山本敏晴のブログ

1965年生、仙台出身。医師・写真家・NPO法人宇宙船地球号理事長。元国境なき医師団日本理事。 峭餾欟力師」という概念を提唱。企業の社会的責任(CSR)を推進。世界中で大切なものの「お絵描きイベント」を実施。著書に『世界で一番いのちの短い国』『アフガニスタンに住む彼女からあなたへ』 『国際協力師になるために』、『あなたのたいせつなものはなんですか?』『世界と恋するおしごと』『地球温暖化 しずみゆく楽園ツバル』『「国際協力」をやってみませんか?』など

2014年10月

国際協力師への道、医療関係者向け、第2日目分、原稿(仮)017

山本 :次ですね。

    4番目に来る重要な病気が、「はしか」ですね。

    英語だと、measlesって言いますが、
    麻疹ですね、医学の正式用語は。

    あなたは、はしかは見た事ありますか。

さおり:無いです。

山本 :そうですね。

    はしかはですね、日本でも、いまだに感染すると、
    千人に1人から1万人に一人くらいは死ぬ病気です。

    死亡率としては、そんなに高くは無いんですけども、
    仮に1億人全員が感染したとすると、
    1000人に1人死んだとしても、10万人死ぬ事になりますので、
    結構な数だという事です。

    途上国では、(医療環境がととのっていないので)
    はしかになった子が、そのまま死ぬことが多いです。
    (日本でも江戸時代では、結構死んでいました。)

    これがあるので、はしかに対する   
    ワクチンの予防接種が、
    途上国では特に重要だというふうに、言われています。
    というわけで、
    国連のunicefなどが中心になって、
    ほとんど全ての途上国でワクチンを打ちまくるって事を、
    やっています。

    話が多少、逸(そ)れますけども、このためunicefは
    EPI、という世界的に大規模なプログラムをやっています。
    EPIとは、Expanded Program on Immunizationの略で、
    日本語では、拡大予防接種計画、などといいます。

    で、具体的に、何をやっているかというと、
    次の6つの病気に対するワクチンの接種などをしています。

    それらは、
    ジフテリア、百日咳、破傷風
    (以上三つの英語の頭文字をとってDPT)、
    結核(BCG)、麻疹(はしか)、
    ポリオ(俗に小児麻痺、急性灰白髄炎、これのみ内服)、です。

    その6つくらいの病気に対して、
    unicefが世界中の子供達に、ワクチン接種を、
    がんばってやろうとしているはずなんですよ。
    ・・・と、いうことを、ここで触れておきます。

    さて、5番目です。
    
    5番目にくるのが栄養失調です。

    栄養失調は、食べ物があまり無いために、
    やせすぎている、子どもです。

    栄養失調をどうやって判断するか知ってますか、子供で。

さおり:体重。

山本 :まあ、そうなんですが、現場によっては、違うんです。

    どうやって診断するかと言うと、
    こういう、「栄養失調を判断するための専用のテープ」
    が、あるんです。
    やわらかいプラスチックなどでできた、巻尺のようなものです。
    それでここ(子どもの上腕)を巻くんです。

さおり:腕の周り。

山本 :ここを巻いて、ここの長さが12.5センチ未満だったら、
    栄養失調と判断するんです。

    11センチ未満だったら、重度、超重傷(の栄養失調)で、
    すぐに入院させて、「栄養補助プログラム」始めないと
    死ぬかもしれないとされています。

    途上国の田舎では、デジタルの体重計もないですし、
    また、子どもの体重を測ることは、
    (泣いてあばれて、じっとしていないことなどもあり)
    困難だとされています。
    ですので、栄養失調を判断したい場合は、
    この、専用のテープを、二の腕にまいて、
    その太さが、太いか細いかで、判断してしまう、
    ということです。

さおり:何歳以上とか、あるんですか。

山本 :1歳から5歳位の子供に関しては、
    今のやり方で全部やっちゃいますね。

    時間が短縮出来るからですけれども。

    2番目の方法が、
    「身長あたりの体重」で判断をする方法です。
    これには、さすがに、体重も使います。

    例えば75センチの子供だったら、
    仮に10キロくらいあるのが普通だ、としますよね、
    そしたら、それが通常よりも、
    標準編差の−2SD以下、であるかどうかで判断します。
    ともかく、
    「身長あたりの体重」で、判断すのです。
    
    これ、何でかって言うと、日本だと、乳幼児健診では、
    「年齢あたりの体重」でやっているんですけれども、
    途上国ではこれが出来ないんです。

    理由は何でだか分かりますか?

