山本敏晴のブログ

1965年生、仙台出身。医師・写真家・NPO法人宇宙船地球号理事長。元国境なき医師団日本理事。 峭餾欟力師」という概念を提唱。企業の社会的責任(CSR)を推進。世界中で大切なものの「お絵描きイベント」を実施。著書に『世界で一番いのちの短い国』『アフガニスタンに住む彼女からあなたへ』 『国際協力師になるために』、『あなたのたいせつなものはなんですか?』『世界と恋するおしごと』『地球温暖化 しずみゆく楽園ツバル』『「国際協力」をやってみませんか?』など

2007年01月

国際医療協力によく用いられる統計学的指標 4,480字

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国際保健医療を行う上で、
最低必要になる統計学的知識を、ざっと説明しておく。

・・・

1.ターゲットとした疾患(病気または栄養状態など)の患者数を調べる

 A.センサス   (一斉全人口調査)census

 ある病気にかかった患者の数を調べるには、
 センサス(一斉全人口調査)と呼ばれる
 本当の全人口調査が最も良い。
 これにより、母集団(その国や地域全体)の人口も正確にわかり、
 かつ、
 ターゲットとした病気の症例の数もわかる。

 日本では5年に1度行われる国勢調査が、このセンサスにあたる。
 総務省が行い、莫大な予算がかかる。
 開発途上国では、戸籍や住民票などがないため、この実施が難しい。

 B.サンプリング (標本抽出) sampling

 サンプリング(標本抽出、一部の人々を選ぶこと)を行い、
 母集団(全体)の状況を統計学的に類推する手法が、よく用いられる。
 センサスよりも、予算が少なくてすむ。

 B−1.ランダム・サンプリング randam sampling

 サンプリングのうち、一応、その国(または地域)の全域で行い、
 完全に無作為に標本(サンプルとなる人)を抽出する(選ぶ)方法を
 ランダム・サンプリングという。

 これを行うためには、全住民の戸籍などを用いた、リスト、を
 まず作る必要がある。
 そして、適当な数字を決めて、その倍数にあたる人を
 抽出して(選んで)いく。

 例えば、6、という数字に決めたら、
 作ったリストで、最初から6番目、12番目、18番目の人を
 ピックアップする、という作業を行う。 

 B−2.クラスター・サンプリング cluster sampling

 開発途上国でも、その開発の程度がひどい、後発開発途上国では
 特に田舎にいくほど、戸籍も住民票もなく、住所すらない国が多い。
 出生届も、死亡届けもいい加減な場合も多い。

 さらに言えば、人の出入り(人口の移動)も多い。国内避難民、遊牧民など。

 また、紛争(戦争や内戦)などが続いている場合、
 統計調査を実施できる地域が限られている場合もある。

 こうした状況では、(国全体での)ランダム・サンプリングすら難しい。
 というか、実質的に、不可能である。

 こうした場合、次善の策、として用いられるのが、
 クラスター・サンプリングという手法だ。

 集団をいくつかの小さなかたまり(クラスター)に分けて、
 それぞれから標本(サンプルとなる人)を抽出する(選ぶ)ことをいう。

 難しい理論を、全てすっとばして、実施の仕方をいうと
 クラスターとしては、最低30クラスターあれば、
 統計学的に問題ないと言われている。
 かつ、
 事前に何らかの方法(他の団体の調査等)で
 狙いをつけた病気の(おおよその)発生率(%)を推測しておくと
 その割合に応じて、多分これくらいの標本を
 クラスターの中から抽出すれば、統計学的にOKである(証明できる)、
 ということができる。

 要するに、10人に3人かかっているような(頻度の多い)病気の場合、
 少ない標本数(100人ぐらい)でも、高率にひっかかってくるが、
 1万人に一人しかいないような病気の場合、
 少ない標本数(100人ぐらい)では、ひっかかってこない。

 さらに、それにより全体(母集団)の中での数を推測するためには
 頻度の少ない(稀な)病気のほうが、標本数がたくさんいることになる。

 よって、ターゲットをする病気の、全人口における割合を
 他の団体の過去の調査(文献)などにより、
 なんとかして「知る」ことが必要になる。
 これが、クラスター・サンプリングを行う前提になっているのだ。

・・・

2.病気にかかっている状態の違いによる指標。(急性、慢性、キャリアー)

 罹病率 ( morbidity ) に関する様々な用語がある。

 a. 罹患率 ( incidence )

    麻疹(はしか)、マラリア、急性肺炎などの急性疾患の
    発生の頻度を知りたい時に用いる。

    ある地域で、ある期間内に、どれだけ、その病気の患者が発症したか、
    を見る。

    これを調べる意味の一つは、
    麻疹に対する児童へのワクチン接種の効果を知りたい時や、
    マラリアに対する殺虫剤を含んだ蚊帳(かや)の配給効果を知りたい、
    など、急性疾患に対する、なんらかの予防対策の「効果」を知るため。

    補足すると、国際保健医療の世界で、最も重要な活動分野の一つが、
    開発途上国の子どもたちへのワクチン接種である。
    これを、EPI ( Expanded Program for Immunization ) と言う。
    日本語に無理矢理翻訳すると、拡大予防接種計画、となる。
    接種ワクチンは、麻疹、BCG(結核)、ポリオ、B型肝炎、
    DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)、破傷風(妊婦)、など。

    ともかく、このEPIは、どこの国で保健医療をやる時にも
    ほぼ必ず行わなければならない一つの柱であり、
    この効果判定に用いられるものの一つが、
    この、罹患率が減ること、である。

    また、ワクチンが(少なくとも今のところ)作れない病気もある。
    それがマラリアである。
    マラリアを予防するためには、殺虫剤入り蚊帳の無料配布、
    小学校等での予防教育、等である。
    こうした対策への効果判定にも、罹患率が減ること、を用いる。

    罹患率を調べる、その他の意味は、
    流行性疾患のアウトブレイク(大発生)の予兆を見つけるため
     (サーベイランス surveillance)、
    下痢症がその地域で多い場合、その地域の「水と衛生」の状態が
    悪いことが推測できること、などがある。
     (水と衛生 water and sanitation)

 b. 有病率 ( prevalence )

    HIV/AIDSや結核などの慢性疾患に用いる。

    急性疾患は、1週間から2週間で治るか、または死亡する。
    慢性疾患は、一度かかると、少なくとも1年以上、
    下手をすると、一生罹病している。
    要するに、すぐ治るわけではないので、罹患率とは別の指標が必要である。
    どんどん、その病気が社会に蓄積していくからだ。
    この社会に蓄積された割合が、有病率、である。

    有病率は、
    罹患するスピード(頻度)と、
    治療される(または死亡する)スピード(頻度)の
    両者のバランスで決まる。

    これを調べると、
    その慢性疾患の、社会における蓄積率がわかり、
    それによる社会への(経済活動等も含めた)悪影響がわかる。

    要するに、HIV/AIDSや結核などの社会での蓄積率がわかる。

 c. アタックレイト ( attack rate )

    発生した件数を、そのまま加算していくだけ。
    だから、数字が減ることは、ない。

    コレラのように10%しか発症しない疾患に使う。

    90%は発症せず、無症候性キャリアーとなって、
    その地域の人口の中に、潜伏し、広がっていくような病気の場合、
    この指標が有効になる。
    つまり、その地域において、およそどれほどの人々が
    無症候性キャリアーになってしまっているかの推測に用いられる。

    単純に考えると、
    人口1000人の地域で、コレラが発生し、徐々に患者が増えた場合、
    アタックレイトが加算されていき、仮に、50人に達したとすると、
    コレラが発症するのは、1割なので、
    恐らく、その10倍の、500人の人が、無症候性キャリアーとして
    社会に存在している、ということになる。

    これはもちろん、極端な例だが、このように、
    発症せず、無症候性キャリアーが広がっていくような疾患の場合、
    この指標が有効になる。

・・・

3.人間の死に関する指標

 死亡率 ( mortality ) に関する用語たち。

a. 粗死亡率 ( crude mortality rate : CMR, crude death rate : CDR )

   その国や地域で起こった死亡の数を、その国や地域の人口で割った値。

   通常の状態では、
   一ヶ月や一年あたりの粗死亡率を用い、人口十万あたりの死亡を数える。

   難民キャンプなどの緊急状態では、
   一日あたりの粗死亡率を用い、人口一万あたりの死亡を数える。

   この1日あたりの祖死亡率により、現地の重症度を判断する。

   もし一日あたり粗死亡率が1を越えている場合、
   重度の緊急状態 ( severe situation ) と呼ばれる。

   難民キャンプなどで、粗死亡率が1を越えている場合、
   「ビッグ5」と呼ばれている五つの
   急性疾患を主なターゲットとして治療を開始する。ビッグ5とは
   マラリア、肺炎、下痢、麻疹、栄養失調

   また、選択的食料配布計画 ( selective feeding program ) も発動する。
   これは、5歳未満の子供、妊婦などを対象とした食料支給である。

   (要するに、重度の緊急状態の地域では、この二つの人種、すなわち
    5歳未満の子どもと、妊婦たちが死にやすいことがわかっているのだ。)

   もし一日あたり粗死亡率が2を越えている場合、
   致命的な緊急状態 ( critical situation ) と呼ばれる。

   この場合、国連などの国際機関から
   大量の医薬品と食料などが現地に送り込まれ
   さらに大規模な救済プログラムが動き出す。

   その後、一日あたりの粗死亡率が1未満に低下してから、
   慢性的な問題にも着手する。
   結核、HIV/AIDS、出生数のコントロール ( reproductive health ) などだ。

b. 乳児死亡率 ( infant mortality rate : IMR )

