山本敏晴のブログ

1965年生、仙台出身。医師・写真家・NPO法人宇宙船地球号理事長。元国境なき医師団日本理事。 峭餾欟力師」という概念を提唱。企業の社会的責任(CSR)を推進。世界中で大切なものの「お絵描きイベント」を実施。著書に『世界で一番いのちの短い国』『アフガニスタンに住む彼女からあなたへ』 『国際協力師になるために』、『あなたのたいせつなものはなんですか?』『世界と恋するおしごと』『地球温暖化 しずみゆく楽園ツバル』『「国際協力」をやってみませんか?』など

2007年02月

昇華 849字

.
本を読んでいると、
時々素晴らしい「考え方」に出会う。

それは先人たちの「人生観」のこともあれば、
「学問的理論」のこともある。

「これはっ」と思った時、
私は、それを脳味噌にメモした。

記憶力のよくない私は、
通常、翌朝の6時ごろまでしか
覚えていない。

だから、
翌朝の6時までに
私はそれを、日記として、毎日ブログに書いた。


「忘れたくない記憶」を、どこかに刻む(きざむ)ために。


・・・

国際協力や、持続可能な世界を目指す方法論は、
多様であり、
おそらく、これが絶対に正しい、というものは
ないであろう。

私は様々な書籍を読み、いろいろなことを書いているが、
一部の人から見れば、
「こんなの間違いだ」
と思われる可能性のあることも
けっこう書いている。


だが、
私はそれを恐れないことにした。

自分の倫理観と合理主義に基づき、
政治・宗教的な中立を意識した上で
私は、自分の思うままの世界を、ぞんぶんに語った。


私が書いた文章のいずれかが
皆さんの「心の琴線」(きんせん)に触れ、
「忘れたくない記憶」
になって頂けたら、幸いである。


もしも、それが一つでもあったら
是非、それを、まわりの人に伝えて欲しい。

ブログでも、メールでも、手紙でも、なんでもいい。
夕食のとき、家族に話すことでも、
翌日、学校で友達と喋ることでもいい。


そうすることによって、きっとそれが
あなたの心の中で、「昇華」されていくような気がする。

自分自身の言葉に直し、
話したり書いたりすることによって、
「忘れたくない記憶」が、あなた自身の心と
融合していくように思う。


もはや、私の言葉ではなく、あなたの言葉に変わってゆくのだ。


・・・


そして実は、わたしも毎日、それを繰り返してきた。

先人たちの想いを、自分の心に入れ、それを自分の言葉として発した。

そうすることによって、かえって、先人たちの心が、
私の心の中に深くしみこんでいったような気がする。



あふれるほどたくさんの「忘れたくない記憶」を胸に刻み、
2ヵ月半におよんだこの日記を、今日、ここに終える。



読んで頂き、ありがとうございました。






国際協力師への道 4,737字

.
プロの国際協力師になりたい人のために、
その流れを簡単に紹介しておく。

基本的に、以下の三つの条件が必要になることが多い。

 英語力
 大学院修士
 2年間の社会人経験(正社員として。できれば海外での経験)

これらの条件の取得を目指して、自分の経歴(キャリア)を作成していくことが
必要となる。

・・・

いきなりだが、情報集める方法が必要だ。
国際協力系のメールマガジンと、有用なサイトがある。


総合的
 国際協力マガジン
  http://www.dwml.net/modules/dwmm/

国際機関系 
 国連オンライン
  http://www.unic.or.jp/
 国際情報誌SUN 
  http://www.issue.net/~sun/
 クラブJPO
  http://homepage3.nifty.com/clubjpo/

政府機関系 
 ODAメールマガジン 
  http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/mail/bn20030130.html
 JICAメールマガジン 
  http://www.jica.go.jp/mail/top.htm
 JICA国際協力人材センター「PARTNER」
  http://partner.jica.go.jp/

民間組織系 
 NGO/NPOウォーカー 
  http://www.npo.info/
 NGOネットワークジャパン
  http://www.ngo.ne.jp/
 JANIC 
  http://www.janic.org/index.html

・・・

1.学生時代にやっておくこと。

(1)英語

 国際的な活動を行うためには、国際協力であれ、外資系企業であれ、
 英会話能力は必須である。
 よって何よりもこの能力を鍛えることが優先される。
 具体的には、TOEFL で 600点。CBT で 210点以上である。

(2)大学時代のインターン(企業またはNGO)

 一般企業と、NGOまたはNPOの、両方で、インターンを経験することを勧める。
 社会というのは、金儲けの部分もあるし、社会貢献の部分もある。
 金儲けをする会社の中にも、社会貢献の部分(CSRなど)は少しはあるし、
 逆に、社会貢献をするNGOやNPOの中にも、汚い部分があることを見て欲しい。
 (国際機関や政府機関でも、同じである。)
 
 どちらの組織を運営しているのも、人間であり、
 人間の中には、綺麗な部分も、汚い部分もある。
 よって、ある意味において、企業も、国際協力団体も、変わりはない。 
 それを大学時代に、知って欲しい。

(3)スタディースター

 国連、ODA、NGOの、いずれもが、スタディーツアーを行っている。
 通常、15〜25万円の金額で、2週間前後の「見学旅行」を企画している。
 開発途上国の貧しい村などにいき、学校や病院、農村などを見られる。

 これらを見るけるには、上述のメールマガジンたちに登録すること。

(4)ボランティア

 インドのマザーテレサの家などで、一ヶ月程度の海外ボランティア経験をすると
 それを自分の履歴書に書けることになる。
 これがあると、将来、国際協力団体への就職が、やや有利になる。

(5)第二外国語

 今の時代、英語は喋れて当たり前である。
 英語以外に、もう一つの国連公用語が喋れたほうが良い。
 フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語、アラビア語のいずれかである。

(6)四大新聞の1面下のコラムと、3面あたりの社説

 できれば同じ新聞ばかり読むのでなく、バラバラに読んで欲しい。
 天声人語、編集手帳、余禄、などの1面下のコラムと、
 3面あたりにある、各紙の顔である「社説」が最も重要だ。

 これらを読むと、現代社会における「倫理」を知るための参考になる。
 それをそのまま信じるのではなく、各紙を比較し、参考にしながら、
 自分自身の人格形成を(偏らないように)調整していく。

 英字新聞や外国の新聞などを混ぜると、さらに良い。
 日本に入る海外からのニュースは、アメリカ経由が多く、情報が偏っているため、
 できれば、テレビを見るときも、イギリスのBBCや中東のアルジャジーラにも
 目を通し、総合的に判断することを勧める。

  http://www.japantimes.co.jp/
  http://edition.cnn.com/
  http://news.bbc.co.uk/
  http://english.aljazeera.net/News

  (中東のアルジャジーラは思ったより偏っていない。読んでみて欲しい。)


 結局、「いったい自分は何のために国際協力を行うのか?」
 ということを、正しい情報のもと、中庸を得た倫理観のもとで、
 じっくり考えていかない限り、
 「本当に意味のある国際協力」を行うことは難しい。


補足1:
最近の大学に、国際関係学科、というのが多い。
ここは、国際協力(開発)の世界を、広く浅く、上っ面(うわっつら)
だけを勉強する学部だ。
だから、ここを卒業しても、なんの「専門性」ももっていないことになる。
よって、
「国際協力に興味はあるが、なにをやったらいいかわからない」
という人にはお勧めだが、大学卒業後に、なんらかの現場で使える
専門が欲しい人には、お勧めしない。
国際関係学科を卒業しただけでは、はっきいうとあまり役に立たない。
必ず、大学院にいって修士をとるか、または法学部などに入り直す必要がある。

補足2:
最近、国際協力や開発をやりたい、という人が増えている。
一番典型的なのが、大学卒業後、大学院で、開発経済学を勉強するというケース。
で、ほとんどみんながこの道に進むため、もはや開発経済学の修士を
もっているだけでは、「売り」にならない。(あまりに人数が多すぎる。)
他の分野である、人間開発、社会開発の分野に進んだほうが、
将来、就職できる可能性は、高いかもしれない。
もしも開発経済学にいくのであれば修士でなく博士までいったほうが良いと思う。


