山本敏晴のブログ

1965年生、仙台出身。医師・写真家・NPO法人宇宙船地球号理事長。元国境なき医師団日本理事。 峭餾欟力師」という概念を提唱。企業の社会的責任(CSR)を推進。世界中で大切なものの「お絵描きイベント」を実施。著書に『世界で一番いのちの短い国』『アフガニスタンに住む彼女からあなたへ』 『国際協力師になるために』、『あなたのたいせつなものはなんですか?』『世界と恋するおしごと』『地球温暖化 しずみゆく楽園ツバル』『「国際協力」をやってみませんか?』など

2009年04月

新型インフルエンザ、フェイズ5、弱毒から強毒 3116字

.
2009年4月29日夜、
(日本では4月30日朝)
WHO(世界保健機関)は、
新型インフルエンザの警戒度を
フェイズ5、にあげた。

フェイズ5は、
WHOの管轄する2カ国以上で感染が発生し、
かつ、
その感染が広がり続けている状態を言う。

具体的にいえば、
発生国のメキシコで広がり続けているだけでなく、
メキシコから広がった、
アメリカやヨーロッパなどの他の国々でも、
その
ウィルスを持ち帰った患者が自国内で感染源となり、
まわりの人々に、うつしていることが
確認された場合を言う。

で、
現在、まさにその状態にある、ということだ。


・・・

このフェイズ5になってしまうと
感染をコントロールすることが
極めて難しくなり、
世界中に感染が広がる可能性が、極めて高い。

いわゆる「パンデミック」(世界的大流行)が
起こってしまう可能性のほうが、高くなる。


・・・

一方で、
今回の豚インフルエンザ(H1N1)由来の
新型インフルエンザは、
「弱毒性」
であることが、わかっている。

弱毒性とは、
通常の「季節性インフルエンザ」と同じぐらいの
死亡率が0.1%弱程度のものを言う。

季節性インフルエンザとは
(日本では)
毎年11月から3月ぐらいまでに流行る
普通のインフルエンザで、
毎年、約1千万人が感染し、
毎年、5000人から6000人が
死亡している。

死亡しているのは、主に高齢者である。


・・・

では、
強毒性とはなにか、というと
1918年に起こった
スペイン風邪と呼ばれる(当時の)新型インフルエンザの時の死亡率が
2%前後(1〜5%)であったため、
その2%前後以上のものを、強毒性、と呼ぶことになっているようだ。

また、病態生理学的には、
死亡率が上昇する理由として、諸説あり、

1.呼吸器感染だけでなく、全身感染する
2.上気道(咽頭など)だけでなく、下気道(肺)にも感染する
3.サイトカインストーム(免疫の過剰反応による増悪)が起きる

などが、いわれているが、
どうも、まだ、統一見解は、ないようだ。


ちなみに
サイトカインストームについては、
以前、ブログに書いた。


参考: サイトカインストーム
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65225876.html


・・・

で、
今回の豚由来の新型インフルエンザ(H1N1)は
感染力は強そう(または普通)だが、弱毒性だ、
というのが、今のところのWHO等の見解だ。

だから、日本に入ってきても
その被害は、
通常の、季節性インフルエンザと同じ、
感染者が1千万人ぐらいで、死亡者が数千人ですむのではないか、

考えられる。

(要するに、まだ、大騒ぎするほどではない、とも言える。)


・・・

しかし、
同時に、安心しては、いけない、という
コメントも、WHOは発表している。

理由は、
インフルエンザは、非常に変異をしやすいため、
今後、感染が各国で拡大していく中で
変異、を起こし、
強毒性に変わる可能性が示唆(しさ)されている。


具体的には、
最悪なケースを紹介しておくと

強毒性の中でも、最強の強毒株である、
鳥インフルエンザ(H5N1)が流行している地域に
今回の
豚由来の新型インフルエンザ(H1N1)が流行し、
かつ
その国の、ある人が、この二つに、同時感染した場合、
その人の中で、新型インフルエンザが、遺伝子の変異(遺伝子再集合)を起こし、
強毒性に変わる可能性があるのだ。


で、
現在、鳥インフルエンザが流行している地域は、以下である。

エジプト、ベトナム、インドネシア、中国、など


詳細は、WHOの、鳥インフルエンザ、タイムライン(時系列の発生記録)
http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/Timeline_09_03_23.pdf


つまり、
本当は、これら、鳥インフルエンザが流行っている国に
今回の、豚由来の新型インフルエンザが、入っていってしまうこと、
を防ぐことが、
現在の、最重要課題だ、ということである。


ところが、
なんと、エジプトは、途上国であり、
特に、保健(医療と公衆衛生)のレベルは、非常に低く、
鳥インフルエンザが、蔓延(まんえん)している状態だ。

蔓延している状態とは、
鳥インフルエンザに感染している鳥(養鶏など)が
ほとんど管理されておらず、
要するに、感染しても、処分(殺滅)されていない状態なのだ。

(普通、日本では、ある農場で、一羽でも鳥インフルエンザに感染したら、
 その農場の鶏などを、全部、処分することになっている。
 で、政府は、その被害額を、当然、保障する。

 が、エジプトでは、それがあまり行われていないので、
 鳥インフルエンザは、現在も、広がりつづけている。
 鳥は、大量に死に続けており、
 かつ、人の死亡例も多数出ている。)


