.
「役者、モデル、女優、アイドル、お笑い芸人、芸能人。

 そういう類(たぐい)の、
 テレビに出るような人に、なりたいと思っている人は、
 日本に数百万人もいる。

 その中で、本当になれる人は、年間数十人程度。
 『一流』と呼ばれる有名人になるのは、数人。

 バックダンサーや、通行人などの、
 その他大勢的な、『ちょい役』を入れても、
 数百人、というところ。

 数百万人が夢見ていて、なれるのは、
 数十人、というところだから、
 倍率は、十万倍。

 確率は、十万分の1、だ。

 しかし、まあ、それでも、
 その中から、スターが出てくるわけだから・・・」


・・・

これは、テレビ番組のプロデューサーを
している人から聞いた話。

これを聞いて、思うことがあった。


「国際協力師になりたいんですけど」

と言って、私にいろいろな質問をしにくる人に対して、
私はよく、

「実際は、けっこう厳しいよ。

 プロとして国際協力をやる職場の代表格である、
 国連職員と、JICA職員について、だけど、

 (開発経済学などの)大学院修士をとったところで、
 国連職員への登竜門であるJPO試験の合格率は、
 1000人うけて、65人程度。


参考:
JPO: Junior Professional Officer
ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー
外務省国際機関人事センター・国連職員募集情報・JPO等派遣制度
http://www.mofa-irc.go.jp/boshu/boshu_aejpo.htm


 (大学院修士がなくても)大卒で受験できる
 JICA職員の合格率は、
 (年によって大きく変わるけど)
 1000人うけて、40人程度。


参考:
JICA: Japan International Cooperation Agency
独立行政法人・国際協力機構
募集要項一覧 人材募集・研修 - JICA
http://www.jica.go.jp/recruit/guidelines.html


 だから、
 (プロとして国際協力を行う)
 国際協力師になりたくとも、
 実際は、なれないことが多い。

 だから、会社員をやりながら、夜か土日にNGOで活動したり、
 または、
 企業でCSR(企業の社会的責任)をやることなども、
 選択支の一つに入れておいたほうがいい。」


参考:
NGO: non-government organization
民間の、非政府の組織。市民団体。国際協力だけに限らない。
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65159811.html

参考:
CSR: corporate social responsibility
企業の社会的責任
(利益の追求、環境への配慮、社会貢献の3つバランスをとる企業活動)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/52280787.html

参考:
上記以外にも、開発コンサルタント会社などの
ODA(政府開発援助)の下請けをする多数の企業が存在する。
PARTNER - 国際協力キャリア総合情報サイト
http://partner.jica.go.jp/


と、いうような内容の話を、することにしている。


これは、厳しい意見かもしれないが、
本当のことだから、しかたがない。

夢だけを見させておいて、
(大学院修士までとらせて)
実際は、
就職する場所は、それほどは、ありません、
などという、
「詐欺」(さぎ)をする気には、なれないからだ。


・・・

先日も、講演が終わった後、
大学生がやってきて、

「山本さんの本、『国際協力師になるために』
 という本、読みましたけど、
 あの本、
 国際協力をやりたい人を増やそうとしているのか、
 減らそうとしているのか、わかんないですよね?」

と、言われた。


参考:
国際協力師になるために
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4560031630


これに対する、私の答えは、

「いや、でも、本当のことだから。
 実際の(現実の)データを、紹介しているだけだよ。」

である。


・・・

ただし、根本的なところに、問題があるのかもしれない。
しかも、
私のほうに、問題があるようだ。


私は、基本的に、悲観主義者(ペシミスト)なので、
ものごとを、悪いほうに考える。

(もし、私が、これから国際協力をやりたい学生だったならば)

1000人中、65人しか合格しないという情報を得た場合、
当然、
国連JPO試験に自分が合格することなど、
奇跡に近い、と考え、
(一応、受験はするが、落ちることを前提に考え)
落ちた場合のことを基本に、行動する、
と思う。

私は、そういう人間なのである。


しかし、
どうも、国際協力をやりたい、多くの人は、
私とは違う、人種のようだ。

楽観主義者(オプティミスト)が多い。

1000人中、65人しか合格しない、と言っても、
65人も合格するなら、自分もその中に入る、
と思うか、

あるいは、

1000人中、65人しか合格しない、という
(自分自身にとって、夢をくじく、不愉快な情報を)
聞こうとしない、
聞いても、頭に入らない、
(かつ、私に対しても、嫌悪の感情を持つ、)
人が、
どうも多いようだ。

