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「この秋田を、
 地球温暖化対策の、最前線基地へ。

 海岸線に、1000基の風力発電を設置し、
 自然エネルギーの供給基地にしたいと思っています。」


NPO法人・環境あきた県民フォーラムの理事長・
山本久博(やまもと ひろひさ)さんの弁だ。

彼が、このような計画を発動するのには
次のような素地があった。


・・・

秋田県は、
米作りが主体の農業県だ。

しかし、江戸時代から、風と砂に悩まされてきた。

地形的に、「北東の風」が吹くんだそうで、
その風が、海岸線にある砂を舞いあがらせ、
米を作る、広大な「秋田平和」の農地まで運んでくる。

海岸線の砂は、塩を含んでいるため、
いわゆる「塩害」(えんがい)をこうむるエリアが
かなり広範囲におよぶことになる。


注:塩害とは、
  塩を含んだ土地では、ほとんど全ての農作物が
  育たないため、農業に適さない土地になってしまうことを言う。


で、
この塩害を防ぐために、
秋田の海岸線と、秋田平野の間には、
相当な長距離にわたって、
「防砂林」(ぼうさりん)
が、ずーっと、作られていた。

古来から、である。


・・・

で、
山本久博さんは、思いついたわけだ。
風が、びゅーびゅー吹くならば、
いっそそれを逆用してはどうか、と。

海岸線から、防砂林の植えられているところまでは
数十メートルの間隔がある。

ここに、風力発電を設置してはどうか。

しかも、海岸線沿いに、1000基ほど。


当初、夢物語、と思われたプロジェクトだが、
それが、次のような経緯で、実際に動きだす。


・・・

2009年5月1日
秋田にて
「環太平洋自然エネルギー・国際フォーラム」
が開かれ、
その中で、風力発電の有用性が大きくとりあげられた。


実は、このフォーラムを秋田で実現するために
産学官民、各方面の協力をとりつけた中心人物が
上記の、山本久博さんだった。

彼は、経済産業省から、秋田大学の教授から、
風力発電関係の会社など、すべてに声をかけ、
準備に1年以上かかったが、
最終的に、この国際フォーラムを実現させた。


このフォーラムの中で、
独立行政法人・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
が、
秋田県では、年間を通じて、常に安定した風力を得られることを
発表した。

常に、「6m/秒、以上の風が得られる」と。


これを受けて、秋田県は、
「風力発電を含めた再生エネルギーを促進し、
 発電量日本一の県を目指す」
という、
通称、「秋田宣言」が採択される。


・・・

このような状況の中で、

NPO法人・環境あきた県民フォーラムの理事長・
山本久博さんが、提言したわけだ。


「海岸線に、1000基の風力発電を作る」


具体的には、


「高さ、100m、
 ブレード(翼)の長さ、50〜60mの大型風車を
 秋田の海岸線と、大潟村に、合わせて1000基設置。」

「北は青森、南は山形との県境、約200キロの海岸線に
 300m間隔で600基。残り400基を大潟村周辺に設置。」

「一基あたり、最大出力2400キロワットの最新型を使う。
 1000基あるので、240万キロワットとなり、国内で最大。」

「現在、風車は、ドイツ、デンマークの外国製が主流。
 しかし、今回の計画では、国内産をもちいる。」

「秋田湾の工業用地に、風車を作る会社を誘致し、
 地場産業の育成を同時に図る(はかる)。」

「しかし、現在、風車1基の工費は、約4〜5億円。
 よって、1000基では、巨額の費用になる。」


このため、この計画の実施主体を、
山本久博さんは、秋田県であるべき、と考えている。

また、
そもそもこうした大規模な計画を行うには、
(国際協力の世界でも同じだが)

「実現可能性調査」
feasibility investigation, feasibility study

というのを、まず行う。

(おそらく、3200万円程度、この調査にかかると試算された。)