要するに、現在、「エジプトが、一番まずい」のである。


鳥インフルエンザと、人インフルエンザは、
ともに
豚にも感染できる能力をもつため、

今回の豚由来の新型インフルエンザがエジプトに広がった場合、

エジプトの豚(または人)の中で
同時に感染したウィルスたちが、遺伝子変異を起こし、
強毒性の新型インフルエンザが発生するかもしれない。


・・・

過去の事例を振り返ってみると、
1918年のスペイン風邪でも、
1968年の香港風邪でも、

最初は、弱毒性で始まり、
広がっていく過程で、強毒性に変わっていったことが
史実として、確認されている。

具体的には、
(過去の事例では)
春ごろに感染が始まり、一度、夏に収束し、
秋ごろ、再度流行が始まって、
その頃に、強毒性を獲得し、
大量の人が、死亡している。


今回の、新型インフルエンザも
似たような経緯をとる、可能性がある。


・・・

まずいのは、
エジプト等で流行(はや)っている
鳥インフルエンザ(H5N1)は、
強毒性の中でも、桁(けた)はずれに強い毒性をもち、
死亡率60%以上(エジプトだけなら、80%以上)である。

もし、
今回の、豚由来の新型インフルエンザ(H1N1)が
この毒性を獲得した場合、
世界は、とんでもないことになる。


日本は、自分の国の空港で
水際対策などをやるよりも、
もっと
エジプトなどの、
鳥インフルエンザのコントロールがついていない
途上国での水際対策などを
支援するべきかもしれない。


そもそも、
エジプトでの
鳥インフルエンザが、なぜ、いまだに
コントロールできていないのか、
というと

エジプトでは、
政府が、「大きな養鶏場」で感染が発生し、
そこにいる鳥を全部殺した場合、
その保証金をだすのだが、

「小さい養鶏場」(家庭で数羽飼っている状態)などのときは、
感染して殺しても、保証金はださず、
ただ政府の官僚が、鳥を殺しまくって終わり、
という状況だった。

このため、
貧しい人は、大切な、持っている鳥を
全部、殺されてしまうことになる。

これは、貧しい人にとっては(生計をたてていく上で)致命的で、
より貧困になってしまう。

だから、
その感染を、「隠す」ようになってしまった。

この体質が国全土に広がってしまったため、
エジプトでは、
小さい養鶏場をもっている人では
いまだに、隠す、体質がしみついており、
このため、
感染しても、政府へ報告がいかず、
(よって、WHOにも報告はいかず)
まったくコントロールが、できない状況になっている。



・・・

と、思ったら、
昨日、ドイツで、
豚由来の新型インフルエンザ(H1N1)の感染が
人で確認された。

上述の(リンクを貼った)WHOの
鳥インフルエンザ(H5N1)タイムラインによると
ドイツでは、先月、鳥インフルエンザも発生している!


豚由来の新型インフルエンザと、鳥インフルエンザが
同時に存在する国が、少なくとも一つ、すでに生じてしまったことになる。

今後、この状況は、ますます悪化していくことだろう。






新型インフルエンザ、ついに発生、フェイズ4 5522字

.
2004年10月17日、WHO(世界保健機関)の事務局長、
Dr.Lee (李鍾郁 LEE Jong-wook)が、ジュネーブでの講演で
次のように「断言」した。


「新型インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)は、
 明日にでも、起こりうる。」


その後、
ベトナム、トルコ、インドネシア、香港などで
たびたび、その発生と拡大が危惧されたが、
なんとか
WHO及びその国の省庁等は、抑え込むことに成功した。

(動物から人への感染(フェイズ3)の段階で、
 それ以上、広がらないように対処した。

 具体的には、
 その地域にいる鳥や豚などの動物を
 一気に全て処分し、かつ
 その地域から他の地域への人の移動を制限(禁止)する、
 などの方法で、その広がりを防いだ。)


しかし・・



2009年4月27日夜(日本時間では28日朝)、
WHOが
インフルエンザの警戒度を
フェイズ4にあげた。

(動物から人への感染だけではなく、
 突然変異をおこし、
 人から人へ感染できるウィルスが発生してしまい、
 かつ、その感染が広がり続けていること。)

現在、
メキシコ、アメリカ、カナダ、イギリス、スペイン、
ニュージーランド、イスラエル、コスタリカ、の8カ国で感染を確認。
オーストラリア、韓国などでも、疑い例がある。

疑い例を含んで政府が把握している感染者数は、
現在、約2000〜3000人だが、
実際の感染者数は、
少なくともその10倍、もしかすると、100倍とも言われている。


これにともない
4月28日、日本は、
「新型インフルエンザが発生した」

舛添要一厚生労働大臣が宣言をした。

このため
各省庁は、「既に取り決めておいた」ガイドラインに沿って
様々な対策を始めた。


・・・

私のブログは、
国際協力に関心のある方が読んでいると思うが、

今後の国際協力の中で
最も重要な課題の一つが
「新興(しんこう)感染症」のコントロール、である。

なんでかというと、
昔と違い、現在、航空機を使えば、
24時間以内に、
中南米からでも、アフリカからでも、
東京やロンドンなどの世界中の大都市に
移動することができる。

このため、
24時間以内に
世界中に、あっというまに
感染症が広がってしまう危険性があるのだ。

(しかも、その患者が、潜伏期である
 症状をまったく発症していない、三日間程度の間に。)


昔、
1918年、スペイン風邪、という名前の
インフルエンザが世界で流行した時、
(当時の人口は、20億人ぐらいだったが)
4000万人が死亡した、とされる。

2009年、
(現在の人口は、68億人ぐらいだが)
人間の数が3倍以上になっていることと、
航空機等による世界中への人の移動が激しくなったことから
被害は、もっと甚大になる可能性がある。

単純に3倍するとしても、
(ほおっておいた場合)

1億人以上が、死亡する可能性がある、
ということになる。


つまり、
「世界中の、たくさんの人を救いたい。そんな仕事がしたい」
と思うのであれば、

こうした「新興感染症」への対策を行う人
になることも
選択肢の一つだ、ということになる。

(だって、1億人を救う仕事、など
 他に、そんなにない、はずだ。)


