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個人でできる新型インフルエンザ対策の2回目です。
まだの方は、
まず、一回目を読んで下さい。
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65232371.html


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第三章 自分が感染した(かもしれない)場合、
    それを、周りの人々にうつさないようにする行動

公衆衛生学的には、これが最も重要。

一人一人の人が、このような行動をとる「倫理」を
社会がもっているかどうかで、
日本で新型インフルエンザが
「アウトブレイク」(大発生)するかどうか
決まってしまう。

以下、「あなた」にできること。


1.咳エチケット

 咳や、くしゃみをする時は、他の人から
 最低でも、1〜2メートル離れる。
 かつ、
 咳や、くしゃみをする時は、ティッシュ等でおさえる
 使用したティッシュは、ただちに捨てる。

 咳をおさえた手、鼻をかんだ手は、すぐ洗う。
 可能であれば、流水で洗う。15秒以上。


2.マスクは、自分が他人にうつさないためのもの

 風邪やインフルエンザの予防に関し、
 純粋に科学的な話をすると、

 マスクは、
 自分から他人にウィルスをうつさない効果はあるが、
 他人から自分へのウィルス感染を防ぐ効果は
 わかっていない(証明されていない)、のである。

 要するに、マスクは、
 社会のため、につけるものなのだ。

 (自分の予防のためには、ならない。)

 で、
 この社会のための、予防効果のあるマスクは、
 「不織布(ふしょくふ)性マスク」
 と言う。
 糸で織らず、科学的方法で布を接着させたもののため、
 こういう名前になっている。

 コンビニや薬局で一般に市販されており、
 商品の袋等に「不織布性マスク」と明記されているはず。
 よって、これを買うのがよい。


 どうしても、自分はかかりたくない、という人のためには
 医療従事者が使用する、予防効果のある、ごっついマスクがある。

 「N95マスク」

 これは、硬くて円錐上。
 装着する方法が、かなり難しく、
 (相当、密着させないといけない)
 また、付けると、かなり息苦しい。
 おそらく、
 普通の人では、10分でいやになるはずだ。
 よって、
 一般の人の使用には、向かない。

 パンデミックが起こった場合、
 毎日、何百人もの患者の面倒をみなければならない
 医療従事者のために、存在する。

 値段もそこそこする。
 大学病院の付属病院の売店等で 職員用に売られている。
 また、インターネット上の様々な販売サイトでも売られているが、
 怪しいところもあるので、注意。
 (検索エンジンで調べれば、すぐ、多数見つかる。)


3.発熱相談センターや発熱外来の利用の仕方

 国や地方自治体が、
 発熱相談センターや発熱外来を作った本当の理由がある。

 もちろん、新型インフルエンザの疑いのある人に
 治療可能な病院をしらせることもあるが、
 それ以上の理由もある。

 それは、新型インフルエンザの人が、
 通常の病院を受信し、待合室で待っていると、
 同じ待合室にいる、半径4m以内の人に
 ウィルスをうつしてしまう可能性が高いことだ。
 (非常に高い。)

 よって、
 もし、あなたが、新型インフルエンザに罹患した場合、
 まず、保健所の電話番号を調べ、
 その中にある、発熱相談センター、から情報をもらい、
 発熱外来をやっている、感染症指定医療機関を
 紹介してもらう。

 で、次にあなたは、
 その、発熱外来に電話をする。
 そこで、必ず、
 病院を来訪する日時と、入る「入口」を指定される。

 病院側は、院内感染が起こらないために、
 新型インフルエンザ(の疑いのある)患者が
 病院に入り、診察まで待ち、診察を受け、
 薬を受け取って帰る、すべての過程において、
 他の患者にウィルスをうつさないように配慮する必要がある。

 このことを、病院側が準備できるように、
 あなたは、上記の、発熱外来のある病院に
 事前に電話をし、
 日時やら(複数あるうちのどの)入口から入るか、やらの
 詳細な打ち合わせをしなければならない、のである。

 また、
 この病院に行くときは、
 公共の交通機関ではなく、
 自分の家族が運転する車があれば、
 それでいくほうが、ベター、である。

 さらに、
 自分が同居している家族や、
 濃厚に接触した可能性のある友人等を
 保健所に通知しなければならない。
 (既に、法律になっている。)


