山本敏晴のブログ

1965年生、仙台出身。医師・写真家・NPO法人宇宙船地球号理事長。元国境なき医師団日本理事。 峭餾欟力師」という概念を提唱。企業の社会的責任(CSR)を推進。世界中で大切なものの「お絵描きイベント」を実施。著書に『世界で一番いのちの短い国』『アフガニスタンに住む彼女からあなたへ』 『国際協力師になるために』、『あなたのたいせつなものはなんですか?』『世界と恋するおしごと』『地球温暖化 しずみゆく楽園ツバル』『「国際協力」をやってみませんか?』など

2009年07月

朝鮮半島の核問題3.米国側の視点a、Wの悲劇 7072字

.
このブログは、続きものですので、
まずは以下をお読み下さい。

朝鮮半島の核問題1.日本側の視点 9963字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65275270.html

朝鮮半島の核問題2.朝鮮側の視点A、強制連行 6349字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65277261.html

朝鮮半島の核問題2.朝鮮側の視点B、核拡散防止条約 7713字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65277651.html

朝鮮半島の核問題2.朝鮮側の視点c、核持ち込み 8256字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65277989.html


さて今回は、レアメタルの話である。


・・・
・・・

レアメタルとは何かというと
鉄などと異なり、資源の量が少ない、
「希少な金属」のことである。

対義語になるのが、
ベースメタル、という言葉になり、
これにあたる金属が、
鉄、銅、鉛、錫(スズ)、亜鉛、
アルミニウム(ボーキサイト)など
多数ある。

で、
レアメタルにあたる金属は、
31種類と数えられており、

ニッケル、クロム、コバルト、チタン、
タングステン、などがある。

(それぞれ、携帯電話やパソコンのような
 IT機器の部品として、必須の金属である。)

その中でも今回は、
タングステンの話をしようと思う。


さて、この
タングステン ( Tungsten ) だが、
元素記号は、「W」と書く。

なんでかというと、
ドイツ語では、タングステンのことを
Wolfram 
(狼のようにむさぼり喰いつくすもの)
と表記するからだ。


なぜ、このタングステンが、
「狼」なのか?


・・・

タングステンは、最も融点が高い金属のため、
一般家庭では、電球のフィラメントとして
使われる。
電気によって発熱し、発光する部分だ。


次に有名なのが、
非常に硬度が高いため、
金属製品の切削機械に使用されている。

具体的には、ドリルなどの先端に用いられ、
車などの鉄鋼製品を製造するために
必須となっている。


3番目に登場するのが、
軍事目的での使用である。

非常に重く、硬い金属であるため、
対戦車・対戦艦用の弾丸である、
徹甲弾に用いられている。

戦車の分厚い(ぶあつい)装甲でも
このタングステン製の弾丸を使えば、
貫通できる、とされている。


戦車の装甲を、
「むさぼり喰いやぶる」
狼の性質が、ここにある。


・・・

このタングステンの世界分布には
ムラがあり、なんとその埋蔵量の
8割前後が、中国周辺にあると言われている。

このため、アメリカも日本も
この中国からタングステンを輸入していた。

その中国周辺にある国の一つが、
朝鮮である。


実は、朝鮮は、
「世界の鉱物標本室」
と言われるほど、様々な鉱物資源に恵まれており、
有用な鉱物だけで200種以上あると
言われている。

(大陸プレートと、海洋プレートの移動による
 地殻変動の影響で、
 様々な鉱物が生成しやすいらしい。)

タングステンだけでなく、
ウラン、コバルト、マンガン、ニッケル、チタン
など、豊富な資源が確認されている。

例えば、朝鮮のウランの埋蔵量は2600万トン
だそうだ。

参考:
日本原子力産業会議
http://www.jaif.or.jp/

・・・

さて、話を中国にいったん戻す。

中国は、このように、もともとは、
タングステンを始めとするレアメタルの
最大の輸出国の一つであった。

ところが、
最近中国は、経済的な急成長をしたため、
自国内でそのほとんどを消費してしまうように
なった。

このため、
2005年、タングステンは価格が高騰し、
最近では、
(中国からの)輸出が制限されるようになった。

それどころが、
中国はそれでも資源が足りなくなり、
ついに、
レアメタルの輸入を始めるようになったのだ。

逆にいえば、今後、
タングステンを始めとするレアメタルを
国外に出してくれなくなってしまう
可能性が高い。

このため、
レアメタルの欲しい日本もアメリカも
困ってしまった。

レアメタルは、
パソコンを始めとする電子機器の中核部分や
車など鉄鋼製品の切削などに
必要不可欠な資源であるからだ。


・・・

ここから、ちょっと昔の話に入る。


1940年ごろ、朝鮮に
小林鉱山という株式会社があった。

(まだ、朝鮮半島に、
 日本が、朝鮮総督府をおき、
 支配していた頃の話である。)

この会社は、
朝鮮半島のタングステン生産量の7割をしめ、
採掘から精製までを一手に引き受けていたため、
「小林百年鉱山」
と呼ばれ、名声(?)を得ていた。

この1940年代ごろから
タングステンは、
その重く、硬い性質から、
対戦車、対戦艦の弾として
その装甲を貫通して破壊する
「徹甲弾」の原料として使われるようになった。

この頃、すなわち戦前に行われた調査では
朝鮮のタングステンの埋蔵量は、
世界最大であった、という。

よって日本は、その鉱山開発を進めていたのだ。


・・・

1945年、日本は敗戦し、
(その支配が失われたことで)
混乱する朝鮮半島において、二つの国が誕生する。
朝鮮と、韓国である。

また、
1949年、中国において政変があり、
国民党が追い出されて(台湾へいき)、
中国共産党が政権をとった。

このため、
中国からのタングステンの輸出先は、
アメリカからソ連に変わった。

(アメリカには、タングステンが来なくなった。)

で、
(このタイミングで)
1950年、朝鮮戦争が勃発する。

最初、(北)朝鮮側が圧倒的に優勢だったため、
朝鮮半島にあった全てのタングステン鉱山は、
朝鮮の手におちてしまった。

(それまでは、韓国側にあった鉱山から
 アメリカはタングステンの供給を
 受けていた。)

アメリカは、困った。

資本主義勢力である
韓国を応援しなければならないのに、
「弾(たま)」を作れないのである。

(これを一回目の「タングステン危機」という。)

困ったあげく、
タングステンをなんとしても入手するための計画、
通称「W計画」をアメリカは発動する。

(Wは、タングステンの元素記号である。)


・・・

話がちょっと前後するが、
1945年の終戦時、
いわゆる「A級戦犯」の容疑として、
巣鴨プリズンに投獄された人々の中に、
笹川良一、岸信介、児玉誉士夫(こだまよしお)
などがいた。

児玉は、戦時中に、
中国や朝鮮でタングステンなどを大量に入手し、
それを売りさばいて巨万の富を得る、という
活動をしていた。

戦犯の疑い、であったため、その調書から、
このことを知った米軍は、
W計画にこれを利用できないか、と考えた。

児玉は、中国や朝鮮に、
総計で、500トン以上のタングステンを
隠しもっていることがわかり、
ここでアメリカは、児玉と取引をした。

この詳細は、闇の中に葬(ほうむ)られているが、
ともかく児玉は釈放され、その代りに
大量のタングステンをアメリカに売った。

売ったお金は、当時の
(資本主義の考え方をしている)自由党の
創設資金の一部になった。


余談だが、
当時、ソ連は、各国に共産主義勢力を増やすため、
いろいろな国の共産党や社会党に、
政治資金をばらまいていた。
(日本でも、行われた。)

これに対抗するため、
アメリカは、日本の自由党に
政治資金を提供するという
(W計画とあわせて)一石二鳥の
戦略をとったことになる。

(ちなみに、この経緯などもあり、
 児玉は、日本の政財界の黒幕となり、
 右翼の大物、となっていった。)