・・・

2.大学卒業後の道

 三つへ分かれる。いずれが先でも良い。それぞれが大切な過程となる。


(1)2年間の海外での勤務経験の取得

  a. 青年海外協力隊 最もお勧め。20歳から39歳。健康だけ。
    http://www.jica.go.jp/activities/jocv/

  b. 国連ボランティア 社会人経験5年以上あれば、こっち。
    http://www.unv.or.jp/

  c. 在外公館派遣員制度 高卒で可。語学が堪能なこと。事務仕事。
    http://www.ihcsa.or.jp/hakenin/

  d. 外務省の専門調査員 修士が必須。大使館で経済などの調査。
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/saiyo/

  e. NGOの海外インターン 給料は安い。自腹のことも。が、背に腹。
    http://www.janic.org/index.html

  いずれの五つともダメだった場合、地方自治体の国際交流協会、
  派遣会社からの政府系機関(JICAや国総研など)への派遣勤務、
  NGO/NPOの国内事務所インターンなどを行い、まず情報を収集する。

  参考:国総研 http://www.jica.go.jp/worldmap/kantou.html#kokusoken


(2)大学院へ行き、専門性(修士)の取得

  a. 日本の大学院へ(お金と時間が無い場合、通信教育制度がある)

    http://www.fasid.or.jp/link.html#大学院
    http://www.n-fukushi.ac.jp/~in/

  b. 海外の大学院へ(各種、奨学金制度がある。日本学生支援機構)

    日本学生支援機構 http://www.jasso.go.jp/

   アメリカ

    コーネル大学大学院 http://www.cornell.edu/
    デューク大学大学院 http://www.duke.edu/
    ハーバード大学大学院 http://www.harvard.edu/
    スタンフォード大学大学院 http://www.stanford.edu/
    ジョージタウン大学大学院 http://www.georgetown.edu/

   イギリス

    ロンドン大学大学院、SOAS http://www.soas.ac.uk/
    ロンドン大学大学院、LSE http://www.lse.ac.uk/
    ケンブリッジ大学大学院 http://www.lse.ac.uk/
    マンチェスター大学大学院 http://www.manchester.ac.uk/
    サセックス大学大学院 http://www.sussex.ac.uk/

  c. FASIDと、国内長期派遣制度の組み合わせ
    http://www.fasid.or.jp/
    http://www.jica.go.jp/recruit/index.html

  d. ジュニア専門員制度、海外長期派遣制度などの利用
    http://www.jica.go.jp/recruit/jrsenmonin/index.html
    http://www.jica.go.jp/recruit/choukikenshu/index.html

  e. アジア経済研究所の開発スクール(イデアス)から、海外の大学院へ
    http://www.ide.go.jp/Japanese/Ideas/

  大学院に行くためには、自力でお金をためるか、奨学金が必要だ。
  青年海外協力隊などに行った経験があると、奨学金がとりやすい。
  特に、ジュニア専門員制度と海外長期派遣制度は最高である。

  自分がどの大学院に行けばいいか、わからない人のためには
  アジア経済研究所の開発スクール(イデアス)をお勧めする。
  ほぼ開発の全分野を1年で紹介してくれる、予備校のようなものだ。
  その後、海外の大学院にいき、終了した後の就職相談にものってくれる。


(3)2年以上の(日本での)社会人(正社員)経験の取得

  a. 社会人としての、マナー・礼儀・常識を勉強する

  b. コミュニケーション・スキルを養う

  c. 企業の社会的責任(CSR)を勉強する
    http://www.csrjapan.jp/

  d. 社会的責任投資(SRI)を勉強する
    http://www.csrjapan.jp/research/newsletter/012_03.html

  e. 社会企業家(ソーシャル・アントレプレナー)に関して調べる

  f. 地方自治体の国際交流協会、外郭団体での国際協力を調べる
    http://www.k-i-a.or.jp/

  g. 日本ユニセフ協会の国際協力人材養成プログラムを受講
    http://www.unicef.or.jp/inter/inter_kyodo.html

  h. FASID の 国際開発入門コースを受講
    http://www.fasid.or.jp/

  i. JANIC の 将来NGO/NPOで働きたい人のための様々な研修
    http://www.janic.org/index.html

  j. 社会人経験が5年以上になったら、国連ボランティア(UNV)を検討
    http://www.unv.or.jp/

  k. 金融(銀行・証券)等の経験を生かし外務省の専門調査員を検討
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/saiyo/


 最も、短絡的に言えば、一番お勧めの青年海外協力隊に応募しながら、
 他の選択肢も同時並行で勧める、というのが、妥当だ。

 青年海外協力隊は、月給が13万円前後でるため、NGO等に比べると
 圧倒的に条件がいい。よって、これに応募しない手はない。
 が、倍率が5〜6倍と高いため、そう簡単には受からないので、
 1年に二回ある春と秋の応募を、何度も受け続けることになる。
 1〜2回落ちたところで、決して諦めてはいけない。

 なお、日本での社会人経験が2年以上あることも、履歴書を作る上で重要だ。
 フリーターではダメで、正社員でなければ評価されない。

 で、本当のお勧めは、卒業後、すぐに青年海外協力隊に行くのではなく、
 まずは日本の普通の会社に就職して、2〜5年ぐらい、ゆっくりと
 本当に自分は、国際協力を行いたいのかどうか、よく考えてみて欲しい。

 これまで、何度も書いたように、国際協力の世界は、甘いものではない。
 青年海外協力隊の経験者は、その後、1割に満たない人たちしか
 国際協力を続けていない。この現実を忘れてはならない。

 (ちなみに、止めてしまう理由は以下である。
  1回やって自己満足した、
  思っていたことと実際の国際協力が違うものだった、
  がんばったけれど、いろいろな意味でうまくいかなかった、
  現地の人たちや同僚とうまくいかなかった、
  こんな活動で本当に役に立つのか疑問だった、
  などなどである。)

 このブログを隅から隅まで読むと、
 持続可能な世界の構築に貢献する方法は、いくらでもあることがわかるはずだ。
 それでも、あえて国際協力の方へ進む理由を
 よくよく自分で考え抜いてから、その道に進んで欲しい。

 また、社会人経験を得て、最低限の社会でのマナーや常識を持ってから
 青年海外協力隊に行くことをお勧めしておく。
 日本の常識すらない人は、世界でも、もちろん通用しない。
 青年海外協力隊にいった人の多くが
 満足な活動のできない原因の一つがこれである。
 このためにも、まず社会人経験の取得をすることを勧めておく。

 さらに、この実社会での勤務を経験してから、国際協力に目が向いた人のために
 いろいろな組織が、社会人向けの国際協力講座を多数もっている。
 上記に書いた、三つの社会人向け講座に全部参加することを勧める。

   日本ユニセフ協会の国際協力人材養成プログラム
   FASID の 国際開発入門コース
   JANIC の 将来NGO/NPOで働きたい人のための様々な研修

 それぞれ、国連系、政府系、NGO系なので、全部聞けば偏りが少なくなる。

・・・

3.プロの国際協力師へ

 ある有名な団体に入ろうという考え方は、お勧めしない。
 ある分野のプロになることをお勧めする。
 通常、そのある分野は、国連にも、ODAにも、NGOにも、あるはずだ。
 よって、その全ての組織に履歴書を提出することをお勧めする。
 それぞれに一長一短があり、ここがベスト、という所は存在しない。


(1)国際機関(国連、世界銀行、など)

