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このブログは、前回の続きです。
まだの方は、以下からお読み下さい。

気候変動国際シンポジウム,その1 7526字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65327714.html


・・・

●第二部:ディスカッション(19:50〜21:30)

〈パネリスト〉
大谷 信盛氏(環境大臣政務官 民主党衆議院議員)              
明日香壽川氏(東北大学教授)
澤  昭裕氏(21世紀政策研究所研究主幹)
山田 健司氏(新日本製鐵株式会社環境部長)
山岸 尚之氏(WWFジャパン気候変動プログラムリーダー)

〈司会〉
古沢広祐氏(國學院大学教授)
足立治郎氏(JACSES事務局長)

・・・

足立治郎氏(JACSES事務局長)

先進国は、途上国に対して、
(省エネ)技術を無料で(ただで)移転してたら、
(企業の利益が守られないので)やってられない。

そんなことをするくらいなら、
カーボン・マーケット(排出権取引市場)で
買ったほうがいい、
となってしまう。

よって、技術移転を促進するなら、
なんらかのインセンティブ(報奨金など)が必要。

基本的に、日本の省エネ技術を
世界に普及すれば、CO2は減る。

どのようなシステムを作れば、
日本の企業が損をしないで、それができるのか。

つまり
「技術援助」や「技術移転」ではなく、
「技術普及」ができるかどうか。

ただ(無料)であげるんじゃ、ダメだ。

・・・

大谷 信盛氏(環境大臣政務官 民主党衆議院議員)

(衆議院議員の人。民主党の政治家。
 演説が得意そうな話し方だった。
 他の人は座って喋ってたのに、
 一人だけ立って演説してた。)


2012年(京都議定書)までは、
(日本は、単に)お金で(排出削減を)やる予定だ。

2013年以降は、
鳩山イニシアティブにのっとり、
4つの原則に合うメカニズムを作る。
(政府だけでなく、)民間の資金も導入し、
(途上国の排出削減量を)検証可能とし、
(先進国のために)知的所有権も保障する。

COP15では、
途上国の皆さんに、
同じテーブルについてもらい、
それなりに議論できる
「かけはし」を作る。

ともかく、
私が知りたいのは、
途上国に資金援助するためには
膨大なお金が必要なので、
どうやって、
民間からお金を出してもらうか、
というアイデアが欲しい。


・・・

明日香壽川氏(東北大学教授)

中国が、
2020年までに、2005年比で、
(単位GDPあたりの)
CO2の削減を40−45%行う(?)
という発表を明日する予定。

外交カードを、そろそろ切ってきたか?

しかしアメリカと中国のこの「ゲーム」は
12月18日まで、続くだろう。


2015年の時点での予想をすると、
中国の一人あたりのCO2排出量は、
今の日本の一人あたりCO2排出量よりも
少ない、ことが試算されている。

(ちなみに現在は、
 日本の一人は、中国の一人の5〜10倍も
 CO2の排出をしている。)

だから、温暖化問題は、実は
南北問題であり、
それも含めて議論しないといけない。

中国がいっぱいCO2を出しているからと
いっても、
一人あたりで計算すると、
まだまだ日本やアメリカのほうが
5〜10倍多い。

結局、

一人あたりの排出量(排出の責任)
一人あたりのGDP(削減費用を負担する能力)
国全体の削減ポテンシャル(GDPあたりのエネルギー消費量)


三つを考えないといけない。

また、
実は、最近の中国は、
けっこう、省エネをしている。

それでも中国のCO2排出が増えているのは、
(中国国内でも、海外でも、中国製品の)
需要が拡大しているから。

(中国は、「世界の工場」になっている。)