こうして、
アメリカは、一回目のタングステン危機を
乗り切ったのである。


・・・

1950年代に入ると、
アメリカは、入手の難しいタングステンに代えて、
同程度の強度を有する「劣化ウラン」を使用した
「徹甲弾」を開発してゆく。

もともとは、戦車を主力としていた(北)朝鮮に
対抗するために作りだされたものだった。

しかし、
劣化ウラン弾が、実際に実戦投入されたのは
だいぶ後のことになる。

1991年、湾岸戦争、
1995年、ボスニア紛争、
1996年、コソボ紛争、
2001年、アフガニスタン空爆、
2003年、イラク戦争、
において、
劣化ウラン弾が、使用された。

その威力は絶大で、
戦車の装甲を貫通した弾は、
戦車の内部で爆発し、内部を焼きつくし、
ついでに
周囲に、放射能を撒き散らした。

知らない人もいるかと思うので解説すると、
劣化ウランは、「核のゴミ」と言われており、
核兵器などを作るための「濃縮ウラン」
を作る際にできた、ゴミである。

(ゴミなので、ほぼ無料で入手できるのが、
 タングステンとの違いだ。)

劣化ウランの放射能は、濃縮ウランよりは低いが、
それでも放射能をまとっており、
実戦で使われると、その周囲が放射能で汚染される。

具体的には、劣化ウラン弾は、
「湾岸戦争症候群」
という病気を起こした。

上述の戦争に参加した兵士や戦争被害者において、
記憶障害・関節などの疼痛・脱毛などの症状があいついで生じた。
子どもに先天異常が起こったとする報告もある。

ともかく、
この「湾岸戦争症候群」がマスコミの注目をあつめ
世界的な批判を受けるようになったため、
再び、アメリカ軍は、
(劣化ウランをやめて)
なんとかタングステンを入手しよう、
という動きになりつつある。


・・・

ここにおいて、アメリカは、資源探査衛星において
世界中のタングステンの埋蔵量を探った結果、
なんと潜在的には、
(北)朝鮮にその半分が眠っているという
報告がきた。

タングステンだけでなく、
マグネサイト、モリブデンなども
大量にあるという。

このことは、アメリカの経済界にも報告がいき、
以後、
朝鮮がタングステンなどのレアメタル等の
資源大国であることは、
ウォールストリート(アメリカ経済界)の
常識となっていった。

そしてそれは、世界中に広がっていく。
もちろん、ヨーロッパにも。


・・・

2000年ごろから、
イギリスの投資会社が
朝鮮の(レアメタルを始めとする)鉱物資源の開発に対し、
積極的な投資をしようとした。

この投資会社たちからの意向にイギリス政府が応じ、
2001年、
イギリスは朝鮮と国交を回復し、
平壌(ぴょんやん)に大使館を建設した。

同年から、イギリスの投資会社が、
朝鮮への投資を検討する。
石油大手の、BP社や、シェル社、
その他、投資のコンサルタント会社などが
調査チームを作り、朝鮮を訪れている。

2005年からは
中国を介して、
イギリスの投資会社(アングローシノ・キャピタル)は
朝鮮の鉱山を買い占める手続きをした。

このためのファンドを
「朝鮮開発投資ファンド」という。
5000万ドル規模とのこと。
http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~shanghai/newsletter.html/081020news236.html


この、イギリス系のファンドだけでなく、
その他、世界各国のファンドが、
この朝鮮の資源を狙った動き、をみせている。

「リスクは高いが、儲けも大きいはずだ」
すなわち、
ハイ・リスク、ハイ・リターン
を狙う場合、ここも投資の対象になるのだという。

・・・

もう一つの側面は、
アメリカの(軍事的な)仮想敵国は
現在、ロシア(旧ソ連)ではなく、
中国にかわっている。

ところが、
軍需産業に必要なレアメタルのほとんどを
アメリカは、中国から輸入している。

よって、
アメリカは、露骨に中国と敵対できない。

もしも、
将来的に中国と軍事衝突をする可能性が
本当にあるのならば、
その時までにアメリカは、
中国に代わる、レアメタルの資源国を
「確保」する必要がある。

で、
その候補となるのが、
朝鮮という国、というわけだ。


(北)朝鮮という国の軍事的脅威は、
中国のそれと比べた場合、
微々たるものである。

軍事費をとっても、
核兵器のもっている数をとっても、
兵隊の数をとっても、
比較にならない。

よって、もし、
対中国に照準を合わせるならば、
朝鮮を懐柔し、
(仮に、核開発にめをつぶってでも)
外交関係を樹立し、
レアメタルの確保に動いたほうが、
「アメリカの世界戦略」
としては正しい、と言える可能性がある。


・・・

で、
実際、それは、行われたようなのである。

アメリカの前ブッシュ政権において、
最初ブッシュは、
朝鮮に対し強行姿勢をとっていたにも関わらず、

その政権の後半において、朝鮮に対し、
1.「テロ指定国家」を解除し、
2.「金融制裁」を解除する、
など、朝鮮を懐柔しようとする動きをみせていた。

以前の方針とは、逆の動きであったため、
やや理解に苦しむ政策だったのだが、
どうも、
アメリカ経済界からの、
なんらかの進言があったのではないか、
と言われている。

「朝鮮の資源が、なんとしても欲しい」
と。


・・・

背景としては、
朝鮮が、あまりにも(国際社会から)孤立し、
また経済的にボロボロになっていくのを見ていた中国は、

このままでは朝鮮の(共産主義)政権が倒れ、
中国にも
(共産主義体制が崩壊するかもしれないという)
悪影響が及ぶのを恐れて、
なんとか、その体制を維持させようとした。

で、
中国は、近年、
政治は、共産主義のままでありながら、
経済は、市場経済を導入し、
経済的には発展してゆく、という政策をとった。
で、一応、
上海などの例をみる限り、それは成功している。

中国は、同様の製作を朝鮮にもとらせようとし、
金正日(キムジョンイル)に話をした。

当初、
金正日はそれ(資本主義的政策の取り入れ)を嫌ったが、
いろいろ考えた末、
基本的に、その意見をいれ、
朝鮮の中に、「経済特区」を作った。
これが、1991年のことである。

ところが、その後、
1997年に、「アジア通貨危機」というのが起こり、
朝鮮の「経済特区」たちも、被害を受ける。
これで、金正日は、またまた市場経済に
懐疑的になり、
翌年、「経済特区」をいったん、止める。

しかし、韓国との「経済格差の広がり」が頭痛の種である
金正日は、
2000年、再び中国やロシアと相談し、
結局、また「経済特区」を始めた。

で、
このタイミングで、
上述のように、イギリスが入ってきたのである。

・・・

「資源ナショナリズム」についても
簡単に触れておく。

1962年、国連において、
「天然資源に対する恒久主権の権利」
が宣言された。

要するに、資源は、その国のためのものだ、
ということが確認された。

1973年の「オイル・ショック」で
アラブ諸国が石油の価格を吊り上げたのは有名。

2000年、ロシア大統領となったプーチンは、
自国内にある石油や天然ガスなどの資源を
徹底的に国営化し、外国の民間企業を追いだす
などして、いわゆる「ロシア流」の
「資源ナショナリズム」を実践する。
で、
これが成功し、ソ連崩壊後、
弱体化していたロシアを、
資源大国として復興させた。
この
プーチンの戦略は、あまりに見事だったので
後日、詳細に紹介する。

で、
この「ロシアの成功」に触発されたか、
中国でも、自国内に大量にあり、
また、今のところ、(世界で)独占状態にある
レアメタルをもちいて、ロシア流の
「資源ナショナリズム」の考え方を導入し、
自国の経済を発展させ、かつ、
世界における発言権を拡張し、
外交的に有利に立ちまわろうと思うようになった
のではないか、と思う。


・・・

で、ようやく、最初の段落に戻ったわけだ。

中国が、レアメタルの価格を吊り上げたり、
あるいは、もう海外に出さない、などと
言いだした場合、最も困るのは、
軍事大国である、アメリカである。

中国は、
2005年にタングステン価格を
高騰させただけでなく、
2006年、2007年には、
タングステンを含むレアメタの
輸出税を導入したり、それを増額したりしている。

