山本敏晴のブログ

1965年生、仙台出身。医師・写真家・NPO法人宇宙船地球号理事長。元国境なき医師団日本理事。 峭餾欟力師」という概念を提唱。企業の社会的責任(CSR)を推進。世界中で大切なものの「お絵描きイベント」を実施。著書に『世界で一番いのちの短い国』『アフガニスタンに住む彼女からあなたへ』 『国際協力師になるために』、『あなたのたいせつなものはなんですか?』『世界と恋するおしごと』『地球温暖化 しずみゆく楽園ツバル』『「国際協力」をやってみませんか?』など

2009年08月

ユニセフ国際協力人材養成プログラム20090904締切

.
毎年、10月から翌年の2月までにかけて
日本ユニセフ協会が、
国際協力人材養成プログラムという
15回の連続講座が行われている。

国際機関、政府機関、民間組織、大学
など、多妻な分野から
様々な人が呼ばれ、講義が行われる。

毎週火曜の午後6時半から
1時間半の講座が、
毎週行われていく、という形。

で、
私も毎年、この講座の講師を
行っているのだが、
その応募の締め切りがもうすぐなので
告知しておく。


応募は、
2009年9月4日(金)までに必着。

ただし、受験資格に英語力がある。

・・・

概要は、以下。(転載)


受講資格 :
実用英語技能検定準1級・
TOEIC730点以上・TOEFL-PBT550点(同CBT213点)
以上等の英語力を有し、15回の講義に出席可能な方。
  
使用言語 : 日本語(英語の場合もあり)

会 場 : 財団法人 日本ユニセフ協会 
     ユニセフハウス内 1階 大ホール

受講料 : 無料

募集人数 : 80名


Eメール: se-jcu@unicef.or.jp


参考ウェブサイト
http://www.unicef.or.jp/inter/inter_kouza.html

申込書
http://www.unicef.or.jp/inter/pdf/090617.pdf


・・・

以下、講座の日程と講師陣


開校日  2009年10月から2010年2月
開講時間 18:30〜20:00

回 日程 講師名 講義概要

1 2009/10/6(火) 武 徹
JICA研究所研究支援課 課長 新JICAの概要

2 10/13(火) James Harries
First Secretary
Energy & Environment Section
British Embassy,
Japan Climate change -general background,
UK position and actions, importance
of agreement in Copenhagen

3 10/20(火) 大久保 真紀
朝日新聞社 編集委員
子どもの商業的性的搾取から守る

4 10/27(火) 山本 和
国際基督教大学 総務理事
国際非営利組織の運営原理

5 11/10(火) 池上 清子
国連人口基金東京事務所 所長
世界の人口問題
リプロダクティブ・ヘルス/ライツの推進

6 11/17(火) 伊藤 賢穂
外務省国際機関人事センター 所長
国際公務員になるには

7 11/24(火) Junko Kunugi
ユニセフ東京事務所 代表 
Rights of the Child and the UN

8 12/1(火) 廣野 良吉
成蹊大学 名誉教授
開発途上国における人間の安全保障

9 12/8(火) 田中 康夫
日本赤十字社開発協力課 課長 人道援助の国際基準

10 12/15(火) Virasac Somphong
Counselor
Embassy of Lao PDR, Japan
Lao PDR and the Lao-Japan Relations

11 2010/1/12(火) 貴島 善子
外務省国際協力局人道支援室 室長
人道支援に日本の果たす役割

12 1/19(火) 村田 俊一
国連開発計画 駐日代表 国連開発計画の支援事業

13 1/26(火) 山本 敏晴
NPO法人宇宙船地球号 事務局長
宇宙船地球号の挑戦

14 2/2(火) 伊勢崎 賢治
東京外国語大学 教授
紛争と平和構築
アフガニスタン、シエラレオネ等を題材として

15 2/9(火) 城石 幸博
ユニセフ東京事務所 副代表
ユニセフとミレニアム・ディベロプメント・ゴールズ:
フィールドでの経験から



日本政府の緊急援助の歴史とJDR 6379字

.
ええと、
一応、私もそのメンバーであることもあり、
一度はこの組織の解説をしておこうと思う。

が、
よりよく理解されたい方は、
是非、(昨日書いた)こちらから読んで頂きたい。

緊急援助と開発援助、援助オリンピック 5894字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65294338.html


・・・

1945年、日本が太平洋戦争で敗戦した。
その後日本は、連合軍の統治領、となりなった。

1952年、サンフランシスコ講和条約により、
日本は国の主権を回復した。

(それまでは、事実上、
 アメリカの植民地のような状態だった。)

1954年、
日本が、戦後の混乱期から復興して行く中で、
太平洋戦争で迷惑をかけた国々に対して、
「政府開発援助」(ODA)という名のお金を使った
援助が始まる。

つまり、日本が行った戦争の
「戦争被害に対する賠償」
という意味あいで、日本(政府)の援助(国際協力)は
もともと始まったのだ。

まず対象となったのは、
ミャンマー(ビルマ)、フィリピン、
インドネシアなどの東南アジアの国々だった。


・・・

1979年に
「インドシナ難民の大量流出問題」
が起こった。

(注: インドシナ難民問題とは、
 東南アジアの、カンボジア、ベトナム、ラオスなどが
 社会主義国家になった時に、その体制にあわない人や
 迫害された人々が、国外に流出した問題。
 一部の人は、ボートピープル、などと呼ばれ、
 日本にもやってきた。)

この時、日本政府は、
「カンボジア難民支援・医療チーム」
を編成し、それを派遣した。

(タイに逃げた、カンボジア難民に対する
 医療援助だった。
 しかし、他の先進国からの支援に比べ、
 派遣されるまでが、かなり遅く、
 あまり意味がなかった、と批判された。
 大きな反省を残した。)