さおり:何歳だか分からないから。

山本 :そうです。
    
    途上国には戸籍が有りません。
    住民票も有りません。
    出生届けをする制度もありません。
    (または、あっても、実際に人々がおこなっていません。)

    このために、お母さんは自分の子供が何歳か、
    いつ生まれたかを知らないのです。

    このために、日本では「年齢あたりの体重」で栄養失調とか、
    健康不良児を判定するんですけれども、
    途上国では「身長あたりの体重」でやると、いう事ですね。

    それで、上腕の周りの長さ、
    これMUAC(ムアック)って言うんですけれども、
    MUACって何だっけな・・
    mid-upper arm circumference、上腕中央部の円周、ですね。
    覚えてね。

さおり:はい、MUAC。

山本 :で、基本的には(栄養失調の判定を)やると。

    もうちょっと(判断をする)時間が有れば、
    身長体重を計って判断すると。

    (時間があるならば)普通は両方やります。

    両方引っかかってたら、栄養失調なので、
    栄養を改善するためのプログラムを始めると、いう事ですね。
    (その詳細は、今回は、ふせます。)

    以上の5つ、肺炎、下痢、マラリア、はしか、
    栄養失調の5つの事を、
    BIG 5(ビッグ・ファイブ)と、言います。

    この5つが、NGOなどがやる、緊急医療援助で、
    一番重要な病気ですね。
    なんでかというと、難民キャンプなどの過酷な状況で、
    人々が死んでゆく原因の、トップにくるものだからです。

    あなたが途上国でも、首都とかじゃ無くて、
    本当のど田舎に行って(直接的医療を)やる場合は、
    必ずこの5つを、まず最初に診れなければいけない、って事です。

    あなたはこういった事を知っていましたか?

さおり:こういったこと?・・・。

山本 :今言ったこの5つ(の病気)が、
    (死亡率の)BIG5なのですが、
    それぞれの診断法や治療法は、
    どっかで勉強した事はありました?

さおり:BIG5、この日本では死因にならないけれども、
    途上国では大きな死因になるって事は知ってました。

    で、日本で診れる肺炎、 下痢とかの治療は
    勉強した事は有りますけど、
    その途上国ならではの治療法ってのは、勉強した事が無いので、
    非常に勉強しなきゃいけないなと、反省しました。

山本 :そうだね。



(次回に続く)

・・・

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国際協力師への道、医療関係者向け、第2日目分、原稿(仮)016

山本 :これら三つの病気に共通する問題があります。

    それは何かって言うと、
    病原体が、抗生剤などに対して、耐性化してしまうことです。

    要するにですね、途上国の人に、
    薬を、こちらが指示した通りに飲んでねっていっても、
    ゆうこときかないんですよ。

    普通の抗生物質ってのは、一部の例外は有りますけれども、
    大抵は1日3回、5日間位飲むのが普通です。

    ところが、貰った患者さんは、
    言われた通り飲まないんです。
    日本人の患者さんでも、
    いわれたとおりに飲まない人、多いですが。

さおり:飲まないですね、私も飲まないです。

山本 :そう。

    抗生物質ってのは1回だけ飲んでも効きませんし、
    一部例外はありますけども。

    逆に、貰った薬を、だらだら、だらだら、1日1回ずつ、
    ずっと一か月以上、飲んでいたりすると、
    今後は細菌が耐性化してしまうんですよ。

    緊急医療援助団体とかは、
    タダ(無料)で薬を患者さんにあげたりしますから、
    (症状がなくなり、必用がなくなっても)
    何回もその患者さんや、その家族が薬を貰いに来て、
    「なんか薬を飲むと元気になるらしいよ」、とか言って、
    ずっと1ヶ月も、下手すると1年位、
    ビタミン剤の代わりみたいに、
    抗生物質を飲んでる人とかいっぱい居ます。