そしたら最近は、ついに、
もう、外国に出さない、とまで言っていた。


そこで、ついにアメリカは、
2009年6月、
中国がレアメタルを含むいろいろな鉱物を
不当に輸出制限しているとして
世界貿易機関(WTO)に提訴した。


・・・

そんな中で開催されたのが、
今月(2009年7月)下旬に開催された
アメリカと中国との二国間協議
「米中戦略・経済対話(SED)」
であった。

上述してきたような理由で、
当面、アメリカは、中国に敵対できない。
なんとか仲良くして、
レアメタルを恵んでもらわないといけない。

(余談だが、アメリカの国債の保有高で、
 世界最大なのは、現在、中国である。
 昔は、日本だったのだが、昨秋、追い越された。)


このため、アメリカのオバマ大統領は、
今回の会議において、
「米中の2国間関係が21世紀を形作る。」とし、
「世界で最も重要な二国間関係である。」と明言し、
さらに、
(中国の古代の思想家である)
孟子の言葉を引用するなどして、中国のご機嫌をとった。


一方で、そうは言っても、
中国からのレアメタル供給がうまくいく保障もないので、
(中国が順調に経済発展すると、
 本当に自国で全部消費するようになってしまう可能性もあるので)
朝鮮とも、微妙な関係を続けないといけないわけで、
それにも配慮しないといけない。

アメリカとしては、頭が痛い問題のはずだ。


・・・

最後になるが、
環境問題の側面も影響している。

地球温暖化がブーム(?)になって依頼、
各国の政府も一般の民衆も
「環境問題」に敏感になっている。

昔、銃弾といえば、鉛(なまり)で作っていた。
ところが鉛は、
かなりはっきりと、
人体に害があることがわかっている。

人体だけではなく、
自然界においても、いろいろな生物に
様々な毒性を発揮する。

タングステンも重金属だが、
その毒性は、鉛ほどではない。

このこともあって、
銃弾だけではなく、
例えば、釣りに使う「おもり」(シンカー)
なども、鉛からタングステンに変更する
企業が増えてきた。

こうした世界的な流れの中で、
タングステンは、ますますその需要をまし、
不足していくこととなった。


・・・

「W計画」第二弾は、
すでにアメリカで発動しており、
(タングステン等の取得のために)
軍産複合体がいろいろな手をうっているが、
どうも芳しい(かんばしい)成果は
あがっていないようだ。


どうやら、タングステンという名の
「狼」が噛みついたのは、
アメリカという超大国の
喉元(のどもと)なのかもしれない。



長崎大学_公衆衛生学修士MPH説明会

.
プロの国際協力師として
国際保健の分野を目指す場合、
最終的に必要になるものの一つが、
大学院修士。

普通は、
公衆衛生学修士を取得する。
英語では、
MPH : Master of Public Health
という。

通常は、欧米の大学院で取得するのだが、
最近、長崎大学でも取得できるようになったので
紹介しておく。


なお、
公衆衛生学修士を取得し、
国際保健を目指そうという人は、
医師や看護師などの医療従事者だけに
限らない。

少なくとも欧米の大学院では、
MPHを取得しようとする人の
約半数が、医療系ではない人たちだ。

法律(人権等)とか、政策提言とか、
開発経済学などを専門とする人たちだ。

理由は、
MPHを取得した場合、
その主な就職先は、
国連などの国際機関や
JICAなどの政府機関になるため、
実際に
自分で(直接的な)医療活動をすることは
少なく、
途上国政府とのコーディネート業務が
その主な仕事となる。

よって、自分自身が医師などである
必要は、ない。

(途上国にいる医師や看護師を使って、
 どのような医療政策を提言していくか、
 また、その調整などが仕事になる。)

と、いうわけで、
医療系でない人も、
世界の人々の「命を救う」仕事に
興味がある人は、
一度、調べてみるのもいいのでは
ないだろうか。

・・・

入試予定日。

長崎大学大学院・国際健康開発研究科

平成21年11月28日(土)

2年間の修士課程で
公衆衛生学修士(MPH)が取得できる。

・・・

進学説明会

長崎会場
8月29日(土)13時
長崎大学・熱帯医学研究所・大会議室

東京会場
9月5日(土)13時
キャンパス・イノベーション・センター東京
(JR山手線・田町駅・徒歩1分)

神戸海上
9月12日(土)13時
JICA兵庫・ブリーフィング室

・・・

申し込み

mph-adm@tm.nagasaki-u.ac.jp
長崎大学
国際健康開発研究科・事務室までメール

http://www.tm.nagasaki-u.ac.jp/mph/





東京・代々木にて山本の2時間の講演 2009/07/19/

.
お知らせです。

YMSという名前の予備校で、
毎年山本は講演を行っておりますが、
今年は7月19日(日)の午後3時から5時です。

どなたでも入れる一般公開ですが、事前に要予約。
03-3370-0410 YMS 高野まで。
無料です。


・・・・・・・・・・

会 期:2008年7月19日(日) 15時00分より17時00分まで

会 場 YMS (代々木メディカルスクール、代々木メディカル進学舎)
〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-37-14
http://www.yms.ne.jp/guide/map.html

主 催 YMS (代々木メディカルスクール、代々木メディカル進学舎)
http://www.yms.ne.jp/

お問い合せ TEL 03-3370-0410 YMS事務部 高野

公 開 一般公開、しかし事前に要予約
    入場無料
    山本の書籍販売あり、サイン会あり

・・・・・・・・・・


備考:医学部に入ろうとする高校生および予備校生が
   通ってくる予備校での講演のため、
   将来、医師になろうとする人向けの
   内容を、最初と最後に付け加えます。

   が、それ以外は、
   山本が通常行っている
   大人(高校生以上)向けの内容となります。

   それは、以下です。


・・・講演の内容・・・

1.今日の話の流れ

   世界で起きている問題は、実は日本の豊かな生活が原因。
   それを知った上で、私たちに何ができるか、という流れ。

2.世界で一番いのちの短い国での医療活動

   西アフリカ・シエラレオネ共和国という国は、
   平均寿命34歳(2000年)。そこで行った医療活動。

3.アフガニスタン紛争と本当の国際協力

   アフガニスタンで戦争が起きているのは実は私たちのせい?
   それを知った上で、緻密な計画のもとに行う本当の国際協力。

4.カンボジアの子どもたちが描く大切なもの

   あなたの大切なものは何ですか?それを絵に描いて下さい。
   そしたら次に、あなたの隣りにいる人の絵もみてみて下さい。

5.地球温暖化で沈むといわれるツバルの真実

   地球温暖化によって海面が上昇し、沈んでゆく島国たちがある。
   しかし、ツバルの問題はそれだけではない。あらゆる環境問題が勃発。

6.世界の人口増加問題と資源の枯渇

   現在の世界の最大の問題の一つが、世界人口の急激な増加。
   少子化してゆく日本では報道されない、地球の運命。

7.日本の消費者または会社員としてできること

   消費者としてできることは、電気・水・ゴミ・買い物・目を向ける。
   会社員としてできるのが、企業の社会的責任(CSR)。

8.世界にいき、国際協力師となって活動すること

   英語力、大学院修士、2年間の海外勤務経験。そして国連JPO試験へ。
   大学時代はスタディーツアーへ。青年海外協力隊が登竜門。

9.まとめ

   国際協力師・企業の社会的責任(CSR)・賢い消費者となる。
   この三つの方法で、あなたは今日から、世界に貢献できる。


・・・・・・・・・・


(質問時間は、あるかないか、不明)

(最後に、書籍販売とサイン会、等)
(小学館と白水社から2冊ずつ)



販売予定書籍

小学館
「世界と恋するおしごと」
「ルーマニア どこからきてどこへいくの」

白水社
「世界で一番いのちの短い国」
「国際協力師になるために」



朝鮮半島の核問題2.朝鮮側の視点c、核持ち込み 8256字

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このブログは、続きものですので、
まずは以下をお読み下さい。

