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おいら、「フォラミニフェラ」。
おいらの名前、「心に穴のあるもの」。
おいら、さみしかった。

4000年前、友達ができた。
サンゴ、っていう名前の、綺麗なやつだ。二人で、海で遊んだ。
「砂の城」を作って、遊んだ。


おいらの体からは、垢(あか)が出る。
垢(あか)は砂になり、おいらのまわりに積もっていった。

サンゴは、小さいお城を作った。そのとなりにもお城を作った。
お城とお城をくっつけて遊んだ。

気がつくと、大きなお城になっていた。
そのお城に、おいらの体から出る、砂がたまっていく。


ふと、まわりをみたら、おいらの仲間、いっぱいいた。サンゴも、いっぱいいた。
どんどん、お城は大きくなり、そこに砂もたまっていく。

いつのまにか、立派な「砂の城」ができた。
太平洋の波から守る、丈夫で大きな、サンゴの城だ。
これ、サンゴ礁って、呼ぶのかな?

おいらの砂はそこにたまり、やがて
サンゴ礁に守られた、美しい砂の島、できていった。
おいら、うれしかった。


3000年前、植物、生えてきた。鳥、飛んできた。
そして、人間、すこし、やってきた。
人間、魚をとって、芋を育てて暮らしてた。


しあわせだった。おいら、しあわせだった。鳥も、魚も、人間も、みんな、しあわせだった。
このまま、ずっと、続いていくと思ってた。サンゴと、おいらと、少しの生きものたち。
ここは、おいらの「パラダイス」だった。


だども、100年ぐらいまえから、「新しい人間」やってきた。
そしてどんどん増えていった。
新しい人間、「永遠に消えないゴミ」と、「変な色の水」を出す。

このゴミと水は、おいらの体に、あわなかった。
ちょっとなら、平気だったけど、いっぱいだと、・・ダメだった。
おいらの友達、死んでいった。島をつくる砂、減っていった。


なんか、最近、暑くなってる。海の水の温度が、上がってる。
サンゴが、苦しそうだ。サンゴの友達、死んでいってる。島を守る、城が、崩れる。
波から守ってくれる、一番だいじな、防波堤が、くずれていく。


ある日、「新しい人間」が、砂浜の砂を、いっぱい、いっぱい、とっていった。
コンクリートって、なに? 戦争のために、飛行機の滑走路を作るの? 
アメリカという国と、日本という国が、ケンカをしているの?
なんであんなに、いっぱい砂がいるのかなぁ。


きがつくと、新しい人間は、いっぱい、増えていた。
もう、おいらには、かぞえられない。
いっぱい、とっても、いっぱい。


ああ、今度は、海の高さが上がってきた。
毎年、だんだん、上がっていく。
もう、だれにも、とめられない。もう、だれにも、とめられない。

おいらと、サンゴの、島が沈む。
おいらの、「パラダイス」が、沈んでしまう。
4000年かけて作った、おいらと、サンゴの島が。


おいら、「フォラミニフェラ」。
日本語だと、有孔虫(ゆうこうちゅう)。
4000年かけて、ツバルを作った。


だども、そのツバルが、もうすぐ・・



















...

補足1:
今日から、1週間、ツバルにいく。

映画ツバル2のロケハン(撮影前の現地の調査)が
主な目的なのだが、
それだけだと(時間とお金が)もったいないので、
上記のストーリーを、写真絵本にするための、
抽象的な風景写真の撮影も、行おうかと思っている。


補足2:
以前、上記のストーリーは、アップしたが、

http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/64973923.html

フォラミニフェラから分泌される
「セディメント」(積もってゆく砂のようなもの)を
そのまま、セディメントとして記述していた。
専門用語で難しいので、今回、単に「砂」とした。

その他、細かい部分を改定している。


補足3:
上記のストーリーは、
科学的に解説すると、以下のような内容である。

(1)サンゴと有孔虫が、サンゴ礁と島を長い年月をかけて作っていった。

(2)そこに、植物や動物が住むようになり、人間も暮らし始めた。

(3)ところが、やがて人間の数が増えすぎ、
   その屎尿(しにょう、尿や便)が、海水に流れ込むと、
   海水中の窒素の量が増え、硝酸や、亜硝酸となり、酸性度があがり、
   有孔虫が死んでゆく。
   要するに、まず、単に人間の数が増えただけでも、自然界に影響を与える。

