昨日は、東京の某企業に行き、
CSR推進本部長にインタビューをした。
この会社は、医療機器などの分野で
業界第一位のシェアを持つ、大企業だ。

最近私は、一般の会社員や消費者こそが
「持続可能な世界」のために貢献しなければ
いけない、ということを提唱しているのだが、
通常、企業がこうした「社会貢献活動」を行うのは
ブランディングと呼ばれる企業のイメージアップのために
行われていることが多く、
実際、どこまで本気でCSRが行われているかは
疑問視せざるを得ないのが現状だ。

それを踏まえた上で
今後どのような対策をとれば
CSRが本物になっていくかを知りたく思い、
今回のインタビューに踏み切った。

・・・

なお、
読者には、
CSR(企業の社会的責任)など
初耳だという人もいるだろうから
以下に簡単に説明をしておく。

近年、CO2排出の増加により
地球温暖化が進んでいる。
このまま温暖化が進むと、
様々な異常気象が起こり、
地球環境が崩壊に向かうことが
多数の環境学者から指摘されている。
そしてそのCO2を大量に放出しているのは、
アメリカでも、中国でも、日本でも、
企業たち、である。

上記の温暖化の問題以外にも
現在の資本主義社会および市場経済では
経済の発展と大量消費が必須となっているため
このままでは、さまざまな資源が枯渇に向かってしまう。
石油、天然ガス、ウランなどのすべてが
あと数十年で枯渇してしまう可能性が
以前からなんども指摘されている。
何年で本当になくなるかには、異論が多いが、
早いと65年ぐらい。遅くても200年も持つことは
ありえないだろう。
すると、すべての資源がなくなった時に
現代文明は、倒れるかもしれない。
というか、倒れざるをえない。

こうした警鐘が鳴らされ続けているのに
株式会社などの形態を持つ、企業、という組織は
経済的な発展、株価の上昇が続かないと
維持できないシステムになっているのだ。

しかし、このままでは、
本当に、資源が枯渇してしまう、
そして、社会も倒れてしまう、
そうなれば、お金を稼ぐ場所である社会を失った企業も
消滅してしまう。
そうなる前に、企業たちは
自分で自分たちの生き残るすべを
探さなければならない。
滅び行く社会に、歯止めをかけなければならない。

というわけで、生み出されたのが、
CSR(企業の社会的責任である。)

・・・

具体的には、いくつかの要素からなる。
カタカナの専門用語が多いので、簡単に解説しておく。

1.ガバナンス(企業の統治)
   企業の方針決定の際に、
   社外の第三者からの意見を求めること。
   例えば、取締役会に、社外の人を数人入れる、など。

2.コンプライアンス(法令の遵守)
   各国の法律を守るだけではなく、
   法律になくとも、社会の倫理や常識を守ること。

3.ディスクロージャー(透明性)
   企業の運営体系などについて、
   株主や消費者、また自社の社員などに対して
   十分な説明をしなければならないこと、など。

4.マルチステークホルダー(多彩な利害関係者)
   企業が責任を持つのは、
   株主、消費者、自社の社員、だけではなく、
   地域社会、NPO、環境、他の生物、未来の子供たち、
   など、様々な点に配慮しなければならない、こと。

5.環境問題系
   CO2の削減(1990年比で、6%以上減らす)
   ゼロ・エミッション(産業廃棄物を出さない、など)
   3R(Reduce, Reuse, Recycle )など。

など、まだまだあるが、以上の全てを総合的に行うのが
CSRである。
すなわち、環境問題だけでなく、企業の運営体制、そのもの、である。

・・・

ところが、実際、上記のような運営が
本当にできるのか、というと、
昨日のインタビューの話では、
まだまだ無理そう、という感じであった。
理由は、いくつかある。

まず、
例えば、透明性や説明責任の問題であるが、
これがまず、無理、ということだった。

資本主義社会では、
自社独自の付加価値を、商品につけることにより
高く売ることができる。
値段が原価より高くても、その付加価値があるので
買う、のである。

この付加価値が、ハード(目に見えるもの、物体など)であれ、
ソフト(目に見えないもの、ブランド価値など)であれ、
ともかく、そのオリジナルの魅力により、商品が売れる。

ところが、透明性をあまりにも大きくしてしまうと
自社のオリジナルの、企業秘密の部分である
特殊な技術や、なんらかのノウハウが、外部に漏れてしまう。

外部に漏れてしまって困るのは、
上記の、ノウハウ、だけではなく、
自社で、まだ十分ではない欠点の部分を社会にさらす、ことは
他社に、自社の弱みを握られることにつながってしまう。
これは、他社が、なんらかの広報戦略にでるときに
その欠点をつかれる可能性がある。

よって、透明性も、説明責任も、非常に難しい、というのだ。
(が、まあ、そりゃそうだろう、と思う。)

また、環境問題への対策にしても、同じである。
例えば、リサイクルに配慮した商品を作り、
かつ、消費者の使用後に、通常は廃棄されてしまう商品を
各社が、商品回収センターを
(各小売店や量販店の近くに)持つ、
という方向性が、
(資源の枯渇を防ぐためには)
今後必要になるかもしれないのだが、
これをすると、コストが2倍ぐらいになってしまう。
100円のボールペンが、150円になってしまう。
消費者は、当然、安いほうを買うので、
他社との競合に負けてしまう。
だから、環境に、極端に配慮することは、できない、

以上の例のほかにも、環境に配慮することは、
いろいろな意味でコストがかかりすぎるのだ。

・・・

よって、このままでは、企業のCSRは、
あくまでも、かっこのいいポーズであって
本当に意味のある、実質的なことを
いつまでたっても、行わない可能性がある。

・・・

で、これの打開策を、
以前から、ずっと私は、考えてきた。

方法は、以下である。

・・・

企業がCSRを行うには、
企業と、消費者と、地方自治体(または国)
の、三つの連携が必要である。

企業が、環境に配慮した良い商品を作ったら
消費者は、その商品を多少高くても、
買わなければならない。
こうした価値観は、既に人間のできあがった
大人の人には、啓発が難しいので
子供のころ、小学校のころから
そうした価値観を教育しなければならない。

環境に良い商品ならば
多少高くても買う、のだと。

また
上記だけでも、まだ難しいので、
さらに地方自治体(または国)による
以下の法律や条令が必要である。

それらは、環境税と、CSR企業への減税措置、
の二つである。

すなわち、
石油(プラスチック、ビニールなど)などの
枯渇してゆく原料を使用する企業に対しては
高額の(現在の倍近い)税金を徴収する制度を作る。
同時に
環境に配慮して原料を調達し
(すなわち、植林をしたり、代換エネルギーを使用する)
企業に対しては、大幅な減税をする、という方法だ。

企業というものは、単純に、経済合理性で動く。
お金が儲かるほうに、単純に、動く。

上記の二つの法律を作れば、
環境に配慮することが、企業の収益につながるのである。
(というか、そうしないと、倒産してしまう。)

環境だけではなく、
ガバナンスがしっかりしている企業は、10%減税、
コンプライアンスがしっかりしている企業には、20%減税、
という風にしていけば
環境以外の部分も、実行可能ではないか、
と考えている。

これが、三位一体の、CSR改革である。

これが、持続可能な社会を生み出す
人類の切り札の一つとなる・・・
のではないか、と考えているのだが
上記だけでも、まだまだ難しい。
理由は、いずれ、折に触れて書いていく。