   出生数1000あたりの乳児(1歳未満)の死亡率。
   開発途上国で有用とされる。

   これに対して新生児死亡率(生後28日までの死亡)や
   周産期死亡率(妊娠28週から生後7日までの死亡)は
   緊急状態ではあまり意味がないとされる。

   これは、開発途上国では、自分の誕生日を知らない人が多く、
   よって、生まれた日を記憶していないお母さんが多いので、
   正確な出生日が特定できないことが多いからだ。

   では、どうやって、開発途上国の人が、乳児、とみなすかというと、
   お母さんのおっぱいを吸っている時期に死んだら、乳児死亡だ、
   という判断である。
   先進国で判断される1歳未満、というものとは、微妙に異なる。
   (1歳をすぎても、おっぱいを吸っている子どもは、けっこういる。)

c. 5歳未満死亡率 ( under 5 mortality rate : U5MR )

   この指標は、ユニセフで行っているものと、
   緊急状態で行っているものでは、計算のしかたが異なるので注意が必要だ。

通常の5歳未満死亡率 ( U5MR )

    5歳未満の子供の死亡数を、それと同一時期の子供の出生数で割る

  緊急時に使う5歳未満死亡率 ( U5MR in emergency )

    ある一定期間に死んだ5歳未満の子供の数を、
    同時期の5歳未満の子供の数で割る。

    緊急状態では、こちらの5歳未満死亡率が用いられ、
    重症度の判断に使われる。
    緊急時には、
    5歳未満の子供の数は対象集団の人口の20%と
    概算してよいことになっており、
    要するに、(全体の人口は、国の資料などを見ればわかるので)
    5歳未満で死んだ子供の数さえわかれば計算できることになる。

    5歳未満死亡率は、
    栄養失調に対する食料給付計画の実行後の評価にも用いられる。
    また、粗死亡率のように集団全体の緊急性を測る指標にもなる。

・・・

4.個別疾患に対する治療・予防計画を実行する時の評価方法

   わかりやすいように、ここでは麻疹を例にとって紹介する。

a. 麻疹特異的死亡率 ( measles specific mortality rate : SMR )

   麻疹で死亡した患者の数を人口で割る。
   粗死亡率と同じ計算方法を用いる。
   この数字は、主に、ワクチンなどの予防対策を評価するのに用いられる。

b. 麻疹に罹った場合の症例致死率 ( case fatality rate for measles :CFR )

   麻疹で死んだ患者の数を、全麻疹患者で割る。
   100人あたり、つまり%(パーセント)で表記する。
   この指標は、治療効果の判定に用いられる。

c. 麻疹死亡の全死亡に対する割合 ( proportional mortality for measles )

   マラリアで死んだ人の割合が全ての死亡原因の何パーセントか?
   その地域・その集団のなかでの、ナンバーワン・キラーを見つける。
   ようするに、まず力を注ぐべき疾患を見つけるのに用いる。

d. 麻疹の予防接種の普及割合 ( coverage rate for measles )

   麻疹ワクチンを受けた人がどの程度いるか?
   予防効果の判定に使う。
   対象集団全体に対する公衆衛生学的効果全体の評価にもなる。

   ちなみに、麻疹のワクチン接種率(2002年)は、以下の通り。

   先進国       90 %
   南アジア      67 %
   サブサハラアフリカ 58 %

・・・

簡単に、まとめておくと、以下の二つだ。

1.緊急状態の時と、通常状態の時では、使う統計指標が違うこと。
  緊急状態で使う指標は、その人道危機の重症度判定に用いられる。

2.医療(治療)の効果判定に使う指標と、
  公衆衛生(予防)の効果判定に使う指標は違うこと。

今回記載した指標たちが、上記の、どちらに相当するか
一度考えてみて頂くと良いだろう。

プライマリーヘルスケアの歴史的背景 5,897字

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1978年、中央アジアのカザフスタンの首都、
アルマ・アタ(現アルマティ)で開催された
WHOとユニセフとの合同会議において
「アルマ・アタ宣言」が決議された。

「西暦2000年までに、すべての人に健康を」

"health for all by the year 2000"

この目標を達成するために登場したのが、
プライマリーヘルスケア(PHC)である。

注: primary health care : PHC

プライマリーヘルスケアとは、
実は、ものすごく長い、難しい概念(思想?)なのだが、
短く言うと、以下である。


「世界には、基本的な医療サービスすら受けられない
 人たちが、まだまだたくさん(数十億人)いるので、
 これからの保健医療(医療と公衆衛生など)に
 たずさわる人たちは、そうした人々の健康増進に
 努めなければならない。

 また、
 そうした健康の増進を行っていくのは
 その地域のコミュニティーの自主性によるべきであり、
 かつ、
 そうして得られた健康という状態は、
 社会が自立し、豊かな生産的活動を行っていくことに
 貢献しなければならない。」


後半が、なんだかよくわからないと思うので、
以下、この宣言が生まれた歴史的背景を解説していく。

一見、まったく関係ない話が展開してゆくが、
いつのまにか戻ってくるので
気にしないで読み進めるように。


・・・
・・・

16世紀、17世紀に、
ヨーロッパの国々による植民地化が世界中で行われ、
それにともない、
アフリカ、アジアなどの国々から、様々な資源が流出していった。

南から北へ、資源が動いた。

18世紀に起こった産業革命により
ヨーロッパの国々は経済的に発展しだしたが、
南からの資源を受けて
さらに急速に、経済発展していった。

どんどん、ヨーロッパだけが、発展していった。

この状態が、200年以上続いたため、
もはや、南と北の経済格差は、
回復しようがないくらい開いてしまった。

1950年代、
欧米の大企業たちによる
大規模なアグリビジネス(農業製品を使う商売)
への参加と、工業化が、途上国の政府へ勧められた。

欧米の大資本を持つ企業がやってきて
大規模な事業を始めても、
途上国の中でも比較的裕福な「富裕層」に利益が集中していき、
「貧困層」には利益がいかないことは、
(当時の経済学者たちからも既に)
指摘されていた。

しかしそれでも、欧米の大資本化たちは、
途上国の富裕層に利益を与えれば、
やがて、
途上国の貧困層の人たちも
やがて、引っ張られて、豊かになっていく
と謳って(うたって)、投資を続けた。

そして自分たちのやっていることを
途上国の「開発」だ、と言っていた。

この、途上国の富裕層を豊かにすれば、
途上国の貧困層も豊かになる、という理論を
「トリックル・ダウン・イフェクト」(おこぼれにあずかること)
と言う。

注: trickle-down effect トリックル・ダウン・イフェクト 通貨浸透効果
 大企業への投資が、やがて中小企業等にも行き渡り、景気を改善する効果

ところが、実際は、
途上国の中の富裕層だけが、より豊かになっただけだった。
この結果、
途上国の中でも、貧富の差がどんどん拡大してしまった。

要するに、貧富の差の拡大は、
世界の南北と、途上国の内部での、二重構造になってしまったのだ。

(この辺りのことは、私のブログの「貧困の定義と開発指標」を参照)

・・・

結局、この頃から、「開発」または「援助」と言えば、
欧米の大企業が、途上国の富裕層に資本をあたえ、
大規模な事業を起こし、安い人件費で貧困層を雇い、
資源や製品を、南から北へ運ぶ、
ということであった。

この体制は、基本的に今も変わっていない。

例えば、アグリビジネスを行っている欧米の大企業は
コーヒー、ココア、天然ゴム、砂糖、バナナなどを扱い、
食料生産、農機具・農薬製造、食品加工、貿易、販売までの
すべてを取り扱っていて、
自分たちの会社への「富の集中」を行っている。

・・・

一方で、欧米において(日本も含めて)
医療分野の技術も、同時期に急速に進歩していった。

抗生物質、抗癌剤の発明と量産、
CT(コンピューター解析断層撮影),超音波診断法(エコー)、
MRI(核磁気共鳴画像)、などという画像診断技術も進み、
胃カメラを始めとする内視鏡も生まれた。

これらの医療技術の進歩により、
肺炎を始めとする感染症では、
(先進国では)もはや人は死ななくなり、
癌ですら、いくつかのものは、治るようになった。

ただし、
これらは全て、欧米と日本でのみ、可能になったことだった。

世界には、(100円の)ペニシリン一つがないために
肺炎で死んでいく人たちが、大量に、数十億人いるのに、
豊かな先進国の人たちは
もはや感染症では死なず、
癌と心筋梗塞と脳卒中を、最先端医療で防ぐことばかり、
(果ては、老化を防ぎ、美容を維持することまでに気を配り)
自分のことばかりを、考えている。

中には
高額の(5〜10万円の)の人間ドックを3ヶ月ごとに受けて
最先端医療のそのまた最先端技術を駆使し、
様々な疾患の早期発見に余念のない大企業の社長たちもいる。


そう。

最先端医療というものは(というか、今の医療というものは)
すべて、
先進国の豊かな人々のためにあり、
途上国の貧困層の人々のことなど、
相手にしていないのである。


