「本当に意味のある国際協力とは何か?」

「持続可能な世界を作る方法とは?」

大きな二つの疑問を持ったまま
立ち上げた団体が、
NPO法人・宇宙船地球号、だ。


現在おこなっている、主な活動は、
一言(ひとこと)で言ってしまうならば

「世界に目を向けて行動する人を増やすこと」

である。

・・・

かつて私は、
ある大きな医療系の団体にいた。

その名前を、とりあえず、
Bとしておこう。

アフリカに派遣された私は
医療だけを行っている
その団体の方針では

「未来に残る意味のある援助
 にならないのではないか?」

という疑問を持ち、
自分で「現地の人々への教育」を始めた。

私が日本に帰った後に
その国が
再び、医者のいない状態に
戻ってしまっては意味がない。

それでは、
私の、一時的な自己満足に
なってしまう。

そうならないために
私は、現地の人(病院全体)に対する
教育を行った。

医師や看護師を育て
私が日本に帰った後も
同じレベルの医療が
その病院で維持できるようにしたい
と思った。


現地語を覚え、
現地文化を尊重し、
西洋文明の押し付けにならないように
配慮しながら
未来に残すための教育を行った。


この国では
結果は、まずまずうまくいった。

最低必要な医療レベルの試験をしても
現地スタッフ全員の平均点が
60点前後まで上昇した。

医療のほうでも
重症の肺炎などがきた場合、

当初、患者の25%以上死亡していたが
最終的に、5%しか死なない病院になった。


教育の効果、だと思う。

こうして私は、この国を去り、
次の国へ向かった。

・・・

中東の国へ行った。

ここでも、
医療をしながら、教育をした。

それにより
「未来に残す意味のある援助」
をしようとした。


しかし、
この国では、
まだ戦争が続いていた。

しかも
戦争が終結する見込みは
無かった。


戦争の続いている国では
たとえ病院を造っても
ぶっこわされてしまう。

手塩にかけて育てたスタッフが
殺されてしまう。


私は、
自分の考えの甘さを痛感した。


未来に残る意味のある援助を
実現するためには
医療と教育だけでは
ダメだった。

戦争を止めなければならない。

・・・

それ以外にも
「本当に意味のある国際協力」
を目指すためには
考えなければならない要素がいくつかある。


1.政治の安定(戦争の仲裁、人権の配慮、難民問題、など)

2.経済の調整(貧富の差を縮める、持続可能な開発、など)

3.教育の普及(初等教育の普及、高等教育の機会の拡大、など)

4.医療と公衆衛生(最低限の医療と衛生状態の保障、など)

5.環境問題へ配慮(人口増加問題、地球温暖化、公害、など)


これら全てを満たした時に
初めて、
「本当に意味のある国際協力」
になるのではないか?