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朝鮮半島の核問題2.朝鮮側の視点A、強制連行 6349字
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朝鮮半島の核問題2.朝鮮側の視点B、核拡散防止条約 7713字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65277651.html


で、
今回の内容は、日本への核持ち込み、について。


・・・
・・・

歴史その1・日本の敗戦

1939年9月1日から1945年9月2日まで
連合国と枢軸国による第二次世界大戦が
行われた。

日本は、
1941年12月8日から1945年9月2日
まで
太平洋戦争として
、枢軸国側で戦い、
敗戦する。

8月15日の正午、天皇陛下によるラジオ放送で
ポツダム宣言の受諾(無条件降伏)を表明し、

9月2日に、
アメリカの戦艦ミズーリの船上で、
日本政府の重光葵(しげみつまもる)外務大臣が、
降伏文書に調印をした。

(これにより、
 日本によって支配されていた朝鮮半島は、
 解放されることになる。)


が、この前に、起こったことがある。


1945年7月17日(まだ終戦の前)に
ドイツの、ベルリン近郊のポツダムにおいて、

アメリカ大統領のトルーマンと、
イギリスのチャーチル首相と、
中国の蒋介石(しょう・かいせき)主席

が、戦後の日本の処理について相談をした。
(これを、ポツダム会談、という。)

その時は、
朝鮮半島は、一つの国として(統一国家として)
独立させよう、という話だった。


しかし、
これを覆した(くつがえした)のは、
日本に対する「ソ連の裏切り」だった。

(戦時中、生きていた高齢の方々には有名な話だが、
 若い人は知らないかもしれないので、
 是非、覚えてほしい。)


まず、この頃、アメリカは、
日本での原爆の使用をトルーマン大統領が決定し、
8月6日、実際に広島へ原子爆弾を投下した。


どっかーん!


アメリカが日本での原爆の使用を決め、
かつ、
アメリカの原爆が本物で、
本当にものすごい効果がある、
ということは、世界を震撼(しんかん)させた。

日本の敗戦が濃厚となった状況の中で、
ソ連は、
(日本を攻めないという約束の
 「日ソ中立条約」を破り)
裏切って
8月8日、日本への宣戦布告を行い、
翌8月9日、
(当時、日本が支配していた)満州国(現、中国)
および朝鮮半島へ攻め込んだ。


どどどどどっ!


要するに、ソ連としては、
このタイミングで(勝利が決定的な)連合国側につけば、
戦後処理で、いろいろ美味しい思いができる、と
考えたからであろう。

(非常に汚い考え方だ、と言ってよいかと思う。)

(また、この年の2月に「ヤルタ協定」という
 アメリカ、ソ連、イギリスの間での、
 この「裏切り」の密約があったようだ。)


ソ連を信用していた(満州などに駐留していた)日本軍は、
いきなりの裏切りと侵攻に壊滅し、敗走する。


しかも、この同じ日(8月9日)、
とどめとばかりに、
アメリカは、長崎への原爆投下を行った。


ずっごーーん!


たまらず、
8月15日、日本の天皇陛下は、敗北宣言をする。


「・・堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍び・・」

「朕(ちん)は・・共同宣言(ポツダム宣言)を受諾する・・」


と、いうのが、日本の敗戦の、
最後の(直接的な)理由だった。

このため、戦時中、旧日本軍として戦った多くの人は、
このソ連の裏切りを許さず、今だにソ連(ロシア)が
嫌いな人が多い。


・・・

歴史その2・朝鮮半島の分断

この8月15日に、
日本は無条件降伏の意思を表明したのだが、
実は、
(中国や朝鮮半島のある)大陸では、
まだ戦争をやっていた。

8月25日まで、
(終戦したことなど、まったくかまわず)
ソ連軍は南下を続け、朝鮮半島の半ば、
北緯38度線付近まで攻め込んだところで
ようやく一度、歩みを止める。


本当は、
7月17日の、アメリカ、イギリス、中国の
ポツダム会談の時には
朝鮮半島を一つの国として独立させるはずだったのだが、

既に、
朝鮮半島に侵攻したソ連は、
それでは納得しなかった。

(朝鮮半島のすべてをソ連の領土にしたかった。)

しかたがないのでアメリカのトルーマン大統領は、
北緯38度線を境として、

それより北は、ソ連が日本軍の武装解除をし、
それより南は、アメリカが行う、
という提案をした。

ソ連は、最初これを拒否しようとしたが、
このタイミングでアメリカと戦争をするのは
まずいと思い、
この提案を受け入れた。

(ソ連が、原爆の開発に成功するのは、
 1949年で、この年の4年後。
 まだ原爆をもっていないソ連は、
 既に原爆をもっているアメリカと
 正面きった戦争をおこせなかった。)


ともかく、これが
朝鮮半島が、分断された
最初の理由だった。

(ちなみに、日本も、
 朝鮮半島の南半分と同様に、
 アメリカが武装解除した。)


・・・

歴史その3・韓国と朝鮮の成立

分断された後、
非常にややこしい経緯があり(後日、詳述)、

結局、
1947年から1948年にかけて、

国連(当時は、アメリカとほぼ同義)に支持された
「大韓民国」(韓国)と、

ソ連に支持された
「朝鮮民主主義人民共和国」(朝鮮)

が、誕生する。


韓国の大統領は、李承晩(い・すんまん)。

朝鮮の首相は、金日成(きむ・いるそん)。

この二人は、しばらくの間、
ライバル関係となる。

(どちらも、朝鮮半島の統一をめざした。)


・・・

歴史その4・中国の共産主義化


この頃、中国に大きな政治変化があった。

1927年頃から、
アメリカから支援を受ける国民党と、
ソ連から支援を受ける中国共産党との間で、
内戦が起きていたのだが、

1949年、
結局、中国共産党が勝利して、
中国の名前が、
中華民国から、中華人民共和国に代わった。

そして、中国に
共産党による一党独裁政権が誕生する。

(この独裁政権は、現在も続いている。)

(国民党は、台湾に逃げた。)


・・・

歴史その5・朝鮮戦争

1950年から1953年まで、
朝鮮戦争が起こった。

が、この頃の
両国の国力を比べると、
朝鮮のほうが、圧倒的に上だった。

ソ連の強力な後ろ盾により、
軍事力も経済力も、
朝鮮のほうが、2倍以上あった。

そこで朝鮮の金日成(きむ・いるそん)は、
ソ連のスターリンと、
(できたばかりの)現・中国の毛沢東(もう・たくとう)の
了解をとりつけ、
朝鮮半島をすべて朝鮮のものとするため、
韓国に攻め込んだ。


ぼぼぼぼっ!


朝鮮軍は、圧倒的に強く、
4日で、ソウルを陥落させた。

その後も韓国軍は敗走をつづけ、
朝鮮半島南端の、釜山(ぷさん)を除いて、
すべてが、朝鮮のものとなる。

このままでは、
朝鮮半島が全て共産主義国のものとなる、
と思ったアメリカのマッカーサーは、
在日アメリカ軍(のちの国連軍)を投入し、
韓国を守るため、参戦した。

(この時、日本の軍事基地を飛び立った
 B29が、朝鮮の軍事基地などを
 次々と爆撃している。)


ばこばこばっこーーん!