要するに、予防対策、というか
リスクマネージメント(危機管理)の方法を提案・策定し、

それを国際機関で公布し、
各国の政府に参考にしてもらい、

その国の現状に合う形で法律にしてもらい、
地方自治体でそれを実際に施行させる、

という「総合的なシステム」を作ること、が
一つの大きな仕事になるのである。

これは、
国際機関に入ってやる方法も
政府機関に入ってやる方法も
地方自治体の職員になる方法も
大学の教授や、感染症研究所の職員などになる方法も
企業で新薬やワクチンの開発・生産をする方法も
あり、
すべて、重要な仕事である。

産官学、一体になって行う国際協力。

それが、
新興感染症への対策、という仕事なのだ。


・・・

フェイズ4になったため
具体的に日本は、
以下のような対策をとっている。

1.水際対策(みずぎわたいさく)
2.感染予防方法の国民への啓発
3.医療の確保
4.ワクチン
5.社会経済機能の維持

具体的には、以下。


・・・

1.水際対策

航空機や船で、感染国から入国(帰国)する人を
管理すること。

具体的には、
発熱などの症状がある人を見つけ出し、
感染の疑いがある場合、
空港近郊のホテルなどの宿泊施設に
10日間程度、隔離する、ことになる。

(この件は、次回、詳述する。)

また、
現在、外国にいる日本人に対して
(仮に、その外国が、まだ
 新型インフルエンザが発生していなくても)
早期、帰国するよう、警告する。

すでに
感染が起こった外国にいる日本人に対しては
(すでに、その日本人が感染している可能性もあるため)
帰国させるかどうか、問題になる場合もあるので、
(国内にウィルスを持ち込ませないために)
日本政府は、現地(その外国)の医療機関を紹介する、
ことになる場合もある。

さらに
本当に事態が深刻になった場合、
感染国からの全ての人の入国禁止や、
航空機の入国も制限される。


・・・

2.感染予防方法の国民への啓発

外出の自粛、集会の自粛、
学校の休業の要請、企業の休業の要請、
不要不急の業務縮小の養成。

これをみればわかるように、
企業の活動も、制限されるため、
経済被害も、甚大となる。
(GNP等も、下がる)

しかし、
これを行わなかった場合、
感染は、とどまることをしらず広がり続けるので、
経済被害は、その10倍以上になるので、
上記の対策を行うことになる。

(この、経済被害の計算については、後日、また触れる。)

ともかく、
企業、学校、家庭、地方自治体などが、それぞれの場所で、
上記の、外出等の制限をすることが
本当に必要だ、という啓発活動をすることが
なによりも重要だ、ということになる。

また、
予防方法としては、繰り返すが、
第一に、外出しないこと、
(満員電車等に乗らない、人混みの中に行かないこと)、
第二に、帰宅後の手洗い、マスク、など、
である。

さらに、
感染してしまい、発熱などの症状がでてしまった場合は、
まず、

自分の住む地方自治体の保健所(等)の中にある

「発熱相談センター」に電話し、
「発熱外来」を行っている
「感染症指定医療機関」になっている病院

紹介してもらい、そこを受診することになる。

(この詳細は、既に、以前のブログに書いた。)


個人でできる新型インフルエンザ対策その1 4507字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65232371.html

個人でできる新型インフルエンザ対策その2 3402字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65232637.html


・・・

3.医療の確保

インフルエンザに効く薬、タミフルなどを
政府は、2400万人分、備蓄している。

その他、タミフルに耐性化を起こした場合のために
リレンザの備蓄、新薬の開発なども行っている。


医療機関に関しては、
初期は、上述の
感染症指定医療機関(という特定の病院)
にいってもらい、

国内の患者数が100人を超えた時点から
(もう、患者の発生を少数におさえこめない、と判断し)
すべての医療機関を患者が受診するように変更する。

さらに
爆発的に患者が増えた場合、
重傷者は入院させるが
軽傷者は自宅で療養させる、

という、段階的な対策を考えている。


医療従事者の確保、については
大きな問題が残っており、
簡単にいえば、

新型インフルエンザにかかると
(医療従事者本人が、病院で患者から感染してしまい、その結果)
死亡する可能性があるため
病院への出勤をいやがり、
欠勤する、という事態が
憂慮(ゆうりょ)されている。

つまり、
自分が感染したくない
(自分が死にたくない)から、
医師も看護師も、病院にいかず、
患者が病院にいっても
病院が機能していない、という事態になることが
考えられる。

これに対する対策は、
現在、まだない。

各都道府県の知事が、その地域に住む
医師や看護師に、「強制出勤命令」、を
だせるようにする、という案もでたが、
「人権侵害」になる、という意見もあり
難しいところ。


・・・

4.ワクチン

プレパンデミック・ワクチン(事前に予想して作っておくワクチン)
として
鳥インフルエンザ(H5N1)を
政府は用意していたが、

今回、はやったのは
豚インフルエンザ(H1N1)だったので
プレパンデミックワクチンは、
やくにたたない、ことがわかった。

よって、
パンデミック・ワクチン(大流行時に緊急で作るワクチン)を
今、あせって製造しているはずだが、
最速で製造しても、
3か月かかるはず。

その3か月で作られるワクチンは、
あまり数がないため、
政府要人、交通機関職員、警察、軍隊、
電気・水道・ガスなどのライフラインで働く人、
医療従事者などへ
最初に配れる、