しかし、
これら全部のことを
私一人で、できるわけがない。

一人の人間や
一つの団体でも
これら全てを実行できるものは
存在しない。

では、どうすればいいかというと
恐らく


「将来、どんな分野にいってもいいから
 自分のいる場所で、
 世界のことを考えながら、働いてくれる人を
 増やすことではないか?」


・・・

こうして作った団体が、
「NPO法人・宇宙船地球号」
である。

大枠(おおわく)としては
三つの活動の分野がある。

1.きっかけ

2.具体的行動

3.意味のある活動へ

・・・

1.きっかけ
とは、
とりあえず、
なんでもいいから
世界のことに目を向けてもらうこと。

それは、
写真の絵本でもいいし
映像(映画やテレビ番組)でもいいし
芸能人やミュージシャンを使ったイベント
でもいい。

なんでもいいから
感動させて、やる気をもってもらう。

ここに相当するのが、
当法人で行っている
お絵描きイベント」というものだ。


・・・

2.具体的行動
とは、
その人が今いる状況に合わせて
できることを紹介し
まずは
「最初の一歩」を
踏み出してもらうことだ。

それは、

ボランティアとして活動することでも
プロの国際協力師を目指すことでも

会社でCSR(企業の社会的責任)を果たすことでも
買い物をする時、環境に配慮した商品を買うことでも

なんでもいい。

・・・

3.意味のある活動へ

とりあえず、始めてもらった後、

「自分がやっていることは、意味があるんだろうか?」

「本当に意味のある国際協力とはどんなものだろう?」

考えてもらうことが重要だと思っている。


しかしその答えを知るには
非常に難しい「方法論」を勉強し
かつ
「実践」を続けていくこと
が必要である。

この段階になると
話が難しくなるため
多くの人が、
ついてこれなくなってしまうのである。


このため
「小出し」にするようにしている。

本物の方法論は、
数百にわたる私の講義を
聞いてもらうしかないのだが
いっぺんに
それを渡されたら
誰でも頭がパンクしてしまう。

したがって
その人のレベルに合わせたものを
適切な時期に、適切な量の情報を
提供しなければならない。


最初は、これは
・・・大変だ、と思った。

一人の人に絞って、
その人に合わせた情報を
提供するのも難しいのに

私は、基本的に
書籍などを用いて
不特定多数の人に
大量の情報を送る仕事をしているからだ。


この難しさを克服するために、
様々な方法で
情報を発信している。

その人の、その時点でのレベルに合わせた
情報が、見つかりやすいように。


A.書籍「世界と恋するおしごと」(小学館)
   国際協力やCSR(企業の社会的責任)を
   実際行っている人にインタビュー。
   その生い立ちも紹介した。

書籍「あなたのたいせつなものはなんですか?・・・カンボジアより」(小学館)
    カンボジアの子供たちが描いた
    大切なものの絵と、その子の写真

B.新聞、テレビ、ラジオ、などでの広報
   プロの国際協力師、という概念を提唱
   NHKラジオの「きらり10代」の「憧れ仕事百科
   今年1年での新聞等への掲載記事は、37回

C.講演
   年間50前後の講演を、全国で開催
   終了後、聴講者に感想文を書いてもらい、
   講演の効果を判定。

D.写真展
   年間10回以上の写真展を、全国で開催

E.インターネットのホームページ
   宇宙船地球号の補足サイトにて

   「未来の国際協力師たちへ」
     様々な年齢、学生から社会人までの
     国際協力を行いたい人と山本が対談。

   「世界と恋するおしごと@ウェブ版」
     国際協力等を行っている人へインタビュー

   「買い物で世界を買える、実践編」
     環境に配慮した商品を買い
     そうした商品を作る企業を見つける方法

F.インターネットのブログ(日記)
   山本敏晴の日記、というのを現在、書いている。

   持続可能な社会の実現を目指すためには
   考えたくないけれども
   考えなければならない
   たくさんの「事実」がある。
   それらを、
   「小出し」にしているのが、私のブログである。

   数百にわたる、本当に意味のある国際協力の
   様々な側面を、少しずつ書いていく予定だ。

   長い、と思われる方もいるだろうが
   一つのまとまった情報を提供するには
   最低でも、この長さは、必要である。
  
   なぜかというと、
   情報を削りすぎると

   「うそ」
   になってしまうのである。

   また、底の浅い議論しかできず、
   いつまでたっても、核心を突くことができない。

・・・

さて

ここからは、
団体を運営すること、
それ自体の難しさについて、書いてみたい。


当初、大きな医療系団体である
Bというところに私はいた。

しかし、
「未来へ残すための教育」

「現地文化の尊重」
などを
掲げた私と、Bとは、
どうしても、考えが合わなかった。


自分が所属する団体と
自分の考え方が合わない時、
いくつかの方法がある。

1.あきらめて、その団体に合わせる。
2.団体を中から改革していく。
3.辞めて、他の団体にいく。
4.辞めて、自分の団体をつくる。

私は、
当初、その大型団体の改革を試みたが
欧米に本部がある団体の改革は
当時の私の実績と能力では、無理だった。

そのため
独立して、自分の団体を作った。
2年前の
「NPO法人・宇宙船地球号」の立ち上げである。

・・・

NPO法人を立ち上げた当初、
予算の獲得に焦った。

もともと私がいた団体Bは
日本だけでも年間予算20億円を超える
大型の団体だった。


私は、負けたくなかった。
今、思えば、いやしい感情だったが。


その団体より大きな団体を
作ってやろうと思い、
どうしたら、お金が集まるか
ということばかりを考えた。


しかし、
考えているうちに
大きな壁にぶちあたった。

壁というより、疑問である。

・・・

疑問その1.寄付をしてもらうことが、できるか?