    何でかって言うと、我々がタダであげてるからです。

    すると、当たり前ですが、ペニシリンだろうが、
    セフェムだろうが、クロロキンだろうが、
    何でも耐性化してしまいます、当たり前ですよね。

    と、言う訳で、途上国では耐性化が、 
    大変な問題になっていると、いう事を、ここで強調しておきます。

    (この耐性化を)防ごうとしたら、大変なんだよね。(笑)

さおり:(笑)

山本 :1つやっているのは、薬を渡したら、
    まず、すぐ、その場で、最初の1錠を
    飲ませてしまうって事ですね。

    で、無いと、話が横に逸れますが、
    売ってしまう奴が居るんですね。

    途上国では、皆さん、貧しいので、
    薬を、タダで我々があげると、
    それを「闇商人」に300円くらいで売って、
    お金に変えて、それで食べ物を買おうとする。

    薬が無くても死にませんけど、
    食い物が無いと、人間死にますからね。
    薬よりも、食べ物が欲しいのが、人間です。

    と、いうような「現実」も有るという話を、軽くしました。

    ここまでで何か質問有りますか。

さおり:無いです。



(次回に続く)

・・・

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国際協力師への道、医療関係者向け、第2日目分、原稿(仮)015

山本 :3位、マラリア。

    以上の3つの病気は、もう常に揺るがないですね。

    この3つで、9割の人が途上国の田舎では死にます。

    マラリアって何かと言うと、寄生虫の名前です。

    蚊が刺すと、
    その唾液の中にマラリアっていう寄生虫が入っていて、
    それが人間の体内に入ると、
    赤血球っていう酸素を運ぶ血球の中に、
    住むようになって、うじゃうじゃ増えて、熱が出て、
    悪寒がして、寒気がして、体がふるえて、
    例えば、さらに、脳みそに感染したりすると、
    痙攣起こして死ぬっていう病気ですね、簡単に言うと。

    症状は、熱が出るのと、シバリングと呼ばれる、
    震えが起きたりするのと、頭痛、吐き気などが起きます。

    これ日本には(現在は)無い病気、
    日本では絶滅した病気なので、無いので、
    日本の医者も看護師も見た事が無いはずなので、
    事前に勉強しないとだめですね。

    診断はですね、熱が有ったら、
    取り敢えず、肺炎じゃないかどうかを、胸の音を聞いて、
    雑音が無ければ、肺炎じゃ無いんだと思って、
    次に、マラリアのクイックテストってのを、
    さっき言ったのをやるとですね、
    マラリアなら、陽性が出ます。

    マラリアには、3日熱(みっかねつ)マラリアと、
    熱帯熱マラリアってのが有って、
    アフリカでは重要の熱帯熱マラリアの方が多いので、
    死に易いんですね。

    東南アジアのやつは、3日熱マラリアと言って、
    死ににくいんですけれども、いずれにしても、
    死ぬ事は有ります。

    治療は、昔はクロロキンっていう、
    めっちゃくちゃ安い1円くらいの薬を、使っていたんですけれども、
    最近皆がいい加減に飲む(飲ます)ので、耐性化してしまって、
    今、9割方耐性化してしまいました。

    このために、中国の漢方薬が原産の、
    アルテミシニン誘導体っていう薬が 今、主力になっていて、
    これを飲んだりしているわけですね。
 
    重傷の人は、もう飲めない、口から物が飲めないので、
    キニンっていう薬を点滴で入れなきゃいけないんですね。

    重傷になった人は、もう動けない、病院に来て、
    点滴受けなければ、これも死ぬ、100%死ぬ、
    100%でもないけど、まぁ死ぬって事ですね。

    っていうのが、マラリアですね。

    ここで何か質問ありますか。

    マラリアの研修とかって受けた事あるの?

さおり:無いです。

山本 :あなた(これから)ケニア行くんじゃ無かったっけ?