すると一気に形成は逆転し、
朝鮮軍は敗走をつづけ、
中国との国境にある鴨緑江(あむろくかん)
まで撤退。

今度は、朝鮮のほうが、滅亡の危機に瀕する。

そこで奇跡が起きる。
このままでは朝鮮半島が全部資本主義になると
思った中国(中華人民共和国)が、
それはまずいと思い、軍隊を派遣する。

(また、ソ連も、軍需物資の支援を
 朝鮮側へ行った。)

この中国の「人民志願軍」と呼ばれた軍隊は、やたらと強く、
戦況をひっくりかえし、
一気に前線を押し戻し、首都の平壌(ぴょんやん)を
奪回した。


以後、もともとの両国の境界だった、
北緯38度線あたりを境とし、
戦争は、膠着状態に陥り、
一進一退を繰り返した。


・・・

歴史その5・マッカーサーの打開策

1951年の途中から、朝鮮戦争は
膠着状態に陥っていたため、
マッカーサーはその打開策として、
秘策を考えていた。

それは、朝鮮に対する
「原爆の投下」だった。

しかしながら、
朝鮮半島全土で戦乱が起こったため、
捕まったアメリカ人の捕虜や、傷病兵、
アメリカおよび韓国への協力者などが
全土に存在するため、
朝鮮半島のどこに原爆を落としても、
それらの人をまきぞえにしてしまう。

よって
朝鮮半島本土には原爆を落とせないということで、
マッカーサーは次のように考えた。

「長期化した戦争において、
 もっとも有効な戦略は、
 敵の補給ルート(ロジスティック・ルート)
 を断つことだ。」

「朝鮮軍は、中国とソ連から支援を受けている。
 よって、
 中朝国境の中国側にある軍事基地と、
 ソ連の援助物資の輸送基地に、
 原爆を落とし、
 補給ルートを断ってしまえば、
 勝利はわれらのものとなる。」


で、
この原爆を搭載した爆撃機を
どこから飛ばす予定だったかというと・・

それが、「日本」にある
アメリカ軍の軍事基地からだった。


(つまり、アメリカは、
 日本にある軍事基地を使って、
 朝鮮およびその同盟国に
 原爆を落とそうとしていたのだ。

 朝鮮政府および朝鮮の人民は、それを知っており、
 現在でも
 アメリカと日本を恨んでいる。)


・・・

歴史その6・サンフランシスコ講和条約

1945年9月2日に、
日本が無条件降伏してから、
日本は、国としての自治権を失い、
国連の統治領、となっていた。

が、
実際は、上述したように
アメリカによって支配されていた。

(要するに、この頃、日本は、
 アメリカの属国または植民地だったわけだ。)

日本が、国としての主権を回復したのは、
サンフランシスコで行われた
連合国と日本との間でかわされた
「サンフランシスコ講和条約」
が発効した時である。

この条約は、
1951年9月8日に締結され、
1952年4月28日に発効された。

つまり、この4月28日が、
現在の日本が誕生し、
アメリカなどからの独立をはたした日である、
ということになる。

独立記念日である、といってもいい。

(つまり、現代日本の歴史というのは、
 実は、50年ちょっとしかない、ことになる。
 驚きである。)


・・・

歴史その7・トルーマンの拒否

マッカーサーが、朝鮮周辺に原爆を落とそう、
という計画をもっていた頃(1951年)、
上記のように日本はアメリカの属国だった。

よって、
アメリカが日本に原爆をもちこもうが、
何をしようが、拒否する権利などなかった。

そこで、
マッカーサーは、いよいよ計画を実行に移そうと、
アメリカ大統領のトルーマンに
原爆使用の許可を願い出た。

しかし、
(幸いなことに?)
トルーマンは、中国やソ連との全面対決を恐れ、
マッカーサーの提案を受け入れなかった。

(ソ連は、1949年に既に原爆を開発しており、
 トルーマンはソ連からの報復を恐れた。)


この結果、
マッカーサーは首となり、解任され、
アメリカは和平交渉の道を探りだすことになる。


・・・

歴史その8・日本経済の朝鮮戦争特需

この頃、国連の統治領で、
アメリカの属国だった日本だが、
経済的に急激な成長をした。

(これは、20世紀の奇跡、と呼ばれるほどで、
 外国の経済学者たちも、多くの論文を書いた。)

その理由は、もちろんいろいろあるのだが、
その最大の理由の一つが、
この、朝鮮戦争特需、である。

これは、
戦争をするためには、
まず、物資の運搬が必要で、

アメリカ軍や国連軍や韓国軍のために、
日本の自動車メーカーたちが、
トラックや各種の車を作って売った。

ものすごい台数だった。

これにより後に「日本のエース」
と呼ばれる自動車会社などが生まれてゆく。

もちろん、もうかったのは、
自動車会社だけではなく、

戦車・戦闘機の燃料を売る会社、
兵士の食糧・飲料水を売る会社、
兵士の服装等を売る会社、
通信機器、IT関係を売る会社、
その他、
ほとんどあらゆる企業が、
この恩恵にあずかった。


(この件、すでに詳しく書いた。)
軍需産業と日本企業 4336字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65235130.html


こうした側面などにより、
日本は急成長をはたし、
世界第二位の、経済大国となっていく。

で、もちろん、

朝鮮半島の人たちは、
これを恨んでいる。

だって、自分の国で起こっている戦争を踏み台にして、
(ものを売って、もうけ、)
隣の国が、急速に経済発展していき、
G7などの先進国の仲間入りをして、
偉そうにしているのだから。

しかもその国は、
かつて自分の国を、不当に占領していた国である・・
という歴史。


・・・

歴史その9・朝鮮戦争の停戦は?

さて、話を戻そう。

朝鮮戦争は、
1953年7月27日に、
一応、停戦したことになっている。

が、
実際は、そうではない。

この時の会合は、
なんと1000時間におよび、
軍事境界線や、捕虜の扱いについて、
お互いが、了承しなかった。

特に、韓国側の、
李承晩(い・すんまん)のほうが頑固で、
どうしても、うんといわなかった。

しかたがなく、
アメリカが、韓国に膨大な経済援助をする、
という約束で、
李承晩(い・すんまん)を説得した。

(口頭では、和平に合意したようだ。)

が、それでも彼は、
結局、和平協定の書類に、
サイン(調印)しなかった。


しなかった、のだ。


(朝鮮の、金日成(きむ・いるそん)のほうは、
 調印した。)


つまり、朝鮮戦争は、
韓国側がサインしていないのだから、
書類上は(公式には)
停戦も終戦もしていない、ことになる。


要するに、
朝鮮戦争は、今でもずっと続いているのである。


(だから、朝鮮が、ずっと、
 戦時中の体制を続けているのは、
 別に、軍国主義の変な国だから、
 というわけではなく、
 本当に、戦争が続いているからだ、
 ということになる。)


・・・

歴史その10・日米安保条約


1951年、
上述の「サンフランシスコ講和条約」の締結と同時に、

日本とアメリカとの間で、
「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」
(通称、旧安保条約)
というのも、締結された。

アメリカは、日本に、軍隊を配備できる、という内容だった。
これにより、日本を占領していたアメリカの軍隊は、
そのまま日本に残り、在日米軍となった。

で、

1960年、
これが新たに、改訂される。

「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」
略して、
「日米安保条約」または「60年安保」
が締結される。

よく、左翼の人が、「安保(あんぽ)」というのは
こちらを指す。

概要は、
日本にアメリカ軍の軍隊が駐留することなどを定めており、
簡単にいうと、軍事同盟である、ということになる。

(アメリカとしては、
 共産主義勢力であり、当時の軍事大国であった
 ソ連が仮想敵国であり、
 いわゆる冷戦も始まっていたので、
 ソ連にむけて核弾頭を発射する戦艦や潜水艦を、
 地理的に近い、日本に配備する必要があった。)

(日本は、中国やソ連が、日本に侵攻してくる
 可能性を危惧していた。)

(中国は、この直前の時期(1950年代)に、
 「チベットに侵攻」し、無理矢理、自国の領土としている。
 共産主義圏の拡大などのためだ。
 ダライ・ラマがインドに亡命したのは有名。)

(ソ連については、上述したように、
 1945年に日本を裏切り、
 満州と朝鮮半島に侵攻したが、
 実はそのまま、日本列島にも攻め入り、
 少なくとも「北海道」を自国の領土にしようと
 計画していたことがわかっている。
 よって、こちらの国も、信用ならない国だ、
 ということになる。)

(以上より日本は、国の安全保障のために、
 世界最強の軍隊である、アメリカから
 守ってもらう必要があった。)


・・・

歴史その11・非核三原則

1967年、
佐藤栄作首相が、国会で、
日本は、
「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」
という原則でいく、と言った。

(これは、文書化はされておらず、
 法律にもなっておらず、
 口頭で言っただけ、である。)