私のやろうとしていることは
非常に抽象的である。

「世界に目を向ける人の数を増やす」
というだけだ。

「アフリカで、死にそうな子供を
 助ける活動をします。

 食べ物と医薬品を送るお金が必要です。
 寄付をしてください。」

というような、わかり易い活動ではない。

よって、
企業からにしろ、
一般の人からにしろ、
こんな抽象的な活動に対し
寄付をしてもらうことが
できるだろうか?

正直、ちょっと無理だと思った。
インパクトが、なさすぎる。

・・・

疑問その2.お金を集めることが、目的なのか?

私がなぜ、こんな活動をしているのかというと
「持続可能な世界を実現させるため」
である。

それだけだ。

私の作った団体を、大きく、立派にするためでは、ない。
それでは、私の
「自己満足」になってしまう。

絶対に、そうした「本末転倒」が起こってはならない。


私は、
かなりの量の勉強を毎日しており、
また
大変な量のフィードバックも頂いている。

しかし、
「これが、完璧な国際協力だ」
という理論を
いまだ、作れないでいる。

「こうしたほうが、まだましだろう」
ぐらいの方法論しか持っていない。


私は、一生勉強を続けていくが、
おそらく
死ぬまでに、完璧な国際協力
というものに
お目にかかることも、
自分でそれを作ることも、
決してないであろう。

今より、「もう少しまし」、なものを
作れるとは思うのだが。


一方、他の国際協力団体を見ていると、
自分たちが行っている活動内容や方針に
疑問を持つことさえせず
ただ、ひたすら

「うちの団体の活動は、すばらしいです。
 募金をして下さい。」

といい続けているような印象を持ってしまう。


私は、決して、そうは、なりたくない。

貧乏なままでもいい。
自分自身を疑い続け、
よりよい国際協力とは何か?
を求め続けていきたい。


・・・

疑問その3.仮に団体を大きくすることに成功しても?

世界最大の医療系の団体が、あった。
その名前を、仮に、Aとしよう。

そこは、国連と協調関係にあるNGOだっため
国連の常任理事国五カ国(米・露・中・英・仏)

非常にまずいこと(戦争・虐殺・人権侵害等)を
している現実を見たとき
それを世界に告発することが、できなかった。

Aにいた医療スタッフは、
「これは、おかしい」
と思った。

このままでは、世界はよくならない、と思い、
辞めて独立して
Bという団体を作った。
啓発活動(アドボカシー)にも力をいれる
団体であった。

このBという団体は、
世界的に有名な写真家に
自分の団体の活動の様子を撮影させ
世界中で写真展を行った。

これが、ヒットした。

一流企業とのコラボレーションにも
力を入れた。

Bという団体は、急速に大きくなり
世界最大の医療系NGOの一つになった。


しかし
大きくなった団体の中では
スタッフの間で、「派閥争い」が起き、
考え方の違いが生じ、
結局、
五つの団体に分裂した。

B1,B2,B3,B4,B5
という団体たちに分裂してしまった。

それに加えて
はっきり名前を変えて独立した
C,D,E,という団体もできてしまった。


私の団体も、
その、C,D,Eのうちの、一つである。


当初、私は、独立した自分の団体の
予算を増やし、
ボランティアスタッフの数を増やし、
事務所を広くして、
有給職員をいっぱい置く、
というような
体制を考えていた。

もともと、Bという大きな団体にいたので
それに影響されていたのだ。


しかし、
団体を大きくする、
という方向性は、
「持続可能な世界を作る」
という目的のために必要な
一つの「選択肢」
にすぎない。

「団体を大きくすること」
が目的ではないのだから
それを「絶対にする」必要はない。

もしも
団体が小さいままでも
「持続可能な世界の実現」
に貢献できる、のであるならば、
団体を大きくする必要はまったくない。


これに気づいたとき
目から鱗(ウロコ)が落ちた。

長年の呪縛から抜け出した
そんな気がした。


結局、団体を大きくしたところで、
分裂してしまう危険性が出たり
そこまでいかなくても、派閥争いが起きたり
お金を集めることに必死になって
自分の団体の「綺麗ごと」
の部分だけを、
外に向かって広報したりすれば
「意味のない団体」
になってしまう。


