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最初に:
今回の話は、CSRランキングを付けるための
かなり、実務的な内容なので、
CSR(企業の社会的責任)にものすごく興味がある人だけ、
読んで頂きたい。

・・・

2008年夏現在、当法人は
以下のサイトを一般に公開している。

「CSRランキング、市場シェア5位まで、商品別、あいうえお順」
http://www.ets-org.jp/hosoku/CSR_000_aiueo.html

この作業は、昨年の11月ごろから半年以上にわたって行ったが
続けていくうちに、様々な(評価方法の)問題点が判明してきた。

それを、正直に記載しておく。
今後、改善していく必要があるからだ。

評価方法における
全体的な問題点と、個別の項目の問題点を
分けて解説する。

・・・

まず、今回、評価したのは、
以下の10項目でああった。

1.CSRリポート等(2007年度)があるか?

 「CSRリポート等」に含まれるのは、
 CSR報告書、CSRリポート、
 持続可能性報告書、サステナビリティーリポート、
 環境報告書、社会環境報告書、など。

2.CSRリポート等(2006年度)があるか?

 この過去のCSRリポートを読む必要があるのは、
 その企業が、自社の問題点を、毎年、
 改善していく気があるのかどうか、を見るため。

3.GRI対照表があるか?

 国連環境計画(UNEP)等の製作したGRIガイドラインに沿っているか?
 (注: GRIとは、CSRの国際的な基準。)
 GRIガイドラインを参考にした、と書いてあるだけでは、ダメ。
 「GRI対照表」を掲載している場合のみ、OKとした。

4.第三者機関のコメントが、CSRリポートの末尾付近にあるか?

 第三者機関としては、監査法人、CSR評価会社、
 NPO法人、環境問題系NGO、大学教授、欧米のシンクタンク、など。

5.自社への批判・苦言があるか?

 これは、4.の第三者機関が発言した、
 その企業への批判や改善すべき点を、正直に掲載しているか、
 というところを見る。

6.上記の批判・苦言を翌年に改善したか?

 2006年度のCSRリポート等で、
 上記の第三者機関から指摘された問題点を
 2007年度のCSRリポート等で、
 改善したかどうか。

7.1990年比でCO2削減6%以上を達成したか?

 1990年比で、CO2の「絶対的な総排出量」が
 ちゃんと減っているか?
 「商品あたりのCO2量」が減っていても、ダメ。
 2000年など、他の年度と比べて減らしても、ダメ。

8.グローバルコンパクトに参加しているか?

 元・国連事務総長のコフィー・アナン氏が提唱した
 企業がまもるべき、人権・労働・環境に関する十原則。

9.ISO14001の取得をしているか?

 今回は、工場や事業所が、ひとつでも取得していれば
 星を与えることにした。これについては、後述。

10.ISO26000の取得をしているか?

 2009年に成立予定の、CSRの国際基準。
 これについては、将来的に評価項目に入れる予定。
 現段階でも、いくつかの企業が
 この取得(予定)を、表明していた。


以上のうち、星(☆)を与えることにしたのは、
1.3.4,5,7,9
の6項目とした。

つまり、星6つ(☆☆☆☆☆☆)が最高ランク
ということになる。


以上が、現在の、評価システムである。

以下、この問題点を、列挙する。


・・・

全体的な問題点としては、

1.
ソニーや、松下電器などの家電メーカーは
多種の製品を製造しているため、
いろいろな品目において、それぞれのボランティアが
同じ、ソニーや、松下を評価した。

ところが、
同じ企業を評価しても
担当したボランティアスタッフによって
評価が異なることが、けっこうあったことだ。

この理由は、
10項目のうちの、
5.の「自社に対する苦言や批判があるか」の判断に
主観が入り易いことや、
7.の「1990年比でCO2削減を6%以上したか」、
の判断を、慣れていないと間違いやすいこと、
などがある。
(これらの件については、後で詳述する。)

