.
新聞等で、知っている人も多いかと思うが、
日本の経済産業省が、
「カーボンフットプリント制度」
の導入を検討している。

知らない人もいるかと思うので、
一応、その情報を整理しておく。

・・・

「カーボンフットプリント」とは何かというと、
まず、日本語に直訳すると
「炭素の足跡」
となる。

英語では、Carbon Footprint。

これは、
ある商品が(企業で)作られて、それが(消費者に)使用され、
最後に、ゴミとなって処分(焼却など)されるまでの間に
排出される二酸化炭素(などの温室効果ガス)の「総量」を
その商品が入っている袋などに、表記すること、
である。

別名、カーボンラベリング(Carbon labellng)とも言う。

以下のような感じのマークで
表記される予定。

参考:

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008111400171&genre=B1&area=Z10

http://www.asahi.com/eco/images/TKY200902140217.jpg

大変、わかりやすい、と思う。

これにより、消費者は、商品を買う時に
どの商品が、どれだけCO2等を作られて作られたのかが
一目瞭然となり、
(環境に関心のある人は)
それを参考にして、購入する商品を選択することができるようになる。

・・・

経済産業省は今年(2009年)2月9日、
制度の運用方法を定めた指針を策定した。

今年の夏には、このマークを付けた商品が
日本で広く出回る予定である。

消費者が、このカーボンフットプリントを参考にして
商品を選択するようになれば、
(商品を制作する)企業側も
それにともない
製造する段階から廃棄する段階までの
「商品のライフサイクル」において
CO2の排出を総合的に減らす努力をする
ようになるのではないか、と期待されている。


参考: 
商品のライフサイクルとは、
以下の全ての過程の総計を言う。

原料の調達、その運搬、
部品の製造、その運搬、
商品の製造、その運搬、
販売、サービス、家庭への運搬、
家庭での使用、
廃棄(運搬、焼却、リユース、リサイクル等)

・・・

このマークを使う企業たちは、
商品の種類ごとにCO2の算出基準を定めるのだが、
経産省と農林水産省が立ち上げる
「第三者委員会」の承認をえることが
義務づけられる模様。

よって、ある程度、信頼性のあるシステムとなる
ことが期待される。

イーオンや、ジャスコ、テスコなどの
大手スーパーが、この取り組みに賛同しており、
いくつかの企業が、
エコ関係のイベントで
(カーボンフットプリントを商品の包装しに記載した)
実験的モデル商品を展示した。

特に、
「エコプロダクツ展2008」においては
非常に多くの企業が、参考商品を出品した。

http://www.eco-pro.com/

・・・

だが、
とりあえず、問題点は、少なくとも二つある。

・・・

問題点の一つは、
(仮に、その企業自身が、
 まじめにCO2の排出量を、
 計算しようとしたとしても)
その企業が商品を作る時に
原料や部品を調達するために取引している
中小企業から
正確な情報がこなかったら
計算のしようがない。

(原料や部品は、通常、大企業が
 自分で作っているわけではなく、
 中小企業に作らせていることが
 多いからだ。)

よって、
(環境問題に気を使えるような、余裕のある)
大企業だけではなく、
部品などを作っている中小企業も
この
「商品のライフサイクルアセスメント」

協力してくれないと、困るのだが、
実際は、難しいはずだ。

理由は
(部品などを作っている)中小企業は
総予算が少ないため、
環境問題対策(設備投資など)に、予算を投入することができず、
また、
環境問題対策部署などを設置することもできず、
しかして、
環境問題対策は、できない、
ことが多い。

よって、
現実問題としては、
ライフサイクルアセスメントを実施するのは
相当、困難だ、ということになる。

やるとするならば
政府や地方自治体から、(そのための)補助金を出すか、
あるいは取引先の大企業が
上記のシステムを作るために
「なんらかの援助」(設備投資の援助等)
をする必要があるかもしれない。


・・・

ともかく、
このように、自分の会社が生産する商品の
原料や部品を作っている会社と連絡を密にし、
環境問題対策なども、
いっしょに相談してゆくことを
「サプライ・チェイン・マネージメント」
という。

日本語でいうと、
「取引・連鎖・管理」
という。

この概念は、
これからの企業が、
環境問題対策を考える上で、
重要な側面の一つになってゆく、と思う。


・・・

もう一つの、
カーボン・フットプリントの問題点は、
他の国のそれとの、規格の統一である。

要するに、
商品のライフサイクルあたりのCO2排出量を
計算するときに
その計算の仕方が、各国ごとに異なっていたら、
消費者は、混乱することになるからだ。

(たとえば、
 ポテトチップを、買おうと思った時に、
 日本で作られた、カルビーや湖池屋のものと、
 海外で作られた、プリングルズで、
 その「ライフサイクルあたりのCO2排出量」の
 計算方法が、ちがっていたら、
 不公平になるだろうからだ。)


よって、ある程度、その企画を統一する必要がある。

で、まず、
これまでの、各国の取り組みの歴史を
かるく、紹介しておく。

イギリスは、
カーボン・トラストという組織などが、
「PAS2050」
というカーボンフットプリントの規格を創設し、
2007年から既に実施している。

参考:
Carbon Trust
http://www.carbontrust.co.uk/default.ct

Carbon Label
http://www.carbon-label.com/


スイスは、
ISO14040、ISO14064に準拠。


参考:
ISO14040 ライフサイクルアセスメントの原則や枠組み
http://www.bpc-jp.com/eco/what_lca.htm

ISO14064 温室効果ガスの監視・算出・報告等のガイドライン
http://www.technofer.co.jp/convini/hotnews/hotgh_05.html


その他、フランスやドイツも
統一された規格を検討中。


日本は、
2008年6月、経済産業省が
「カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会」
を設置した。

http://www.meti.go.jp/press/20080617007/20080617007.html


同月に開催された
ISO(国際標準化機構)/TC207(環境マネジメントに関する技術委員会)
ボゴタ会合において、
カーボンフットプリント制度の
国際標準化作業開始の提案を、
イギリス、ドイツ、アメリカ等と共同で行った。


この中で、ポイントとなるのが、
ISO/TC207
という、環境マネージメントに関する最新の動向だ。

これは、
既に全世界で実施されている
ISO14000シリーズ(環境マネージメントシステム)を
改善し、さらに、世界全土で標準化しよう、という目的で作られた
技術的検討委員会 ( Technical Committee ) である。

興味がある方は、以下のURLをチェックして頂きたい。


参考:
ISO-TC207 Web Site
http://www.tc207.org/About207.asp

参考:
ISO14000s規格開発状況|日本規格協会
http://www.jsa.or.jp/stdz/iso/iso14000.asp


ともかく、
全世界で、このカーボンフットプリントの規格が統一されれば
商品の輸入や輸出の多い我が国において
自由な貿易が行われても、
消費者も企業も、混乱なく、
このシステムに関わっていくことができるようになるはずだ。

・・・

現在、大筋で、以上のような状況である。

が、
はてさて、しかしながら、
まだまだ、この「カーボンフットプリント」の
一般的な認知度は、低い。

是非、みなさんが、この
消費者でできる(ようになる)環境問題対策の一つ
にご興味がある場合、
この概念の普及に、協力してみてはいかがだろうか?