途上国で、100円のペニシリンが得られず
死んでゆく人々のことなど
我々は、気にも留めていなかった。


・・・

もちろん、
こうした世界の流れの中、異を唱えた人もいた。

それはなんと、
お隣り、中国にいる、「毛沢東」という人だった。

良くも悪くも
徹底的に有産階級(富裕層)を非難(粛清)し、
無産階級(貧困層)を養護する人だった。


1965年、(悪い面もかなり多かったが)
毛沢東による「文化大革命」というものが始まった。

様々な(問題となった)政策があったが、
医療の面でも、彼は、革新的な政策を起こした。

その当時の中国の保健省(厚生省)が、
中国国内の金持ち(富裕層の人口1割程度)だけのために
医療と公衆衛生を提供していたことに激怒し、
貧困層のための、医療と公衆衛生を提供することを掲げた。

人民のために、基礎的な医学教育を行い、
(基本的な医療しかできず、レベルはちょっと低いが)
人民のための医師・看護師たちを育成し、
ちょっと簡素な診療所たちを持つ機会を与えた。

これが後に有名となる、「裸足の医者」である。


富裕層のために、
立派な病院を作り、ハイレベルの医師や看護師を育てるのではなく、
貧困層の人々を集め、
そこで、基礎的な医学教育を行い、
自分たちで最低必要なレベルの、医療と公衆衛生を実施していく。
当然、その簡素な診療所の運営も、地域のコミュニティーが行う、
というものだった。

医療というものは
医師や看護師が、(一方的に)与えて、
住民が、受け取る、
とうものではなく、
住民が自立して、(自ら)行っていく
という考え方だった。

地域社会の自立・発展を促し、
地域に根ざした形の、「保健ワーカー」を育成していくという概念。


勘のいい人ならば、もうお分かりであろう。
これが、
「プライマリーヘルスケア」の考え方の、始まりだったのだ。

・・・

奇しくも(くしくも)、この同時期に
似たような批判が相次いで出てきた。
それらは、金持ちしか受けられない先進国型医療に対する批判と
それを改善するシステムだった。

デビッド・モーレイによる「疾患の宮殿」
 (先進国が途上国の首都に金持ち対象の大病院を作ること)

モーリス・キングによる「農村保健センターと医療補助員」
 Basic Health Care Approach : BHCA
 Health Assistant : HA

フィリピン大学による「地域住民主体のヘルスケア」
 Community Based Health Care : CBHC


1960年代前後は、欧米からアフリカ・アジアのほとんどの国が独立し、
途上国の人々が、欧米との格差に気づき、また搾取に気づき、
なんとかその状況を変えようという意思が生まれた時代だった。

・・・
・・・

ここで、誤解が多い、用語の混乱を、一つ解説しておく。

プライマリー・ケア ( Primary Care ) というのは
単に、医療の分野の用語の一つで、一次医療のことを指す。
町や村の開業医が、
近隣の人々の簡単な病気を診て治すことを言う。
自分で診れないような重い病気は、
セカンダリー・ケア ( Secondary Care )
すなわち二次医療の大病院に紹介・転送する。

プライマリー・ヘルス・ケア、というのは
上記とは、まったく異なる概念で、
町医者が、近所の人々を診察するのではなく、、
地域住民が主体となって、医療や公衆衛生の活動を
みずから行っていき、果ては
貧困の克服や、経済格差の是正にまで
挑戦していこう、という地域住民のイニシアチブを言う。

・・・
・・・

以上を背景として、生まれてきたのが
1978年の、「アルマ・アタ宣言」である。

「世界には、基本的な医療サービスすら受けられない
 人たちが、まだまだたくさん(数十億人)いるので、
 これからの保健医療(医療と公衆衛生など)に
 たずさわる人たちは、そうした人々の健康増進に
 努めなければならない。

 また、
 そうした健康の増進を行っていくのは
 その地域のコミュニティーの自主性によるべきであり、
 かつ、
 そうして得られた健康という状態は、
 社会が自立し、豊かな生産的活動を行っていくことに
 貢献しなければならない。」


もう、おわかりだろう。

アルマ・アタ宣言の背景にあるものは、
単に、地域住民の医療と公衆衛生の自主的な改善、
ということだけではなく、
貧困からの脱出であり、
先進国と途上国の経済格差の是正、
かつ
自分の国の中での富裕層と貧困層の格差の是正
なのである。

そして、驚くべきことに、
この「ちょっと過激」とも思える「思想」を、
国連のWHOとユニセフが、支持した。

これには背景があり、
その頃まで行っていた(医療を含む)国際協力は
完全に「先進国側からみた途上国の開発」であり、
先進国と途上国の格差をますます開き、
かつ
途上国内でも、格差を拡大する政策でしかなかった。

いくらやっても改善しない途上国の貧困状態、
いくらやってもかえって広がる経済格差、
そうした状態に
業を煮やしたWHOとユニセフが
これまでの方針の非を認め、
途上国の田舎に住む地域住民の自主性に、
国際協力の未来をゆだねた、
という形になる。

なぜ、そうしたかというと、
医療という問題も、教育という問題も、
それ以外の問題も、
開発途上国の根本に潜んでいる、
「構造的貧困」
という最大の問題を(いつか)直さないと
永久に良くなっていかないであろう、
ということに気づいたからである。

構造的貧困とは、
今回長く解説してきたように
200年以上の時をかけて作られてきた以下の図式である。

先進国の企業が、途上国で事業を起こし、
極めて安い賃金で人々を雇い、
南から北へ資源と商品を輸出させ、
先進国がそれをもとに経済発展する
という世界の構図、そのもののことである。


すなわち、これを克服することが
その最終目標だ、ということになる。

・・・

この、アルマ・アタ宣言に基づいて、
それを実施するために作られた方法論が、
プライマリーヘルスケアであった。

しかし、なんとこれは、すぐに
真っ二つの、異なる方針に分かれた。

一つは、
包括的プライマリーヘルスケア、
もう一つは
選択的プライマリーヘルスケア、
である。

包括的プライマリーヘルスケアとは、
まったく上記の通りの概念である。
住民主体の運動から、
医療と公衆衛生だけでなく、
最終的には、貧困の削減や
経済格差の是正を目指すもの。

選択的プライマリーヘルスケアとは、
上記の包括的プライマリーヘルスケアの概念が
あまりにも、理想論すぎて、到底実現不可能だ
と考えた人たちが作った、妥協案的概念だ。

簡単にいうと、
後者は、プライマリーヘルスケアの
すぐ実用可能な部分で、
かつ
すぐ結果が目に見える部分だけを取り上げたもの。

(住民の自主性による医療と公衆衛生の部分。)

特にその地域で問題となっている
一つの疾患に注目し、
その疾患を克服するために
プライマリーヘルスケアに含まれる
いくつかの方法論を使っていこうというものである。

このほうが、
ドナーとなる(資金援助をしてくれる)各国の政府機関や
世界銀行などが、
結果がわかりやすく、思想が過激(極端)でもなく、
資金援助をしやすいから、
実行していく手段としては現実的であろう、
という考えだ。


で、
この二つのどちらが正しいか、というのは、難しい。

・・・

ここで、主に後者の
選択的プライマリーヘルスケアに使われる可能性のある
10個の方法論を紹介しておく。

1.健康教育
   母親の教育レベルが高いと子どもの健康状態は、一般に良い。
   よって、健康に関する情報提供と教育をコミュニティーで女性達に行う。
   逆に、学校でも子どもへの健康教育を行い、帰宅後家族に話させる。
   子どもが健康への関心を持つと、理科など自然科学への教育効果もある。
   こうした相乗効果により、地域に健康の概念が普及していく。

2.環境衛生
   主に、安全な飲み水の確保を行う。
   これにより途上国では致命的な疾患となる「下痢症」が減る。
   その他、トイレの設置などを行い、
   「水と衛生」water and sanitation ( watsan ) が主目的。
   ゴミ捨て場の設置なども行う。

3.コミュニティーに住んでいるヘルスワーカーの採用
   中央政府から来た官僚は、その地域のことを知らない。
   また長く住み着く気もない。
   よって、地元の人を採用し、長期的に働いてもらう。
   仕事内容は、ここに書いてある10項目、全部。
   給料は、基本的に村のコミュニティーから支給される。

4.母子保健 Maternal and Child Health ( MCH )
   ワクチンの接種と、家族計画の二つが、最大の仕事。
   それにより、子どもの死亡と、妊産婦の死亡を減らす。
   拡大予防接種計画 ( Expanded Program for Immunization : EPI )
    子どもへの麻疹,BCG,DPT,ポリオ、妊婦への破傷風のワクチン接種。
   家族計画のアンメットニーズ ( Unmet Needs )の解消
    既婚女性への(1)出産制限、(2)出産間隔の延長、等の機会の提供。
    出産間隔が十分にないと、連続して生まれた子どもは死にやすい。

5.風土病対策
   その地方特有の風土病対策。主に健康教育による予防など。
   マラリア、デング熱対策のため、殺虫剤入り蚊帳の配布。
   よどんだ水たまりがあると蚊がわくので、清潔の維持。
   その他、マンソン住血吸虫、リーシュマニア症、など。
   こうした対策の場合、伝統医療が応用できる場合がある。

6.一般的疾患への対策
   風邪、肺炎、下痢、外傷など、日常的疾患に対する治療の提供。
   途上国では、肺炎や下痢で、死亡してしまうことが多い。
   安価な薬で治せるのに、それが不可能だった状況を、改善すること。

7.必須医薬品
   WHOの提唱している必須医薬品リストの薬品群は基本的に必要。
   まずは、村のコミュニティーにより、薬品獲得のための資金繰りをし、
   国際援助団体等に協力してもらい、持続可能な回転資金を捻出。
   マイクロクレジットによる小規模事業運営と抱き合わせになることも多い。
    micro credit 無担保の小額貸付。貧困者に事業を始めさせる方法。

