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このブログは、前回の続きです。


M教授インタビューその1(ツバルの真実、その取材) 5656字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65326063.html

M教授インタビューその2(ツバルの真実、その取材) 3915字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65326064.html


・・・日本政府のツバルに対する援助・・・


山本 最後、あの、
   日本の、ツバルに対する援助なんですけども、

教授 ああ。

山本 ええと、ツバルには、
   ゴミ処理の問題とか様々な問題があるようですが、

   ツバルを援助しようとする国たちの間で、
   いわゆる「ドナー国会議」があり、そこで、
   台湾やEUなどとの協議の結果、

   日本は、「海岸浸食」に対して、
   援助をすることになったようです。

   (ゴミ問題に対しては、台湾とEUが対応している。
    が、大きな問題があり、この件は別のブログで詳述。)


第五回「太平洋・島サミット」の、表と裏 7336字  (環境問題、地球温暖化)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65261518.html


   で、その「海岸浸食」に対して、
   短期的援助、中長期的援助、
   というのがあるようですが、

教授 はい、はい。

山本 まず、あの、短期的援助の方で、

   「護岸」(ごがん、防波堤などを作ること)や、

   「養浜」(ようひん、砂を持ってきて撒くこと)、

   の、事前調査、
   実現可能性調査をやっているようなんですが、

教授 はいはい。

山本 (日本政府からの事前調査の委託を受けた)
   日本のコンサルタント会社等が、
   例えば、
   砂を、運んでくることを考えている、と。

   フィジーから、パワーショベル付きの船を持ってきて、

   砂を、
   (ツバル国内の、どこかの島からとってきて、それを)
   (首都のあるフナフチ島の)
   ラグーン側(内海側)に撒く(まく)っていうのを、
   とりあえず、短期的な、支援として、やろうとしてる。

   これは、どうでしょうかね?

教授 ええと、それは、現地の状況に、
   合わせてみないといけないから、
   わかんないですねえ。

   あのー、うんとー、
   「養浜」っていうのは、実は日本でも最近、
   よくやってるんです。ねっ?   

山本 はい。

教授 (海岸が)浸食されたところに、砂を撒いて、
   それで、少なくなった砂浜を生き返らせる。

山本 はい。

教授 それでー、成功したところもあるし、
   成功しないところもあるんですよね。

山本 はあ。

教授 それでねえ・・
   南太平洋の(島々における)「養浜」で、
   注意しなければならないところが、
   いくつかあると、僕は思ってんですけど、   

山本 はい。

教授 まず、あのー、
   外洋側(環礁の外側、太平洋側)に
   「養浜」するってことは、ナンセンスですよね?

山本 はい。

教授 って、いうのは、波が荒いですから、
   砂をちょっと置いたって、
   次の「時化」(しけ、海が荒れること)で、
   すぐに流されちゃう。

山本 はい。

教授 それから、ラグーン側(環礁の内側、内海側)に
   「養浜」するとですね、
   あすこ(ツバル)は、
   サンゴ礁がずっと広がってる、
   「リーフ」(浅瀬の平らな場所)になってる、
   浅いサンゴ礁があるでしょ?

山本 はい。

教授 んで、そういうところ、ではですね、
   あのー、まず、
   沖に溜まっている砂が、すごく細かいはずなんですよ。

山本 はい。

教授 細かい砂を、ですね、「養浜」しても、
   すると、それは、(波で)とられやすくなるので、
   効果があるかどうか、っていう問題が一つ。   

山本 はい。

教授 それから、細かい砂が、ですね、
   逆に、波によって、動かされて、
   サンゴ礁の上に降り積もると、ですね、

   サンゴ礁が一番嫌う、汚染っていうのは、
   土砂による、汚染なんですよね。

   つまり、サンゴのポリープ(突起)の上に、
   土砂が降り積もると、
   呼吸できなくなったりしますからねえ。

山本 はい。

教授 だから、今、実験的にやろうとしてるというか、
   調査をしている段階だから、
   よく調査をしたほうがいいと思いますが、

山本 はい。

教授 泥のように非常に細かい、
   粒子のものしか、使えないんだったら、
   「養浜」は、あまり望ましくないんじゃないかな、
   って、僕は、思いますけどね。

山本 なるほど。わかりました。


・・・海岸浸食の中長期的援助について・・・


山本 次は、中長期的な援助として、
   某大学のK教授が、おっしゃっている、
   例の、有孔虫の培養の件があります。

   (有孔虫は、サンゴ礁に住む微生物で、
    「星の砂」と呼ばれる砂を産生する性質があり、
    それが減っていることが、
    ツバルの海岸浸食の問題の一つだ、
    と言われているようなのですが、)

   首都のあるフナフチ島の、太平洋側の沿岸の
   南北の端あたりに、
   まだ、たくさんいる有孔虫を、とってきて、
   それを水槽で培養して、
   それを定着させるための、マット(人工芝)を
   ラグーン側において、
   そこに(培養して増やした)有効虫を撒いて、
   定着させて、砂を生産させ、
   砂浜を復活させる、という計画を、
   となえていらっしゃいました。

   彼は、数十年ぐらいで、効果があらわれるはずだ、
   と言っていました。

   この計画は、いかがなものでしょうか?