注:
この頃は、自衛隊と、緊急援助隊の役割分担が
はっきりついておらず、
内戦などの人災であっても、
緊急援助隊(の原型)が派遣されていた。

現在では、
内戦などの人災には、自衛隊が、
地震などの天災には、緊急援助隊が、
派遣される、
という役割分担になっている。


・・・

1974年、外務省内で、
海外技術事業団などの国際協力系の組織が統合され、
特殊法人・「国際協力事業団」(JICA)
(現・国際協力機構)
が設立された。

http://www.jica.go.jp/


・・・

1982年、
この国際協力事業団の中に、
国際緊急医療体制、が創設された。

前述の1979年の
(インドシナ難民への支援が遅かったことの)
反省を踏まえ、
かなり素早く、スタッフを送りだせる
体制を作ろうとした。

この時に、できあがったチームを
「国際緊急医療チーム」(JMTDR)
という。

Japanese Medical Team for Disaster Relief

(これが、もともとの名前だった。
 今でも、古くからいる人は、
 この名称が、口から出る。)

で、
1985年に、
メキシコ地震、コロンビア火山噴火という
二つの大きな自然災害が起こったのだが、
この両者に対して、医療チームが派遣された。

しかし、上記の二つの災害現場で活動する中で、
医療チームだけでは十分な活動ができず、
(瓦礫に埋もれた人を助ける)救助隊員の派遣や、
(包括的な)災害に関する専門家の派遣も、
同時に必要である、という報告がなされた。

で、
1987年、
「国際緊急援助隊派遣法」
という法律が制定される。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S62/S62HO093.html

これにより、現在とほぼ同じ、
救助チーム、医療チーム、専門家チーム、
という三つのチームが派遣されるという
体制が整った。

よって名称も、(医療だけではなくなったので)
緊急援助隊(JDR)となった。
"Japanese Disaster Relief"


・・・

しかし、ここで、ある戦争が起こった。

1990年、
イラクがクウェートに侵攻し、
湾岸戦争が始まる。
国連軍(主にアメリカ軍)が、
イラクを空爆するなどの戦争が、
1991年まで続く。


この湾岸戦争の際に、
いろいろな政治的な議論が起こった。


「日本の自衛隊は、参戦するべきか?」

「自衛隊は、軍事活動はできないにしても、
 国連軍などへの燃料の補給などはどうか?」

「自衛隊が無理なら、民間の海運会社に
 国連軍の燃料の輸送をやらせよう」

「逃げた難民や避難民への支援はどうするのか?
 自衛隊はその部分(難民支援)をやるべきか?」

「あるいは、緊急援助隊が、出撃するのか?
 しかし、この紛争の中に、医者や看護師を送るのか?」

「とりあえず、国連軍に130億ドルを支援しよう。
 戦争の周辺国には20億ドルを援助しよう。」


と、いう議論が、延々とつづいたのだが、
結局、日本は、お金だけ、いっぱいだして、
他のことは、ほとんど何もしなかった。

この戦争は、結局、国連軍(アメリカ軍など)が勝利し、
イラクのサダム・フセインが負けるのだが、
戦後、
クウェート政府は、参戦国たちに感謝の意を表明したが、
日本は、その対象にならなかった。
感謝されなかった。

(日本が提供したお金のほとんどは、
 アメリカ軍にわたり、
 クウェートは、その直接的な恩恵を
 受けていなかったため、といわれている。)


ともかく、上記のような経緯があったため、
マスコミなどから、
日本政府は、金ばっかりだしていてはダメだ、
人を送って、国際社会から感謝(評価)されなければ、
という論調が起こってゆく。


・・・

というわけで、その翌年(1992年)、

自衛隊を紛争地帯の「平和維持活動(PKO)」
"Peace Keeping Operation"
に派遣できるようにする法律である、
「国際連合平和維持活動等の協力に対する法律」(通称PKO法)
が、制定された。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/pko/horitu.html

同時に、
「国際緊急援助隊派遣法」が一部改訂された。

これらにより、
戦争などの人災には、自衛隊が派遣される、
地震などの天災には、緊急援助隊が派遣される、
という役割分担が(基本的に)確立した。


しかしながら、自然災害の一部において、
(物資の輸送などの理由で)
自衛隊の協力が必要な場合もありえるため、
緊急援助隊の一部として、
自衛隊が参加できることも、記述された。


が、もちろん、(いずれにしても)
自衛隊の海外派遣は、憲法違反であるとして、
これらの法律に反対する人たちも、けっこういた。

ともかく、
さらにその翌年(1993年)、
JICA内に「国際緊急援助隊事務局」が作られ、
現在の体制が完成する。


・・・

もう一つの流れが、「ODAのソフト化」である。

1980年代から、欧米では
途上国にお金だけだして、
道路と建物ばっかり作っているようでは
貧しい人の役に立たないのではないか、
という議論があり、

もっと医療や教育にお金を使い、
その方面の専門家を派遣しよう、ということになった。

これを「ODAのソフト化」という。

http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51793984.html

http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51817170.html

しかし、この頃の日本は、
(国際協力の主力である)開発援助において、
道路や橋や石油コンビナートを作るなどの
「ハード」を作る仕事ばかりをしていた。


が、
1998年、アマルティア・センは、
ノーベル経済学賞を受賞し、
「人間開発指標」(HDI)
という四つの要素からなる指標を提案する。

HDI : Human Development Index

 出生時平均余命・・・・医療の指標
 成人識字率・・・・・・教育の指標
 就学率・・・・・・・・教育の指標
 一人当たりGDP・・・経済の指標

要は、途上国の援助をするにおいて
医療や教育も、最も重要な要素の一つだ、
という論文が発表されたのだ。


で、
上記の、欧米でのODAのソフト化の動きもり、
日本政府も、ようやく
ODAのソフト化を始めることとなる。


この一貫として、
緊急援助にも、ある程度、
力が入れられるようになり、
災害時などにおいて、
緊急用の予算を捻出できる枠組み
などがいくつか作られた。

直接、途上国の人を救うため
日本人を派遣し、
医療行為を行い、
金だけだしているわけではない、
ということを、
(国の)内外に示すために
このような方針がとられるようになった。


・・・

さて、これまで、

「日本は、お金だけを出す援助を続けてきたが、
 国際的には、評価されていない。
 日本政府は、援助の方針を改めるべきだ。」

という風に、マスコミは思っており、
そうした論調が各新聞社の社説などで書かれた。

そこで、日本政府は、
金だけ出しているわけではなく、
「人を出す援助」も
「直接人を助ける医療援助」も
行っています、という
「いいわけ」が必要だった。

海外における大規模な自然災害は、
マスコミが、必ずテレビなどで取り上げてくれるので、
そこで医療活動などをすれば、
日本国民全員に、そうした活動を広報することができる。