 以下は、国際公務員を狙うための方法。

  a. AE/JPO制度
     英語(または仏語)、修士、職務経験2年、35歳以下
    http://www.mofa-irc.go.jp/

  b. UNV(国連ボランティア)
     国連公用語どれか、大卒、勤務経験5年、25歳以上
    http://www.unv.or.jp/

  c. 国連インターン
     大学院修士時代の経験。情報収集とコネ取得
    http://www.unic.or.jp/

  d. 採用ミッション
     各機関がその時点での即戦力となる専門家を雇う
    http://www.mofa-irc.go.jp/

  e. 国連競争試験
     最も普通の国連に入る方法。政治・経済系が多い
    http://www.un.org/depts/OHRM/examin/exam.htm

  f. YPP
     超エリートコース、UNESCO, UNDP, ILO, OECD など

  g. 空席募集
     国連内部用と外部用がある。これを小まめに見て応募。
    http://www.reliefweb.int/vacancies/

  h. ロスター登録
     外務省の国際機関人事センターが空席情報を通知
    http://www.mofa-irc.go.jp/

  i. 官僚からの出向
     国家公務員として省庁で働いてる部署から派遣


  結論から言うと、AE/JPO制度が最有力。まずはこれを目指すのが普通。
  日本人の国際公務員(国連職員など)を増やすための制度のため。
  倍率は、65/1000 ぐらい。これでも国連競争試験より確立がずっといい。


(2)政府機関

 以下は、JICAの多様な就職場所。

  a. JICA職員(大学新卒)倍率は、40/1000
    http://www.jica.go.jp/recruit/shokuin/index.html

  b. JICA職員(社会人採用、中途採用)倍率は、15/400
    http://www.jica.go.jp/recruit/shokuin/index.html

  c. JICA専門家(技術協力専門員)人材登録制度に登録
    http://www.jica.go.jp/recruit/kyoryoku/index.html

  d. 国際協力専門員(普段は国総研、外国で専門家。プロ中のプロ)
    http://www.jica.go.jp/recruit/senmonin/index.html

  e. 国立国際医療センター国際医療協力局職員、保健医療専門家
    http://www.imcj.go.jp/imcjhome.htm

  f. 企画調査員(青年海外協力隊後、途上国で案件の発掘など))
    大学院修士必要ない。現地経験だけあればいい。

  g. 国際協力推進員(都道府県、市町村に勤務。3年で任期終了)
    http://www.jica.go.jp/worldmap/suishin/index.html

  h. 青年海外協力隊の研修施設(これも有期の雇用)

  など、いっぱいある。詳しくはJICAの人材募集ホームページへ。
    http://www.jica.go.jp/recruit/index.html

  ともかく、青年海外協力隊に行くと、後は道が開け易い。
  例えば、ジュニア専門員制度を受けて、将来のJICA専門家を目指す。
  あとは、ダメもとで、JICA職員を受験してみる。

  これらがダメでも、企画調査員、国際交流推進員、協力隊研修施設の教員、
  ODA以外では、協力隊OBから国連ボランティアへ行く枠、NGOインターンなど。

  一般論としては、青年海外協力隊が終わった段階で、
  海外の大学院にいくことがお勧めだ。
  基本的に国際協力の世界は、現場での経験と学問的知識を、
  半々にする必要がある。
  片方だけでは、通用しない。

  と、いうわけで、青年海外協力隊はやっぱりお勧めなのだ。
  一方、青年海外協力隊の欠点は、ブログに既に書いた。
   http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51901806.html


(3)民間組織

 以下は、民間での就職場所。

  a. NGO/NPO 月給十万円そこそこが多い。国際大型NGOだと二十万以上。
    http://www.janic.org/index.html

  b. 開発コンサルタント会社 ODAの下請け。ハードとソフトがある。
    http://www.idj.co.jp/
    http://partner.jica.go.jp/

  c. CSRコンサルタント会社 CSRの監査。CSRリポート作成時の指南。
    http://www.csrjapan.jp/

  d. 一般の企業のCSR部 通常、自分で希望して入れることは少ない。
  e. SRI関連会社 CSR的優良会社にのみ投資するシステムを作成。
  f. 一般の証券会社・投資信託会社の、SRI部門。これも希望は困難。


  やはり、民間組織の中では、開発コンサルタント会社がお勧め。
  普通の株式会社などなので、給料が普通にもらえる。
  正職員(永久就職)になれるかどうかは状況次第だが、まずはここ。
  ハード系と呼ばれる、道路や建物を作っている会社と、
  ソフト系と呼ばれる、教育や医療などのシステムを作る会社がある。
  現在は、ODAのソフト化にともない、ソフト系が増えている。


  一方、現地の人に近い国際協力や、政治や外交の意図に左右されない
  (そういう意味での)本物の国際協力を行いたい人には、NGOしかない。
  この場合、JANICが2年ごとに出版する「NGOダイレクトリー」がお勧め。
  JANICに問い合わせれば買えると思う。NGO団体の総覧。なんでも書いてある。
  これを見て、活動内容、団体の予算の規模、有給職員の数、などを知り、
  総合的に判断していくのがよい。

  また、ボランティアとしてNGOでやるのだ、という考え方もある。
  日中、会社などで働き、夜や土日にNGOをやる。こうした人も多い。
  この体制が、自分の好きなことができる可能性は、一番高いかもしれない。


  最後は、本ブログでもたびたび登場した、CSRとSRIである。
  CSRは、企業の社会的責任。SRIは、社会的責任投資。
  どちらも、持続可能な世界を作るために、必須となる方法論だ。

  国際協力は、最終的には間違いないく、一般市民が行うべきことである。

  一般市民が(将来)行うべき国際協力の形を、現在とりあえず、
  国連やJICA、NGOたちが、パイロットプログラム(テストケース)
  として、実験的に行っているのが今の国際協力だと私は思っている。

  なぜなら世界は、今のところ悪くなっていく一方のように思うからだ。

  (要するに、現在のやり方、または現在の規模で国際協力を行っても
   残念ながら、現状は改善されない、と思う。)

  (最大の問題は、貧富の差の拡大、核兵器の拡散、環境問題などだ。)


  世界を良くしていくためには、一般市民までが立ち上がり、
  会社員として、または賢い消費者として、持続可能性な世界を目指すことが
  最終的には必要になっていくだろう。


  もちろん、その道は遠く、険しい。


  このためには、

  1.時代の先導者たちとなる「国際協力師」たちが必要であり、
  2.「CSRとSRI」を実施する企業たちを少しずつ増やし、
  3.そうした良い企業を見つけ、支援する「賢い消費者」たちを

  育てていかねばならない。


  当面私は、この三つの方向性を同時に推進し、
  持続可能な世界の構築に貢献したいと思っている。


・・・
・・・

補足

医療系の人のことを忘れていたので、以下、簡明に。


1.最低限の資格の取得

 医師免許、看護師免許等が必要。
 その後実務経験を医師なら5年、看護師なら3年以上。
 英語かフランス語のいずれか。


2.できれば、事前に熱帯医学または公衆衛生学の知識

 長崎大学の熱帯医学研究所の3ヶ月間の研修
  http://www.tm.nagasaki-u.ac.jp/nekken/nekken.html

 タイのマヒドン大学の6ヶ月間の研修
  http://www.ic.mahidol.ac.th/

 これらにより、終了証明書(ディプローマ)を得ておく。


3.現地へ挑戦

 医師なら、NGOしかない。赤十字、国境なき医師団、アムダ、ケア、などなど。
 看護師なら、上記に加えて、青年海外協力隊もある。


4.この経験の後、二つに分かれる。


4−1.NGOでずっとやる

 本当の途上国の現場(田舎)に行き、
 直接患者さんを診られるNGOが好きなら、一生NGOへ。
 日本でバイトをし、お金がたまったら、NGOで海外へいく。
 この繰り返し。これも一つの人生。

