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世界中を、さまよい続け、
五つの大陸と、五つの海を超えた先で、

ついに、あきら君は、
「魔法のランプ」をみつけました。


伝説のストーリー、
「アラジンと魔法のランプ」に登場する、アレです。


その「魔法のランプ」を、ごしごし擦(こす)ると、
はてさて、
「ランプの魔人」が現れました。


じゃじゃじゃじゃーん


意外なことに、魔人は、
ケンタッキー・フライド・チキンの
カーネルおじさん、そっくりでした。

カーネルおじさんは、こう言いました。


「君の願いを、三つだけ、かなえてあげよう。」


あきら君は、ずうっと、考えていたことを、順番に
おじさんに言いました。


「・・では、まず、ひとつ目は、
 初恋の人のそばで、一生を過ごすこと、です。」

「ほう?」

「学校を卒業して別れる時、告白できなかったので、
 いまだに、後悔しているんです。」

「どんな人だったのかね?」

「ほほ笑む時に、
 左手の人差し指で、口元を押さえる癖のある人でした。
 くったくのない、かわいい人でした。」

「ほう、そうかい。」
 


「二つ目は、彼女の一生が、
 ささやかな幸せで包まれること、です。」

「ささやかな幸せとは、どういうことかね?」

「毎日、微笑んで、
 また、
 彼女が自分に自信を持って、暮らしていけること、でしょうか?」

「ほう、そうかい。」



「最後に、三つ目は、
 ・・できれば、私にも、ささやかな幸せが続くこと、を。」

「きみにとって、ささやかな幸せとは、どんなことかね?」

「その・・、
 彼女が、ささやかな幸せの中で、ずっと暮らしていることを
 確かめられること、でしょうか?」

「ほう、そうかい。


 では、その三つの願い、全てかなえてあげよう。」



ぼぼぼんっ



と音がして、気がつくと、
あきら君は、初恋の人の家で、
「あるもの」になっていました。


初恋の人は、ちょうど、外に出かけるところでした。

太陽の光を遮る(さえぎる)ために、
彼女は、日焼け止めクリームを塗(ぬ)りに、
洗面所の「鏡」のある所に来ました。


そして、彼女が「鏡」をみると

あら不思議!

「鏡」は、
彼女が思っている自分の姿よりも「5年若い姿」を映したのです。


そうです。
これが、ランプの魔人の魔法でした。


魔人は、世界中の鏡に、命令したのです。
彼女が、鏡をみた時に、
必ず、「5年若い姿」を映し出すように、と。


彼女は、鏡に映った自分の姿をみて、

少し微笑み、
少し自分に自信をもち、

「ささやかな幸せ」を手に入れました。


この彼女の幸せは、一生、続くことでしょう。

だって、
ランプの魔人の魔法は、永遠に続くのですから。




えっ?

あきら君は、何になったのか、ですって?


鏡になった?

いいえ、いいえ、違います。


あきら君がなったのは、
初恋の彼女の、左手の人差し指です。


鏡に映った自分の姿をみて、ほほ笑むたびに、

彼女は、左手の人差し指を口元にあてます。


鏡を見て微笑むたび、毎回です。



こうして、あきら君は、


初恋の人が、

「ささやかな幸せの中で、ずっと暮らしていること」

を確かめ、


そして、もちろん、





「永遠のキス」を、手に入れることになったのです。



ちゃんちゃん。