と、いう思索のもとで行われているのが、
日本政府の行っている緊急援助だ、
という側面がある。

(日本政府の緊急援助隊は、テレビなどで報道させるため、
 わざわざ、マスコミを大量にひきつれて現地にいく、
 という徹底ぶりである。)


で、
これは、日本だけではなく、
他の国でも、NGOたちも、
考えることは同じなので、

自然災害がおこった直後の現地において、
各団体が、なわばり争いを起こし、
お互いに、活動の足の引っ張り合いをする、
という現象が起きることもある。


この、ある意味、醜い争いの最たるものが
アルメニア共和国での地震における
「援助オリンピック」であったが、
既に書いた。

http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65294338.html


・・・

まあ、それはともかく、
日本政府が行う国際協力(援助・開発)というものは
自国の(主に外交的な)利益のために
行うものであるので、
上記のような側面があるのは、致し方ない。

綺麗ごとを言っていてもしかたがないので、
まあ、そういう汚い側面はあっても、
やるべきことをやっていれば、
問題ない、とも考えられるので、

まわってきた予算とスタッフで、
ちゃんとした活動を現地ですればいいのだ、
というのが、(現実にそくした)大人の考え方である


よって、以下、現在の緊急援助の問題点を考え、
それを解決する方法を講じてゆく。


・・・

緊急援助の最大の問題点は、
団体同士の協力体制が、
ほとんどないことである。

(ゆっくり行う)開発援助の場合、
教育や医療などの、
各セクター(分野)ごとに、
そこに対して、
(資金)援助を行いたいドナー(国や組織)が
集まって会議を行う。

もちろん、途上国の政府といっしょに
いろいろな話し合いを行って、
必要な項目を分担したりする作業を行うのだ。

(これを、セクター・ワイド・アプローチという。
 日本語では、援助協調。)


しかし、緊急援助の場合は、
こうした体制が、ない。
災害はいつ起こるかわからないし、
今すぐ、援助が必要なので、
のん気に会議など、やっている暇は
ほとんどない。


しかして、
緊急援助のできる団体たちは、
独自の判断で、
かってに災害の起こった現地へ行き、
われさきにと、縄張りをはりめぐらす、
という行動をとりがちになる。

(政府系の団体の場合、
 被災国政府からの、「要請」
 があってから始めて動きだすので
 どうしても出足は遅い。)

(民間のNGO(非政府組織)などは、
 よくも悪くも勝手にいくので、
 要請を待つ必要はないので、
 出足はとても早い。)

ちなみに、災害発生後、
緊急援助が最も必要な時期は
発生後48時間以内、
といわれているのだが、
NGOたちはこれに間に合い、
政府系団体は上記の理由でまにあわない
ことが多い。


・・・

ともかく、
緊急援助のおける最大の問題が、
団体同士での協調がないことなので、
これをなんとかしよう、という
国際的な動きがでてきた。

それが、クラスター・アプローチ、
と呼ばれるものである。

"Cluster Approach"

これは、
開発援助における
セクター・ワイド・アプローチ
と同じもので、
各分野ごとに、
そこを支援したいと思っている
ドナー(国や組織)が集まって会議をする、
ということである。

一応、次のような形で行われる。


大きな自然災害が起こった場合、
一応、
現場の国際協力団体たちの
まとめ役をするのは、
UNOCHA(国連人道問題調整事務所)
"United Nations Office for the
Coordination of Humanitarian Affairs"
である、ということになっている。

国際機関と政府機関は、
基本的に、このUNOCHAの指示に従う。

(民間のNGOは、言うことをきく所と
 独自の判断で勝手にやるところがある。)

(国際機関も、いろいろな国の
 外交政策に影響されて動いているので、
 UNOCHAが必ずしも正しいことを
 いつもしているとは言えないので、
 どちらの方針が正しいかは、わからない。)

(今回は、政府系の緊急援助の話を書くので
 UNOCHAを中心にした体制を説明する。)


UNOCHAは、
災害が起こった途上国に、まず、
UNDAC(国連災害評価調整チーム)
"United Nations Disaster Assessment
and Coordination"
という組織を作る。

また、
被災国側でも、災害を担当するどこかの省庁が
災害対策本部を作っているはずだ。

これを、
現地対策本部(LEMA)という。
"Local Emergency Management Agency"

で、この二つがあるところに
日本などのドナー国(支援国)が
いっぱい入ってくる、という形になる。

で、
このようにして集まった人や組織たちを、
UNOCHAの人が、かじ取りをして、
「UNDACという場所」で、
「クラスター・アプローチ」、
という会議を開くのである。

それぞれの分野に
各団体が、どのように支援をしていくかの
話し合いをする。


・・・

クラスター・アプローチの
まず、各セクター(分野)を
三つの大枠(クラスター)に分ける。



1.直接支援
2.サービス
3.分野横断的問題



で、まず、
1.直接支援に含まれるものは、

(1)シェルター(仮設住宅の提供)
    UNHCR(国連難民高等弁務官)などが担当

(2)保健
    WHO(世界保健機構)などが担当

(3)栄養
    ユニセフ(世界児童基金)などが担当

(4)水と衛生
    ユニセフ(世界児童基金)などが担当

という内容と分担になる。


2.サービスに含まれるものは、

(1)ロジスティック(物資の運搬)
    WFP(世界食糧計画)などが担当

(2)通信
    UNOCHA(国連人道問題調整事務所)などが担当

である。


3.分野横断的問題に含まれるものは、

(1)人民・人権保護
    UNCHR(国連人権委員会)などが担当

(2)キャンプ運営
    UNHCR(国連難民高等弁務官)などが担当

(3)早期復旧
    UNDP(国連開発計画)などが担当

である。


で、被災国の現地に作られた
UNDAC(国連災害評価調整チーム)という場所で、
各国および各組織の代表が集まって
これらをどのように分担するかを
話し合う・・という提案が、
2007年に、UNOCHAから出されたのである。

で、
その後、2年の間に、いくつかの大きな災害があったが、
上記の「提案」が機能しているかというと、
私の知る限り、
残念ながら、あまり機能していないようだ。

(災害直後の被災国は、いろいろな意味で
 バタバタしているため、ある意味、しょうがないのだが・・)

