.
2008年06月04日(水)の東京新聞朝刊・第3面に
下記の記事が掲載された。

・・・

「国際協力士」の資格検討 JICAと外務省

国際協力機構(JICA)と外務省が、
青年海外協力隊などに参加した人材に対して資格を与える
「国際協力士制度」
の創設を検討している。

開発途上国での協力隊への参加経験を「資格」として確立し、
就職や企業内での評価に有利になるよう支援する。

資格制度は、一定の語学力と協力分野の技術を対象とする
検定試験の実施を条件としている。
非政府組織(NGO)での活動認定の対象とするかどうかも検討する。
外務省関係者は
「まだアイデア段階で、内容は詰めていない」としている。

JICAは今年10月、これまでの技術協力や協力隊派遣に加えて
国際協力銀行(JBIC)の円借款部門と
外務省の無償資金協力事業の一部を統合して
政府開発援助(ODA)の一元的な実施機関として機能が強化され、
「新生JICA」として生まれ変わる。

「国際協力士」の創設は機能強化にも寄与しそうだ。

・・・

以上が、記事である。

基本的には、朗報である、と考えている。


私は、以前から、
「国際協力師」というのを提唱してきた。

(最後の漢字が、士、ではなく、師だが。)

数年前から、
NHKテレビ、NHKラジオ、毎日新聞、民放ラジオ局数局、
その他多くのメディアを通して
その言葉と概念を広めようとした。

私が提唱してきた「国際協力師」の概念とは
以下のようなものであった。

・・・

国際協力を行う方法は、
無償で(無給で)ボランティアとして行う道だけではありません。

まず、ボランティアとして、2年ぐらいの海外勤務経験を持ったあと、
英語などの高い語学力があり、
かつ、
国際協力分野におけるなんらかの専門性が証明(大学院修士等)できれば、
プロとして
有償で(有給で)仕事として続けていく方法もあるのです。

こうした、
高い専門性を持ち、有給で、持続的に国際協力を行っている人たち
のことを、「国際協力師」と、呼ぶことにします。

具体的には

1.国連職員・世界銀行職員などの国際公務員の人たち、
2.JICA職員、JICA専門家、JBIC職員などの政府機関の方、
3.開発コンサルタント会社(民間のODA業務関係)で働く人、
4.NGOやNPOでも有償で、大型の有名団体で働く方、

などを
その対象とすることに致します。

これは、まだ、国家資格、ではありません。
とりあえず、上記の概念を普及するための
キャッチコピー、として作ったものです。

・・・

この概念を、普及しようとした理由は、以下であった。

1.国際協力は、無給のボランティアである、と思っている人が多く、
 将来の職業として考えている小中学生は、非常に少ない。

 よって、消防士、看護師、弁護士、医師、などのように
 人々を救い、社会の役に立ち、かつ、自分の生活もささえられる、
 国際協力師、という職業があるのだ、ということを
 若い人たちに、知ってもらいたいため。

2.国際協力が、有給で、かつ、専門性の高いプロの仕事である、
 ということが、世間一般に認識されていないため、
 この分野に、優秀な人材が、なかなか入ってこないのが、現状。

 (要するに、優秀な人材にこそ、この分野にどんどん入ってきて欲しい)

 これを打開するために、
 高校生、大学生、大学院生に、
 国際協力は、自分の能力を発揮するために、最も魅力的な分野の一つであり、
 かつ、収入も一般のサラリーマンなどよりも高額であることが多い、
 (日本人の平均年収である500万円を超えることが通常であり、
  総額で年収1千万円前後になることも多い。)
 ことを認知してもらう。

以上より、
まず、国際協力の世界に入ってこようという子どもたちを増やし、
かつ、その中でも優秀な若者が、仕事としてこの世界に入ってくる機会を
増やそう、というのが、私の狙い、だった。

・・・

2006年、書籍「世界と恋するおしごと 国際協力のトビラ」(小学館)で、
最初に明文化し、
2007年、書籍「国際協力師になるために」(白水社)で、
題名にその言葉を組み入れた。

http://www.ets-org.jp/pub.html

これにより注目を集め、
JICA本部の近くにある紀伊国屋書店・新宿南口店で、一気に数百冊が売れ、
かつ、
国際協力関係のメディアから多数の取材を受けた。

同時に、インターネット上にも、
国際協力師になりたい人のために
私は、いくつかのメディアを作った。

1.未来の国際協力師たちへ

 将来、国際協力をやってみたい人と、山本との対談をそのまま掲載。
 http://www.ets-org.jp/mirai/

2.山本敏晴のブログ

 本当に意味のある国際協力とは何か、その概念と方法論などを掲載。
 http://www.ets-org.jp/hosoku/blog_000.html

3.国際協力師への道

 プロの国際協力師になるための、チャートなどを掲載。
 http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/52357466.html