8.栄養の改善
   栄養失調の判定の方法を、コミュニティーが教える。
    上腕中部周囲長 ( mid-upper arm circumference : MUAC )
     二の腕の真ん中へんの円周が、11.0cm未満は重度栄養失調
    身長あたりの体重 ( weight for height : W/H )
     ―3SD未満(または正常の70パーセント未満)なら重度栄養失調
   普段から栄養教育をし、栄養失調になったらコミュニティー施設へ送り、
   栄養補助食品を与える。もちろん村で自給されるもの。

9.結核対策
   世界で、毎年200万人以上の人々が結核で死亡している。
   途上国では抗結核剤の無料供給が必要。政府の制度か援助団体が行う。
   結核の薬は大量の毎日飲まないといけないため「飲み疲れ」が生じ、
   治療を放棄してしまう人が多い。(HIV/AIDSでも同じだが)
   このため、ヘルスワーカーが、じっと見ている状態で毎日飲んでもらう。
    DOTS ( Direct Obserbed Therapy Short Course ) 短期直視下治療

10.性感染症対策 ( Sexually Transmitted Infections : STI )
    梅毒、淋病、その他の性病に対する診断と治療
    HIV/AIDS対策も含まれる場合がある。


1〜8までが、アルマ・アタ宣言で、最初からあったものであり、
9、10は、後日追加された。
また、プライマリーヘルスケアは、様々な団体により、
独自の解釈をされており、はっきりいって
どんどん分化していっている。

包括的PHCと、選択的PHCの違いもあり、
また、思想的である概念のため
誤解・混乱も多い。

・・・

いずれにしても、その地域のコミュニティーが中心となって、
健康の増進と公衆衛生に関する運営全般を行っていく点では
ほぼ、世界共通である。

その後さらに、この地域コミュニティーを生かし、
貧困の削減や、経済格差の是正までもっていけるかどうかは
専門家の間でも、意見が分かれている、ということ。

が、ともかく、
先進国側から、高度な最先端の西洋医学を押付けるのではなく、
途上国の、しかも貧困層に位置する人々が自らコミュニティーを作り、

自らが医療従事者となり、かつ、公衆衛生の担い手となって
地域社会と自分自身の健康増進を、同時に行っていく、という発想は、
その後の、国際協力の流れに、大きな影響を与えた。


医療援助だけでなく、すべての国際協力の世界に、大きな影響を与えた。


そういう意味で、
アルマ・アタ宣言
および
プライマリーヘルスケアの策定

「開発」や「援助」という言葉を考える上での
大きなステップであったと言って良いだろう。

国際協力師とは 2,363字

.
国際協力師とは
NPO法人・宇宙船地球号が
2005年ごろから提唱しだした
新しい職業人の概念である。

生活するのに十分な給料をもらい
プロとして国際協力を持続的に行っている人々を指す。

・・・

国際協力師に相当する人々としては、以下の五つを指す。

 国際公務員(国連職員、世界銀行職員、等)
 政府機関職員(JICA職員、JBIC職員、JETRO職員、等)
 政府機関専門家(JICA専門家(技術協力専門家)、等)
 有給NGOスタッフ(国際大型NGO有給職員、等)
 開発コンサルタント会社職員

・・

2006年に
書籍「世界と恋するおしごと 国際協力のトビラ」(小学館)
の中で、始めて明文化され、
同時期に、NHK(テレビ及びラジオ)、毎日新聞等の
マスコミにより、その概念が一般に紹介された。

2007年1月、
文部科学省・ODECO事務局(教育コンテンツプラットホーム事務局)と
NPO法人・宇宙船地球号が連携した事業、
教育プログラム「世界に目を向ける子どもたちの育成」により
全国三万の公立小中学校のうちの希望校の授業(総合学習等)の中で、
「国際協力師」という世界に貢献する職業があることの紹介を開始。

その他、通常の高校、大学、大学院、一般向け講演でも
「本当に意味のある国際協力論」とともに
「国際協力師」の概念の啓発・普及を行っている。

・・・

一般に、国際協力師という職業に就くためには、
以下の三つの資格が必要である。

1.英語力(TOEFL 600点以上(CBT 210点以上), TOEIC 860点以上)
2.大学院修士(なんらかの開発分野での専門性の証明)
3.二年間の海外勤務経験(青年海外協力隊、UNV、NGO等)

もちろん、団体によって就職条件は様々であり、異なるが、
上記の三つがあったほうが、就職できる確立は、一般に高い。

また、
上記以外の要素としては、以下の経歴・資格等があったほうが良い。

4.他の国連公用語(仏、西、露、中、アラビア語)
5.大学院時代の国際機関または政府機関でのインターン経験
6.大学時代のNGOまたは企業でのインターン経験

・・・

給料は、様々であるが、参考までに、以下(あくまで目安)。

国際公務員の場合、最も一般的な、JPO試験から国連に入った場合、
P2というレベルになるため、
基本給500万円前後+僻地手当て+物価の考慮+家族手当等
で、一概には言えないが、
年収500万円から900万円の間ぐらいである。
以後、勤務年数が増え、また、P3,P4と上昇していくランキングシステムにより
年収1千万円を超えることもある。

JICA職員の場合、国家公務員の中の、大卒学歴のレベルとほぼ同等だ。
よって、一般的なサラリーマンとそう変わらないはずなので、
年収300万円から1000万円の間であろう。
基本的に年功序列で、能力給がこれに加算される。

JICA専門家の場合、国連職員とほぼ同等の給料が得られる。
学位(修士、博士)の有無や、経験年数により異なるが、おおよそ
年収500万円から1200万円の間である。

NGO有給職員の場合、一般に、給料は低い。
日本のNGO職員の場合、月給十万円そこそこのことが多く、それ以下も多い。
最高クラスの日本のNGOで、ようやく月給二十五万円ぐらいである。
国際大型NGO職員の場合、月給二十万円から六十万円ぐらいもらえることもある。
結局、
年収ゼロ円から800万円の間、ということにはなるが、
大勢としては、せいぜい年収100万円から300万円の間が多い。

(生活に最低必要な給料をもらい、持続的に活動する人を「国際協力師」
 としているため、どのあたりを最低のラインとするかは、難しい。
 一応ここでは、日本のNGOの現状を考慮し、
 年収100万円以上のNGO職員を、国際協力師に含める、としておく。)

開発コンサルタント会社職員の場合、通常の株式会社並みの給料がもらえる。
月収20万円から100万円の間とすると
年収300万円から1500万円ということになる。

・・・

雇用形態は、基本的に短期が多く、永久就職は、少ない。

JICA職員が、ほぼ唯一の永久就職であり、
他は、基本的に、ほぼ全て、有期(期間限定)の就職である。

国連の中で、永久就職となるワクは、かなり少なく
かなり優秀な実績を残していないと難しい。

JICA専門家は、数ヶ月から2年ぐらいまでの
有期雇用である。
基本的に、この契約を延長したり、繰り返していく。

NGOの職員は、プロジェクトごと、または1年ごとに
契約の更新が行われることが多い。

開発コンサルタント会社に永久就職する方法もあるが
最近、ODAの削減とともに、そのワクは減っている。
一般に、有期、嘱託、の契約のほうが多い。

・・・

国連の雇用形態に関して、もう少し詳しく書いておく。

一番下が、consultancy と呼ばれる仕事で、バイトのようなもので
その仕事に対して、お金が払われる、という制度。
あなたに払うのではなく、あなたがやった仕事に対して払う、という制度。
通常、一週間から一ヶ月ぐらいの仕事など。

次が、fixed term と呼ばれる雇用で、通常、数ヶ月。
要するに、有期の雇用で、期間限定の雇用である。

その上が、indifinite contract といって、
期間不定の雇用。
これが、一応、暫定での、半永久就職である。
国連に入ったら、通常、まずはこれを目指す。

永久就職ではないが、この、indifinite contract の職員をクビにするには
組織のほうでも、それなりの正当な理由が必要になるため、
そう簡単にはクビにされなくなる。

最後が、permament contract などと呼ばれる雇用形態で、本当の永久就職。
この雇用形態は、現在ほとんどなく、非常に稀である。

で、
いずれにしても、、国連職員は、
数ヶ月から2年ごとに、再就職のために
今よりも、少しでも上のランクのポジションに履歴書を提出しまくり
自分のキャリア(経歴)をアップさせるために努力を続けていくことになる。

(仮に indifinite contract になり、半永久就職となっていても、
 自分のランクをP2からP3、そしてP4へ上昇させ、
 国連での地位も、給料もアップさせたい場合、
 数ヶ月から2年ごとに、雇用契約が切れる時に、
 より高い地位へ、より高い給料のところに、履歴書を提出しまくり、
 再就職活動を続けていくことになる。
 もし、ずっとP2のままでよい、と思うのであれば、
 indifinite contract 契約さえできれば、一応、一安心とは言える。)

ともかく、
国連職員の場合、このような状態が、基本的にずっと続くため、
再就職の繰り返しに疲れて
他の国際協力団体等(JICA,大学講師、開発コンサルタント、等)へ
再就職する人も多い。

・・・

以上が、国際協力師の定義、および雇用の現状である。

要するに、なかなか厳しいのが現状だ。

が、強いてお勧めを挙げるとするならば
応募条件に、大学院修士がなく(大卒で可能であり)
かつ、永久就職である、という点で
JICA職員が、もっともお勧めである。

ただし、倍率が非常に高い。
(大学新卒で25倍以上、社会人採用で20倍以上)