国民全員の分の数がそろうには
1年半かかると言われており
その頃には、新型インフルエンザは、
流石に、収束していると思うので

要するに、まにあわない、のだ。


・・・

5.社会経済機能の維持

フェイズ4がでた時点で
関係省庁が集まり、
対策本部を設置することになっていた。

で、実際、それが行われた。

上述のような
感染に対する、様々な対策を講じるだけでなく、

一般の業務に関しても
重要業務のしぼりこみ、
が行われ、
不急の業務を後回しにする、
という、
日常の業務のふるいわけ、
(重要度の選別、プライオリティーの選別)

今、まさに行われているはずだ。


地方自治体の対応に関しては
地域によって、非常にムラがあり、
おおざっぱにいうと

全国の市町村等のうち、
3分の2ぐらいは、
フェイズ4になった場合の
ガイドラインを(まじめに)作ったのだが、

3分の1ぐらいは、
なんにも作っていない、
状況である。

つまり
あなたの住む町の地方自治体が
さぼっていた場合、
上述の、
保健所内(等)に設置されるはずの
発熱相談センターすら、
まだ、ない、可能性がある。

このブログを読んだら
是非、
あなたの最寄の保健所(等)に
設置されたかどうか、確認したほうが
いいかもしれない。


参考: 全国の保健所
http://idsc.nih.go.jp/hcl/index.html

(電話が殺到するのは、まずいので
 ホームページで確認して下さい。)


一方、優秀な地方自治体では、
産官学の連携体制をとっており、
上記の、発熱外来等の医療機関の連携だけでなく、
企業や大学をまきこんだ対策をとっている。

具体的には、
タミフル及びリレンザという薬の、両者への耐性化を起こした
ウィルスが発生した場合のために、
新薬の開発が、急務である。

企業と、大学と、地方自治体や国の予算
(科学研究費、通称、科研費)
を、連携させる取り組みが行われている。

具体的には、以下の3薬を開発中だ。

・・・

T-705    富山化学工業 ウィルスのRNAポリメラーゼを抑制
          人間にはないので、副作用がほぼない

CS-8958   第一三共製薬 1回吸入しただけで効く長時間作用型
             一回吸っただけで治る、驚異の薬?

Peramivir  米国BioCryst製薬 タミフル耐性株にも有効なのを確認済み

・・・

上記の3剤は、それぞれ、どれも非常に期待されている。

もし、あなたが、医者でも、研究者でもなくても
会社員(もしくは、公務員)の立場から
上記のような研究ができるように

国や自治体の予算と、企業と、大学の研究所の三つを
連携し開発させる、という
コーディネートをし、
それらを「結びつける場所を作る」ことも
最も重要な国際協力の方法の一つ、だ。


・・・

ところで、
今回、WHOがフェイズ4に上げるにあたり、
いくつかの議論があった。

一つは、
もう既に、フェイズ5ではないのか?
という議論だった。

フェイズ4、という場合、
ある狭い、一つの地域に
人から人への感染がある、場合を言う。
(しかも、通常は、25人以下、の小さい集団。)

今回、すでに、8カ国で感染が確認しており、
メキシコの中だけでも
2000人以上が感染しているのだから、
狭い地域に限局しているわけではない。

だから、医学的・公衆衛生学的に考えると
どう考えても、すでに、フェイズ5、なのだ。

(この件は、前々回のブログに書いた。)


しかし、いくつかの国(特にメキシコ)が、WHOの会議で
フェイズ5にすると
経済的な風評被害が甚大になるので
頼むから、フェイズ4にしておいてくれ、と
言ったらしい。

メキシコでは、
現在、インフルエンザが猛威をふるっており
企業活動は、ほとんど停止し、
毎日、数億円以上の経済被害がでていることも
側面の一つになっている。

このため、
他の国々も、自分の国の経済状況が
そうなってしまっては困る、ということで
WHOがフェイズを上げるのを警戒しており、
会議で、賛成しなかった。

(このため、フェイズ4に上げるのが、遅れた。)


しかし、
メキシコがこのような姿勢だったため、
(3月下旬から既に流行していたにも関わらず)
WHOへの連絡がおくれ、
すでに、少なくとも8カ国に感染が広がるまで、
「ないしょ」にしていたことは、
国際倫理上、非常に問題である、
という側面もある。


WHOは、国連の機関であり、
各国の代表からなる組織であるため
様々な意見が飛び交(か)い、
まとめるのが容易ではない。

が、
なんとか各国の間での調整をはかり、
一つのまとまった考えを
公布するのが、WHOの役目である。

(頭の痛くなる仕事だ、とも言える。)


・・・

以上が、現在の概況だ。


2007年1月1日のブログで
私は、
新型インフルエンザがもうすぐ流行る、という警告を出した。

鳥インフルエンザ、世界的大流行の予兆 5,797字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51353678.html

それから、2年ちょっと。
来るべきものが、ついに来た、という感じだ。


なお、
鳥インフルエンザではなく、
豚インフルエンザじゃないか、
と思う人がいるかもしれないが、
この二つは、本質的な意味で、おんなじ、である。

理由は、
すべてのインフルエンザは、
鳥の、水禽(すいきん)類の、
特に「鴨(カモ)」から発生することが
遺伝子の分析から、わかっている。

で、
通常、鳥インフルエンザは、
鳥にしか感染できないのだが、

豚は、
ある理由で
鳥インフルエンザが感染することができる。

(この件、解説すると長くなるので、また後日)

で、
鳥インフルエンザが、豚に感染し、
その中で変異をおこし、
人間に感染する、という流れになっている。

また
鳥から豚にいき、
さらに、また
豚から鳥にもどり、
で、
人に感染する、というケースもある。
(これも多い。)