つまり、
中国製品を輸入して買っている、
日本やアメリカが、
中国のCO2消費を増やしている、
という側面がある。

つまり、
CO2の排出削減を論じるときに
「生産ベース」で考えるのか、
「消費ベース」で考えるのか、
ということもある。

日本の場合は、
毎年あまり変わらずに、
30万トンの(商品の)輸出入。
だから、
日本は、
生産ベースでも消費ベースでも
あまり変わらない。

しかし、中国は、全然ちがう。


また、
産業に対する
技術移転についてだが、
何か、新しい良いアイデアが
ないか、という話だが、

そんなものは、ない。

私は、これまでに
いろいろな(国の)委員会に
出席してきたが、
どれも、同じ内容だった。

新しいアイデアなど、ない。

実は、私には
技術移転に関するアイデアがあるが、
日本政府は、
知的所有権の保障については
譲歩しない方向なので、
私の案は、受け入れられない。


よって、
技術移転に関して、
よいアイデアは現在ないのだから、

基本的に、今後主力となるのは、
排出権取引と、
炭素税の導入の二つ。

私は、前者が勝ると思う。


なお、
技術移転が進まないのは、
日本の人件費が高く、
そのため、途上国に売れないから。

したがって、ODAでやるが、
でもダメだったので、
カーボン・マーケットしかない。

問題はあるが、それしかない。

お金で排出枠を購入すれば、
何千億円かかるだろうが、
日本の国内だけでやった場合、
何千兆円かかるのだから、
それよりは、安い。


また、
キャップ・アンド・トレードの
国内排出権取引の導入や、
炭素税の導入は、
どちらも基本的に有効。
特に前者が有効。

これをやると、
日本企業が日本からでていく、
という懸念があるが、
それは、ウソ。

心配する必要はない。

日本企業が出ていくとしたら、
それは、
広いマーケットが欲しかったり、
人件費が安かったり、
のためである。

温暖化対策のために、
日本をでていく企業はない。


また、
中国の電気代金は、
非常に高い。
よって、
中国の企業は、
既に、かなりの
省エネ対策を行った。

このように
例えば、炭素税をかければ、
日本でも、他の国でも、
有効ではないか。

(新しいアイデアに期待するより
 そのほうが、確実だ。)


また、
バリの作業部会では、
次のような約束があった。

それは、
「途上国は、
 先進国からの技術移転がない場合、
 CO2の排出削減をやらなくていい」
という風に書いてある。

よって、
先進国は、
途上国への技術移転をやらなければ、
途上国の排出削減を、うながせない。


「技術移転は、見果てぬ夢か?」という話もある。

日本政府の考えている技術移転と、
途上国が望んでいる技術移転の量が、
桁(ケタ)が、二つぐらい違う。

100倍違う。

ビジネスと技術移転は違う。

途上国は、(先進国の)倫理を問う。

例えば、
途上国は、
先進国のGDPで、0.5〜1%
(の資金援助)を要求している。

ちなみに日本は、0.2%。


鳩山イニシアチブには、
私は期待していない。

この十年ぐらい、
私は、いろいろな委員会に出席し、
日本政府の政策をみてきた。
外務省の人は、いろいろがんばったが、
ことごとく、失敗した。

グリーンエイドがあり、
ODAがあり、
すべて、ダメだった。

新しい仕組みは、ない。
どうすればいいかは、わからない。

政府は、民間の金を使うといい、
民間は、政府の金を使えという。

その平行線。


なお、
日本は、温暖化に関係する
技術の特許登録数が、
世界で、No.1である。

しかし、
それをビジネスにしているか、
という点では、
日本は、7番目、である。

だから、それを
有効活用してはどうか。


・・・

澤  昭裕氏(21世紀政策研究所研究主幹)

もうすぐ、COP15が始まるが、
国際交渉では、各国が、
交渉が始まってから、突然、
サプライズ(驚き)のカードを切ってくる。

今回も、何かがあるだろう。
楽しみだ。

ボン合意の時も、
EUが、なんでもいいから「合意」を
とりつけたかった。

このため、あの時に、
我がままを言っていた国が、
得をした。

注: ボン合意
2000年11月、ハーグにて、京都議定書の運用ルールを決めるための、
COP6が開催されたが、EUと米国の間で折り合いがつかず、決裂。
2001年7月、ボンで再開された会合で、なんとか細かいルールが決まった。
しかし、なんでもいいから合意をしたかったEUなどの国がかなり妥協した。


今回は、おそらく、
中国が得をするような結果になるんじゃないか。

日本は、すでに、
1枚しかないカードを切っちゃった。

(1990年比で、25%削減)

