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国際協力を
きちんとしたプロジェクトとして運営するためには
三つの立場の人が必要だ。

それらは

考える人
つなぐ人
やる人

である。

・・・

まず、ものすごく単純にして紹介する。

考える人とは
各国際協力団体の中で
プロジェクトを計画する立場の人たちだ。
通常、知識も経験もある程度以上ある人たちが計画する。
また
大学教授、国立のなになに研究所、シンクタンクなど、
いわゆる知識人や、専門施設からの助言を受けながら
プロジェクトを組んでいく。
こうした作業をする人たちが、考える人、だ。

つなぐ人とは
実際にプロジェクトを行うために
影で力を尽くす、裏方さんのような人たちだ。
人をつなぐ
物をつなぐ
お金をつなぐ
知識をつなぐ
情報をつなぐ
いろいろなものを、いろいろな場所へ運び、
また、話し合いをする場所を作って
(様々な調整をするため、様々な人に会い、
 財務省などからお金を捻出し、たくさんの会議を行い)
計画を滑らかに運営するために働く人たちだ。
実際の国際協力では、この、つなぐ仕事、が最も多く、
よってそれを行う人たちの数も、とても多い。

やる人とは
プロジェクトを実際に現場にいって行う人たちだ。
例えば、開発途上国で
小学校を建て、子どもたちに直接教育をする人たち、
病院のない地域にいって、患者さんの治療をする看護師たち、
農業の効率が悪い地域に言って、より適切な農業を指導する人たち、
などが
実際に、現場で、やる人たちだ。

・・・

で、
実際に国際協力を行う場合、
この三つの立場の人たちは、
どれも、まったく同じくらい重要である。

誰が一番偉い、ということはない。
三つの立場の人が
がんばって働かなければ、プロジェクトは機能しないからだ。

・・・

以下、国際機関・政府機関・民間組織(NGO)の場合に分けて
簡単な解説をしておく。

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国際機関の場合、国連にしろ、世界銀行などにしろ、
コーディネート業務が多い。
各国の調整をして、なんらかの会議を行うための
「調整」を行うのが仕事だ。
ところが、はっきり言って、各国の思索は、
それぞれに「わがまま」であるため
会議を開催するためには、事前の「調整」が必要であり、
その調整を行うための、「根回し」の会合も必要だ。
よって、
「調整」のための「調整」のための「調整」
を行う、という感じの仕事も多い。

ともかく、そうして、各国に適応されるべき
国際法などを作っていくのが、国際機関の仕事だ。

この国際機関の場合、

考える人とは、
それぞれの国際機関の理事会(委員会)等であり、
理事会は、その地域での国連加盟国などでなっている。
理事会は、会議で決定した方針を事務局に委託して実施させる。

つなぐ人とは、
よって、各国際機関の事務局の職員である。
理事会等で決定されたことを、代わりに実施する立場だ。
これが、国際公務員(国連職員など)と呼ばれる人たちの仕事である。
もちろん、それぞれの地域での計画の細部は
自分で考えて作っていくのだが、
大筋の計画は、すでに理事会により決定されている。
それを現場に合ったプロジェクトに変えていく作業をし、
さらにそれを実施するためのコーディネート(調整)を行う。

やる人とは、
国連の場合、内部には、あまりいない。
国際法などを作った場合、
やる人、にあたるのは、各国の行政官だ。
その人たちに、これこれこうしたことをやってくれ、と頼む、
という形になる。
また、開発途上国でのプロジェクトを実施するようなケースでは
通常、開発途上国で、現地のスタッフを雇う。
その、雇われた職員が、実際の(田舎の)現場に行き、
プロジェクトを実施する。
場合によっては、国際機関(国連など)から資金援助を受けて
NGOが代わってプロジェクトを行うことも多い。
NGOには、国際NGOと地元NGOがあるが
どちらにも依頼があり、どちらのケースも増加している。
要するに、
国際機関のプロジェクトの場合、やる人、にあたるのは、
NGOや、地元で雇われた人々や、各国の政府であり、
国際機関の内部の人々が、直接やることは、少ない。

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政府機関の場合、

例えば、日本のODAの場合、
要請主義、をうたっているので

考える人は、
(本質的には)日本の外務省へ援助を要請してくる
開発途上国の政府の担当官、である。
その人が考えたプログラムを、
日本が要請されて(委託されて)行う、という形になる。
が、
実際は、途上国には、プロジェクトを考えられる人が少ないため、
プロジェクトを計画する時に、JICA専門家などが(事前に)入って
プロジェクトの策定を援助することが多い。
(途上国のやる気(オーナーシップ)を維持しながら
 横から助言をしていく仕事である。ある意味非常に重要な仕事だ。)

