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国際協力をやっていると
必ず頻繁に耳にするようになるものの一つが
「人権」という言葉である。

その中でも、
「女性の権利」、「ジェンダー問題」
などというものは、
どうしても避けて通れない問題
(知っておかなければならない側面)
の一つ、だと思う。

しかし、
これらの問題を
正確に認識するためには、
まず、そもそも
「性(せい)とは何か?」
ということを知らねばならない。

性とは何か?、女性とは何か?、男性とは何か?
を知らなければ、
女性の権利について考えることなど、
不毛の議論になってしまうことだろう。

(だって、あなたは、
 そもそも「女性」(および男性)というものを
 根本的に誤解しているかもしれないからだ。)

よって、
先日、私は、ブログに、
「性の決定」の話を書いた。

http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65234572.html

女性とは何か、男性とは何か、について
極力わかりやすく書いたつもりなので
興味のある方は、とりあえず
目を通して頂きたい。


で、上記のブログを書く過程で
一つ、気になった分野があった。

それが、今回、とりあげる
「性同一性障害」の問題だ。

別に私は、その分野の専門家ではないが、
国際協力に興味のある方が、
最低、これくらいは知っておいたほうが良いであろう、
と思われる部分を、まとめてここに記載しておく。


・・・・・・・・・・

「性同一性障害」とは、何かというと、
簡単にいうならば、
「体の性」と「心の性」が一致しないこと、
である。

堅く言うならば、
「身体的(医学的)な性」が、明らかに「女性」であるのに、
本人は(心理的に)、「男性」であると「持続的に確信」している状態、
を言う。

または、逆に、
身体的に男性の人が、自分は女性だと確信する状態
を言う。

英語でいうと
Gender Identity Disorder
GID
と言う。


一つ、注意を要するのは、
女装(男装)をすること、
同性愛などの恋愛感情を持つこと、
ニューハーフ等になること、などとは、
本質的に、
まったく別の問題であり、混同してはならない、
分けて考えるべき問題だ、ということである。


・・・

統計学的には、外国のそれをみると
男性の、3万人に1人、
女性の10万人に1人、
が、この性同一性障害を持つといわれている。

(要するに、(肉体的には)男性のほうが、3倍以上多い。)

また、ある統計によれば、
3千人に1人、の割合で存在している、とするものもあり、
こうした、社会に認知されにくい疾患の正確な発症率(または有病率)は
データを得にくい。


・・・

1997年、後述する
「日本精神神経学会・性同一性障害に関する特別委員会」
による発表があった。

これにより、
性同一性障害が、社会的にある程度、認知されることになり、
専門の医療機関を受信しようとする、
(上記の症状を持つ)人々が急速に増えた。

岡山大学などの主要医療機関を受信した人は
これまでに既に7000人を超えている。

性別適合手術(俗にいう性転換手術など)を受けた人は、
はっきり分かっているだけで数十例。
報告のないものを入れれば、その数倍以上と言われている。

・・・

性同一性障害の、診断に関しては、
アメリカの精神神経学会が作っている「診断基準」がある。
これを、DSM、と言う。


参考: DSM
「精神障害の診断と統計の手引き」
Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders
http://www.dsmivtr.org/

時々、改訂されるのだが、現行のバージョンを、
DSM-IV-TR (DSM、第4版、Text Revision)
と言う。


・・・

このDSMによる、
「性同一性障害」の診断基準が以下である。

(長いので、まず、簡略化する。
 このブログの末尾に全文を改めて添付しておいた。)


A.反対の性に対する強く持続的な同一感

(注: 反対の性として生きたい、扱われたいという欲求など)

B.自分の性に対する持続的な不快感

(例:反対の性らしくなるために、
 身体を変化させるホルモン、手術を要求するなど)

C.その障害は、身体的に半陰陽を伴ったものではない。

(注: 半陰陽とは、発生の異常により、
   男性器と女性器の中間の身体的特徴を持つ状態)

D.その障害は、臨床的に著しい苦痛または、
 社会的、職業的または他の重要な領域における
 機能の障害を引き起こしている。


以上の4つを満たすものを、
「性同一性障害」と言う。


・・・・・

半陰陽について、補足説明をしておく。

上述した、私のブログ「性の決定」
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65234572.html
を読めば、書いてあるが、