しかし、
緊急援助が、各国や各組織の
「マスコミ向けパフォーマンス」
で終わらないためにも
是非、今後は、この援助協調の体制を
作っていってもらいたい、
被災された方々にとって、
「本当に意味のある緊急援助」を
行ってもらいたいものだと思う。





緊急援助と開発援助、援助オリンピック 5894字

.
日本政府が行っている緊急援助である
国際協力機構(JICA)の
緊急援助隊(JDR)のことを
書こうと思ったら、
まず、
緊急援助と開発援助の説明から
必要であることが判明した。

で、
この部分(緊急と開発の違い)については、
以前、私は書いたのだが、
改めて、内容を改定し、記述する。。

http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51726311.html


・・・緊急援助と開発援助とは・・・

まず、緊急援助と開発援助の定義の話。


緊急援助とは、
戦争や内戦が起こっている最中、
または、
地震や津波などが起こった直後に、
その地域にいき、
困っている人々に対して
なんらかの援助を行うこと、である。

普通は、
食糧や水の配布、
緊急性のある病気・怪我に対する医療、
住む場所を失った人への仮設住宅の提供、
(帰還のためなどで)移動が必要な人にその方法の提供、
などが
行われる。


開発援助とは、
戦争や内戦が既に終わって、
その国の「政府が確立した後」に、
その国(通常は途上国)の政府と
日本などの先進国が、
「二国間援助」をするという約束をかわし、
(原則としては)
途上国の政府側からの「要請」によって
日本などの先進国が、
資金援助や、技術協力をする、
というものである。

普通は、
無償資金援助(お金をあげて、道路などを作る)、
有償資金援助(お金を低利率で貸す。円借款)、
技術協力(医療・教育・経済などの専門家を派遣)、
という
三つのスキーム(枠組み)で行われる。
(例外もある。)



・・・緊急援助を行う団体・・・

で、
緊急援助を行っている団体は、


国際機関では、国連の

WFP(世界食糧計画)水と食料の配布など
http://www.wfp.or.jp/

PKO(国連平和維持活動)停戦後の選挙管理など
http://www.un.org/en/peace/

UNHCR(国連難民高等弁務官)難民の保護など
http://www.unhcr.or.jp/

UNOCHA(国連人道問題調整官)自然災害の対策など
http://ochaonline.un.org/

などの組織が、活動する。


政府機関では、日本の場合、

防衛省・自衛隊(紛争地帯などへの派遣)
http://www.mod.go.jp/

緊急援助隊(JDR)(自然災害への派遣)
http://www.jica.go.jp/jdr/index.html

という役割分担になっている。
(例外あり)


民間のNGO(非政府組織)では、

赤十字国際委員会(ICRC)紛争中の人道問題の監視
国境なき医師団(MSF)紛争中などの緊急医療援助

が、有名である。
なお、上記の二つのNGOは、
NGOといっても世界最大級のNGOであり、
国際機関なみの予算と、
数千人以上のスタッフの数を持っていて、
紛争地帯におけるスタッフの安全管理なども
それなりに徹底して行われている。

(ちなみに私は、以前MSFの理事をやっていた。)
(安全管理の詳細な方法については、また別に触れる。)
(というか、私の本のいくつかにも既に記載されているが。)


・・・開発援助を行う団体・・・

開発援助のほうは、(今回は)簡単に流すが、


国際機関では、
ユニセフなどが子どもの支援、
世界銀行などが、途上国政府への資金協力、
などを行う。


政府機関では、
アメリカ、日本、EUなどの政府が、
「二国間援助」をするという約束のもと、
各国の「政府開発援助(ODA)」
という名前の予算をつかって、
上記した三つのスキームなどの方法で
援助を行う。

日本政府の外務省内にある
「国際協力機構(JICA)」は
基本的に、この開発援助のほうを
行うための組織である。
(最近、独立行政法人になったが、本質的に変わっていない。)
http://www.jica.go.jp/

(が、この開発援助を担当するJICAによって、
 例外的に行われている
 緊急援助活動が、上記の
 緊急援助隊(JDR)による活動だ、
 と思って頂いて、間違いない。
 繰り返すが、
 日本のODAの9割以上は、
 開発援助に使われていて、
 緊急援助の占める割合など、
 1割に満たない。)


民間(NGO)たちは、
自分たちが考える「良いこと」を
途上国にいって実施するのだが、
NGOは、あまりに多数あり、
かつ、
玉石混合(良い団体と悪い団体が混在)のため、
活動内容を把握しにくく、よって説明しにくい。

http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65159811.html



・・・緊急援助と開発援助の違い・・・

まず、
上記が基本であるが、

国際協力といっても、
緊急援助と、開発援助では
まったく違うことが行われている。

この二つは、
「水と油ほど違う」活動をしている。


緊急援助では、
今、目の前で死にそうな人を助ける、
という方針なので、
とにかく、明日以降のことなど考えず、

今、水を与え、食糧を与え、
医療も、
外国からきた医師などが治療をして助けてあげ、
仮説住宅をつくってあげ、
移動する手段を提供してあげる、

というのが、緊急援助である。

「あげる、あげる、あげる」
の連発である。

で、基本的に、戦争の最中などにある場合、
こうした方法で、助けるしかない。
(だから、それでいい。)


開発援助を行えるような
その国の政府が安定した状態では、
とりあえず、いますぐ
大勢の人が死んでしまうほど
ひどい状況ではないので、
援助(または開発)の「持続可能性」について、
考えることになる。

外国人が、未来永劫、永久に
食糧や水を与え続け、
医療をしてあげる、ことは
予算的にも不可能であり、
かつ、
(もしもそれをおこなってしまうと)
途上国の人も、援助慣れ(援助漬け)となり、
自分たちで国を(自ら)良くしていこうという
意欲が失われていってしまい、
将来的に、かえって良くない効果がある、ことが
これまでの各国際協力団体の経験から
わかっているため、

(開発段階に入った国々では)
(あげる、あげる、あげる、ではなく)

食糧や「安全な水」を自力で確保する
方法を教え、
医療や教育も、将来的に、
(途上国の人が)自分たちで行えるような
体制を作っていくことを支援し、
それらに
どうしても必要なインフラ(社会基盤)の
整備を協力する(最低必要な道路などだけは作ってあげる)
というのが、
開発援助である。