これが、国是(こくぜ、国の方針)とされているのだが、
はたして本当か?、というところ。


が、その後、ともかく
1974年、
佐藤栄作は、ノーベル平和賞を受賞した。


・・・

歴史その12・核持ち込み密約

もどって、
日米安保条約が締結された1960年、
この年に、
同時に次のような密約があったことが
近年、わかってきた。

1981年、毎日新聞の記者に対し、
当時のアメリカの
ライシャワー駐日大使が、次のように話した。

「1960年の安保改定の時に、
 日本とアメリカとの間で、
 アメリカ海軍の艦船が核兵器を積んだまま
 日本の基地に寄港しても良い、
 とする密約があり、
 実際に何度も核弾頭を搭載した船が、
 日本に来ていた。」

と話した。


2008年9月、
村田良平という人が、二冊の本を書いた。

「村田良平回想録 上下巻」
(ミネルヴァ書房)

この人は当時の外務省の事務次官(事務方のトップ)
だったのだが、本の中に次のように記述している。

「アメリカの核を搭載した船が、
 日本に寄稿(または領海を通過)する時に、
 事前に、(アメリカが)日本政府に
 協議する必要はない、
 という内容を記述した文書が、
 外務省の中に公式書類として残っており、
 歴代の事務次官が、
 総理(が変わるだび)に説明することに
 なっていた。」

 すなわち、
 アメリカの核兵器を積んだ船は、
 自由に日本にある軍事基地などに
 出入りできることになる。

 実際、
 横須賀や沖縄などに、
 明らかに核を搭載していると思われる
 原子力潜水艦などが、停泊しているところを
 いわゆる「軍事フェチ」の人や、
 その分野に詳しいジャーナリストが
 新聞その他で報道したことは、
 これまでに何度もあったが、

 この外務省の元・事務次官の発言は、
 今まで報道されてきた
 このウソか本当かわからない、
 とされてきた
 「米軍の日本への核持ち込み」が
 事実上、日常的に行われていた可能性がある
 ことを、決定づけるものだった。


(ちなみに、日本政府は、上記の密約を
 徹底的に、国民には隠すことになっているので、
 上記のような明らかな証拠がでてきても
 一貫して、知らぬ、存ぜぬ、を
 通している。
 今の政府の、首相も幹事長も、同様である。)

(もどって、
 佐藤栄作首相は、上記の密約をしっていたはずなのに、
 なにくわぬ顔で、非核三原則を国会でしゃべり、
 あげくのはてに、ノーベル平和賞を受賞していることは
 驚きである。
 つらの皮が厚い、という表現があるが、
 まさにこれではないか。)


・・・

歴史その13・日本国内に既に核があること

日本政府の答弁を聞いていると、

「東アジアの非核化は
 国の安全保障のために重要で、

 そのために日本は、朝鮮の核武装を
 絶対に認められない。」

などと言っているが、

既に、核武装しているのは、
日本のほうだ、ということになる。


(それどころが、東アジアで最初に核武装したのが、
 日本である可能性が高い。
 理由は、
 中国が、核保有をしたのは、1964年。
 日本は、1951年の(上述の)朝鮮戦争の時か、
 おそくとも、1960年の、60年安保の直後から。)


もちろん、それがアメリカが持ち込んだもので
あったとしても、
アメリカが日本に核を持ち込んでいる理由は、

中国およびロシアに軍事対抗するため
と、
日本を守るための両方なのだから、

「日本が核兵器の力を借りて、
 自分の国の安全保障を確立している」

という意味で、同じである。


で、
敵対する国が、核兵器で武装した場合、
その敵国が武装しようとするのは、
当然である。

アメリカに対する、ソ連と中国。

インドに対する、パキスタン。

イスラエルに対する、イラン。

日本・アメリカに対する、朝鮮。


と、言うわけで、

日本・アメリカ軍事連合が、
核武装をやめない限り、
朝鮮に核兵器を持つな、
という理論をふりかざすことは
できない。

やるとしたら、(とりあえず)
日本は、
アメリカが
日本に核持ち込みができないように
新たな法律を作るしかないが、

はたしてそんなことができるか?
という話になる。

日本にとって最終的に怖いのは、
朝鮮ではなく、
中国やロシア(特に前者)である、
という状況もある。


(中国の軍事費は、
 年々、どんどん増えており、
 冷戦時代の、「あの、強かったソ連」の軍事費を
 もうすぐ追い越すことが確実な情勢だ。)


・・・

と、いうわけで、

まず、朝鮮戦争の時代、
アメリカの属国だった日本は、
アメリカが朝鮮及び同盟国を
原爆で攻撃しようとした時に、
その空爆基地になっていた可能性があったこと。

(実際は、トルーマンが
 マッカーサーを首にしたので、起きなかったが。)


その後も、
安保条約と同時に結ばれた密約によって、
日常的に、核を持ち込んだ米軍の艦船が
日本に出入りし、
日本を守ってくれており、
すなわち、日本は
間接的な形で、核武装している国だ、
ということになる。

いわゆる、「核の傘」と呼ばれる状態よりも
もっとはっきり、核武装に近い状態である、
と言える。


で、

(まず、あなたに、自分が日本人であることを忘れて頂いて)


上記のような形で「間接的核武装」をしている国が、
もし、あなたの国の隣にある場合、

あなたは、自分の国が、
核武装もしくは、なんらかの対策を
立てなくてもいい、と思いますか?


で、その国の隣りにある「朝鮮」という国は、
自国も核兵器を持つことを
選択したわけである。

・・・

このブログの続きはこちらへ
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65288840.html



朝鮮半島の核問題2.朝鮮側の視点B、核拡散防止条約 7713字

.
このブログは、続きものですので、
まずは以下をお読み下さい。

朝鮮半島の核問題1.日本側の視点 9963字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65275270.html

朝鮮半島の核問題2.朝鮮側の視点A、強制連行 6349字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65277261.html


まず、
本ブログでも、「朝鮮民主主義人民共和国」のことは
「北朝鮮」とは呼ばず、「朝鮮」と略称することにする。
(理由は上記のブログ、記述した。)

で、
今回も、朝鮮側の視点にたって、
歴史を振り返ってみる。

内容は、核兵器の広がりについて、である。



・・・
・・・

歴史その1・連合国の勝利と国際連合の成立

1939年から1945年まで、
第二次世界大戦があり、
連合国と枢軸国が戦った。

連合国は、
アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアなど。

枢軸国は、
ドイツ、イタリア、日本など。

結局、連合国(United Nations)が勝ったのだが、
その後、連合国側は、
その後の世界を、自分たちの有利な状況に
導くために、
(敗戦国側が、再び世界の覇権を握れないように)
1945年、
国際連合(United Natiosn)という
(英語では戦時中の連合国と同名の)組織を作った。

(このことは、既にブログで詳述した。)

参考: 国際協力の歴史・国際機関編1
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65094484.html

この結果、
連合国側の中の大国たちは、後に
国連の安全保障理事会の「常任理事国」になる
という特権が与えられ、
アメリカ、イギリス、フランス、中国、ソ連の
5か国が、世界の覇権を握ることが確定される。


・・・

歴史その2・国際原子力機関(IAEA)の設立

核兵器の世界への広がりについては既に書いた。

参考:
核兵器を、今、持っている国々は、どこ? 3,209字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51067913.html

が、
それをかいつまんで説明する。


1945年 アメリカ 核兵器の製造に成功。
      広島、長崎に原爆投下。

      広島はウラン濃縮型。約25万人死亡。
      長崎はプルトニウム型。約12万人死亡。

      アメリカは、この二つのタイプの原爆の両方を使用。

      (つまり、広島・長崎のケースは、この二つがともに実戦投入できる、
       という判断をするための、実験であった、とも言える。)

1949年 ソ連 核兵器を製造(アメリカに対抗、冷戦開始)

1953年 イギリス 核兵器を保有(元、世界の宗主国の意地)

      このように、核兵器を保有する国が増えてきたため、
      アメリカのアイゼンハワー大統領は、
      国連総会において、「核兵器の平和利用」を訴え、
      国際原子力機関(IAEA)を作ることを提案。