つなぐ人は、
通常、ODAにたずさわわる多くの人々だ。
外務省、JICA,JBICなどの職員だ。
途上国からの依頼の内容によるが
 外務省は、 無償資金援助(お金をあげて道路等を作る)
 JBICは、有償資金援助(お金を貸して将来返してもらう)
 JICAは、技術協力(教育や医療などの技術を提供する)
というのがODAの3パターンだ。
(三つの「スキーム」がある、という。)
今度、JBICが解体されて、JICAなどに編入され
一括した国際協力を行う予定だ。
今後、途上国へ援助の中心となっていくJICAで
詳細なプロジェクトを作っていく中心となるのは
JICAの中で「王道」または「花形」といわれる部署である
「課題部」と呼ばれる部署たちだ。
具体的には、
社会開発部 (都市計画、女性の権利、など)
人間開発部 (教育、保健医療、など)
地球環境部 (水資源、公害、など)
農村開発部 (水田、畑作、など)
経済開発部 (貿易、資源、など)
などがある。
これらの課題部の部署の人たちが、
また別にある「地域部」という、
アフリカ、アジア、南米などに詳しい人たちと相談しながら
詳細なプロジェクトを作っている。
この課題部と地域部の組み合わせが、JICAの王道プロジェクトだ。
ともかく、
ちょっと戻るが、
無償資金援助、有償資金援助、技術協力、という、三つのスキームが、
円滑に実施できるような、会合や調整を行うのが
ODAのつなぐ人たちだ。
JICA職員の人たちが、その典型だ、ということである。

やる人は、
JICA専門家(技術協力専門家)や
開発コンサルタント(開発コンサルタント会社の職員)などが
実際に現場に行き、実施することが多い。
ただし、
ODAの場合、当然、相手国政府を通して運営しているので
実際の現場に行く、と言っても
必ず、相手国の国家公務員(役人・担当官・等)を通して、
その人といっしょに現地で行動する。
この人のことを「カウンターパート」と呼ぶ。
自分で、直接、現地で勝手なことは、できない。
そのカウンターパート(その国の国家公務員・役人)が
実際の計画の実施を行う。
(よって、本当の「やる人」は、途上国側の人たちだ。)
また
ODAの場合、計画の内容も、政策を提言したり、
なんらかのシステムを政府の中に作ることが多い。
例えば、
教育のシステムを作るために
ある地域に学校を100校つくるので
それと同時に教員を養成するための養成学校を10校つくり
または、今いる教員の能力アップの研修を20回行い
そうしたシステムを作るために、
その国の各省庁を納得させるための会議を行う、
といった感じの仕事になる。
よって、
ODAの場合も、(国際機関の場合と同じように)
比較的「やる人」に近い、
JICA専門家や開発コンサルタントでも
いわゆる「つなぐ人」の仕事をしており
本当の「やる人」は、途上国のカウンターパートである。

・・・

NGOの場合、

考える人は
NGOの理事会である。
すなわち、理事達だ。
彼らが考えたプロジェクトを
事務局に委託して、実施させる。

欧米の大型NGOの場合、
有名な欧米の大学の教授や
民間のシンクタンクなどから助言をもらい
優秀なプロジェクトを考え出している所も多い。
日本には、まだそれが無い。

つなぐ人は、
欧米の大型NGOの場合、有給の職員がいて実施する。
日本の小型NGOの場合、無給のボランティアが実施する。
いずれにしても
NGOの場合、予算が、まずないため
その資金捻出に奔走するのが、
つなぐ人たちの、第一の仕事である。
次に、組織自体を運営する、会計や総務の仕事をし、
その合間を縫って、
プロジェクトを実施するための、「つなぐ仕事」を
時間をみつけて行う。

やる人は
実際、途上国の現場にいって、実施する。
教育を、自分で直接行う。
子どもに教えることも、
学校の先生に、教え方を教えることも
自分たちで、直接実施する。
医療の場合も同じ、
自分たちで患者さんを治し、
現地の医師や看護師への教育も
自分達で直接行う。
ただし、NGOの場合、
欧米の大型NGOは、有給で高級であるである
日本の小型NGOは、薄給か無給であることが多い。

・・・

以上が、
考える人、つなぐ人、やる人の
大筋での説明だ。

イメージをつかみやすいように
やや極論的に書いてあるが
まだ、だいたい、こんな感じである。

で、要するに、

国際機関・政府機関・民間組織には
それぞれの特徴があり、
一長一短である。

どれが一番良い、ということは無い。
簡単にいえば、

世界を動かす仕事がしたいなら、国際機関(国連等)へ。
途上国の政策を動かし、大規模の徐々に改善するなら政府機関のODAへ。
途上国の現場へ行き、自分で直接国際協力をやりたいならNGOへ。

また、

自分で考え事をするのが好きな人は、大学教授やシンクタンクとなり
考える人へ。
人々とコミュニケーションをするのが得意な人は、調整を行う
つなぐ人へ。
実際に途上国へ行くのが好きで、直接目に見える仕事がしたい人は
やる人へ。

まあ、
おおざっぱに、とりあえず、このように考えてはいかがだろうか?


補足:
実際の現場では、
考える人、つなぐ人、やる人、の
すべての立場を兼任して行うことが多いが、
その「実際に行う仕事の割合」として多いのは
上記のような感じだ、という程度である。