2.
ボランティアスタッフによって、
その真面目さや、仕事の緻密さなどが、異なり
それによって、結果が大きく変わることになった。

この理由は、
CSRリポート自体が、見つかりにくい場所にあったり、
あっても
上記の10項目を全部含んでいるわけではなく
GRI対照表や、
ISO14001に関する記載が
ホームページの別な場所にあることが多いこと。

(つまり、
 CSRリポートしか見なかった場合、
 その企業が低く評価されてしまうのだ。)

3.
以上のような理由で、
当法人は、「誰が評価しても、同じになるはず」の
客観的なCSRランキングを目指したにも関わらず、
実際には、なかなか、そうは、ならなかった。(反省)

4.
また、
CSRリポートが、PDFファイルとして
ホームページ上に、公開されていない場合、
その企業は、CSR活動を、一切行っていない、
と判断して、
CSRリポートが見つからなかった時点で
調査を打ち切ってしまうスタッフがいたこと。

実際は、
CSRリポートがなくても、
ISO14001ぐらいは、取得していたりするケースは多々あり、
(また、それがホームページのどこかには
 記載されていたにも関わらず)
その部分の評価が抜け落ちてしまったこと。

5.CSRリポートを、その内容に分けて
 複数制作している企業があったこと。

 具体的には、
 キヤノンは、2007年度に、
 なんと、3種類のリポートを作成していた。
 (1)CSRリポート
 (2)サステナビリティーリポート
 (3)社会貢献活動リポート
 以上を全て、公開しており、
 この全てを読まないと、キヤノンのCSRの本当の情報は得られない。

 (つまり、このうちの一つしか読まなかった場合、
  キヤノンは、過小評価されることになる。)

・・・

個別の項目に関する問題点としては、

1.CSRリポート等(2007年度)があるか?

 上述のように、CSRリポートが、まず見つかりにくいこと。
 会社情報、企業情報、環境、社会貢献、その他、の
 いずれの場所にあるか、企業によって異なっていた。

2.CSRリポート等(2006年度)があるか?

 この場所が、さらに探しずらいケースもあった。

3.GRI対照表があるか?

 これが、通常は、CSRリポートの末尾付近にあるのだが、
 企業によってはCSRリポート自体の中に入れず、
 ホームページの別なページに掲載していた。
 このため、見落としが多かった。

4.第三者機関のコメントが、CSRリポートの末尾にあるか?

 まず、この第三者機関として、
 トーマツ監査法人、というのを使っている企業が2割ぐらいあったが
 ここに「第三者からの監査」を頼むと、
 「記載の事項に虚偽がないと、証明する」
 とだけ書いてあり、具体的な内容には、触れていなかった。
 (その企業のどこが良く、どこが悪いかは、書いていなかった。)
 これでは、ほとんど意味がない。

 大学教授や、欧米のシンクタンクや、NPO法人に第三者意見を求めると
 けっこう、辛辣(しんらつ)にCSRリポートの内容を批判することもあり、
 読んでいて、その企業の欠点がわかりやすい。

 で、もちろん、評価されるべきなのは、後者の人々を第三者意見として
 取り入れた企業であり、前者を選んだ企業に、同じように星一つを、
 与えるべきではなかった。

5.自社への批判・苦言があるか?

 これが、もっとも問題になった質問だった。
 担当したボランティアスタッフの主観により、
 批判ととるか、とらないかが、大きく、わかれた。

 もちろん、(私の意図としては)
 自社の批判を正直に掲載した企業を、高く評価する、として
 星を一つ与えることにしたのだが、
 この部分が、もっとも客観性がなくなってしまった。
 今後、検討を要する。

 (なお、不二家や、雪印などのように、
  大きな不祥事があった後の、お詫びのコメントは、
  書いて当たり前なので、自社への苦言・批判には、入れない
  ことで統一した。)

6.上記の批判・苦言を翌年に改善したか?