さおり:ケニアに行きます。

    研修、マラリアの研修って、
    マラリアとはこういう物ですよって、講義みたいな?

山本 :そうね。
    ともかく、・・・無いんだ。

さおり:無いです。

山本 :ありゃまぁ。
    じゃあ、最低でも
    この本(国際保健医療学)でも読んどいて下さい。

さおり:はい。



(次回に続く)

・・・

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国際協力師への道、医療関係者向け、第2日目分、原稿(仮)014

山本 :(あなたは外科系の看護師ですが、)
    内科系の病棟に居たことは有るんですか、小児科病棟とか。

さおり:小児科は無いです。

    (ちなみに、先日まで、
     日本の地方にいって医療をおこなってきましたが)
    徳之島は、一応括り(くくり)は急性期ですけれど、
    寝たきりの老年(世代)を対象にする場合もあったし、
    慢性期から急性期まで1つの病棟に居たので、
    随分高齢者の肺炎とかには出会ってきました。

山本 :大体、高齢者の人は、死ぬ時は、誤嚥性肺炎が多いですね。
    食べ物が間違って肺の方に転がって、
    誤嚥性肺炎ってのになって、そのまま死ぬってのが、
    かなり多い死亡原因の1つだと思います。

    抗生物質を色々投与するけれども、
    何年もそれを繰り返すうちに、細菌が耐性化してしまって、
    何やっても効かなくなるんで、死ぬしか無いっていうのが、
    けっこうあると思いますね。

    ともかく、話しを戻しますが、
    肺炎は、さっき言ったように、レントゲンなんか無くても、
    診療も治療も出来ますので、
    (途上国の田舎では)
    そんな感じで対応することになると思います。

    次にいきます。
    下痢は、国によっては死亡率の常に1位にくる病気ですね。

    下痢の原因は何だと思いますか。

さおり:下痢の原因は、細菌感染。

山本 :まぁ、日本だとそうなんですけども、
    途上国の場合は、寄生虫が多いんですね、実は。

    日本とは、原因となるものが全然違うんですね。

    日本でも昔あった、蟯虫、回虫、甲虫などと言う、
    ものが、下痢の主な原因に入ってきます。

    (看護学校時代の)寄生虫という授業で、
    あなたも少しだけ勉強した事があるでしょうけれども、
    日本では今はほぼ撲滅されて無いので、要するにあなたは、
    (アフリカにいって、下痢の患者をみた場合)
    見た事も無い原因のものと向き合う事になるんですね。

    この後(にくる重要な病気として)、
    マラリアが出るので、ここで言っちゃいますけれど、
    簡単に言うと、途上国では病気が日本とは全然違うので、
    取り敢えずそれ用の勉強をきちんとしてから行かないと、
    (事前に勉強をしてから行かないと)
    日本人の医者や看護師が行っても、
    基本的には何の役にも立たないと、いう事です。

さおり:なるほど。

山本 :寄生虫の場合、大体途上国の子供は、
    80%以上が寄生虫に感染しています。

    8割以上ですから、
    全員寄生虫にかかっていると思って、
    間違いありません。(笑)

さおり:(笑)

山本 :だから、途上国にいって、対人関係をよくしようと思って、
    挨拶として、手で握手をすると、
    ほぼ間違いなく寄生虫の卵が、ここに、自分の手に付きますね。

    で、その手で、パンなどを食ったりすると、感染するので、
    私なんかは、定期的に虫下しの薬を、
    寄生虫を殺す薬を、
    そうですね、毎月1回くらいは最低でも飲んでいました。
    (メベンダゾールという薬があります。)

    さらに、帰国する時は絶対飲みますね、基本です。

    あと、気を付けなければならないのは、野菜です。

    (途上国の田舎の食堂(?)などで)
    食事をする時に、特に野菜系やサラダ系は、
    生野菜ででてくることが多いです。

    生で出さないと、煮たりするとビタミンが壊れてしまうので、
    栄養学的には、それでいいんですが、
    別な問題が発生します。

    それは、
    生の野菜は、寄生虫が100%付いているんですよ。
    (肥料に、人糞(じんぷん)などを使っているからです。)