簡単にいうと、

緊急援助は、「ばらまき型」の援助であり、
将来の持続可能性など、考えなくてよい。
(今すぐ、大勢の人が死にそうなのだから、しかたがない。)
また、
外国人が、一方的に、
水や食料を「恵んであげる」、
医療をしてあげる、という体制で行う。


開発援助は、「持続可能性」を考え、
将来的に(外国からの援助がなくなっても)
自力で国を良くしていく体制を
整えていくことを考える。
また、
あくまで、途上国の人が主役であり、
外国人は、脇役であって、
よけいなおせっかいは、必要最低限に
しなければならない。
なお、
途上国の人々が、自分たちの国を
自力でよくしていこう、という姿勢を
支援することを
「オーナーシップを高める」という。


・・・マスコミが取り上げる国際協力・・・

で、国際協力の世界全体でみると、
予算の規模でみても、
かかわっている人の人数の多さでみても、
国際協力の9割以上は、
「開発援助」として、行われているのである。

開発援助は、
主に、国際機関と政府機関が行っているため、
(途上国政府からの要請によって)
先進国の官僚などが途上国の首都へいき、
途上国側の担当官と、
いろいろな打ち合わせをする。

「会議をする」のである。

たくさんの会議をし、
どのようなプロジェクトをすれば
その国の「未来のため」に良いかを
話し合い、調整し、構築してゆく。

で、実際のプロジェクトは
誰がやるのかというと、
その8割以上は、
その途上国の国家公務員や地方公務員が
上(省庁)で作られたプロジェクトに従って
実行するのである。

(日本人が、直接的な活動をするわけではない。)

(誤解しないでもらいたいのだが、
 持続可能性を考えると、これでいいのだ。
 なぜかというと、
 外国人が、直接的に、医療や教育をしても
 やがてどうせ自国に帰ってしまうのだから、
 始めからその国の公務員で
 やっていける体制を考えたほうが、
 合理的なのである。)

教育でも、医療でも、経済でも、
なんでもそうである。

(一部、先進国から来た、
 医療・教育・経済などの専門家が、
 途上国政府の官僚(担当官)などに
 助言や研修をすることはあるが、
 あくまでも脇役であって、
 主役は途上国の人々であることに
 かわりはない。)

(と、いうわけで、
 開発援助においては、ほとんどのケースで、
 日本人は、会議をいっぱいして、
 プロジェクトを途上国の人と構築する、
 という形で、
 「間接的に」関わっているのである。
 自分で直接的な行動を、
 途上国の田舎までいってやるわけではない。)

(誤解のないように書いておくが、
 実際に、途上国の田舎で、
 そのプロジェクトが行われいるかを
 監視(モニタリング)するために、
 ひと月に1回、などの頻度で、
 視察にはいっている。
 が、それは数時間程度であって、
 そこでずっと活動するわけではない。)


さて、
ところが、テレビなどのマスコミは
国際協力の主力が、
(上記のような)
開発援助であるにも関わらず、
それをいっさいとりあげない。

なぜかというと、
途上国の中でも、かなり都会である
首都で、クーラーのきいた部屋で、
会議をしてばっかりいるのが、
開発援助の主な仕事であるからだ。

が、
その会議は、もちろん必要なものなので、
大変、重要な意味があることなのだが、
テレビ局の人には、それがわからない。
(ピンとこない。)

テレビ的には、
直接、日本人が、
学校の先生をしたり、
医者や看護師が患者さんを治療したり、
途上国の貧しそうな人とふれあったり、
植林や農業を直接自分でやっている姿を
撮影したがる。

(もちろん、開発援助の中でも、
 一部のNGO(非政府組織)の人々や
 青年海外協力隊の人々などが、
 そうした(直接的)活動を行ってはいるが、
 それは国際協力全体からみると
 ほんの一部だ、ということである。)

テレビ局のディレクターは、
上記の直接的な活動だけが
国際協力だと思っていることが多く、
また、
そうした「わかりやすい国際協力」を
テレビで流さないと、視聴率がとれない。

と、
いうわけで、
一般の人には、
あやまった国際協力の情報
(主役ではない、直接的国際協力だけが
 国際協力の全てである、と思わせる情報)
が流れていき、
多くの人はそれを事実だと思ってしまう、
ということである。


・・・援助オリンピック Show the Flag !・・・

で、
緊急援助と開発援助の話に戻るが、

要するに、
テレビなどのマスコミが撮影したいのも、
一般の人々が理解しやすいのも、
直接的な国際協力だ、
ということである。

直接的な国際協力とは、
緊急援助と、開発援助の一部である。

また、
それらを両方たしても
国際協力全体の、1割にも満たない部分だ、
ということである。


が、
マスコミは、そこをとりあげたがる。

そこで!

有名になって、知名度を上げて、
募金をたくさんして欲しいNGOも、

国際社会で貢献していることをアピールし、
国連安保理の常任理事国入りを狙っている
どこかの国(あなたの国)も、

ともに、マスコミの注目する「大災害」の時に、
自分の組織の部隊(?)を送り、
われさきにと、現地に到着し、
自分たちが、途上国の現地で、
「直接的に」活動している姿をみせたい、
(テレビでとりあげられたい)
と考えるのだ。

あたかも、
戦争で勝利した土地に、
自分の国の旗を立てようとする
兵隊たちのように、
殺到するのである!


"Show the Flag !"


これが、災害が起こった時に、
現地に殺到して、自分の団体の存在を
アピールしようとする援助団体たちを
揶揄(やゆ)するために作られた標語だ。

日本語では、
「援助オリンピック」という。


1988年、
(西アジアの、黒海とカスピ海の間にある)
アルメニア共和国で、大地震が起こり、
2万5千人以上の人が死んだ。

そこに援助団体が殺到し、
(われさきにと)先陣争いや、
陣地争い(なわばり争い)が起こり、
実際に現地で、ケンカや小競り合いが起こった。

援助団体の人どうし、
殴りあいのケンカなども、起こったのである。

(もっと汚い、お互いの団体の活動の
 足の引っ張り合い、けなしあいなどもあった。)


で、(良かったのは(?))
その殴りあいの様子も、マスコミに報道されたのである。

これにより、
国際協力団体、というものの意義や体質が疑問視され、
(名前を売り、金が欲しいだけなのか、と思われ)
以後(欧米の)マスコミ(の一部)は、
援助団体のことを批判的にみるようになった。

http://www.jica.go.jp/jica-ri/publication/archives/jica/kenkyu/06_43/pdf/03.pdf#search='アルメニア地震 援助オリンピック'


・・・他人の不幸を喜ぶ人・・・

緊急援助の活動をしている人というのは、
どんな人か、おわかりだろうか?