だから、交渉に幅が持てない。

また、
鳩山首相が言っている
「前提条件」が曖昧なのが問題だ。

(鳩山首相は、
 すべての主要国の参加による
 意欲的な目標の合意が、
 日本が25%削減をする
 前提条件だ、
 と9月22日に国連で演説した。
 しかし、
 意欲的な目標、とは、必ずしも、
 途上国に数値目標を実行させる、
 こととは一致しない。)

とは言っても、
日本の経済界も、いろいろ大変。

国内では、
排出権の取引と、環境税(炭素税等)が始まり、

国外では、
技術力を背景にした
市場の開拓をやっていかないとダメ。
日本は、乗り遅れかかっている。

市場の開拓には、
セクトラル・メカニズムが重要。

(これは、別のブログで詳述するが、
 セクトラル・アプローチ、
 セクトラル・クレジット・メカニズム(SCM)、
 セクトラル・トレーディング・メカニズム(STM)、
 などの用語がある。

 簡単に言うならば、
 クリーン開発メカニズム(CDM)の問題点を
 改革するための、新しい市場メカニズムの
 アイデアの一つで、
 セクター(産業部門)を一つの単位とした
 排出削減の方法論である。
 まだ、一つの案にすぎず、
 CDMと違って監督する国際機関すら決まっていない。)

参考:
次期枠組みに向けたCDM改革(2009/09/10)
http://gec.jp/gec/jp/Activities/cdm/sympo/2009/tokyo02iges.pdf

この関係もあり、
新しい(市場メカニズムを監督する)システムを
国連以外にも、作っていくことが必要だ。

それにより、日本の企業たちも、
市場の確保を、
他の国に負けずに、乗り遅れずに、
行っていくことが重要。


私は、
「セクター別アプローチ」を提唱してきた。

すると、途上国は、
このシステムは、
資金援助や、技術援助を、
セクター別に先進国から
もらえるもんだ、と思った。

ところが、
エクアドルの国のやつと話したら、
「うちの国には、工場がないから
 何ももらえない」
と言っていた。

つまり、
途上国の排出削減を考えるときは、
エネルギーを使って商品を作る、
ほうだけではなく、
エネルギーを消費するほうも、
考えないといけない。

(前述の、
 生産ベースで考えるか、
 消費ベースで考えるか、の話。)

エネルギー(商品)を買う国に、
CO2排出量の少ない商品を買わせることも
重要。

途上国も、けっこうな量の商品を買っている。

どこで、生産し、排出するのか、だけでなく、
消費にも、同じような視点がいる。


中国の例で言えば、
3分の1の排出は、
外の国の人が使うために作っている。

つまり、どこで消費するかまで考えた、
いわゆる、LCAで考える必要がある。

注:
LCA
ライフ・サイクル・アセスメント。
商品を作る時に、
原料の調達、運搬、製造、販売、ゴミの処理までを、総合的に考え、
トータルでのCO2排出量などを考えること。

参考:
カーボンフットプリント 2747字 (環境問題、地球温暖化)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65235600.html


あと、
途上国における、技術移転は、
以下の二つのケースがある。

一つは、純粋に、ビジネス。
もう一つは、スローガン、である。

この二つが混じり合っているので、
ややこしい話になる。


つまり、
HIVエイズの問題のように、
抗HIV薬を世界中に普及することは
「人の命にかかわること」
だから、製薬会社たちは、
多少、不利益になっても
(特許権を侵害されても)
途上国の会社で、薬を真似して
大量に生産し、それを
患者たちに配ることを許しなさい、
と言って、
(ある程度の補償のもと)
「強制実施」させることが
やられてきたが、

地球温暖化に対しても、
これは、同じように
「人の命にかかわること」
だから、省エネ技術を持つ
全ての会社は、
強制実施を受けるべきだ、
なんていう
「スローガン」がある。

しかし、
温暖化対策に関係する技術なんで、
ほとんど全ての技術が
それに相当してしまうので、
そんな滅茶苦茶なことは、できない。

このように、
途上国の人たちは、
ビジネスなのか、
先進国の倫理を問うスローガンなのか、
というところを、
都合よくごちゃまぜにしているので、
話がよくわからなくなる。


