最近、
小児科医と産婦人科医が減っている。

この理由を
一般の人は、知らないと思うので
解説しておく。

四つの理由がある。

・・・

1.医療訴訟。

まず、最近、
日本は、アメリカなみに、訴訟が増えている。

昔のような、
「黙っていることが美徳」の日本人ではなく、
現代型の、アメリカ人のような、
「言ったもん勝ち」の風潮に変わってきた。


医療訴訟で多いのは、
産婦人科、小児科、麻酔科、である。

50%が、産婦人科
30%が、小児科
10%が、麻酔科
10%が、その他(美容整形など)

である。

これを見れば、一目瞭然だ。
だれも、産婦人科医や小児科医などに
なりたがるわけがない。

わかりやすい話をすると

例えば
あなたの
88歳の、おじいさん(おばあさん)が
肺がんで、なくなった場合、
多少、
治療が不十分であったかもしれない状況でも
訴えるだろうか?

例えば
あなたの
22歳の、妻が
出産の時に、なくなった場合、
多少でも、
治療が不十分であった可能性があったら
訴えますよね?

例えば
あなたの
3歳の、息子(娘)が
肺炎で、なくなった場合、
多少でも
治療が不十分であった可能性があったら
訴えますよね?

そういうことである。


私の友人の小児科医は、
治療にミスがなかったのに
患者が死んだということで訴えられた。

小児科医や産婦人科医は
患者が死んだ場合、
仮に、治療にミスがなくても
訴えられる確率が、他の科より高いのである。

訴えられれば、
裁判で勝つか負けるかに関係なく
膨大な時間を
裁判のために、さかなければならない。
その他、信用を失い、経済的にもダメージを受ける。

とてつもない、損害となる。

・・・

2.給料が安い。

小児科医の場合は、
給料が安いことも、一因だ。

基本的に、
病院の売り上げは、
患者に処方した、薬の量によって決まる
側面がある。

体重50kg以上の大人には
解熱鎮痛剤を
5g、処方するとする。

すると
体重10kgの子供には
解熱鎮痛剤を
1g、処方することになる。

どちらが儲かる(もうかる)と思う?

内科のほうが
小児科の5倍、もうかるのだ。


例えば、
海外から日本に戻ってきた時、
国際協力活動のために
お金をためなければならない私は、
日本では、内科を行い、
海外では、小児科を行っている。

理由は、明白であろう。

・・・

3.夜勤が忙しい

小児科医は、
当直している時に
夜、起こされる回数が
非常に多い。

内科医として当直した場合

小児科医として当直した場合

比べると、
大体、3倍から5倍ぐらい差がある。

小児科医のほうが、
圧倒的に忙しい。

例えば、
子供が、ちょっと熱を出したといって
びっくりしてお母さんが、
夜中の救急外来に来る。

例えば、
気管支喘息(小児喘息)の子が
点滴や吸入療法を行うために
夜中に、やってくる。
一回、点滴をすると落ち着くので
家にかえすが、
2時間後ぐらいに
また発作が起こって、再度、来院する。
これが
2時間ごとに、朝まで続く。


産婦人科医は、
出産がいつ起こるかわからないので
いつでも忙しい。

もちろん、出産の予定日というものがあり、
その日に、陣痛を誘発する。

陣痛を強くする薬も、弱くする薬もあるが
患者によって、よく効く人と、あまり効かない人がいる。

このため
結局、予定通り生まれず、
時間がかかったり、夜中になったりする。

と、いうわけで
産婦人科医も、かなり忙しい。

・・・

4.高校生が、医者になる理由

高校生が医者になる理由として多いのが

金が儲かるから
将来が比較的安定しているから
自分の偏差値が65以上で入れたから
一般の企業は不況でリストラが多いから
など

である。

こうした若者が医学部に入ってくるので
将来、彼らが希望する科は
形成外科(美容整形)

皮膚科・眼科(緊急事態が少ない)

内科(つぶしがきく)
などである。

美容整形は、病気を治すわけではないので
保険がきかない。
このため
厚生労働省が、治療費の金額を定めておらず
医者の、「言い値」で、料金を決められる。

二重まぶたにするのも
豊胸術も
10万といえば、10万。
100万といえば、100万。
1000万といえば、1000万。
である。

美容整形も、実は訴訟が多いが
事業に成功すれば、収入が高額であるため
優秀な弁護士を雇うことができ
負けることは、少ない。

と、いうわけで、
わざわざ
小児科や、産婦人科のような
労多くして、馬鹿をみる、
(訴訟をおこされる)
職業につこうという、やつは
もう、ほとんどいない。
というわけだ。

・・・

先日、次のような事件が起きた。

22歳の奥さんが、
出産の時に、大変な難産となった。

旦那さんは、
かかりつけの病院に電話した。

今、満床で、ベッドが空いていない、
といわれた。

救急車を呼んだ。
救急車の隊員は
かたっぱしから
まわりにある病院に電話した。

すべての病院に
満床だ、または、うちは産婦人科のベッドがない、
と言われた。

(最近、病院では、
 訴訟が多くて儲からない産婦人科と小児科の
 ベッド数を、どんどん減らしている)

結局、
なんと、県外の病院にまで電話したところ、
やっとOKがでて、そこまで救急車は、走った。

到着するまで、3時間。

その病院についた後、
医師と看護師は、必死の治療をしたが、
母子ともに、死亡した。

旦那さんは、その病院を訴えた。

(救急車を受け入れて
 奥さんを治療してくれた病院を、訴えた。)


・・・さて、悪いのは、誰であろうか?

ちょっと考えてみて欲しい。


奥さんを死なせた、医師と看護師か?
受け入れを拒否した病院たちか?
救急車と各病院の連携の悪さか?

医療費を削減し続ける日本政府か?
この状況を放置する厚生労働省か?
各病院の当番制を持たせない地方自治体か?

そんな政府に選挙で投票している、我々市民か?
マスコミの訴える力が政府を動かせないことか?


その答えは・・

すべて、である。