 これも、かなりの主観が入る。
 これは、事前にわかっていたため、
 星を付ける付けないには、関係ない項目とした。

7.1990年比でCO2削減6%以上を達成したか?

 これが難しかった。
 1990年比で、CO2の(絶対量としての)削減量を
 明確に記載している企業は、2割ぐらいしかなかった。

 (京都議定書には、1990比で6%減、と書いてあるのに)
 ほとんどの企業は、1990年比での削減量は、
 記載していないのである。

 書いてあるのは、
 「商品一つを作る当たりのCO2排出量は、減らしましたよ」
 (でも、その商品は、とっても売れているので、
  CO2排出の絶対量としては、1990年の時点よりも増えている)
 ということを、正直に書いている企業は、
 2割ぐらいしか、なかった。

 この誤魔化しに、評価を担当したボランティアスタッフが
 騙されてしまうことがあった。

 また、
 2000年比や、2005年比など
 自社に都合のよい年度を、比較の対象にしている企業が多く
 これが、全体の8割を占める。

 (この他、商品のライフ・サイクル・アセスメント(LSA)における
  誤魔化しを行っている企業が多かった。この件は最後に詳述。)  

8.グローバルコンパクトに参加しているか?

 これに関しては、参加している企業は少なかった。
 あまり重要視されていないのかもしれない。
 もともと、そう思っていたので、星付けには、入れなかったが。

9.ISO14001の取得をしているか?

 これも、難しかった。
 通常、会社というのは、事務所が数か所と、工場が数か所
 からなる。

 で、ISO14001を取得する場合、
 普通は、工場のほうで取得するのだ。
 (1)一か所の工場だけ取得すれば、OKか?
 (2)工場は、すべて取らないと、ダメか?
 (3)事務所を含めた、全てで取らないとダメか?
 ということが、
 かなり早期から問題になった。

 結局、(1)の一つでも取得していれば、星を付ける
 ということで、今回は、統一したが、改訂版では
 この部分を補正・改良する予定。

10.ISO26000の取得をしているか?

 これは、まだできていない。来年できる予定。
 だが、残念ながら、日本の経団連からの圧力により
 かなり形式的で、中身の薄いもの、になりそうだ。
 が、それにしても、国際規格ができるのは嬉しいので
 まずは、できあがって欲しい。

・・・

その他の問題点としては、

1.大企業の子会社が、その製品を作っている場合、
 子会社には、CSRリポートがないことが多く、
 その場合、親会社のCSRリポートを、今回は、引用した。
 これが、良かったか、悪かったか?

 たとえば、
 携帯電話端末を、松下グループは、
 パナソニック・モバイル・コミュニケーションズ
 が、制作している。
 通常、こうした子会社では、CSRリポートを作らず、
 親会社のサイトを見てくれ、と書いてあることが多い。

 が、上記の
 パナソニック・モバイル・コミュニケーションズ
 は、がんばって、一応、作った。
 が、まだ内容が甘いため、星ひとつ(☆)
 という評価になった。

 もし、この子会社が、CSRリポートを作っていなければ
 親会社の松下電器産業のCSRリポートを引用することになり、
 星五つ(☆☆☆☆☆)の、評価を得たことになる。

 つまり、
 子会社が、がんばって一応作ると、評価が下がる、という
 おかしなことになってしまった。
 これは、大きな問題である。

2.企業の合併や、合併吸収の時の問題点もある。
 たとえば、カメラメーカーのペンタックスは、
 2007年、環境報告書を制作していた。
 (これは、CSRリポート等に含まれる。)
 ところが、
 業績不振のため、HOYAという企業に合併吸収されてしまった。
 HOYAは、CSRリポートを、作っていない。
 よって、ペンタックスの評価は、星なし、になってしまう。
 こうした事態への配慮も、必要であろう。