よって普段から、まずは、英語力と第二外国語力(特にフランス語)
を鍛えておくことをお勧めしておく。

(JICAは、今後一応、旧フランス領の多い
 アフリカに力を入れる方向だからだ。)

青年海外協力隊の良し悪し 5,455字

.
将来、国際協力をやってみたい、という人の中で
「まずは現場を経験したい」、というタイプの人がいる。

そういう人たちには、
私は基本的に、青年海外協力隊を勧めている。

青年海外協力隊には、様々な問題点もあるが、
それを上回るメリットがあるため
やはり、第一選択として推している。

いくつかのインターネット上のサイトで
かなり酷評されているようだが、
まあ、それも一つの側面としてはそうなのだが、
総合的に判断すると
少なくとも、他の選択肢よりは数段勝る、と思う。

以下、その理由を列挙していこう。
もちろん、長所も、短所も、公平に記載してゆく。

・・・

長所

1.日本政府のODA(政府開発援助)のお金を使っている
  JICA(国際協力機構)の一事業として
  行われているので、信頼性が高い。

  (民間のNGOには、怪しいところも多り、
   それらよりは、数段信頼性が高い。)

2.給料のようなものが毎月合計十数万円もらえる。
  正確にいうと、再就職準備金という名前のお金が
  毎月日本にある銀行口座に9万円前後振り込まれ、
  それとは別に、現地で生活費が数万円もらえる。
  さらに家賃手当てとして、数万円もらえる場合もある。
  以上から、合計十数万円がもらえる。

  (NGOのボランティアで派遣された場合、
   無給、よくて薄給(数万円)、
   下手をすると持ち出し(自腹で交通費も捻出)である。
   加えて
   NGOのインターンの場合、お金をもらうどころか
   お金を払う場合が多い。)

3.2.のお金のお陰で、2年間の派遣後、帰国すると
  自分の銀行口座に200万円前後が貯まっているため
  それをもとに、次にどのような選択肢をとろうか、
  将来のことを、ゆっくり考えることができる。

4.青年海外協力隊を2年経験していれば、
  将来、国際協力を続けたい場合、様々な魅力的な選択肢が増える。
  例えば、
  ジュニア専門員制度、国内長期派遣制度、海外長期派遣制度、など。
  順に解説すると
  ジュニア専門員制度は、将来のJICA専門家養成システムだ。
  国内長期派遣制度は、FASIDなどの国内の大学院等へ行くための
  奨学金制度だ。
  海外長期派遣制度は、海外の開発系大学院へ行くための
  奨学金制度だ。
  要するに、将来、国際協力を続けていくためには、なんらかの専門性
  が必要になるのだが、そのためには大学院修士をとる必要があり
  その入学および授業料を補填する奨学金の支給制度がある。
  もちろん倍率は高いが、青年海外協力隊出身者は、やや優遇される。

5.国連職員などの国際公務員や、JICA専門家、
  開発コンサルタント会社職員など、いわゆる本当の国際協力のプロ
  になるためには、以下の3条件が必要な場合が多い。
  それらは、英語力、大学院修士、2年間の海外勤務経験、である。
  青年海外協力隊にいけば、最後の、2年間の海外勤務経験、を
  自動的に取得でき、上記に就職できる可能性が増えることになる。

6.ある程度、安全な開発途上国に行くので
  死んだりする危険性が少ない。
  もともと健康な人が選ばれ、派遣中も、数度の健康診断がある。
  少しでも、具合が悪いと、日本へ送還される。
  要するに、戦争に巻き込まれたりする心配が、ほぼなく、
  病気になった時のケアも、ほぼ万全である。

  (NGOなどに行ったら、国際大型NGOを除き、
   なんの保障もないことが多い。)

7.現地でいろいろな人と知り合うことが多く、国際協力の世界が広がる。
  特に、日本大使館やJICA事務所周辺で動いている
  様々な国際協力のプロジェクトを知ることができ、
  同時に、それらに関わる人々を知ることができる。
  将来使えるコネや、人脈を得られる可能性も高い。

8.帰国後も、青年海外協力隊のOB会のようなものもあり、
  そうした団体(?)からのサポートが一応ある。
  また、帰国直後に、JICAオフィスで、
  将来の就職先の相談にのるシステムも一応ある。
  例えば、各地方自治体に派遣される、国際協力推進員、
  福島や長野の協力隊訓練施設の職員、
  協力隊OBが作ったNGO、NPO、開発コンサルタント会社、
  果ては、一般企業などもあり、そうした就職先も検討される。

9.現地では、ある程度、自由である。
  要請された案件のためにがんばろうと思えば、
  自主的にいくらでも、がんばれる。
  さぼっていようと思えば、いくらでも、さぼれる。

10.英語などの語学力が比較的低い人でも、採用される。
  派遣前に2〜3ヶ月の合宿が、福島または長野であり、
  そこで英語または現地で使える言語を
  徹底的に勉強させられる。
  この語学を含めた合宿は、無料である。
  英会話スクールで同様の時間数の授業を受けた場合、
  100万円から150万円相当となる。
  これを国が負担してくれて、無料である。
  こんな美味しい話は、他にない。
  
・・・

短所

1.思うような活動が、なかなかできない。
  自分が思ったような活動ができた、と言うケースは
  全体の1割程度。
  8割りは、なかなか思うような仕事ができず
  悩みながら、もがき苦しみながら、ともかく2年間、
  現地でがんばった、というケースが多い。
  最後の1割りは、行って早々に、がんばることを諦め(あきらめ)
  2年間、ずっと遊んでいる人々もいる。

  (最後のケースが、ネット上で有名になっているため、
   税金の無駄遣いと酷評されることも多い。
   が、それも、事実である。)

2.行ってみると、話が違って、仕事がない。仕事が違う。
  例えば、アフリカのある国に行き、ある学校で、
  これこれこういう教育をする、という教師の仕事の
  要請があったとする。
  ところが、行ってみると、話しが違って、そんな仕事はない。
  (することが、何もない。必要とされていない。)
  または、まったく違う仕事をさせられることがある。
  このケースも、かなり多い。

  このケースが生じる理由は、以下のため。
  青年海外協力隊のその国での派遣数を、維持し、かつ増やすために
  JICAの現地事務局は、現地政府や地方自治体に
  以下のようなお願いをする。
  「日本は、これこれこういう援助をして差し上げますから
   代わりに、青年海外協力隊、というボランティアを
   あなたの国の教育などの部署に、置かせてもらえませんかね?」

  要するに、別に現地では必要とされていないのに
  JICA現地事務所が、(派遣実績を維持するために)ある意味努力して、
  青年海外協力隊が派遣される枠を、確保しようとしているのだ。
  が、実際は現地では必要ではないことも多く、
  行ってみたら、仕事がない、ということも多い。

3.日本のプレゼンス(日本という国の存在)を示すだけ。

  分かり易いように、やや極端に書くと、
  青年海外協力隊は、派遣期間中、その実績を求められない。
  仕事の成果を、出す必要がない。
  (悪く言えば、遊んでいてもいい)

  一般の日本政府の国際協力は、ODAのお金を使う。
  これは、財務省からお金をもらい、
  外務省経由で、技術協力が専門の、JICAにお金がまわってくる。

  (当然、このお金は、財務省からも、外務省からも、
   どのように使って、どのような効果があったのかを、提出することを
   求められる。)

  で、通常は、
  JICA職員やJICA専門家などの人々が、
  開発途上国から依頼されてきた「案件」に対し、それを実行する。
  通常、3年、5年、10年などという期間の締め切りをもって
  そこまでに数字で結果を出す。(定めた指標を改善する)
  対費用効果 ( cost-effectiveness ) を最大にするよう、配慮する。

  これが、プロの国際協力である。

  青年海外協力隊は、アマチュアの国際協力とみなされている。
  もっとはっきり言えば、国際協力ではなく、国際交流である。

  仮に、国際協力を、きちんと、期間内に、数字で結果を出すもの、
  (しかも、経過を定期的にモニタリング(監視)されながら行うもの)
  と定義するのであれば、
  期間内に数字で結果を出すことを要求されず、
  しかも、定期的にモニタリングおよびフィードバックもされない
  青年海外協力隊、というシステムは、
  国際協力ではない。
  現地に行ったときに知り合った、周りの人々と仲良くしているだけ、
  すなわち、国際交流である、と考えたほうが、しっくりする。

  繰り返し書いておくが、
  青年海外協力隊の活動は、
  通常の国際協力では設定されるはずの
  数値目標をもたず、それを達成する締め切りもなく、
  途中に監査されるシステムもない。
  (5回のレポート提出はあるが、感想文のレベルであり、
   かつそれに対して有効なフィードバックもない)

  これでは、本人が考えた、自己満足の活動になってしまう可能性が高い。
  (逆に言えば、本人の自主性が重んじられている、とも言える。)

  これは、青年海外協力隊の目的が、
  日本のプレゼンスを示すこと(とりあえず、そこにいればいい、ということ)
  と
  日本の青少年の育成
  の
  二つが目的であるからだ。