 医療系は、人材派遣会社が豊富にあり、くいっぱぐれの心配はない。

  メディカル・アソシア
   http://medicalassocia.jp/

  メディカル・プリンシプル
   http://www.medical-principle.co.jp/

  リンクスタッフ
   http://www.linkstaff.co.jp/

  ジャミック
   http://www.jamic-net.co.jp/index.html


4−2.国連かJICAへいく。

 やはり給料がもらえる組織で活動したい。
 国や世界をまるごと動かす仕事がしたい場合、国連か政府系に行く。
 (コーディネート業務が多いため、本当の現場からは、離れる。)

 すると、
 大学院修士(公衆衛生学修士など)が必要だとわかる。

 ハーバード大学大学院・公衆衛生学講座
  http://www.hsph.harvard.edu/

 ジョンズ・ホプキンズ大学大学院・公衆衛生学口座
  http://www.jhsph.edu/

 テューレン大学大学院・公衆衛生学講座
  http://www2.tulane.edu/

 ロンドン大学大学院・公衆衛生学講座
  http://www2.tulane.edu/

 モナッシュ大学大学院・公衆衛生学講座
  http://www.monash.edu.au/


 基本的に、JICA専門家か、国連JPOのどちらかを目指す。
 この二つの詳細は、ウェブを見るように。

  JICA専門家(技術協力専門員)人材登録制度に登録
    http://www.jica.go.jp/recruit/kyoryoku/index.html

  AE/JPO制度 英語(または仏語)、修士、職務経験2年、35歳以下
    http://www.mofa-irc.go.jp/

 それ以外の選択肢としては、
 国立国際医療センターの国際医療協力局の職員に応募するか、
 国立感染症研究所からWHOなどへの出向というケース。
 あとは、国立大学付属病院の医師や官僚が、出向されるケース。

  国立国際医療センター国際医療協力局職員、保健医療専門家
    http://www.imcj.go.jp/imcjhome.htm

 いずれにしても、この世界は最終的にはコネなので、
 英語、大学院修士、海外での活動経験、等の条件がそろった段階で、
 (またはその前の段階から)
 JICA関係の仕事や、国連関係の仕事をしている人たちに
 顔を覚えてもらうことも必要だ。

 このために、特に、大学院時代のインターンの経験などが、
 非常に重要になってくる。
 大学院時代に、国連かJICAのインターンにいくことを強く勧める。

 (国連では、インターン後、すぐに職員になれない規制のある部署もあるが、
  それでも、このインターンの有用性は、変わらない。)


 ともかく普段から、最初に記載したメールマガジンで情報を収集し、
 将来自分が行きたい組織のイベント等に出かけていき、
 その組織の人と接触していくことが、かなり重要である。



未来に続くシステム 6,532字

.
「むきぃーーっ! なんとかならないのかしら、この国の連中はっ!」

「ドクター・エリコ、あんまり怒ると、血圧が上がりますよ。」

「あたしは、まだ、そんな年齢(とし)じゃないわよっ!」

「・・・(そんな年齢ですよ)・・・」

「プンさん、今、なんか言った!?」

「いいえ。」


ここはカンボジア。
国立中央病院だ。

エリコ先生は、カンボジアの母子保健(産婦人科と小児科)を
改善するという使命のため、首都にあるこの病院に来ている。

政府系の援助機関から派遣されたエリコ先生には
カンボジア政府側に、カウンターパートと呼ばれる
「相棒」がいる。
プンさん、と言う男性だ。
カンボジア政府の保健省(日本の厚生省)に勤務する役人である。

エリコ先生は英語を話せるので、英語を話せるプンさんが
カウンターパートに選ばれた。

エリコ先生と、プンさんは、ほとんど毎日いっしょに行動する。

・・・

エリコ先生は、産婦人科医だが、
プロジェクト全体のコーディネーションを受けおっている。

一般に開発途上国では、出産前後の女性の死亡率と、
5歳未満の子どもの死亡率が、非常に高い。

よって医療分野においては、この数字を下げることが
最も重要な課題の一つである。

カンボジア政府から日本政府に、
上記のことを改善してくれ、という「要請」が
あったため、エリコ先生のような
産婦人科や小児科の医師・看護師・助産師たちと、
公衆衛生学修士を持つ専門家たちが、
この国にきて、
なんとかこの状況を改善しようとがんばっているのだ。

で、こういう分野を、「母子保健」、という。

・・・

カンボジア政府から「要請」があった、この「案件」に対し、
日本側は、ODA(政府開発援助)の予算を使って対応する。

日本のODAの予算は、毎年、数千億円から1兆円ぐらいある。
(現在、やや減少傾向にある。)

ODAは、普通、三つのスキーム(枠組み)で行われる。

1.外務省の無償資金援助
(ただでお金を提供し、道路や病院などを作ってあげる)

2.国際協力銀行(JBIC)の有償資金援助
(お金を貸して、返してもらう。円借款(えんしゃっかん))

3.国際協力機構(JICA)などの技術協力
(お金を出すのではなく、技術を提供する。教育・研修など。)

このような、三つの「スキーム(枠組み)」がある。
スキームという単語は、ODAの世界では頻用されるので
将来、JICA系を目指している人は、
覚えなければならない。

例えば、
このプロジェクトを行う時には、
「技協」(JICAの技術協力)のスキームと、
「無償」(外務省の無償資金援助)のスキームを、
組み合わせて行う、
などという使い方をする。

・・・

補足
現在、上記の三つのスキームを、
すべてJICAに統合しようという方向にある。
これにより、JICAが一括して国際協力を行う
包括的な援助を行いやすくなる、と言われている。

・・・

で、
エリコ先生が、とりあえず行っているプロジェクトは、
「無償」(外務省の無償資金援助)のスキームを使って
お金を引き出し、
首都のプノンペンに大きな病院を作り、
「技協」(JICAの技術協力)のスキームを使って
この病院の医療スタッフ(医師・看護師など)の
医療技術の向上を図ろう(はかろう)、
すなわち、教育や研修を行おう、というものだった。


が、これがなかなかうまくいかない。


日本のODAというのは、要請主義をうたっているため、
相手の国の依頼に対して応じる体制をとっている。

よって、援助をする時も、次のようなシステムで行う。

エリコ先生が、ここをこう直しなさい、と言うと、
カウンターパート(官僚)の、プンさんが、それを医療スタッフに伝える。
医療スタッフは、「ふーん」と聞いている。


という体制である。

これには、いくつかの問題があった。


1.言葉

実は、今回の話は、10年以上前の話なのだが
その頃は、まだカンボジアでは
英語よりはフランス語が一般的に使われていた。
(これは、植民地時代のなごりである。)
フランス語でなければ、現地語(クメール語)である。

エリコ先生は、英語しか喋れなかったので、
カウンターパートのプンさんを通訳代わりにして、
現地語に翻訳してもらい、伝えてもらった。

が、プンさん(保健省の役人)の医学知識はたいしたことがなく、
なかなか、思うように伝わらない。


2.間接指導

あくまでも、ODAというものは、
その国の政府からの、要請に対して応じる、
という体制で行う。

このため、現地で活動する時も
建前としては、その国の政府を通す、
ということになる。

つまり、エリコ先生は、常に
カンボジア政府の官僚である、プンさんを通して、
現地(カンボジア)の医師や看護師に教える、
という体制なのだ。

このため、まどろっこしくて、しかたがない。

気の短いエリコ先生は、通常こうしたケースでは、
(ある段階で)ぶちきれて、陣頭指揮をとりだすのだが、
この国では、言葉の問題があり、なかなかそれができなかった。


3.給料

ODAの場合、相手の国の官僚(国家公務員)に
なんらかの指導や教育をする、というケースが多い。
その国の政府のために、援助を行う、というスタイルだからだ。

(NGOの場合、その国の政府のために活動しているわけではないので、
 官僚(国家公務員)ではなく、一般の人たちに教育を行うことが多い。)