3.
CSRリポートが、見つからない、見つかりにくい場合の
手順を明確にしておくべきだった。

通常は、
その企業のホームページの、右上のあたりにある
サイト内検索、を使って、CSR、という文字で検索する。

これで、通常は、CSRリポートのある場所が見つかる。

(サイト内検索がない場合、自力で、全ページを
 探していくしかない。(汗))

CSRリポートのPDFファイルをダウンロードしたら、
アドベ・アクロバット・リーダーの
編集メニューの中にある、「検索」機能をつかって
次の単語を探してゆく。

GRI (GRI対照表があるか、探すため)
第三者 (第三者機関による評価を探し、読むため)
1990 (1990年比のCO2削減を探すため)
90 (同上)
CO2 (同上)
ISO14001
ISO26000

これで、ほとんどの情報が入手できるはずだ。

以上が終わった後、これで安心せず、
企業のホームページに戻って
サイト内検索で
GRIや、ISO14001の記述が
どこかにないか、
さらに
環境報告書、持続可能性報告書などの
他のCSR関連リポートがないか、を探す必要がある・・
ことになる。

で、
以上の検索の結果、
CSRリポート等が、全く見つからなかった場合、
企業の「お問い合わせ」のページに行き
Eメールまたは電話にて、
以下のように質問する。

「すみません。
 今度、そちらの会社への就職を考えているんですが
 その参考に、CSRリポートを読みたいんです。
 ホームページ上には、ないようなのですが、
 紙媒体の、冊子としては、ありますか?
 (これで、紙媒体なら、ある、ケースが、稀にある)
 2007年度版は、何月ごろに出ますか?
 (普通、12月までにはでるが、遅れる場合もある)
 CSRリポートはないんですね。
 じゃあ、環境報告書とか、持続可能性報告書とか、
 ありますか?」

以上のようにきくことになっていた。
で、実際に、一応、スタッフによっては行っていたのだが
徹底はしていなかった。

よって、上記のように、
紙媒体ならあるが、ホームページ上のPDFファイルには
していなかったケースの企業は、
過小評価されてしまった可能性がある。

・・・

感想

1.結局、今回の10項目では、
 CSRリポートがあるか、ということと、
 第三者機関の監査が入っているか、
 ということの、二つの側面を主に見たことになる。
 よって、
 それ以外の側面は、まったく見ていない。

 このため、
 各企業を正当に評価するためには、
 他の団体が行っている、普通のCSRランキングも参考にした上で
 判断する必要があると思う。

 逆に言えば、
 当法人は、他の団体のランキングシステムには、
 第三者機関からの監査の重要性が抜け落ちていたので
 今回のようなプロジェクトを考えた、とも言える。

 いずれにしろ、
 お互い補いあった上で、総合的に見なければならない。

・・・

今後、検討すべき内容としては、

1.
今回の10項目の評価では、
企業の統治(ガバナンス)や、
法令の順守(コンプライアンス)の部分は、
いっさい、評価されていない。

その部分も、入れたほうがいいのではないか、
という議論もある。

ちなみに、今回入れなかった理由は
まずは、客観的に判断できる部分だけをやろう、
と思ったからだ。

ガバナンスやコンプライアンスは、
基本的に「日本語で書かれた表現」であることが多く
それを読んだ人が、それをどう受け取るかは
ものすごく主観が入ってしまう。

よって、今回は、あえて入れないことにした。

が、今後、
ランキングの星を付ける評価項目には入れなくても、
参考、として、これらに関するなんらかの項目を
追加するべきである、と考えている。

2.
ダイヤモンド・チャートの検討も考えている。
企業の統治、法令の順守、透明性、
環境問題(CO2)、環境問題(CO2以外)、社会貢献、
の、
6つを軸とするダイヤモンド型のチャートを作り、
それぞれの方向に、5段階(?)で評価した図形を
その企業の評価とする、というものだ。