例えば、
1時間前に、どこかの国で大地震が起こり、
マグニチュードが、7以上で、
大変な被害が予想される、という情報が、
テレビなどから入ってきたとする。


あなたは、すぐ行けるだろうか?


あなたが、まっとうな人なら、行けるはずはないのだ。

あなたが会社員なら、いけるはずがない。
あなたが医師でも、いけるはずがない。

だって、明日も会社や病院で
(あなたがいなければなりたたない)
仕事があるからだ。

(あなたが、普段の仕事において、
 重要な役割をしめていればいるほど、
 あなたは明日急に、外国にいくことなど
 できない。
 社会的な常識人であれば、できるはずがない。)


では、
外国で災害が起こった時に、
すぐに出発できる人とは
いったいどういう人であろうか?

一つは、
緊急援助を専門に行っている
大型の団体の場合、
そのために出発されるべき人たちを
あらかじめ、事務所においておき、
(普段は、あまりすることはないが、
 給料をちゃんと払い、一応、事務所に置いておき)
いざ、災害が起こったら、
すぐ出発できるようにする、
という方法だ。

で、
こうした人たちが、
普段、何を考えているかというと、


「あーあ、暇だなあ・・
 どっかの国で、地震かなにか、
 おこんねぇかなあ・・」

「おれ、いっぺん、
 途上国にいって、かっこよく
 緊急援助っての、やってみたいんだよね」


という風に考えている人もいる、ということである。


世の中を、平和(?)にするべく
活動するべき国際協力団体のスタッフが、
実際は、
他人に不幸が起こることを望み、
自分がかっこよく活躍できる場ができることを望む、
という

「究極の自己満足野郎」である、場合も多い。


(以上は、極論であるが、
 ひとつの側面としては、事実である。)

(もちろん、普段から日頃の業務を
 個人ではなく、「チームで担当」しており、
 緊急の災害などに対して、
 人員をさける(すぐに途上国に出発できる)
 ようにしている優秀な組織もある。)



・・・

で、以上が、前置きである。

これらを踏まえた上で、
「日本の緊急援助の歴史」を、次回、概説する。


ワクチン債、投資で国際協力? 3974字

.
投資によって、世の中を良くしていこう、
という動きが社会で起こっている。

私自身も、
環境に配慮し、社会の倫理を守る企業、
すなわち
「企業の社会的責任(CSR)」
を実施している企業を応援するための
手段として、
そうしたCSR優良企業へ
優先的に投資をすることを
推奨している。

http://www.ets-org.jp/csr/

ちなみにこれを
「社会的責任投資(SRI)」という。

が、
もちろん、
投資で世の中をよくしていこう、
と思った場合、
CSR優良企業に投資をすることだけしか
方法がないわけではない。

それ以外の方法の一つが、
「ワクチン債」である。


・・・

ワクチン債とは何か、
ということを、まず説明する。


まず、
根本的な背景から説明する。


2000年に、グローバルインクという組織が
全ての国家のGDP(国内総生産)と、
ほとんどの大手企業のGDPを比較した。

そうして1位から100位まで
ランキングをつけたところ、
なんと、上位100のうち、
53が企業であった。

すなわち、現代社会というのは、
国家よりも企業のほうが
世界を動かす力が
大きくなってしまった可能性がある。

よって、
これまでの国際協力や
途上国に対する開発(援助)は
各国が、それぞれの国からの
政府開発援助(ODA)という予算や
国連(などの国際機関)への拠出金
によって、行われていたのだが、

これからの国際協力や開発は
企業たちもその責任を担うべきだ、
という意見が、国際社会で言われるようになった。


また、1990年代から欧米で起こっていた
CSRブームも、
この世界の潮流を、後押しした。


・・・

この流れの中で、
2000年に、
「世界経済フォーラム」が
スイスのダボスにおいて開催された。

日本では、この会議は
「ダボス会議」と呼ばれている。

http://www.weforum.org/en/index.htm

ダボス会議とは、
世界の大企業1000社以上と、
各国の首相や大統領、
さらには国連などの国際機関の代表などが
一同に会する、一大イベントである。
毎年開催されている。

経済関係の議題だけではなく、
最近では地球温暖化を始めとする
環境問題なども、論議されるようになった。


で、
この2000年のダボス会議において
「GAVIアライアンス」
という組織が設立された。

これの正式名称は、
「ワクチンと予防接種のための世界同盟」
( The Global Alliance for Vaccines and Immunization )
である。

http://www.gavialliance.org/

簡単にいうと、
世界の子どもに予防接種を提供しよう、
それによって、子どもの健康に貢献しよう、
という団体(財団もしくはNGO(非政府組織))
である。

国際機関である
WHO(世界保健機構)、ユニセフ(世界児童基金)、
世界銀行、各国の政府、ワクチン製造会社たち、などが、
共同で提案する、という形で創設された。

国際機関、各国の政府、民間の企業たちが、
複合して立ち上げた、全く新しい形の組織が、
この、GAVI、だった。

(民間企業たちも、政府も、国際機関も参加する
 同盟(アライアンス)であるため、
 GAVIアライアンス、と呼ばれる。)