  きつい言い方をすれば、途上国に対する支援が目的のスキーム(枠組み)では
  ない。

4.青年海外協力隊からの帰国後、就職先が、ない。

  青年海外協力隊から日本に帰ったあと、
  日本で普通の会社などに就職しようとしても
  なかなか就職先が見つからないことが多い。

  ニートのようになって、自宅でボーっとしている人も多い。
  よくて、フリーターである。

  これは、大学を出てすぐ協力隊などにいった場合、
  せっかくの「大学新卒」というワクで企業に就職できる、
  ある意味権利をもっているのに、その権利を
  棒にふることになる。
  2〜3年して帰ってきたときに、
  他人より2〜3年遅れているにも関わらず、
  手になんの職(技術)ももっていない、かつ、社会人経験もない。
  よって、中途採用のワクで就職しようとしても、採用されない。

  また、2年間、途上国で、やりたいことをやり、
  「お山の大将」になっていたため、
  社会適応性が低くなり、自己中心的(わがまま)になり、
  日本の社会ではうまくやっていけない人物になってしまう可能性もある。

  日本の企業のほうは、基本的には、無難な、安全な人材を
  採用しようとするため、
  海外でのボランティア経験のある人を優先してとることは、(まだ)少ない。

5.青年海外協力隊から戻っても、国際協力を続ける人は、1割未満

  長所のところに書いたように、
  青年海外協力隊での2年間の派遣経験があれば
  プロの国際協力になるための三つの条件のほとんどをクリアしやすくなる。
   福島か長野での英語等の合宿(無料)
   2年間の海外派遣経験の(自動的)取得
   帰国後、様々な研修制度による大学院修士取得への優遇
  など、美味しいことばかりだ。
  本気で、将来、プロの国際協力師になりたい人にとっては
  3拍子そろった、こんな美味しい話は、他にない。
  よって、私も、強く、この青年海外協力隊を勧めている。

  ところが、帰国後、国際協力を続ける人は、JICAの公式統計で
  1割もいない、ことがわかっている。

  普通の企業に入るか、入れない場合、フリーターかニートとなる。

  これはまず、帰国後に、燃え尽き症候群となってしまい、また
  200万円の貯金もできたため、しばらく遊んでいる、という側面もある。

  仮に、遊んでいる気がなく、プロの国際協力師になりたくても、
  国連職員になるJPO試験を受けるには、大学院修士がいる
  (でも、持ってない)。
  JICA職員は受験できるが、倍率が25倍以上で、そうは受からない。
  では、どうしよう・・・
  と思っても、何も思い浮かばない。

  いろいろ調べると、ともかく、続けるには、大学院修士が必須とわかるが、
  いまさら大学院にいくのは腰が重く、そこまでして・・・
  と思うと、止めてしまう、というのが、普通の流れである。

6.帰国後の、就職斡旋(しゅうしょくあっせん)制度が、不十分。

  青年海外協力隊から、帰ってきたときに、上記のように
  就職に苦しむ、ということは、非常に有名なことであり、完全な事実である。

  で、ほとんどの青年海外協力隊OBが経験しているため、
  当然そこからJICA事務所へ苦情が多数、いったため、
  最近、多少は、改善された。

  帰国後、新宿のマインズタワーのJICA本部で、二日間程度の
  今後のオリエンテーションが持たれることになっている。
  そこで今後の選択肢の紹介、相談、渋谷の青年海外協力隊OBの
  サポートセンターなども、紹介される。

  が、結論からいうと、申し訳ないが、これらのシステムは
  大変にお役所仕事であり、形骸化しており、ほとんど役に立たない。
  私がここに書いた情報よりも、少ない。

  よって、帰国後の道は、自分できりひらいていかねばならない。

7.倍率が、平均で5〜6倍。
  そもそも、青年海外協力隊を受験しても、
  全体の平均倍率で、5〜6倍である。
  そう簡単には、受からない。

  140の職種があるが、基本的に、教師や看護師などの資格があると有利。
  それ以外では、自動車整備、建築、IT関係、スポーツ、音楽、農林水産、等。

  なんの一芸(専門・資格)もないひとは、
  青少年活動、村落開発、エイズの予防教育普及員、などの仕事があるが
  通常、倍率が当然高く、10倍以上のことが多い。

8.本当の途上国にはいかない。

  もともとJICAとう組織は、紛争地帯や、本当に状況の悪い国には行かない。
  ある程度安定している、開発段階と呼ばれる国々で活動する。

  青年海外協力隊の場合、その中でも、特に安全な地域が選ばれる。

  よって、本当に困っている人がいる、どうしようもないくらい
  悪い状況の国に行くわけではない。
  そこそこ悪い、という地域にいくわけだ。

  よって、やや極端な言い方をそれば、
  (世界には、もっとずっとひどい地域があるにもかかわらず)
  青年海外協力隊に行く地域は、ほどほどのところである、ということだ。

  これは、初心者向けにはちょうどいい、ともとれるし、
  逆に、税金の無駄遣いだ、という考えも、あるかもしれない。

・・・
・・・

まあ、大筋で、このような状況である。

長所と短所の両方を、見極めたうえで
青年海外協力隊に応募するかどうか、決めて欲しい。


が、
最後に、やはり、青年海外協力隊への参加を勧めておく。

プロの国際協力師になるための、3条件である
 英語力
 大学院修士
 2年間の海外勤務経験
を自動的に取得または、そのための可能性を
広げることができるのが、この青年海外協力隊、という制度だからだ。

(要するに、青年海外協力隊という制度自体で、
 本物の、プロの国際協力ができることは、ほぼない。
 しかし、
 それでも、将来、プロの国際協力師になりたい人には
 これへの参加を勧める。
 理由は、2年間の海外勤務経験という、「事実」を経歴に加えること。
 また、それにより、大学院への奨学金制度などにも応募しやすくなり
 絶対必要な、国際協力のプロの3条件を
 獲得することが、可能になっていくからだ。
 要するに、そう割り切って参加する、という姿勢のほうが良い場合もある。)

 
また、
将来、プロになる気がなく、ちょっとボランティアを経験したい人にも
お勧めできる。
なんでかというと、
JICAという国の看板をせおっているため、
組織を信頼でき、給料(?)ももらえ、安全管理、健康管理も
ほぼ万全である。
こんないいシステムは、他にない。

よって、総合的に判断して
青年海外協力隊は、お勧めである。

・・・

さらに、もう一つ書いておこう。

青年海外協力隊というスキーム(枠組み・システム)では
意味のある国際協力をすることは難しい、と書いた。

が、
不可能なわけではない。

もしも、あなたが、「本当に意味のある国際協力」を
なんとしても、青年海外協力隊の場で行いたい場合、
事前準備を、万端に行えば、それは可能となる。

具体的には

1.拙著の書籍の中で、以下の3冊を、以下の順番で読む。

 「世界で一番いのちの短い国」(白水社)
 「アフガニスタンに住む彼女からあなたへ」(白水社)
 「世界と恋するおしごと 国際協力のトビラ」(小学館)

2.このブログに書いてある内容をすべて読む。

  または5月出版の新刊「国際協力師への道(仮題)」を読む。

3.さらに、宇宙船地球号のホームページの中の補足サイト
  に書いてある内容を全て読む。

  この補足サイトは、半年以内ぐらいに、改訂され見やすくなる。


以上のすべてを読めば、
本物の国際協力を行うための、最低必要な知識の、ほぼすべてをカバーするように
配慮して構成している。
(現状、まだ補足サイトが不完全のまめ、いろいろ足りないが、
 将来的に、それを目指している。)


青年海外協力隊という場所は
本人の自主性を重んじ、非常に自由度が高い。

よって、遊んでいることもできるが、
やろうと思えば、本当に意味のある国際協力を行うことも、可能である。

(もちろん、いろいろな制約も実際は多いが、
 そういった側面も踏まえた上で活動を行うのが、プロの国際協力である。)


すなわち、
青年海外協力隊という、お金ももらえ、安全も保障された最高の場所を
有効に使うのも、ダメにするのも、
あなた次第だ、ということだ。


日本国民の税金を無駄にしないためにも
貴方の人生を、青年海外協力隊という場所を使って、飛躍させるためにも
是非、
最高の結果を出すことに挑戦して頂きたい。



・・・

参考リンク:

青年海外協力隊 JOCV
http://www.jica.go.jp/volunteer/

国際協力機構 JICA
http://www.jica.go.jp/

青年海外協力隊から国際協力師へ_関係ブログ一覧_2010春
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65406555.html




現地スタッフの雇用とプロジェクト管理 6.945字

.
先日、某国際NGOの団体から、講演の依頼があり、
途上国で現地スタッフを雇用し
活動を行う際の注意点を教えてくれ、と言われた。

では、まあ、そのように、ということで
以下のような講演を行った。

思いつくまま話したので、順番がメチャクチャだが・・

現地スタッフの雇用と扱いの問題だけでなく
わかりやすいように
プロジェクトの流れも、ついでに解説した。


・・・

1.査定(事前調査)

プロジェクトを行う前に、通常、事前調査を行う、
統計学、または疫学の専門家を一人交え
数人の外国人スタッフを、
途上国に送り込む。

いきなり余談だが、
ここで、国際協力の世界の用語について説明しておく。

我々日本人のように、外国から途上国に入っていき
その国を助けようというスタッフたちは、
インターナショナル・スタッフ international staff
または
イクスパトリエイト expatriate
と呼ばれる。

これに対し
現地(援助される途上国)で、雇用される現地スタッフたちは
ナショナル・スタッフ national staff
または
ローカル・スタッフ local staff
と呼ばれる。