これは
「本当に意味のある国際協力とは何か?」

目指すために作った
宇宙船地球号の理念から、大きく逸脱してしまう。

・・・

NPO法人・宇宙船地球号の
現状を、報告しよう。


理事長兼事務局長  1名 山本敏晴

理事        3名
賛助会員等   274名(マンスリーサポーター含む)

毎日働いている人       8名(全員、無給)
時々働いている人    約100名(全員、無給)

情報提供を希望する人  7488名

・・・

2004年夏に、東京都に申請し、
2004年末に、NPO法人として認証された。


2005年度は、集まった予算が、8,226,623円だった。

賛助会員などからの会費         945,000円
講演や写真展時等の寄付金       6,899,019円
講演主催者等からの交通費補助      382,604円


2005年度の、支出は、6,042,885円。

海外活動費(お絵描きイベント等)  3,095,820円
講演(演劇)用パソコン、映写機等  1,158,998円
一般に啓発するための郵便物の発送  1,788,067円

人件費は、   ゼロ(全員ボランティアスタッフ)
事務所の家賃は、ゼロ(山本が私費から捻出)
残金の200万円は、今年度の予算に繰り越された。


2006年度の収支に関しては
来年の2月ごろ、
担当の会計士を通じて報告される予定だ。


ともかく、
当法人・宇宙船地球号は、
年間予算数百万円程度の
弱小団体にすぎないが、
以上のように、
皆様から頂いたお金の全額が、プロジェクトに使われている。

このため、予算が少ないわりには、
意味のある活動を行っているつもりだ。


自分の団体を大きくすることは
基本的には、あまり考えない。


あくまで
「本当に意味のある国際協力」
を目指し
「持続可能な世界の実現」
を目標とする。


そのために

「世界に目を向ける人々を、増やす」

・・・

こうした人々の啓発活動が
どのくらい、意味があるかどうかを
数字で示すことは、難しい。


NPO法人・宇宙船地球号は、
自分の団体に募金をしてくれ、とも言わず、
自分の団体に入ってくれ、とも言わない。

プロの国際協力師(国連職員など)になることを勧め
企業のCSRを推進し
消費者の買い物の仕方を改善する。

いずれも、すぐには効果が現れないため
指標となる「数字」で結果を出すことが難しい。

私が以前行っていたように
病院での死亡率が、何%下がった
というような種類の活動では、ないからだ。


しかし、
それでも、数値化は、可能である。


・・・

宇宙船地球号は、今年、
日本全国で、
46回、の講演を行った。

合計、
1万3308名、の人がそれを聴講した。


聴講した人たちには、アンケートを行っている。

「今日の講演で、一番印象に残ったことは何ですか?」

という質問の回答として、

「世界のために何かをしようと思った。」

という内容のことを書いた人の数が、かなり、いらっしゃった。


1.漠然と世界のために何かをしようと思った人は、16.5%

2.具体的に世界のために何かをしようと思った人は、29.0%


1.と 2.を合計すると、45.5% という数字になる。


2.の具体的に何かをしようと思った人の、
その行動の内訳は、

 消費者として買い物に気をつける   68.6%

 国際協力師になりたい        18.3%

 消費者としてゴミの分別に気をつける 12.8%

 書籍やウェブで世界のことを知る   10.1%

 家族や友達に、今日の話を伝える    9.2%

 会社員になり、CSRをがんばる      0.9%

 上記以外の、具体的行動をする     8.3%

という、結果だった。

(上記の 2.の内訳の部分は、
 多重回答のため、合計は100%をこえる)


結局、
講演を聴講した
1万3308名、の
45.5%、すなわち、

6055人、が
「世界のために、なんらかの行動を起こそうと思った」
ことになる。


以上が、宇宙船地球号の「講演部門」の
数字であらわした
「社会への効果」である。

他にも、
書籍を出版したり、写真展を行ったり、
マスコミに出たり、インターネット上で多彩な活動を行っている。

・・・

さて、この活動は、
意味があるだろうか?

それを判断されるのは
宇宙船地球号に募金をして下さる
賛助会員等の方々である。

また
そうでない方からも
率直な意見をいただいており、
日々、活動を改善している。


「本当に意味のある国際協力」
を目指し続け
「持続可能な世界の実現」
に貢献する。


それこそが

NPO法人・宇宙船地球号


私の魂(たましい)の形だ。