    野菜サラダを食いたいとか思って食うと、
    100%寄生虫が移りますよね。
    
さおり:食べない方が良いってことですか、生野菜は。

山本 :極論言うとそうですね。

    (その代わりに、ビタミンの補給は)
    マルチビタミン剤ってのを、飲んだほうが無難です。

    例えば1年間くらい途上国の田舎に行くんだったら、
    1年間分持って行って、ビタミン剤飲んでいれば、
    別に野菜食う必要は基本的には全然無いので、
    そうやった方が良いっていう風に
    言っている人もいます。

    後は、精神的な問題で、
    野菜をどうしても食いたいっていう女性は、
    時々カボチャ食いたいとかいう女は時々居ますので、
    その場合は、よっぽど煮るか、洗うかして
    ビタミンは諦めると、いう事ですね。 
    (注;水溶性ビタミンのBやCは、流れ出てしまう。)  

さおり:分かりました、持って行きます。

山本 :ちなみに、途上国での下痢の診断は、
    その患者本人が下痢してると言ったら、下痢ですね。
    (注:患者の詐病については、他の私の本で詳述した。)

さおり:(笑)
    大変分かり易いですね。

山本 :そしたら、基本的には下痢の治療をするために、
    薬を投与します。

    寄生虫が原因と思われる場合は、
    メトリニダゾールという薬を使うことが多いです。
    赤痢アメーバや、ランブルべん毛虫が疑われる場合は、
    これを使います。

    細菌性の場合は、コトリモキサゾールっていう名前の、
    1番安い、数円くらいで買える抗生物質が
    (国際NGO向けに安価で)売られているんですよ。

    別の名前を、ST合剤、といいます。

    日本では副作用が強くて使いませんが、途上国では使えます。
   
    ところが、これが、効かない場合があります。
    最近は、細菌が耐性化してしまっているので、
    効かない場合、 第三世代セフェム系の抗生剤を使います。

    多分、あなたか聞いた事があるのは、バナンとかを使います。
    あとは、ニューキノロン系の抗生剤の、
    クラビットやシプロキサンなどを使います。
    聞いたことありますか?

さおり:あります。

山本 :そういうのを出すって事ですね。

    問題は、下痢が重傷の場合です。

    下痢が重傷になると、
    ずっと続いていると、どうなりますか?

さおり:ずっと続いていると脱水になるのと、電解質がくるうって事と、
    下痢辛いですから、体力が奪われちゃいますよね。

山本 :そうだね。

    脱水、要するに水が不足して、電解質が狂う。
    分かり易く言うと、
    ナトリウム、塩の成分であるナトリウムと、
    身体の中にはもう1つ、
    カリウムってのが必要なんですけれども、
    ナトリウムとカリウムの身体の中にある量の割合、
    比率が崩れてしまうと、人間ってのは、やる気が無くなる、
    だるくなったり、 気分が悪くなったり、
    メシを食うのすら億劫になり、水を飲むのすら億劫になります。

    すると、水が足りないのに、行動力が下がるので、
    そのまま脱水、下痢で脱水になり、それが続いて、
    最終的には死ぬと、いう事になりますね。

    と、いう訳で、ある程度重傷になったら、
    まず重傷になる前に、
    そもそもポカリスエットとか、アクエリアスのような、
    いわゆるスポーツドリンクを、飲ませないといけません。

    途上国では、ポカリスエットは売っていませんので、
    ORS、英語で Oral Rehydration Saltと言って、
    日本語に訳すと、経口脱水改善剤を、
    大体1袋を1Lの水に溶かしたりして、飲ますんですよね。

    ってのを、2Lくらい、1日最低飲めよっていう話を(患者に)して、
    でも、さっき言ったように、脱水で電解質異常が起こると、
    本人が飲めなくなってしまうので、ほとんど死んじゃいますから、
    つまるところ、点滴するしか無いですね。

    で、点滴してあげると。

    点滴の内容は、普通は(ソリタ)1号液とかいうのを使うのですが、
    医学部の講義のような話になるので、細か過ぎるので止めます。

さおり:(笑)