教授 あのー、えっとー、
   ツバルの、
   「中長期対策の目標が、何か?」
   っていうことだと思うんですよね。

山本 はい。

教授 えーとね、
   海岸の、砂浜を増やすっていうことが、重要なのか、

   それとも、
   さっき言ったみたいに、
   真ん中辺で、湿地帯があって、
   湿地っていうか、低地があって、ですね、
   もともと低いところに、住むようになったんだから、
   その人たちに対して、
   じゃあ、(そんなところに)住むのが悪い、
   つってもですね・・、

山本 はい

教授 これは、そのー、
   500人ぐらいしか住んでないころだったら、
   そう言えるかもしれないけど、
   (引っ越しとかの検討ができるかもしれないけど)
   今、4000人以上、住んでるわけでしょ?
   フナフチにね?

山本 はい。

教授 で、その人たちに、今、君らが住んでいるのは、
   君たちのご先祖が(苦笑)、
   君たちの、お父ちゃん、お母ちゃんが、
   (住む場所として、湿地(低地)を選んだ、その)
   選択が悪かったんだよ、とは、
   言えないと僕はおもうんですよね。

山本 はい。

教授 そうすると、ことが砂浜の問題じゃなくって、

   彼らが、今、住んでいる場所が、ですね、
   水位が高くなった時に、
   だんだんじめじめしてきて、水が出てきて、
   住めなくなる、と。

   そういう、住めなくなる範囲が、増える、
   っていうことが、問題だと思うんですよね。

山本 はい。

教授 そうすっと、
   有孔虫で対策をとるのが、
   砂浜の対策には、仮に有効であったとしても、ですね、

   (島の)真ん中辺の、(湿地・低地のあたりで)
   人が住んでいて、
   住めなくなってしまうところの対策には、
   有効とは言えない可能性もあるわけですよね。

山本 はい。

教授 でー、一番最初のころから、ツバルの政府の人は、
   あのー、海を埋め立てたり、
   あるいは、低いところを埋め立てるための、
   「土」(つち)が欲しいって、彼らは
   言ってるんですよね。

山本 はい。

教授 だから、その土を、
   砂浜や、海岸を、増やすために、
   「養浜」として、海の中からとってきて、
   砂浜に置くのか、ですね、

   それとも、
   今、じめじめして、低くて大変だっていう所に、
   直接入れてですね、
   島の高さを高くすることに使うのか、
   っていうことですね。   

山本 はい。

教授 もうちょっと、ツバルが直面している問題を
   解くために、何をやるかっている目標を、
   中長期の目標を、はっきりさせてね、
   
山本 はい。

教授 海岸を守るのが、大切なのか、それとも、
   島を、全体をなんとかするのが大切なのか、を、
   そういうのを考えることが大切なんじゃないかなあ、
   と私は思ってんですけど。

   ちょっと、それは、あんまり、
   軽々しくは、言えないことで、
   っていうのは、
   一国(いっこく)の運命がかかってますから、

   向こうの人は、何を望んでいるのか、
   どうして欲しいのか、
   みたいなことが、あると思うので・・。
   
山本 わかりました。


・・・マングローブの植林の是非・・・


山本 あと、ですね・・、
   NGO(非政府の援助団体)の一つが、
   フナフチ環礁の南側に、
   マングローブの植林をして、
   砂を定着させようとする活動を、
   やっていはいるんですけれども、

   某大学のU客員教授がいうには、
   全然、無理だと。

   その理由は、
   マングローブは、塩濃度が、
   27パーミルのところだと生えるが、
   あそこは、33パーミルなので、
   高すぎて、無理だ、と。

   また、マングローブが生えるのは、
   シルト粘土、と呼ばれる土壌でないといけない、と。
   しかし、あそこは、
   全然違う土壌なので、無理だろうっていう
   お話でした。

   ま、その、日本では、一般的に、
   マングローブは、海岸浸食をおさえる、という
   ま、イメージがあるのですが、
   このあたり、先生はどうお考えでしょうか?   

教授 そのー、えっと、
   
   海岸浸食を抑えるために、マングローブを植えるか、
   ですね、
   マングローブを植えたら、
   その後ろに砂浜ができるか、
   っていう、どういう風に、考えるか、ですよ。

山本 はい。

教授 そいでね、植え方によってはね、
   マングローブを植えれば、その後ろに、
   砂浜ができます。

山本 あー、そうですか。

教授 だから、うまく、
   マングローブが、育つような形で、植えれば、
   その、
   海岸線そのものではなくて、
   海岸からちょっと離したところに植えるんですが、
   あのー、
   そういうことが可能になれば、
   海岸浸食を防ぐんじゃなくて、
   砂浜を増やすために、有効だと思いますね。

山本 あー、そうですか。

教授 実際、あのー、
   フィジーにしても、どこにしても、
   マングローブを植えて、ですね、
   海岸の浸食を防いだり、
   後ろに砂浜を作ったり、っていうのは、
   かなり最近、やってんですよね。

