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Newsweek 誌の、2008/07/09 号に
「世界企業ランキング2008」
が掲載された。

当法人以外の組織が、
どのように、各企業のCSRを評価しているのかを
解説するのに、かっこうの材料であるため、
その「評価した方法」を詳しく説明する。

(結果よりも、どうやって評価したか、を見て頂きたい。)

・・・

財務力と、社会的責任(CSR)の
二つの側面から、総合的に評価された
世界のトップ企業のランキングが
500位まで掲載されていた。

ちなみに、トップ5は、以下。

(あまり、皆さんには、馴染みのない名前かもしれない)


・・会社名・・・・・・・・・・財務・・CSR・・・総合得点
・・・・・・・・・・・・・・(60点満点) (60点満点) (120点満点)

1.スタトイル・ハイドロ・・・55点 56.5点 111.5点
  (ノルウェー、石油ガス)

2.リオ・ティント・グループ・56点 53.8点 109.8点
  (イギリス、金属鉱業)

3.アストラ・ゼネカ・・・・・53点 56.4点 109.4点
  (イギリス、医療バイオ)

4.ノルスク・ハイドロ・・・・53点 52.3点 105.3点
  (ノルウェー、金属工業)

5.ノボ・ノルディスク・・・・49点 54.9点 103.9点
  (デンマーク、医療バイオ)


一言でいうと、上位には
化石燃料などの資源を扱う会社と、製薬会社が多い。

(これは、ある意味、問題なのだが・・。後日、別に触れる。)

また、上位30位以内に、日本の企業は、ひとつも入っていない。
(昔は、数社、入っていたので、日本はCSRに送れをとっていることになる。)

なお、
財務と、CSRの両面を見ている理由は
恐らく、このランキングは
「社会的責任投資(SRI)」を行うためのもので、
投資家の人々が投資をする時の参考となるように、
作成されたものだから、である。

よって、そもそも
投資の対象とならないような
財政状態の悪い企業には、
(いくらCSRが良かったところで)
評価に値しない・・ということになるのだろう。

・・・

このランニングにおいて、500位までの中に
日本の企業は、105社、入っていた。

そのうち、トップ20を、掲載しておく。

・・会社名・・・・・・・・財務・・CSR・・・総合得点
・・・・・・・・・・・・(60点満点) (60点満点) (120点満点)

01.アステラス製薬・・・56点 36.1点 92.1点
02.日東電工・・・・・・44点 48.0点 92.0点
03.キヤノン・・・・・・47点 44.6点 91.6点
04.デンソー・・・・・・43点 48.1点 91.1点
05.日産自動車・・・・・43点 47.9点 90.9点

06.花王・・・・・・・・44点 46.9点 90.9点
07.エーザイ・・・・・・49点 40.7点 89.7点
08.商船三井・・・・・・38点 50.6点 88.6点
09.トヨタ自動車・・・・41点 46.9点 87.9点
10.信越化学工業・・・・48点 39.1点 87.1点

11.武田薬品工業・・・・45点 41.9点 86.9点
12.イオン・・・・・・・36点 50.6点 86.6点
13.東芝・・・・・・・・33点 53.5点 86.5点
14.国際石油開発帝石・・57点 29.2点 86.2点
15.松下電工・・・・・・37点 49.0点 86.0点

16.大日本印刷・・・・・36点 50.0点 86.0点
17.三菱電機・・・・・・35点 50.8点 85.8点
18.クボタ・・・・・・・42点 43.3点 85.3点
19.東京エレクトロン・・45点 40.3点 85.3点
20.アイシン精機・・・・41点 44.2点 85.2点


日本勢の中で1位のアステラス製薬は、
世界全体のランキングだと、35位であった。

(なお、この会社は、CSR評価は悪いが、財務の評価がすごく高い。)

・・・

さて、
この、財務と、CSRの二つを
どうやって評価したかというと、
それは以下の方法による。


A.財務 60点満点

(1)収益性 20点満点

   。横娃娃暁度までの、3年間の総資産営業利益率
  ◆。横娃娃暁度までの、売上高営業利益率

(2)成長性 20点満点

   。横娃娃暁度までの、3年間の売上高の年平均成長率
  ◆。横娃娃暁度までの、営業キャッシュフローの増減分類
    および年平均成長率

(3)安全性 20点満点

   .ぅ鵐織譽好函Εバレッジ・レシオで評価
    (利息の支払い能力を示す値)


