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豚インフルエンザ(ブタインフルエンザ)の
メキシコ及びアメリカ合衆国での流行が
現在、ニュースで流れている。

混乱のないように、解説しておくが、
基本的には、
かなり「まずい」事態になっている。

パンデミック(世界的大流行)化する可能性は
けっこうあるのではないか、と思う。


・・・

2009年4月24日、
WHO(世界保健機構)は、
次のような発表をした。


メキシコにおいて、3月下旬から現在までに、
豚インフルエンザ感染が疑われる患者が
800人、報告されている。

このうち、少なくとも
60人が死亡した。

ブタから人への感染だけでなく、
人から人への感染もあったことをメキシコ政府は確認した。

死亡した人々は、
20歳から45歳までの
若い成人に多かった。


注: 通常、インフルエンザで死亡するのは、
   小児か、高齢者である。
   若年成人が集中して死亡している事態は
   極めて異例。


アメリカでも、
同じ遺伝子型による、豚インフルエンザが流行し
7人が感染している。

アメリカでは、死亡例はない。


WHOは、緊急会議を開き
新型インフルエンザの
フェイズを、3から4に上げるか
検討するとのこと。


注:
フェイズ3とは、
動物から人への感染はあるが、
人から人への感染はないか、
または、あっても極めて限定的なもの。

フェイズ4とは、
人から人への感染はあるが、
小さな人の集団(クラスター)に
限局しているもの。

フェイズ5とは、
大きな集団(クラスター)への感染があるが、
ある地域に限局していること。

フェイズ6とは、
人から人への感染が、
地域を越えて(世界中へ)伝搬しており、
しかもそれが持続的で拡大傾向を持つこと。
(これを、パンデミック、という。)


英語版 (WHOの現在のフェイズ)
http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/phase/en/

日本語版 (国立感染症研究所の翻訳)
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/05pandemic/0511phase.html


・・・

普通に考えると、
メキシコでもアメリカでも
豚とまったく接触していない人が
豚インフルエンザになっているのだから、

豚から人への感染ではなく
人から人への感染が起こっている、
と考えるのが妥当。

さらに、
メキシコで起こっている数百人規模の感染は、
「小さいクラスター」
とは、いわないだろう。

(たしか、25人までを小さいクラスターと定義していたはずだ。)

だから、
純粋に医学的・公衆衛生学的に考えると
WHOは、
インフルエンザのフェイズを
フェイズ4(または5)に上げるべきだ、
ということになる。


しかし、
フェイズを4(または5)に上げると、
人が移動をすることが制限されるなど、
多大な影響を各国に与えるため、
「社会的・政治的」な要素を考えて
WHOは、
今、その判断に迷っているはずだ。

(注; 人の移動が制限される、ということは
    主に、国境を超えようとする人々に
    なんらかの制限がもうけられる可能性が高い。

    たとえば、
    成田空港で、発熱をしている人の
    監視と移動の制限が、すでに始まった。)


また
フェイズ4になった、ということは、
やがて、フェイズ6(パンデミック)が起こるのが
ほぼ時間の問題、になる可能性が高い、という側面もあるため、
社会不安をあおらないため、
より慎重にならざるを得ない。


・・・

WHOは、
4月25日、緊急会議を開いたが、
メキシコからの情報が、
まだ集まりきっていないため、
その情報収集と、その解析に
最低でも2、3日かかるとし、
その後に
なんらかの発表を行う予定だ。

(昨日のニュースなどで、
 WHOは、フェイズ4に上げなかった、
 という記事が流れていたが、
 まだ、情報収集がすんでいないので
 発表のしようがなかった、
 というのが、本当である。)


・・・

今回、豚インフルエンザは、
インフルエンザA型の中の、
H1N1型であることがわかっている。

これは、
これまで話題になってきた
新型インフルエンザになろうとしている
鳥インフルエンザの
H5N1型とは、異なるものである。

しかし、
アメリカの国立感染症センター(CDC)は
次のように言っている。

「今回の、豚インフルエンザは
 ブタ・トリ・ヒト、
 それぞれの特徴をもつ
 まったく新しい、これまでにないタイプのウィルスだ。

 このため、
 もしもパンデミックが起こった場合、
 ほとんどの人が、それに対する免疫(抗体)を持っていないため
 被害は甚大になるだろう。」


・・・

ブタ・トリ・ヒトの
インフルエンザの遺伝子が、まじってしまう理由は
以前のブログに書いた。


鳥インフルエンザ、世界的大流行の予兆 5,797字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51353678.html


簡単にいうと
ヒトインフルエンザ・ウィルスと
トリインフルエンザ・ウィルスの両方が
感染できる動物が、
ブタ、なのである。

で、
ブタの中で、同じ細胞に、それらのウィルスが感染すると
その細胞の中で
「遺伝子再集合」という現象を起こし、
まったく新しいウィルスが誕生することになる。

このため、
今回のような
ブタ・トリ・ヒトの特徴をもった
未知のインフルエンザが誕生したのだろう。


・・・

余談だが、
豚インフルエンザのことは、英語で
swine influenza
と言う。

鳥インフルエンザは、英語で
avian influenza

新型インフルエンザは、英語で
pandemic influenza
である。

ネットで記事を検索する時に
これらの単語が、必須となる。


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いずれにしても、
数日以内に、WHOは
なんらかの発表をするだろう。

以下のウェブサイトを、要チェック!


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豚インフルエンザに関する
基本的情報は、こちら。

世界保健機構(WHO)
http://www.who.int/csr/disease/swineflu/en/index.html

http://www.who.int/csr/don/2009_04_24/en/index.html

各国ごとの対応状況は、以下
http://www.who.int/csr/don/2009_04_24/en/index.html

アメリカ国立感染症センター(CDC)
http://www.cdc.gov/swineflu/investigation.htm

http://wwwn.cdc.gov/travel/contentSwineFluMexico.aspx

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以下、みなさんが、ご自身で行っておくべきこと(参考まで)


個人でできる新型インフルエンザ対策その1 4507字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65232371.html

個人でできる新型インフルエンザ対策その2 3402字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65232637.html