(4)産業革命以来、人類は、CO2を大量に排出するようになり、
   これにより、地球温暖化が起きた。
   このため、海水の温度もあがり、高温に弱い、サンゴは死んでゆく。

(5)現代文明は、やがてツバルにも入ってきた。
   すると、石油を精製して作る、プラスチックや、ビニールも
   輸入されてくる。これらが、「永遠に消えないゴミ」だ。

   ガソリン、灯油、その他の石油化合物もツバルに入ってくるし、
   それらから生まれる排気ガスや、不燃物が、
   PCBやらダイオキシンやらの、有害な化学物質を産む。
   これらを、「変な色の水」とした。

   もちろん、これらは、サンゴと有孔虫を殺す。

(6)太平洋戦争(第二次世界大戦)の時、
   アメリカは、日本を攻撃するため、
   太平洋の島々に、空軍の飛行場を、どんどん作っていった。

   このため、砂浜の砂を大量につかって、コンクリートを作り、
   それで滑走路を作った。

   飛行場を作ったのはアメリカ軍だが、
   そもそも、戦争を始めたのは、日本なので、
   日本のせいだともいえる。

   なお、ツバルが沈んでゆく最大の原因は、
   地球温暖化ではなく、この戦争のために、
   砂浜の砂のほとんどが、除去されたためだ、と
   主張する人も、多い。

(7)地球温暖化による海面上昇で、
   ツバルが徐々に沈んでゆくのは、
   これまで何度も、解説した通り。

   私は、写真絵本も、映画も作った。

http://www.ets-org.jp/pub.html

http://www.ets-org.jp/hosoku/YouTube20080124.html

   簡単に触れると、
   地球温暖化のために、
   (純粋に物理的な現象で、高温による、液体の熱膨張が起こり)
   海水の体積が増加しているのが最大の理由。これが原因の50%。
   40%が、ユーラシア大陸とグリーンランドの氷が溶けて、
   海に流れ込んだため。

   北極の氷は、水に浮いている氷なので、解けても水位には影響しない。
   南極の氷は、むしろ増えているので、こちらも関係ない。


(8)新しい人間、というのは、
   (昔のツバル人のような、
    魚をとって自給自足の暮らしをする人ではなく)
   現代文明を使うようになった人間、という意味。
   電気を使い、石油を使い、
   永遠に消えないゴミをだし、
   産業廃棄物のまじった水を出す人。
   最初、
   白い人、という表記にしようかと思ったが、
   白人に対する、「逆人種差別」になるといけないので、
   新しい人、とした。
   

と、いうように、ツバルが沈んでゆくのは、
非常に複合的な理由によるものなのだ。

もう一度、まとめると、

 人口増加による屎尿の海水流出

 産業革命以後の化学物質の海水流出

 地球温暖化による海水の温度の上昇

 太平洋戦争の時の大量の砂の除去

 地球温暖化による海面上昇


(以上のほかにも、地盤沈下の問題や、海流の影響、
 人口増加のため湿地にまで住居を作ったこと、など、
 もう七つぐらいの要素が関係している。)


ともかく、これらにより、
サンゴと有孔虫は、殺されてゆき、
(したがって、サンゴ礁でできているツバルは消滅し)
また、それに加えて、
物理的な海面上昇によって、とどめをさされる、
ということである。


いずれにしても、本質的な原因は、

 人類の数の異常な増加
 と
 産業革命以後の人間の経済活動のグローバル化

の二つである。

私のブログを毎日読んでいる人は、
「またそれかよ」
と思うかもしれないが、
本当なんだから、しかたがない。


で、
この二つは、やっぱり、どうしようもないのか?

そうだとしたら、
「次善の策」として、何をするべきなのか?

(現実的で、最善なのは何か?)

ということを考えてゆくのが、
私たちがやるべきことだ、と考えている。


まあ、しかし、
上記の、童話のようなストーリーを読んで
ここまで理解してくれる人は、
やっぱり、ほとんどいないんだろうなあ・・・





さて、今日から、また行ってきますか。


「サンゴと有孔虫」が作った 「壊れかけの 砂の城」へ。







映画 「ツバル 大切なものに導かれて」 (予告編・1分半)
http://www.youtube.com/watch?v=dJGUPRNwOGM&feature=player_embedded