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マスコミなどによって
各企業のCSR(企業の社会的責任)ランキングが、
時に発表されることがあるが
残念ながら、当たり前の「大企業」の名前が
上位にずらりと並ぶことが多い。

CSRをきちんと実施しているからではなく、
その経済力の大きさから、
信頼できる会社、とされてしまっているのが現状だ。

つまり、現在、
世の中に公表されているCSRランキングには、
信頼できるものがほとんどない、
と思ったことが、
今回、
「商品別、市場シェア5位までの企業のCSRランキング」
http://www.ets-org.jp/hosoku/CSR_000_aiueo.html
を当法人でやろうと思った最大の理由であった。

・・・

ちょっと話は飛ぶが、
SRI投資、というものがある。

SRIとは、Social Responsible Investment
の略称で、社会的責任投資、と言う。

これは、(本当は)

「CSR的な優良企業に、選択的に投資していくことで、
 環境に配慮し、社会に有益な企業を増やし育てていこう」

という趣旨のファンドである。

CSR的優良企業を、支援する方法の一つとして
私は、自分の著書でも講演でも、SRI的な投資手法を勧めてきた。
(これまでは)

が、
他人に勧めるのであるならば
まず、自分でやってみるべきだ、と思い、
大手の証券会社(のほぼ全て)を回って
話をきいてみた。

私個人が持っているお金を使って
実際に投資してみようと思ったのだ。

ところが、なんと!

SRI、と銘打っておきながら
本当のSRIを行っている「SRIファンド(?)」は
なんと、日本にひとつも、なかった・・。


どういうことかというと
投資を行う場合、
「ポートフォリオ」と呼ばれる
投資先の企業のリスト、が作られる。

SRIの場合、
ポートフォリオに入ってくる企業たちが、
CSR優良企業でなければならない。

ところが!
なんと、SRIファンドの対象とされている
CSR優良企業(?)とは、
単なる、(安定して運営されている)大企業たち、
だったのである。

(補足すると、もうちょっとは、ましで、
 軍需産業ではない、とかぐらいは調べられている。)


ぶったまげて、しまった。


日本には、まだ、本物のSRIファンドは、ないのである!!



「す、すみません」
(平伏)


私は、著書や講演や映画の中で、
SRIを皆さんに勧めてきたが、
残念ながら、まだ時期尚早、という状況だ。

日本には、本物のSRIは、まだないため、
今、そこへ投資をしても、CSRの普及には、貢献しない。

(ただの、大企業たちに、投資されるだけ、である。)


もし、この方面に興味のある方は、
自分で、SRIファンドを作るところから
始めなければならないのが現状だ。

(または、大手証券会社のSRIファンドを使うのではなく、
 「自分で」CSR的優良企業を見つけ、そこに対して投資をする
 あなたの姿勢こそが、SRIだ、ということになる。)


・・・

この、本物のSRIが(大手証券会社に)ない理由の一つが、
日本に、まだ、本物のCSR評価システムが、ないこと

原因の一つではあるので、それを
とりあえず、当法人でやってみることにしたのである。

・・・

で、
CSRの評価をするためには、
ひとつの雛型がある。


インテグレックス社、というのがある。

ここは、企業に質問票を送り、
過去の1年間に、どのようなCSR的活動をしてきたとか、
これから、どんな計画があるか、などを
自由に記述してもらう、という形式をとっている。

主に、透明性、法令の遵守、企業の倫理、などを見ている。

この会社は、大企業と資本提携の関係にないため、
当法人のように中立であり、
基本的には、かなり信用できる団体である。

ただ、
企業側に自由に記述してもらっているため、
「はたして書いたことが、本当なのか?」
というチェックが、なされていない。


日本の経済3団体の一つ、経済同友会で
先日私は、講演をしたが、
こちらの団体も、インテグレックス社と同様に
質問用紙を送り、それに会社側に記入してもらう
という方法で、
CSRの現状の調査を行っているようだ。

(残念ながら、この調査結果は、
 一般に公表しない、という条件で行われたため、
 公表されていない。)

ちなみに、この経済同友会は、
日本におけるCSRの火付け役的な役目を果たしたことで
その方面の業界では有名である。

・・・

さて、
上記の、質問票の結果による方法には
良いところもある。

CSRには、たとえば、以下の6つの側面があるとして、

1.企業の統治(ガバナンス)会社の意志決定の方法の適切性
2.企業の倫理・法令の遵守(コンプライアンス)
3.透明性・ステークホルダー(利害関係者)への説明
4.環境問題(CO2削減部門)
5.環境問題(CO2削減以外の部門)
6.地域貢献・国際協力・ボランティア

それぞれに、その内容の質問を、10個ぐらい作る。

この結果によって、その企業をダイヤモンドチャート式に
評価できるようになる。

この結果は、(ある特定の業種の企業に関してのみだが)
既に行われているので、探してみて欲しい。


参考;CANPAN CSR CSR情報一覧

http://canpan.info/csr_list_search.do


ただし、この方法は・・

欠点にもどるが、
こうして得られた結果が、
正しいことが書かれているかどうか、わからないし、
また
企業が、その質問票に回答する「義務」は
別にないため、
回答しなかった企業は評価されない、ことになる。

・・・

こうした理由で、
私は、今後、(ある一定の規模より大きい)全ての企業が、
CSRリポートを提出することを
義務付ける、ことが、非常に重要だと思っている。

また、
CSRリポートの内容も
国連環境計画(UNEP)の提唱するGRI(第三版)という
CSRのためのガイドラインにのっとった内容にする
ということが、必要だと思う。

なぜなら、GRI対照表、というものがあり、
上述のダイヤモンドチャート作成に必要な
様々な項目が、すでにそこに
網羅されている、からである。

・・・

で、
以上は、20年先の、理想の世界の話であり、
現状では、
CSRリポートすら作成していない企業が多い中で、
どうやって、その企業たちを評価するか、
ということを、考えなければならなかった・・

ということである。


こうして、当法人の苦難は、始ったのだ。