人間は、生まれる時、発生の過程で、
(母の子宮の中で、受精卵から新生児になる間に)
一度、誰でも、まず、女性になる。

その後、Y染色体を持っている場合、
卵巣になるはずだった組織が
精巣に変化し、男性ホルモンを分布するようになる。

それにより、
外性器に変化があらわれ、

陰核(クリトリス)の部分が、どんどん突出し、
大陰唇や小陰唇がそれをつつみこみ、伸びて、
陰茎(ペニス)を作ってゆく。

この時、卵管が伸びてきて、
できあがってゆくペニスに包まれ、
精管に変わる。

同時に、
膀胱から流れてくる尿を排出するための
尿管も、このペニスに同時に包まれる。

ところが、
男性の外性器を作る過程は、
上述のように、非常に複雑なため、
途中で、なんらかの「異常」がおこった場合、
(女性器から男性器に変わるという)
その変化が、途中で止まることがある。

しかも、けっこう高い頻度で起こる。

(これが起こる原因は、
 胎生期に、男性ホルモンの分泌される量が足りない場合、
 そもそも、Y染色体の中にある
 女性から男性に変化を起こす「きっかけ」となる遺伝子
 「SRY遺伝子」に、なんらかの異常があった場合、
 その他の、染色体異常(または遺伝子疾患)、
 母体が妊娠中に、ウィルス感染を受けた場合、
 母体が妊娠中に、なんらかの薬を飲んだことによる影響、
 などが考えられる。)
 
参考:
SRY遺伝子
sex-determining region Y


途中で止まると、どうなるかというと
女性の陰核(クリトリス)が
かなり大きく、突出しただけで、
陰茎にはならない、という場合もある。

(この場合、遺伝子は男性、外性器は、ほぼ女性。)

もう少し進んでから止まると、
ペニスは、小さいながらも形成されたが、
尿道をつつみこむことに失敗し、
ペニスの根本(つけね)の部分から
尿がでるような形状になる場合、
などもある。(尿道下裂(にょうどうかれつ)という。)

(この場合、遺伝子は男性、外性器も、ほぼ男性。)

上に二つの例をあげたが
この二つの、ちょうど間で
女性器から男性器への変化が止まった場合、
外性器の見た目では、生まれてきた子が
男なのか女なのか、よくわからない、
ということになる。

ともかく、このように、
男性器(またはその形成過程にあるもの)は
非常に、奇形(または障害)が起こりやすい場所なのだ。

で、
この女性器なのか、男性器なのか、
よくわからない外性器を持っている場合、
それを、「半陰陽」というのである。

(どちらかの性の外見に近いものから、
 ちょうど間ぐらいのものまであり、
 その全てを、半陰陽、というのである。)


で、
話を戻すと、
上述のDSMの診断基準では、
半陰陽をもっている場合、
「性同一性障害」の診断基準から
はずれてしまうことになる。

診断されないと、
医者からその診断書等をもらえないので、
それを社会的に証明することができず、
(後述する)法律上の権利を得られない。

また、
(後述する)「性別適合手術」も
受けることができない場合も考えられる。


半陰陽は、医学的には
けっこうな頻度で起こるものなのだから、
半陰陽で、かつ、性同一性障害の症状を持つ人も
確率的には、かなりいるはずなのだが、
診断基準では、そこからはずされてしまう。

これは、
その当事者にとってみれば、
大変な問題だと思う。


・・・・・

ここで、
性同一性障害への治療(手術)の歴史について、述べる。

有名なのが、
1969年の「ブルーボーイ事件」である。

これは、
男性の性同一性障害(など)を持つ人たちに対し、
産婦人科医が、
睾丸摘出、陰茎切除、造膣手術、などを行ったところ、
のちに問題となり、裁判で「有罪」の判決がでたもの。

「優生保護法」(現在の母体保護法)に違反する、
との内容であった。

(実際は、正当な医療行為とみなされるには、
 いくつかの確認すべき「条件」が足りなかったためで
 法律そのものの、本質的な部分に
 違反していたものではなかった。)


しかし、上記の判決がでたため、
以後、我が国における「性別適合手術」
(俗にいう、性転換手術等)
は、その後しばらくの間、
事実上、(公式の場では)封印されることになる。


・・・

30年ちかい時が流れた後、
時代の流れを受けて、(前述の)

1997年、
「日本精神神経学会・性同一性障害に関する特別委員会」
が、
「性同一性障害に関する答申と提言」
を発表した。

これは、性同一性障害を治療するにあたっての
医師の守るべき治療方針を明確に示したもので、
これを遵守すれば
ブルーボーイ事件のように
(法律上の)問題になることはなく、
正当な医療行為であることを、約束するものだった。