というわけで、
インフルエンザは、
鳥、豚、人、の中を行ったり来たりし、
必要な遺伝子の組み換えを行い、
変異し、進化しながら、増殖を続けてゆく、

「究極の生物兵器」

であるとも言えるウィルスなのだ。



あなたがもし、国際協力師になりたい場合、
この究極の化け物、と戦う戦士になる、
という道も、あるかもしれない。



お知らせ 早稲田大学での講演,国際保健とCSR,20090510


.
国際協力を行っている人々は
それぞれの分野で、「学会」を作っている。

その中で、
医療と公衆衛生を合わせた分野を
「保健」というのだが、
その分野の学会を
「国際保健医療学会」という。

http://jaih.umin.ac.jp/

その中に、
学生も参加できる部分があり、
それを、学生部会、という。

そこから、講演依頼がきた。

通常の私の講演は、
私だけで、2時間行うのだが、
今回は、
他の方や私の短い講演(30分)など

パネルディスカッション
のような形で
行うらしい。

具体的なスケジュールは大筋で、以下。

・・・

5月10日(日)14:00開始

1)司会者:挨拶
2)講演
1.学生:学生フィールドマッチングの活動報告(15分×2人)
2.NPO法人・宇宙船地球号 山本敏晴(30分)
3.武田薬品工業・CSR担当者(30分)
4)休憩(10分 15:10分ごろ予定)
5)パネルディスカッション(40分)

[質問項目]
‖進野の関わり(10分)
・学生→実際に見た国際保健関係の職種とその印象
・専門家→他業種、多文化の中で仕事をするやりがい、難しさ
▲ャリアパス(20分)
・全員→国際保健を志したきっかけ、プライベートとの折り合いの付け方
・全員→自分の将来設計など
質疑応答(10分)
17:00終了予定

・・・

詳細は、以下を参照してほしい。
(転送歓迎だそうだ。)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


転送歓迎!!
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       主催:jaih-s 後援:武田薬品工業
 『国際協力シンポジウムfor Youth
           ―世界へ踏み出す学生たちへ―― 』
         参加者募集のお知らせ
http://www.jaih-s.net/modules/tinyd10/index.php?id=44
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
jaih-s(日本国際保健医療学会学生部会)は、国際保健医療
に関心を持つ様々な分野の学生が集まった団体です。
国際保健医療分野の第一線でご活躍されている先生方のご協
力の下、ともに学びあう場、将来の国際保健医療を担う人材
育成の場となるべく、活動をしています。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ■概要
┃ ■企画内容
┃ ■参加申し込みについて
┃ ■お問い合わせ
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

■概要
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□日時 5月10日(日)14:00〜17:00
□会場 早稲田大学 早稲田キャンパス 国際会議場『第一会議室』
    (以下の地図の【18】と書かれている場所です。)
    http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html

□会場アクセス
   地下鉄東京メトロ 東西線早稲田駅徒歩5分
   JR山手線高田馬場駅徒歩20分

□定員       90名
□参加費     無料
□後援  武田薬品工業株式会社


■参加申し込みについて
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
参加ご希望の方は、【2009年5月9日(土)まで】に、
以下のURL上の【申し込みフォーム】よりお申し込み下さい。

http://my.formman.com/form/pc/QkpSZj68WSdghHGU/

なお、申し込みフォームは資料準備のためですので、申し込みが間に
合わない方の【当日参加】も心よりお待ちしています!

※HPからもお申し込みいただけます。


■企画内容
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 「国際医療」、「緊急援助」、「持続可能な開発」、「災害医療」、
   「世界保健機関」、「プライマリーヘルスケア」
― マスコミにも盛んに取り上げられ、「国際保健」を志す学生は多い。
しかし、現実に職業として国際保健に携わり生きることをあきらめる人も
同様に多いのではないだろうか?
国際保健に興味を持った学生が、将来国際保健の舞台で活躍したいと
いう想いを実現するために、国際保健の現場を知る人の口から、その経
験を共有する場、それが本企画だ。


『持続可能な』社会、国際協力が求められている現在、
学生がいかに専門分野を深く学ぼうとも、多分野・多業種とのかかわりは
欠かせない世の中だ。そのなかを「次世代」として活躍する学生が、国際
保健の現場体験してきた学生と、複数の立場のプロフェッショナルの経験
を聞くことで、もっと深く、自分のキャリアとしての「国際保健」を見つ
めることができるようになるだろう。

注)
『学生フィールドマッチング』―国際保健の現場での活躍を夢見る志高い
学生に、国内外のフィールドの経験を提供している、jaih-sの目玉企画で
ある。2006年夏より始まり、これまでに81名の学生が参加。
本企画で「国際保健の現場体験」を語ってくれるのは、この『学生フィー
ルドマッチング』企画参加者であり、帰国報告会も兼ねている。

【当日の流れ】
1)司会者挨拶
2)学生フィールドマッチングの活動報告
 ●石黒 彩さん(帝京大学医学部医学科6年)
 ●伊東 孝晃さん(慶應義塾大学看護医療学部3年)

3)プロフェッショナルの声
   〜企業の視点とNGOの視点から〜
 ●金田晃一様
   (武田薬品工業 コーポレート・コミュニケー
    ション部 シニア・マネジャー)
 ●山本敏晴様 (NPO法人 宇宙船地球号 事務局長)

4)パネルディスカッション



【当日発表いただく方々の詳しいご紹介】

●金田晃一様
1987年慶応義塾大学経済学部卒業。ソニーにて欧州通商渉外を
担当後、英国に留学、1993 年レディング大学院経済学部修士
課程修了。在京米国大使館経済部で対日規制緩和業務を、また、
ブルームバーグでアナウンサー業務を担当する傍ら、アジアで
のボランティア活動を通じ、「多国籍企業による人間開発」に
関心を持つ。1999年以降、ソニー(再入社)、大和証券グルー
プ本社、武田薬品工業にてCSRを担当、アジア各国でNGOとの協
働プログラムを実践。