この、「実現可能性調査」を行うための助成金を、
いろいろな政府機関や財団法人等に提出したところ、
そのいつくかから反応があった。


この状況で、秋田県知事に会ったところ、
知事も、乗り気の様子を示した。


・・・


2009年5月9日

こうした状況を、東北最大の新聞社である
河北新聞社が、なんと、1面トップで報道した。


http://kaze-project.jp/assets_c/2009/05/kahoku-m1m-20.html


すると、今度は、

「東京都」から、熱いオファーがやってきた。

「秋田で行う、風力発電で得られる電気の全てを
 東京都が、買いたい」
と。


・・・

ここにおいて、計画は、夢物語では全然なくなり、
あとは、計画を発動するための
最初の「シード・マネー」(種金)を、
政府機関や財団法人などのどこからとるか、
という話になる。

すでに、風力発電関係の数社が
この計画に名乗りをあげており、

また、
東京都は、この風力発電から得られる電気を買うために、
なんと、毎年、
500億円以上、
の支払をすることが、推計されている。

500億円のお金が動くことがわかっているのだから、
いろいろな会社が、この関係事業に名乗りを上げるのは
当然である。


・・・

設置費用が高額な点については、
試算では、

風車の耐久年数は20年だが、
最初の10年で、初期投資をまるまる回収できる。
残りの10年が、まるまる利益となる、
とのこと。

この純利益を、「ニンジン」として、
風力発電関係の企業を誘致し、
地場産業を育成する狙い。


・・・


山本氏によれば、
この風車1000基計画が実現した場合、
発電関係の収益による企業誘致だけでなく、
「観光産業」にもなるはずだ、という。

例えば、
デンマークには、風車地帯があるが、
多数の風車がある風景は、非常に壮観で、
発電地帯になっていると同時に、
有名な観光地になっている。

(特に、ここはマスコミ関係で有名で、
 例えば、
 浜埼あゆみのプロモーションビデオ(後述)が
 そうした外国の風車地帯でよく撮影されている。)


で、
秋田の風車地帯も、
こうした観光地(景勝地)を生み出すという効果も
狙っているわけだ。



考えてみてほしい。


秋田の海岸線に、200キロメートルにわたり、

100mを超す大きな風車たちが並んでいる姿を。



あなたは、それを、見てみたいとは思わないか?

(思わないかもしれないが・・)

少なくともきっと、絶好の記念写真ポイントになるに違いない。



一人の男の夢、「風の王国プロジェクト」。

まだ、走り出したばかりだ。






下のリンクをクリックすると、完成予想図が、見られます。
http://kaze-project.jp/photo/imagephoto.jpg

海岸と防砂林(ぼうさりん)との間に、風車が建っているのが、ポイント。










浜埼あゆみ "Dearest"
http://www.youtube.com/watch?v=sEw1VUk2SXY



















補足1:

今回、この「風の王国プロジェクト」をとりあげた理由は、
いったい、これほどの、とてつもなく巨大な(お金のかかる)プロジェクトを
どうやって、立ち上げ、実現しそうなところまで持っていったのか、
というところを
参考にして欲しい。



補足2:

風力発電には問題点が多く、実際はなかなか難しい。

1.自然条件(風速、風向き等)に大きく左右される。

2.風車を設置するコストが高い。

3.利用効率が低い。

4.電力会社たちは、一般に、導入に消極的。










参考リンク:


風の王国プロジェクト
http://kaze-project.jp/

秋田の環境づくりのネットワーク組織 〜環境あきた県民フォーラム〜
http://www.eco-akita.org/

環太平洋自然エネルギー国際フォーラム 2009年5月秋田で開催!
http://re-forum.jp/

NEDO: 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
http://www.nedo.go.jp/

METI-経済産業省
http://www.meti.go.jp/

METI-経済産業省 風力発電の現状と課題
http://www.meti.go.jp/press/0005361/0/040624shin-ene3.p.pdf

山本ヒサヒロ作品集 (もともと美容師、趣味はソーラーカー)
http://0009.jp/hiroweb/index.html




風力発電、関連会社、CSRランキング 2008 (NPO法人・宇宙船地球号)
http://www.ets-org.jp/csr/50on/h10