これにより、
翌1998年、
埼玉医科大学において、
日本で初めての、正当な
「性別適合手術」
が、行われることになる。


参考:
なお、これまでに、さんざん登場したとおり、
この手術を、「性転換手術」とは、いわない。

本人にとっては、
望んでいる「性」が、本当の「性」なわけだから、
「性別適合手術」
というのが正しい、ということになっている。

・・・

以後、
岡山大学、札幌医科大学、関西医科大学、
大阪医科大学、大分大学、長崎大学
などにおいても、性別適合手術の実施
(または専門外来の設置)が
施行されるようになった。


参考: 
岡山大学、精神神経病態学教室、性同一性障害
http://www.okayama-u.ac.jp/user/med/psychiatry/labo_gr04.html

岡山大学、形成外科、性同一性障害
http://www.okayama-u.ac.jp/user/keisei/seidouitsu.html


2002年、
日本精神神経学会は、
「性同一性障害に関する答申と提言」を改定し、
より、患者たちの要望を取り入れ、
現状にあったものに直された。

(が、まだ不十分だと言われている。)


・・・

次に、戸籍の改定に次いで、述べる。

性同一性障害を持つ人は、
身体的な性別の変更だけではなく、
社会的にも(つまり、戸籍上なども)
性別を変更したい、と望むことがある。

その場合、
日本においては、新しく法律を作る必要があった。

2000年ごろから、
(助産師でもあった)南野知恵子(のおのちえこ)参議院議員が
自民党内に
「性同一性障害勉強会」を作った。

http://www.c-nohno.com/

2003年、
与党内に、立法化をめざすチームができ、
その内容に
野党も大筋で賛成したため、
同年、
「性同一性障害の性別の取扱いの特例に関する法律」
が公布された。

1年後に、施行、となる。

この法律の全文は、GID学会(性同一性障害学会)のURL等にあるが、
その核心となる部分は、以下である。

http://gid.sakura.ne.jp/data.html

・・・

「性同一性障害の性別の取扱いの特例に関する法律」より


第二条 (定義)

この法律において「性同一性障害者」とは、
生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、
心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)
であるとの持続的な確信を持ち、かつ、

自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、
そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する
二人以上の医師の
一般に認められている医学的知見に基づき
行う診断が一致しているものをいう。


第三条 (性別の取扱いの変更の審判)

家庭裁判所は、
性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、
その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。

 一 二十歳以上であること。
 二 現に婚姻をしていないこと。
 三 現に子がいないこと。
 四 生殖腺(せん)がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
 五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

・・・・・

上記の、補足をする。

補足1:

「自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者」
とあるが、
「意志」は、法律用語としては、
法的な判断能力を持つもの、に限定される用語である。

つまり、(重度の)統合失調症や痴呆などで
判断能力に問題があると考えられる人は、
(最初から)対象からはずれることになる。

補足2:

上記の法律を読むと、
結婚している人や、子どもを持っている人は、
性の変更ができない、ことになる。

これは、
戸籍上、男性と男性が結婚することになった場合、
(様々な、他の法律たちに)問題が生じたり、
子どもにとって、
母が、突然、男性になること、
などが、別な社会問題を引き起こすこと、などが
配慮されたため、と考えられる。

しかし、
この件に関しては、
当の、性同一性障害を有する人からの
反対意見が多く、
法律の改定が求められている。

補足3:

生殖腺がないこと、が条件の一つと
なっているが、
すると、「社会的な性の変更」を望む人は、
まず、なんらかの方法で
自分の生殖腺(卵巣または精巣)を
(手術等で)
除去しなければならない、ということになる。

もしも、そのままの状態では
法律上の性を、変更することはできない。

まず、手術をするとなると
お金も少なくとも数十万円はかかるし、

そもそも
(手術という行為自体に)
気が引けて、及び腰(およびごし)になるし、
なかなか敷居が高くなると思う。

この法律は、はたして妥当なのか?

生殖腺を除去する(除去した)ほど、
激しい感情で、自分の性を変えたい、
という人のみを、
この法律(性を変更する法律)の対象とする、
ということなのだろうか?