で、
できあがった、このGAVIに対して、
強力に資金のバックアップを約束したのが
マイクロソフト社の、ビル・ゲイツだった。


・・・

ビルゲイツは、2000年に、
妻とともに世界最大の財団である。
「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」
Bill & Melinda Gates Foundation (B&MGF)
を創設し、国際協力活動を始めた。

http://www.gatesfoundation.org/

彼は、会社のほうからは身を引き、
今後は人道援助活度に力を入れるといっていた。

http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65092091.html

ともかく、
彼は、途方もない量のお金を持っているため、
この財団によって、支援されたGAVIは、
その創設において、
予算的には十分な基盤を得たことになる。


・・・

GAVIは、途上国などにおいて、
ワクチンの接種を子どもたちに大量に行う活動に
大規模な資金援助をした。

国際機関(ユニセフなど)が、
ワクチンの接種を行う時の共通プロトコールを
「拡大予防接種プログラム」
( Expanded program on immunization : EPI )
というのだが、
GAVIは、これに対して大量の資金を提供したのである。

http://www.who.int/countries/eth/areas/immunization/en/index.html

http://www.afro.who.int/ddc/vpd/epi_mang_course/pdfs/english/red.pdf

2000年からこれまでのGAVIの資金提供によって、
途上国で死ぬはずだった200万人以上の子どもたちが
(そのワクチンの接種によって)救われた、と
試算されている。


(繰り返し書いておくが、GAVIは、
 途上国に事務所をもっておらず、
 実施のワクチンの接種に関しては、
 ユニセフなどの他の国際協力団体に委託している。)


・・・

GAVIは、
2000年に国総会で採択された
「ミレニアム開発目標」にも賛同しており、

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs.html

http://www.un.org/millenniumgoals/

http://www.unmillenniumproject.org/

その中の項目4、にあたる乳幼児の死亡率の減少に
貢献することも目指している。

この項目4、とは、
「2015年までに、5歳児未満の死亡率を
 1990年の水準の、3分の1に削減する」
というものである。


この文言(もんごん)の中の
「2015年までに」
というところが、ポイントである。


・・・

2006年、イギリス政府は、
このGAVIアライアンスの活動を
全面的に支援することを表明し、
資金調達のための、あらたな方法を考えた。

それが、
「予防接種のための国際金融ファシリティ」
( The International Finance Facility
for Immunisation : IFFIm )
である。

http://www.iff-immunisation.org/

http://www.gavialliance.org/resources/Iffim_booklet_J_web.pdf

http://www.iff-immunisation.org/pdfs/IFFlm_po_JP806.pdf

この組織が、発行している「債券」が
「ワクチン債」なのである。


・・・

まず、債券とは何かというと、
国などが、必要な資金を
借り入れるためにに発行する
有価証券である。
一番典型的なものは
国家予算を確保するための、国債だ。

で、
上記の、IFFImが発行する
ワクチン債とは何かというと、
ワクチンを接種するための予算を
確保するために、
売り出された有価証券である。
これを買えば、
そのお金は、GAVIにいき、
GAVIからワクチンの接種を行う
国際協力団体に資金がいって、
途上国において子どもたちに
予防接種が行われる。

一方、一定の時期が過ぎれば、
あなたが買った「ワクチン債」
という有価証券は
(通常、買った時よりも高い値段で)
売ることができ、
あなたも儲かる、というシステムだ。

また、このワクチン債に関しては、
イギリス政府や、このシステムに賛同する、
フランス、イタリアなどの国々が、
それらの国の政府開発援助(ODA)の
予算をつかって担保する(保証する)
ということが約束されている。


と、いうわけで、
一見すると、非常に美味しい話なわけだ。


(1)自分も投資してお金が儲かり、
   (年利率、数%以上)

かつ、

(2)途上国の子どもたちを救うことができる、
   (という、想い(自己満足?)も味わえて)

おまけに

(3)イギリス政府などの国によって保障されているから
   リスク(損をする可能性)が、低い。

という3拍子そろった最高のシステムが
この「ワクチン債」という制度なわけだ。


・・・

と、いうわけでは、ワクチン債は、
各国で大人気となり、
日本でもいろいろな形で
「ワクチン債」が販売された。


大和証券
http://www.daiwa.jp/doc/080822.pdf#search='ワクチン債'

三菱UFJ証券
http://www.bk.mufg.jp/tameru/shouken/shouhin/gaisai/pdf/090406_vaccine.pdf#search='ワクチン

東洋証券
http://www.toyo-sec.co.jp/newgoods/b_wakuchin_0906.html

日本で大きな反響のあったワクチン債
http://www.gavialliance.org/resources/Japanese_IFFIm_Update_3_12.07.08.pdf


・・・

ところが、
このワクチン債には、
致命的な欠点がある。

それは何かというと、

2015年以降の、未来に、
使われるべきはずだった
イギリスなどの国々の
政府開発援助(ODA)(のための予算)を
前倒しして、今、使ってしまおうという
システムであること、である。

(ちなみに、このワクチン債のための
 ドナー国(資金提供国)となっているのは、
 イギリス、フランス、イタリア、スペイン、
 スウェーデン、ノルウェー、南アフリカ共和国、
 である。)


このため、
ミレニアム開発目標の一部を、
2015年までに達成することには
ある程度、貢献するかもしれないが、

その後、
(2015年以降に)
イギリスなどの政府からの
政府開発援助が、一気に減るため、
途上国の状況は、悪化する可能性が高い、
ことである。


要するに、
まったく、持続可能なシステムでは、
ない。


・・・

しかしながら、
ともかく、金融のシステムを使って、
国際協力活動に、お金を少しでもまわそう、
という発想は、
根本的な部分で、良い、と思うので、
今後、この「ワクチン債」を
さらに改良したシステムが、
世の中に生まれてくることを期待する。


また、
日本で、このワクチン債が売れた、
ということは、
日本の投資家も、少しは社会貢献をすることに
興味を持ちだしている可能性が高いので、
良い傾向ではないか、と思う。



・・・
・・・

補足:

ワクチンによって予防できる病気と、
それによる5歳未満の子どもの死亡数

肺炎球菌による肺炎など  70万人が死亡
麻疹(はしか)      50万人が死亡
ロタウィルスによる下痢  40万人が死亡
インフルエンザ桿菌B(Hib) 40万人が死亡
百日席          30万人が死亡
破傷風(tetanus)      20万人が死亡