●山本敏晴様
1965年12月8日生まれ。宮城県仙台市出身。
東京慈恵会医科大学卒。医師・医学博士・写真家。国際協力師。
12歳の時、南アフリカ共和国に行き、その人種差別問題を目の
当たりにして以来、アフガン難民キャンプなど開発途上国を中
心に70カ国に及ぶ国々を訪問、各国で行われている既存の国際
協力の形に大きな疑問を持つ。同時に各地の撮影を行い世界中
で写真展を開催。




■お問い合わせ
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ご質問などあれば、
jaih-s運営委員 担当・荒井 info☆jaih-s.netまでご連絡ください!
(☆を小文字の@に直してお送りください)

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jaih-sの活動に関する質問やご意見も随時お待ちしております。
日本国際保健医療学会・学生部会窓口 info☆jaih-s.net
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学会ホームページ http://jaih.jp/




豚インフルエンザ大流行? 2253字

.
豚インフルエンザ(ブタインフルエンザ)の
メキシコ及びアメリカ合衆国での流行が
現在、ニュースで流れている。

混乱のないように、解説しておくが、
基本的には、
かなり「まずい」事態になっている。

パンデミック(世界的大流行)化する可能性は
けっこうあるのではないか、と思う。


・・・

2009年4月24日、
WHO(世界保健機構)は、
次のような発表をした。


メキシコにおいて、3月下旬から現在までに、
豚インフルエンザ感染が疑われる患者が
800人、報告されている。

このうち、少なくとも
60人が死亡した。

ブタから人への感染だけでなく、
人から人への感染もあったことをメキシコ政府は確認した。

死亡した人々は、
20歳から45歳までの
若い成人に多かった。


注: 通常、インフルエンザで死亡するのは、
   小児か、高齢者である。
   若年成人が集中して死亡している事態は
   極めて異例。


アメリカでも、
同じ遺伝子型による、豚インフルエンザが流行し
7人が感染している。

アメリカでは、死亡例はない。


WHOは、緊急会議を開き
新型インフルエンザの
フェイズを、3から4に上げるか
検討するとのこと。


注:
フェイズ3とは、
動物から人への感染はあるが、
人から人への感染はないか、
または、あっても極めて限定的なもの。

フェイズ4とは、
人から人への感染はあるが、
小さな人の集団(クラスター)に
限局しているもの。

フェイズ5とは、
大きな集団(クラスター)への感染があるが、
ある地域に限局していること。

フェイズ6とは、
人から人への感染が、
地域を越えて(世界中へ)伝搬しており、
しかもそれが持続的で拡大傾向を持つこと。
(これを、パンデミック、という。)


英語版 (WHOの現在のフェイズ)
http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/phase/en/

日本語版 (国立感染症研究所の翻訳)
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/05pandemic/0511phase.html


・・・

普通に考えると、
メキシコでもアメリカでも
豚とまったく接触していない人が
豚インフルエンザになっているのだから、

豚から人への感染ではなく
人から人への感染が起こっている、
と考えるのが妥当。

さらに、
メキシコで起こっている数百人規模の感染は、
「小さいクラスター」
とは、いわないだろう。

(たしか、25人までを小さいクラスターと定義していたはずだ。)

だから、
純粋に医学的・公衆衛生学的に考えると
WHOは、
インフルエンザのフェイズを
フェイズ4(または5)に上げるべきだ、
ということになる。


しかし、
フェイズを4(または5)に上げると、
人が移動をすることが制限されるなど、
多大な影響を各国に与えるため、
「社会的・政治的」な要素を考えて
WHOは、
今、その判断に迷っているはずだ。

(注; 人の移動が制限される、ということは
    主に、国境を超えようとする人々に
    なんらかの制限がもうけられる可能性が高い。

    たとえば、
    成田空港で、発熱をしている人の
    監視と移動の制限が、すでに始まった。)


また
フェイズ4になった、ということは、
やがて、フェイズ6(パンデミック)が起こるのが
ほぼ時間の問題、になる可能性が高い、という側面もあるため、
社会不安をあおらないため、
より慎重にならざるを得ない。


・・・

WHOは、
4月25日、緊急会議を開いたが、
メキシコからの情報が、
まだ集まりきっていないため、
その情報収集と、その解析に
最低でも2、3日かかるとし、
その後に
なんらかの発表を行う予定だ。

(昨日のニュースなどで、
 WHOは、フェイズ4に上げなかった、
 という記事が流れていたが、
 まだ、情報収集がすんでいないので
 発表のしようがなかった、
 というのが、本当である。)


・・・

今回、豚インフルエンザは、
インフルエンザA型の中の、
H1N1型であることがわかっている。

これは、
これまで話題になってきた
新型インフルエンザになろうとしている
鳥インフルエンザの
H5N1型とは、異なるものである。

しかし、
アメリカの国立感染症センター(CDC)は
次のように言っている。

「今回の、豚インフルエンザは
 ブタ・トリ・ヒト、
 それぞれの特徴をもつ
 まったく新しい、これまでにないタイプのウィルスだ。

 このため、
 もしもパンデミックが起こった場合、
 ほとんどの人が、それに対する免疫(抗体)を持っていないため
 被害は甚大になるだろう。」


・・・

ブタ・トリ・ヒトの
インフルエンザの遺伝子が、まじってしまう理由は
以前のブログに書いた。


鳥インフルエンザ、世界的大流行の予兆 5,797字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51353678.html


簡単にいうと
ヒトインフルエンザ・ウィルスと
トリインフルエンザ・ウィルスの両方が
感染できる動物が、
ブタ、なのである。

で、
ブタの中で、同じ細胞に、それらのウィルスが感染すると
その細胞の中で
「遺伝子再集合」という現象を起こし、
まったく新しいウィルスが誕生することになる。

このため、
今回のような
ブタ・トリ・ヒトの特徴をもった
未知のインフルエンザが誕生したのだろう。


・・・

余談だが、
豚インフルエンザのことは、英語で
swine influenza
と言う。

鳥インフルエンザは、英語で
avian influenza

新型インフルエンザは、英語で
pandemic influenza
である。

ネットで記事を検索する時に
これらの単語が、必須となる。


・・・

いずれにしても、
数日以内に、WHOは
なんらかの発表をするだろう。

以下のウェブサイトを、要チェック!


