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今、カンボジアでこの日記を書いている。

カンボジアと言えば、
アンコールワットなどの世界遺産に指定された遺跡群なので
今回は、それについて書いてみる。


国連に、ユネスコ、という組織がある。
正式名称は、国連教育科学文化機関。

ここが、1972年に
世界の「文化遺産」および「自然遺産」の保護に関する条約
(世界遺産条約)
というのを、作った。

現在、
文化遺産679、自然遺産174、複合遺産25(合計878)
あるとされている。(もうちょっと、増えたかも)

・・・

カンボジアの場合、
アンコール地域一帯と
プレア・ヴィヒア寺院というのが
この世界遺産に指定されている。

そして
アンコール遺跡群(および周辺の観光産業地域)を
持続可能な形で守っていこうという活動が
様々な援助機関によって、なされている。


例えば、日本政府の外務省の管轄化にある
JICA(国際協力機構)は
「カンボジア国シェムリアップ/アンコール地域持続的振興総合計画調査」
というのを行い、
マスタープラン(地域における包括的な基本計画)を作り
その実施を援助する活動を行っている。

これは、どういう背景で行われているかというと、

アンコール遺跡群のあるシェムリアップでは
世界遺産への登録で有名になってしまったアンコール遺跡群のため
一気に、観光客が増え、
それを狙った環境産業が乱立し、
そこで働く人々が急速に増えた。

どのくらい増えたかというと
1979年に3万人だった人口が
2002年に16万人。
現在は、それよりも、はるかに増えている。

このため、
上水道や下水道の完備がまみあわず、
ゴミの大量発生と、それの処理施設の建築がまにあわない。

その他、
遺跡群を削り取って、(違法に)売ろうとする業者や
その他、犯罪の件数も増えている状況。


一方で、
カンボジア政府は、その国会において、
「第二次社会経済開発計画」および「国家貧困削減戦略」などを
成立させており、
今後も、経済的にどんどん発展したい意向を示している。

(要するに、アンコール遺跡群を利用して
 環境産業が、どんどん発展していってくれることも期待している。)


よって、
援助機関側としてできることは
(経済の発展ばかりをすると、環境も遺跡もボロボロになるよ、
 とは言えないので、中庸案というか、現実的な案として)

「持続的な経済成長と安定した社会の実現」

「自然資源と環境の保全・文化遺産の修復と保存」

重要だ、ということを盛り込んだ、
国や地方自治体のための「マスタープラン」(包括的基本計画)を作成し、
これを、参考にしてくれ、と提案している、という感じなのである。

・・・

また、民間でも、アンコール遺跡群を修復しよう、という動きはあり
NGO(非政府組織、市民団体)もやっているが
特に目につくのは、大学が行っている活動である。

上智大学や早稲田大学などの取り組みが
ウェブ上でも紹介されている。

一方、
観光旅行に、ちょっとした遺跡修復作業を加えた
ちょっとしたボランティアを含む
ツアーなども、たくさん企画されているが
こちらに関しては、私はやや懐疑的である。

(が、初心者向けには、いいかも)


・・・

各国の歴史的文化遺産を
守らなければならない理由は
いろいろあると思うが、
私、個人的には、以下のように考えている。


現在、
資本主義社会で、市場経済で、グローバリゼーションが
世の中を席巻している。

このため、
世界中が画一的な文化に統一されていく感がある。

よく、引き合いに出されるのが
マクドナルドとコカコーラで、
近い将来世界中が覆われてしまう、
という表現だ。

それはちょっと極端だと思うが、
もう少し、現実的な話をすると
テレビを使い、携帯電話を使い、インターネットを使って、
大量の情報を入手し、少しでも便利で楽な方に
多くの人々が(誘惑され)動いていく。

アフリカでも、アジアでも、どこでも同じ。

この趨勢(すうせい)が続いていくと
世の中、どこにいっても
みんなが、同じような生活を望むことになる。


「はたして、それでいいのか?」
という疑問が、個人的にはある。


このままだと、人間の幸せの形が
画一化されてしまい、
多様性のある、バラエティーのある社会に
ならないのではないか?

また、幸せの形が画一化されてしまうと
それに適合できない人は、
「落ちこぼれ」というか
社会に適応できない人だと
自他ともに思い、思われるようになり
そうした人々にとって、不幸な世の中に
なるのではないか、と思う。


ファストフードを食べなくても
コンビニに行かなくても
インターネットを使わなくても
テレビを見なくても

かつて
私たちは、1000年以上前から
宗教と文化を融合させ
各地域ごとに異なる文化を発展させ
そして、
彼らなりの、私たちなりの
幸せの形を気付いてきたのではなかったのか?


そうした様々な幸せが
世界各地にあったことを
後世の人々に、
いや
現代の人々に伝えることは
非常に重要ではないか、と思う。

・・・

と、いうわけで、
世界の、日本の、文化遺産を
守り、伝えよう、ということは
重要だと考えている。

で、
最近、いくつかの動きがある。


以前は、ともかく、遺跡を修復し
それを守っていればいいんだろう、
という感じだったのだが、
最近は、
より包括的な取り組みが
なされるようになった。


一つは、
遺跡のまわりにある
「自然と、いったいになった形」で
保存をしようと考えるようになったこと。

一つは
観光産業によるゴミや屎尿(しにょう)などの
環境問題対策を、行わけなればならないことが
わかったこと。

一つは
その地域の地元の人々に
その施設の歴史や意義を理解してもらい
(地元の人ですら、歴史を知らないことが多いため)
その施設を、守り、運営し、伝えていく
人材育成を行うようになったこと。

一つは
遺跡のそばに、
ビジターセンターや、博物館のような施設を作り、
観光客に、遺跡を見てもらうだけでなく、
必ず、当時の人々が、どのような社会を作っており
どのような、生活を歩んでいたのか、
どのような、幸せのかたちが、人間には、あったのか、
ありうるのか、
ということを、紹介するような動きがある。


国際協力の方法論は、年々、どんどん変わっていくが
世界文化遺産の保護の分野でも
いろいろな変化が見られる。
多くは、歓迎すべき変化だと思っている。


さあ、あなたも、
まずは、日本の、あなたの町で眠っている文化に
触れてみてはいかがだろうか。


あなた自身の、新しい「しあわせの かたち」を
見つけるために。





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過去のブログ

しあわせの かたち
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51337787.html



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参考リンク:

ユネスコ(国連教育科学文化機関)
the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization (UNESCO)
http://portal.unesco.org/en/

社団法人日本ユネスコ協会連盟
http://www.unesco.jp/

日本ユネスコ国内委員会(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/unesco/index.htm

JICA・地球環境部
カンボジア国シェムリアップ/アンコール地域持続的振興総合計画調査
http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/tech_ga/before/2004/pdf/cam_06.pdf

JSA(日本国政府アンコール遺跡救済チーム)
http://www.angkor-jsa.org/

上智大学アンコール遺跡国際調査団
http://angkorvat.jp/

早稲田大学教授 1992年からアンコール遺跡修復支援
http://www.howtocambodia.com/magazine-06/interview-2.htm