あと、
最終的に消費者に商品が直接わたる、
車などを作っている会社は、
消費者から直接、利益を回収できる。
エコな製品を作って売れれば、
直接、回収できるので、
インセンティブ(やる気)が生まれる。

しかし、
電気や、鉄鋼などの、
商品の「材料」を作っている会社は、
いくら、省エネの方法で、
電気や鉄鋼をつくりましたよ、
といっても、
消費者にわかりにくいので、
直接、利益を回収しにくい。
よって、
インセンティブが生まれにくい。

よって、こうした
商品の「材料」を作っている会社のためには、
政府は、消費者から強制的に税をとり、、
素材産業に
(省エネ技術を開発させるための)
インセンティブを与える必要がある。


あと、
先進国と途上国の間の、協力モデルを考えるときに、
それが、
省エネ技術であれ、再生可能エネルギーであれ、原子力であれ、
ポイントは、
クレジット(利益、この場合は、排出枠の増加)
を、やった企業に回収させることだ。

国連の認証制度が、かなり最近、厳しいので、
CDMにしても、CERにしても、
国連の監督機関が、なかなか認めてくれない。

(日本企業が、途上国に、
 こういう資金または技術援助をする、
 といっても、
 はたしてそれが本当に実効性のあるものか、ということを
 国連内のCDM監督機関が、なかなか認めてくれず、
 計画が頓挫することが多い。
 特に、最近それが厳しい。)

注:
認証排出削減量
CER: Certified Emission Reductions
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%C7%A7%BE%DA%C7%D3%BD%D0%BA%EF%B8%BA%CE%CC

また、
仮に、それが、通ったとしても、
途上国の連中から、
先進国が、
一番やりやすい方法で、
また、クレジット(排出権)をとりにきた、
と、悪口を言われるだけだ。

だから、
僕は、次のように考えている。

こないだ、
アメリカの環境庁が、
国内(アメリカ国内)で認める
クレジットの制度を作った。

つまり、
国連が認めなくても、
国内で認める制度を作った。

日本も、これを始めてはどうか?
日本国内で認めてやれば、
企業も、
その方面の努力をしやすくなる。

今、
日本の鉄鋼業は、
日本から出て行け、と言われんばかりの
ひどい扱いを受けている。

(日本から排出されているCO2の
 かなりの部分が、産業分野で、
 そのうち、特に、
 鉄鋼と、電力がだんとつに多い。
 このため、CO2排出の、悪者(わるもの)にされている。)

が、これはあまりにも、かわいそうだ。

国内で、だけでも、
いろいろな努力を認めてやるべきだ。

つまり、
国際貢献した企業は、
日本の国内でだけでも、認めてやるような
クレジット・システムを作ってはどうか。

具体的には、
途上国において、
(商品あたりの)原単位か、(絶対的総)排出量の削減に
貢献したら、なんらかのクレジットを与える。

しかし、実際は、難しい。
みんなが、
UNFCCC(気候変動枠組み条約)の
CDMなどのもとで、
協力して、こうやろうって、言ってるときに、
日本だけ、
「いちぬけた」
っていって、勝手な行動をとるのは、
やりにくい。


・・・

山田 健司氏(新日本製鐵株式会社環境部長)

(新日本製鉄の人。古いタイプの日本人。)

我々ができることは、
新しい「技術」の開発である。

どんな問題に対しても、
「技術、技術、技術」で対処していく。

CDMなどの「市場メカニズム」は嫌いだ。
議論する以前の問題として、個人的に嫌いだ。

ともかく、
我々は、温暖化に対しても、技術で対応する。

国の政策がどうあれ、
我々は、技術で対応する。

また、
COP15は、
政治的合意にとどまる、と聞いている。


我々の技術開発は、
具体的には、
エコプロセス(エネルギー効率)
エコプロダクト(最終製品使用時の排出量削減)
エコソリューション(途上国に技術移転)
の三つのエコ。