・・・

豚インフルエンザに関する
基本的情報は、こちら。

世界保健機構(WHO)
http://www.who.int/csr/disease/swineflu/en/index.html

http://www.who.int/csr/don/2009_04_24/en/index.html

各国ごとの対応状況は、以下
http://www.who.int/csr/don/2009_04_24/en/index.html

アメリカ国立感染症センター(CDC)
http://www.cdc.gov/swineflu/investigation.htm

http://wwwn.cdc.gov/travel/contentSwineFluMexico.aspx

・・・


以下、みなさんが、ご自身で行っておくべきこと(参考まで)


個人でできる新型インフルエンザ対策その1 4507字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65232371.html

個人でできる新型インフルエンザ対策その2 3402字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65232637.html






半農、半会社員、半国際協力 3814字

.
「会社で人間関係に疲れたから
 ここへ来た。なんてやつはダメ。
 人間関係のない職場など、
 どこにも存在しないんだよ。」

「環境問題に関わる仕事がしたい、
 なんて甘いこと言ってるやつは、続かねーべさ」

・・・

最近は、Iターン(アイターン)などと言って、
自分の故郷(ふるさと)とは関係ない田舎(地方)へ行き、
農業や漁業、林業などに従事したい、という人が
増えている。

で、
農業・漁業・林業へ転職したいと考えている人への
ガイドブックのようなものを立ち読みしてみた。

そうしたら、
その内容は、国際協力をしたいと思っている人への
アドバイスにも使えるようなことが書いてあったので
以下に紹介しておく。


(以下の、それぞれの文章を、
 国際協力の場合に、置き換えて、考えてみて欲しい。)


・・・

農業就職アドバイザー: 田村与太郎(たむらよたろう)さん(仮名)

「人の言うことを、素直に聞けるかどうか、だね。
 自分の信念や情熱は、もちろん重要だが、
 それだけに固執して
 人に心を開かないようでは、やっていけない。」

「人と接するのが苦手だから農業がいい、
 と考えるのは、大きな間違い。
 農業も含め、人と付き合わずにすむ職場は
 存在しない。」

「よくあるのは、
 思うように、就農先や農地が見つからないことを
 他人のせいにするケース。」

「持っている車を、普通乗用車ではなく、
 軽トラ(軽トラック)に変えるなどの、態度、も重要。
 周囲の人に、わかりやすく、
 自分のやる気を見せることも必要。
 すると、協力者が、まわりに現れやすい。」

「体力がないことを心配する人もいるが、
 体力は、やっているうちについてくる。
 精神的な、忍耐力のほうが重要。」

「親や家族と、きちんと話し合いをしているかどうか
 も大切。
 特に妻(夫)との関係が鍵になる。」

「夢を負う夫(妻)についてきて、いざ始めてみたところ、
 体と心に無理がたたり、就農5年目で
 妻(夫)が病気になってしまった、というケースもある。
 これも多い。」

「ある段階で、自分の農地が欲しくなり、
 また、いい機械などが欲しくて設備投資をしたくなる。
 すると、リスクが高くなる。
 例えば、
 ある野菜の大規模な栽培をするために
 広い農地を購入し、設備投資を大量に行った、とする。
 そうしたら、
 同年のうちに、その野菜の輸入が解禁になり、
 (途上国から安い野菜が入ってくるようになり)
 価格が暴落してしまい、
 設備投資のためにした借金が、返せなくなってしまった、
 なんてことも、よくある。
 このように、「リスク分散」の方策も
 考えておくことが重要。」

「だから、農業は、専業では難しく、
 半農半商、半農半会社員、などの、
 収入をいくつかに分ける生き方がいいと思う。」

「有機農業をしたい、と言っている人が、
 虫が多いから、嫌になった、
 と言うのでは、お話にならない(笑)。
 農業を始めたら、
 近くに、コンビニも、銀行もないのは、
 当たり前。
 理想と現実のギャップを
 事前に、まったく想像できない人が多い。」

「なぜ、どんな農業をやりたいのか、を
 明確にしておく必要がある。
 現在の生活からの逃避だったら、やめたほうがいい。
 自然の中で暮らしたいなら、
 農業でなくてもいいかもしれない。」

「どこかの社員になるなら、
 なにかに特化した能力があればいいが、
 自分で独立するとなると、
 技術以外に、経済力や経営のノウハウ、
 そして精神的な強さも必要になる。」

「農業をやるにあたって、もっとも重要な能力は
 継続する能力だ。」


・・・

林業就職アドバイザー: 林原刈兵衛(はやしばらかるべえ)さん(仮名)

「いくらやる気があっても、
 環境保護などへの思いいれが強い人は、採用しない。
 なぜなら、例えば、
 なぜ広葉樹を植えないのか?
 などと、反発してくる人もいるが、
 そこまでいうなら、
 林業のことを、もっとしっかり勉強せい!、と言いたい。」

 (注: 住宅の建材は、ほとんどが、杉などの針葉樹。)

「地球温暖化の役に立ちたい、と
 大上段に構えている人は、この業界には向かない。」


・・・

漁業就職アドバイザー: 大平洋二郎(おおひらようじろう)さん(仮名)