これは、あるホームページで
特定の企業に関して行われているが、
うちのように、
「買い物の参考になるように配慮」されて
制作されているものは、ない。

よって、将来的には、これを作ろうと思っている。

3.
今回、制作したCSRランキングを
携帯電話でも見られるように、するつもりだが、
うちの団体のホームページを見るために
(ネットにつなぐために)
お金がかかるのであれば、
ほとんどの人は、日常的に使うことは、ないであろう。

よって、携帯電話会社のいずれかと組んで
うちのホームページを見る時だけは
お金がかからないようなシステムが必要だ。

そんなことが可能とは、あまり思わないが、
なにかアイデアがある人、Eメール下さい。


・・・
・・・

補足:
ライフサイクルアセスメント(LCA)を考えた場合の
CO2削減のウソについて:

まず、
日本ビクターという会社の話をしよう。

この会社の、CSRリポート2007、を読むと
次のように書いてある。

「当社は、1990年度比で、45.7%の
 大幅のCO2の削減を達成しました。」

で、
上記のことは、例の誤魔化しの「商品あたりのCO2発生量」を減らした・・
のではなく、本当の「絶対量」だというのだ。

日本ビクターは、ビデオカメラ部門で
市場シェア2位を占める、トップ企業の一つである。

その地位を維持しながら、こんなことができるはずがない。

ところが、
これを実際に可能にする方法があったのだ。

それを知って頂くには、以下の
商品のライフサイクルについて、
知って頂かねば、ならない。


一つの商品を作るには、以下のような段階がある。


1.原料の調達(通常、南米やアフリカの小さい企業)
   鉄や、銅、アルミニウム、など。

2.それを輸送

3.部品の製造(通常、中国や台湾などの中くらいの企業)
   それぞれのパーツを人件費の安い、国外で作る

4.それを輸送

5.日本の工場で、部品が合体させて製造。

6.それを輸送

7.問屋へ

8.それを輸送

9.小売店へ

10.消費者が購入し、それを家まで輸送

11.消費者が、電力を消費しながら、使用する。

12.壊れる。修理不能なら、ゴミになる。

13.それを輸送。

14.ゴミの場合、焼却や、埋め立てが行われる。

15.リサイクルセンターで、一部が再資源化されることも。


で、
通常、日本の企業というのは、

3.と、5.の部分を
自社の工場でやっている。

部品を作り、それが合体させることを
自分の工場でやるのだ。

ところが、これだと自分の工場から
CO2が出てしまう。

よって、
CO2を減らすためには、どうすればいいかというと、
部品を、中国などで作って、合体の部分だけを
日本で行うか、
または
思い切って、合体も中国などで行ってしまい
日本では、販売だけ、を行う、という方法もある。

で、
日本ビクターが行ったのは、
この、後者の方法だ、ということである。

日本ビクターは、
商品の企画と設計、そして販売だけを行い
間にあるはずの、
製造や、運輸、の部分は、自分たちで
やらないことにしたのだ。

これならば、CO2など、でるはずがない。

・・・

で、これが良いのか、悪いのか、という話になる。

上記の、15段階ある、
ライフサイクルの全てを考えた場合、
別に
日本ビクターのビデオカメラが作られる時に
(世界全体で)排出されるCO2の量は、おそらく変わっていないはずだ。