山本 ほー。

教授 だから、生えるか生えないか、
   っていうのは、塩分濃度とか、あって、
   あれかもしれないけど、
   種類によっても違うと思いますしね、

山本 はい。

教授 マングローブっていうのは、
   非常に面白くて、

   塩水の濃度によって、ですね
   生える種類が違うんですよ。
   ゾネーション"zonation"(生物の帯状分布)、
   っていうんですけど、

   (海側の)一番前面には、
   波が強くて、塩分が濃くても、
   よく生えるような、そういうマングローブが生えて、
   ですね、

   それは、根っこが、下から、
   直立根(ちょくりつこん)って言って、
   地中から、まっすぐ、天に向かって、茎がでるような、
   種類が生えて、

   その後ろに、よく見るような、
   屈曲根(くっきょくこん)って言うんですけど、
   その、根が複雑にからんだよなやつが生えて、

   その後ろには、また別のマングローブが生えて、
   っていう、ですね、

   ずうっと、沖から岸に向かって(様々なマングローブが生えて)、
   (横に一列には)同じ種類のマングローブが、
   帯上(おびじょう)に生えるんですよね。
   
   だから、マングローブの選び方によっては、
   可能かもしれないな、とは思うんですけども、

山本 あ、そうですか。

教授 で、なんで、そうなのかって言うとですね、
   こう、島があるとしますよね?

山本 はい。

教授 そうすっと、波がこっちから来るとすると、
   U教授なんか、重々知っている話だと思うんですが、
   島の後ろには、波が入ってこないもんだから、
   こういう風に、砂が付き始めるんです。

山本 はい。

教授 んで、最後に、全部これにつながるんですけど、
   それが日本で一番有名な、
   トンボロっていう地形なんですけど、


注:
トンボロ(tombolo):陸繋島(りくけいとう)
砂州によって大陸や大きな島と陸続きになった島のこと
函館山(北海道函館市) 、マカオ(中華人民共和国)など


山本 は?

教授 トンボロ地形ができたところっていうのは、
   函館山、函館なんですよ。
   函館山っていうのは、あれ、島だったんです。

山本 へえー

教授 なんで函館が、
   100万ドルの夜景って言われるかっていうと、
   函館山から見ると、八の字(はちのじ)、末広がりに、光が見える。

山本 はい。

教授 だから、のぺっとあるんじゃなくて、
   こういう風に、広がるもんだから、
   凄くいいって、言われるわけです。

山本 はい。

教授 で、その函館山の代わりに、
   ここにマングローブの林があったら、
   後ろに、必ず、砂がつきます。

山本 なるほど。

教授 だから、そのー、NGOの方に、
   やるんだったら、
   生き延びるマングローブを見つけてくれ、
   って、言って下さい。

山本 その、塩濃度が高くても、生えるやつ?

教授 そうそう。
   それで、少し、海岸線から離して植えろ、と。

山本 少し、海岸線から離して植えろ。
   沖のほうってことですよね?

教授 そう。
   必ずつきますから、砂が。

山本 はい。

教授 だから、
   海岸線から、5mとか、10mとか、先に植える。

山本 はい。

教授 そこに、もし、帯状(おびじょう)の
   マングローブが生き延びることができれば、
   後ろに、必ず、砂がつきます。

山本 はい。


・・・地球温暖化は、必ずしも悪いことではない・・・


山本 最後の質問なんですが、
   何かの雑誌に載っていた、先生の記事で、
   先生、中学校か何かの講演で、

   「温暖化は必ずしも悪いことばかりじゃない。
    これをきっかけに、
    低炭素社会とか、節約とかをするようになれば
    いいんじゃないか?」

   みたいなことをおっしゃってたんですが、
   あの意味は?

教授 はっはっは(笑)

   それを言った理由は単純で、
   僕がしゃべると、
   温暖化は大変だ、みたいな話になるわけですよね。

山本 はい。

教授 当然だけども。(苦笑)

   東京は沈んじゃうかもしれない。
   ツバルはなくなる、とか言って、
   いいことはないわけですよ。


(注: 東京が沈むかもしれない件は、別のブログで詳述。)


   で、そうすると、ですね、
   中学校で話をする時に、

   温暖化は大変で、
   我々(大人)は、もうちょっと死ぬからいいけど、
   君らは大変だね、って(苦笑)

   ま、そういう風に、いいたくないなって
   思ったんですよ。

   だから、
   最後に、いいことも必ずあるって、
   言いたいな、と思って、考えたんですよね。

山本 はあ、なるほど。

教授 やっぱりね、中学生なんかに喋るときには、
   あのー、温暖化、大変だ大変だ、
   悪いことばっかりで、将来真っ暗、
   で、君ら、大変だね、とは言えないじゃないですか。

山本 そうですね。
   大人なら、さっぴいて聞きますけど、
   子どもは、そうはいきませんから。

教授 ともかく、言ったことは、

山本 最後明るく、という

教授 そうそう(苦笑)

   中学生に、がっかりさせないように、っていう・・

山本 なるほど。
   本当に長い間、ありがとうございました。