      実際は、アメリカ以外の国に、
      これ以上、核兵器が広がらないようにするための
      監視制度を作った、とも言える。

1957年 国際原子力機関(IAEA)が設立。

      International Atomic Energy Agency : IAEA

      建前は、核技術の平和利用が目的。
      実際は、上記のとおり。

      加盟国は現在、144カ国。

      この機関の指定理事国たちの中に、
      当然ながら、上述の五か国が入っている。


・・・

歴史その3・核拡散防止条約(NPT)の発効


1962年 キューバ危機(米ソの核戦争が、一触即発状態)

1964年 フランス、中国が、あいついで核兵器を保有

      ここにおいて、
      世界の覇権を握っている、
      上述の、国連安保理の常任理事国五か国が、
      すべて、核兵器をもったことになる。

      ところが、さらに、(この時期に)
      インド、パキスタンが、ともに核開発していることが発覚。

      よって、上記の五か国は、次のような
      自分たちに都合のよい国際条約を作る。


1968年 核拡散防止条約(NPT)に最初の62カ国が調印。
1970年 同条約が、発効。
      (現在、190カ国が加盟)

      Nuclear Non-Proliferation Treaty : NPT

      この条約の内容は、
      上述の既に核兵器をもっている国以外には、
      今後、核兵器を持たせない、という内容だった。

      もちろん、建前としては、

      「現在核兵器を持っている国は、その数を減らすこと。
       他の国は、これから新しく核兵器を持つことは禁止する。」

      と、言う風になっているのだが、

      まず米ソは、持っている核弾頭数を減らすために
      二国間で交渉をしたことはしたのだが、
      (後述するように)結局、途中でやめてしまった。

      ので、
      核保有国は、減らす努力をする、という約束は、
      実質上、守られていない。

      よって、当然ながら、次のようなことが起こっていく。


・・・

歴史その4・核兵器の世界への広がり

1968年以前に核保有国となっていた
上述の常任理事国五か国は、良しとし、

それ以後に核保有(核実験の実施)をしようとする国は
悪い国である、

としたのが、核拡散防止条約(NPT)だった。


既に、1968年以前から核開発を進め、
巨額の開発費を国家予算から投入していた
インドとパキスタンは、
急にそんなことを言われても
了承できるはずがない。

よって、
この両国は、
核拡散防止条約(NPT)は、不当な条約である、として
その加盟を拒否した。

当然である。

よって、両国は、その後も核開発を進め、
次のように核実験を行う。


1974年 インド、核実験

1998年 パキスタン、核実験(インドに対抗)

この両国は、核実験の直後は、
国際社会から批判されたものの、

10年以上経過した現在では
世界各国と外交関係を回復し、
援助なども受けるようになった。

(パキスタンへの日本の援助復活の件も、既に記載した。)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65246269.html

要するに、インド、パキスタンは両国とも
(核拡散防止条約(NPT)が正しいとした場合)
不法に核兵器をもっているにも関わらず、
現在、通常の外交関係を各国から得ている。


で、
忘れてならないことが、一つある。


それは、
インド・パキスタンと同様に
1970年以前から、核開発を行っていた国がある。

それが、朝鮮、なのだ。

(朝鮮は、1963年から、
 寧辺(ニョンビョン)に核施設を作り、
 核開発をしていた。

http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65275270.html 

 よって、インド、パキスタンと、
 まったく同等の立場である、と言える。
 もしも、
 朝鮮の核開発を糾弾するのならば、
 当然、インド、パキスタンも、
 糾弾しなければおかしい。)


・・・

歴史その5・イスラエル


これに加えて、
イスラエルの問題もある。

1948年に独立を宣言したイスラエルは
ユダヤ教を信じる、ユダヤ人の国である。

周囲はイスラム国家であり
(また建国の経緯が、かなり特殊であったため(この件、後日詳述))
1948年から1973年までの第一次〜第四次中東戦争を始めとする
様々な戦争を経験した。

(基本的にイスラエルが、これまで生き残れたのは、
 アメリカが軍事的・外交的に支援してきたから、の1点につきる。
 アメリカ経済界が、ユダヤ人によって牛耳られているからであるが。)

で、ともかくこの状況を打開するために、
イスラエルは、核兵器を持つようになった。

1979年 イスラエル、核実験(中東のイスラム諸国に対抗)

イスラエルは、公式の立場では、
核兵器を持っているとも、持っていないとも、
明言していないが、
核実験をしたことを周辺の各国はしっているので、
政治・外交的に微妙な立場をとり続けていることになる。

が、ともかく、
このイスラエルも、天下のアメリカ政府が支援しているため、
核兵器をもっていながら、黙認されている、状態にある。


と、いうわけで、
もともと、偏った経緯で成立された
核拡散防止条約(NPT)であったが、
現在は、
それを無視して核兵器を持っていながら、
国際社会で容認されている国が、
3カ国ある、ということになる。

よって、
核拡散防止条約(NPT)は、
既に形骸化している、ともいえる。


・・・

歴史その6・米ソの戦略兵器削減条約(START)

核保有国の中でも、最も核弾頭の数をもっていた
アメリカとソ連は、
一応、上述の流れを受けて、
核兵器の削減を行おうとしたことがある。

が、途絶した。

一応、その経緯は、以下である。


1970年の、核拡散防止条約(NPT)の発行を受けて、
(その条約に、核保有国は減らしなさい、と書いてあるのだから)

1982年に、アメリカとソ連の間で
戦略兵器削減交渉
Strategic Arms Reduction Talks : START
が、開始された。

その結果、
第一次戦略兵器削減条約
Strategic Arms Reduction Treaty : START 1
が成立し、
2001年までに両国が、
もっている核弾頭数の数の上限を
6000発以下にすることに両国は一度、合意する。

で、
実際にそれは実行された。

(注: 両国は、軍事的最盛期に、
 2万発の核弾頭を持っていた、といわれている。
 よく、
 地球全土を、数回、焼け野原にしても、
 まだ余る、と揶揄(やゆ)された。)


ところが、
その後、行われた
第二次戦略兵器削減条約(START 2)
では、
2003年〜2007年までの間に、
核弾頭数を3000発以下にする、
という内容だったのだが、
結局、
アメリカとロシアの両議会が
批准を拒否し、
結局その削減が行われることはなかった。

(ある案において、片方の議会が承認したことはあったが、
 両国の議会がともに承認するような案は、
 ついに誕生しなかった。)

(アメリカ議会が拒否した理由は、2001年に起きた、
 アメリカでの同時多発テロのため、
 テロとの戦争のために、
 核兵器を保有しておくことが必要、
 との見方があったため、と考えられる。)

その後、
第三次戦略兵器削減条約(START 3)
の話題はでたことがあるが、
START 2が結局実行されなかったため、
雲散霧消(うんさんむしょう)する。


よって、現在でも
アメリカとロシアの核軍縮は進んでいないが、
今年(2009年)4月の
オバマ大統領のプラハでの演説で
彼は、START 1の後継条約について言及したので
それに期待がもたれる。

(この内容は、前々回、書いた。)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65275270.html


ともかく、
2008年の段階における
各国の核保有数は、以下である。


参考:
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)
http://www.sipri.org/


ロシア  5189
アメリカ 4075

フランス  348
イギリス  185
中国    176

イスラエル  80
インド    65
パキスタン  60

朝鮮      7


要するに、米ソは、
START 1によって、
6000発以下に減らすところまでは
実行したのだが、
それ以降は、「テロとの戦争」が始まった
ことなどにより、進んでいない。



・・・

歴史その7・包括的核実験禁止条約(CTBT)


1954年、
アメリカが、ビキニ環礁で水爆実験を行った。

この時、日本人の漁船乗組員を含む
多数の人が、被曝し、
核実験への国際的な批判が高まる。

その後、

1957年の、国際原子力機関(IAEA)の成立による
核技術の平和利用という潮流が生まれた中で、

1963年に、
アメリカ、ソ連、イギリスによって、
部分的核実験禁止条約が、署名された。

(しかしこれは、地下核実験を含んでいない。)