で、
カンボジアの国立病院で働く医師や看護師たちも、
当然、カンボジアの国家公務員たちだ。

彼らは、カンボジアの政府から雇われているため、
給料もそこからもらっている。

逆にいえば、エリコ先生は、自分で彼らを
雇っているわけではない。

教えたことを覚えなくても、
さぼっていても、
「クビにする」ことができない。(人事権をもっていない)
給料を下げることもできない。

このため、教育効果は、はなはだ悪い。


以上の結果、

「むきぃーーっ! なんとかならないのかしら、この国の連中はっ!」

ということになったのだった。

・・・

エリコ先生は、状況を改善するため、いろいろな対策を始めた。

1.クメール語

まず、現地スタッフに英語を教えだした。

エリコ先生は、けっこうな年齢のため、
新しく言語を学習することは難しい。

しかし、彼女はあえて
カンボジア語(クメール語)の習得に挑戦した。

1年ぐらいかかったが、
日常会話程度のことは、しゃべれるようになった。


ちなみに、エリコ先生の年齢は、39歳(自称)である。
エリコ先生は、50歳をすぎてから、
自分の年齢を、一つずつ減らしていくことに決めた。
よって、39歳というのは、もちろん、アレである。


2.直接

エリコ先生は、プンさんをそばに置いた状態で
直接、現地の医師や看護師にいろいろ教えだした。
クメール語をある程度話せるようになったので、これが可能になった。
この結果、かなり教育効果が上がるようになった。


3.インセンティブ(目的意識向上のための給与補助制度)、

カンボジアの国立病院の医師や看護師は、
国家公務員だから、給与は国からもらう。
しかし、
予算の少ない貧乏なカンボジアの政府は
医師や看護師たちに、小額の給料しか払わない。

このため、
エリコ先生は、インセンティブ(目的意識向上のための給与補助制度)、
と呼ばれるある程度のお金を、医師や看護師たちに、渡すことにした。

これにより、このお金欲しさに、
医師や看護師たちは、真面目にエリコ先生の話を聞くようになった。

・・・

以上の結果、
状況は、だいぶ、改善し、
エリコ先生の産婦人科の技術は、
病院に浸透していった。


しかし、エリコ先生は、疑問をもっていた。

「首都の大きな病院でだけで、母子保健を改善しても、意味がないわ。」


現実問題として、田舎のほうが、状況ははるかに悪い。

エリコ先生は、田舎の状況も、なんとかしたかった。

しかし、ODAの「無償」のスキームで使える予算には、限りがある。
仮に使えるとしても、申請したところで、お金がやってくるのは、
1年半以上先だ。
エリコ先生は、気が短いので、そんなことは待っていられない。

(ODAのお金は、動き出すのに、時間がかかりすぎる。)


このため、次のようなことを考え付いた。


「そうだわ! 田舎から、医師や看護師、またはヘルスワーカーを呼んで、
 それをこの中央病院で訓練し、また田舎で働いてもらえばいいんだわ。」


カンボジアでは、医師や看護師の絶対数が少ない。
このため、村のコミュニティーのメンバー(または地方公務員)などの一人が、
簡単な医学的訓練を受け、
ある程度の医療行為ができるようにする制度がある。

これを、ヘルスワーカーというのだ。

仕事内容としては、
お産の介助、子どもの簡単な診察、ワクチンの接種、健康教育、などがある。

(詳しくは、プライマリー・ヘルス・ケアの項を参照)


で、ともかく、医師・看護師・ヘルスワーカーを
中央病院へ招聘(しょうへい)し、
そこで教育をし、試験をして、一定のレベルに達したら、元の村に戻す、
というシステムを作った。

段階としては、次のようになる。

1.エリコ先生が、中央病院のスタッフに、母子保健の知識を教える。
2.中央病院のスタッフが、先生として他の人に教えられるようにする。
3.その先生たちが、田舎からきた医療スタッフたちに、いろいろ教える。


これにより、なんと、「エリコ先生の母子保健」は、
カンボジア全土に広がっていくことになった。


・・・

「やったわ。これで、まあまあうまくいったわね」

「ドクター・エリコ、医師と看護師が数人ずつ、イギリスへ移住するそうです。」

「は?」

「あと、某有名国際機関に、数名が転職したい、とのことです。」

「ええっ!」

「イギリスの病院や、国際機関のほうが、給料がいいからだそうです。」

「なんですってー!・・・せ、せっかく、あんなに教えたのに・・」

「・・・ま、うちの病院、基本的に給料、安いですから・・・」

「・・・・・」


医療スタッフたちは、医師も看護師も、次々と中央病院を辞めていった。
お金が儲かる外国にいったり、
他の国際援助機関に移動し、より高額の給料で働こうと動き出した。

エリコ先生が教育して、そのスタッフが優秀になればなるほど、
そのスタッフは転職できる機会(チャンス)が多くなり、
そして転職してしまう。

なんとも、皮肉なことであった。


・・・
・・・

参考1:

国際機関(国連など)の(現地スタッフの)給料は、
NGOの5〜20倍、高いことが多い。

このため、NGOが現地スタッフを訓練しても、
高額の給料がもらえる国連に移動してしまうことが多い。
(当然、NGOたちは、激怒している。)

で、JICAの給料は、両者の中間ぐらいではあったが、
最近のJICAは、基本的に、NGOのほうに近い。

(最近、対費用効果(cost-effectiveness)が言われているためと、
 それ以上に、ODAの無駄使いが、マスコミ等でたたかれたため。)


もう少し詳しく述べると、一般に途上国の人の月給は
1万円前後である。
これは、日本人の月給(20万円)の20分の1ぐらいであるが、
途上国の物価(米や麦など)の値段も、20分の1であるため、
問題ない。

普通、JICAやNGOは、この途上国の物価を考慮して、給料や
インセンティブを、適切な範囲におさえる。

要するに、月給が1万円前後になるように配慮をする。
(もちろん各国の物価や平均月給によるが、本書では簡明に書いている。)

ところが、国連の給料は、現地スタッフでも高額のことが多く、
JICAやNGOが出す給料の5〜20倍のことが多い。

このため、「手塩にかけて育て上げた」スタッフたちは
それが優秀なスタッフであるほど、国連に「盗まれる」。


で、これに関しては、途上国における「貧富の差の拡大」にも
関係していくので、是非、ブログの
貧困の定義とその開発指標、を読んで頂きたい。

要するに、国際援助団体と「癒着」している一部の優秀な人々だけが
高額の給料をもらえる、というシステムを作ってしまうと、
開発途上国で最大の問題になっている「貧富の差の拡大」を助長してしまう、
という側面がある。


参考2:

一般に、開発途上国でも、医師や看護師の資格をとれる人というのは、
もともと裕福な家に生まれた人たちである。
そうでないと、学費が高額な医学部や看護学部には、行けない。

そうした人たちは、貧乏人を救済するために、医療従事者になった
わけではなく、よりお金持ちになるために、医療スタッフになった
のである。

よって、ちょっとでもいい給料がもらえる職場に、すぐ移動してしまう。

また、もともとお金持ちである医師や看護師たちは、海外にいき、
イギリス、フランス、アメリカで、高額の給料をもらおうと
考える人たちも多い。

で、先進国にいってしまった人たちは、自分の国には戻ってこず、
自分たちが(欧米での)裕福な生活を送ることに満足してしまう。


参考3:

途上国によっては、無料で医学部等に行ける制度がある国もある。
(援助団体が支援して、そのような制度を作ることも多い。)

しかし仮に、もともとが貧乏な家庭出身の人でも、医師になってしまうと、
やはり(自分が)高額の給料をとれる方へと流れてしまう。

自分が学んだ知識を、自分の国の貧しい人たちのために使おう、
という発想は、通常、ほとんどない。
自分だけの金儲けのために、その学歴を役立ててしまう。
(せいぜい、自分の家族のため、である。)

国際協力団体が、貧しい家庭の人に援助を行い、
10年かかってようやく医師にしてさしあげたが、
あっというまに(家族ごと)欧米などに行ってしまった、
というケースは、けっこう多い。