で、
この事前調査の時にも、
当然、ナショナル・スタッフたちが雇用される。
少なくとも、通訳と運転手は雇われる。
状況に応じて、数人のガード(警備員)も雇用される。

ともかく、自分の団体がターゲットする
「指標」の情報を入手するために
その国の官公庁を回り、他の大手の国際協力団体等をまわり、
情報を入手する。
そこで情報が足りなければ、
大規模のナショナル・スタッフを雇ったり、
または
その国で、ボランティアを募って
「統計調査」を行う。

この場合、最低でも数十人、多いと数百人以上のスタッフが雇用される。

で、ここで登場した
「指標」の話と「統計調査」の話は、長くなるので、また別に触れる。

ともかく、事前調査から、ナショナル・スタッフが必要だ、
ということ。
同時に、この段階で、現地事務所となる可能性の高い建物や場所の
「めぼし」をつけておく。

通常、ナショナル・スタッグからの口コミか、
現地政府や地方自治体からの紹介、
他の国際協力団体からの紹介、などで、事務所の「めぼし」がつく。

・・・

2.目標設定、その達成期間の設定

で、まあ、次に、目標を明確に設定していく。

例えば、保健医療の場合、
大枠で、三つの仕事に分けることが多い。

 1).母子保健(子どもの死亡率と、妊婦の死亡率を下げる)
 2).EPI(ワクチンの摂取)expanded program for immunization
 3).感染症対策(エイズ、マラリア、肺炎、下痢、など)

さらにこの中で、何をターゲットするかを決める。
例えば、1.の母子保健の中で、
乳児死亡率(1歳未満の子ども死亡率)に狙いをつける(この数字を改善する)
という目標を定める。
例えば、死亡率が、10%なのを、5%まで減らす、など。

さらにこれを、どのくらいの期間でやるのかを決める。
1年か、3年か、5年か、10年か、あるいは、2015年まで(MDGs)、か。

・・・

3.サイト(活動場所・範囲)の設定

けっこう、重要なことが、
プロジェクトを行う、サイトの決定である。

どこでやるのか?

当たり前のことだが、これが一番重要だ。

その国全部を対象とするのか?
その県を対象とするのか?
その村を対象とするのか?

村だとした場合、村とは、どこか?
まず、行政区分(境目)は、はっきりしているのか?
村の中心部(集落部)だけか?
田舎もか?

アフリカなどでは、
村という行政単位を無視して(またがって)
民族がめちゃくちゃに住み分けをしていることも多い。

国・県・村という行政単位

各民族による住み分け

両立(並存)していることも多い。

このため、けっこうこれがまた、問題になる。

ともかく、
プロジェクトをやる時には、
どこまでをやるのか、
というより、
どこまではやらないのか、
ということのほうが
重要になる。

で、これを決定することにより
おおよそ、どのくらいのナショナル・スタッフを
雇用しなければならないかが、予想できる。


あとは、各地域で、
少数民族などの社会的弱者の取り残しがないよう
配慮することも、十分気をつける。

・・・

4.ロジスティック(物資の調達運搬)

サイトが決まったら、
物資を運び込むための
道筋を決定する。

当然、道路が舗装されており、
紛争地帯を通らず、積雪などに影響されない道を
優先して物資を通す。

この物資の運搬も
現地の企業を使う場合と
自力でナショナル・スタッフを雇う場合がある。

国際機関の場合は、国連のヘリなどを使い、
日本政府のODAの場合は、現地政府(軍隊)の協力を得て運ぶ。

・・・

5.事務所の創設(借り入れ、購入、建設)

事務所を創設するには、三つの方法がある。

 1)借りる。民間や地方自治体などから借りる
 2)買う。民間や他の援助団体から買う
 3)建設する。

いずれにしても、セキュリティー(安全)を確保するため
塀の高さを非常に高くし、鉄条網をはり、
入り口にはガードを数人おき、
様々な防衛措置をとるのが、一般的である。

途上国は、基本的に危険であり、
国際協力団体は、金を持っているカモ、であるので
現地の強盗から、一番狙われやすい。

・・・

6.スタッフ募集の方法

いろいろな方法で、募集する。

 1)現地スタッフの知人の紹介。

既に雇った現地スタッフに知人を紹介させると
家族と親戚ばっかりを連れてくる。
ある意味、信用できる、とも言えるば、
援助団体からの給料が、ある特定の家計にだけ入るのは
基本的に好ましくない。やがて、格差を産む。

 2)事務所の、外の壁に張り紙をする。(現地語で)

まあまあ、効果がある。けっこう面接にくる。
口コミも覆い。

 3)毎週あるセキュリティーミーティング

通常、ある程度危険な途上国では、
国連のUNHCRや、NGOのICRC(赤十字国際委員会)などが
リーダーシップをとって、週に一回程度の、
セキュリティーミーティングを行う。

ここで、こういうスタッフを欲しいんだが、あまってないか
というようなことを直接、他の援助団体のスタッフにきく。
また、
そろそろ撤退する予定の団体から、スタッフを紹介してもらうことも多い。

 4)各援助団体の事務所の掲示板

他の男女団体の事務所内の壁に、スタッフ募集の張り紙をしてもらう。

 5)現地のメーリングリストで募集

通常、現地にいる様々な援助団体が、お互いに情報交換のできる
メーリングリストが作成されている。
ここに、スタッフ募集の情報を流す。


補足:
なお、NGOと、国連やODAとでは
本質的な違いがある。

国連やJICAは、基本的に
相手国の政府を通して活動することが多い。
よって、
現地スタッフを雇うのではなく、
その国の国家公務員や地方公務員に
こうしたほうがいいよ、という指示を出す、のが仕事だ。
よって、
現地スタッフは、雇っても、自分の事務所の数人程度、である。

NGOの場合、自分で、病院や学校を運営する。
このために、数百人の現地スタッフを、「直接」雇用する。
現地の国家公務員に、働いてね、とお願いするのではない。

よって、システムが、まったく異なる。

このシステムの違いは、どちらも一利一害であり
国連やODAのスタイルの場合、
国家公務員は、プロジェクト終了後も、その国に残るので
未来に残る持続可能なシステムになることが多い。
一方で、直接援助団体から雇われているわけではないので、
クビにされることも、減給されることもないので、
やる気がなく、言っても動かず、効率が悪い場合も多い。

NGOの場合、直接雇用しているので、
さぼっていればクビにできる権利があり、
減給をしたり、逆にボーナスを与えることもできる。
よって、作業効率はよく、教育効果も高い。
ところが
NGOの場合、撤退した時に、引継ぎをする相手がおらず
そうしたシステムや建物を、政府などを引き取ってくれるかどうか
わからない。しかたなく、他のNGOに渡すことも多い。
引き継がれると、通常、システムがかなり変わり、
スタッフが総入れ替えになることもあり、
せっかく育て上げたスタッフたちが、ある意味、無駄になる
可能性もある。

よって、どちらのシステムが良い、とは、言えない。

・・・

7.ジョブ・デスクリプションの作成 Job Description

現地スタッフを雇用したら、必ず、その人の仕事を箇条書きで描く。
これを、Job description と言う。

その人の仕事を明確にし、同時にそれを、契約書といっしょにする。
これにより、仕事と給料の関係が明確になる。

二枚作成し、両方に、事務局長と本人がサインをする。
で、それぞれを一枚ずつ、持つ。

・・・

8.スタッフの給料の決定

これが、難しい。

まず、途上国の物価の問題がある。
途上国の物価は、3段階ぐらいあり、

 1)ちょっと途上国 日本の物価の 5分の1くらい
 2)わりと途上国  日本の物価の10分の1くらい
 3)すごい途上国  日本の物価の20分の1くらい

である。
だから、すごい途上国の場合、
月給で、1万円をあげれば、十分である。
それで、月給20万円くらいの価値があるからだ。

もしも、このスタッフに、日本のように
月給10万円とか20万円を与えると、
(私のブログの、貧困の章を読めばわかるが)
援助団体と癒着した、一部の人々だけが、お金もちになり
経済格差が生じ、それがやがて広がっていき、
その国の「貧富の差」が大きくなってゆく。

よって、援助団体は、基本的に
高額の給料を払ってはならない。

もともと、
日本のODAなどは、馬鹿みたいに高い給料を
現地スタッフに払っており、
NGOから、かえってその国をダメにする、と
批判されてきた。

が、最近、ガンガン批判されたおかげで
ようやくNGO並みの、その国の現状にあった低い適切な給料を
支払うようになった。

しかし、いまだに、高い給料を払っている団体がある。
それは、国連である。
いまだに、10万円以上の給料を払っている。

このため、NGOやJICAが雇い、育てた優秀なスタッフが
国連に引き抜かれる、ということが多い。
現地スタッフは、当然、給料の良い、国連にいってしまうからだ。

が、これは、基本的によくない。

NGOやJICAの質が、どんどん低下していくことも問題だが、
それ以上に、
ジニ係数(経済格差)が拡大し、
その国の社会的不満が高まり、やがてその途上国は、崩壊に向かう。

(このあたりの理論は、貧困のブログを参照。是非、読んで欲しい。)

で、ともかく、いいたいことは、
現地スタッフには、適切な給料を払うべきで、
現地の物価にあっていない給料を払ってはならない、
ということだ。


で、上記の問題は、ともかく、
現地スタッフを雇うときには、通常、6段階程度に分ける。

資格の無い人   1 月給  50ドル 洗濯、門番
資格の無い人   2 月給  60ドル 看護補助員(無資格)
資格のある人   1 月給  80ドル 看護補助員(有資格)
資格のある人   2 月給 100ドル 看護師
高い資格のある人 1 月給 130ドル 医師
高い資格のある人 2 月給 150ドル 院長