4.インフルエンザの死因

 インフルエンザで死亡する場合、
 通常は、
 二次的な細菌性の肺炎を併発して、
 それにより、死亡することが多い。

 特に老人では、上記のケースが非常に多い。


参考:
サイトカイン・ストーム
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65225876.html


 逆に子どもでは、インフルエンザ脳症
 というのを起こし、重篤になることがある。


 基本的に
 咳をして、痰がでた場合、
 痰の色が、黄色や緑色をしている場合、
 細菌感染を併発していることが多い。


 子どもが脳症をおこした場合、
 項部硬直(こうぶこうちょく)といって、
 首がかたくなり、
 首を動かさなくなることが多い。
 これに加えて、
 頭痛を訴え、嘔吐をしたら、
 すぐに、病院につれていったほうが良い。
 重症化する可能性が高い。


 と、いうわけで、皆さんの家族や親戚、
 そして地域社会(要するに近所)に、
 高齢者の方や、幼い子どもがいる場合、
 上記のようなことにならないように、
 注意を呼びかけて頂きたい。


5.抗インフルエンザ薬の、耐性化

 薬としては、
 タミフルと、リレンザが知られている。

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商品名(一般名)

タミフル(オセルタミビル・リン酸塩)
Tamiflu, oceltamivir phosphate

製造: ロシュ社(スイス)
販売: 中外製薬

形状: 経口の錠剤(口からのむ)
用法: 1日2回、五日間


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商品名(一般名)

リレンザ(ザナミビル水和物)
Relenza, zanamivir hydrate 

製造: ビオタ社(オーストラリア)
販売: グラクソ・スミスクライン

形状: 吸入薬(肺に吸い込む)
用法: 1日2回、五日間

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 タミフルは、
 現在、普通のインフルエンザに対する
 耐性化が知られている。
 ある報告では、Aソ連型の半分以上が
 タミフルに耐性化をおこしている可能性があるという。

 これは、日本では、
 タミフルを使いすぎの傾向があり、
 このため、ウィルスのほうも、
 それに応じて、突然変異を起こし、
 耐性を獲得してしまっている。

 新型インフルエンザが発生した場合も、
 その耐性化が問題になる可能性がある。

 リレンザのほうは、
 まだ、耐性化は、なさそう。


 なお、国の対策に関しては、以下。

 新型インフルエンザが日本に起こった場合、
 (1918年のスペイン風邪の流行から予想して)
 国内の患者は、最大2500万人、
 そのうち、死亡する人は、最大64万人、
 と推計している。

 これに対する薬物の備蓄であるが、現在、

 タミフルは、
 政府が1000万人分、地方自治体が1000万人分、流通が400万人分、
 以上で合計、2400万人分の備蓄がある、とされている。

 リレンザは、
 政府で、60万人分を、これから備蓄する予定である、という。
 (現在は、ほぼゼロ)

 と、言うわけで、
 もし、新型インフルエンザが、タミフルに耐性をしめした場合、
 上記の膨大な備蓄は、無駄に終わるため、
 おそろしいことになる。


 ともかく、あなたにできることは、何かというと、
 あなたが、これからの冬に、
 (普通の)インフルエンザにかかったとする。

 で、病院を受信して診断を受けた場合、
 その医者は、タミフルなどを処方するだろう。
 その時に、
 「1日2回、5日間、のみなさい」
 と、言うはずだ。

 これを、きっちり守って頂きたい。
 これを、守らず、さっさとやめてしまったり、
 (逆に、必要もないのに、長く飲みつづけたりすると)
 インフルエンザウィルスは、耐性化を起こしやすいのである。

 (こういうのを、服薬遵守(コンプライアンス)という。)

 これが、あなたにできる、最大の社会への貢献なのである。
 
 (要するに、将来の、タミフル耐性化を起こした
  新型インフルエンザの発生を、間接的に防いでいるのである。)


 なお、
 新型インフルエンザが、タミフルに対する耐性を取得する方法について
 であるが、これは
 「遺伝子再集合」という現象で起こる。
 これを知りたい方は、下記のブログを参照。


参考:
鳥インフルエンザ、世界的大流行の予兆 5,797字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51353678.html