余談になるが、
要するに、(子どもたちに)勉強を教える時には、
それを自分自身の将来のために役立てるだけではなく、
必ず、その知識を、社会に還元していかなければならない、
ということも、子どもたちに教えなければならない。

そうでないと、格差社会が広がるだけだ。

そしてこれは、カンボジアでも、日本でも、同じことである。

・・・
・・・


ともかく、
このようにして、
エリコ先生の作ったカンボジアの「母子保健普及システム」は、
あっという間に、崩壊してしまった。

優秀なスタッフは、海外か、他の援助機関へ行ってしまった。

中央病院には、田舎からきたヘルスワーカーたちなどに教える「先生」が
いなくなってしまったのある。


エリコ先生は、落ち込んだ。


「あ、あたしがやってきたことは、いったいなんだったの・・・

 あんなに一生懸命、教えたのに、行っちゃうなんて・・・

 やっぱり、みんなお金が欲しいのね・・・」



しかし、
花の39歳(自称)のエリコ先生は、「諦める」という言葉を、
その辞書にもたない女性だった。


「優秀なスタッフが抜けても、それでも崩壊しないシステムを作ってやるわ!」

「ど、どうやるんですか?」

「入ってくる医師や看護師、ヘルスワーカーに定期的な講習をして、

 将来「先生」になれるような人材育成を、普段からしとけばいいのよ。

 そうすれば、5人や6人、引き抜かれたって、へっちゃらだわ!」

「な、なるほど。しかし、どうやって?」

「あなたが、作るのよ。」

「あなたって・・・、わ、わたし?」

「そうよ。それが、あたしのカウンターパートの仕事よ!」

「ひょえええーーっ」


・・・

こうして、カンボジアにおいて
このエリコ先生による母子保健を普及するシステムは、完成していった。

確実に、「未来に残るシステム」を彼女は、作ったのだ。


一人の人を教育するだけではなく、
入ってくる人々を、(組織として)自動的に教育し、
かつ、「先生」の養成も同時に行う。

一人二人の人が、辞めてしまっても、抜けてしまっても、
すぐに次の人たちが教育されていく。

このサイクルができあがった首都の中央病院に
田舎から、どんどんヘルスワーカーたちが呼び出され、
一定の研修を受け、学んだ知識を地方で生かしていく。

(医師や看護師たちに教育することも大切だが、
 確実に地元に残ってくれる
 田舎のヘルスワーカーたちに教育することは
 さらにもっと重要であることにも、エリコ先生は気づいた。

 もともと田舎出身のヘルスワーカーのほうが、
 未来に残る医療をしてくれる可能性が高いからである。)


こうして、カンボジアの母子保健は、
国全域で徐々に改善されていくことになっていく。


これが、10年以上前に、エリコ先生が行った
カンボジアの母子保健プログラムであった。


母子保健におけるこのシステムは
現在、ODAやJICAが保健医療関係のプロジェクトを行う際の
「定番」となっており、
様々なプロジェクトを行う際の「雛形」(ひながた)になっている。


・・・
・・・


さあて、十数年の時が過ぎた。

このエリコ先生は
今、日本のとある看護学校で、教職の仕事をしている。

なんでも、自分の後継者たちを、育てるんだそうだ。
ずっと「未来に残るシステム」を作るために。


「むきぃーーっ! なんとかならないのかしら、最近の学生たちはっ!」



果てしなく強い情熱と、果てしなく高い血圧で、

未来を作っていくエリコ先生は、

そろそろ「花の20代」に突入する。







追記:
エリコ先生の名前は、仮名になっています。
なんでかというと、私が怒られたくないからです。

思い出のバレンタイン 1,623字

.
今日は、セント・バレンタイン・デー。
この日には、忘れられない思い出があります。

・・・

学生時代、わりと真面目に勉強して過ごしたため、
「女っけ」が全くない生活を過ごしていました。

そしたら医者になったころには、女性への免疫が
全く無くなっており、
女性と話をすることも、苦手になっていました。

このため、明るい性格の医師が(女性の)看護師さんたちと
仲良く飲みに出かけていくのを、
横目で指をくわえて眺めておりました。

「うらやまピーなぁ・・」

でもまあ、普段はそんなに気にならなかったのですが、
年に三回あるイベントの時は、ちょっと・・・
いや大分寂しい思いをしておりました。

年に三回あるイベントとは、

1.クリスマス・イブ
2.バレンタインデー
3.誕生日

の三つです。

このうち最も物理的な数字で結果に現れるのが、
バレンタインデーでした。

だってもらったチョコの数が、個人の成績として
いやおうなく見えてしまうからです。


医者になって一年目の冬、そう研修医一年目に訪れた冬は
とってもとっても寒い2月の14日となりました。


妙に真面目で服装も汚かったこの頃は
結局だれからもチョコをもらえず、
おまけに医局長から、

「おい、お前、どうせ今日、暇だろう?」

と当直まで申しつけられてしまいました。


病棟のナース・ステーションでいじけていた私に
少しだけ仲の良かった看護師さんが話しかけて
きました。


「先生さー、こんな日に当直なんて、ついてないねー」

「いや、べつに・・・」

「あっははは・・、そうか、彼女なんていないもんねー」

「・・・」

「そっかそっか、義理チョコはいくつもらったの?」

「・・・・・」

「ええっ、義理チョコももらえなかったの!?

 それはあんまりにも可哀想だわ。

 よし、あたしが一つあげっからね。」


その看護師さんは奥の部屋に入っていくと
なにやらビニール袋のようなものを持って
もどってました。

そしてこう言いました。


「ほら、手をお出し。」


私が手を差し出すと、彼女はビニールの袋から
なにかを取り出し、私の手のひらにそれをのせました。

それは、直径5ミリメートルの大きさの一粒の
麦チョコでした。


「へっ、これだけ?」

「あら、麦チョコ、嫌い?、美味しいのよ、ふふふ」

「いや、好きですけど・・・・・

 ・・・どうも、ありがとう、ございます・・」


私はその一粒の麦チョコを一気に口の中に
ほうり込みました。

一粒のチョコは寂しかった私の心を少しだけ
それでも甘く、暖めてくれました。


私が幸せそうな顔をしているのを見て、
その看護師さんはこうつぶやきました。


「・・・大丈夫そうね。

 賞味期限切れてても、結構たべられるもんね、ははは」


彼女はビニール袋に残っていた残りの麦チョコを、
一気に、ざーーっと自分の口の中に流し込みました。







・・・
・・・


時は流れ、私には、妻ができました。

今日は、バレンタインデーです。
彼女が、寄ってきました。


「あなた、これ、たいせつなもの」


彼女は、私に、白い紙に包まれたものを
手渡しました。

紙を通して、
ほんのり、暖かい温度が伝わってきます。


「これ、茶色いやつよ。」


ああ、あれか。

私は、嬉しくなりました。

こんな私にも、チョコレートをくれる人が
ついに、できたのです。

それも、手作りで、しかも、出来たてのようです。


しばしの感慨を胸に、じーーんとしていると
彼女が言い出しました。


「じゃ、これ、病院にもっていってね。

 あなた、どうせ、病院に行くでしょう。」

「えっ?」

「えっ、じゃないでしょう。

 私、今、人間ドックの最中(さいちゅう)なの知ってるでしょ。

 これ、大腸ガンの検査用だから、

 病院の、検診室に届けてね。」

「は?」

「だから、これ、(大腸ガンを調べるための)血便の検査用よ。

 朝とった検便用の、フレッシュな素材よ。

 まだ、あったかいでしょ?」

「じゃ、も、もしかして、これ、」

「○ンコよ」







・・・
・・・


補足:

このままインターネットにアップしたら、「殺す」
と、妻にいわれたため
以下、追加です。


その後、妻はスーパーの「丸正(まるしょう)」に行き、
棚に並んでいる、チョコレートを、
それぞれ全部、1個ずつ買ってくれました。

たいへんな数と量になりました。


美味しかったです。感謝しております。
このご恩は一生忘れません。
感謝いたします。
深謝千万。
謝辞。



ですが翌日、食べたチョコレートと同じ数の
ニキビが顔にできました。




ぷち ぷち


ぷち ぷち



ぶちっ


いてて





・・・
・・・


今日は、セント・バレンタイン・デー。
この日には、忘れられない思い出が、たくさんあります。

企業の社会的責任(CSR)とは? 6,040字

.
「企業の社会的責任」とは何か、を以下に説明する。
まず、英語では、CSRという。

Corporate Social Responsibility : CSR

一言で言えば、

「持続可能な社会を作っていくために、
 企業が行わなければならない様々な仕事の総称」

である。

もう少しわかりやすく言えば、

「企業の経済活動(金儲け)の側面と、
 環境問題(地球の持続可能性)へ配慮する側面、
 そして
 社会責任(説明責任・法令順守・社会貢献等)の側面。

 以上の三つの側面のバランスをとりながら、
 企業を運営していくこと」

である。

・・・

この三つの側面を、「トリプル・ボトム・ライン」という。
1997年に、ジョン・エルキントンという人が提唱した概念で、

「企業は環境・経済・社会の三つの側面を考慮した経営を
 行うべきである。」

と説いた。

この三つの側面の中身を、さらに細かく分類していき、
企業が行っている活動を客観的に評価しよう、という試みが、
「企業の社会的責任」(CSR)という概念である。

・・・

簡単に、CSRの歴史を概説する。


2000年に、グローバルインクという組織が
国家のGDPと企業のGDP(売上高)を比較した。
なんとその結果、
上位100位のうち、
53が企業で、47が国家でした。

企業たちのほうが、世界を動かす力は
既に強い時代になっているのです。

具体的に、大企業で上位に入ってくるのは、
エクソンモービル(石油会社)、
ウォルマート(スーパーマーケット)、
ジェネラルモーターズ(自動車)、
三菱商事(総合商社)、
トヨタ自動車、
などで、もはやそうした企業たちの力は、
平均的な国家の力を、大きくしのぐほどになった。

このため、企業たちも、社会的な責任を担うべきだ、
という機運が、欧米を中心に大きくなり、
世界中でのCSRブームに発展していく。


実際のCSRの内容としては、
UNEP(国連環境計画)と、セリーズというNGOが合同で作成した
CSRのためのガイドラインがある。
これを、GRIという。

Global Reporting Initiative

1997年にこの策定が始まった当初は、
「環境報告書」を各社が作成するためのガイドラインを目指したが、
その後、いろいろあって、現在は、
「持続可能性報告書」( sustainability report )
すなわち、環境だけでなく、広範な領域にわたる
ガイドラインを策定している。

このGRIの素晴らしいところは、
もともとのUNEPとセリーズだけでなく、
現在数十以上の国際機関・政府機関・民間組織が絡んでおり、
それらが一体となってガイドラインを作っているところだ。

要するに、偏りが少なく、比較的中庸を得ている点を
私は評価している。


参考:

GRI日本フォーラム
http://www.gri-fj.org/

・・・

CSRの具体的な内容の中には、
一般の人には、馴染み(なじみ)のない、
難しいカタカナが並んでしまっている。

このため、一般の人は、理解しずらい。

よって、そのカタカナたちを、一つ一つ解説していく。

わかりやすく書くので、
めげずに最後まで読むように。

・・・

1.ガバナンス(企業の統治)

企業の意思(方針)決定の過程が、明快で客観的であること。

これを行うために、一般的に行われていることは、
企業の意思を決定する「取締役会(とりしまりやくかい)」に、
会社の外から、第三者を呼ぶことである。

(通常、他社の責任者や知識人などが呼ばれることが多い。)

(日産自動車のカルロス・ゴーン社長を、
 ソニーが社外取締役として呼ぶ、など)

これにより、自社の中で、
これまで「なあなあ」で行われている体制が指摘され、
改善されることがある。

・・・

2.コンプライアンス(法令の遵守)

日本の国の様々な法律を守るだけではなく、
法律に書いてなくとも、
社会における常識的な倫理を守っていこうという精神を言う。

このコンプライアンスを社員に行うために、
現在、かなりの会社が、
インターネットなどを使った教育を行っている。

「あなたが今行っている仕事は、
 社会に対して恥ずかしくありませんか?

 自分の胸に聞いてみて下さい。
 仕事の内容を、家族にも友達にも話せますか?」
など。

・・・

3.トップ・コミットメント(社長の意思と約束)

社長の意思が、明確に表明されており、
またその言葉に責任を持つこと。

通常、文書とインターネット上の両方で
表明され、全社に浸透させるていく姿勢を含む。

これにより、なんらかの不祥事があった場合、
責任の所在が明確になる。

・・・

4.ディスクロージャー (透明性)

会社の方針がなんなのか?
社長は、どのような人なのか?

経済的な利益は、どのくらいあったのか?
政府から言われている、CO2削減はやっているのか?
社会貢献は、少しはしているのか?

などなど、
社内だけでなく、社外にも、明確に発表していくこと。

・・・

4.ISO 14001(環境マネージメントシステム)

ISOは、国際標準化機構のことで、
様々な「世界標準となる監査システム」を作っている。

会社が商品などを作るときに、
工場などが、環境に配慮した対策を行うための
システムがある。

これを、ISO14001、と呼ぶ。

環境に配慮することを企業が考え始めた場合、
通常、真っ先に行われるのが、
このISO14001の取得である。


また、環境の側面だけでなく、社会的側面を含めた
総合的なCSRの国際基準も、完成しつつある。

それが、
2008年を目標に策定される予定の
ISO 26000 である。

これが完成すれば
CSRがよりいっそう、社会へ普及していくかもしれない。


参考

ISO 26000
http://www.jsa.or.jp/stdz/sr/sr02_iso.asp

・・・

5.商品のライフサイクル

通常、商品を作って売る場合、

(1)原料・部品の調達
(2)製造
(3)流通
(4)販売

という四つの過程をたどる。

しかし、結局、「売って、仕事は終わり」
という考え方を企業が持ってしまうと、
社会は持続可能でなくなっていく。

具体的には、

(1)原料 どんどん石油などの資源が減少していく。
(2)製造 産業廃棄物を河川に出し、水質汚染など。
(3)流通 自動車で運ぶと、CO2排出量が多い。
(4)販売 消費者がどう使おうが、関知しない。

で、
こういう状態を続けていくと、
やがて地球は、以下のようになってしまう。

資源は、枯渇。
ゴミだらけ。

これではいけない、ということで、
考え出された概念が、商品のライフサイクルである。

(1)原料・部品の調達
(2)製造
(3)流通
(4)販売
(5)廃棄
(6)再資源化

具体的には、以下のような感じ。

(1)原料 石油ではなく代換エネルギー・代換原料を使おう。
(2)製造 産業廃棄物は出さないようにしよう。
(3)流通 列車か船で運ぶとCO2排出量が少ない。
(4)販売 100ワットでなく50ワットで動くテレビを売ろう。
(5)廃棄 地方自治体、自社などで回収システムを作ろう。
(6)再資源化 商品を分解し易くし、再資源化を行おう。

このような、商品の「ライフサイクル」のシステムを作ると、

資源は、枯渇しない。
ゴミだらけにならない。

ということ。

・・・

6.ゼロ・エミッション

企業が、工場などで、商品を作るときに、
産業廃棄物や、汚れた水などを
河川などに出さないこと。

例えば、
一度、工場で使った水を、
再利用(リサイクル)して何度も使おうというのが
その典型である。

・・・

7.モーダル・シフト

商品を運搬するために、
トラックや自動車を使うと、
当然、CO2が出る。

このCO2の発生量を減らすためには
船か列車で運んだほうが良い。

船か列車で運ぶと、
CO2の排出量は、
トラックや自動車を使うよりも
1/6から1/8に減少すると
言われている。

・・・

8.3R (スリー・アール)