山本 :以上が、下痢の診断と治療ですね。

    下痢について何か質問ありますか。

さおり:口から水が飲めないくらい下痢が重傷で、
    具合が悪くなった時って、
    病院が無かったらどうするんですか。

山本 :死んでる。

さおり:病院に連れて行くか、
    それが出来なかったら死んでるって事ですか。

山本 :うん、そうだね。

    だから、死亡率の1位、2位は、常に肺炎と下痢だよ、
    途上国では。

    これに比べれば、他の病気なんて、
    (死亡率を考えた場合)
    はっきり言って大して重要じゃないよね。

    そのくらい、重要だよ。

さおり:分かりました。



(次回に続く)

・・・

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国際協力師への道、医療関係者向け、第2日目分、原稿(仮)013

山本 :ここでは、そのケース3と4に関係する病気から、
    話をしていきましょうか。

    ケース3とケース4では、
    対象となる病気がほどんど同じです。
 
    基本的に、途上国で多い病気は、色々ありますけれども、
    取り敢えず、以下の10個くらい
    知っておけばいんじゃないかと思います。

    こっから、節が変わります。

    今まで喋っていたのは、第1節ですね。
    (ここからは、第2節に入ります。)

    さて、医療援助には、5種類も有るんだと、
    いうことを話しました。
    それらは、それぞれが、全然やっていることが違う、
    という話しをしました。

    その5種類の中で、
    普通の人(自分は死にたくなく、直接的医療がしたい人)が、
    やりたいと思うケースは、
    分類3と分類4だろう、ということを話しました。

    分類3は、最貧国の田舎で、
    診療所などの建物がなく、医療従事者が全くいないケース。

    分類4は、中進国の田舎で、
    診療所はあるが、看護助手などが細々と医療をしているケース。

    ケース3、4で多い病気は何かって言うとですね、
    まずですね、一番多いのは(アフリカンなどでは)3つです。

    肺炎と、下痢(で脱水)と、マラリアです。

    これは、途上国の熱帯地方であれば、
    どこに行ってもこの3つは大体(死亡率の上位に)きます。

    日本も、江戸時代までは、死亡率の1位は、肺炎でした。
    ちなみに、2位が結核です。
    江戸時代の平均寿命は、日本は50歳でした。

    このように、抗生物質が発明される前までは、
    常に世界中のどこであれ、死亡率の1位は常に感染症でした。
    だから、細菌性肺炎や、感染性の下痢症が、死亡率のトップです。
    基本的に。

    ともかく抗生物質が無いと、人間は肺炎か下痢で死ぬって事です。
    特に子ども、老人、
    ええと高齢者、老人は差別用語ですね。
    と、いう事を覚えておいて下さい。

    で、肺炎とかの診断に関してはですね、
    (途上国の田舎にいって、検査もろくにできない場合について)
    先程も言ったように、
    この国境なき医師団の「CLINICAL GUIDELINES」ってのに、
    詳細に書いて有るんですけれども、
    英語読むの嫌いな人も居るでしょうから、
    簡単に喋ります。
    
    診断は、通常体温計で計って、37.5度以上位があれば、
    熱があると考えます。
    8度以上だったら一応高熱と考えます。
    で、聴診器をあてて、
    医者だろうが看護師であろうが、資格の無い人であろうが、
    こうやって息吸って下さいって、はーふーはーふーってやると、
    ザザザ、普通はすーはーすーはーって、聞こえるんですが、
    ザザザ ザザザって音がしたら、それは肺炎か気管支炎です。
    と、その本に書いてあります。

    どっちかは分かりませんが、肺炎でも気管支炎でも、
    治療は同じなんで、全部診断名は、「肺炎」にします。

    あと、熱が有る場合、
    途上国ではマラリアの可能性があるので、
    マラリアの「クイックテスト」(迅速診断キット)っていう、
    こんくらいのスティックがあります。

    患者の指に針をぶっ刺して、血を1滴絞り出して、
    このスティックに1滴落とし、大体3分位待つと、
    (マラリアの感染が)陽性か陰性か分かる
    簡単なキットがあるんですね、
    そのマラリアに関するテストをします。
    マラリアの流行地で、患者に熱がある場合は。

