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山本 「あなたは、男性ですか? 女性ですか?」

ゆい 「もちろん、女ですけど・・?」

山本 「ほんとは?」

ゆい 「は?」

山本 「ほんとうに女だという自信はある?」

ゆい 「は、はい。・・当たり前じゃないですか!」

山本 「では、証拠は?」

ゆい 「・・一応、胸、少しはあるし。・・(アレ)ついてないし。」

山本 「うーん。それだけじゃ、ダメなんだ。
    あなたは、実は男かもしれないんだよ。マジで。」

ゆい 「???」


・・・


性の決定が、どうやって行われているか、知っているだろうか?

生まれた時に、赤ん坊に
オチンチンが股間についていれば男、
ついてなければ女。

古典的には、そう考えられていた。

しかし、科学が発達するにしたがい、
また、社会が複雑化するにしたがい、
そうではないことが多々あることが
わかってきている。


さあて、

性の決定が、どうやって行われるか、
順番に紹介していこう。


その1.染色体レベル
その2.遺伝子レベル

その3.生殖器の発現
その4.戸籍への登録

その5.教育(洗脳)による性
その6.第二次性徴の有無

その7.恋愛感情


以下、その詳細である。


・・・

その1.染色体レベル

人間の性が、どうやって決定されるかというと、
生物学的には、
あなたの体にある、一つ一つの細胞の「核」の中にある染色体が、
X(エックス)染色体を2本、含んでいるか
あるいは
X染色体とY(ワイ)染色体を1本ずつ含んでいるか、
で決まる。

(前者が女であり、後者が男である。)

つまり、
あなたの細胞の中に
X染色体とY染色体が、両方あれば、
仮に、
あなたの形状(外見)が女であろうと、
あなたは、
生物学的には、男である、
ということになる。

で、
実は、このケースは、
意外にも、
世の中に、多数、存在するのだ。



参考:
通常の、ヒトの細胞は、
44の常染色体と、2つの性染色体、
合計、46の染色体を持っている。

性染色体というのが
X染色体と、Y染色体である。

通常は

女性の卵子の中には
22の常染色体と、
1つの性染色体(必ず、X染色体)
がある。

男性の精子の中には
22の常染色体と、
1つの性染色体(X染色体か、またはY染色体)
がある。


これらが合体することによって、
46本の染色体をもつ
一人の「人間」が発生する。


つまり

(男性から来る)精子がもっていた性染色体が
X染色体であった場合、
生まれる子どもは、女、となり、

(男性から来る)精子がもっていた性染色体が
Y染色体であった場合、
生まれる子どもは、男、になる。

通常は。


・・・

その2.遺伝子レベル

さて、
仮に、
あなたの細胞のもっている
性染色体が、
X染色体とY染色体だったとする。

つまり、あなたが生物学的に
男性であったとしても、
外見が女になってしまう可能性について
説明しよう。

(ちょっと、長くなる)


まず、
人間の遺伝子の数は、
(諸説あって、まだもめているが)
おおよそ、
2万個から4万個の間である、と言われている。

遺伝子とは何かというと、
(体を作る)一つのタンパク質を発現させる効果をもつ
「情報」である。

で、
この遺伝子は、
人間の染色体上に、ちらばって存在しているが、
22本の、通常の染色体(常(じょう)染色体)には
一つの染色体あたり、おおよそ、1000個前後が
存在している。

一方、
性染色体のほうは、どうかというと、
X染色体には、常染色体と同じくらいの数の、
1098個の遺伝子があるのだが、
なんと
Y染色体のほうは、78個しかない
ことが
わかっている。


つまり、
(男性が持つ)Y染色体、というのは
(相対的には)
あまり重要ではない染色体だ、
といってよいかもしれない。

簡単にいうと、
Y染色体は、
男を作り、生殖をするためには必要だが、

その生物が、とりあえず
自分だけで一生を元気にすごす、ためには
(ほとんど)必要ない染色体だ、
と言ってよいかと思う。

その証拠に、
Y染色体を、まったくもたない、女性は
今も、ぴんぴん、社会で生活している。



さて、話を戻そう。

一つの生物として生きていくには
必要のないY染色体であるが、
実は、
ある重要な、一つの遺伝子をもっている。

それを、「SRY遺伝子」と言う。

この遺伝子があると、
将来、(卵巣に代わって)精巣が作られ、
男性ホルモンが分泌され、
オチンチンが生え(はえ)、
筋肉隆々になっていくのである。


ところが、
人間の持つ、遺伝子というものは、
常に、太陽からの紫外線などにより
傷をつけられており、
(同時に、それを細胞が修復作業をしており)
もしも
その修復作業に失敗した場合、
その傷が、遺伝子の中に、残ってしまう。