「行けばなんとかなる、の一心では、続かない。」

「船頭(せんどう)は、60歳代以上の高齢者が多く、
 田舎の、方言、がきつい。
 だから、(船の上で、声をかけられても)
 何を言っているか、わからない。
 その言葉で、怒鳴られる。
 理解できないので、もたもたしていると、
 余計、怒られる。
 すると、萎縮してしまい、
 気が付けば自分の殻(から)に閉じ困ってしまう・・
 という悪循環が始まる。」

「借金しないと漁師は、できない、という人もある。
 それくらい、 最初にお金がかかる。
 具体的には、
 漁船、漁具、運転資金、漁協の組合に入るためのお金、など、
 最低でも、数百万円以上かかる。
 組合や銀行など、最初に
 お金を貸してくれるところがあるかどうか?」 

「昨年(2008年)などは、原油高騰で、漁船の燃料の費用が高くなり
 漁にでればでるほど、(漁船の)燃費がかさみ、赤字になってしまう・・
 というとんでもない事態に。」

「憧(あこが)れの宮古島にきてみたら、
 離党特有の流通事情で
 魚価(魚の値段)が低く、売上が伸びない。
 さらに、
 冬場は海が荒れて、漁(りょう)ができない。
 だから、
 最初の借金を返すどころか、
 漁業だけでは、自分一人の生計を立てることすら難しい。
 結婚して家庭をもつなど、夢のまた夢。」

「もっとも重要なことは、
 自分と、自分の家族が生活していくことを想定し、
 周辺の環境について知ること、も大切。
 入居できる住居があるのか?
 奥さん(旦那さん)が働く職場はあるか?
 子どもの幼稚園、学校はあるか?
 自分や家族が病気になったときの病院は?
 商業施設や娯楽施設がまわりにあるか?
 こうしたことも、確認しておいたほうがいいでしょう。」

「リタイアの最大の理由は、
 仕事自体の、つらさではなく、
 地域の同業者(漁業者)との人間関係が悪化し、
 精神的なストレスがたまってしまった、というケースです。」


・・・

以上である。

まあ、ほとんどのコメントが
国際協力の場合にも、多かれ少なかれ、合致すると思う。

まとめるとすれば、

1.人間関係をこなすコミュニケーション能力が何よりも重要。
  これは、どこの職場でも、同じ。
  海外にいけば、さらに重要になる。
  このため私は
  大学卒業後、いきなり国際協力を始めるのではなく、
  まず、日本の企業などに入り、
  日本の社会人としての、常識的なコミュニケーション能力を
  身に付けることを、お勧めしている。

2.日本の社会が合わないから、海外にいく、などという
  甘い考えでは、絶対に成功しない。

3.国際協力師になるために、まず、
  大学院に行くにしても、NGOのインターンで海外に行くにしても、
  まずは、お金が必要。
  その予算をどうするか?

 注: 青年海外協力隊のような、経済的に恵まれるケースは稀。
    協力隊に合格する倍率は5倍以上。
    よって、8割以上の人は、NGOで始めることが多い。

3.家族の理解がないと、継続していくことは難しい。
  親、妻(夫)、恋人など。

4.理想としているイメージと、実際の職場は、大きく異なる。
  また、
  そういう状況に直面した時に、
  現場でやりたいことができないことなどを、
  他人のせいにするようでは、もうダメ。

  例えば、青年海外協力隊で派遣された国(途上国)で
  事前に、日本にいる時に言われていた(自分の)業務内容と、
  (行ってみたら)
  その地域の現状も仕事の内容も、まるで違う、
  などということは、ざらにある。
  (半分以上のケースで起こっている。)

  そうした時に、他人や組織のせいにせず、
  与えられた2年という任期の中で、
  自分になにができるかを、一から考えだす
  プロジェクト提起と、その管理(マネージメント)の能力が必要。
  (事前に、私の本やブログなどを読み、徹底的に勉強しておくこと。)

5.リスク分散の考え方も、重要。
  国際協力を行いたい場合、最初のネックになるのが、
  その「有給の職場」が少ないこと。

  国連職員への登竜門、AE/JPO試験の倍率は、15倍ぐらい。
  JICA職員の倍率も、20倍ぐらい。
  (だから、この二つには、なりたくてもなれない可能性のほうが高い。)

  開発コンサルタント会社は、不況で、むしろリストラ傾向。
  NGO職員は、給料がゼロか、あっても10万円以下。

  よって、国際協力を行いたい場合、
  将来の就職先として、
  国連系(世銀なども含む)と、JICA系(開発コンサルも含む)だけを
  ターゲットにするのは、「危険(リスク)」が高い。

  例えば、月曜から金曜まで、普通の会社員として働き、
  土日や平日の夜を、NGOなどで国際協力活動を行う、
  という選択肢も、頭の中においておいた方が、現実的だ。

  また、
  そもそも、普通の会社に就職するにしても、

  企業の社会的責任(CSR)をがんばっている企業、
  環境問題をがんばっている企業、
  など、
  その企業で働くことが、社会や世界に貢献できるケースもある。

  地方自治体や国家公務員(官僚)になり、
  その上で、社会に貢献できることはないか、なども選択肢の一つ。
 
  まずは、
  自分の地域社会において
  自分のため、社会のために、どういう選択(行動)をすれば良いかを
  考えてみることが、最も現実的であり、
  かつ、あなた自身のためにもなると思う。
 
 
  以上を踏まえた上で、
  もう一度、上の、農業・漁業・林業のアドバイザーの言(げん)を
  読んでみて欲しい。

  彼らの言っていることは、すべて、
  国際協力をやりたい、あなたのために、あるような言葉だからだ。




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