B.社会的責任(CSR) 60点満点

(1)企業統治 15点満点

   ー萃役会の独立性
  ◆)[畚膽藺寮
   倫理規定
    等

(2)従業員 15点満点

   ―抄醗の機会均等
  ◆〃鮃と安全
   雇用安定
  ぁ―抄醗の権利尊重
  ァゞ軌蕁Ψ盈
  Α―性取締役の比率
    等

(3)社会 15点満点

   ‥咯綛颪任凌邑∧欷
  ◆仝正な調達
   顧客や取引先との関係
  ぁー匆餽弩コ萋
    等

(4)環境 15点満点

   ヾ超問題への取り組みの総合評価
  ◆ヾ超負荷削減の具体的な成果
   地球温暖化防止への取り組み
  ぁ\宿陛が環境に与える影響の最小化


以上の項目群により、
財務が、満点で60点、CSRが、満点で60点、
合計、120点満点で、評価したものだった。

・・・

当法人は、財務よりも、CSRのほうに重点を置いているため、
このランキングの中から、
財務の部分を削除し、CSRの部分だけを抽出して、
新しいランキングを作成してみた。

以下、日本企業の、CSRランキング、トップ50、である。


・・会社名・・・・・・・・・・・・・・統治 労働者 社会 環境 CSR
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(15点)(15点)(15点)(15点)(60点)

01.東芝・・・・・・・・・・・・・・15.0 13.8 11.0 13.8 53.5
02.中国電力・・・・・・・・・・・・13.6 12.5 15.0 11.3 52.4
03.三井物産・・・・・・・・・・・・13.6 12.5 10.0 15.0 51.1
04.三菱電機・・・・・・・・・・・・15.0 10.0 12.0 13.8 50.8
05.商船三井・・・・・・・・・・・・13.6 12.5 12.0 12.5 50.6

06.イオン・・・・・・・・・・・・・13.6 11.3 12.0 13.8 50.6
07.日本郵船・・・・・・・・・・・・13.6 12.5 13.0 11.3 50.4
08.大日本印刷・・・・・・・・・・・12.3 11.3 14.0 12.5 50.0
09.NEC・・・・・・・・・・・・・13.6 13.8 11.0 11.3 49.6
10.東レ・・・・・・・・・・・・・・10.9 11.3 12.0 15.0 49.2

11.松下電工・・・・・・・・・・・・12.3 10.0 13.0 13.8 49.0
12.キヤノンマーケティングジャパン・12.3 08.8 13.0 15.0 49.0
13.富士フィルムホールディングス・・12.3 11.3 14.0 11.3 48.8
14.アサヒビール・・・・・・・・・・12.3 11.3 14.0 11.3 48.8
15.富士通・・・・・・・・・・・・・l3.6 13.8 10.0 11.3 48.6

16.日立製作所・・・・・・・・・・・12.3 13.8 11.0 11.3 48.3
17.デンソー・・・・・・・・・・・・13.6 11.3 12.0 11.3 48.1
18.コスモ石油・・・・・・・・・・・13.6 11.3 12.0 11.3 48.1
19.日東電工・・・・・・・・・・・・12.3 11.3 12.0 12.5 48.0
20.積水化学工業・・・・・・・・・・12.3 12.5 12.0 11.3 48.0

21.日産自動車・・・・・・・・・・・10.9 11.3 12.0 13.8 47.9
22.三菱重工業・・・・・・・・・・・13.6 08.8 13.0 12.5 47.9
23.中部電力・・・・・・・・・・・・10.9 12.5 12.0 12.5 47.9
24.東北電力・・・・・・・・・・・・13.6 11.3 13.0 10.0 47.9
25.九州電力・・・・・・・・・・・・13.6 08.8 14.0 11.3 47.6

26.日本精工・・・・・・・・・・・・13.6 10.0 10.0 13.8 47.4
27.東京ガス・・・・・・・・・・・・06.8 12.5 14.0 13.8 47.1
28.オリンパス・・・・・・・・・・・12.3 08.8 11.0 15.0 47.0
29.花王・・・・・・・・・・・・・・13.6 10.0 12.0 11.3 46.9
30.トヨタ自動車・・・・・・・・・・13.6 08.8 12.0 12.5 46.9