これを、「突然変異」という。


突然変異が、良いほうに転び、
より環境に適応した「強い生物」が生まれることは非常に稀(まれ)で、
通常は、
悪い効果をもたらす。

その遺伝子から発現するはずの
(生きるのに)必要なタンパク質が生産されなかったり、
逆に邪魔な(異常な)タンパク質がでてきたりするため、
通常、その生物は、死亡する。

(または、非常に弱い、生物となる。
 これを、遺伝子病、という。)


ところが、
Y染色体のもつ「SRY遺伝子」は
もともと、生きていくには、必要のない遺伝子なので
それがなくても、どうということは、ない。

つまり
この「SRY遺伝子」に突然変異が起こった場合、
あなたは、
(ほぼ)普通に、生きていけるのだが、

本当は、男になるはずだったあなたが
(SRY遺伝子による精巣形成プロセスが発現しなかったため)
女になってしまう、
ということになる。



・・・

その3.生殖器の発現

ここで、「発生」の話をする。
基本的に、すべての生物は、もともと「女」なのだ。

わかりやすいように、
受精卵から、(人間の)赤ちゃんになるまでの(発生の)過程を
ずっと、おっていってみよう。

(以下は、お母さんの、子宮の中で起こったできごとだ。)


(人間の)受精卵が、どんどん細胞分裂を繰り返し
大きな、たくさんの細胞の塊(かたまり)になると、
まず、だんだん、
魚のような姿になってゆく。

鰓(えら)と尻尾のある、金魚(というか、デメキン)
のような形になる。
(ほんとである。)

次いで、
この鰓(えら)と尻尾が消えていって、
人間の形になってゆくのだが、
この時、
必ず人間は
まず「女性」になる、のである。

次に、
その人間(の幼体)の中に
(Y染色体に含まれる)SRY遺伝子があり、
かつ、それが正常に発現した場合、
精巣が形成され、男性ホルモンがでて、
オチンチンが形成される、ことになる。

逆に、
もし、
SRY遺伝子がないか、
あっても、なんらかの異常で発現しなければ
(見た目は)女のままでいる、ことになる。


と、いうわけで、
あなたが、もし、
生物学的に、Y染色体をもつ、男であっても
SRY遺伝子に異常をきたしている場合、
あなたは、女の外見になってしまう、ということである。

あなたが生まれたとき、
助産師さんや、産婆さんが、

「あら、オチンチンはないねえ。
 ほおら、
 お母さん、無事、生まれましたよ。
 かわいい女の子ですよー」

というのは、
生物学的には、間違いだ
(間違っている可能性がある)
ということになる。


参考:
SRY遺伝子とは、
sex-determining region Y
の略称である。

SRY遺伝子が、正常に発現しないケースは
上述の突然変異だけではなく、
他にも、様々な場合が知られている。

例えば、
(体が疲れた時にできてくる乳酸の)「酸性」に
Y染色体が弱いこと、
SRY遺伝子のプロモーター(発現させる部位)の機能異常、
他のホルモンの影響、
(あなたが、まだ子宮にいた時に)
(母体が服用した)薬物の影響、母体のウィルス感染、
など。


・・・

その4.戸籍への登録

ここからは、社会的な話になる。

昔、
武家や、貴族などの、家柄の良い家系では
ときどきあったことなのだが、
世継(よつぎ)として、男児が生まれなかった場合、
女性であるのに、男性、として
戸籍などに登録したり、
または、社会にしらしめた、ことがある。

