、
政府機関のODAの予算が、1兆円、

の支出をしている。


莫大なお金が動くため
援助をするほうも
援助をされるほうも
このお金による恩恵を
少しでも、多く受けようとする。

・・・

先日、某有名援助機関の友人と、食事をした。
彼は、こう言っていた。

「こないだ、アフリカのある国への
 10億円を超える援助の話しを
 担当官と、まとめたんだ。」

彼は、得意そうに言った。

援助をする側の彼は
これにより、組織での地位が高くなるらしい。

援助をされる側(途上国)の担当官(政治家)は
してやったり、という所だろう。

これに関連する企業にも
莫大なお金が流れることになる。
食料でも、医療でも、建築でも、なんでも、である。

・・・

1兆円を超える これらのお金は、
皆さんの税金から支払われている。


仮に、募金など、まったくしていなくても
皆さんは、大量のお金を、
国際協力の世界に、
強制的に提供させられているのである。

(だって、税金が使われているのだから)


なんとも、思わないだろうか?


1兆円以上のお金が、
国際協力という名前の「美名」のもとに
それを利用する
「太った寄生虫」どもの「肥やし」になっているのだ。


太った寄生虫どもは
途上国にいる本当に困っている「社会的弱者」たちは
まったく相手にしていない。


怒りを覚えるのは、私だけだろうか?

地球のステージ、「きっかけ」には最高 1,345字

.
先日、「地球のステージ」を見学した。
わかりやすかった。

地球のステージ」とは
山形県にあるNPO法人の名前で
また
その代表者である桑山紀彦医師が行う
「映像と音楽のステージ」の名前である。


通常の講演ではなく、

1.大スクリーンに映し出されれる映画
2.桑山医師自身がギターを弾き歌う音楽
3.桑山医師のトーク

以上の三つが合わさった
複合的な「メディア(媒体)」だった。


内容としては、

1.桑山医師の青春時代の悩みから始まり、
2.世界一周旅行に出かけた時の様々な思い出、
3.国際協力を始めるきっかけとなった
  フィリピンの少女との出会い
4.そして始めた国際医療協力

という流れとなっていた。


桑山医師の現在の立場は
AMDA,JENなどの
(日本の中では)比較的有名な医療系NGOに所属し
そこで医療活動を行いながら
撮影も行っている、という形らしい。

そして、そこで得た映像を
自分のNPO法人「地球のステージ」にて
独特の講演ならぬ公演を行い、
人々への啓発活動を続けている。

・・・

私は、この「地球のステージ」を
JICAの友人から紹介されて知り
見物にいった。


私、山本の率直な感想だが

良い点
1.世界に目を向ける「きっかけ」としては最高。
2.医者だが、歌とギター演奏がプロ並みに、うまい。
3.2時間ぐらいだが、映像と音楽で飽きない。
4.感動、人情、出会い、優しさ、などの「王道」
5.現地の子供たちの「実名」が登場し、引き付ける手法。
6.AMDA,JEN,JICAと協力している。
7.子供から大人まで楽しめる。誰にでも勧められる。

悪い点
1.内容は、割とよくある世界を一周したバックパッカーの話。
2.本業の医療の部分で、どのような活動なのか、不明だった。
3.これを見た人が、具体的にその後できることの紹介が無い。


総合的には
見に行って良かった、と思った。
いろいろなアイデアを得られた。

・・・

私は、基本的に、
桑山医師のように、
人々を啓発する活動をしている。

啓発する場合、
三つの段階が必要だ、と考えており
それらは、以下である。

1.きっかけ
2.具体的一歩
3.意味のある活動へ


私は、自分の2時間の講演の中で
一気に、その三つを順に紹介していく。

きっかけで、感動させ、
すぐできることを、紹介し、
さらに、
本当に意味のある国際協力の考え方にも触れる。

・・・

しかしながら、
最近の私は、良くも悪くも「学問」に走りすぎていて
全体的に、難しくなっている。

このため
「きっかけ」の部分の長さが短くなり
やや感動してもらいにくくなっている
かもしれない。

反省した。


また
大量の写真と、音楽を使うのが
私の手法だが、
さらに、映像(動画)を導入したほうが
見る人たちが、飽きないということも学習した。

このため、
今月の前半に、ボランティアスタッフに協力を要請し
ちょっとした演劇をしてもらい、それを撮影した。

まだテスト段階だが、これを講演に組み込み
さらなる
強力な「きっかけ」を
提供していく予定だ。

・・・

今回「地球のステージ」を見て
何よりも勉強になったのは

「優しさ」

「想い」
など
言葉にできないものに
人は、感動する
ということだった。



うちの団体のキャッチコピーを
久しぶりに、思い出した。


「人に優しいことをすると
 その人も、誰かに優しくしてくれて
 優しさが、世界中に広がっていくんです。」

のだめカンタービレ 761字

.
国際協力を始める前、
まだ普通の医者だった頃

非常勤として働いていた小さい病院で
私は「彼女」と出会った。

ある重い病気を患っていた彼女は
週に何度も病院に来なければならなかった。


昼間、テレビ局で仕事をしている彼女は
夜、病院にくる。

ベッドの上で横になって、
数時間に及ぶ処置を受けている間

自分の役の台詞(せりふ)を覚えるため
彼女は、ずっと台本(脚本)を読んでいた。

役作りをして、暗唱するために。


「先生、関西弁、しゃべれる?」

「い、いや。しゃべれない。」

「あ、そう。じゃ、他の先生にきくね。」


これだけが、彼女と かわした会話で
覚えている内容だ。

どうやら、関西弁の役を依頼され
それを覚えなければならなかったらしい。

私は仙台出身なので、無理だった。
ちょっと残念だった。


彼女は一応、芸能人だということもあり
普段は
話しかけるのが、はばかられた。

私は、医学的に必要な処置だけをし、
ほとんど、彼女と口をきくことは、なかった。

・・・


時は流れた。


テレビを ほとんど見ない私だが
今年、唯一見ていたテレビの連続ドラマがあった。

それが
「のだめカンタービレ」
だ。

視聴率は、かなり高かったらしい。
今度、アニメにもなるという。


もともとは、
知人から原作の漫画本のほうを紹介され
それを読んだのだが、そうしたら、はまってしまい
ビデオに録画して、ドラマの全話をみた。

クラッシック音楽を題材にした
コメディーとシリアスが半々の内容だった。


・・・


そして

この中に、
10年以上前、
私に関西弁を教わろうとした「彼女」がいた。


元気に活躍しているようだ。
単純に、嬉しい。


医者仲間からの 風の噂で、

「病気は、なんとか治った」 と聞いた。


もう
彼女は、私のことなど、
覚えていないだろう。


しかし 

ただ 

嬉しい。



彼女は、どこかで 今も、

この瞬間も 元気に活躍している。





そうか。


これが、きっと

「医者の仕事」なんだ。
Earth the Spaceship . . . ETS



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