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おいら、「フォラミニフェラ」。


おいらの名前、「心に穴のあるもの」。

おいら、さみしかった。


4000年前、友達ができた。

サンゴ、っていう名前の、綺麗なやつだ。


二人で、海で遊んだ。

「砂の城」を作って、遊んだ。


俺たちの体からは、垢(あか)が出る。

「セディメント(積もるもの)」っていう名前の、

垢が出る。


「セディメント」は、どんどんたまって

気がつくと、サンゴ礁の中に、砂がたまってた。


ふと、まわりをみたら、

おいらの仲間、いっぱいいた。

サンゴも、いっぱいいた。

どんどん、「セディメント」は、たまっていく。


・・・

いつのまにか、ほんとうに

「砂の城」ができた。

太平洋の波から守る、大きな、サンゴの城が。


そこに、おいらの「セディメント」が溜まって、

島ができていった。

サンゴ礁に守られた、美しい砂の島、できていった。


おいら、うれしかった。


・・・

3000年前、

植物、生えてきた。

鳥、飛んできた。


そして

人間、すこし、やってきた。


人間、魚をとって、芋を育てて暮らしてた。



しあわせだった。


おいら、しあわせだった。

鳥も、魚も、人間も、

みんな、しあわせだった。



このまま、ずっと、続いていくと思ってた。

サンゴと、おいらと、少しの生きものたち。


ここは、おいらの「パラダイス」だった。


・・・

だども

100年ぐらいまえから

人間、どんどん増えてきた。


人間の出す、いろいろな「水」と「空気」は

おいらの体に、あわなかった。


ちょっとなら、平気だったけど、

いっぱいだと、・・ダメだった。


おいらの友達、死んでいった。

島をつくる「セディメント」、減っていった。

砂が、どんどん、なくなっていく。


・・・

なんか

最近、暑くなってる。


海の水の温度が、上がってる。

サンゴが、苦しそうだ。


サンゴの友達、死んでいってる。

島を守る、城が、崩れる。


一番だいじな、防波堤が、くずれていく。


・・・

人間が、砂浜の砂を、

いっぱい、いっぱい、持っていった。


戦争のために

飛行機の滑走路を作るためらしい。


アメリカという国と、日本という国が

ケンカをしているとか。


こんどは、

コンクリートの、大きな建物を作るために

砂が、いっぱいいるんだとか。


なんで、あんなに、いっぱいいるのかなぁ


・・・

きがつくと

人間は、いっぱい、増えていた。


もう、おいらには、かぞえられない。

いっぱい、とっても、いっぱい。


・・・

ああ、今度は

海の高さが上がってきた。


毎年、だんだん、上がっていく。



もう

だれにも、とめられない


もう

だれにも、とめられない



おいらと、サンゴの、島が沈む。

おいらの、「パラダイス」が、沈んでしまう。



4000年かけて作った、

おいらと、サンゴの島が。


・・・

おいら、「フォラミニフェラ」。

日本語だと、有孔虫(ゆうこうちゅう)。


4000年かけて、ツバルを作った。



だども、そのツバルが、もうすぐ・・