Reuse 何回も使おう。

Reduce 少ない資源で商品を作ろう。ゴミも減らそう。

Ricycle 使い終わったものを、また資源にもどそう。


・・・

9.ウイー ( 廃電気電子機器指令)

Waste Electrical and Electronic Ezuipment : WEEE

商品のライフサイクルのところで述べたように、
これからは、
使用が終わった商品は、
地方自治体または会社が自分で回収しなければならない。

普通に考えると、地方自治体が行うべきなのだが、
実際は、適切に行われていない。

具体的には、
みなさんは、ゴミを捨てる時に、
燃えるゴミと燃えないゴミを分別して捨てていると思うが、
かなりの数の地方自治体は、
なんと、集めた後、また混ぜてしまい、
燃えるゴミも、燃えないゴミも、いっしょにして燃やしているのだ。

理由は、
「最近の焼却炉は、非常に高性能で、高温で焼いているので、
 ダイオキシンなどの発生も少なく、問題ないから」
ということらしい。

まず、これが本当かどうか、かなり怪しいものだが、
仮にそれが本当だとしても、
ゴミはでないかもしれないが、資源が枯渇していくことは、かわりがない。

商品のリサイクルを促すためには、
ゴミとして燃やす量を減らし、
再資源化できるプロセスを作らねばならない。

が、今のところ、日本でも、海外でも、なかなかできていない。

これに業(ごう)を煮やしたヨーロッパの(CSRをやっている)企業たちが
作った連合体が、ウィー(WEEE)である。
電子製品に関しては、企業の連合体が合同で回収システムを持ち、
分解するコストを分け合い、資源までもどし、
それを共用する体制を作った。


日本でも、コピー会社などで、同様のシステムが誕生しつつある。


参考:

CSRアーカイブズ
http://www.csrjapan.jp/


・・・

10.ステークホルダー(広い意味での利害関係者)

CSRの基本は、間違いなく、社会に住む一般の人々への
説明責任である。

どのような目的で、どのような活動をしているのか。
どのような利益があり、それをどのように使っているのか。

それを、第三者である一般の消費者たちが見ても
わかるようにする必要がある。

日本の国家予算の内訳が、新聞などに公表されるように、
もはや国を超えるGNPを持つ大企業たちは、
当然、その活動の内訳を、公表しなければならない。

これを行わない企業は、
(はっきり言えば)
影でどんな悪いことをしているか、わかったものではない。

よって、この「説明責任」を果たしていない企業の商品は、
買うべきでないかもしれない。

こうしたことが起きないように、
企業たちは、ステークホルダーと呼ばれる、
広い意味での利害関係者たちへ、説明を行う義務がある。

(1)株主
(2)社員(自分の会社の社員)
(3)一般市民(消費者、お客様)

(4)地域社会(事務所や、工場のある地域)
(5)国(税金を納める部署、法律を作る部署、等)
(6)国際社会(多国籍企業の場合、国際法、WTO、等)

(7)NGO,NPO,市民団体
(8)教育機関(大学、シンクタンク、等)
(9)環境(人間だけじゃなく他の生物。その持続性)
(10)未来の子どもたち

とりあえず、10個書いたが、各社によって
ステークホルダーたちの内容は、様々だ。
以下、簡単に説明していく。

・・・

(1)株主

もともと企業というものは、
株主の利益を増やすために存在した。

(株式会社の「持ち主」は、社長ではない。株主である。
 法律上も、そうなっている。)

よって、その株主の利益を増やすことが
基本的な会社の存在意義である。


(2)社員(自分の会社の社員)

しかし、
「株主たちの利益のために、自分たちは働かされているのか」
と、社員たちが思ってしまうのは、モチベーション(目的意識)上、
あまりよろしくない。
このため、このCSRに関する評価を行い、
その報告書(CSRリポート)を作る。
CSRリポートを作る最大の目的の一つは、
その会社の社員に読んで欲しい、ということである。

自分の会社が行っている活動は、何なのか?
良いことも、悪いことも含めて、それに共感できるか?

そうした、当たり前の責任感を、もってもらうことも
CSRの意義の一つである。


(3)一般市民(消費者、お客様)

そしてステークホルダーの3番目に入ってくるのが、
一般市民である。
最近、「持続可能性」を提唱する団体たちは、
「消費者」という言葉を使わなくなった。

理由は、消費者、というと、
その商品を使った後、(消費して)ゴミにして捨ててしまう(悪い)人、
というイメージがあるからだ。

消費者という言葉には、人間というよりは、
金を持っていて、商品を買ってくれて、その後消費して、ゴミを出す、
ある種の(深い考えのない)生物、という意味合いが感じ取れる。

ある意味で、馬鹿にしている。

このため、もう消費者のことは消費者とは呼ばず、
一般市民(または単に市民)と呼ぼう、という動きが強い。

一般市民は、
お金をもっていて、ただ買うのではなく、
まず自分で考え、環境に配慮し、説明責任を果たしている企業の商品だけを
選んで買う。
買った後も、消費するのではなく、必ず分別して再資源化し、
地方自治体や企業独自の回収システムに送って、リサイクルを行う
「意識」を持つ人たちだ。

たんに金をもっていて、消費をする、生物ではない。
よって、こうした商品を「選んで」買っていただく一般市民の方々には
当然、説明を十分にすることが必要であり、
その結果、
「当社の製品を、選んで、購入していただく」
という流れとなる。

ちなみに、
このように、CSRが普及した、結果、
それと表裏一体の関係にある一般市民たちの上記のような
意識改革を、
「市民の社会的責任」
と呼ぶ。

Citizen Social Responsibility

これも、もう一つの、CSRである。


(4)地域社会(事務所や、工場のある地域)
(5)国(税金を納める部署、法律を作る部署、等)
(6)国際社会(多国籍企業の場合、国際法、WTO、等)

企業たちは、自社の工場が(地域の)大気や河川の汚染をしないこと、
自国の法律を守り、国際社会のルールを守ること、も当然必要だ。


(7)NGO,NPO,市民団体
(8)教育機関(大学、シンクタンク、等)

企業活動を行うときに、
商品を作る過程や、そのために生じる公害に対して、
市民団体が文句を言ったり、大学の教授などがコメントを言う。

こうした側面も、企業の社会的活動には必要だ。
このために、この苦言を(あえて)受けるために、
まず説明責任を果たして頂く。


(9)環境(人間だけじゃなく他の生物。その持続性)

ステークホルダーたちの中には、
言葉を言わない利害関係者たちもいる。

動物たちも、植物たちも、絶滅してしまった種も、
文句を言わない。
このため、そうした「迫害されている命」を守るため
誰かが「代弁者」となって、立ち上がらなければならない。
それは、環境系のNGOや、NPOであることが多いが、UNEPなどもがんばっている。


(10)未来の子どもたち

そしてもちろん、もの言わぬ大切な存在は、もう一つある。
それは、
「遠い将来に生まれてくる、未来の子どもたち」
である。

彼ら、彼女らのために、私たちは、今、がんばらなければならない。
遠い将来まで、綺麗な地球、資源のある地球を、残しておくために。

・・・

以上が、CSRの概略である。

これらのことを、各企業が行っていくようになれば、
地球は、社会は、持続可能になりうるかもしれない。

もちろん、経済的な「利益優先主義」とは
相容れない(あいいれない)部分もあるが、
それを越えて、
CSRが、社会に普及していくことを、私は願っている。


とりあえず、私は、本を書き、
また、教育機関でも、企業でも、CSRを普及するための講演を行っている。

最近、文部科学省と連携し、
小中学校の生徒たちに対して、
CSRの初歩のような「授業」を始めた。

将来大人になった時に、CSRを行う会社員となってくれるように。

一般の市民となった時も、責任をもって買い物をし、
CSRを行う企業を支持してくれるように。


そんな社会を夢見て、今、これを書いている。

Earth the Spaceship . . . ETS



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