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K学園、高校3年生の皆さん。
ご卒業、おめでとうございます。

皆さんの中のお一人から
私へ、卒業式用の祝辞(?)の依頼が
きましたので、
この文章を書かせて頂きました。

皆さんの学年は、私の講演を
6年間の間に、少なくとも2回、聞いたかと思います。

ですので・・

あえて、卒業式の日に
ちょっと難しい話をさせて頂きます。

さて、
私は小学生の頃から漫画が好きで
手塚治虫さんの「火の鳥」などの漫画を
たくさん読みました。

その中に描かれていたストーリーは
人類の誕生から、やがて滅亡するまでの話で、
言ってみれば
人類という「種」の歴史叙事詩でした。

やがて地球上に人類が増えすぎ
石油などの資源を使いすぎて、環境問題が悪化し、
残り少ない資源を奪いあうために、世界中で戦争が起こり、
最後には、核戦争によって・・
人類は、絶滅する。

子どものころ、私は、この話を読み
大きな衝撃を受けました。

その後、私は成長してゆく過程で
様々な本を読みました。
その中でも、
アメリカのマサチューセツ工科大学に
世界中の有名な学者が集まって
地球の未来を予想した報告をまとめた
「成長の限界」
という本が、一番記憶に残っています。

手塚治虫が漫画として描いていた話が
ほぼ確実に、これから起こっていくことを
裏付ける内容だったからです。

簡単に言いますと、
現在、毎秒5人の子どもが生まれていますが
その生まれるスピードは年々速く(多く)なっています。
日本のような少子化が起こっているのは
ごく一部の国だけで
ほとんどの国では人口は爆発的に
増えているのです。
国連人口基金の報告では
2060年に人口は100億を超えることが
わかっています。

中国やインドの人口は、既に10億を越えており
その中国とインドの人々が、
日本なみに大量の資源を使う生活を始めた場合、
あっというまに、地球上の石油などの資源はなくなり、
地球温暖化やゴミ問題などの環境問題は
一気に悪化することが、わかっています。

私達は、
宇宙船地球号、という船に乗っています。
その船には、
限りある資源と、限りある空間しかありません。

その狭い船の中で
人類は、どんどん増加し、
残り少ない資源を使いまくり、
限りある空間しかないのに
ゴミをどんどん出しています。

近い将来、必ず、破局が訪れます。

石油をはじめとする化石燃料と
原子力発電に使うウランの両方が
今のままだと、
おおよそ150年でなくなることが
予測されています。

この150年後の頃に
おそらく人類は大変な危機を迎えるでしょう。

その頃には、人口が120億を超えており
かつ、そのほとんどの人が、
電気を使った豊かな生活をしようと
するようになるでしょう。

そして、その120億を超える数の人々が
残り少ない資源の奪い合いをすることに
なる可能性が高いです。

その時、
その時、犠牲になるのは
150年後の未来に生まれてきた
「子どもたち」です。

私たちが、今、豊かな生活を送っているせいで
150年後に生まれる子どもたちは
ぼろぼろの世界で暮らすのです。

明日から、もう電気はつかえません、と言われ、
石油も石炭もなくなったので、車も動きません、
隣の国で戦争が始まりました。
もうすぐ、この国にも戦争が波及してくるでしょう。

こんなニュースを、毎日きく生活。
それがやがて、確実に、起こるのです。

非常に運のいいことに
実は、私達は、大丈夫です。
私達が死ぬまでの間は
完全に全ての資源がなくなることは、ありません。

私達は、あまりにも、運が良かったのです。
人類という種が誕生し、
資源を使い、大発展をとげ、
そして資源を使い果たし、滅びてゆく、
という歴史の中で
資源がなくなる前の、その直前の、最高の豊かさを
謳歌(おうか)できる時代に
私達は、生まれたのです。

さて、考えて下さい。
私達は、どう生きるべきでしょうか?

この豊かな世界の中で
自分だけは、もっと、もっと、豊かになりたい
と思い、この社会の中で、「勝ち組」などと呼ばれる
大金持ちになったり、大成功することを望みますか?

それとも、
これから未来に生まれ来る子どもたちが
ひどい世界に生まれてこないように
質素でつつましい生活を送り、
電気を節約し、ゴミを減らし、
一人の消費者として、できる限りのことをしますか?

大人になって会社員になったら、
商品を作るときに
環境に配慮し、地球温暖化を進行させず、
石油などの資源を枯渇させないように
ソーラーシステムや風力発電、地熱発電などの
自然のエネルギーを使って
商品を作る会社を作りますか?

私のように、「国際協力師」となり、
世界の様々な問題と向き合い
自己満足をすて、
世界のために
未来の子どもたちのために
自分のやるべきことを捜しながら
生きていきますか?


覚えていますか?
私の講演の中にあった、一つの言葉を。

「あなたの一番大切なものはなんですか?」


みなさんの人生は、一回、しかありません。
どんな生き方をしてもいいです。

ただ、後で後悔することのない、
人生を送って下さい。

70年ぐらい経って、
あなたがやがて死ぬ時に、
私は、幸せだった。
私のまわりの人も、幸せそうだ。
これから、未来に生まれくる子どもたちも
きっと幸せだ。

そうなるように、私は全力で努力して
生きてきた。
私は、私の人生を誇りに思う。

もしも
もしも皆さんが、そんな人生のエンディングを
迎えるよう、がんばって頂ければ幸いす。


最後になりましたが、
ご卒業、おめでとうございます。


宇宙船地球号 山本敏晴拝