うーーむ。

私見であるが、
根本的な部分で、適切ではない、気がする。


・・・

参考となる用語 (注: 文献や学会により定義がやや異なる。あくまで参考)

トランス・セクシュアル Trans Sexual
自分の性に不快感をもち、異性になろうとし、
性別再判定手術までを望む人。

トランス・ジェンダー Trans Gender
狭義では、
自分の性に不快感をもち、異性になりたいと思うが、
性別再判定手術までは望まない人。
広義では、
性同一性障害の人々、(ほぼ)すべてを指す場合もある。

トランス・ベスタイト Trans Vestite
男装、あるいは女装をする人、異性装者。
単なる(服装の)嗜好あるいは変身願望からこれを行う場合と、
性同一性障害の人(自己の生下時の性を嫌悪する人)が、
精神のバランスをとるために行う場合、などがある。

ホモセクシュアル Homo Sexual
同性愛。
自分の性に違和感を感じないまま、同性に恋愛の対象が向くこと。
(例外があり、性同一性障害で、かつ同性愛の場合もある)


・・・

もどって、性同一性障害を、
仮に「病気」(なんらかの異常)として考えた場合、
その原因は何か、ということが
研究されてきたが、
残念ながら、それは、よくわかっていない。

生下時から、既に、そうなっているという
「先天性説」と、
生まれた後の、なんらかの経験による
「後天性説」がある。

前者を主張する人が、数としては多いようだ。


前者の、先天性説、としては、
例えば、
脳のある場所に、
「自己の性」を決定する神経核(仮説)があるとし、
そこに「性ホルモン」(男性ホルモン、または、女性ホルモン)が、
胎生期に、持続的に影響することにより、
肉体の性と同じ、心の性が、できあがっていく、
というもの。

つまり、胎生期(子宮の中にいる時)に
上記の、「性ホルモン」による神経核への影響が
うまくいかなかったため、
性同一性障害になった、という仮説。

(注: この神経核の存在は、まだ証明されていない。)


後者の、後天性説、としては、
幼少期に、なんらかの、性に関わる「つらい経験」
(レイプ、児童虐待など)
を受けたことにより、
それから逃れるために、他の性に変化しようとするもの、
などがある。

で、
性同一性障害の人々に、インタビューをすると
後者のような、
幼少期の「つらい経験」がないのにも関わらず、
自分を「他の性」だと認識するようになった、
という場合が多い。

このため、先天性説のほうが
強いことになっているようだ。


・・・

治療としては、
カウンセリング、薬物療法、手術療法、などがある。

カウンセリングとしては、
昔は、
「あなたは肉体的には女性なのだから
 女らしい感情を持つように努力しなさい」
ということを
言っていた時期も、かつて、あったようだが、
現在では、それは行われていない。

性同一性障害があることを認めた上で
それを本人が受け入れ、
あらためてアイデンティティー(自己同一性)の確立を
していくことの、補助(サポート)をする方向で
カウンセリングすることが多いようだ。

「自分が何者であるか」が
明確になっておらず、
それが二次的に、精神的な不安定化を引き起こし、
QOL(クオリティー・オブ・ライフ、人生の質)が
低下することにつながるので、
この新たなる「自我の確立」を援助することが重要だ、
と考えられている。

その他、カウンセリングの方法は、
担当した医師やカウンセラーによって様々である。


薬物療法としては、
性同一性障害の人々の
30%以上が、
二次的な、抑うつ状態などになっていることが多く、
それに対する「精神安定剤、抗不安薬」などの処方が行われる。
が、重症度や症状に応じて、さまざまな薬が使われる。

その他、
男性らしくなるため、女性らしくなるために
ホルモン療法が行われる。
通常、いずれの薬を投与しても、
その効果があらわれるまでに、1〜3年はかかるため、
非常に長い治療期間を要する。


手術療法としては、
「性別適合手術」が、上記の大学病院等で行われている。

英語では、
Sex Reassignment Surgery(SRS)という。

当然ながら、
男性器から女性器に変更する場合と、
女性器から男性器に変更する場合がある。

(後者のほうが、技術的に、はるかに難しい。)

また、
性行為および性感を重視する場合と、
医学的な安全性を重視する場合、
単純に「外観」を重視する場合、など
その当事者の要望にあわせ、多岐にわたる。

・・・

重要なことは、
手術をし、外性器の形状を変更すれば、この問題が解決するわけではない、
ということ。

ある人が、他の人を、
男性、または、女性と、認識する場合、
どうやっているのかというと、
外見、服装、仕草、言葉使いなどによって、
総合的に、その人を、男性、または女性であると、
意識的かつ無意識的に、判断しているのだ。

つまり、
仮に、ある人が、他の性になりたいと思ったところで、
外性器だけ変えても、まわりの人は
あなたを、他の性だとは認識してくれず、
極端にいえば、
手術したことが、無駄になる可能性すらある。