31.松下電器産業・・・・・・・・・・10.9 12.5 11.0 12.5 46.9
32.全日本空輸(ANA)・・・・・・10.9 12.5 12.0 11.3 46.7
33.豊田自動織機・・・・・・・・・・12.3 11.3 13.0 10.0 46.5
34.マツダ・・・・・・・・・・・・・12.3 11.3 13.0 10.0 46.5
35.東京電力・・・・・・・・・・・・10.9 11.3 13.0 11.3 46.4

36.リコー・・・・・・・・・・・・・13.6 08.8 10.0 13.8 46.1
37.コニカミノルタホールディングス・13.6 10.0 10.0 12.5 46.1
38.東京急行電鉄・・・・・・・・・・13.6 08.8 11.0 12.5 45.9
39.大阪ガス・・・・・・・・・・・・12.3 08.8 11.0 13.8 45.8
40.大林組・・・・・・・・・・・・・12.3 11.3 11.0 11.3 45.8

41.凸版印刷・・・・・・・・・・・・09.6 11.3 11.0 13.8 45.6
42.大成建設・・・・・・・・・・・・13.6 10.0 12.0 10.0 45.6
43.ソニー・・・・・・・・・・・・・12.3 10.0 12.0 11.3 45.5
44.帝人・・・・・・・・・・・・・・10.9 11.3 12.0 11.3 45.4
45.関西電力・・・・・・・・・・・・12.3 12.5 13.0 07.5 45.3

46.キヤノン・・・・・・・・・・・・09.6 11.3 10.0 13.8 44.6
47.新日本石油・・・・・・・・・・・12.3 10.0 11.0 11.3 44.5
48.旭化成・・・・・・・・・・・・・13.6 07.5 12.0 11.3 44.4
59.鹿島・・・・・・・・・・・・・・13.6 10.0 12.0 08.8 44.4
50.アイシン精機・・・・・・・・・・10.9 10.0 12.0 11.3 44.2

・・・

以上の結果の通り、
ニュースウィークの行ったCSRランキングの
日本企業における1位は
東芝、ということになる。

これを、当法人の、客観的CSR評価ランキングで見てみると
東芝は、当法人の(商品別)評価でも
おおむね、星4つから星6つを獲得しており
非常に評価が高かった。

つまり、東芝のCSR、1位は「本物である」可能性が高い。

(第三者機関の監査をかなり入れているために、
 提供された情報は、正しい可能性が高い。)


対して、上記の
ニュースウィークのランキングで、上位にいるにも関わらず
当法人の、客観的評価システムでは、
評価が低い企業もある。

名指しの批判になるので、企業名を挙げることは避けるが
こうした企業は、
客観的な第三者機関の監査を入れていないため、
仮に、
上記のランキングで上位にあっても
それを「真に受けることはできない」ということになる。

どうして、このような問題点が生じるかというと
それは
(一般的に)CSRランキングを行う時の、調査方法に難があるのだ。

・・・

簡単に言うならば、
ニューズウィークが、どうやって
上記のランキングを付けたのかというと
ある調査会社から提供された情報を
自分でみて、「主観的に」判断した、ことによる。

そしてまた、
どのような情報が提供されたかというと
(大きく分けて)以下の三つ、である点だ。

(1)CSRリポートや、財務報告書、年次報告書、などの
   一般に公開され、要求すれば提供されるリポート群。

(2)ホームページ上の記載

(3)調査会社が送ったインタビュー・フォーム(質問票)に
   記入してもらった内容

以上である。

(実際に、調査会社が、その会社に行って、
 CSRリポートの内容が本当であるかとか、
 インタビューに対しの回答が本当であるかとかは、
 いっさい、調べていないのだ)

つまり、極端にいえば、CSRリポートに、奇麗ごとばっかりを書き、
かつ、調査会社から送られてきた質問票に、ウソばっかりを書けば、
上記のCSRランキングで、1位を獲得することすら
「可能」なのである。

