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「障害のある方であるかどうかは、
 その人が、
 まわりの社会に適応できているか
 によって、決まるんです。

 もし、適応できているのでしたら、
 その方は、障害のある方、とは言わないんです。」


昨日、埼玉県の市立小学校で講演をした。
通常、講演の前と後は、校長室を訪問するのだが、
講演の後に、
こんな話を、校長先生から話して頂いた。

私は、全国のいろいろな学校や地方自治体で
講演や授業を行っているため、
「障害のある生徒」をあつめた学校で
講演を行うこともある。

・・という話をしていたら、
(その話の流れで)
校長先生が、こんな話をされた、
ということだ。

彼がいうには、
上記のことに関しては、
国連がそう定義している、とのこと。

で、
人権に関しては、
私もそれを尊重することを、
啓発しているものの「端くれ」なので
知らないわけにはいかない。

事務所に戻った後、速攻で調べたら、
あった、あった。


国連: 障害のある方の権利と尊厳に関する規定
http://www.un.org/disabilities/


日本語に訳すと、以下。

・・・

「障害のある人の権利に関する条約」の、前文の抜粋。

障害 ( disability ) は、
機能障害 ( impairment ) のある人と
まわりの人が、その人に接する時の態度と、
その人を包み込む環境
などとの相互作用によって、生じるものである。

・・・


要するに、
例えば、その方が、
身体的な障害のある方
(右半身の麻痺をしている方など)
だとして考えた場合、

もし、その人のまわりにいる人が、
そのような人は、社会にいっぱいいるのだから、
普通に接しようと思って、
日常的な挨拶などをし、
(特別なこととは考えずに接し続け)

職場でも、その人ができる仕事を
その人に提供し、

また、
車椅子に乗っていても、
普通に、日常の買い物ができ、
トイレをすますことができ、
会社への通勤もできる、ような
社会環境がある場合、

その人は、
日常生活においても、
職場においても、
なんの不自由もせず
「社会に適応している」のだから、
その人は、障害のある方では、ないわけだ。


注:
いろいろ調べていてわかったのだが、
どうも
「障害者」という表現は、現在、差別的な表現のようで
「障害のある方」と言わなければならないらしい。

身体的な障害のある方でも、
知的な障害のある方でも、
精神的な障害のある方でも、
同様のよう。


注2:
なお、障害の、害の漢字を、ひらがなで書くことも
一部で推奨されている。


で、
逆に、上記のような状況ではなく、

まわりの方が、障害のある方を
(普通の人ではなく)特殊な人だと思っており、
接する時の態度を、
ややネガティブな方向に変えていたり、

職場で、その方に適切な仕事を与えていなかったり、

社会環境において、車椅子等で移動できる道や
エレベーターなどが完備されていない、など

それらの条件のどれか一つでもある場合、
その方は、「障害のある方」になってしまう、
ということである。


これが、上記した前文にある
機能障害 ( impairment ) のある方と、
まわりの人々の態度や環境たちとの
「相互作用」によって
障害 ( disability ) が生じる、という意味である。


さらにいうならば、
国連の定義をみてみると、
障害を起こす可能性のあるものは、
身体的な機能障害や、精神的な機能障害などだけではなく、

少数民族である、ということで、社会で迫害されていたり、
人種や肌の色によって、就職することができなかったり、
女性である、ということで、教育を受ける機会がないこと、

なども、
結果として、社会との相互作用によって、
「障害」を引き起こす原因となるもの、と定義されている。

つまり、
いわゆる、「差別」を起こす可能性のある社会問題は、
すべて、「障害」を引き起こす原因になるもの、として
考えられているようだ。

いや、知らなかったね。

・・・


また一つ、昨日、勉強をしました。


今日も、一つ、勉強をいたしましょう。


で、もちろん、明日も。




参考サイト:

国連・障害者の権利条約
http://www.un.org/disabilities/

障害のある人の権利に関する条約(日本語)
http://www.normanet.ne.jp/~jdf/shiryo/convention/30May2008CRPDtranslation_into_Japanese.html

障害者基本法(昭和四十五年五月二十一日法律第八十四号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO084.html

障害者施策ホームページ
http://www8.cao.go.jp/shougai/

障害者白書
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/index-w.html

障害保健福祉研究情報システム
http://www.dinf.ne.jp/index.html


Nothing about us without us
「私たちのいないところで、勝手に全てを決めないで」
http://www.amazon.co.jp/Nothing-About-Without-Disability-Empowerment/dp/0520224817

Nothing about us without us
UN chronicle
http://www.un.org/Pubs/chronicle/2004/issue4/0404p10.html

NOTHING ABOUT US, WITHOUT US
国連主催の障害者権利条約発効記念行事
http://www.normanet.ne.jp/~jannet/kaiin_hashin/houkoku080523_ml57_02.html



補足:
英語では、障害のある方のことを、
チャレンジド、と言う。
障害があるけれども、それを克服するという
機会(チャンス、チャレンジ)を与えられた人、
という意味。

challenged  (形容詞)

(身体的または精神的に)障害のある、という意味。
通例、直前に
( physically または mentally などの)副詞が付けられて、
身体まはた精神の障害を意味する形容詞を作る。

従来の
disabled(無能な、機能しない)、
handicapped(不利な立場にある)、
のような否定的意味がないことから、
当事者に配慮した表現(political correctness)
として提唱された。