で、
残念ながら、その後も、核実験は横行する。


特に、フランスの核実験は、ひどかった。

1966年から1996年まで、フランスは、
フランス領ポリネシアにおいて、
なんと、200回もの核実験を行う。

これにより、現地で多数の人が
直接および間接的に被爆する。
当然ながら国際的な批判を受け、
フランス製品の非買運動などが世界中で起こった。


しかし、その後も、
インド、イスラエル、パキスタンなどが
あいついで核実験。

こうした流れの中で、
(さすがに、まずいと思ったか、国際社会は)
1996年、国連総会において、
包括的核実験禁止条約
Comprehensive Nuclear Test Ban Treaty : CTBT
が、採択された。

(これは、地下核実験も禁止の対象となる。)

しかし、この条約は、
加盟国の全員が批准しなければ「発効」しない
(そうでないと不公平が生じるため)
ことになっているのだが、現在、
アメリカ、中国、インド、パキスタン、イスラエル、朝鮮、イランなどが
批准していないため、発効されていない。


アメリカのオバマ大統領は、(先日のプラハでの演説において)
批准する方向でがんばる、と言っているが、
(例によって)
アメリカ議会が通らなさそうな状況。

(アメリカは、9.11テロ以来、
 テロ組織や中東勢力、そして中国・朝鮮が怖いので、
 それらへの核抑止力のために、
 定期的な核実験が必要、との見方が強い。
 核兵器を配備していても、
 実際に予定通り爆発しなかったら
 持っている意味がないからだ。)

(また、中国や朝鮮は、地下に核施設を作っており、
 その核施設を攻撃するために、アメリカは、
 「地中貫通型」の核爆弾を開発してきた。
 が、まだその核実験が十分に行われていないため、
 アメリカは、まだ核実験をやめるわけにはいかず、
 よって、包括的核実験禁止条約(CTBT)には
 調印できないはずだ。)

(朝鮮は、現在、地下の軍事施設が、
 推定で3万か所もあるといわれており、
 そのうち、CIA(アメリカ中央情報局)が
 その正確な場所を把握しているのは、わずか1〜2割程度
 しかないことがわかっている。
 このため、
 今後、アメリカが、
 朝鮮の地下軍事施設の発見に尽力し、かつ、
 それに対する攻撃能力を高めていくことは
 軍事的側面を考えた場合、絶対に必要な状況だ。)



一方、中国は、
既にロシアを抜いて、
世界第二位の軍事費をもっている国であり、
今後、(水面下で)急速に核兵器の数を増やす方向
と、考えられている。
よって、やはり、この条約に
批准するとは考えにくい。



・・・

歴史その8・大人の考え

ここで、普通の意見も書いておこうと思う。


基本的に、
もしも世界を非核化された世界に
向かわせたいと思うならば、

どこかの段階で、
核拡散から、核軍縮に向かう年(とし)を
決めなければならない。

それが、
1970年の、核拡散防止条約(NPT)の発効の年だった、
と考えることもできる。

その年の直前までに
核開発(核実験)を終えた国は、
ラッキーだったことになるし、

逆に、
その時まだ、核兵器の開発途上で、
膨大な国家予算を投入したにもかかわらず、
その年の後に、
核実験をを行った国は、
「ならずもの国家」
と呼ばれることになり、
(一時的にせよ)
経済制裁などの「憂き目」(うきめ)
を見ることになった。

が、
最終的に、非核化を目指すためには、
こうした状況が生じるのも、
ある段階においては、しかたがない、
とも言える。

で、
創設の経緯において、
非常に、ゆがんでおり、
とても公平であるとは言えない
核拡散防止条約(NPT)だったが、
それが、発効されてみれば、

一応、
その「建て前」の文言(もんごん)が
一人歩きしていき、

米ソに、START 1を実行させた。

そして、2万発もっていた核兵器を
まずは、5000発前後まで減らすところまでは
いった。

そういう意味では、良かった、
と考えることができる。

ただ、問題なのは、
ソ連が崩壊した時に、
独裁政権の国々や、テロ組織などに
多くの核技術が流出し、
その国がさらにまた他の国に
核技術を売りつける、という連鎖が
起こっている。

この他、パキスタンのカーン博士が、
各国に核技術を売ったことなど、
むしろ、
米ソが集中して核兵器をもっていた時代よりも
現在は、それを取り締まるのが、
難しくなった、と言える。


また、
最初にもどって、
現在の世界が、
国連安保理の常任理事国五か国に
掌握されているのは、
事実なのだが、

もはや、そうなってしまった世界に
文句をいってもしかたなく、
それに迎合(げいごう)し、
彼らが作った世界のシステムにあわせて
生き残ってゆくしかない。

例えば日本は、
アメリカと軍事同盟を結ぶことにより、
国の安全保障を(一応)確立し、
かつ、
資本主義・市場経済のグローバリゼーション
の中に、身をおくことで
(巨大な市場を獲得し)
急速な経済発展をすることができた。

現在の世界は、「ゆがんでいる」
などといって、孤立した立場をとるのは、
国の政策としては、賢くない。

よって、
もう、できあがってしまったものには
(言ってもしかたがない)文句を言わず、
その中の強者に、媚びる(こびる)ことによって、
利益をえていく。

姑息のようであり、
正義もへったくれもないが、
残念ながら、
それが、(現実をみすえた上での)
「大人のやり方」というものである。


・・・

歴史その9・朝鮮の核実験

が、
この「ゆがんだ世界」に媚びない国もある。

朝鮮の建国の父である、金日成(きむいるそん)主席は、
生前、こんなことを言っていた。

「我が国に、外国が制裁を与えるなら、与えるがいい。
 我が国は、我が国のやり方で、必ず立派な国を作ってみせる!」

彼は、
お金持ちの地主から土地を奪い、
貧農に土地をわけ与え、
社会の階層制度において、貧農を最も上に位置するなど、
貧しい農民のための、共産主義の国、すなわち
「理想郷」
を作っていった。

(この理想郷は、途中で崩壊するのだが、
 その理由は、後日、詳述する。
 また、もちろん上記は、建て前の部分も多いのだが。)


この、媚びない国、朝鮮は、
アメリカを明主とする資本主義の国々
(アメリカと軍事同盟を結んでいる、
 北大西洋条約機構(NATO)諸国や日本など)

「帝国主義勢力」と呼び、忌(い)み嫌った。


世界は、お前たちのものでない、と。


1963年からの「核兵器の開発」は、
この帝国主義勢力に対抗するために必要だったことであり、

1970年の、核拡散防止条約(NPT)の発効は、
核を使用する権利を、上記五か国に限定する
全く不当なものだとして、その批准を拒否する。

大国である、
アメリカの手先で、実質上のアメリカ軍事基地の一つとなっている日本と、
(この件は、次回、詳述)
やはり大国である、
中国やソ連(ロシア)にはさまれ、

これら3国に、いつ侵略され、併合されるか
わからない。

(中国やソ連の朝鮮の併合も、昔から何度もその危機があった。)


この(実際は)「小国」である朝鮮は、

外交戦略として、
いろいろ姑息な戦術を使い、
これら3つの大国を
なんとか(だまして、お互いに)敵対させるような方向に導き、

その狭間(はざま)で、生き残りを図(はか)ろうとする。

(考えてみれば、あわれな国である。)


こうした、非常に難しい、微妙な外交戦術の中で
もっともはっきりした、有効な外交カードとなるのが


2006年 朝鮮、核実験(一回目)
2009年 朝鮮 核実験(二回目)


ということだった。


あなたは、朝鮮のやっていることが、
めちゃくちゃだと思うか?


そうかもしれない。


しかし、朝鮮がめちゃくちゃだとしたら、
きっと、それ以上に
現在の世界を支配しているシステムが
もっとめちゃくちゃであるのかもしれないことを
私たちは頭の中に、置いておかなければならない、

と思う。

(朝鮮の視点からみた歴史は、まだ続く。)

・・・

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