我々は、いいものを作る、ということで
社会に貢献する。
かつ、
諸外国へ技術移転する。
それが
正当に評価されるシステムが必要だ。


しかし、一方で、
日本は、技術移転しなきゃならん、
という被害者意識は、必要ない。

我々は、すでに、中国などに対して、
十分な技術移転をし、結果もだしている。


鉄鋼の分野では、
CDQ(コークス乾式消火設備)
という技術が、
もっとも省エネに貢献する。

中国にこれを導入させて
3300万トンのCO2を削減させた。

また、
中国の省エネメリットは、
初期は、
メリットが非常に大きかった。

(エネルギー消費のコストが減るので、
 その分、純利益が増えることになった。)

つまり、中国は、
クレジットうんぬんがあるからやるのではなく、
メリットがあるから、やるのである。

だから、教えれば、やる。


CDMなどの市場メカニズムは、嫌いだ。
例えば、
先日問題になった、
サブプライムローンには、
少なくとも、住宅、という価値があった。
しかし、
「ホットエアー」などの
購入できる排出枠が世界中にいっぱいあって、
それを買えばよい、という議論は、
わけがわからず、
個人的に大嫌いだ。

注:
ホットエアー、とは、
経済活動が低迷する、
旧ソ連や東欧の国などは、
京都議定書で定められた削減目標よりも
はるかにCO2排出量が少なかったので、
そうした国々から、
安く排出枠(排出権)を購入することが
できること。
このホットエアーを購入することは
実質的なCO2排出の削減に
まったく貢献しない、と言われている。


こういう怪しいものに金をだそうとは
私は思わない。


日本としての目標が、
まずは、必要だ。
欧米にくらべて、
どうするべきか、ということは
論じないといけない。

ただし、中国などと
比べようとは思わない。

あと、
先進国からの技術移転がないから、
中国の排出削減が進んでいない、
というのは、ウソだ。

中国は、例の「五箇年計画」で、
CO2の原単位削減を
2割も行おうとして、
国をあげて、
省エネ設備を導入し、
その義務化もしている。

でも、できないのである。

その理由は、
中国の様々な内部事情にある。

複雑で、ひとことでは言えないが、
単に、技術移転がないから、
排出削減が進まない、
ということではない、
ということは、
知っておいてもらいたい。


・・・

山岸 尚之氏(WWFジャパン気候変動プログラムリーダー)

COP15に期待するのは、
今回作られるであろう、新しい枠組みにおいて、
長期的な気候変動への対策が論じられ、
最終的には、
世界平均気温の上限を、2度Cまでにおさえる、
ということにある。

最近、世界的な動向が、かなり速く動いてる。
前回の、バルセロナの時よりも、速い。
しかし、あの頃から、
今回の、COP15での合意は、
無理だと言われていた。

しかし、だからと言って期待値を下げると、
もっと低い結果しか得られない。
ホスト国のデンマークに、がんばってくれ、と
メッセージを送った。

こないだ、pre-COPが終わって、
アメリカ、中国が、数字を表明し、
インドも、会議に加わるようになった。
ブラジルも。

本場の会議にむけての、
ゲームとも、ポーズとも、とれるが。

各国の、そのような動きの中で、
何ができるのか?

京都の時の目標は、
削減目標値の設定にあった。

今回も、数字の設定はあるが、
それ以上に、
途上国への資金援助が、
かなりの重要なポイントになる。
これが、
日本のできることだ。


途上国の排出を削減するのは、
二つのポイントがある。

一つは、
京都議定書では義務をおっていない
途上国に、なんらかの約束をさせること。

義務的か、自主的か、の
二元論になっているが、
その間の、グラデーション(段階的決着)も必要だ。

罰則ありと、何もなし、の中間もある。
例えば、
単に、排出削減に関する、
結果の報告をさせる、
それを
国際機関等で、レビューさせる、
でも、
罰則はない。
というような感じ。
これが、中間の案。