(自分に都合の悪い情報は、聞きたくない、というタイプ。)


ま、別に、私が嫌われるのは、別にかまわないのだが、
以下に、一応、私の本意を、説明しておこう。


・・・

結局、
国際協力をやりたい人の多くは、

(それが、一概に、悪いわけではないのだが、)

かなり、「甘い考え」で始めることが多く、

例えば、
青年海外協力隊で2年間活動した人のうち、
その後、
国際協力を続ける人が、わずか、8%しかいないことに
代表されるように、

途上国の現場に行ってみれば、
自分の理想とするイメージ(夢)との
あまりのギャップに、

驚き、傷つき、とまどい、

それに対応できず、

結局、国際協力をやめてしまう人が
ほとんどなのである。

(詳細は、以下のサイト)


参考:
青年海外協力隊の良し悪し 5,455字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51901806.html


よって、私は、次のような戦略(?)をとっている。

私の目的は

「単に、プロとして国際協力を行う、
 (生活に十分な金をもらって国際協力を行う)
 という意味の
 表面的な『国際協力師』を育てたいわけではなく、

 私が、ブログや書籍にさんざん書いている、
 『本当に意味のある国際協力』を悩みながらも続けていく、
 真の『国際協力師』を育てること」

にある。

だから、
うわついた気持ちで、国際協力を始めて、
どうせすぐに辞めてしまい、
8%しか残らない人々の集団を作るよりは、

始めから、厳しい現実を教え、
国際協力をやる上での難しさ、現場の汚さを事前に通知しておき、

それでも、
国際協力をやりたい、なんとしても世界を良くしたい、と思う、
根性のある、性根(しょうね)の座った人々の集団を
作ろうとしているのである。

(おそらく、そうした人々は、
 現場にいって、つらい状況にあっても、
 前者のグループよりは、すぐに止めない可能性が高いと思う。)

で、後者のグループにおいては、
青年海外協力隊などが終わった後も、

数十%の人が、国際協力をなんらかの形で
続けてくれるのではないか、と思うのである。

(国連職員や、JICA関係だけでなく、
 会社員として、CSRを行ったり、
 土日にNGOなどで活動する人も、含む。)


と、いうのが、私の真意である。


繰り返すが、
国際協力を始める前に、ある程度、厳しいことを言えば、

『安易な気持ちで国際協力をやる人は減るかもしれない』が、
最終的に、
『本物の国際協力をやる人は増えるのではないか』
と私は思っている。

これは、
ある意味で、私の「独善的な」考え方が入っている可能性があるので、
自分でも、ちょっとどうかとも思うが、

今のところ、
「世界全体にとって貢献する人々の数を最終的に増やす」
ためには、
これよりも優れる方法論が見つけられないため、
当面は、この方向で活動していこうと思っている。


・・・

が、こうした考えを持ちながらも、
(私の方針が正しいかどうか)
迷っていた私の前で、

先日知り合った、上述のテレビのプロデューサーが言ったわけだ。


「芸能人になれる子など、
 数百万人中、数十人」


確率にすると、10万分の1、だ。


国際協力師になれるのは、


国連JPO試験の
1000分の65だとすれば、

なんと、芸能人になれる確率の、6500倍、である。


JICA職員の
1000分の40だとしても、

なんと、芸能人になれる確率の、4000倍、である。

(JICA職員のほうは、大卒でいい。大学院修士はいらない。)


こう考えてみると、
ま、芸能人を目指すよりは、国際協力師をめざすほうが、
馬鹿げた考えではない、と言えると思う。


さて、
では、気を取り直して、育てていきましょうか。


単に、プロとして、国際協力を行うだけの『国際協力師』ではなく、

本当に意味のある国際協力を求めつづけ、
自己満足をできる限り捨て、

自分自身の活動を批判し、恐れず、見つめ続ける精神を持ち、
自分の所属する団体の活動も批判し続け、

かつ、

決して批判するだけに終わらず、
その時点での最善と思われる行動を選択・実行し、

持続可能な世界のためにポシティブな活動を続けてゆく、


本物の『国際協力師』を。











参考:

国際協力師とは 2,363字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51922645.html

「国際協力士」の国家資格の創設を、外務省とJICAが検討
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65074625.html

国家資格「国際協力士」制定の動きの背景と、いくつかの問題点
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65077315.html