一つの配慮は、
最低でも、最低レベルの雇用が、
一日1ドル以下の生活にならないようにしないといけない。(MDGs)
あとは、
現地文化の尊重というもので
医師というものは、途上国では、とてつもなく偉い。

日本では、いまや全然そうでもないが、
途上国では、いまだに、とっても偉い。
よって、給料を高額にすることは、その社会背景などから
しかたがないことが多い。

・・・

9.毎日の仕事の支持

前日の夕方、事務所のホワイト・ボードに翌日の大筋の仕事を書き、
また、朝来る時間を通知する。
遅刻したら、減給なのは、最初の契約書に書いておく。

当日、その日の仕事の一覧を、箇条書きにして渡す。

・・・

10.毎週、毎月のフィードバック

最低でも、週に一回の(事務所内での)ミーティングを行い
スタッフの不満やフィードバックを聞く。
なんでも言うことをきくわけではないが、
とりあえず、
そういう話をきく場所を作ることが大事。

・・・

11.3月ごと、1年ごと、5年めの結果報告

自分の団体が、どんな仕事をしているか、
なんの目的でここに来ているのかを、
しつこいくらい繰り返して、現地スタッフに話す。

これにより、活動に理解が得られ、
ボランティアで仕事をしてくれるスタッフも出てくる。
少々の残業に、文句をいわなくなる。

・・・

12.安全維持のための情報入手

週一回の、援助団体が集まるミーティングが基本。(UNHCR,ICRC等の主催)
そこで、国連軍やその国の軍隊からの情報ももらう。

その他、
Eメールのメーリングリスト。
国連から渡されるラジオ。

自分の団体の中では、
全員が、常に、24時間、四輪駆動の車といっしょ。(with HF-radio)
全員が、常に、24時間、通信装置を1台持つ。(VHF-radio)
状況によって、GSM携帯電話。
衛星携帯電話(中東とアフリカはスラヤ、他は、インマルサット、イリジウム)

安全管理の訓練は、他団体に外注。
UNHCRの eセンター
NGOの、red R
など。
そのほか、NGOスタッフ向け地雷予防セミナーも多い。

さらに、
現地スタッフからの毎朝の情報。
ガード(門番)が、常に現地のラジオを聴き、ニュースを翻訳。
インターナショナルスタッフは、CNN,BBCをみて、情報収集。
教会、モスクなど、バスステーション、マーケットで、情報を収集。
現地の警察や、軍隊のコマンダー、村長や司祭からの情報。
等。

・・・

13.数ヶ月目に起こる、不正、の防止

プロジェクトを始めて数ヶ月たつと
必ず、雇った現地スタッフの誰かが、
いろいろなものを盗む。

お金を盗む、パソコンを盗む、病院の薬を盗む。
物品の買出しを頼んだときに
実際よりも商品が高価であった、とウソをつき、
その差額をふところに入れるやつ。
最後のやつが、一番多い。

ともかく、盗む。

その程度にもよるが、
通常、不正を行ったスタッフには、
writen warning
という、「描かれた警告」というものを渡す。

一度目は、警告。
二度目は、厳重注意。
三度目は、クビ(解雇)

通常、このシステムで、管理する。

が、もちろん、程度による。

・・・

14.イスラム教と、5回の礼拝、断食月、豚

特にイスラム教の国で問題となるのが、宗教上の慣習。

金曜に、礼拝があること。
女性の患者は、女性の医師しか診てはいけないこと。
職務中の現地スタッフも、1日5回、礼拝をすること。
毎年、一ヶ月ぐらい、ラマザーンという断食をする月があり
空腹で力が出ない、と言って、仕事をしないこと。
などなど。

が、これは、まあ、もう、しかたがない。

・・・

15.家庭に招待、結婚式

家庭に招かれたり、結婚式に呼ばれた時に
行くかどうかの問題がある。

いくと、仲良くなる。

が、これは、ほどほどにしないと、いけない。


「国際交流」、をしにいった場合は、
単に現地の人と仲良くすればいいば良い。

「国際協力」、をしにいった場合は
現地の人と仲良くするのが目的ではなく、

その地域の人々全体のために、(果てはその国の未来のために、)
ある目的とする「指標」を改善するために活動を行う。

そのために、事務所を作り、現地スタッフを雇用し、
そして我々自身も、なんらかの援助団体から雇用されて、
活動を行う。

よって、(少なくともNGOの場合)
インターナショナル・スタッフと、現地スタッフの関係は
悪い意味ではなく、プロジェクトを行うための
主従関係ある。

よって、仲良くなりすぎては、ならない。
これをやりすぎると、馴れ合いが生まれて、
現地スタッフが、不正をおこしやすくなる。
また、不正をおこなったときに、クビにしずらくなる。

また仮に、不正をおこなわなくても、
職場が、なれあいの雰囲気になってしまい、
まじめに働いてくれなくなることが多い。

この現象は、非常に多い。
NGOでこの傾向が強い。

・・・

16.時間をまもらない

これは、外国にいけば、どこでもそう。
日本、ドイツ、オランダ。
この三つの国以外の国民は、まったく時間を守らない。

朝9時にきてくれ、と言うと
1時間半ぐらい遅れてくることは、ざらだ。

よって、
朝9時にきて欲しかったら、
朝7時半にきてくれ、というと、ちょうどいいくらいだ。
(これは、冗談ではない)


予防方法は、一つだけ。
最初に決める、契約書とジョブ・デスクリプションに
遅刻を3回したら、クビにする、と明記しておくこと。

・・・

17.物品購入の方法、ガソリン、値切る、友達の店

途上国で、インターナショナル・スタッフが物品を店で買うと
必ず、ふっかけられる。
2倍以上の値段で、買わせられる。
(ダブル・スタンダードがある。)
よって、インターナショナル・スタッフは、
基本的に、買ってはならない。

通常、現地スタッフの一人を、物品調達係に指名し、
買わせる。

NGOの場合、予算が限られているので、これを厳密に行うが、
国連は、自分で集めたお金ではなないので、
この経済感覚が薄く、2倍以上の値段で買ってしまう。
が、
これは、税金(国連の予算は各国の税金)の無駄使いであるだけでなく、
国連と癒着した業者に資本が集中するため、
経済格差を産み、途上国にとって、よくない。

が、
NGOが、現地スタッフに購入をまかせることにも
それはそれで問題がある。
現地スタッフは、自分の親戚や友達の店でばっかり買うからだ。
で、これもこれでよくない。

・・・

18.言葉を覚える、現地文化尊重

一応、
私は、西洋文明を、一方的におしつけないように
現地の言葉を覚え、その文化と歴史、宗教などを
ある程度、勉強しているようにしている。

で、西洋文明の良いところと
現地文化の良いところの
ちょうど、
バランスをとった形での援助を狙う。

が、根底には、
透徹した目が、必要になっている。

なにを狙っているかというと、
その地域の人々全体にとって、
かつ
その地域全体の未来にとって
はたして
最善の方法はなんなのか、ということを
あくまで科学的に考えるようにしている。

西洋文明の方法論

現地文化の尊重

そのための、一つ一つの側面である。

・・・

19.政治、日本とアメリカ、外国人不信

外国人に敵意を持つ、現地人もいる。

特に、イラク戦争のため、アメリカ人は嫌われていることが多い。
で、
アメリカに協力を続けている、日本人も嫌われることがある。

下手をすると、狙われて、強奪され、殺される。

その国を助けにいったはずが
なんと
その国の人に、憎まれて、殺される、ということが
国際協力の世界には、たまにある。

多くはないが、たまにある。

この覚悟がない人は
少なくとも、紛争地帯での国際協力には、いかないほうがいい。

・・・

20.

現地スタッフの評価

現地スタッフには、定期的な評価を行う。

要求された仕事の達成度
他のスタッフとのコミュニケーション能力
リーダーシップをとれる能力、今後の組織内での昇進の可能性


プロジェクト期間が終了し、団体が撤退する時も、
なんらかの理由で(途中で)解雇する時にも、最終評価を行う。

この時、本人が希望すれば
他団体に雇用される時に、
リコメンデーション・レターを書く。
(採用してあげて下さい、という文書)

これに、その最終評価が添付される。


・・・

結論: 主従関係か、対等の立場か?

で、
もとに戻って、現地スタッフの扱い方であるが、
結論を書けば、
我々援助団体と現地スタッフとの関係は

NGOの場合、主従関係である。
(NGOは、その国の現地スタッフを直接雇うから)

国連とODAの場合、対等の関係である。
(相手は、その国の国家公務員で、雇われていないから)

NGOの場合の、主従関係というのは
偉そうにふるまう、という意味ではなく、
我々の組織が定めた、
明確な目標を達成するために
我々(インターナショナル・スタッフ)も、雇われた職員の一人であり、
そのあなたに雇われた職員の一人一人が、
現地スタッフ(ナショナル・スタッフ)たちである。

で、そうした職員たちが、
みんなで、がんばっていくことにより
組織で定めた目標が、達成されていくのである。




追補:

よって、もちろん、
最も重要なことは、
最初に定めた目的が、正しいかどうか、ということだ。

目的は、通常、ある「指標」をどれだけ改善する、ということだ。

で、その「指標」に関しては、
別項の、プロジェクト管理や、貧困の指標、医療統計の指標、を参照。
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