6.感染者に対する、偏見や差別

 あなたが感染した場合、
 あなたは、まわりの人から
 「白い目」で見られる可能性がある。

 だれも、死亡率が異様に高い病気など
 もらいたくないからだ。

 よって、あなたは
 エイズ患者(HIV陽性者)のような目で
 見られることになるだろう。

 あなたが、そうなるのがいやなように、
 他の人も、そうなるのは、いや。

 当たり前だが、
 新型インフルエンザにかかった人を
 差別してはならない。


参考:
感染症による偏見については、私のブログのHIV/AIDS参照
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51420328.html



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第四章 自分が家に閉じこもらなければならないような
    状況になった場合に備える行動

これには、二つのケースがある。

自分が新型インフルエンザに罹患し、
上記の指定病院で診断を受け、
かつ、入院するほど重症ではなかった場合、
自宅で、安静にし、
外にでないことになる。

(自分が、学校や会社や繁華街で、
 ウィルスをまきちらさないようにするために)

(これは、法律で強制的に、そうしなければいけないように、
 なっているはず。)


もう一つのケースは、
新型インフルエンザが、世界的大流行となり、
(あなたは健康であるにもかかわらず)
日本社会のほとんどをウィルスが席巻してしまい、
学校は学級閉鎖、会社も(感染を防ぐため)臨時休業、
政府からも、なるべく外に出るな、の勧告がでて
家に閉じこもっていなければならなくなるケース。

(こんな、SF映画のようなことが、起こるのか!?、
 と思うかもしれないが、実は、十分起こりうるのである。)


いずれの場合にしても、
以下のことを考えておく必要がある。


1.
2週間程度の、水と食糧の備蓄。
基本的に
大きな地震が起こったときと同じような
食糧や水の備蓄が必要になる。

このページの最後に、
備蓄すべきものの一覧を掲載する。

(厚生労働省が推奨する備蓄リストを、転載)


2.
海外から輸入される食品などの制限。

新型インフルエンザは、接触感染でうつるため、
パンデミックが世界的に起こった場合、
海外からの食糧などの輸入も、制限される可能性が高い。

日本の食糧自給率は
30〜40%程度しかないため、
これが本当に起こった場合、
日本は、致命的問題になる可能性がある。


3.
子どもの通う、保育園や学校が学級閉鎖になるため、
家ですごす子どもの面倒を、親がみなければならなくなること。


4.
高齢者は、上述の二次感染による肺炎等で
死亡しやすいため、
一人暮らしの老人が、親戚等にいる場合、
巡回して、「元気か?」と家族が確認するべき。

(家族もやるべきだが、
 地方自治体も、余裕があれば、
 やることになっている。)



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参考:

新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/index.html


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補足: (以下、厚生労働省のページから転載)


個人での備蓄物品の例


○食料品(長期保存可能なもの)の例


乾めん類(そば、そうめん、ラーメン、うどん、パスタ等)
切り餅
コーンフレーク・シリアル類
乾パン
各種調味料
レトルト・フリーズドライ食品
冷凍食品(家庭での保存温度、停電に注意)
インスタントラーメン、即席めん
缶詰
菓子類
ミネラルウォーター
ペットボトルや缶入りの飲料
育児用調製粉乳


○日用品・医療品の例

マスク(不織布製マスク)
体温計
ゴム手袋(破れにくいもの)
水枕・氷枕(頭や腋下の冷却用)
漂白剤(次亜塩素酸:消毒効果がある)
消毒用アルコール(アルコールが60%〜80%程度含まれている消毒薬)
常備薬(胃腸薬、痛み止め、その他持病の処方薬)
絆創膏
ガーゼ・コットン
トイレットペーパー
ティッシュペーパー
保湿ティッシュ(アルコールのあるものとないもの)
洗剤(衣類・食器等)・石鹸
シャンプー・リンス
紙おむつ
生理用品(女性用)
ごみ用ビニール袋
ビニール袋(汚染されたごみの密封等に利用)
カセットコンロ
ボンベ
懐中電灯
乾電池


以上に加えて、
山本的には、電池で動くラジオ、
も、お勧めしておく。


参考:
新型インフルエンザ対策行動計画 (内閣府、厚生労働省、2009年2月改訂)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/kettei/090217keikaku.pdf