    マラリアでは無かったとしたら、
    もうそれで肺炎か気管支炎って診断して構いません。
    (注:途上国の田舎で、死亡率が、マラリア・肺炎・下痢の
     三つで、死亡率の90%が占められるような場合、
     上記のような「簡便な診断」がゆるされる。
     理由は、それを行うのは、
     十分な教育を受けた医師や看護師ではなく、
     現地の看護助手などが行うからである。前述。)

    そしたら、後は治療ですね。

    治療は、さっき言ったように、基本的には、見た目が重傷、
    重傷かどうかの判断は後で教えますが、重傷で無ければ、
    飲み薬で、ペニシリン系の安い抗生物質、
    「アモキシシリン」ってやつが、1番値段が安いので、
    それを飲ませます。

    それが、効かないようであれば、諦めて、
    第三世代セフェムっていう高い抗生剤を
    使ったりします。

    で、重傷の場合は、点滴で、
    点滴を普通はこの辺(前腕)に刺してですね、
    子供だったらここ(手背)か、ここ(足首)、アフリカの場合は、
    頭皮針って言って、頭の皮の針って書いて
    頭皮針っていうのを(側頭部などに)刺すのが、
    子供では一般的です。

    日本だと、子供は手の甲のここに刺しますけれど、
    アフリカでは、こっち(頭)で、それが普通で、
    別に可哀想でも何でもありません、普通です。
    (注:日本人がみると、かわいそう、に見えるらしい。)

    大人だと、普通、手首のこの辺に刺します。

    重傷かどうかの判断はどうするかって言うと、
    これは別に日本だろうが世界だろうが、同じだと思いますが、
    基本的には「バイタルサイン」で決めます。

    バイタルサインってのは何かと言うと、
    以下の、5〜6個ぐらいの、項目をいいます。

    「脈」(心拍数)は、普通は60回くらいなんですけれども、
    そうですね脈が120回、1分間に、
    普通は60回くらいなんですけれども、
    1分間に120回以上だったら、普通は頻脈って言って、
    相当まずい状態だと思いますね。

    「血圧」、血圧は普通は120の80
    (収縮期血圧が120、拡張期血圧が80)
    くらいですけれども、
    例えば収縮期血圧が180以上とか、逆に80未満とかの場合は、
    死にそうですね、基本的に。

    後は、「呼吸数」。
    呼吸数は、1分間に普通16回くらい、大人で、ですね。
    子供の場合、倍くらい、30回くらいあると思いますけれども、
    1分間に60回くらい、
    フッハッ フッハッ っていう呼吸をしている子は、
    呼吸不全で、間もなく死ぬ可能性が高いです。
    大体、そういう子は、4時間以内くらいに、
    アフリカの最貧国の田舎では死にますね。
    (注:既に数日間、絶食で脱水で、重症の肺炎のことが多いため)

    後は、
    「意識レベル」ですね、当たり前ですね。
    意識レベルを調べるためには、まず、患者の名前を呼びます。

    名前が分からなければ、「あんた」って、呼びます。
    君、Hey you とか適当に言って、
    普通は肩を叩きながら呼びかけます。

    すると普通は、反応しますよね、
    「何ですか?」って言ってきたら、
    まぁ、取り敢えず(意識状態は)OKですね。

    声かけても、叩いても、反応しない場合、
    意識レベルの判定方法は「3-3-9度」とか、
    「グラスゴーコーマスケール」とか、色々有るんですけれど、
    今日は難しい話は全て省きまして、
    声掛けても、叩いても、
    つねって(痛みを与えても)反応しなければ、
    これは意識が相当下がってるので、
    めちゃめちゃやばいので、死にそうなので、重傷と判断します。

    と、いうような感じで重傷かどうか判断します。

    と、いうのが肺炎などの治療です、だいぶ横道に行きました。

    次ですね、この肺炎の治療に関して、何か質問ありますか。

さおり:無いです。

    治療は、あまり日本も途上国も変わらないんだな、と、思って。



(次回に続く)

・・・

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