COP15でも
こうなるのではないか、と思う。

二つめは、
途上国への資金援助について

これには、
政府からの金と、
民間からの金の
二つと言われている。

が、私が思うに、
政府からのODAなどの金が
とばぐちになり(きっかけになり)
民間からの投資が、
どっと流れるような仕組みが
必要ではないか。

例えば、
EUの場合、
それが、カーボン・マーケットだ。

うちは、環境系NGOだが、
カーボン・マーケットの
ある一定の役割は、認めている。

しかし、これ以外にも
なんらかの方法があるんじゃないか。


ところで、
他の(環境系)NGOでは、
カーボン・マーケットなど
無い方が良い、というところもある。
そもそも、
市場経済で、こんなに世界が悪くなったのに、
CO2削減にまで、市場をもちこんでどうするのか、
という議論。
あと、排出権の市場取引は、先進国のために
やっている。
また、実質的な排出の削減にならないのではないか、
という議論。
それらを含めて、
カーボン・マーケットの信用が低下している問題、
なども言われている。


途上国での削減行動を促すには
三つの方法がある。

1.途上国単独でやる場合。
 省エネすると、もうかるけど、
 他のものに投資するほうが、
 もっともうかるから、やらない。
 あと、初期の設備投資が高い。

 よって、これを
 後述の方法で、出資してやればよい。

2.先進国からの支援
 先進国が、自分たちの 
 オフセット(排出削減)のために
 途上国の援助をするのは、
 本来の意味における支援ではない。

 ロー・ハンギング・フルーツ
 (低い取りやすい所にある果実)
 をとってしまう、という風に、
 揶揄(やゆ)されるのだが、
 先進国が、
 途上国において、
 簡単に排出削減できる部分を
 先に利用してしまう。

 すると、途上国は、後で、
 ハイ・ハイギング・フルーツ
 (高い取りにくい所の果実)
 をとるしかなく、大変になる。

 こうした問題が生じる。

3.カーボン・マーケットからの支援で、
 途上国は、1.の設備投資を行える。
 
 途上国では、高いと思われる設備投資が、
 先進国では、高くない。


最後に、
2050年までに、
地球の温度上昇を2度Cまでにしたい。

日本の25%削減は厳しいが、
でも、やらないといけない。

そして、周りの国に啓発していく。

しかし、途上国だけではできない。
技術と資金の援助が必要だ。


また、
もし、それらができないなら、
どのくらいの温暖化なら
受容できるのか、を
議論しないといけない。

それも、議論する必要がある。




・・・
・・・


以下、山本の追記:


補足1:

ここ数日で、アメリカ、中国という
CO2排出の2大大国が
「2020年までの、CO2の削減目標」を発表した。
よって、
これまでの各国の動きをまとめておこう。


日本: 1990年比で25%削減

    (1990年比換算、25%削減)

アメリカ 2005年比で、17%削減

    (1990年比換算、4%削減)

    (この数字は、1997年の京都議定書で、
     アメリカがいったん合意した7%削減よりも低い。
     大量の失業者(10%以上)をかかえ、
     オバマ支持率が下落(49%)している現在、
     これがせいいっぱい、というところか。)

中国   2005年比で、単位GDPあたり40〜45%削減

    (1990年比換算、??、おそらく80%増加?)

    (中国は、GDPの成長がものすごい(毎年10%以上)ので、
     単位GDPあたりのCO2を削減をしても
     CO2の総排出量(絶対排出量)は、むしろ増える。
     つまり、中国は、削減する気は全くなく、
     CO2の排出量を、かなり増加させる、
     と公言しているのと同じことである。
     また、それにもかかわらず、中国は、
     これはあくまで、国内目標で、国際的な取り決めにする気はない、
     と言っている。)     

EU   1990年比で、20〜30%削減

    (1990年比換算、20〜30%削減)

ロシア  1990年比で、22〜25%削減

    (1990年比換算、22〜25%削減)

オーストラリア 2000年比で、25%削減

    (1990年比換算、11%削減)

カナダ  2006年比で、20%削減

    (1990年比換算、3%削減)

韓国 2005年比で、4%削減

    (1990年比換算、おそらく10%前後増加)

    (韓国は、対策を全くとらない場合に比べれば
     おそらく30%程度減るのではないか、と言っている。
     が、もちろん、このような計画では総排出量は増える。)


と、いうわけで、かなり、ずるい戦略をとっているのが、
中国と韓国。

残りの大国である、インドも、近日中に、なんらかの意思を表明する予定。


補足2:

日本が、COP15で、使えるかもしれない「カード」の一つとして、
「限界削減費用」がある。

これは、
例えば、省エネ技術が、既にかなり進んだ日本において、
鉄鋼など、CO2排出の多い分野で、
さらに、これからCO2を1トン削減するために必要な
設備投資などのコストを「試算」した場合、
例えば、それが、10兆円だとする。

ところが同じことを、
中国や韓国でやろうとすると、
まだ省エネができる余力が、いっぱいあるので、
5兆円ですむ。

つまり、省エネ技術の進んでいる国のほうが、
(今後)追加で「1トンのCO2」を削減する時に、
必要な設備投資のコストは、一般に高いのである。

で、このコストを、「限界削減費用」という。

つまり、日本は、
COP15での交渉において、
中国が、GDPあたりのCO2削減に固執するのであれば、
(今後できる、新しい枠組みにおいて、)
「限界削減費用」も考慮して、
日本に排出枠(排出権)を割り当ててくれ、
ということが、できるかもしれない。


補足3:

カーボン・リーケージと、セクター別アプローチにも触れておく。

例えば、日本だけで、
炭素税(環境税)や
排出枠の上限設定(キャップ・アンド・トレード)などを
行った場合、
鉄鋼・電気・車・化学などの、CO2を大量に排出する
それぞれの「セクター」(産業部門)は、
事業(商品の生産量)を縮小するしかない。

例えば、
日本の鉄鋼メーカーが、鉄鋼の生産を縮小した場合、
(世界での鉄鋼の需要は変わらないないので)
その分を、中国や韓国の鉄鋼メーカーを
それを作ることになる。

鉄鋼を作るためには、大量の電気を使うのだが、
中国や韓国の電力会社の効率は、
日本の電気会社よりも、効率が悪ので、
日本よりも、大量のCO2を排出してしまう。

(これを、カーボン・リーケージ、という。)

つまり、
日本の鉄鋼事業を縮小すると、
その分、
中国や韓国の鉄鋼メーカーがもうかり、
かつ、
世界全体でのCO2排出量は、かえって増えてしまう、
ということになるのである。

よって、
日本など先進国の「シンク・タンク」は、
「セクター別アプローチ」という概念を打ち出し、

もしも、世界的に、CO2の削減プロジェクトをやるのならば、
各国で同時に、しかも、
鉄鋼セクター(鉄鋼部門)なら、その部門に関して、
各国で(ある程度)共通の削減案を課さないと、
かえって、世界全体のCO2を増やすことになったり、
また、企業間の(国境を越えた)不公平を生みだすことになる。

もちろん、鉄鋼セクターだけでなく、電力セクターでも、
車セクターでも、化学セクターでも、それ以外でも、である。



補足4:

中国が、どうしても、GDPあたりの排出削減、にこだわる場合、
それならば、他の国も、同様の方針にしないと
不公平になる可能性がある。

で、それを世界共通の「新しい枠組み」に使うのならば、
(上記のシンポジウムにも、ちらっと登場したが)
一般に、次の三つを同時に考えるのが普通である。

1.一人あたりの排出量(排出の責任)
2.一人あたりのGDP(削減費用を負担する能力)
3.国全体の削減ポテンシャル(GDPあたりのエネルギー消費量)

これら三つを考慮して、
総合的に、各国の(または各国のセクターごとの)
排出枠(排出量)を、割り当ててゆくが妥当となる。


補足5:

また、そもそも、シンポジウムに、何度も登場しているとおり、

CO2の上昇と気温の上昇は、
ここ数年、まったく止まる気配を見せておらず、
中国などが上記のような削減目標を出している様子もあり、
今後、CO2の削減など、まずちょっと無理ではないか、
と考えるのが普通である。

少なくとも、今世紀中の温度上昇量を、
(環境系NGOの)WFPの人などが言っているような
2度Cまでに抑えることは、99%無理であり、

4度Cまでに抑えることも、相当難しいと思う。

よって、
「緩和」(CO2等の排出削減)ではなく、
「適応」のほうにお金や努力(技術開発・技術移転)を使ったほうが
良いのではないか、とも考えられる。

が、この件は、また別のブログで触れる。