よって、
性別適合手術をする対象となるのは、
すでにその人が、
外見、服装、仕草、言葉使い、その他の要素が、
十分、他の性に近い状態になっており、
かつ、
手術をすることによって、その人に
心理的・社会的なメリットがある場合、などに
この手術を行う、
ということになる。

(もちろん、他のケースも考えられるが。)

判断は、本人だけでなく、二人以上の医師および専門のカウンセラーとの
相談で行うことが望ましいと考えられる。

・・・

ある方法としては、
ある1日を、特別な日とし、
その人の「望む性」として、
その1日を生活させる、という方法がある。

これを、
「リアル・ライフ・エクスペリエンス」という。
この結果、
実際に、自分の望む性で生活した場合の
メリットとデメリットが明らかになり
問題(およびその後するべき行動)が明確になる。

この「実験」を行うことにより、
どのような対策をとるのが、
もっともその人にとって、心理的・社会的な解決に近くなるのかを
考えるための、参考になる。


要するに、
治療は、外科手術をすればいい、ホルモン療法をすればいい、
というわけではなく、
さまざまな社会的側面を考慮しなければならない点に
この問題の難しさがある。


・・・


以上が、性同一性障害の現状と概略だ。

「性」に関わる問題は
非常にややこしいものが多いので
説明が長くなってしまったが、

人間の「自我の根幹」に関わる部分なので
是非、
一度、これを機会に、自分自身を見つめ直して頂きたい。


例えば、
これを読んでいる「あなた」も
自分とは何か?、を考えてみる時に、まず、

「私は、女(男)だから・・・(うんぬん)」

という風に
思考(自分の意見)を切りだす人も多かろうと思う。

が、
はたしてそれは、妥当な「思考の出発点」なのだろうか?


いつ、あなたは、
自分が女性である、とイメージしたのだろうか?

それは、あなたが、本当に望んだことだったのだろうか?

いつのまに、なんで、そうなってしまったのか??


もしも、
その「始まり」の時を見つけようと努力したならば、
その時、あなたは初めて、

あなたの心の奥底に居座り続けている
「性」
という名の、えたいの知れない、

「あなたの行動原理を(いつのまにか)決定しているもの」
の存在に
気づくことができるであろう。


あな、おそろしや。




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以下、資料


DSM-IV-TRによる、「性同一性障害」の診断基準

A.反対の性に対する強く持続的な同一感
(他の性であることによって得られると思う
 文化的有利性に対する欲求だけではない)。

☆子どもの場合、その障害は以下の4つ(またはそれ以上)によって表れる。

1) 反対の性になりたいという欲求、
 または自分の性が反対であるという主張を繰り返し述べる。
2) 男の子の場合、女の子の服を着るのを好む、
 または女装を真似ることを好むこと。
 女の子の場合、定型的な男性の服装のみを身につけたいと主張すること。
3) ごっこあそびで、反対の性の役割をとりたいという気持ちが強く持続すること、
 または反対の性であるという空想を続けること。
4) 反対の性の典型的なゲームや娯楽に加わりたいという強い欲求。
5) 反対の性の遊び仲間になるのを強く好む。

☆青年及び成人の場合、次のような症状で現れる。

 反対の性になりたいという欲求を口にする、
 何度も反対の性として通用する、反対の性として生きたい、
 または扱われたいという欲求、
 または反対の性に典型的な気持ちや反応を
 自分が持っているという確信。

B.自分の性に対する持続的な不快感、
 またはその性の役割についての不適切感。

☆子どもの場合、障害は以下のどれかの形で現れる。

 男の子の場合:
 自分のペニスまたは睾丸は気持ち悪い、
 またはそれがなくなるだろうと主張する、
 またはペニスを持っていない方が良かったと主張する、
 または乱暴で荒々しい遊びを嫌悪し、
 男の子に典型的な玩具、ゲーム、活動を拒否する

 女の子の場合:
 座って排尿するのを拒絶し、
 または乳房が膨らんだり、
 または月経が始まって欲しくないと主張する、
 または、普通の女性の服装を強く嫌悪する。

☆青年及び成人の場合、障害は以下のような形で現れる。

 それは、自分の第一次および第二次性徴から
 解放されたいという考えにとらわれる。

(例:反対の性らしくなるために、
 性的な特徴を身体的に変化させるホルモン、
 手術、または他の方法を要求する)、
 または自分が誤った性に生まれたと信じる。

C.その障害は、身体的に半陰陽を伴ったものではない。

D.その障害は、臨床的に著しい苦痛または、
 社会的、職業的または他の重要な領域における
 機能の障害を引き起こしている。