.
昨夜、夢を見た。
言葉のない、世界だった。

人々は、素朴な生活をしていた。

雨水をためて飲み、川で体を洗った。
米と麦を育て、牛と鶏を飼う。

子どもたちは、6歳になると親を手伝い始め、
田や畑を耕した。

病気になった人は、じっと家にいて
家族は自然の精霊たちに祈った。



牛も、鶏も、家族だった。

言葉がないので、
人間も、牛も、鶏も、なんら変わりがない。
毎朝、牛からは牛乳を、鶏からは卵を、人間は受け取った。
人間は、収穫した米と麦を、牛と鶏に返した。


淡々と繰り返す、世界の中で、
すべての生物が、安定して暮らしていた。


そこには
一つのルールがあるようだった。

すべての生物に共通する、一つだけのルールが。



・・・

「ヌースフィア」と言う言葉をしっているだろうか?

心理学の用語で、
「人々の思念が、すべてつながり、地球全体をおおった状態」
である。

日本語では「精神圏」とか「意識圏」と訳されることが多い。

地球は「生命圏(バイオスフェア)」を産み出してきたが、
その中で人間が生まれ、その人間が意識を持つようになった。

一人の人間の意識は、言葉を使って他の人間の意識と連絡しあい、
コミュニケーションを行っている。

65億人もいる人間の意識は、複雑に絡まり合って、地球全体を覆い、
「ヌースフィア」という「巨大な思念体」を形作っている、
という概念だ。


あなたの意識は、あなただけで存在しているのでなく、
常にまわりにある他の人々の意識に影響しており、
また影響されている。

あなたは、きっと一人ぼっちではなく、
また逆に、一人ぼっちにはなれない。


しかし、そうしてみると
「あなた」とは、なんであろうか?

あなたという意識は、
常に、他の意識からも影響を受けている。

ある意味で、とても不安定で、
「うつろいゆく存在」だ。


あなただけでなく、すべての意識が
そんな「うつろいゆく存在」かもしれない。


あなたが嬉しい時、、他の意識も影響されて嬉しいかもしれない。
あなたが悲しい時、他の意識もそうなるかもしれない。


もしも、本当にそうであるならば、


あなたという意識は、自分の体を使って
この地球の上にいる、どんな意識のために働いても
いいのではないだろうか?


だって、
他の意識たちの喜びは、きっとあなた自身に、返ってくるだろうからだ。



もちろん、意識や生命があるのは、
人間だけではない。


動物も

植物も


きっと 未来に生まれてくる子どもたちまで


すべての時空を超えて
つながっている
意識の共同体。


それが、きっと「ヌースフィア」なのではないか。



・・・


そうか。思い出した。


昨夜、見た夢は、

「言葉のない世界」ではなかった。



「言葉の必要ない世界」 だったのだ。