特に、江戸時代の武家社会においては
男児が生まれなかった大名は
(将軍の命令で)
「御取りつぶし」
になってしまうケースが実際にあった。

よって、女だったのに、男として育てられたケースは
実は、多い。


参考:
じゃ、結婚や子ども(を作る作業)はどうしたのか
と思われるかもしれないが、
そこはそれ
「蛇の道は蛇」。

要するに、こっそり養子をとったり、
親が、結婚相手の女性と代わりに性交するなど
いくらでも方法はある。


で、
話を戻すが、
ここで言いたいのは、
あなたの、生物学的な性や
外見の形状がどうあれ、

戸籍に、親が、
女(あるいは男)だと、登録すれば、
あなたは
「社会的」には、その性になる、ということである。

これが、最初の「性の決定」である。



・・・

その5.教育(洗脳)による性

女らしさや、男らしはは、
基本的に、生まれた後の環境で決まる。(異論はあるが)

親や学校、社会から受ける教育(または洗脳)で
決まっていくのだ。

(別に、女の子は、女らしくなる、と
 決まっているわけではない。)

人間が、北京原人だったころは
筋肉の強さで、男らしさが決まっていたが、
現代社会は
それ以外の要素のほうが、多い(強い)ため
男らしさや、女らしさ、というものの
7割以上は、「後天的」なものである。


要するに、
仮に、あなたが
生物学的に男でも、
まわりの人が、「あなたは女だ」と思って
あなたを育てれば、
あなは、女らしくなってしまう、ということである。


参考:
上記と、まったく逆のケースがある。

女だ、と思って育てられても
女になることに反発するケース、である。

それが「性同一性障害」なのだが、
これについては、また別のブログで詳しく触れる。


・・・

その6.第二次性徴の有無

では
第二次性徴は、どうか、
という話をする。

まず、
第二次性徴とは、
13歳前後で初潮(最初の月経)が来たり、
乳房がふくらんでくることを言う。

これの異常に関しては、いろいろなパターンがあり
一定ではない。

(正確に書くと、長くなりすぎるので、
 以下は、あくまで参考程度に。)


SRY遺伝子が完全に発現しなかった場合、
(あなたが本当は男でも)
普通の女性とかわらず、
通常の年齢で月経が来るケースもある。

SRY遺伝子が、中途半端に発現している場合、
初潮がこなかったり、
きても生理不順であったり、
あるいは
成人し結婚してから不妊症になったりすることもある。

(そこでようやく、実は男性だった、と判明することもある。)


このあたりは、
個人差の問題もあるため、なんとも言えない。


ともかく、重要なのは、
月経があるから、やっぱり私は絶対に女だ、
とも言えない、ということである。


・・・

その7.恋愛感情

自分の「性の決定」と恋愛感情に関しては
興味深いことが、わかっている。

それは、

仮に(外見が女である)あなたが
男性を好きになったとした場合、
二つの可能性がある、ということだ。


一つは、
女性であるあなたが、男性を好きになったケース。

もう一つは、
(本当は、生物学的には)男性であるあなたが、
ホモセクシュアル(同性愛)として、
男性を好きになったケース。

(後者を「ホモセクシュアル・トランス」と呼ぶ。)


おわかりだろうか?
(上記を、よく読んで、理解して欲しい。)


同様に、
(外見が女であるあなたが)
女の友達を、すごく、好きになった場合も
二つのケースがある。

一つは、
女性であるあなたが、レズビアン(同性愛)として
女性を好きになったケース。

もう一つは、
(本当は、生物学的には)男性であるあなたが、
男性として、女性を(普通に)好きになったケース。


ややこしいが、理解して頂きたい。

これらは、すべて、実在するケースなのだ。


参考:
同様に、
「レズビアン・トランス」
という恋愛感情も、存在することが知られている。
上記の例を踏まえて
どういうことか、考えてみて頂きたい。



と、いうわけで、
もし、あなたが、男性や女性を
好きになった場合、
上記の4つのケースが、可能性としては、ある。



・・・・・・


「私は、女性として、あの人を好きなのかしら?

 それとも、

 私は、男性として、あの人を好きなのかしら?


 あ、あれっ?

 もし、私が本当は男で、それで男の人を好きになったのだったら、

 わ、わたしって、実は「ゲイ」(男性同士の同性愛者)!

 ・・ということ??


 それが、「ホモセクシュアル・トランス」?

 これが、わたしの本当の「性」?


 ええっ、そんな・・ (なんか、ショック)



 ・・・そ、そもそも、わたしって、いったい・・・??」




今夜、「鏡の中のあなた」を見ながら、
ゆっくり考えてみるのがよろしかろう。