こうしたサイトやブログは、かなりのヒット数を記録しており、
少なくともこれまで(のべで)十万人以上の人の参考になったようだ。

・・・

このようにして、「国際協力師」という概念を啓発してきた目的の一つに、
政府を動かし、制度として確立させ、
「国家資格」
として、一般に認知されるところまで持っていこう、ということもあった。

(そのほうが、一般の人に受け入れられ易いと考えるため。)

(また、当法人は、NPO法人であるが、実際には、
 新型の「シンクタンク」として機能している側面がある。)

(シンクタンクとは、(中立の立場で)政府に政策を提言する団体のこと。)


ちなみに、当法人は、
文部科学省とは、すでに連携関係をもっており、
全国の公立の小中学校の総合学習において
以下のプログラムを行ってきた。

プログラム「世界に目を向けた子どもたちの育成」
http://www.odeco-net.jp/program/s06.html

上記のサイトを見てもらえればわかるが、授業の内容の中に、
「国際協力師」という職業の紹介や、
「企業の社会的責任(CSR)」の説明が含まれており、
それを子ども向けに簡単にした手法が、全国で好評を得ている。


また
一般のマスコミでも、少なくとも年間数十回はとりあげられており
「国際協力師」に興味をもった方々からの
Eメールでの問い合わせは、毎日あとをたたない。

そんな中、掲載されたのが、今回の東京新聞の記事だった。

・・・

よって、最初、私は

「やった!、ついに、政府が動いた。
 地道に提唱を続けてきて良かった!」

と、思ったのだが、
よーく調べてみたら、たぶん、今回の提案は
別に私の啓発活動に影響されて、
資格化されようというわけでは、ないようだ。

(まず、最後の漢字1文字が異なるし、内容も異なる。)

(もしかすると、多少の影響、または多少の後押し、をしたかもしれない程度。)


文末に掲載するが、(調べてみたところ)
もともと、平成11年ごろから
「青年海外協力協会」などからの提案によって
国会(衆議院)でも、
「国際協力士」の立法化が検討されてきていた。

(議事録に、一応、残っている。後述。)

内容は、私の提案するものとは
けっこう違うものだったが、
ともかく、ある程度、似たような概念が
既に昔からあって、検討はされてきていた、というのが
本当のところである。


で、
基本的に、今回の「国際協力士」創設(まだ検討中)
の背景には、いくつかの要素(政府機関の思索)がある。

1.新生JICAの目玉が欲しい
2.国際協力を行う優秀な人材が、日本になかなか育っていかない現状
3.ODA削減(国際協力の予算が毎年減っていること)への歯止めが必要
4.青年海外協力隊から帰国した後、再就職できない人が多い(社会問題化)

最後の部分に関しては、
すでに私のブログに詳しく掲載している。

青年海外協力隊の良し悪し
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51901806.html


が、
まあ、そんな細かい政府の思索はともかく
とりあえず、国際協力をやろうと思う人たちにとって
目標を立てやすい「国家資格」が創設される動きがあるのは
非常に良いことだと思う。

それが「国際協力士」であろうが、「国際協力師」であろうが
そんなことは、どうでもいい。

(ただ、「士」のほうが武士のイメージから、男性的な色合いが強く、
 近年は、性的に中立である「師」のほうが
 新設される資格の名前として、多く用いられている傾向がある。
 たとえば、看護師、など)


まずは、国際協力をプロとして行う人々が
どんどん増えていって欲しい。

そうすれば、その中に
「本当に意味のある国際協力とは何か?」
について
真摯に考えてくれる人が、増えていくだろうからだ。


「持続可能な世界」を実現するためには
現在行われている形の、国際協力では
まだまったく、足りない。

この現状を叩き直し、新しい社会を、新しい世界を作っていく、
「真の国際協力師」
を育成することこそが、
私の本当の願いだからだ。






・・・
・・・

補足:

以下、過去(1999年)にあった、参考資料

一番下から6行目に、「国際協力士」
という言葉がある点に注目。


・・・

衆議院議事録 

第145回国会 外務委員会 第12号 平成11年7月30日(金曜日)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000514519990730012.htm#p_top


社団法人 青年海外協力協会理事長 貝塚 光宗さんの発言:


一つの国際協力に携わる者たちへの資格制度の導入、
御検討はいかがかなという思い込みもございます。
過去、これは事業関係者の中、仮称
「国際協力士」
とか、幾多支援検討はされたやに伺っておりますが、
今もって実現はなされておりません。
このような大きな外交の一翼を担う国際協力要員者に対する
社会的な資格制度の導入はいかがなものなのでしょうか
という思い込みでございます。