これを防ぐためには、必ず、第三者機関からの監査を
入れなければならない。

このために、2007年から当法人が行ってきた
「客観的に、第三者機関からの監査を受けているかどうか?」
の部分だけを見る、評価システムが
社会に必要だったのだ。

・・・

それはともかくとして、
今回、
ニュースウィークが調査した方法を
以下に記載しておく。

まず、情報を受け取ったのは、以下の組織である。

EIRIS: Ethical Investment Research Services

これは、イギリスの調査会社で、アメリカや日本などにも支部を持つ
世界的に有名な組織である。
1983年に、教会たちのチャリティーで
創設された財団である。

http://www.eiris.org/

また、
イギリスの「フィナンシャル・タイムズ紙」と
「ロンドン証券取引所」が共同出資して作った
FTSE
という組織と、連携関係にある。

FTSEは、
客観的な市場情報をし、
株式、債券などのインデックスを作成し、
企業の格付けなどを行っている団体である。

http://www.ftse.com/japanese/Indices/FTSE4Good_Index_Series/EIRIS.jsp

以上より、
ニューズウィーク誌が情報を入手した、EIRISは、
政治的には、イギリスに所属し、
宗教的には、キリスト教系が出資しており、
経済的には、ファイナンシャルタイムズロンドン証券市場
の意図が働いている可能性がある団体、ということになる。

これは、やや、うがった見方ではあるが、
少なくとも、そうした側面があることも
頭の隅においておかねばならない。

(当法人は、政治的・宗教的・経済的な
 中立性を確保したうえで、
 企業のCSRランキングを行っているため、
 他団体が、CSRの評価を行う場合、
 上記のような、中立性が、どこまであるのかを
 厳しく監視することにしている。)

で、
EIRISの調査方法は、以下。

(1)年間報告書(アニュアル・リポート)の調査
(2)企業サイトの調査
(3)必要に応じたアンケート調査の実施
(4)その他公開書類の調査

すなわち、
様々なリポートを読み、
さらに、アンケート調査を行って
各企業の実態を調査している、ということになる。

はっきり言って、これだけ、である。
(実際に、その企業にいって、記載されている内容が事実かどうかを
 確認したりは、していない。)

また、環境問題系の指標のように
(数字だけを見て判断しているのではなく)
文脈の中で、文章で書かれたものを
「担当する人」が読んで判断しているため
どうしても主観が入るシステムとなっている。

・・・

ニューズウィーク とは
1933年に創刊されたアメリカの雑誌で
発行部数は、タイム誌に次いで、2位。
アメリカの中では、やや「リベラル派」(左翼)より。

http://nwj-web.jp/

http://www.newsweek.com/

金融関連企業、ファッションメーカー、外国語学校などからの
広告収入が多いため、
こうした企業のランキングに、影響がでている可能性がある。

よって、こうした側面をさっぴいて
今回のCSRランキングを判断しなければならない。

・・・

あと、
余談かもしれないが、
三菱重工が、上位に入っているのに、驚いた。

一般的に、
戦車や戦闘機を作っている「軍需産業」は
「死の商人」と呼ばれており、
CSR評価は、非常に低くなるのが普通だが、
今回の調査方法では、
軍需産業があっても、減点、したりすることは
なかったようだ。

これが、良いのか、悪いのか・・

・・・

と、いうわけで、
何を言いたいかというと、

要するに、
それが、ニューズウィークであれ、日経新聞であれ、
上記のような
インタビュー調査と報告書のみから
ランキングを付けるシステムには
根本的な問題がある、ということである。

必ず、
当法人のランキングシステムなどの
客観的に第三者機関の監査を入れているかどうかを
同時に見るような、癖をつけなければならない。

そうでないと、
CSRランキングが、単に企業の宣伝のために
利用されてしまうからだ。


・・・が、2009年、
ISO26000シリーズが創設されるはずだ。

これは、国際標準化機構の、CSR評価基準だ。

これを取得しようという企業は、
強制的に、第三者機関の監査を
受けなければならなくなる。


このシステムに、期待したい、と思う。


・・・・・

補足:
企業の統治(ガバナンス)などの
「主観的」に陥りやすい側面を評価する場合、
最低でも5人、できれば10人のスタッフに
同一項目を評価させ
そのうち、
極端な評価をしたものを除いた上で
残り全員の平均値を出す、のが
統計学上は一般的だ。

今回のニューズウィークは
こうした細かい調査方法に関する記載がないため
その評価の信頼性に欠けることになる。