チョコラ!、ケニアの路上少年たち 2580字

.
どんドコどんどん、どんどんどん
どんドコどんどん、どんどんどん


いまから 99ねんまえ
ぼくらは こどもだった

ストリートに すみ
みちを あるいた

さむさを しのぐために
ビニールで いえをつくった

せいふのひとが やってきて
いえを こわしてしまった

だから だから
トラックのしたで ねむった

とつぜん あめがふりだした
ぼくらはぬれて こごえた

でも、センターのひとがやってきて
ぼくらをいえに つれてった

よのなか いいひとも いるもんだ


どんドコどんどん、どんどんどん
どんドコどんどん、どんどんどん


・・・

先日、「チョコラ!」という映画をみた。
ケニアの映画だった。

チョコラとは、スワヒリ語で
「拾う」という意味。

路上のゴミを拾い、それを売って生活する人を
侮蔑(ぶべつ)して呼んだ言葉だ。

ストリートで生活し、
空き缶などのゴミを拾って業者に売り、
時には盗みを行い、
シンナーやタバコを吸う少年たちなどが
特にこう呼ばれている。


ちなみに、
集めた鉄くずは、1キロ、8シルで
買いとってもらえる。

(シルとは、ケニア・シリングの略称。)
(1.23円が、1ケニア・シリング。)
(つまり、1キロ集めて、10円ぐらい。)


この映画は、ドキュメンタリーで
数人の少年たち、一人一人が、
それぞれ10分ぐらいずつ、
たんたんとビデオカメラで追いかけられる
という構成をとっている。

合計で90分弱、という長さ。


・・・

この映画の面白いところは、
別に「貧困の中にある子どもたち」
というよくある話をあつかったものでは
ない、という点だ。

映画に登場する子どもたちには、
普通の家もあり、
家族もいて、
その家族も特に貧困ではない。

(アフリカの実情を知らない人には
 初めてみると、貧困と思うかも
 しれないが、
 アフリカの平均的な生活レベルを
 知っている場合、
 映画に登場する子どもたちの家庭は
 むしろ平均レベルより高い、
 ことがわかる。
 アフリカの暮らしを、日本の生活レベルと
 比べてしまうのは、間違いである。)

で、
子どもたちは、

父親に虐待されたわけでもなく、
母親が食事を作ってくれないわけでもなく、
家庭が貧困で働かなければならないわけでもない。

「どうして、家をとびだして、
 ストリート・チルドレンとなり、
 ゴミを拾って売るような生活をしているのか?」

ときいても
彼らは答えられないのである。
黙ったたまである。

うつろな目をして、黙ったまま。

(おそらくは、
 彼ら自身のプライド(?)を 守るために、
 自分自身の内(うち)なる世界を守るために、
 沈黙を続けるのだろう。)


彼らの年齢は、
だいたい10歳から16歳ぐらいまで
であった。


・・・

この子どもたちは、もちろん学校にも行っていない。
行っても続けられない。

子どものための施設やNGO(非政府組織)が
彼らが学校に再びいけるように
手はずを整えてあげても
続けることができず、すぐやめてしまうのだ。

学校をやめる理由をきくと
「友達とあわない」
などの普通の理由をいう。

中には、

「街でシンナーを吸っていた、と言って
 いじめるやつがいるから」

「僕が学校の同級生の女子をレイプしたと
 ウソをつくやつがいるから」

などの解答もあったが、
どうも彼らには、共通する「香り」が
あるような気がした。


・・・

共通する香り、というのは、
日本の10代の子どもたちと同じ
「思春期の悩み、迷い」
である。

日本の子どもたちにも
登校拒否や、いじめ、引きこもり、
ニート、その他の問題があるように

ケニアの子どもたちにも
そうした精神的な「ふつうの悩み」がある、
ということかと思う。

別に、
豊かな国に生まれた子どもでも、
やや貧しい国に生まれた子どもでも、
どんな国の子どもにも
思春期の悩みはあり、

社会や学校、自分の家庭に
適応できない人たちがいる、
ということが
この映画のメッセージなのではないか、
と私は思った。


・・・

なお、この映画の舞台は、
ケニアの首都ナイロビの北にある
ティカ、という名前の町。

その中にある
「キャンドゥドゥ・スラム」
という所。

ここには、
日本人の女性が運営している
「モヨ・チルドレン・センター」
という、
ストリート・チルドレンの
ケアをする施設がある。

映画の中には
この女性がたびたび登場し、
「迷える少年(?)」を
なんとか更正させようと
努力していた。

(その子がもともと住んでいた家の
 普通の家庭の親に会ったり、
 学校にもどそうと、
 学校の先生たちと話し合いをしたり、
 などしていた。)

が、結果はかんばしくない。
子どもたちは、結局、
もとのストリートの生活に
戻ってしまう。


・・・

と、いうわけで、この手の
(途上国での)ドキュメンタリー映画の
内容としてはめずらしいものだったので
個人的には、面白かった。

が、
みなさんに、この映画をみることは
正直のところ、あまり勧められない。

理由は、(一般的にいって)
かなりつまらないからである。


アマチュアが撮影し、かつ編集した
ドキュメンタリー映画でよくあるのだが、
自分の撮りたいものを
単に写し、それを、そのまま上映しているため、

あまりにも淡々としており、
(道を少年が歩いているだけなどの映像が多く)
めりはりがなく、
何を伝えるために見せられているかもわからず、

したがって、
見る人の多くが、寝てしまう、
という現象が起こる。


私がみた会場でも、
3分の1以上の人が、寝ていた。

もともと、このタイプの映画をみよう、
として、わざわざ交通費を払って
会場に来るような人は、
途上国の問題などに関心がある方だと思うが、
それでも3分の1以上寝ていた、
ということである。

よって、もし、一般の人にみせたら
間違いなく半分以上、寝ていたと思う。


私も、一応、映画を作っているので
編集方法なども、一通り知っているのだが、
なんぼなんでも
淡々としすぎていて
見る人に対する配慮が
ちょっとなさすぎ、というのが
率直な感想だ。


・・・

が、それでも見たい、
という人がいるかもしれないので、
以下に上映会場の情報を掲載しておく。


2009年8月14日(金)14時
2009年8月16日(日)14時

JICA地球ひろば
(東京、広尾、3番出口から徒歩1分)

要予約
chikyuhiroba@jica.go.jp

JICA地球ひろば
http://www.jica.go.jp/hiroba/index.html


・・・

関連リンク

チョコラ!
http://www.chokora.jp/

モヨ・チルドレン・センター
http://moyo.jp/mcc.htm


・・・

ちなみに、来週から
私はこのケニアの地、
ティカに向かう。

日本の子どもたちと同じ、思春期の悩みを持つ
子どもたちに会うために。




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