単に、部品を作ったり、合体作業を行ってくれる他の会社に
自分が排出する分のCO2を押しつけただけ、である。


または、もしかすると、増えているかもしれない。

なんでかというと、
日本の火力発電は、世界最高の効率を誇り、
非常に、有効に石油が燃やされている。

ところが、途上国の火力発電所は、効率が悪い。

その
効率の悪い電気を使って、
ビデオカメラの部品を作られているので、
その分、余計に、火力発電所から、CO2が出ているはずだ。

つまり、
ライフ・サイクル・アセスメントで考えた場合、
むしろ、世界で発生るCO2の量は、増えた可能性がある。

・・・

注:
別に、私は、日本ビクターに、恨みなどなく
単に、実例として挙げただけである。

同様のことを、これから、他の企業も
どんどんやっていくに違いなので、
そうした企業の動きを
みなさんは、是非、注目してみて頂きたい。

物事の本質は、いつも、難しいのである。

・・・

難しいついでに、もっと難しい話をしておく。

結局、商品を作る時の
ライフ・サイクル全体の中で、
「その企業が、どこまで責任を持とうとしているか?」
という姿勢を
見極めなければいけない。

例えば、
「トッサン自動車」という名前の自動車会社があるとする。

トッサンは、
車を作るための、最終合体を、
子会社である、「トッサン合体工業」、で行う。
(ここは、明確に、子会社としている。)
(よって、この会社で排出されるCO2には、トッサンは責任を持つ)

その前の、
大きな車の部品を作るのは
取引先である、「ハイブリ部品工業」、という会社である。

(ここは、名前に、トッサンと入っていないが
 実際は、トッサンの100%出資会社である。
 が、ここからCO2が出ても、トッサンのCO2は増えない、ことになっている)

さらに、その前の
小さい車の部品を作ったり、その前の鉄などの原料を売るのは、
途上国の小さい会社たちである。
(彼らは、本当の取引先だ。)

以上、
あなたなら、1台の車を作る時に、
「どこまでが、トッサン自動車の責任だと思うだろうか?」

・・・

これ関して、
バウンダリー(境界線)という概念がある。

つまり、
トッサン自動車の責任は、
同じ社名を冠する、子会社までだ、とし、
社名が違えば、関係ない、とするような
「境界線を引く」という考え。

同様に、日本国内で発生するCO2は関係あるけど、
途上国などの海外で発生するCO2は関係ないよね、
という考え。

このように、どこで境界線を引くか、が
非常に大きな問題になっているのだ。

で、
(トッサン自動車が、どの自動車メーカーかはともかく、)
大手自動車メーカーののCSRリポートを読むとわかるが、
最後の最終合体の部分を行う際の
CO2しか、CSRリポートに表記していない、ことがわかる。

これが、CO2削減に関するトリック、に使われる可能性がある。


よって、
「1990年比で、CO2の削減を6%以上した」
と書いてあったところで

「その企業が、(商品のライフサイクルにおいて)
 どこまで責任をもったのか?」

を、同時に考えないと
だまされてしまう可能性がある。


最後の合体だけのCO2を表記しているのか?
部品の製造などは、海外の他の企業へおしつけたのか?


さあ、難しいだろう?

あなたは、このような企業の流れを、どう思うだろうか?



私は、このような側面も踏まえた上で、
それでもなお、わかりやすい、客観的な指標を
なんとかして作っていこうと思う。


あきらめてしまっては、全ては終わり、なのだから。



補足1:
サプライ・チェーン・マネージメント(取引先・連鎖・管理)
については、また後日、詳述する。
中小企業にできることに、これが関係してきます。

補足2:
今回の、ボランティアによる調査システムの問題点は、
CSRの普及は、業界によって、非常にムラがあり、
おおむね、
製造業系は、非常によくやっていました。
CSRリポートがあり、ISO14001の取得が当たり前、という風潮。

対して、
マスコミ関係、映像業界、サービス業などは
軒並み、壊滅で、
どの企業も、まったくCSRをやっておらず、CSRリポートすらない、
という状況でした。

で、
ボランティアは、18名、いたのですが、
最初に希望した品目が、広告や、出版や、映画、などだった場合、
どの企業も、ほぼ全くやっておらず、
したがって調べようがなく
「急速にやる気を失い」
1品目を完了した後(または、それすらも完了せず)
ボランティアを止めてしまう・・
という現象が、数件おきました。

よって、実際の作業は、10人ぐらい行うことになり、
ボランティアの「やる気」をコントロールすることが
非常に難しいプロジェクトとなりました。

次回からは、
新人ボランティアの人には、
工業製品を作っている系の、
製造業の企業のCSR調査から
やってもらうことにします。